有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/03/05 15:00
【資料】
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【項目】
155項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概略は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第26期連結会計年度(自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における総資産合計は、1,737,042千円となり、前連結会計年度末に比べ407,114千円増加いたしました。
これは主に、流動資産の現金及び預金343,450千円、受取手形及び売掛金49,683千円、商品及び製品17,805千円がそれぞれ増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,385,061千円となり、前連結会計年度末に比べ273,895千円増加いたしました。
これは主に、資金調達方法を見直したことにより、社債120,000千円、1年内償還予定の社債40,000千円がそれぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、351,980千円となり、前連結会計年度末に比べ133,218千円増加いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金113,116千円、株式交付による資本剰余金39,020千円がそれぞれ増加したことによるものであります。
第27期第3四半期連結累計期間(自 令和2年4月1日 至 令和2年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産合計は、2,042,551千円となり、前連結会計年度末に比べ305,509千円増加いたしました。
これは主に、現金及び預金245,838千円、受取手形及び売掛金59,049千円がそれぞれ増加したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、1,397,048千円となり、前連結会計年度末に比べ11,986千円増加いたしました。
これは主に、支払手形及び買掛金32,831千円、短期借入金50,000千円、その他流動負債40,178千円がそれぞれ増加した一方、社債45,000千円、長期借入金58,207千円がそれぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、645,503千円となり、前連結会計年度末に比べ293,523千円増加いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益293,538千円による利益剰余金の増加であります。
② 経営成績の状況
第26期連結会計年度(自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、政府の景気対策等の効果もあり、緩やかに回復しておりましたが、年度末にかけて発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、経済活動が抑制されたことで急速に悪化し、先行きは不透明な状況となりました。
このような状況の中で、当社グループは「変化を好機と捉え、新たな価値を創造し、社会に貢献する」という経営理念のもと、各種ソリューションを提供してまいりました。
営業活動においては、各地域に根付いた営業を行うことで新規顧客へのアプローチを強化し、着実に顧客基盤を積み上げました。また、子会社の株式会社メディア4uを完全子会社化することで、セグメント間の連携強化を図り、サービス品質の向上とコスト改善を実現いたしました。
また、積極的な新卒及び中途採用や、テレビCMの放送及びWEB広告の出稿等の広告宣伝活動等、中長期的な企業価値の向上に資する投資も進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,903,055千円(前年同期比29.3%増)、営業利益は346,901千円(同92.2%増)、経常利益は340,899千円(同119.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は113,116千円(同3.8%増)となりました。なお、セグメント別の経営成績につきましては次のとおりであります。
a. U-CARソリューショングループ
平成30年9月に開設した兵庫支店が通年を通して売上高に寄与いたしました。また、付帯サービスの拡充や管理システムの改修効果等により、新規契約件数が堅調に推移したことに加え、継続率も堅調に推移した結果、当連結会計年度のU-CARソリューショングループの売上高は855,743千円(同9.5%増)となり、セグメント利益は225,596千円(同32.3%増)となりました。
b. SMSソリューショングループ
国内の法人向けSMS送信サービスは、スマートフォンでの本人認証、予約リマインド、業務連絡、督促、マーケティングプロモーション等の用途開発が進み、マーケット全体が大きく成長しました。そのような中で当社グループは、SEO及び検索連動型広告やタクシー広告等のマーケティング施策を大幅に強化した結果、当連結会計年度のSMSソリューショングループの売上高は1,668,211千円(同80.0%増)となり、セグメント利益は379,744千円(同137.8%増)となりました。
c. インターネットサービスグループ
中古車一括査定サービス、車検集客サービス「リージョンワン」等が順調に推移した一方、新規事業であるカーライフ支援アプリ「Carpon」に関する広告宣伝費等が増加した結果、当連結会計年度のインターネットサービスグループの売上高は、250,132千円(同3.4%増)となり、セグメント利益は46,684千円(同47.4%減)となりました。
d. オートサービスグループ
レンタカーサービスを拡充したことからレンタカーの受注件数が増加いたしました。また、中古車販売台数も増加した一方で、先進安全自動車(ASV)の普及により、交通事故に伴う修理受注件数が減少傾向となった結果、当連結会計年度のオートサービスグループの売上高は、1,128,967千円(同5.7%増)となり、セグメント利益は48,513千円(同38.2%減)となりました。
第27期第3四半期連結累計期間(自 令和2年4月1日 至 令和2年12月31日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然厳しい状況ではありますが、各種政策等の効果もあり持ち直しの動きも見られつつありました。しかし、感染者が再び増加傾向となる等、先行きは不透明な状態が続きました。
