四半期報告書-第121期第1四半期(2023/04/01-2023/06/30)

【提出】
2023/08/09 15:59
【資料】
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【項目】
35項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における当社グループの事業の状況につきましては、自動車生産が回復に向かう中で、サプライチェーンにおける部品在庫圧縮の動きがみられたことから、一部の自動車関連製品及びサービスの受注が減少しました。情報通信関連製品は中国経済の停滞等により販売が減少しました。また、新エネルギー関連製品は低調な販売となりました。環境・リサイクル関連サービスは廃棄物処理の受注が堅調でした。相場環境につきましては、前年同期と比較して平均為替レートは円安ドル高となりましたが、銅、亜鉛及びPGM(白金族金属)の平均価格は大幅に下落しました。一方で、エネルギー価格の高騰や資材価格の上昇を受け、電力代、燃料費及び副資材費等のコストが大幅に増加しました。
このような状況の中、当社は企業価値の向上と持続可能な社会の実現への貢献に向け、「循環型ビジネスモデルの進化」と「サステナビリティ・マネジメントの強化」を「中期計画2024」の基本戦略とし、引き続き5つのコアビジネスのさらなる強化と経営基盤の充実化のための諸施策を着実に推進しています。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同期比9.0%減の190,961百万円、営業利益は同62.0%減の7,346百万円、経常利益は同45.8%減の12,617百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は同39.9%減の7,853百万円となりました。
主要セグメントごとの経営成績は次のとおりです。なお、表中の「前第1四半期連結累計期間」は2022年4月1日から2022年6月30日まで、「当第1四半期連結累計期間」は2023年4月1日から2023年6月30日までです。
環境・リサイクル部門
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減増減率
売上高36,50137,1666641.8%
営業利益3,1813,131△50△1.6%
経常利益3,4663,5661002.9%

廃棄物処理事業では焼却の処理量及び処理単価は堅調に推移しました。また、溶融・再資源化の処理量は増加しました。土壌浄化事業では土壌浄化や不燃性廃棄物の再資源化の受注が堅調に推移しました。リサイクル事業では当社製錬所向けのリサイクル原料の集荷量は増加し、家電リサイクルの処理量は減少しました。東南アジア事業では廃棄物処理の受注が前年同期並みとなりました。一方で、エネルギー価格の高騰や資材価格の上昇を受け、燃料費や副資材費等のコストが増加しました。また、営業外損益では外貨建債権の為替換算差益を計上しました。
これらの結果、当部門の売上高は前年同期比1.8%増の37,166百万円、営業利益は同1.6%減の3,131百万円、経常利益は同2.9%増の3,566百万円となりました。
製錬部門
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減増減率
売上高115,074103,346△11,727△10.2%
営業利益11,2212,964△8,256△73.6%
経常利益14,3456,459△7,886△55.0%

貴金属銅事業では金、銀及び銅の生産量が減少しました。また、デリバティブ評価益が縮小しました。PGM事業では使用済み自動車排ガス浄化触媒からの金属回収量が増加したものの、PGMの平均価格が前年同期比で大幅に下落した影響を受けました。亜鉛事業では亜鉛の生産量は前年同期を下回りました。また、電力代等のエネルギーコストが大幅に増加しました。一方で、亜鉛の棚卸資産の簿価切下額による損失幅は縮小しました。営業外損益では海外亜鉛鉱山の運営会社において持分法投資利益を計上しました。
これらの結果、当部門の売上高は前年同期比10.2%減の103,346百万円、営業利益は同73.6%減の2,964百万円、経常利益は同55.0%減の6,459百万円となりました。
電子材料部門
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減増減率
売上高45,04338,408△6,635△14.7%
営業損益1,872△14△1,887-%
経常利益2,508763△1,744△69.5%

半導体事業ではウェアラブル機器向けの近赤外LED及び受光素子(PD)の販売が減少しました。電子材料事業では太陽光パネル向け銀粉の販売が低調に推移しました。一方で、半導体事業と電子材料事業では、平均為替レートが前期比で円安ドル高となったことが業績に寄与しました。機能材料事業では磁性粉の販売が低調に推移しました。また、営業外損益ではサンプル収入が増加しました。
これらの結果、当部門の売上高は前年同期比14.7%減の38,408百万円、営業利益は同1,887百万円減の14百万円の損失、経常利益は同69.5%減の763百万円となりました。
金属加工部門
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減増減率
売上高29,52926,722△2,806△9.5%
営業利益2,518815△1,703△67.6%
経常利益2,725926△1,799△66.0%

