有価証券報告書-第14期(2023/03/01-2024/02/29)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して654,538千円増加し、2,234,406千円となりました。これは、流動資産が622,112千円増加したこと、固定資産が32,426千円増加したことによるものであります。流動資産の増加は、主に立替金が39,712千円減少した一方、現金及び預金が637,830千円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に繰延税金資産が24,552千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して438,022千円増加し、1,012,662千円となりました。これは、流動負債が121,722千円増加したこと、固定負債が316,300千円増加したことによるものであります。流動負債の増加は、主に借入により1年内返済予定の長期借入金が74,339千円増加したこと、業務拡大により未払金が25,202千円増加したことによるものであります。固定負債の増加は、借入により長期借入金が316,300千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して216,516千円増加し、1,221,744千円となりました。これは、主に当期純利益の計上により利益剰余金が200,548千円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、社会経済活動の正常化が進んでいるものの、ロシア・ウクライナ情勢の混迷やイスラエル・ガザ衝突等、引き続き不安定な状況が続いております。一方で、米連邦準備理事会(FRB)は利下げに慎重な姿勢を示すものの、世界的に広まった想定外のインフレは2024年以降鈍化するとの見方があり、また、国内では物価沈静化や賃上げ機運が持続することで消費の回復が進み、2024年後半にかけて景気回復が強まるとの見方もあります。
このような状況下、当社が属するデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)市場は引き続き成長するものと見込まれており、市場規模は2030年には1兆5,038億円にまで達するものと予測されております(「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研)。また、「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」(ランサーズ株式会社)によると、2021年10月時点でフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円と、同社が調査を開始した2015年と比較すると、人口は68.3%(640万人)、経済規模は62.7%(9.2兆円)増加しております。また、フリーランスがエージェントサービスを利用して仕事を探す比率も年々増加しており、その利用率は2018年の13.4%から2023年には25.8%と大きく拡大しております(「フリーランス白書 2018」及び「フリーランス白書 2023」一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)。
そうした環境下において、「知を創集し道具にする」をミッションに掲げる当社は、マーケティングのDXへの関心の高まりを捉えたソリューションの強化及び拡張、増加するフリーランスと企業を結びつける人材マッチング事業の育成を進めてまいりました。
当社は、企業のDXを強力に支えるべく、これまでコンサルティングとデータ分析・改善提案SaaSで培ったナレッジとベストプラクティスを、マーケティングDX実現に必要なサービス群に落とし込み、戦略や施策の策定から社内の組織づくり、マーケティング施策の実装と改善まで、事業推進を一気通貫で支援しております。
戦略フェーズでは、デジタルマーケティングに留まらないデジタル活用戦略の立案を行う「DXコンサルティング」を、戦術フェーズではデジタルマーケティングのPDCAを支える分析・改善提案ツールである「AIアナリスト」を提供しております。また、そうした設計がなされても実行・実装のできない企業向けに、実行・実装の代行を行うBPOソリューション群と実行・実装を行う人的リソースを提供する人材マッチング事業を提供しております。
このような上流から下流への一気通貫での事業推進支援をより強固なものとするべく、既存事業に存在しないサービスについてはパートナー会社やマーケターエージェント登録フリーランスと共に支援しつつ、中期的には社内育成だけでなくM&Aや出資などによるケイパビリティの拡充も含め、内製化・事業化を進めてまいります。当事業年度にはM&Aの検討として数十件のタッピングから1件のデューデリジェンスを実施しましたが、当社の基準に合致した案件はなく、3,053千円のデューデリジェンス費用を計上するに至りました。
新規顧客獲得のためのマーケティング活動においては、当社ナレッジをベースとしたウェビナーの継続的な開催や各種マーケティング関連メディアへの登壇、展示会への出展を行いました。