このような状況の中で、当社グループは徹底した衛生管理・時差出勤・在宅勤務等を実施し、新型コロナウイルスの感染対策を図りつつ事業活動を継続してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,488,960千円、営業利益は450,334千円、経常利益は452,893千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は293,538千円となりました。なお、セグメント別の経営成績につきましては次のとおりであります。
a. U-CARソリューショングループ
令和2年4月に東北支店を開設し、地域に根付いた営業を行うことで、着実に新規契約件数を獲得してまいりました。また、継続率も堅調に推移した結果、当第3四半期連結累計期間のU-CARソリューショングループの売上高は728,900千円となり、セグメント利益は203,661千円となりました。
b. SMSソリューショングループ
新型コロナウイルス感染症の拡大により人や物の流れが大きく変化したことで、企業のIT活用の深化や事業モデルそのものの変革等、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)が当初の想定以上に進みました。SMS配信が企業と顧客を繋ぐ新たなコミュニケーション手段として幅広い分野で活用された結果、当第3四半期連結累計期間のSMSソリューショングループの売上高は1,785,116千円となり、セグメント利益は494,762千円となりました。
c. インターネットサービスグループ
令和2年1月に実施されたGoogle社のアップデートにより、当社Webサイトの検索結果における順位が下落したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大により、新規サービスの販促計画の延期や大手取引先からのシステム受託開発が中止となったこと等の結果、当第3四半期連結累計期間のインターネットサービスグループの売上高は170,766千円となり、セグメント損失は32,252千円となりました。
d. オートサービスグループ
新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛の影響により、事故修理件数が減少した一方、保険会社の保険商品におけるレンタカー特約の充実化により、レンタカー受注件数が堅調に推移した結果、当第3四半期連結累計期間のオートサービスグループの売上高は804,177千円となり、セグメント利益は41,103千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第26期連結会計年度(自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ343,450千円増加し、663,107千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュフローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは392,774千円の収入(前連結会計年度は193,183千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額49,683千円、たな卸資産の増加額6,867千円があった一方、税金等調整前当期純利益266,679千円、減価償却費83,282千円、仕入債務の増加額39,909千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、142,630千円の支出(前連結会計年度は80,484千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出138,063千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、93,306千円の収入(前連結会計年度は92,347千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出304,684千円があった一方、社債の発行による収入197,761千円、長期借入れによる収入250,000千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスや自動車修理サービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので生産実績に関する記載はありません。
b. 受注実績
当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスや自動車修理サービスの提供であり、概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c. 販売実績
第26期連結会計年度及び第27期第3四半期連結累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第26期連結会計年度
(自 平成31年4月1日
至 令和2年3月31日)
第27期第3四半期連結累計期間
(自 平成2年4月1日
至 令和2年12月31日)
金額(千円)前年同期比
(%)
金額(千円)
U-CARソリューショングループ855,743109.5728,900
SMSソリューショングループ1,668,211180.01,785,116
インターネットサービスグループ250,132103.4170,766
オートサービスグループ1,128,967105.7804,177
合計3,903,055129.33,488,960

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.最近2連結会計年度及び第27期第3四半期連結累計期間において販売実績の100分の10を超える主要な販売先はないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、見積りは過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づいて、現時点において合理的であると判断したものであり、見積りの前提となる条件や事業環境が変化した場合等、見積りと将来の実績が異なることがあります。
なお、重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は次のとおりであります。
a. 貸倒引当金
債権の貸倒による損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。この貸倒引当金は、連結会計年度末の一般債権については貸倒実績率にて、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。得意先の財政状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
b. ポイント引当金
代理店に付与したポイント使用に備えるため、将来行使されると見込まれる額をポイント引当金として計上しております。
