有価証券報告書-第13期(2022/03/01-2023/02/28)

【提出】
2023/05/31 15:30
【資料】
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【項目】
100項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して328,195千円増加し、1,579,867千円となりました。これは、流動資産が208,658千円増加したこと、固定資産が119,537千円増加したことによるものであります。流動資産の増加は、主に現金及び預金が68,018千円増加したこと、業務拡大により売掛金が60,062千円増加したこと、立替金が72,353千円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に既存サービスの改良完了及び公開によりソフトウエアが88,221千円増加したこと、繰延税金資産が33,179千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して125,997千円増加し、574,639千円となりました。これは、主に流動負債が207,057千円増加したこと、固定負債が81,060千円減少したことによるものであります。流動負債の増加は、主に業務拡大により未払金が223,912千円増加したことによるものであります。固定負債の減少は、返済により長期借入金が81,060千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して202,198千円増加し、1,005,227千円となりました。これは、主に新株予約権の行使による株式の発行により資本金が4,048千円、資本準備金が4,048千円それぞれ増加したこと、当期純利益の計上により利益剰余金が192,284千円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症にワクチン接種の効果がみられたことで新型コロナウイルス感染症との共存が進む一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期混迷もあり、不安定な状況が続いております。そのような中、当社の属するDX市場は、一時的な需要の急増は収まったものの、デジタル活用が社会に定着したことで、活況が続いていると見ております。
そうした環境下において、当社はマーケティング分野のDXへの関心の高まりを捉えるべく、コンサルティングや「AIアナリスト」の取得したデータ、施策と効果の検証結果データ等から得られるナレッジを武器として、マーケティング活動とソリューション拡充、クロスセル推進に活用し、各事業を推進してまいりました。
新規顧客獲得のためのマーケティング活動においては、ナレッジを活用したマーケティング施策として、2022年11月に『BtoBマーケティングの定石』を出版しました。前作『デジタルマーケティングの定石』は第8刷のロングヒットとなり、読者からのお問い合わせに大きくつながりました。出版にあわせて、2023年1月から2月にわたり、出版記念ウェビナーを行い、累計1,300件を超えるリード獲得に至りました。
また、各事業それぞれが新規顧客の開拓と既存顧客の継続と拡大を推し進め、順調に売上拡大を実現しました。
プロダクト事業では、クロスセル戦略を推し進めるべく、①「AIアナリスト」の機能強化、②クロスセル商材の拡充、③組織の新設を行いました。機能強化によるクロスセルの一例としては、デジタルマーケティングのコンサルタントを機械化したデータ分析・改善提案ツール「AIアナリスト」の広告運用に関する分析機能を強化し、「AIアナリストAD」のクロスセルが進展しました。また、クロスセル可能な商材の拡充のために、従来から提供している「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」を含む「AIアナリスト・シリーズ」に加え、サイト構築やLP(ランディングページ)制作などのクリエイティブ分野の支援体制を強化し、クリエイティブソリューションの提供を本格化しました。さらにお問い合わせ等から得た見込み顧客や既に購入経験のある既存顧客へのマーケティング手法のひとつであるCRM領域の支援ソリューションを開始しました。また、組織強化のひとつとしては、中企業以上のワンストップ需要の強い顧客群に対してクロスセルを推進/維持するための専門チームを第2四半期会計期間に立ち上げ、顧客企業の支援を手厚くしたことで、中企業以上の1社当たりLTV(顧客生涯価値)増大を進めました。
インキュベーション事業では「AIアナリスト」で培った“勝ちパターン”をもとに企業のマーケティング戦略、組織設計、オペレーション構築など、「AIアナリスト」ではカバーしきれないより上流のテーマを対象としたマーケティングのDXコンサルティングを提供しました。継続的な需要の増大を受け、大企業の新規プロジェクトの獲得と密接な関係性強化による継続プロジェクトの獲得を両面で進め、当事業年度は特に継続プロジェクトの稼働でフルキャパシティに近い状況が継続し、順調な売上高成長を達成しております。
さらに、デジタルマーケティングを外注ではなく内製化したいという企業の需要に応えるべく、2021年12月から本格的に開始した「Marketer Agent」では、DX人材のマッチングや有料職業紹介によって、DX人材が不足する企業のマーケティングのDX実現を後押ししてまいりました。当事業年度においては組織面での増強を行う一方で、広告宣伝費をさほど投下せず、当社の保有する3万社以上の既存リードソースへのマーケティングにより、立ち上げから8ヶ月でのARR1億円を達成しました。
以上のような新規顧客獲得施策及び各プロダクトの拡充を進め、あわせてAIアナリスト・シリーズのクロスセルの営業活動を継続的に実施した結果、クロスセル率及びLTV(顧客生涯価値)は順調に成長しました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,349,675千円(前年同期比24.2%増)、EBITDA255,580千円(前年同期比13.4%増)、営業利益184,125千円(前年同期比0.9%減)、経常利益187,310千円(前年同期比1.8%増)、当期純利益192,284千円(前年同期比14.9%減)となりました。
なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
また、重要な経営指標である2023年2月末の理論LTV(顧客生涯価値)は5,038千円(2022年2月末4,414千円)、クロスセル率は2023年2月末26.1%(2022年2月末19.4%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ68,018千円増加し、当事業年度末には823,520千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は301,195千円(前年同期は167,060千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が187,310千円計上されたこと、減価償却費が70,654千円計上されたこと、業務拡大により未払金の増加額が226,314千円あった一方で、売上高の増加に伴い売上債権の増加額が60,062千円あったこと、その他の流動資産の増加額が77,453千円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は160,213千円(前年同期は91,095千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が159,562千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は72,962千円(前年同期は232,735千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が81,060千円あったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
販売高(千円)前年同期比(%)
DX事業1,349,675124.2

(注)1.当社の事業セグメントは、DX事業の単一セグメントであります。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
当事業年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
三井不動産株式会社41,6003.8153,73011.4

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。