また、当社の認知獲得施策の一環として、2023年7月に代表取締役の垣内勇威が「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」(株式会社日経BP)を出版しました。これまでの「デジタルマーケティングの定石」「BtoBマーケティングの定石」(株式会社日本実業出版社)で、問い合わせ獲得までのデジタル領域のナレッジを保有する企業としての認知を獲得してまいりましたが、「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」で新たに当社が新規顧客の獲得だけでなく既存顧客の育成にまで、スコープを拡大した支援ができることを示すものとなっております。さらに、2024年2月にサービスサイトトップページのリニューアルも実施し、当社の多岐にわたるDXソリューションを明示しております。
これは、当社の支援領域の拡大に合わせて、当社に関する市場からの認知を、サイト改善に特化した支援会社であるというものからデジタルマーケティング全般を支援できる会社であると、アップデートするために戦略的に行ったものであります。
また、各事業それぞれが新規顧客の開拓と既存顧客の継続と拡大を推し進め、順調に売上拡大を実現しました。
プロダクト事業では2023年はGoogleアナリティクスの旧バージョンであるUA(ユニバーサルアナリティクス)から最新バージョンであるGA4(Googleアナリティクス4プロパティ)への移行年であり、当社ビジネスもGA4対応を進めてまいりました。「AIアナリスト」では、UAのデータ取得が終了する2023年7月1日を前に、GA4対応の新機能「GA4対応サイトレポート」をリリースすると同時に、UAのデータのアーカイブ機能を提供することで、旧バージョンで蓄積したデータの消失を回避しながら、最新バージョンにスムーズに移行できる点を新たなメリットとして打ち出し、プロモーションを行いました。2023年7月にはGA4のデータを自動で分析し、実施した施策の効果を検証する「効果検証(GA4)」機能を提供開始しました。また、2023年8月にはGA4のデータと検索関連データを蓄積するGoogleサーチコンソールのデータを自動的に紐づけして分析を行うGA4版の「SEOレポート(GA4)」をリリースし、2023年9月にはGA4のデータを用いて、自社のWebサイト内の各ページからのフォーム誘導率が計測できる「フォーム誘導」分析機能をリリースするなど、種々の機能強化を実施し、2024年2月末時点では「AIアナリスト」のGA4の連携数が2,000件弱まで伸長しております。
また、「AIアナリスト」の拡販のため、Webマーケティングとクラウドセールステックを展開する株式会社ジオコード(以下、「ジオコード」)と協業を進め、ジオコードがサービス提供するオーガニックマーケティングにおいて、顧客Webサイトのコンバージョン改善に当社の「AIアナリスト」を積極的に導入することとなりました。これによりジオコードの顧客への「AIアナリスト」導入を進めてまいります。
「AIアナリストAD」では、2023年5月にYahoo!広告の検索広告とディスプレイ広告(運用型)において高い実績を誇る正式な代理店を指す「Yahoo!マーケティングソリューション 2つ星セールスパートナー」に認定、2024年2月にはMeta社からFacebookやInstagramなどのSNS広告運用におけるパフォーマンスとサービスに対して最高レベルの基準を満たした企業に付与される「Meta Business Partners バッジ」を獲得し、これまでの着実な運用実績と事業拡大が、外部から評価されました。現在、収益性の高い大型案件への営業に注力する方針を強め、顧客の入れ替わりを意図的に発生させております。
さらに、2023年10月に実行・実装支援サービスの拡充として「オウンドメディア構築プラン」をリリースいたしました。近年、オウンドメディアとして企業自身が情報を発信する重要性が増してきており、オウンドメディアを持つことで、潜在顧客から明確な顧客層まで、幅広くかつ効果的にアプローチが可能となり、より長い期間での良好な関係を築けるようになります。当社のオウンドメディアである「AIアナリストブログ」運用の知見から、オウンドメディアの構築から運用までをパッケージでサポートしております。
インキュベーション事業では「AIアナリスト」で培った“勝ちパターン”を基に企業のマーケティング戦略、組織設計、オペレーション構築など、マーケティングのDXコンサルティングを提供しました。近年ではインキュベーション事業とプロダクト事業での協働案件を意識的に行うことで、「AIアナリスト」の担当者のコンサルタントスキル向上を図り、コンサルタントプールの拡充を進めております。また、数ヶ月で完了する戦略立案のプロジェクトで終わらず、その実行に伴走するプロジェクトが増加しております。
「Marketer Agent」を展開する人材マッチング事業は、これまでのフリーランスマーケターのマッチングから領域を拡大すべく、マーケティングの推進には欠かせない人材である、クリエイターのマッチングサービスである「Marketer Agent クリエイティブ」のテストマーケティングを2023年6月から開始しました。また、マクロ環境では、フリーランスの労働環境の保護を目的とした「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が成立するなど、フリーランス市場は引き続き拡大するものと思案しております。このような背景から、さらに事業のスケーラビリティを確保すべく、当事業年度にはダイレクトリクルーティングサービス等の研究開発を開始し、9,753千円を計上しております。現時点の開発範囲は、既存プロセスの効率化、マッチング精度向上を目指すものでありますが、将来的にはフリーランスプールを開放するダイレクトリクルーティングサービスへの展開も視野に入れております。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,817,530千円(前年同期比34.7%増)、EBITDA307,960千円(前年同期比20.5%増)、営業利益197,625千円(前年同期比7.3%増)、経常利益208,608千円(前年同期比11.4%増)、当期純利益200,548千円(前年同期比4.3%増)となりました。
なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
また、重要な経営指標である2024年2月末の理論LTV(顧客生涯価値)は5,952千円(2023年2月末5,038千円)、クロスセル率は2024年2月末21.7%(2023年2月末26.1%)となりました。
(注)EBITDAの計算式は以下のとおりです。
EBITDA=営業利益+減価償却費
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ637,830千円増加し、当事業年度末には1,461,350千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は355,448千円(前年同期は301,195千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が208,608千円計上されたこと、減価償却費が110,334千円計上されたこと、業務拡大により未払金の増加額が25,961千円あったこと、その他の流動資産の減少額が37,640千円あった一方で、売上高の増加に伴い売上債権の増加額が20,743千円あったこと、法人税等の支払額が28,066千円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は118,967千円(前年同期は160,213千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が118,700千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は401,349千円(前年同期は72,962千円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が500,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が109,361千円あったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.当社の事業セグメントは、DX事業の単一セグメントであります。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当事業年度については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して654,538千円増加し、2,234,406千円となりました。これは、流動資産が622,112千円増加したこと、固定資産が32,426千円増加したことによるものであります。流動資産の増加は、主に立替金が39,712千円減少した一方、現金及び預金が637,830千円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に繰延税金資産が24,552千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して438,022千円増加し、1,012,662千円となりました。これは、流動負債が121,722千円増加したこと、固定負債が316,300千円増加したことによるものであります。流動負債の増加は、主に借入により1年内返済予定の長期借入金が74,339千円増加したこと、業務拡大により未払金が25,202千円増加したことによるものであります。固定負債の増加は、借入により長期借入金が316,300千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して216,516千円増加し、1,221,744千円となりました。これは、主に当期純利益の計上により利益剰余金が200,548千円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、社会経済活動の正常化が進んでいるものの、ロシア・ウクライナ情勢の混迷やイスラエル・ガザ衝突等、引き続き不安定な状況が続いております。一方で、米連邦準備理事会(FRB)は利下げに慎重な姿勢を示すものの、世界的に広まった想定外のインフレは2024年以降鈍化するとの見方があり、また、国内では物価沈静化や賃上げ機運が持続することで消費の回復が進み、2024年後半にかけて景気回復が強まるとの見方もあります。
このような状況下、当社が属するデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)市場は引き続き成長するものと見込まれており、市場規模は2030年には1兆5,038億円にまで達するものと予測されております(「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研)。また、「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」(ランサーズ株式会社)によると、2021年10月時点でフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円と、同社が調査を開始した2015年と比較すると、人口は68.3%(640万人)、経済規模は62.7%(9.2兆円)増加しております。また、フリーランスがエージェントサービスを利用して仕事を探す比率も年々増加しており、その利用率は2018年の13.4%から2023年には25.8%と大きく拡大しております(「フリーランス白書 2018」及び「フリーランス白書 2023」一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)。
