有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/16 15:00
【資料】
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【項目】
82項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
第19期連結会計年度(自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日)
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は1,121,663千円となり、前連結会計年度末に比べ204,883千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金233,259千円、原材料及び貯蔵品25,256千円の増加及び前払費用43,150千円の減少によるものであります。また、固定資産は506,252千円となり、前連結会計年度末に比べ34,843千円減少いたしました。これは主に、有形固定資産6,535千円及び無形固定資産26,689千円の減少によるものであります。
この結果、総資産は1,627,915千円となり、前連結会計年度末に比べ170,039千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は363,829千円となり、前連結会計年度末に比べ26,831千円減少いたしました。これは主に、未払法人税等13,845千円と未払消費税等24,641千円の減少によるものであります。また、固定負債は138,729千円となり、前連結会計年度末に比べ6,704千円減少いたしました。これは主に、長期借入金5,018千円の減少によるものであります。
この結果、負債合計は502,558千円となり、前連結会計年度末に比べ33,536千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,125,357千円となり、前連結会計年度末に比べ203,575千円増加いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加203,575千円によるものであります。
第20期第1四半期連結累計期間(自 平成30年7月1日 至 平成30年9月30日)
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の流動資産は1,032,229千円となり、前連結会計年度末に比べ89,433千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金50,569千円の減少等によるものであります。また、固定資産は502,346千円となり、前連結会計年度末に比べ3,906千円減少いたしました。これは主に、有形固定資産の減少260千円、無形固定資産7,349千円の減少等によるものであります。
この結果、総資産は1,534,575千円となり、前連結会計年度末に比べ93,340千円減少いたしました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は261,813千円となり、前連結会計年度末に比べ102,016千円減少いたしました。これは主に、未払金25,816千円、未払法人税等75,724千円の減少等によるものであります。また、固定負債は前連結会計年度末に比べ9,287千円減少し、129,442千円となりました。
この結果、当第1四半期連結会計期間末における負債合計は391,255千円となり、前連結会計年度末に比べ111,303千円減少いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は1,143,320千円となり、前連結会計年度末と比較して17,963千円増加いたしました。これは、当第1四半期連結会計期間末に計上した親会社株主に帰属する四半期純利益の増加17,963千円によるものであります。
b.経営成績
第19期連結会計年度(自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益や雇用環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、米国の政治情勢及びわが国の地政学的リスクの高まりなど、海外情勢の影響等により国内経済への先行きは不透明な状況が続いております。
一方、EC通販市場における印章市場は拡大が見込まれるものの、印章業界全体ではやや減少の傾向にあり、顧客獲得のための企業間競争が更に激しくなる状況の中、購入経路(パソコンからスマートフォンの比率逆転)の変化によって、今後も顧客獲得のための集客(サーチワード広告等)コストは増加する傾向にあり、企業収益への影響は強まると考えております。
このような環境の下で、当社グループにおきましては、EC通販事業の主力サイト、ハンコヤドットコムの売上高は増加したものの、購入経路が多様化したことでサーチワード広告の利用増加による広告宣伝費の増加、人手不足の影響により採用コスト及び時給のアップ等による人件費の増加、新システム早期安定化のためのメンテナンス要員の増加による保守料の増加、新システムが稼働したことによる減価償却費の増加による、販売費及び一般管理費の増加によって、利益は減少いたしました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
EC通販事業におきましては、客数は412,525人で前期と比べ43,791人(前年同期比11.9%増)増加、客単価は6,657円で前期と比べ289円(前年同期比4.2%減)減少となりました。
主な商材区分別の状況は、彫刻(主に印鑑及び印鑑ケース等の取り扱い)では、売上高は1,737,736千円で前期と比べ141,309千円(前年同期比8.9%増)増加となり、スタンプ(主に浸透印及びゴム印等の取り扱い)では、売上高は705,233千円で前期と比べ26,210千円(前年同期比3.9%増)増加となり、印刷(主に名刺、カレンダー等の取り扱い)では、売上高は175,224千円で前期と比べ19,667千円(前年同期比12.6%増)増加となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,746,209千円(前年同期比7.1%増)となりました。営業利益は317,486千円(前年同期比15.7%減)、経常利益は317,670千円(前年同期比15.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は203,575千円(前年同期比17.2%減)となりました。
第20期第1四半期連結累計期間(自 平成30年7月1日 至 平成30年9月30日)
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益の改善による設備投資の増加に伴い、雇用や所得の状況も改善の傾向にあり、株式市場でも円安による株価上昇など、景気は引き続き緩やかに回復基調が続いております。しかしながら、米国の保護主義的な関税の問題や中東及びアジア地域における地政学的リスクの高まりなど、海外情勢の影響等により国内経済への先行きは不透明な状況が続いております。
