有価証券報告書-第96期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析等)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により国内外ともに経済活動が一定期間停滞したこともあり、総じて厳しい状況で推移いたしました。国内においては、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じながらも社会経済活動レベルが徐々に引き上げられ、また当社グループが事業展開している東南アジア地域においても、経済活動再開の動きが広がるなど、一部で持ち直しへの動きがみられました。
しかしながら、国内外ともにワクチン普及による新型コロナウイルス感染症の影響が早期に収束へ向かうことへの期待感はあるものの、新型コロナウイルス感染症再拡大による企業活動の停滞や個人消費の落ち込み等、経済の先行きが懸念され、非常に不透明な経済状況で推移いたしました。
国内の建設市場におきましては、公共投資は堅調に推移し、デジタル関連投資等成長分野においては増加基調で推移いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により企業の設備投資意欲が減退しており、民間設備投資は総じて低調に推移いたしました。さらに、当社グループが事業展開している海外では、東南アジアにおける日系企業の設備投資は力強さに欠けた状態が続いており、受注獲得競争は一層厳しさを増した状況で推移いたしました。
このような状況の中、当社グループは、従業員並びに関係する皆様の安全を最優先とし、行政の方針・指導に従い新型コロナウイルス感染症拡大の防止に努めた上で、「住友事業精神」と「住友電設グループ企業理念」に基づく経営の基本方針に沿って、電気の安定供給等の社会インフラ維持に努めるなど、社会の要請に応えるべく事業活動を展開するとともに、2020年度よりスタートした中期経営計画「VISION24」(2020~2024年度:5ヵ年計画)に基づき、「新たな成長戦略と総合力で持続的発展を!」をテーマに掲げ、「総合設備企業グループ」として、各部門の施工力、技術力の底上げに向けて資源を投入し、より一層の成長・拡大を図るため、グループ一体となって取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
受注高につきましては、国内外ともに新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の設備投資が減少していることや、受注獲得に向けた営業活動への制約を受けたこと等もあり、前期より減少となりましたが、デジタル関連投資等成長分野においては堅調に推移したこともあり、一定水準の受注量を確保できました。売上高につきましては、大型工事竣工時期の端境期であったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、短工期案件が減少したことや、一部工事での進捗遅れ等もあり、前期より減少となりました。
利益面では、工事採算の改善、経費削減にグループ一体となって取り組んでまいりましたが、売上高の減少により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期を下回る結果となりました。
受注高は162,140百万円(前連結会計年度比3.1%減)、売上高は、154,053百万円(同10.9%減)となりました。事業の種類別では、設備工事業の受注高は153,854百万円(同2.9%減)、売上高は145,767百万円(同11.1%減)となり、機器販売を中心とするその他事業の受注高及び売上高は8,285百万円(同6.8%減)となりました。
売上総利益は、工事採算の改善にグループを挙げて取り組んでまいりましたが売上高の減少により、20,513百万円(同9.9%減)、売上総利益率は13.3%となりました。販売費及び一般管理費は9,193百万円(同0.2%増)となり、営業利益は11,319百万円(同16.7%減)、営業利益率は7.3%となりました。
営業外収益は741百万円(同3.0%増)、営業外費用が123百万円(同24.0%増)となった結果、営業外収支は618百万円の黒字となり、経常利益は11,937百万円(同15.9%減)と前連結会計年度と比べ減益となり、経常利益率は7.7%となりました。
以上の結果に加え、前連結会計年度に計上した特別利益、特別損失の影響もあり、税金等調整前当期純利益は11,937百万円(同19.7%減)となりました。ここから、法人税等3,290百万円、法人税等調整額396百万円、非支配株主に帰属する当期純利益201百万円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は8,048百万円(同17.6%減)となりました。
なお、設備工事業における種類別の受注高、売上高の概況は、次のとおりであります。 電力工事部門は、再生可能エネルギー関連工事の計画延期や民間設備投資の減少により、受注高は18,609百万円(同15.6%減)、売上高は20,941百万円(同4.9%減)となりました。
一般電気工事部門は、新型コロナウイルス感染症の影響により、短工期案件の減少や一部工事での進捗遅れがあったこともあり、受注高は93,414百万円(同1.9%減)、売上高は87,097百万円(同15.9%減)となりました。
情報通信工事部門は、新型コロナウイルス感染症の影響がある一方で、5Gサービスの進展等におけるデジタル投資意欲の高まり等を背景に堅調に推移し、携帯電話基地局設置工事等が増加したこと等により、受注高は32,109百万円(同9.1%増)、売上高は27,652百万円(同4.8%増)となりました。
