四半期報告書-第22期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)経営成績等の状況
当社グループでは、売上収益、Non-GAAP営業利益を経営成績評価上の重要な指標としています。当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
① 当第3四半期連結累計期間の経営成績
当第3四半期連結累計期間における国内経済及び世界経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の流行による、海外渡航制限や飲食店の営業自粛・休業により、旅行観光や外食産業等を中心に大きな影響を受けています。日本国内ではワクチン接種の普及に伴い、消費需要は回復しつつありますが、依然としてコロナ禍以前の水準には戻っていません。今後の経済動向については回復の兆しが見られている一方、新種の変異株の発生の可能性等、完全に感染拡大が収まる見通しについては不透明なため、引き続き感染状況について注視していきます。
このような環境の中、当社グループは以下のように成長を果たすことができました。なお、セグメントごとの分析は「(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しています。
(単位:百万円)
Non-GAAP営業利益から営業利益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
② 経営成績の分析
(売上収益)
当第3四半期連結累計期間における売上収益は387,709百万円となり、前年同期の365,774百万円から21,935百万円(6.0%)増加しました。これはクレジットカード事業における『楽天カード』の会員基盤拡大による収益の増加、証券事業における米国株を中心とした株式売買の手数料収益および信用取引収益の増加、銀行事業における銀行口座数の伸長に伴う手数料収益の増加が主な要因です。
(営業利益)
当第3四半期連結累計期間における営業利益は72,350百万円となり、前年同期の66,554百万円から5,796百万円(8.7%)増加しました。これはクレジットカード事業等の業績が堅調に推移したためです。
(親会社の所有者に帰属する四半期利益)
当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期利益は50,482百万円となり、前年同期の46,767百万円から3,715百万円(7.9%)増加しました。
③ 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は12,768,956百万円となり、前連結会計年度末の資産合計10,383,432百万円と比べ、2,385,524百万円増加しました。これは主に、前連結会計年度末に比べ、銀行事業における貸付金の増加や、顧客からの預金の増加に伴う現金及び現金同等物の増加、証券事業における顧客の売買取引増加に伴う金融資産の増加によるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は12,253,151百万円となり、前連結会計年度末の負債合計9,899,322百万円と比べ、2,353,829百万円増加しました。これは主に、銀行事業における顧客からの預金の増加、証券事業における顧客の売買取引増加に伴う金融負債の増加、手元流動性を高めるための借入金の増加によるものです。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は515,805百万円となり、前連結会計年度末の資本合計484,110百万円と比べ、31,695百万円増加しました。これは主に、親会社である楽天株式会社(現 楽天グループ株式会社)への配当による減少があったものの、四半期利益による利益剰余金の増加によるものです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ756,154百万円増加し、3,640,033百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、618,668百万円の資金流入(前年同期は806,345百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が834,504百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が1,426,129百万円、証券事業の金融資産及び金融負債の増減によるネットの資金流入が23,373百万円(金融資産の増加による資金流出が720,316百万円、金融負債の増加による資金流入が743,689百万円)となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、150,877百万円の資金流出(前年同期は9,300百万円の資金流入)となりました。これは主に、保険事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が26,722百万円(有価証券の取得による資金流出が37,651百万円、売却及び償還による資金流入が64,373百万円)となった一方で、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が152,672百万円(有価証券の取得による資金流出が481,249百万円、売却及び償還による資金流入が328,577百万円)、無形資産の取得による資金流出が20,701百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、280,430百万円の資金流入(前年同期は295,713百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が101,240百万円、配当金の支払いによる資金流出が20,000百万円、短期借入金の減少による資金流出が16,953百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が422,929百万円となったことによるものです。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当事項はありません。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に各セグメントの状況を記載しています。