そうした環境下において、「知を創集し道具にする」をミッションに掲げる当社は、マーケティングのDXへの関心の高まりを捉えたソリューションの強化及び拡張、増加するフリーランスと企業を結びつける人材マッチング事業の育成を進めてまいりました。
当社は、企業のDXを強力に支えるべく、これまでコンサルティングとデータ分析・改善提案SaaSで培ったナレッジとベストプラクティスを、マーケティングDX実現に必要なサービス群に落とし込み、戦略や施策の策定から社内の組織づくり、マーケティング施策の実装と改善まで、事業推進を一気通貫で支援しております。
戦略フェーズでは、デジタルマーケティングに留まらないデジタル活用戦略の立案を行う「DXコンサルティング」を、戦術フェーズではデジタルマーケティングのPDCAを支える分析・改善提案ツールである「AIアナリスト」を提供しております。また、そうした設計がなされても実行・実装のできない企業向けに、実行・実装の代行を行うBPOソリューション群と実行・実装を行う人的リソースを提供する人材マッチング事業を提供しております。
このような上流から下流への一気通貫での事業推進支援をより強固なものとするべく、既存事業に存在しないサービスについてはパートナー会社やマーケターエージェント登録フリーランスと共に支援しつつ、中期的には社内育成だけでなくM&Aや出資などによるケイパビリティの拡充も含め、内製化・事業化を進めてまいります。当事業年度にはM&Aの検討として数十件のタッピングから1件のデューデリジェンスを実施しましたが、当社の基準に合致した案件はなく、3,053千円のデューデリジェンス費用を計上するに至りました。
新規顧客獲得のためのマーケティング活動においては、当社ナレッジをベースとしたウェビナーの継続的な開催や各種マーケティング関連メディアへの登壇、展示会への出展を行いました。
また、当社の認知獲得施策の一環として、2023年7月に代表取締役の垣内勇威が「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」(株式会社日経BP)を出版しました。これまでの「デジタルマーケティングの定石」「BtoBマーケティングの定石」(株式会社日本実業出版社)で、問い合わせ獲得までのデジタル領域のナレッジを保有する企業としての認知を獲得してまいりましたが、「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」で新たに当社が新規顧客の獲得だけでなく既存顧客の育成にまで、スコープを拡大した支援ができることを示すものとなっております。さらに、2024年2月にサービスサイトトップページのリニューアルも実施し、当社の多岐にわたるDXソリューションを明示しております。
これは、当社の支援領域の拡大に合わせて、当社に関する市場からの認知を、サイト改善に特化した支援会社であるというものからデジタルマーケティング全般を支援できる会社であると、アップデートするために戦略的に行ったものであります。
また、各事業それぞれが新規顧客の開拓と既存顧客の継続と拡大を推し進め、順調に売上拡大を実現しました。
プロダクト事業では2023年はGoogleアナリティクスの旧バージョンであるUA(ユニバーサルアナリティクス)から最新バージョンであるGA4(Googleアナリティクス4プロパティ)への移行年であり、当社ビジネスもGA4対応を進めてまいりました。「AIアナリスト」では、UAのデータ取得が終了する2023年7月1日を前に、GA4対応の新機能「GA4対応サイトレポート」をリリースすると同時に、UAのデータのアーカイブ機能を提供することで、旧バージョンで蓄積したデータの消失を回避しながら、最新バージョンにスムーズに移行できる点を新たなメリットとして打ち出し、プロモーションを行いました。2023年7月にはGA4のデータを自動で分析し、実施した施策の効果を検証する「効果検証(GA4)」機能を提供開始しました。また、2023年8月にはGA4のデータと検索関連データを蓄積するGoogleサーチコンソールのデータを自動的に紐づけして分析を行うGA4版の「SEOレポート(GA4)」をリリースし、2023年9月にはGA4のデータを用いて、自社のWebサイト内の各ページからのフォーム誘導率が計測できる「フォーム誘導」分析機能をリリースするなど、種々の機能強化を実施し、2024年2月末時点では「AIアナリスト」のGA4の連携数が2,000件弱まで伸長しております。
また、「AIアナリスト」の拡販のため、Webマーケティングとクラウドセールステックを展開する株式会社ジオコード(以下、「ジオコード」)と協業を進め、ジオコードがサービス提供するオーガニックマーケティングにおいて、顧客Webサイトのコンバージョン改善に当社の「AIアナリスト」を積極的に導入することとなりました。これによりジオコードの顧客への「AIアナリスト」導入を進めてまいります。
「AIアナリストAD」では、2023年5月にYahoo!広告の検索広告とディスプレイ広告(運用型)において高い実績を誇る正式な代理店を指す「Yahoo!マーケティングソリューション 2つ星セールスパートナー」に認定、2024年2月にはMeta社からFacebookやInstagramなどのSNS広告運用におけるパフォーマンスとサービスに対して最高レベルの基準を満たした企業に付与される「Meta Business Partners バッジ」を獲得し、これまでの着実な運用実績と事業拡大が、外部から評価されました。現在、収益性の高い大型案件への営業に注力する方針を強め、顧客の入れ替わりを意図的に発生させております。
