有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/25 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
148項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は、以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第19期連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、企業業績や雇用情勢に改善が見られ、景気は緩やかな回復基調で推移
いたしました。当社を取り巻く音楽市場の事業環境は、一般社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽
ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額が前年比103.6%(2018年1月~12月)と3年ぶりに増加し、また、有料音楽
配信売上実績では、前年比112.5%と5年連続で増加(2018年1月~12月)いたしました。
このような情勢において、当社グループは、「権利者に選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者とな
る。」という経営理念の下、営業活動の強化による新規取引先の獲得、既存取引先における取引範囲拡大による取
引金額の増加、著作権等管理事業のシステム化促進による業務の効率化・安定化に取り組んでまいりました。
また、当社が展開する「著作権管理業務」「デジタルコンテンツディストリビューション業務」「キャスティング
事業」の各部門間での情報共有・営業連携を加速させ、経営統合のシナジー効果を発揮することにより、持続的な
成長を目指してまいりました。
その結果、取扱高は7,443,095千円(前年度比132.8%)と過去最高を記録し、売上高は3,239,801千円(前年度比
138.9%)、営業利益は182,449千円(前年度比186.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は129,593千円(前年
度比211.5%)と大幅な増収増益となりました。
セグメント別の実績は以下のとおりであります。
a. 著作権等管理事業
当連結会計年度において、当社は59権利者との管理委託契約を締結いたしました。また、既存権利者からの作品
登録も順調に進み、録音権徴収額は前年度比120.9%となりました。インタラクティブ配信徴収額においては、サブ
スクリプション型音楽配信サービスの定着化や動画投稿サービスにおける作品特定精度の向上等が寄与し前年度比
133.8%、放送・有線放送においては、作品の増加と過去利用分の使用料精算等により前年度比172.9%の大幅増収
となりました。その結果、著作権徴収額全体で前年度比128.5%の過去最高徴収額を記録し7期連続の増収となりま
した。また、15権利者においては、他管理事業者からの過去作品(1,100作品)の移管を実施いたしました。これら
の作品は、2019年4月より新たに当社で管理する、または、管理範囲を拡大するものであります。
2019年3月期2020年3月期 第3四半期
管理作品数(曲)132,297158,720
期中新規作品数(曲)25,41026,423
委託契約数(件)1,6091,639

デジタルコンテンツディストリビューション業務につきましては、音楽配信サービス事業者と連携したプロモー
ション施策の実施やストリーミング市場の伸長、中国における音楽配信サービスへの音源提供などが奏功し、原盤
配信売上高は前年度比140.3%となりました。
これらの結果、売上高は2,598,923千円(前年同期比141.8%)、セグメント利益は505,389千円(前年同期比
153.3%)となりました。
b. キャスティング事業
主軸であるライブビューイング事業において、大型コンテンツの集客が好調であり、また、新規コンテンツの獲
得も進んだことによって、大幅増収となりました。また、新規事業関連においても、協賛・配信企画に関する新規
案件の獲得が伸長したことによって、大幅増収となりました。
これらの結果、売上高は487,751千円(前年同期比148.4%)、セグメント利益は71,619千円(前年同期比
196.8%)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比べ493,005千円増加し、2,594,256千円となりまし
た。これは主に、現金及び預金が428,607千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比べ2,745千円減少し、541,590千円となりました。
これは主に建物及び附属設備の増加673千円、工具、器具及び備品の増加7,741千円、ソフトウェアの増加6,673千
円、のれんの減少16,113千円及び繰延税金資産の減少5,866千円によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比べ300,005千円増加し、1,629,578千円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加221,887千円、未払金の増加209,569千円、前受金の減少155,451千円によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比べ55,891千円増加し、162,635千円となりました。
これは主に役員退職慰労引当金の増加54,078千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ134,362千円増加し、1,343,632千円となりまし
た。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益129,593千円となったことによるものであります。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、一部弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなか
で各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。当社を取り巻く音楽市場の事業環境は、一般
社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額が前年同期比96%
(2019年1月~11月)と減少いたしましたが、有料音楽配信売上実績では、前年同期比109%(2019年1月~9月)と
増加いたしました。
このような事業環境のもと、当社グループにおいては、キャスティング事業における大型案件の増加や、著作権
等管理事業における新規権利者、新規コンテンツ獲得の強化を進めたこと、また、動画投稿型配信サービスを含め
たストリーミング配信市場拡大の影響等が奏功し、著作権料徴収額及びデジタルコンテンツディストリビューショ
ン業務、キャスティング事業の売上高が伸長いたしました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績としましては、売上高3,181,089千円、営業利益252,974千円、経常利益251,720千円、親会社株主に帰属する四半期純利益177,927千円となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.著作権等管理事業
当第3四半期連結累計期間における著作権料の徴収額の増加及びデジタルコンテンツディストリビューション業務
の売上が増加したこと等により、売上高は2,713,211千円、営業利益は505,696千円となりました。
b. キャスティング事業
主軸であるライブビューイング事業における大型案件の実施等により、売上高は388,107千円、営業利益は44,444
千円となりました。
財政状態は次のとおりであります。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて474,322千円増加し、3,610,169千円と
なりました。これは主に、受取手形及び売掛金が189,329千円減少いたしましたが、現金及び預金が592,649千円、固定資産のその他に含まれるソフトウエア仮勘定が33,192千円増加したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べて297,193千円増加し、2,089,407千円と
なりました。これは主に未払金が265,552千円増加したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べて177,128千円増加し、1,520,761千円
となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益が177,927千円となったことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
第19期連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して428,607千円増加し、2,031,254千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその原因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、530,255千円(前連結会計年度は295,301千円)となりました。これは主に、売上債権の増加額193,302千円、前受金の減少額155,451千円により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益188,667千円が計上されたことに加え、仕入債務の増加額221,887千円、前渡金の減少額123,673千円及び未払金の増加額210,965千円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△86,912千円(前連結会計年度は△157,140千円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出19,636千円、無形固定資産の取得による支出69,651千円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△15,000千円(前連結会計年度は321,000千円)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出15,000千円により資金が減少したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略し
ております。
b. 受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略し
ております。
c. 販売実績
第19期連結会計年度及び第20期第3四半期連結累計期間における販売(売上)実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第19期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第20期第3四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
著作権等管理事業2,598,923141.82,713,211
キャスティング事業487,751148.4388,107
その他事業153,12690.179,770
合計3,239,801138.93,181,089

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第20期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第18期連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第19期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第20期第3四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
iTunes株式会社525,09722.5%735,25922.7%730,43023.0%
Google株式会社128,5885.5%226,3537.0%397,71612.5%
株式会社ティ・ジョイ245,35010.5%266,5368.2%316,56810.0%

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる場合があります。
② 経営成績及び財政状態の分析
経営成績及び財政状態の分析内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの財務政策は、安定的な運用を行うことを基本方針としております。
運転資金及び将来の事業拡大を目的にした投資資金の財源につきまして、自己資金を財源としております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」の記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載のとおり認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場ニーズや内部環境及び外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に実施し、現在及び将来における内部環境及び外部環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。