有価証券報告書-第23期(2022/01/01-2022/12/31)

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2023/03/30 15:01
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146項目
当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日)における当社グループの経営成績等の状況については以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)経営成績等の状況
当社グループでは、売上収益、Non-GAAP営業利益を経営成績評価上の重要な指標としています。当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、当期より、「銀行事業」及び「証券事業」を非継続事業に分類しています。これにより、売上収益、営業費用、営業利益、税引前当期利益及び法人所得税費用は非継続事業を除いた継続事業の金額で表示しており、前連結会計年度を組替再表示しています。詳細は、「第5 経理の状況、連結財務諸表注記 注記46.非継続事業」をご参照ください。
① 当期の経営成績
当連結会計年度における国内経済は、第1四半期においては、新型コロナウイルス感染症の流行によるまん延防止等重点措置が一部の都道府県において適用され、飲食店の時短営業等により、外食産業等を中心に影響を受けました。一方で、第2四半期以降、オミクロン株対応ワクチンの接種の普及、小児接種の拡大、治療薬の流通等により、ウィズコロナが浸透した結果、景気は徐々に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢や世界的なインフレに端を発する急激な金融市場・為替相場の変動、原材料価格の上昇と相まって、物価高騰等の不確実性は高まっていますので、引き続き注視していきます。
このような環境の中、当社グループは以下のように成長を果たすことができました。なお、セグメントごとの分析は「(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しています。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
増減額増減率
売上収益375,096388,59313,4973.6%
Non-GAAP営業利益47,48352,6375,15410.9%

Non-GAAP営業利益から営業利益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
Non-GAAP営業利益47,48352,637
エコシステムマーケティング費用13,15515,084
ブランドロイヤリティ△4,090△4,338
無形資産償却費△3,208△1,790
株式報酬費用△587△666
その他の調整項目△186△524
営業利益52,56760,403


② 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度における売上収益は388,593百万円となり、前連結会計年度の375,096百万円から13,497百万円(3.6%)増加しました。これは、クレジットカード事業における『楽天カード』の会員基盤拡大による収益の増加が主な要因です。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は328,596百万円となり、前連結会計年度の322,588百万円から6,008百万円(1.9%)増加しました。これは、クレジットカード事業における業容の拡大による費用の増加等が主な要因です。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は60,403百万円となり、前連結会計年度の52,567百万円から7,836百万円(14.9%)増加しました。これは、クレジットカード事業・保険事業の業績が好調に推移したことが主な要因です。
(税引前当期利益)
当連結会計年度における税引前当期利益は60,268百万円となり、前連結会計年度の52,509百万円から7,759百万円(14.8%)増加しました。これは、営業利益で説明した要因等により利益が増加したためです。
(法人所得税費用)
当連結会計年度における法人所得税費用は19,324百万円となり、前連結会計年度の15,899百万円から3,425百万円(21.5%)増加しました。
(当期利益)
非継続事業を含めた当期利益は53,758百万円となり、前連結会計年度の66,299百万円から12,541百万円(18.9%)減少しました。これは、楽天銀行株式会社及びその子会社、楽天証券株式会社及びその子会社並びに楽天投信投資顧問株式会社が連結子会社から除外されたことが主な要因です。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は54,007百万円となり、前連結会計年度の67,205百万円から13,198百万円(19.6%)減少しました。これは、当期利益で説明した要因等により利益が減少したためです。
③ 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は4,130,759百万円となり、前連結会計年度末の資産合計13,884,877百万円と比べ、9,754,118百万円減少しました。これは主に、楽天銀行株式会社及びその子会社が当社の連結子会社から除外されたことにより、銀行事業における現金及び現金同等物、銀行事業の有価証券及び銀行事業の貸付金が減少したこと、また楽天証券株式会社及びその子会社並びに楽天投信投資顧問株式会社が当社の連結子会社から除外されたことにより、証券事業における現金及び現金同等物、証券事業の金融資産が減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は3,979,823百万円となり、前連結会計年度末の負債合計13,352,739百万円と比べ、9,372,916百万円減少しました。これは主に、楽天銀行株式会社及びその子会社が当社の連結子会社から除外されたことにより、銀行事業の預金が減少したこと、また楽天証券株式会社及びその子会社並びに楽天投信投資顧問株式会社が当社の連結子会社から除外されたことにより、証券事業の金融負債が減少したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は150,936百万円となり、前連結会計年度末の資本合計532,138百万円と比べ、381,202百万円減少しました。これは主に、親会社である楽天グループ株式会社へ配当を行ったことに加え、同社へ楽天銀行株式会社、楽天証券株式会社及び楽天投信投資顧問株式会社の全株式の現物配当を実施したことにより、楽天銀行株式会社及びその子会社、楽天証券株式会社及びその子会社並びに楽天投信投資顧問株式会社が当社の連結子会社から除外されたためです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,579,551百万円減少し、654,344百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、637,080百万円の資金流出(前連結会計年度は983,062百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の預金の増加による資金流入が342,512百万円となった一方で、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が400,720百万円、カード事業の貸付金の増加による資金流出が387,316百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,129,960百万円の資金流出(前連結会計年度は231,504百万円の資金流出)となりました。これは主に、子会社の支配喪失による資金流出が3,796,539百万円、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が315,467百万円(有価証券の取得による資金流出が663,729百万円、売却及び償還による資金流入が348,262百万円)となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,169,149百万円の資金流入(前連結会計年度は589,720百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が412,798百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が797,542百万円、短期借入金の増加による資金流入が759,153百万円となったことによるものです。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当事項はありません。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に各セグメントの状況を記載しています。
(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
前連結会計年度における報告セグメントは「クレジットカード事業」「銀行事業」「証券事業」「保険事業」の4つでしたが、楽天銀行株式会社、楽天証券株式会社及び楽天投信投資顧問株式会社の全株式を当社の親会社である楽天グループ株式会社に現物配当したことにより、当連結会計年度より、「クレジットカード事業」「保険事業」の2つの報告セグメントに変更しました。
以下、セグメント単位で経営成績等の分析・検討内容を記載しています。
(クレジットカード事業)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
増減額増減率
売上収益281,432296,93615,5045.5%
セグメント損益
(Non-GAAP営業利益)
38,40942,6164,20711.0%