さらに、2023年10月に実行・実装支援サービスの拡充として「オウンドメディア構築プラン」をリリースいたしました。近年、オウンドメディアとして企業自身が情報を発信する重要性が増してきており、オウンドメディアを持つことで、潜在顧客から明確な顧客層まで、幅広くかつ効果的にアプローチが可能となり、より長い期間での良好な関係を築けるようになります。当社のオウンドメディアである「AIアナリストブログ」運用の知見から、オウンドメディアの構築から運用までをパッケージでサポートしております。
インキュベーション事業では「AIアナリスト」で培った“勝ちパターン”を基に企業のマーケティング戦略、組織設計、オペレーション構築など、マーケティングのDXコンサルティングを提供しました。近年ではインキュベーション事業とプロダクト事業での協働案件を意識的に行うことで、「AIアナリスト」の担当者のコンサルタントスキル向上を図り、コンサルタントプールの拡充を進めております。また、数ヶ月で完了する戦略立案のプロジェクトで終わらず、その実行に伴走するプロジェクトが増加しております。
「Marketer Agent」を展開する人材マッチング事業は、これまでのフリーランスマーケターのマッチングから領域を拡大すべく、マーケティングの推進には欠かせない人材である、クリエイターのマッチングサービスである「Marketer Agent クリエイティブ」のテストマーケティングを2023年6月から開始しました。また、マクロ環境では、フリーランスの労働環境の保護を目的とした「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が成立するなど、フリーランス市場は引き続き拡大するものと思案しております。このような背景から、さらに事業のスケーラビリティを確保すべく、当事業年度にはダイレクトリクルーティングサービス等の研究開発を開始し、9,753千円を計上しております。現時点の開発範囲は、既存プロセスの効率化、マッチング精度向上を目指すものでありますが、将来的にはフリーランスプールを開放するダイレクトリクルーティングサービスへの展開も視野に入れております。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,817,530千円(前年同期比34.7%増)、EBITDA307,960千円(前年同期比20.5%増)、営業利益197,625千円(前年同期比7.3%増)、経常利益208,608千円(前年同期比11.4%増)、当期純利益200,548千円(前年同期比4.3%増)となりました。
なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
また、重要な経営指標である2024年2月末の理論LTV(顧客生涯価値)は5,952千円(2023年2月末5,038千円)、クロスセル率は2024年2月末21.7%(2023年2月末26.1%)となりました。
(注)EBITDAの計算式は以下のとおりです。
EBITDA=営業利益+減価償却費
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ637,830千円増加し、当事業年度末には1,461,350千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は355,448千円(前年同期は301,195千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が208,608千円計上されたこと、減価償却費が110,334千円計上されたこと、業務拡大により未払金の増加額が25,961千円あったこと、その他の流動資産の減少額が37,640千円あった一方で、売上高の増加に伴い売上債権の増加額が20,743千円あったこと、法人税等の支払額が28,066千円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は118,967千円(前年同期は160,213千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が118,700千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は401,349千円(前年同期は72,962千円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が500,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が109,361千円あったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
DX事業 | 1,817,530 | 134.7 |
(注)1.当社の事業セグメントは、DX事業の単一セグメントであります。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前事業年度 (自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) | 当事業年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
三井不動産株式会社 | 153,730 | 11.4 | - | - |
当事業年度については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。