プラント・空調工事部門は、大型案件の反動減や新型コロナウイルス感染症の影響による短工期案件の減少等により、受注高は9,720百万円(同16.6%減)、売上高は10,075百万円(同16.4%減)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、工事代金回収の進展により受取手形・完成工事未収入金等が減少した一方で、保有株式の株価上昇により投資有価証券が増加したことに加え、中期経営計画「VISION24」で掲げる成長投資における設備投資に伴い有形固定資産が増加したこと等から前連結会計年度末より8,404百万円増加の146,733百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、主に工事代金の支払により支払手形・工事未払金等が減少したこと等により、前連結会計年度末より1,979百万円減少の60,351百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、主に利益剰余金が増加したことや保有株式の株価上昇によりその他有価証券評価差額金が増加したこと等により、前連結会計年度末より10,384百万円増加の86,381百万円となりました。この結果、自己資本比率は56.5%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
①キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は14,965百万円の収入(前連結会計年度は9,386百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益の計上に加え、売上債権の回収が進展した結果であります。投資活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は2,771百万円の支出(前連結会計年度は1,275百万円の支出)となりました。これは中期経営計画「VISION24」で掲げる成長投資における設備投資に伴う有形固定資産の取得等の結果であります。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は2,929百万円の支出(前連結会計年度は2,626百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払いによる支出の結果であります。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の30,036百万円に対して、9,553百万円増加し、39,589百万円となりました。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な運転資金であり、必要資金については自己資金の充当及び金融機関からの借入により調達しております。当社グループは、「質」にこだわる経営を推進し、健全かつ強固な財務体質を構築してきました。また2020年度よりスタートした中期経営計画「VISION24」において、持続的な成長を目指すため、5年間で200億円の成長投資を行っていく予定です。
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の経済は先行きの不透明感が継続しておりますが、当社は十分な流動性資金を確保しており、事業運営への影響はありません。
(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「VISION24」(2020~2024年度:5ヵ年計画)に基づき、「新たな成長戦略と総合力で持続的発展を!」をテーマに、「総合設備企業グループ」として、各部門の施工力、技術力の底上げに向けて資源を投入し、売上高の拡大を図るとともに、各部門が連携した総合力で、客先へのトータルサービスを拡大してまいります。当社グループは、中期経営計画「VISION24」において、経営上の目標の達成状況を判断するために、「受注高」、「売上高」、「経常利益(率)」、「ROE(自己資本当期純利益率)」、「自己資本比率」及び「配当性向」を重要な指標として測定することとしており、2024年度の数値目標として、「受注高:2,000億円」、「売上高:2,000億円」、「経常利益(率):150億円(7.5%)」、「ROE(自己資本当期純利益率):10%をターゲット」、「自己資本比率:50%水準を維持」、「配当性向:40%をターゲット(2024年度)」をそれぞれ掲げております。なお、当連結会計年度におきましては、「受注高:162,140百万円」、「売上高:154,053百万円」、「経常利益(率):11,937百万円(7.7%)」、「ROE:10.3%」、「自己資本比率:56.5%」、「配当性向:32.7%」となり、「VISION24」の初年度として、2024年度の数値目標達成に向け着実に前進しております。
(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結企業集団が営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
(2) 受注実績
(3) 売上実績
(4) 受注残高
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
受注工事高及び施工高の状況
(1) 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。
(2) 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(3) 完成工事高
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第95期の請負金額1,400百万円以上の主なもの
第96期の請負金額1,400百万円以上の主なもの
2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(4) 手持工事高(2021年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち請負金額2,000百万円以上の主なもの
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因や当該要因への対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」を参照のこと。
(重要な会計方針及び見積り)
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠し、作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。当社の重要な会計方針のうち、特に見積り、判断の度合いが高いものは以下の項目であります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