クレジットカード事業セグメントでは、第1四半期においては、一部の都道府県におけるまん延防止等重点措置の適用により、外食産業を中心に消費需要の減退の影響は受けたものの、第2四半期以降は各種規制の緩和を背景に、経済の緩やかな回復の下、引き続きカード発行枚数とショッピング取扱高を伸ばすことができました。
楽天グループ各社のサイト上に当社のバナー広告の展開やテレビCM、Web CMの放送、新たなメディア等を活用した認知度の向上、「楽天カード 西友デザイン」の発行等により、カード発行枚数は2,808万枚 (前年同期末比11.9%増)と、2,800万枚を突破しました。またカード発行枚数の伸長及び効果的なキャンペーン活動を継続的に行った結果、主要KPIであるショッピング取扱高は18兆1,745億69百万円(前年同期比25.8%増)となりました。またウィズコロナの下で資金需要も回復傾向にあり、ショッピングリボルビング残高は6,201億85百万円(前年同期末比1.3%増)、キャッシング残高は1,288億59百万円(前年同期末比8.0%増)となりました。
結果として、当連結会計年度において、売上収益は296,936百万円(前年同期比5.5%増)となりました。
また、業容拡大に伴い費用は増加しましたが、引き続き債権回収の効率化を図ったことにより、貸倒関連費用は前年同期比で減少しました。
以上の結果から、セグメント損益は42,616百万円(前年同期比11.0%増)となりました。
(保険事業)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
増減額増減率
売上収益97,27395,574△1,699△1.7%
セグメント損益
(Non-GAAP営業利益)
9,07410,02194710.4%

保険事業セグメントでは、「楽天保険の総合窓口」の開設により、楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険の提供する保険商品のお客様窓口を一本化し、ご契約者様のお手続きをワンストップで受けることができるようにすることで、お客様にとって利便性の高い保険サービスを提供しています。また、楽天グループ間でのシナジー最大化を図るとともに保険募集経費の削減効果等をお客様に還元すべく、楽天IDを使ったインターネット経由での楽天生命保険、楽天損害保険、楽天ペット保険の対象商品のご加入者様に、楽天ポイントを還元するサービスは開始以来好評いただいています。
各社における取り組みとして、楽天生命保険においては、家族信託組成サービスの提供や、入院一時金特約の販売を開始しました。これらの取組等により、主要KPIの一つである楽天生命保険の保有契約件数(共済事業及び1年定期ガン保険の契約を除く)は、50.1万件(前年同期末比3.4%増)となる等、順調に業績を進展させています。また、団体保険については、金融機関との団体信用生命保険の新規取引を拡大したことで、保険料収入が大きく伸展しています。
楽天損害保険においては、インターネット経由の新規契約件数が、前年同期との販促活動の時期・内容等の差異により、16.5万件(前年同期比0.9%減)となりましたが、楽天少額短期保険からのペット保険事業の承継や、商品サービスを拡充させるとともに、保険引受の適正化を進め損害率が順調に改善しています。また、2022年10月から全国に拡大した全国旅行支援を契機に国内旅行傷害保険商品であるトラベルアシストが順調に契約数を伸ばしています。
以上の結果から、売上収益は95,574百万円(前年同期比1.7%減)、セグメント損益は10,021百万円(前年同期比10.4%増)となりました。
以上により、当連結会計年度においては、当社グループのNon-GAAP営業利益は52,637百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
今後の施策として、クレジットカード事業においては、引き続きキャッシュレス決済の社会全体への浸透を追い風として、新規会員の獲得及びクレジットカード利用促進に向けた効果的かつ効率的なマーケティング戦略を行い、中期的な戦略として掲げた「トリプル3」(カード発行枚数「3,000万枚」、ショッピング取扱高「30兆円」、取扱高シェア「30%」)の達成を目指します。また、当社グループの顧客基盤を最大限に活用し、各社間でのクロスユースを促進することで、当社グループ間でのシナジーを更に発揮していきます。一方で、新型コロナウイルスの感染状況や金利上昇等のマクロ環境の変化によるユーザー動向については注視する必要があり、資産の健全性、財務の安定性を維持しつつ、各事業のKPI、売上収益、Non-GAAP営業利益への影響を注意深く見ていきます。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、グループ全体における持続的成長の実現を可能とするために、安定的かつ多様な資金調達手段の確保を行うこと、また、各社の高い財務健全性を維持するために、十分な流動性を確保することが重要だと認識しており、低利かつ安定的な調達を行い、十分な流動性の確保に努めています。
なお、当社の信用格付け(2023年3月16日時点)は、JCRから、発行体格付け「A(シングルA)」を取得しています。また、R&Iからは発行体格付け「BBB+(トリプルBプラス)」を取得しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計上の見積り及び判断(1)重要な会計上の見積り及び仮定」に記載しています。