(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結累計期間末現在において判断したものです。以下、セグメント単位で経営成績等の分析・検討内容を記載しています。
(クレジットカード事業)
(単位:百万円)
クレジットカード事業セグメントでは、首都圏を中心とする緊急事態宣言の発出、延長等による、事業者への時短要請、休業要請に伴い、消費需要の減退等の影響を受けたものの、引き続きカード発行枚数(注)とショッピング取扱高を伸ばすことができました。ショッピングリボルビング、キャッシング残高については、前年同期末比で減少していますが、今後はリベンジ消費に伴う資金需要の回復が期待され、ショッピング取扱高に加え、ショッピングリボルビング、キャッシング残高も徐々に回復していくと考えられます。
当第3四半期連結累計期間においては楽天グループ各社のサイト上に当社のバナー広告の展開やテレビCM、Web CMの放送による認知度向上により、カード発行枚数は2,390万枚(前年同期末比15.2%増)となりました。6月に本格開始した、2枚目のカード発行についてはお客様より好評いただいており、累計50万枚を突破しました。また、カード発行枚数の伸長及び効果的なキャンペーン活動を継続的に行った結果、主要KPIであるショッピング取扱高は10兆2,352億4百万円(前年同期比26.2%増)となりました。一方、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ショッピングリボルビング残高は6,122億18百万円(前年同期末比1.5%減)、キャッシング残高は1,198億円(前年同期末比3.4%減)となりました。
結果として、売上収益は205,041百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
また、引き続き債権回収の効率化を図ったこと、及び新型コロナウイルス感染症の影響での資金需要の減退に伴う残高の減少等により、貸倒関連費用は前年同期比で減少した一方で、引き続き当社の重要戦略として会員獲得を推進しており、広告宣伝費が昨年同期比で増加したため、営業費用は前年同期比で増加しました。以上の結果から、セグメント損益は30,576百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
(注)当第2四半期連結会計期間より、主要KPIの表記を「会員数」から「カード発行枚数」へ変更しました。なお、当該計数の定義については変更していません。
(銀行事業)
(単位:百万円)
銀行事業セグメントでは、当社との協業施策等の楽天グループ間でのシナジー効果を目指した取り組み等により、銀行口座獲得に注力した結果、主要KPIである銀行口座数が伸長し、1,138万口座(前年同期末比20.4%増)となりました。また、銀行口座数の伸長に伴い、預金残高は6兆3,143億84百万円(前年同期末比48.4%増)となりました。当第3四半期連結累計期間においては、7月4日に同社において過去最短となる、約6カ月での100万口座増加を果たし、1,100万口座を突破いたしました。さらには、口座振替及び楽天銀行コンビニ支払サービス(アプリで払込票支払)の対応先の拡大、楽天ペイ(アプリ決済)における楽天銀行口座からの即時払いサービスの開始等、サービスの拡充を実施しました。それらの取組により、口座数が伸長し、手数料収益が順調に増加した結果、売上収益は77,093百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
営業費用については業容拡大に伴い、販売促進費用等が増加しています。また、台湾において1月に営業を開始した樂天國際商業銀行が創業赤字を計上しており、結果としてセグメント損益は20,560百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
(証券事業)
(単位:百万円)
証券事業セグメントでは、投信積立で楽天カード決済が可能となるサービスや楽天ポイント等で投資信託や国内株式が購入できるポイント投資サービス等、楽天グループとのシナジー効果を目指した継続的な取組により、主要KPIである証券総合口座数は667万口座(前年同期末比41.1%増)及び証券預かり資産残高(楽天銀行との口座連携サービスにおいて、自動入出金(スイープ)を設定している顧客の楽天銀行普通預金残高も含む)は13兆9,817億67百万円(前年同期末比58.5%増)となりました。当第3四半期連結会計期間においては、同社が運営している「トウシル」のYouTubeにおけるチャンネル登録者数が10万人を突破したことに加え、Webメディアにおいても以前に増して訪問者数の増加が見受けられており、認知拡大ができていると考えています。また、お客様に安心してご利用していただくべく、セキュリティ対策も改善し続けており、9月には特許技術を用いた「ログイン追加認証サービス」を提供開始しました。今後もさらに安心してお使いいただけるようサービスの改善に努めていきます。また、投資初心者の方でもいつでも・どこでも・手軽に資産形成を始められる環境を提供すべく、スマートフォンに特化した新たなロボアドバイザーサービス「らくらく投資」の提供を始めるなど、既存の投資家を取り込むだけでなく、これから投資を始める方へのサービスの提供にも力を入れています。