収益の認識
当社は請負工事契約に関して、一定の期間にわたり充足される履行義務は、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識し、一時点で充足される履行義務は、工事完了時に収益を認識することとしておりますが、業界の慣行から追加工事を含め、正式な契約書の締結が遅れる場合があり、この場合には、当社は期末日時点において合理的に請負代金を見積り、収益計上をしております。従って、当社の見積りと実績が異なった場合、翌期の損益に影響を与える可能性があります。
また、工事原価総額の見積りにあたっては、利害を別とする関係部門間で協議し、工事契約を遂行するための作業内容を特定・網羅し、かつ個々に適切な原価を算定した上で、着工後の工期変更、人件費・労務費の増減、使用部材の価格変動や仕様変更がある場合、適時に工事原価の見直しを行っております。
しかしながら、大規模工事においては原価要素が多く、工期も長期にわたることから、設計変更や追加工事、工期延長等の可能性があります。そのため、工事内容の見直しがあった場合には、当連結会計年度末時点の工事原価総額の見積りにおいて不確実性があり、翌連結会計年度の損益に影響を与える可能性があります。
なお、当社は、新型コロナウイルス感染症による影響について、進行中工事の状況確認等の情報収集を実施した結果、当連結会計年度末の会計上の見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。一方で、感染症終息時期の見通しが立たない中、当社の事業環境は非常に不透明な状況にあり、翌期の損益に影響を及ぼす可能性について引き続き注視していく必要があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により国内外ともに経済活動が一定期間停滞したこともあり、総じて厳しい状況で推移いたしました。国内においては、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じながらも社会経済活動レベルが徐々に引き上げられ、また当社グループが事業展開している東南アジア地域においても、経済活動再開の動きが広がるなど、一部で持ち直しへの動きがみられました。
しかしながら、国内外ともにワクチン普及による新型コロナウイルス感染症の影響が早期に収束へ向かうことへの期待感はあるものの、新型コロナウイルス感染症再拡大による企業活動の停滞や個人消費の落ち込み等、経済の先行きが懸念され、非常に不透明な経済状況で推移いたしました。
国内の建設市場におきましては、公共投資は堅調に推移し、デジタル関連投資等成長分野においては増加基調で推移いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により企業の設備投資意欲が減退しており、民間設備投資は総じて低調に推移いたしました。さらに、当社グループが事業展開している海外では、東南アジアにおける日系企業の設備投資は力強さに欠けた状態が続いており、受注獲得競争は一層厳しさを増した状況で推移いたしました。
このような状況の中、当社グループは、従業員並びに関係する皆様の安全を最優先とし、行政の方針・指導に従い新型コロナウイルス感染症拡大の防止に努めた上で、「住友事業精神」と「住友電設グループ企業理念」に基づく経営の基本方針に沿って、電気の安定供給等の社会インフラ維持に努めるなど、社会の要請に応えるべく事業活動を展開するとともに、2020年度よりスタートした中期経営計画「VISION24」(2020~2024年度:5ヵ年計画)に基づき、「新たな成長戦略と総合力で持続的発展を!」をテーマに掲げ、「総合設備企業グループ」として、各部門の施工力、技術力の底上げに向けて資源を投入し、より一層の成長・拡大を図るため、グループ一体となって取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
受 注 高 | 1,621億40百万円 | (前連結会計年度比 | 3.1%減 | ) |
売 上 高 | 1,540億53百万円 | (前連結会計年度比 | 10.9%減 | ) |
営 業 利 益 | 113億19百万円 | (前連結会計年度比 | 16.7%減 | ) |
経 常 利 益 | 119億37百万円 | (前連結会計年度比 | 15.9%減 | ) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 80億48百万円 | (前連結会計年度比 | 17.6%減 | ) |
受注高につきましては、国内外ともに新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の設備投資が減少していることや、受注獲得に向けた営業活動への制約を受けたこと等もあり、前期より減少となりましたが、デジタル関連投資等成長分野においては堅調に推移したこともあり、一定水準の受注量を確保できました。売上高につきましては、大型工事竣工時期の端境期であったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、短工期案件が減少したことや、一部工事での進捗遅れ等もあり、前期より減少となりました。
利益面では、工事採算の改善、経費削減にグループ一体となって取り組んでまいりましたが、売上高の減少により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期を下回る結果となりました。
受注高は162,140百万円(前連結会計年度比3.1%減)、売上高は、154,053百万円(同10.9%減)となりました。事業の種類別では、設備工事業の受注高は153,854百万円(同2.9%減)、売上高は145,767百万円(同11.1%減)となり、機器販売を中心とするその他事業の受注高及び売上高は8,285百万円(同6.8%減)となりました。
売上総利益は、工事採算の改善にグループを挙げて取り組んでまいりましたが売上高の減少により、20,513百万円(同9.9%減)、売上総利益率は13.3%となりました。販売費及び一般管理費は9,193百万円(同0.2%増)となり、営業利益は11,319百万円(同16.7%減)、営業利益率は7.3%となりました。
