有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/13 15:00
【資料】
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【項目】
135項目
(1) 経営成績等の状況
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
第13期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(流動資産)
当事業年度末における流動資産合計は、前事業年度末に比べ159,733千円増加し、322,665千円となりました。これは主として、第三者割当増資により現金及び預金が134,377千円増加したことによるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産合計は、前事業年度末に比べ17,228千円増加し、30,301千円となりました。これは主として、オフィス移転に伴う内装工事などの有形固定資産が9,812千円、及び新オフィスを賃貸借契約したことによる差入保証金が6,793千円それぞれ増加したことによるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債合計は、前事業年度末に比べ40,845千円増加し、84,666千円となりました。これは主として、業務委託スタッフの増加に伴う外注費及びサーバー等の開発環境の整備に伴う通信費の増加により未払費用が22,402千円、売上の増加により未払消費税等が12,408千円それぞれ増加したことによるものです。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債合計は、前事業年度末に比べ17,860千円増加し、23,486千円となりました。これは、手許運転資金の確保を目的として取引金融機関より借入を行ったことにより長期借入金が17,860千円増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ118,255千円増加し、244,815千円となりました。これは、第三者割当増資により資本金及び資本準備金が各70,004千円増加した一方で、当期純損失の計上により利益剰余金が21,753千円減少したことによるものです。
第14期第2四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
(流動資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産合計は、前事業年度末に比べて429,982千円増加し、752,647千円となりました。これは主に、第三者割当増資等により現金及び預金が397,489千円増加したこと、及び営業活動に関わる収入の増加により売掛金が40,246千円増加したことによるものです。
(固定資産)
当第2四半期会計期間末における固定資産合計は、前事業年度末に比べて862千円減少し、29,439千円となりました。これは主に、取引金融機関への借入金返済に際し融資保証料が返戻されたことにより長期前払費用が752千円減少したことによるものです。
(流動負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債合計は、前事業年度末に比べて11,975千円増加し、96,641千円となりました。これは主に、取引金融機関への借入返済を行ったことにより1年内返済予定の長期借入金が8,572千円減少した一方、業務委託スタッフの増加に伴う外注費及びサーバー等の開発環境の整備を引き続き行ったことによる通信費の増加に伴う未払費用の増加13,169千円及び営業黒字に転じたことによる未払法人税等の増加5,972千円によるものです。
(固定負債)
当第2四半期会計期間末における固定負債合計は、取引金融機関への借入金の全額を返済したことにより、長期借入金残高が無くなり、前事業年度末に比べて23,486千円減少しました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べて440,630千円増加し、685,445千円となりました。これは主に、四半期純利益40,027千円を計上したことに加え、及び第三者割当増資等により資本金及び資本準備金がそれぞれ200,301千円増加したことによるものです。
② 経営成績の状況
第13期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益の回復や、雇用・所得環境の改善が続いたことを背景に、引き続き緩やかな回復基調で推移いたしました。
しかしながら、米中貿易摩擦による世界経済の減速懸念、英国のEU離脱による欧州経済の停滞リスク、2019年10月の消費増税の影響、さらには新型コロナウイルス感染症の急速な世界的蔓延により、景気後退の局面にあるものと思われます。
このような経済環境下において、当社は「中小企業にテクノロジーを届けよう。」というビジョンのもと、中小企業における労働生産性の向上、経営課題解決に向けたソリューションを提供するべく、当社が提供する中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」の推進に尽力して参りました。
新規導入金融機関獲得に向けた営業活動の強化、金融機関と連携した中小企業会員向けの営業活動の強化、既存サービスのさらなる機能強化に努めた結果、当事業年度における導入金融機関数は24社となりました。またその顧客である中小企業会員数においても順調に増加し、当事業年度において新規企業会員数は10,368社増加いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は413,671千円(前事業年度比123.3%増)となり、営業損失は21,240千円(前事業年度は98,502千円の営業損失)、経常損失は21,462千円(前事業年度は98,664千円の経常損失)、当期純損失は21,753千円(前事業年度は98,954千円の当期純損失)となりました。
なお、当社はビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第14期第2四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な経済活動の停滞が続く中、緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に再開したことによって回復の兆しは見られるものの、感染拡大は未だ終息せず先行きは不透明な状態が継続しております。
そのような状況下、当社は、中小企業向けの経営支援プラットフォーム「Big Advance」を提供し、日本全国の地域金融機関と連携し、各金融機関の取引先の中小企業に対して、課題解決や成長支援につながるソリューションを提供しております。
また、当社では金融機関が保有する、取引先に関する各種ビッグデータや、中小企業のソリューション活用の活動ログデータを元にしたAI(人工知能)の研究を行っており、各AIをAPIで利用可能にしたAIモジュール「FAI」を開発しております。
当社が提供する経営支援プラットフォーム「Big Advance」は、新型コロナウイルス感染症の影響により、金融機関と取引先である中小企業との対面機会が減少している状況においてもチャットでのコミュニケーションやオンラインでのビジネスマッチングの提供が可能であること等から、導入する金融機関数及びその顧客である中小企業の会員企業数は順調に増加しております。
以上の結果、当第2四半期累計期間の売上高は388,172千円となり、営業利益は46,377千円、経常利益は46,351千円、四半期純利益は40,027千円となりました。
なお、当社はビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第13期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度と比べて134,377千円増加し、249,730千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、12,059千円(前事業年度比86.3%減)となりました。これは主に、税引前当期純損失21,462千円を計上したこと、「Big Advance」導入金融機関数の増加に伴い売掛債権の増加額が24,930千円となった一方で、人件費及び業務委託スタッフの増加に伴う外注費の増加による未払費用の増加額が22,402千円となったこと、課税売上の増加により未払消費税等の増加額が12,408千円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、15,817千円(前事業年度比22.4%増)となりました。これは主に、オフィス移転に伴う内装工事などの有形固定資産の取得による支出15,745千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、162,254千円(前事業年度比545.3%増)となりました。これは主に、第三者割当増資により生じた株式の発行による収入140,009千円、及び取引金融機関からの長期借入による収入30,000千円によるものです。