伸銅品事業では自動車生産が回復に向かう中で、サプライチェーンにおける部品在庫圧縮の動きがみられたことから、当社の自動車向け製品の受注が減少しました。情報通信関連製品の販売は中国経済の停滞等により減少しました。また、デリバティブ評価益が縮小しました。めっき事業では自動車向けの需要が堅調に推移しました。回路基板事業では産業向けの販売が堅調に推移しました。これらに加え、金属加工部門では電力代や燃料費等のコストが増加しました。
これらの結果、当部門の売上高は前年同期比9.5%減の26,722百万円、営業利益は同67.6%減の815百万円、経常利益は同66.0%減の926百万円となりました。
熱処理部門
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減増減率
売上高6,2636,7584947.9%
営業利益1311996851.7%
経常利益32849616751.1%

熱処理事業では自動車生産の回復に伴い熱処理受託加工の需要が上向いたことから、国内外における受注が増加しました。一方で、電力代や燃料費等のコストが増加しました。また、営業外損益では、コストの増加に対する一時金収入が一部の顧客からありました。工業炉事業では設備販売及びメンテナンスの需要は前年同期並みとなりました。
これらの結果、当部門の売上高は前年同期比7.9%増の6,758百万円、営業利益は同51.7%増の199百万円、経常利益は同51.1%増の496百万円となりました。
② 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比較して14,719百万円減少し640,562百万円となりました。流動資産で22,967百万円の減少、固定資産で8,248百万円の増加となります。
流動資産の減少は、原材料及び貯蔵品の減少37,092百万円、及び現金及び預金の増加15,861百万円等によるものです。固定資産の増加は、有形固定資産の増加8,656百万円、及び長期貸付金の増加378百万円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較して22,923百万円減少しました。これは、コマーシャル・ペーパーの減少10,000百万円、支払手形及び買掛金の減少7,755百万円、及び未払法人税等の減少3,365百万円等によるものです。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益が7,853百万円となり、配当金の支払い等を行った結果、株主資本が1,007百万円減少しました。また、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の増加等により、その他の包括利益累計額が7,899百万円増加した結果、純資産合計では前連結会計年度末に比較し8,204百万円増加しました。この結果、自己資本比率は54.9%となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当社は、株式会社の支配に関する基本方針を定めていませんが、基本的な考え方として、次のとおり「情報と時間ルール」を定めています。
情報と時間ルール
当社取締役会は、議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為(以下、大規模買付といいます)を受け入れるかどうかは、最終的には、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると認識しております。その判断にあたっては、当社の事業規模や事業領域に照らして、大規模買付を行おうとする者(以下、大規模買付者といいます)と当社取締役会の双方からの「適切な情報提供」と「十分な検討期間の確保」が必要であると考えます。
このような基本的な考え方に基づき、当社取締役会は、大規模買付を認識したときは、大規模買付者に対し、次の情報(以下、大規模買付情報といいます)を他の株主及び取締役会に提供することを求めます。
① 大規模買付の目的及び内容
② 買付価格の算定根拠及び買付資金の裏付け
③ 大規模買付完了後に意図する当社経営方針及び事業計画
④ その他株主価値に影響する重要な事項に関する情報
当社取締役会は、大規模買付情報を検討したうえで、当該大規模買付に対する評価意見を公表します。その際には、取締役会から独立した第三者により構成される委員会の意見を求めます。
また、当社取締役会は、当社株式の取引や異動状況を常に注視し、大規模買付がなされた場合に迅速かつ適切な対応をとり得る社内体制を整備いたします。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における「開発研究費」の総額は2,210百万円です。これには研究開発費1,945百万円のほか、新鉱床探鉱費等265百万円が含まれております。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、熱処理部門の受注高が著しく減少しています。
熱処理部門(熱処理炉)の受注高の減少は、連結子会社であるDOWAサーモテック㈱等において受注高が減少したことによるものです。
当第1四半期連結累計期間における熱処理部門の受注実績は次のとおりです。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
熱処理部門(熱処理炉)453△67.72,846△34.3

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループは、コアビジネスである環境・リサイクル部門、製錬部門、電子材料部門、金属加工部門、熱処理部門を中心に事業を行っており、このうち製錬部門等は、非鉄金属地金相場及び為替相場の変動の影響を受けやすいため、状況に応じて非鉄金属先渡取引及び為替予約取引等によりリスク軽減に努めています。
当社グループでは、今後も収益性の向上及び財務体質の改善に努めていきますが、非鉄金属地金相場及び為替相場の急激な変動、景気動向等の外的要因により業績に影響を受ける可能性があります。