昨年から引き続き、金融市場のボラティリティの上昇による、米国株式をはじめとする株式売買の手数料収益の増加や、信用取引による金利収益の増加により、結果として当第3四半期連結累計期間の売上収益は66,437百万円(前年同期比24.6%増)となりました。営業費用は業容拡大による支払手数料の増加や広告宣伝費の増加等により、引き続き増加していますが、結果としてセグメント損益は14,013百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
(保険事業)
(単位:百万円)
保険事業セグメントでは、楽天保険の総合窓口の開設により、楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険が提供する保険商品のお客様窓口を一本化し、ご契約者様のお手続きをワンストップで受けることができるようにすることで、お客様にとって利便性の高い保険サービスを提供しています。2021年2月1日には楽天生命対面募集代理店にて損害保険、ペット保険の取扱いを本格的に開始しました。また、楽天グループ間でのシナジーの最大化を図るべく、楽天IDを使った楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険の対象商品のご加入者様に、保険料支払い額の1%分の楽天ポイントを還元するサービス(所定の条件があります)は開始以来好評いただいており、申込数が伸長しています。これらの取組等により、保険事業セグメントの主要KPIである楽天生命保険の保有契約件数(共済事業及び1年定期ガン保険の契約を除く)は、47.8万件(前年同期末比4.1%増)となりました。また、注力している楽天損害保険のインターネット申込保険の新規契約件数は16.1万件(前年同期比31.6%増)となりました。
楽天生命保険においては7月よりウェブでの給付金請求に対してポイントの進呈を開始するなど、ペーパーレス化を促進させることで、業務効率の改善を図っています。また、8月に販売開始した「認知症保険」は順調に申込数を伸ばしています。楽天損害保険では、楽天グループ内での付帯保険の販売などグループシナジーの向上に努めつつ、引き続き保険引受の適正化を図っており、保険収益は前年同期比で減少しましたが、損害率は着実に改善しています。以上の結果から、売上収益は73,330百万円(前年同期比7.1%減)、セグメント損益は6,066百万円(前年同期比32.8%増)となりました。
以上により、当社グループのNon-GAAP営業利益は前年同期比5.0%増の71,215百万円となりました。
今後の施策として、引き続きキャッシュレス決済の社会全体への浸透を追い風として、クレジットカード事業を中心に、新規会員の獲得及びクレジットカード利用促進に向けた効果的かつ効率的なマーケティング戦略を行っていきます。また、当社グループの顧客基盤を最大限に活用し、各社間でのクロスユースを促進することで、当社グループ内でのシナジーを更に発揮してまいります。なお、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により景気の見通しが未だ先行き不透明ではありますが、資産の健全性、財務の安定性を維持しつつ、各事業のKPI、売上収益、Non-GAAP営業利益への影響を注視していきます。
(3)経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により未だ景気の見通しが不透明ではありますが、当社グループにおいては、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題について、引き続き注視していきます。
また、クレジットカード事業においては、「トリプル3」(注)を中期的な戦略として掲げ、カード発行枚数「3,000万枚」、ショッピング取扱高「30兆円」、取扱高シェア「30%」を目標としました。これらの目標を達成することで、国内を基盤にしていながら、グローバルな規模においても相応のプレゼンスを確保していきたいと考えています。
(注)本戦略の公表は当該報告期間外ですが、当社の重要戦略として記載しています。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(6)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動はありません。
(1)経営成績等の状況
当社グループでは、売上収益、Non-GAAP営業利益を経営成績評価上の重要な指標としています。当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
① 当第3四半期連結累計期間の経営成績
当第3四半期連結累計期間における国内経済及び世界経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の流行による、海外渡航制限や飲食店の営業自粛・休業により、旅行観光や外食産業等を中心に大きな影響を受けています。日本国内ではワクチン接種の普及に伴い、消費需要は回復しつつありますが、依然としてコロナ禍以前の水準には戻っていません。今後の経済動向については回復の兆しが見られている一方、新種の変異株の発生の可能性等、完全に感染拡大が収まる見通しについては不透明なため、引き続き感染状況について注視していきます。
