有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/10/19 15:00
【資料】
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【項目】
141項目
(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態の状況
第10期連結会計年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
(資産)
当連結会計年度末の総資産は1,242,457千円となり、前連結会計年度末と比べて30,045千円の増加となりました。流動資産は910,308千円となり前連結会計年度末と比べて19,195千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加30,166千円、受取手形及び売掛金の増加11,961千円、商品の減少28,949千円によるものであります。固定資産は329,223千円となり、前連結会計年度末と比べて12,291千円の増加となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定の増加33,590千円、のれんの減少14,151千円、有形固定資産の減少7,192千円によるものであります。なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(負債)
流動負債は717,536千円となり前連結会計年度末と比べて92,817千円の増加となりました。これは主に、短期借入金の増加100,000千円によるものであります。固定負債は210,367千円となり、前連結会計年度末と比べて141,936千円の減少となりました。これは、長期借入金の減少57,936千円、社債の減少84,000千円によるものであります。
(純資産)
純資産は314,554千円となり前連結会計年度末と比べて79,164千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益60,459千円の計上による利益剰余金の増加及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ9,460千円増加したことによるものであります。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年8月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は1,192,933千円となり、前連結会計年度末と比べて49,524千円の減少となりました。流動資産は865,293千円となり、前連結会計年度末と比べて45,015千円の減少となりました。これは主に現金及び預金の減少46,450千円によるものであります。固定資産は325,919千円となり、前連結会計年度末と比べて3,304千円の減少となりました。これは主にソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の増加22,993千円、のれんの減少10,613千円、投資その他の資産の減少14,699千円によるものであります。
(負債)
流動負債は590,736千円となり、前連結会計年度末と比べて126,800千円の減少となりました。これは主に短期借入金の増加20,000千円、1年内返済予定の長期借入金の減少9,831千円、賞与引当金の増加32,264千円、未払費用の減少99,271千円、未払法人税等の減少34,183千円によるものであります。固定負債は250,398千円となり、前連結会計年度末と比べて40,031千円の増加となりました。これは長期借入金の増加42,031千円、社債の減少2,000千円によるものであります。
(純資産)
純資産は351,798千円となり、前連結会計年度末と比べて37,243千円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益45,834千円の計上及び配当金の支払いによる利益剰余金の減少8,708千円によるものであります。
② 経営成績の状況
第10期連結会計年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調が継続した一方、消費税引き上げ後の個人消費等の動向のほか、各国の政策動向や貿易摩擦の激化、海外経済・環境の悪化懸念により、依然として先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、AI、IoT、RPA、ブロックチェーンなどの新たな技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しており、あらゆる産業において、企業の競争力強化、業務プロセスの再構築、ビジネスモデルの変革に向けたIT需要は拡大していくことが見込まれております。
このような環境の下、当社グループは、2026年を最終年度とする「継続的な成長を見据えた中長期経営計画」の達成に向け、グループ内組織再編による営業力強化、重点顧客との取引拡大及び、技術者不足解消に向けたパートナー企業との連携強化に努めてまいりました。
システムインテグレーションサービスにおいては、既存顧客を中心に安定的な受注確保に努め、公共向けシステム開発、運用・インフラ分野での受注が堅調に推移しましたが、一部で不採算案件が発生したことにより、売上高は3,470,770千円(前期比98.1%)となりました。ソリューションサービスにおいては、CADソリューションサービスにおける消費税増税及びWindows7のサポート終了に伴うDynaCAD製品の買い替え需要や自治体向け公共建物・設備の維持保全システムの販売増加、認証ソリューションサービスにおける顔認証を利用したセキュリティシステムの需要拡大に伴う入退室管理・勤怠管理システムの導入案件の増加、デジタルマーケティングサービスにおける企業向けWisebook専用サーバの受注増加や新たな業務提携企業とのレベニューシェアによるサービス開始などにより、売上高は374,416千円(前期比129.3%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,845,187千円(前期比100.5%)、営業利益は120,268千円(前期比103.9%)、経常利益は113,128千円(前期比101.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は60,459千円(前期比103.6%)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年8月31日)
当第3四半期連結累計期間(2019年12月1日から2020年8月31日)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続いていたものの、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛やインバウンド需要の減少などにより、経済活動が大幅に停滞し、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、AI、IoT、RPA、ブロックチェーンなどの新たな技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しており、あらゆる産業において、企業の競争力強化、業務プロセスの再構築、ビジネスモデルの変革に向けたIT需要は拡大していくことが見込まれております。
このような環境の下、当社グループは、重点顧客との取引拡大及び、技術者不足解消に向けたパートナー企業との連携強化に努め、新技術を利用した開発案件の積極的な受注と、デジタルマーケティングサービスにおけるストックビジネスの拡大に注力するとともに、人材育成・プロジェクトマネジメント力の向上に取り組みました。