営業外収益は741百万円(同3.0%増)、営業外費用が123百万円(同24.0%増)となった結果、営業外収支は618百万円の黒字となり、経常利益は11,937百万円(同15.9%減)と前連結会計年度と比べ減益となり、経常利益率は7.7%となりました。
以上の結果に加え、前連結会計年度に計上した特別利益、特別損失の影響もあり、税金等調整前当期純利益は11,937百万円(同19.7%減)となりました。ここから、法人税等3,290百万円、法人税等調整額396百万円、非支配株主に帰属する当期純利益201百万円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は8,048百万円(同17.6%減)となりました。
なお、設備工事業における種類別の受注高、売上高の概況は、次のとおりであります。 電力工事部門は、再生可能エネルギー関連工事の計画延期や民間設備投資の減少により、受注高は18,609百万円(同15.6%減)、売上高は20,941百万円(同4.9%減)となりました。
一般電気工事部門は、新型コロナウイルス感染症の影響により、短工期案件の減少や一部工事での進捗遅れがあったこともあり、受注高は93,414百万円(同1.9%減)、売上高は87,097百万円(同15.9%減)となりました。
情報通信工事部門は、新型コロナウイルス感染症の影響がある一方で、5Gサービスの進展等におけるデジタル投資意欲の高まり等を背景に堅調に推移し、携帯電話基地局設置工事等が増加したこと等により、受注高は32,109百万円(同9.1%増)、売上高は27,652百万円(同4.8%増)となりました。
プラント・空調工事部門は、大型案件の反動減や新型コロナウイルス感染症の影響による短工期案件の減少等により、受注高は9,720百万円(同16.6%減)、売上高は10,075百万円(同16.4%減)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、工事代金回収の進展により受取手形・完成工事未収入金等が減少した一方で、保有株式の株価上昇により投資有価証券が増加したことに加え、中期経営計画「VISION24」で掲げる成長投資における設備投資に伴い有形固定資産が増加したこと等から前連結会計年度末より8,404百万円増加の146,733百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、主に工事代金の支払により支払手形・工事未払金等が減少したこと等により、前連結会計年度末より1,979百万円減少の60,351百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、主に利益剰余金が増加したことや保有株式の株価上昇によりその他有価証券評価差額金が増加したこと等により、前連結会計年度末より10,384百万円増加の86,381百万円となりました。この結果、自己資本比率は56.5%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
①キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は14,965百万円の収入(前連結会計年度は9,386百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益の計上に加え、売上債権の回収が進展した結果であります。投資活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は2,771百万円の支出(前連結会計年度は1,275百万円の支出)となりました。これは中期経営計画「VISION24」で掲げる成長投資における設備投資に伴う有形固定資産の取得等の結果であります。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は2,929百万円の支出(前連結会計年度は2,626百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払いによる支出の結果であります。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の30,036百万円に対して、9,553百万円増加し、39,589百万円となりました。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な運転資金であり、必要資金については自己資金の充当及び金融機関からの借入により調達しております。当社グループは、「質」にこだわる経営を推進し、健全かつ強固な財務体質を構築してきました。また2020年度よりスタートした中期経営計画「VISION24」において、持続的な成長を目指すため、5年間で200億円の成長投資を行っていく予定です。
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の経済は先行きの不透明感が継続しておりますが、当社は十分な流動性資金を確保しており、事業運営への影響はありません。
(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年度よりスタートした中期経営計画「VISION24」(2020~2024年度:5ヵ年計画)に基づき、「新たな成長戦略と総合力で持続的発展を!」をテーマに、「総合設備企業グループ」として、各部門の施工力、技術力の底上げに向けて資源を投入し、売上高の拡大を図るとともに、各部門が連携した総合力で、客先へのトータルサービスを拡大してまいります。当社グループは、中期経営計画「VISION24」において、経営上の目標の達成状況を判断するために、「受注高」、「売上高」、「経常利益(率)」、「ROE(自己資本当期純利益率)」、「自己資本比率」及び「配当性向」を重要な指標として測定することとしており、2024年度の数値目標として、「受注高:2,000億円」、「売上高:2,000億円」、「経常利益(率):150億円(7.5%)」、「ROE(自己資本当期純利益率):10%をターゲット」、「自己資本比率:50%水準を維持」、「配当性向:40%をターゲット(2024年度)」をそれぞれ掲げております。なお、当連結会計年度におきましては、「受注高:162,140百万円」、「売上高:154,053百万円」、「経常利益(率):11,937百万円(7.7%)」、「ROE:10.3%」、「自己資本比率:56.5%」、「配当性向:32.7%」となり、「VISION24」の初年度として、2024年度の数値目標達成に向け着実に前進しております。