第14期第2四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度に比べて397,489千円増加し、647,220千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、32,228千円となりました。これは主に、「Big Advance」の新規導入金融機関及び会員企業数の増加により売上債権が40,246千円増加した一方で、税引前四半期純利益46,351千円を計上したこと、未納品案件の減少に伴う仕掛品計上額の減少により棚卸資産の減少額が3,276千円となったこと、サーバー等の通信費及び業務委託スタッフの増加に伴い外注費が増加したことによる未払費用の増加額が13,169千円となったこと、課税売上の増加により未払消費税等の増加額が1,452千円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3,284千円となりました。これは主に、従業員の増加により業務及び開発用のパソコンの購入したことなどの有形固定資産の取得による支出3,992千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、368,544千円となりました。これは主に、取引金融機関への長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の返済による支出32,058千円があった一方、第三者割当増資により生じた株式の発行による収入400,152千円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
当社事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c 販売実績
第13期事業年度及び第14期第2四半期累計期間における販売実績を示すと、次のとおりであります。なお当社はビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称第13期事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第14期第2四半期累計期間(自 2020年4月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
ビジネスプラットフォーム事業413,671223.3388,172

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
当社の財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析・検討内容
前項「(1)経営成績等の状況 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
b 経営成績の分析・検討内容
第13期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(売上高)
売上高は、既存サービスの機能強化及び新規顧客の開拓などに努めたことにより、当社が提供する中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」は、2020年3月末における導入金融機関数26社(前年同期比24社増加)、その顧客である中小企業の会員登録がなされた会員企業数12,792社(前年同期比427.7%増)、解約率1.74%(2019年4月~2020年3月の平均)と目標とする2%以内に収まっており、順調に拡大した結果、413,671千円(前事業年度比123.3%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は191,000千円(前事業年度比34.2%増)、売上総利益は222,671千円(前事業年度比418.6%増)となりました。主な要因は、中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」の売上増加に伴う、システム開発等を委託するための外注費の増加によるものであります。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は243,911千円(前事業年度比72.5%増)、営業損失は21,240千円(前事業年度は98,502千円の営業損失)となりました。主な要因は、業容拡大のための営業及びコーポレート部門の人員増強による人件費及び採用教育費の増加によるものであります。
(営業外損益、経常損失)
営業外収益は102千円(前事業年度比794.9%増)となりました。主な内容は、業務委託料であります。また、営業外費用は325千円(前事業年度比87.1%増)となりました。これは主に、支払利息であります。以上の結果、経常損失は21,462千円(前事業年度は98,664千円の経常損失)となりました。
(税引前当期純損失、当期純損失)
法人税等合計は290千円となりました。
以上の結果、当期損失は21,753千円の損失となりました。
第14期第2四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
(売上高)
売上高は、388,172千円となりました。これは主に、中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」の2020年9月末における導入金融機関数42社(前年同期比30社増加)、その顧客である中小企業の会員登録がなされた会員企業数27,914社(前年同期比429.6%増)、解約率1.64%(2019年10月~2020年9月の平均)と目標とする2%以内に収まり、順調に拡大したことによる売上高の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は175,129千円となりました。これは主に、売上増加に伴うシステム開発等の業務委託費が増加したことによる外注費の増加、及びサービス提供に係る通信費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は213,042千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は166,665千円となりました。これは主に、業容拡大に伴う営業部門の人件費及び人材採用費の増加によるものであります。この結果、営業利益は46,377千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は75千円となりました。これは主に、雑収入によるものであります。また営業外費用は101千円となりました。これは主に、支払利息によるものであります。
(税引前四半期純利益、四半期純利益)
法人税等合計は6,324千円となりました。
以上の結果、四半期純利益は40,027千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
前項「(1)経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社はこれまで断続的に営業損失を計上して参りましたが、営業活動によるキャッシュ・フローの増加を図ることを念頭に置きつつ、新株発行及び金融機関からの借入を中心とした資金調達により必要資金を賄ってまいりました。当事業年度においては、金融機関数及び会員企業数の順調な拡大に伴い、事業運営にあたり十分な資金を収入によって確保できている状態にあると言えます。また当社はサブスクリプション型のユーザー課金モデルを採用しているため、課金対象となる既存会員数が利用を継続する限り、安定的な収入の増加が可能であります。
当社における主な資金需要は、エンジニア部門・営業部門に係る人件費・採用費、サーバーなどの通信費を含めた運転資金であります。今後も営業活動によるキャッシュ・フローの増加を図ることを中心としながらも、資金需要の必要性に応じて金融機関からの借入等外部資金の活用を含め、最適な方法による資金調達を行う予定であります。
なお、当事業年度末における有利子負債残高は32,058千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は249,730千円となっております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。