このような環境の中、当社グループは以下のように成長を果たすことができました。なお、セグメントごとの分析は「(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しています。
(単位:百万円)
前年同期 (前第3四半期 連結累計期間) | 当期 (当第3四半期 連結累計期間) | 増減額 | 増減率 | |
売上収益 | 365,774 | 387,709 | 21,935 | 6.0% |
Non-GAAP営業利益 | 67,797 | 71,215 | 3,418 | 5.0% |
Non-GAAP営業利益から営業利益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前年同期 (前第3四半期 連結累計期間) | 当期 (当第3四半期 連結累計期間) | |
Non-GAAP営業利益 | 67,797 | 71,215 |
無形資産償却費 | △3,994 | △2,450 |
株式報酬費用 | △684 | △768 |
その他の調整項目 | 3,435 | 4,353 |
営業利益 | 66,554 | 72,350 |
② 経営成績の分析
(売上収益)
当第3四半期連結累計期間における売上収益は387,709百万円となり、前年同期の365,774百万円から21,935百万円(6.0%)増加しました。これはクレジットカード事業における『楽天カード』の会員基盤拡大による収益の増加、証券事業における米国株を中心とした株式売買の手数料収益および信用取引収益の増加、銀行事業における銀行口座数の伸長に伴う手数料収益の増加が主な要因です。
(営業利益)
当第3四半期連結累計期間における営業利益は72,350百万円となり、前年同期の66,554百万円から5,796百万円(8.7%)増加しました。これはクレジットカード事業等の業績が堅調に推移したためです。
(親会社の所有者に帰属する四半期利益)
当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期利益は50,482百万円となり、前年同期の46,767百万円から3,715百万円(7.9%)増加しました。
③ 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は12,768,956百万円となり、前連結会計年度末の資産合計10,383,432百万円と比べ、2,385,524百万円増加しました。これは主に、前連結会計年度末に比べ、銀行事業における貸付金の増加や、顧客からの預金の増加に伴う現金及び現金同等物の増加、証券事業における顧客の売買取引増加に伴う金融資産の増加によるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は12,253,151百万円となり、前連結会計年度末の負債合計9,899,322百万円と比べ、2,353,829百万円増加しました。これは主に、銀行事業における顧客からの預金の増加、証券事業における顧客の売買取引増加に伴う金融負債の増加、手元流動性を高めるための借入金の増加によるものです。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は515,805百万円となり、前連結会計年度末の資本合計484,110百万円と比べ、31,695百万円増加しました。これは主に、親会社である楽天株式会社(現 楽天グループ株式会社)への配当による減少があったものの、四半期利益による利益剰余金の増加によるものです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ756,154百万円増加し、3,640,033百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、618,668百万円の資金流入(前年同期は806,345百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が834,504百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が1,426,129百万円、証券事業の金融資産及び金融負債の増減によるネットの資金流入が23,373百万円(金融資産の増加による資金流出が720,316百万円、金融負債の増加による資金流入が743,689百万円)となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、150,877百万円の資金流出(前年同期は9,300百万円の資金流入)となりました。これは主に、保険事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が26,722百万円(有価証券の取得による資金流出が37,651百万円、売却及び償還による資金流入が64,373百万円)となった一方で、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が152,672百万円(有価証券の取得による資金流出が481,249百万円、売却及び償還による資金流入が328,577百万円)、無形資産の取得による資金流出が20,701百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、280,430百万円の資金流入(前年同期は295,713百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が101,240百万円、配当金の支払いによる資金流出が20,000百万円、短期借入金の減少による資金流出が16,953百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が422,929百万円となったことによるものです。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当事項はありません。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に各セグメントの状況を記載しています。