(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結企業集団が営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
(2) 受注実績
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) |
設備工事業 | 158,391 | 153,854 |
電力工事 | 22,050 | 18,609 |
一般電気工事 | 95,267 | 93,414 |
情報通信工事 | 29,419 | 32,109 |
プラント・空調工事 | 11,653 | 9,720 |
その他事業 | 8,886 | 8,285 |
合計 | 167,277 | 162,140 |
(3) 売上実績
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) |
設備工事業 | 164,024 | 145,767 |
電力工事 | 22,012 | 20,941 |
一般電気工事 | 103,582 | 87,097 |
情報通信工事 | 26,377 | 27,652 |
プラント・空調工事 | 12,051 | 10,075 |
その他事業 | 8,886 | 8,285 |
合計 | 172,910 | 154,053 |
(4) 受注残高
セグメントの名称 | 前連結会計年度末 (百万円) | 当連結会計年度末 (百万円) |
設備工事業 | 89,244 | 97,331 |
電力工事 | 17,994 | 15,661 |
一般電気工事 | 54,777 | 61,094 |
情報通信工事 | 10,825 | 15,281 |
プラント・空調工事 | 5,648 | 5,293 |
その他事業 | - | - |
合計 | 89,244 | 97,331 |
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
受注工事高及び施工高の状況
(1) 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高
期別 | 工事種別 | 前期繰越 工事高 (百万円) | 当期受注 工事高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期完成 工事高 (百万円) | 次期繰越工事高 | 当期施工高 (百万円) | ||
手持工事高 (百万円) | 手持工事高 のうち 施工高 (%) | 手持工事高 のうち 施工高 (百万円) | |||||||
第95期 (自 2019年 4月 1日 至 2020年 3月31日) | 電力工事 | 18,032 | 22,014 | 40,047 | 22,040 | 18,007 | 3 | 589 | 22,329 |
一般電気工事 | 51,034 | 63,913 | 114,947 | 72,846 | 42,101 | 3 | 1,061 | 72,979 | |
情報通信工事 | 7,809 | 29,088 | 36,897 | 26,072 | 10,825 | 9 | 969 | 25,987 | |
プラント・ 空調工事 | 208 | 9,396 | 9,605 | 3,954 | 5,650 | 2 | 105 | 4,056 | |
その他 | - | 469 | 469 | 469 | - | - | - | 469 | |
計 | 77,085 | 124,882 | 201,967 | 125,382 | 76,584 | 4 | 2,725 | 125,823 | |
第96期 (自 2020年 4月 1日 至 2021年 3月31日) | 電力工事 | 18,007 | 18,593 | 36,601 | 20,940 | 15,660 | 3 | 495 | 20,846 |
一般電気工事 | 42,101 | 65,802 | 107,903 | 60,204 | 47,699 | 2 | 864 | 60,007 | |
情報通信工事 | 10,825 | 31,695 | 42,520 | 27,238 | 15,281 | 6 | 909 | 27,178 | |
プラント・ 空調工事 | 5,650 | 9,732 | 15,383 | 10,081 | 5,301 | 2 | 113 | 10,090 | |
その他 | - | 605 | 605 | 605 | - | - | - | 605 | |
計 | 76,584 | 126,430 | 203,014 | 119,071 | 83,943 | 3 | 2,382 | 118,728 |
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。
(2) 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 | 工事種別 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
第95期 (自 2019年4月 1日 至 2020年3月31日) | 電力工事 | 76.6 | 23.4 | 100.0 |
一般電気工事 | 50.6 | 49.4 | 100.0 | |
情報通信工事 | 85.9 | 14.1 | 100.0 | |
プラント・空調工事 | 99.5 | 0.5 | 100.0 | |
第96期 (自 2020年4月 1日 至 2021年3月31日) | 電力工事 | 66.4 | 33.6 | 100.0 |
一般電気工事 | 47.6 | 52.4 | 100.0 | |
情報通信工事 | 90.9 | 9.1 | 100.0 | |