システムインテグレーションサービスにおいては、既存顧客を中心とした受注が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により開発案件の延期又は中断などが発生したことにより、売上高は2,561,442千円となりました。ソリューションサービスにおいては、認証ソリューションサービス及びデジタルマーケティングサービスの案件では新型コロナウイルス感染症の影響による延期等により受注が先送りとなったものの、DynaCAD製品及び図面電子化サービスの受注拡大により、売上高は276,015千円となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高2,837,458千円、営業利益77,192千円、経常利益74,119千円、親会社株主に帰属する四半期純利益45,834千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第10期連結会計年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、240,592千円となり、前連結会計年度末と比べて30,165千円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は198,441千円(前連結会計年度は198,186千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額102,667千円、減価償却費の計上額44,414千円、のれん償却額14,150千円による資金増加と、法人税等の支払額57,188千円の資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は66,247千円(前連結会計年度は108,823千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額6,433千円、無形固定資産の取得による支出額56,536千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は102,028千円(前連結会計年度は25,760千円の使用)となりました。これは、短期借入金の純増加額100,000千円、長期借入金の返済による支出104,948千円、社債の償還による支出116,000千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、当該事項はありません。
b.受注状況
当社グループの事業は、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
c.販売実績
第10期連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。
サービス区分第10期連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
第11期第3四半期連結累計期間
(自 2019年12月1日
至 2020年8月31日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
システムインテグレーションサービス3,470,77098.12,561,442
ソリューションサービス374,416129.3276,015
合計3,845,187100.52,837,458

(注)1.当社グループは、情報サービス事業の単一セグメントであるため、サービス区分別の実績を記載しております。
2.サービス間の取引については、相殺消去しております。
3.最近2連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第9期連結会計年度
(自 2017年12月1日
至 2018年11月30日)
第10期連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
第11期第3四半期
連結累計期間
(自 2019年12月1日
至 2020年8月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社日立社会情報サービス451,38211.8568,86614.8396,20814.0
富士通株式会社325,1878.5434,08711.3394,22613.9
株式会社NTTデータ・アイ331,5768.7414,55010.8332,71111.7

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況について連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表作成のための重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第10期連結会計年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上高は3,845,187千円(前期比100.5%)となり、売上総利益は812,579千円(前期比105.2%)となりました。主力のシステムインテグレーションサービスにおいては一部不採算案件が発生したことにより減収となりましたが、ソリューションサービスにおけるデジタルマーケティングサービスの売上が拡大したことにより増収増益となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
積極的な展示会等への出展、販路拡大に係る広告宣伝費の増加、内部管理体制強化に伴う上場準備関連費用の増加により、販売費及び一般管理費は692,310千円(前期比105.4%)となり、営業利益は120,268千円(前期比103.9%)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、受取利息及び配当金、助成金収入等の計上により、4,753千円(前期比91.8%)となりました。また、営業外費用は、支払利息、支払手数料等の計上により、11,893千円(前期比133.1%)となりました。この結果、経常利益は113,128千円(前期比101.0%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において法人税、住民税及び事業税は57,021千円、法人税等調整額は△14,813千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は60,459千円(前期比103.6%)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年8月31日)
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上高は2,561,442千円となり、売上総利益は631,306千円となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により、開発案件の延期又は中断や受注の先送りが発生したものの、CADソリューションサービスにおけるDynaCAD製品及び図面電子化サービスの受注が拡大いたしました。また、主にシステムインテグレーションサービスにおいて、外注費の圧縮及びエンジニアの単価アップ等により、利益率が向上いたしました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
管理体制強化に伴う間接人員の増加により、販売費及び一般管理費は554,114千円となり、営業利益は77,192千円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、受取利息及び配当金、助成金収入等の計上により、1,326千円となりました。また、営業外費用は、支払利息、社債発行費償却等の計上により、4,399千円となりました。この結果、経常利益は74,119千円となりました。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間において法人税、住民税及び事業税は14,331千円、法人税等調整額は13,953千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は45,834千円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等支払いを目的とした運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当しておりますが、資金調達が必要な場合には、案件の都度、金融機関からの借入又は新株発行による資金調達の検討を行っております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループの売上高の約90%はシステムインテグレーションサービスとなっております。システムインテグレーションにおいては、基準生産性を基にした工数管理が一般的な指標であることから、人月工数と売上金額を重要な指標として位置付けております。第10期連結会計年度における上記指標は、人月工数の年間合計は5,290工数(前期比97.2%)であり、その結果、売上高は3,470,770千円(前期比98.1%)となりました。
これらの指標につきましては、引き続き改善できるよう努めてまいります。