c. 繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、過去の実績等に基づき将来の課税所得を合理的に見積もっておりますが、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化があったり、税制改正によって法定実効税率等が変化した場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
d. 減損損失
当社グループは、独立採算管理が可能である事業(管理会計上の区分)ごとに資産をグループ化しております。営業損益において減損の兆候がみられた事業については将来の回収可能性を勘案した上で固定資産の帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として、特別損失に計上しております。
② 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績の分析
第26期連結会計年度(自 平成31年4月1日 至 令和2年3月31日)
(売上高)
売上高は3,903,055千円(前年同期比29.3%増)となりました。主な要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。今後も、市場の成長を含む経営環境の変化に対応するため、広告宣伝活動、新卒及び中途採用、顧客基盤の積み上げ等を行うことで、売上高増加に努めてまいります。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は1,784,369千円(同35.6%増)となりました。主な要因は、売上高の増加に比例した増加であります。
この結果、売上総利益は2,118,686千円(同24.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は1,771,784千円(同16.4%増)となりました。主な要因は、事業拡大に伴う人件費の増加、広告宣伝費の増加及び東京本部の移転に関する費用があったこと等による増加であります。
この結果、営業利益は346,901千円(同92.2%増)となり、営業利益率は、前連結会計年度の6.0%に対して、当連結会計年度は8.9%となりました。これは、事業拡大に伴う人件費の増加や広告宣伝費の増加はありましたが、売上の増加率に比し抑制できたことによるものであります。今後も、売上高とあわせて営業利益率の推移を重要な経営指標としてモニタリングし、経営環境の変化に対応することで収益性の改善に努めてまいります。
(経常利益)
営業外収益は27,220千円(同92.8%増)となりました。主な要因は、固定資産売却益の増加、受取補償金の増加及びその他営業外収益の増加であります。営業外費用は33,222千円(同15.9%減)となりました。主な要因は、固定資産除却損の減少であります。
この結果、経常利益は340,899千円(同119.8%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は発生しておりません。特別損失は74,220千円(前連結会計年度は発生しておりません。)となりました。内訳は、ゴルフ会員権評価損及び減損損失であります。法人税等合計は133,439千円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益は20,123千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は113,116千円(同3.8%増)となりました。
第27期第3四半期連結累計期間(自 令和2年4月1日 至 令和2年12月31日)
(売上高)
売上高は3,488,960千円となりました。主な内訳は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。今後も、新型コロナウイルスの感染対策を図りつつ、売上高増加に努めてまいります。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は売上高の増加に比例して1,589,417千円となりました。
この結果、売上総利益は1,899,542千円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は1,449,208千円となりました。主な内訳は、人件費、広告宣伝費及び減価償却費であります。
この結果、営業利益は450,334千円となり、営業利益率は12.9%となりました。第26期連結会計年度は8.9%に対して、収益性が改善されたのは経費を見直し効率的事業運営ができたことによるものであります。今後も、売上高とあわせて営業利益率の推移を重要な経営指標としてモニタリングし、経営環境の変化に対応することで収益性の改善に努めてまいります。
(経常利益)
営業外収益は10,546千円となりました。主な内訳は、受取家賃及びその他営業外収益であります。営業外費用は7,987千円となりました。主な内訳は、支払利息及び賃貸収入原価であります。
この結果、経常利益は452,893千円となりました。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
特別利益及び特別損失は発生しておりません。法人税等は159,355千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は293,538千円となりました。
④キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 経営成績等に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題意識と今度の方針に関して
当社グループは「テクノロジーで社会の課題を解決する」ことをミッションとし、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案する必要があると認識しております。
当社グループがこのミッションの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、経営陣がDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を認識しビジネス変革へのコミットメントが不可欠であります。中古車領域におけるAIの更なる活用や、SMSと生体データ(声紋・虹彩等)を組み合わせたマルチ認証システム等を開発し、社会の課題を解決することが、当社グループが事業を行う最大の目的であると認識し、積極的に取り組んでまいります。
⑦ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金と設備資金であります。運転資金と設備資金の源泉は、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、第26期連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は663,107千円となっており、当面事業を継続していくうえで、十分な流動性を確保しております。