(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結累計期間末現在において判断したものです。以下、セグメント単位で経営成績等の分析・検討内容を記載しています。
(クレジットカード事業)
(単位:百万円)
前年同期 (前第3四半期 連結累計期間) | 当期 (当第3四半期 連結累計期間) | 増減額 | 増減率 | |
売上収益 | 193,353 | 205,041 | 11,688 | 6.0% |
セグメント損益 (Non-GAAP営業利益) | 30,020 | 30,576 | 556 | 1.8% |
クレジットカード事業セグメントでは、首都圏を中心とする緊急事態宣言の発出、延長等による、事業者への時短要請、休業要請に伴い、消費需要の減退等の影響を受けたものの、引き続きカード発行枚数(注)とショッピング取扱高を伸ばすことができました。ショッピングリボルビング、キャッシング残高については、前年同期末比で減少していますが、今後はリベンジ消費に伴う資金需要の回復が期待され、ショッピング取扱高に加え、ショッピングリボルビング、キャッシング残高も徐々に回復していくと考えられます。
当第3四半期連結累計期間においては楽天グループ各社のサイト上に当社のバナー広告の展開やテレビCM、Web CMの放送による認知度向上により、カード発行枚数は2,390万枚(前年同期末比15.2%増)となりました。6月に本格開始した、2枚目のカード発行についてはお客様より好評いただいており、累計50万枚を突破しました。また、カード発行枚数の伸長及び効果的なキャンペーン活動を継続的に行った結果、主要KPIであるショッピング取扱高は10兆2,352億4百万円(前年同期比26.2%増)となりました。一方、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ショッピングリボルビング残高は6,122億18百万円(前年同期末比1.5%減)、キャッシング残高は1,198億円(前年同期末比3.4%減)となりました。
結果として、売上収益は205,041百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
また、引き続き債権回収の効率化を図ったこと、及び新型コロナウイルス感染症の影響での資金需要の減退に伴う残高の減少等により、貸倒関連費用は前年同期比で減少した一方で、引き続き当社の重要戦略として会員獲得を推進しており、広告宣伝費が昨年同期比で増加したため、営業費用は前年同期比で増加しました。以上の結果から、セグメント損益は30,576百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
(注)当第2四半期連結会計期間より、主要KPIの表記を「会員数」から「カード発行枚数」へ変更しました。なお、当該計数の定義については変更していません。
(銀行事業)
(単位:百万円)
前年同期 (前第3四半期 連結累計期間) | 当期 (当第3四半期 連結累計期間) | 増減額 | 増減率 | |
売上収益 | 70,905 | 77,093 | 6,188 | 8.7% |
セグメント損益 (Non-GAAP営業利益) | 20,569 | 20,560 | △9 | △0.0% |
銀行事業セグメントでは、当社との協業施策等の楽天グループ間でのシナジー効果を目指した取り組み等により、銀行口座獲得に注力した結果、主要KPIである銀行口座数が伸長し、1,138万口座(前年同期末比20.4%増)となりました。また、銀行口座数の伸長に伴い、預金残高は6兆3,143億84百万円(前年同期末比48.4%増)となりました。当第3四半期連結累計期間においては、7月4日に同社において過去最短となる、約6カ月での100万口座増加を果たし、1,100万口座を突破いたしました。さらには、口座振替及び楽天銀行コンビニ支払サービス(アプリで払込票支払)の対応先の拡大、楽天ペイ(アプリ決済)における楽天銀行口座からの即時払いサービスの開始等、サービスの拡充を実施しました。それらの取組により、口座数が伸長し、手数料収益が順調に増加した結果、売上収益は77,093百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
営業費用については業容拡大に伴い、販売促進費用等が増加しています。また、台湾において1月に営業を開始した樂天國際商業銀行が創業赤字を計上しており、結果としてセグメント損益は20,560百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
(証券事業)
(単位:百万円)
前年同期 (前第3四半期 連結累計期間) | 当期 (当第3四半期 連結累計期間) | 増減額 | 増減率 | |
売上収益 | 53,327 | 66,437 | 13,110 | 24.6% |
セグメント損益 (Non-GAAP営業利益) | 12,639 | 14,013 | 1,374 | 10.9% |
