四半期報告書-第23期第1四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/05/13 16:31
【資料】
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)経営成績等の状況
当社グループでは、売上収益、Non-GAAP営業利益を経営成績評価上の重要な指標としています。当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
① 当第1四半期連結累計期間の経営成績
当第1四半期連結累計期間における国内経済及び世界経済は、オミクロン株の感染拡大の影響や、ウクライナ情勢の緊迫化により、経済活動の先行き不透明感が強まりました。日本国内では、まん延防止等重点措置が発出され、旅行需要や外食需要への影響が見られる等、依然としてコロナ禍以前の水準には戻っていません。今後の経済動向については、新型コロナワクチンの追加接種の普及等による持ち直しが期待されるものの、感染状況及びウクライナ情勢の先行きは未だ不透明な状況であるため、引き続き注視していきます。
このような環境の中、当社グループの当第1四半期連結累計期間における売上収益は、着実な成長を果たすことができました。一方で、Non-GAAP営業利益は、23,620百万円(前年同期比8.6%減)となりました。なお、詳細は「(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当第1四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」にセグメントごとの分析を記載しています。
(単位:百万円)
前年同期
(前第1四半期 連結累計期間)
当期
(当第1四半期 連結累計期間)
増減額増減率
売上収益130,020132,5532,5331.9%
Non-GAAP営業利益25,84523,620△2,225△8.6%


Non-GAAP営業利益から営業利益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前年同期
(前第1四半期 連結累計期間)
当期
(当第1四半期 連結累計期間)
Non-GAAP営業利益25,84523,620
無形資産償却費△1,509△261
株式報酬費用△253△256
その他の調整項目1,2991,600
営業利益25,38224,703

② 経営成績の分析
(売上収益)
当第1四半期連結累計期間における売上収益は132,553百万円となり、前年同期の130,020百万円から2,533百万円(1.9%)増加しました。これは、証券事業にて、前年同期における株式売買手数料収益増加の反動による減収があったものの、クレジットカード事業における『楽天カード』の会員基盤拡大による収益の増加、証券事業における信用取引収益の増加、銀行事業における住宅ローン等利息収益及び銀行口座数の伸長に伴う手数料収益の増加が主な要因です。
(営業利益)
当第1四半期連結累計期間における営業利益は24,703百万円となり、前年同期の25,382百万円から679百万円(△2.7%)減少しました。これは、各セグメントとも業績が好調に推移したものの、証券事業にて、前年同期における株式売買手数料収益増加の反動による減収、及び各セグメントの業容拡大に伴うコストの増加が主な要因です。
(親会社の所有者に帰属する四半期利益)
親会社の所有者に帰属する四半期利益は17,122百万円となり、前年同期の17,777百万円から655百万円(△3.7%)減少しました。
③ 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は14,823,903百万円となり、前連結会計年度末の資産合計13,884,877百万円と比べ、939,026百万円増加しました。これは主に、前連結会計年度末に比べ、銀行事業における現金及び現金同等物の減少、クレジットカード事業の貸付金の減少があったものの、銀行事業における貸付金及び有価証券の増加や、証券事業における顧客の売買取引増加に伴う金融資産の増加によるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債合計は14,540,436百万円となり、前連結会計年度末の負債合計13,352,739百万円と比べ、1,187,697百万円増加しました。これは主に、銀行事業における顧客からの預金の増加及び借入金の増加、証券事業における顧客の売買取引増加に伴う金融負債の増加、手元流動性を高めるための借入金の増加によるものです。
また、当第1四半期連結会計期間末では、2022年4月1日を効力発生日として楽天銀行株式会社の全株式を楽天グループ株式会社に現物配当することに伴い、資本の部からその他の負債へ233,626百万円振り替えています。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記12.後発事象」をご参照ください。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末の資本合計は283,467百万円となり、前連結会計年度末の資本合計532,138百万円と比べ、248,671百万円減少しました。これは主に、四半期利益による利益剰余金の増加があったものの、親会社である楽天グループ株式会社へ配当を行い、減少したことによります。
また、負債で説明しました現物配当による組織再編のため、資本の部からその他の負債へ233,626百万円振り替えています。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記12.後発事象」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ144,501百万円減少し、4,089,394百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、285,227百万円の資金流出(前年同期は163,992百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の預金の増加による資金流入が342,512百万円となった一方で、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が400,720百万円、債券貸借取引支払保証金の増加による資金流出が216,607百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、313,030百万円の資金流出(前年同期は3,677百万円の資金流出)となりました。これは主に、保険事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が16,367百万円(有価証券の取得による資金流出が16,056百万円、売却及び償還による資金流入が32,423百万円)となった一方で、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が315,467百万円(有価証券の取得による資金流出が663,729百万円、売却及び償還による資金流入が348,262百万円)となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、449,463百万円の資金流入(前年同期は14,513百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が39,273百万円、配当金の支払いによる資金流出が30,000百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が423,260百万円、短期借入金の増加による資金流入が96,800百万円となったことによるものです。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当事項はありません。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当第1四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に各セグメントの状況を記載しています。
(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当第1四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結累計期間末現在において判断したものです。以下、セグメント単位で経営成績等の分析・検討内容を記載しています。
(クレジットカード事業)
(単位:百万円)
前年同期
(前第1四半期 連結累計期間)
当期
(当第1四半期 連結累計期間)
増減額増減率
売上収益67,01572,0905,0757.6%
セグメント損益
(Non-GAAP営業利益)
10,66210,7641021.0%