一方、EC通販市場における印章市場は拡大が見込まれるものの、引き続き顧客獲得のための企業間競争が激しくなる状況の中、前期と同様にコストは増加する傾向であり、企業収益への影響は強まる状況が継続しております。
EC通販事業におきましては、客数は89,472人、客単価は6,464円となりました。
主な商材区分別の状況は、彫刻(主に印鑑及び印鑑ケース等の取り扱い)では、売上高は386,614千円となり、スタンプ(主に浸透印及びゴム印等の取り扱い)では、売上高は155,452千円となり、印刷(主に名刺、カレンダー等の取り扱い)では、売上高は15,981千円となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は578,266千円となりました。営業利益は29,213千円、経常利益は26,977千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は17,963千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
第19期連結会計年度(自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日)
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ233,259千円増加し761,667千円(前年同期比44.1%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は292,656千円(前年同期比1.0%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益307,880千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、49,400千円(前年同期比68.0%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出30,575千円及び無形固定資産の取得による支出19,540千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は9,996千円(前年同期比86.2%減)となりました。これは、長期借入金の返済による支出9,996千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの報告セグメントはEC通販事業のみであるため、商材区分別に記載しております。
a.生産実績
当社グループの生産実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、生産実績に関しては販売実績の項をご参照ください。
b.仕入実績
第19期連結会計年度及び第20期第1四半期連結累計期間の仕入実績を商材区分別に示すと、次のとおりであります。
原材料及び商品仕入
仕入区分商材区分第19期連結会計年度
(自 平成29年7月1日
至 平成30年6月30日)
第20期第1四半期
連結累計期間
(自 平成30年7月1日
至 平成30年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
原材料彫刻234,943110.448,553
スタンプ176,276110.539,603
印刷1,427111.1189
その他45370.6374
原材料 合計413,101110.388,720
商品彫刻124,673111.927,401
スタンプ89,772102.022,230
印刷114,184119.99,171
その他16,921108.43,068
商品 合計345,552111.461,872
EC通販事業 合計758,654110.8150,593

(注)上記の金額には、消費税等が含まれておりません。
c.受注実績
当社グループのEC通販事業は、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
d.販売実績
第19期連結会計年度及び第20期第1四半期連結累計期間の販売実績を商材区分別に示すと、次のとおりであります。
商材区分第19期連結会計年度
(自 平成29年7月1日
至 平成30年6月30日)
第20期第1四半期連結累計期間
(自 平成30年7月1日
至 平成30年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
彫刻1,737,736108.9386,614
スタンプ705,233103.9155,452
印刷175,224112.615,981
その他128,19298.020,272
EC通販事業 合計2,746,386107.2578,322

(注)1.事業部門間の取引相殺前の金額で記載しております。
2.上記の金額には、消費税等が含まれておりません。
3.主たる販売先は、不特定多数の一般顧客であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積もりは、合理的な基準に基づいて実施しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は主軸事業であるEC通販事業での朱肉を使う印鑑の購入客数が増加したことにより、前連結会計年度に比べ182,994千円増加し、2,746,209千円(前年同期比7.1%増)となりました。
また、成長に必要な設備投資と広告運用等が効率的に実施できたことで、資本効率を示す自己資本利益率(ROE)19.9%、資産効率を示す総資産利益率(ROA)13.2%と一定水準の効率を維持することができております。
この先の日本経済は、雇用環境や企業収益の改善などが見込まれ、引き続き国内景気の回復が続くことが期待される一方で、欧米の政治動向や北朝鮮・中東情勢など地政学的リスクが依然として懸念され、景気の先行きは不透明な状況が続くとみられます。
当社グループを取り巻くEC通販事業分野におきましては、設備投資需要の継続が期待されるものの、人手不足による雇用獲得競争が激化する事で人件費、外注加工費の上昇や配送料金値上げなど収益悪化要因も想定され、楽観視できない状況です。
こうした状況に対処するために、グループ統括管理本部の強化を図り、安定的な雇用獲得にも取り組んでまいります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの事業活動における運転資金需要の主
なものは、当社グループの主たる事業であるEC通販事業に係る人件費、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費に加え、機械装置等の有形固定資産及びシステム開発に係る無形固定資産への投資等があります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については主に内部資金を活用することにより確保しております。