プラント・空調工事 | 99.6 | 0.4 | 100.0 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
(3) 完成工事高
期別 | 工事種別 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 計(百万円) |
第95期 (自 2019年4月 1日 至 2020年3月31日) | 電力工事 | 42 | 21,997 | 22,040 |
一般電気工事 | 4,091 | 68,754 | 72,846 | |
情報通信工事 | 783 | 25,289 | 26,072 | |
プラント・空調工事 | 2 | 3,951 | 3,954 | |
その他 | - | 469 | 469 | |
計 | 4,919 | 120,463 | 125,382 | |
第96期 (自 2020年4月 1日 至 2021年3月31日) | 電力工事 | - | 20,940 | 20,940 |
一般電気工事 | 4,272 | 55,931 | 60,204 | |
情報通信工事 | 1,795 | 25,443 | 27,238 | |
プラント・空調工事 | 25 | 10,055 | 10,081 | |
その他 | - | 605 | 605 | |
計 | 6,093 | 112,977 | 119,071 |
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第95期の請負金額1,400百万円以上の主なもの
発注者 | 工事名称 |
大成建設㈱ | 東京国際空港第2ターミナル国際線施設建設工事電気設備工事 |
㈱大林組 | (仮称)神田錦町二丁目計画新築電気設備工事 |
㈱大林組 | 立飛みどり地区プロジェクトA-2地区新築電気設備工事 |
関電工・住友・サンテック・旭日・八千代建設共同企業体 | 東京国際展示場(28)増築電気設備工事 |
三井金属エンジニアリング㈱ | 神岡鉱業・水力発電更新工事 |
第96期の請負金額1,400百万円以上の主なもの
発注者 | 工事名称 |
鹿島建設㈱ | ウィンドファームつがる建設 特高ルート管路土木工事 |
㈱大林組 | 大阪国際空港ターミナルビル改修工事 |
関西電力送配電㈱ | 大黒部幹線№289~298改良工事ならびにこれに伴う除却工事 |
㈱ミライト・テクノロジーズ | 仙台ハイランドメガソーラー第1発電所建設工事 |
㈱日本総合研究所 | ㈱日本総合研究所 鰻谷センター 特高受変電設備更改工事 |
2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(4) 手持工事高(2021年3月31日現在)
工事種別 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 計(百万円) |
電力工事 | - | 15,660 | 15,660 |
一般電気工事 | 6,083 | 41,615 | 47,699 |
情報通信工事 | 202 | 15,079 | 15,281 |
プラント・空調工事 | 7 | 5,294 | 5,301 |
計 | 6,293 | 77,650 | 83,943 |
(注) 手持工事のうち請負金額2,000百万円以上の主なもの
発注者 | 工事名称 | 完成予定 |
西松建設㈱ | (仮称)DPL流山2新築工事 | 2021年10月 |
関西電力送配電㈱ | 新加古川線改良工事ならびにこれに伴う除却工事(2工区) | 2024年 9月 |
㈱日本総合研究所 | ㈱日本総合研究所 鰻谷センター 非常用発電機更改工事 | 2024年 3月 |
楽天モバイル㈱ | 楽天モバイル 基地局建設工事(関東 Phase1) | 2021年 9月 |
㈱錢高組 | SCSK千葉第3ビル新築電気設備工事 | 2022年 3月 |
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因や当該要因への対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」を参照のこと。
(重要な会計方針及び見積り)
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠し、作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。当社の重要な会計方針のうち、特に見積り、判断の度合いが高いものは以下の項目であります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
収益の認識
当社は請負工事契約に関して、一定の期間にわたり充足される履行義務は、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識し、一時点で充足される履行義務は、工事完了時に収益を認識することとしておりますが、業界の慣行から追加工事を含め、正式な契約書の締結が遅れる場合があり、この場合には、当社は期末日時点において合理的に請負代金を見積り、収益計上をしております。従って、当社の見積りと実績が異なった場合、翌期の損益に影響を与える可能性があります。
また、工事原価総額の見積りにあたっては、利害を別とする関係部門間で協議し、工事契約を遂行するための作業内容を特定・網羅し、かつ個々に適切な原価を算定した上で、着工後の工期変更、人件費・労務費の増減、使用部材の価格変動や仕様変更がある場合、適時に工事原価の見直しを行っております。
しかしながら、大規模工事においては原価要素が多く、工期も長期にわたることから、設計変更や追加工事、工期延長等の可能性があります。そのため、工事内容の見直しがあった場合には、当連結会計年度末時点の工事原価総額の見積りにおいて不確実性があり、翌連結会計年度の損益に影響を与える可能性があります。
なお、当社は、新型コロナウイルス感染症による影響について、進行中工事の状況確認等の情報収集を実施した結果、当連結会計年度末の会計上の見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。一方で、感染症終息時期の見通しが立たない中、当社の事業環境は非常に不透明な状況にあり、翌期の損益に影響を及ぼす可能性について引き続き注視していく必要があります。