クレジットカード事業セグメントでは、全国的なまん延防止等重点措置の発出、延長等に伴う外出自粛等の影響を受け、オフライン消費へのマイナス影響が見られたものの、カード会員数、ショッピング取扱高を、引き続き堅調に伸ばすことができました。一方、人々の生活様式の変容に伴い、資金需要はコロナ禍以前の水準には依然として戻っていませんが、ショッピングリボルビング残高においては、引き続き前年比で減少したものの、四半期ごとの減少幅は縮小傾向にあります。また、キャッシング残高においては、前年比で徐々に回復傾向が見られています。今後もより一層ユーザーのニーズに合わせたサービスの展開を行い、顧客満足度のさらなる向上を目指していきます。
当第1四半期連結累計期間においては楽天グループ各社のサイト上に当社のバナー広告の展開やテレビCM、Web CMの放送による認知度向上により、会員数は2,597万人(前年同期末比16.0%増)となりました。会員数の伸長及び効果的なキャンペーン活動を継続的に行った結果、主要KPIであるショッピング取扱高は4兆491億70百万円(前年同期比26.2%増)となりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ショッピングリボルビング残高は6,101億56百万円(前年同期末比1.0%減)となりました。一方、キャッシング需要は持ち直しの動きが見られ、キャッシング残高は1,216億36百万円(前年同期末比1.1%増)となりました。
結果として、売上収益は72,090百万円(前年同期比7.6%増)となりました。
また、貸倒関連費用におきましては、引き続き債権回収の効率化を図ったこと等により、前年同期比で減少しています。一方で、会員獲得に係る費用等、業容拡大に伴い費用が増加したため、営業費用は前年同期比で増加しました。
以上の結果から、セグメント損益は10,764百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
(銀行事業)
(単位:百万円)
前年同期
(前第1四半期 連結累計期間)
当期
(当第1四半期 連結累計期間)
増減額増減率
売上収益25,74326,1283851.5%
セグメント損益
(Non-GAAP営業利益)
6,8586,921630.9%

銀行事業セグメントでは、当社との協業施策等の楽天グループ間でのシナジー効果を目指した取り組み等により、銀行口座獲得に注力した結果、主要KPIである銀行口座数が伸長し、1,231万口座(前年同期末比17.0%増)となりました。新しい生活様式が求められる昨今においても、オンラインで完結する銀行サービスとして、マーケティング活動等を通して、同社の魅力を十分に伝えることができた結果であると考えています。また、銀行口座数の伸長に伴い、預金残高は7兆5,417億54百万円(前年同期末比36.1%増)となりました。当第1四半期連結累計期間においては、eKYCを活用した個人向け預金口座の開設申込及びカードローン申込の開始等、サービスの拡充を実施いたしました。それらの結果から、運用資産の積み上げに加えて、手数料収益が順調に伸長した結果、売上収益は26,128百万円(前年同期比1.5%増)となりました。
営業費用は業容拡大により増加していますが、結果としてセグメント損益は6,921百万円(前年同期比0.9%増)となりました。
(証券事業)
(単位:百万円)
前年同期
(前第1四半期 連結累計期間)
当期
(当第1四半期 連結累計期間)
増減額増減率
売上収益23,67323,466△207△0.9%
セグメント損益
(Non-GAAP営業利益)
6,3933,758△2,635△41.2%

