有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/12 15:00
【資料】
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【項目】
143項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第8期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
2020年卒業予定者の大卒求人倍率は1.83倍と前年より0.05ポイント下落したものの、高水準を維持しております(出典:リクルートワークス研究所)。また、2020年3月度(卒業時点)の就職内定率は95.4%と前年と同水準となりました(出典:就職みらい研究所)。
このような状況のなか、当社グループは、当社が提供する新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」において、求人企業と求職者とのマッチング効率向上のための機能拡充に注力してまいりました。その一環として、2020年卒業者採用の広報解禁に合わせて、連結子会社である株式会社イー・ファルコンが提供する適性診断「eF-1G」を用いた活躍人材分析および活躍人材検索を標準機能として搭載し、全ての企業が利用できるように変更しました。
以上の取り組みの結果、当連結会計年度の売上高は1,598,291千円(前年同期比18.5%増)、OfferBoxの2020年卒の決定人数は2,391人(同21.2%増)となりました。
サービス別に区分した売上高の概況は、次のとおりであります。
OfferBox(早期定額型)
2021年卒業予定者を対象とした早期定額型は、今夏の東京五輪を見据え、企業が採用選考活動を早期化する動きが見られたため、受注増に繋がりました。また、利用企業の採用計画数が増えたことで受注単価も上昇傾向にあります。これに加え、期首の前受収益の償却による売上計上の結果、当連結会計年度のOfferBox(早期定額型)の売上高は997,600千円(前年同期比33.9%増)となりました。
OfferBox(成功報酬型)
2020年卒業予定者採用から成功報酬型プランの料金体系を一部前課金制に変更し、より利用意思の強い顧客に絞って顧客フォローを行うべく、利用企業への支援体制の強化に取り組みました。この狙い通り、成功報酬型利用企業の稼働率は向上したものの、想定以上に成功報酬型利用企業の母集団が減少した結果、決定人数は伸び悩みました。この結果、当連結会計年度のOfferBox(成功報酬型)の売上高は273,504千円(前年同期比1.0%減)となりました。
eF-1G(適性検査)
企業の採用選考活動の早期化の影響で適性検査の受検数が増加しております。この結果、当連結会計年度のeF-1G(適性検査)の売上高は280,971千円(前年同期比3.4%増)となりました。
その他
前連結会計年度は、適性検査に関連する受託業務などの受注がありましたが、当連結会計年度では受注がなく減少しております。一方、他社向けにカスタマイズした適性検査のロイヤリティ収入は堅調に推移しております。この結果、当連結会計年度のその他の売上高は46,215千円(前年同期比17.1%減)となりました。
(営業利益)
売上高は前年比増も、下期において営業社員の増員とカスタマーサクセス担当の設置、エンジニアの増員とマッチング効率の改善に取り組む専任チームの新設など次年度に向けての先行投資に取り組みました。この結果、当連結会計年度の営業利益33,145千円(前年同期比64.1%減)となりました。
(経常利益)
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済の先行き不透明感が高まるなか、当社グループは、安定した財務基盤を構築すべく、銀行借入れを実行しております。この結果、支払利息が増えているため、当連結会計年度の経常利益は26,340千円(前年同期比70.2%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
税金等調整前四半期純利益から法人税等38,083千円及び非支配株主に帰属する当期純利益28,553千円を差し引いた結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失40,296千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益72,988千円)となりました。
第9期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(売上高)
2021年卒業予定者に対する企業の採用選考活動は、東京五輪の開催等により当初は早期化する動きが見られましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発出されたため、4月から5月にかけて一時停滞することとなりました。その後、オンライン選考への切り替えが急速に進み、例年に比べて2ヶ月程度の遅れで採用選考活動は進捗し、2020年12月1日時点の学生の就職内定率は93.4%と例年並みの数値になりました(出典:就職みらい研究所)。
このような状況のなか、当社グループは、いち早くオンライン選考の普及やオンラインでの営業マーケティング活動への移行に取り組んだ結果、相次ぐ合同説明会の中止等による採用の母集団形成不足を補う需要やインターンシップ需要の取り込みができたため、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,449,686千円、OfferBoxの2021年卒の決定人数は3,441人となりました。
サービス別に区分した売上高の概況は、次のとおりであります。
OfferBox(早期定額型)
2022年卒業予定者を対象とした早期定額型の受注は、コロナ禍におけるインターンシップの母集団形成の需要を取り込み、早期定額型のリピート率は堅調に推移しており、受注単価も上昇傾向にあります。これに加え、期首の前受収益の償却による売上計上の結果、当第3四半期連結累計期間のOfferBox(早期定額型)の売上高は819,646千円となりました。
OfferBox(成功報酬型)
2021年卒業予定者を対象とした成功報酬型の利用は、3月1日よりオファー送信開始となるため、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の影響を受けて、4月から5月にかけて企業の稼働量は低調に推移しました。しかしながら、緊急事態宣言前からオファー送信をしていた早期定額型利用企業の稼働量は順調であったため、入社合意枠を超過した内定決定が好調に推移しました。また、緊急事態宣言解除後は、成功報酬利用企業の稼働量も例年並みに戻りました。この結果、当第3四半期連結累計期間のOfferBox(成功報酬型)の売上高は419,252千円となりました。
eF-1G(適性検査)
新型コロナウイルスの感染拡大により遅れていた企業の採用選考活動は、緊急事態宣言解除後に回復基調で推移し、適性検査の受検は例年並みに推移しました。一方、中止又は延期となっていた適性検査結果を用いた企業内研修については、一部オンラインへの移行は進みましたが、依然として厳しい状況が続いております。この結果、当第3四半期連結累計期間のeF-1G(適性検査)の売上高は163,075千円となりました。
その他
専門学校向けに提供しているマーク式の適性検査は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で学生の受検が困難な状況となりましたが、学校の再開により受検が進み、前期並みに回復しております。一方、他社向けにカスタマイズした適性検査のロイヤリティ収入は堅調に推移しております。この結果、当第3四半期連結累計期間のその他の売上高は47,711千円となりました。
(営業利益)
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオンライン商談に移行していることから営業交通費など経費は減少し、第3四半期連結累計期間の売上高の季節的変動から下期に売上高が偏重する傾向にあるため、当第3四半期連結累計期間の営業利益は113,003千円となりました。