証券事業セグメントでは、投信積立で楽天カード決済が可能となるサービスや楽天ポイント等で投資信託や国内株式が購入できるポイント投資サービス等、楽天グループとのシナジー効果を目指した継続的な取組により、主要KPIである証券総合口座数は667万口座(前年同期末比41.1%増)及び証券預かり資産残高(楽天銀行との口座連携サービスにおいて、自動入出金(スイープ)を設定している顧客の楽天銀行普通預金残高も含む)は13兆9,817億67百万円(前年同期末比58.5%増)となりました。当第3四半期連結会計期間においては、同社が運営している「トウシル」のYouTubeにおけるチャンネル登録者数が10万人を突破したことに加え、Webメディアにおいても以前に増して訪問者数の増加が見受けられており、認知拡大ができていると考えています。また、お客様に安心してご利用していただくべく、セキュリティ対策も改善し続けており、9月には特許技術を用いた「ログイン追加認証サービス」を提供開始しました。今後もさらに安心してお使いいただけるようサービスの改善に努めていきます。また、投資初心者の方でもいつでも・どこでも・手軽に資産形成を始められる環境を提供すべく、スマートフォンに特化した新たなロボアドバイザーサービス「らくらく投資」の提供を始めるなど、既存の投資家を取り込むだけでなく、これから投資を始める方へのサービスの提供にも力を入れています。
昨年から引き続き、金融市場のボラティリティの上昇による、米国株式をはじめとする株式売買の手数料収益の増加や、信用取引による金利収益の増加により、結果として当第3四半期連結累計期間の売上収益は66,437百万円(前年同期比24.6%増)となりました。営業費用は業容拡大による支払手数料の増加や広告宣伝費の増加等により、引き続き増加していますが、結果としてセグメント損益は14,013百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
(保険事業)
(単位:百万円)
前年同期 (前第3四半期 連結累計期間) | 当期 (当第3四半期 連結累計期間) | 増減額 | 増減率 | |
売上収益 | 78,938 | 73,330 | △5,608 | △7.1% |
セグメント損益 (Non-GAAP営業利益) | 4,569 | 6,066 | 1,497 | 32.8% |
保険事業セグメントでは、楽天保険の総合窓口の開設により、楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険が提供する保険商品のお客様窓口を一本化し、ご契約者様のお手続きをワンストップで受けることができるようにすることで、お客様にとって利便性の高い保険サービスを提供しています。2021年2月1日には楽天生命対面募集代理店にて損害保険、ペット保険の取扱いを本格的に開始しました。また、楽天グループ間でのシナジーの最大化を図るべく、楽天IDを使った楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険の対象商品のご加入者様に、保険料支払い額の1%分の楽天ポイントを還元するサービス(所定の条件があります)は開始以来好評いただいており、申込数が伸長しています。これらの取組等により、保険事業セグメントの主要KPIである楽天生命保険の保有契約件数(共済事業及び1年定期ガン保険の契約を除く)は、47.8万件(前年同期末比4.1%増)となりました。また、注力している楽天損害保険のインターネット申込保険の新規契約件数は16.1万件(前年同期比31.6%増)となりました。
楽天生命保険においては7月よりウェブでの給付金請求に対してポイントの進呈を開始するなど、ペーパーレス化を促進させることで、業務効率の改善を図っています。また、8月に販売開始した「認知症保険」は順調に申込数を伸ばしています。楽天損害保険では、楽天グループ内での付帯保険の販売などグループシナジーの向上に努めつつ、引き続き保険引受の適正化を図っており、保険収益は前年同期比で減少しましたが、損害率は着実に改善しています。以上の結果から、売上収益は73,330百万円(前年同期比7.1%減)、セグメント損益は6,066百万円(前年同期比32.8%増)となりました。
以上により、当社グループのNon-GAAP営業利益は前年同期比5.0%増の71,215百万円となりました。
今後の施策として、引き続きキャッシュレス決済の社会全体への浸透を追い風として、クレジットカード事業を中心に、新規会員の獲得及びクレジットカード利用促進に向けた効果的かつ効率的なマーケティング戦略を行っていきます。また、当社グループの顧客基盤を最大限に活用し、各社間でのクロスユースを促進することで、当社グループ内でのシナジーを更に発揮してまいります。なお、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により景気の見通しが未だ先行き不透明ではありますが、資産の健全性、財務の安定性を維持しつつ、各事業のKPI、売上収益、Non-GAAP営業利益への影響を注視していきます。
(3)経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により未だ景気の見通しが不透明ではありますが、当社グループにおいては、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題について、引き続き注視していきます。
また、クレジットカード事業においては、「トリプル3」(注)を中期的な戦略として掲げ、カード発行枚数「3,000万枚」、ショッピング取扱高「30兆円」、取扱高シェア「30%」を目標としました。これらの目標を達成することで、国内を基盤にしていながら、グローバルな規模においても相応のプレゼンスを確保していきたいと考えています。
(注)本戦略の公表は当該報告期間外ですが、当社の重要戦略として記載しています。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(6)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動はありません。