証券事業セグメントでは、投信積立で楽天カード決済が可能となるサービスや楽天ポイント等で投資信託や国内株式が購入できるポイント投資サービス等、楽天グループとのシナジー効果を目指した継続的な取り組みに加え、主要ネット証券で初めて(注1)「家族プログラム」の提供の開始や、新規口座開設者を対象とした「米国株式取引手数料無料プログラム」の完全無料化等により、主要KPIである証券総合口座数は768万口座(前年同期末比34.3%増)及び証券預かり資産残高(楽天銀行との口座連携サービスにおいて、自動入出金(スイープ)を設定している顧客の楽天銀行普通預金残高も含む)は16兆3,962億31百万円(前年同期末比40.9%増)となりました。また、投資情報メディア「トウシル」の公式動画チャンネル登録者数が、主要ネット証券が運営する番組で初めて(注2)15万人を突破する等、急激な相場変動やお客様のニーズを捉えた情報の配信に努め、顧客満足度の最大化を図っています。信用取引は好調である一方、前期が金融市場のボラティリティの上昇により非常に好調であったこと等により、当第1四半期連結累計期間の売上収益は23,466百万円(前年同期比0.9%減)となりました。営業費用は楽天カード決済投信積立の増加や販売促進費の増加等により、引き続き増加しており、結果としてセグメント損益は3,758百万円(前年同期比41.2%減)となりました。
(注1)2022年2月1日時点 楽天証券調べ
(注2)2022年3月23日時点 楽天証券調べ
(保険事業)
(単位:百万円)
前年同期
(前第1四半期 連結累計期間)
当期
(当第1四半期 連結累計期間)
増減額増減率
売上収益24,92923,078△1,851△7.4%
セグメント損益
(Non-GAAP営業利益)
1,9322,17724512.7%

保険事業セグメントでは、楽天保険の総合窓口の開設により、楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険が提供する保険商品のお客様窓口を一本化し、ご契約者様のお手続きをワンストップで受けることができるようにすることで、お客様にとって利便性の高い保険サービスを提供しています。また、楽天グループ間でのシナジー最大化を図るとともに保険募集経費の削減効果等をお客様に還元すべく、楽天IDを使ったインターネット経由での楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険の対象商品のご加入者様に、保険料支払い額の1%分の楽天ポイントを還元するサービスは開始以来好評いただいており、オンラインでの申込数が大きく伸長しています。これらの取組等により、保険事業セグメントの主要KPIである楽天生命保険の保有契約件数(共済事業及び1年定期ガン保険の契約を除く)は、49.2万件(前年同期末比4.8%増)となりました。また、注力している楽天損害保険のインターネット申込保険の新規契約件数は3.3万件(前年同期比5.5%増)となりました。
保険事業セグメントでは、お客様にとって利便性の高い保険サービスの提供及び、楽天グループ間でのシナジーの最大化を目指す取り組み等を行っています。楽天生命保険においては、AIを活用した保険引受業務を開始し、申込手続きのスピードアップによる顧客満足度の向上、及び査定基準の見直しを随時行うことで医務査定の精緻化を図っています。また、楽天損害保険においては、ご家族と契約内容を共有したいお客様にも安心して保険を継続いただくための「ご家族登録制度」の開始や、AI-OCR活用による自動車保険見積りサービスの開始による、簡単かつ迅速な見積り作成の実現等、サービス向上に努めています。さらに、3月には楽天グループとの連携により、ドローンを用いた建物屋根部損害調査において5Gを活用したリアルタイム鑑定の実証実験を行う等、グループ間のシナジーを高め、お客様にとってより良いサービスの提供に努めています。結果として、売上収益は不採算契約の見直し等により23,078百万円(前年同期比7.4%減)となりましたが、セグメント損益は2,177百万円(前年同期比12.7%増)となりました。
以上により、当社グループのNon-GAAP営業利益は23,620百万円(前年同期比8.6%減)となりました。
今後の施策として、引き続きキャッシュレス決済の社会全体への浸透を追い風として、クレジットカード事業を中心に、新規会員の獲得及びクレジットカード利用促進に向けた効果的かつ効率的なマーケティング戦略を行い、中期的な戦略として掲げている「トリプル3」(カード発行枚数「3,000万枚」、ショッピング取扱高「30兆円」、取扱高シェア「30%」)の達成に向けた取り組みを実施していきます。また、当社グループの顧客基盤を最大限に活用し、各社間でのクロスユースを促進することで、当社グループ内でのシナジーを更に発揮してまいります。なお、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢により景気の見通しが先行き不透明ではありますが、資産の健全性、財務の安定性を維持しつつ、各事業のKPI、売上収益、Non-GAAP営業利益への影響を注視していきます。
(3)経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢により景気の見通しが不透明ではありますが、当社グループにおいては、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題について、引き続き注視していきます。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(6)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動はありません。