(経常利益)
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済の先行き不透明感が高まるなか、当社グループは、安定した財務基盤を構築すべく、銀行借入れを実行しております。この結果、支払利息が増えているため、当第3四半期連結累計期間の経常利益は104,357千円となりました。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
税金等調整前四半期純利益から法人税等33,340千円及び非支配株主に帰属する四半期純利益13,354千円(連結子会社である株式会社イー・ファルコンを完全子会社化したため第2四半期連結累計期間と同額)を差し引いた結果、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は57,661千円となりました。
(第3四半期連結累計期間の季節性)
当社グループの売上構成として、OfferBox早期定額型の売上高が62.4%(2020年3月期)を占めます。この早期定額型は、インターンシップ需要で7月から11月にかけて受注が集中し、受注月から採用対象学生が卒業する3月までの期間に亘って売上高を按分するという会計処理を採用しているため、売上高は下期に偏重する傾向にあります。
参考:連結会計期間の売上高及び営業利益の推移
2020年3月期第1四半期
(4-6月期)
第2四半期
(7-9月期)
第3四半期
(10-12月期)
第4四半期
(1-3月期)
年度計
売上高(千円)257,089361,652434,870544,6791,598,291
構成比(%)16.122.627.234.1100.0
営業利益
(千円)
△85,418△24,80216,636126,72933,145

(注)各四半期の売上高及び営業利益については、有限責任 あずさ監査法人のレビューは受けておりません。
なお、統計上、早期定額型の受注高の約63%が当期の売上高に、残りの約37%が翌期の売上高に計上されます。この翌期繰越分の売上高は、連結貸借対照表上、前受収益に計上しております。
② 財政状態の状況
第8期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,580,393千円となり、前連結会計年度末に比べ475,114千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が506,226千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,347,367千円となり、前連結会計年度末に比べ486,857千円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が72,868千円、前受収益が136,016千円、長期借入金が273,906千円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は233,025千円となり、前連結会計年度末に比べ11,742千円減少いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が40,296千円減少したこと及び、非支配株主持分が28,553千円増加したことによるものであります。
第9期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は2,057,448千円となり、前連結会計年度末に比べ477,055千円増加いたしました。これは主に、銀行借入れを実行したこと等により現金及び預金が424,677千円増加したことによります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は1,916,240千円となり、前連結会計年度末に比べ568,873千円増加いたしました。これは主に、銀行借入れを実行した結果、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が227,521千円増加したこと、早期定額型の受注が好調なため、前受収益が347,004千円増加したことによります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は141,207千円となり、前連結会計年度末に比べ91,818千円減少いたしました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益が57,661千円となった一方で、連結子会社である株式会社イー・ファルコンを完全子会社化したことに伴い、資本剰余金が92,242千円及び非支配株主持分が57,237千円減少したことによります。
③ キャッシュ・フローの状況
第8期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、銀行借入による資金調達を実行したこと等により、前連結会計年度末に比べ500,221千円増加し、当連結会計年度末には1,159,600千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は217,139千円(前年同期比12.9%減)となりました。これは主に売上債権の減少額49,614千円、前受収益の増加額136,016千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は61,336千円(前年同期比22.3%増)となりました。これは主にオフィス移転等による有形固定資産の取得による支出40,172千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は345,184千円(前年同期は43,235千円の使用)となりました。これは主に長期借入れによる収入400,000千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
第8期連結会計年度及び第9期第3四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは、HRプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称第8期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第9期第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
OfferBox(早期定額型)997,600133.9819,646
OfferBox(成功報酬型)273,50499.0419,252
eF-1G280,971103.4163,075
その他46,21582.947,711
合計1,598,291118.51,449,686

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表作成にあたり採用した会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高と決定人数であります。
第8期連結会計年度及び第9期第3四半期連結累計期間の経営成績及び当該指標等の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。今後も継続的な増収及び決定人数の増加を実現し、高い成長性を継続してまいります。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することで、経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行ってまいります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性並びに、第8期連結会計年度のキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発及び営業人員の人件費や認知度向上及び顧客基盤拡大に係るマーケティング費用であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び銀行借入により調達することを基本方針としております。