有価証券報告書-第62期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/25 13:54
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147項目
重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における連結経営成績は以下のとおりであります。なお、当社は、前第3四半期連結会計期間より連結財務諸表を作成しており、連結子会社のみなし取得日を同連結会計期間末日としているため、前期の連結損益計算書には前第3四半期連結累計期間の子会社の業績を含んでおりません。
当連結会計年度におけるわが国経済は、相次ぐ自然災害の影響等がありましたが、好調な企業業績等を背景に雇用・所得環境が改善した他、設備投資が増加する等、堅調に推移しました。また、世界経済は、緩やかな回復基調にありますが、米国の保護貿易政策を発端とした貿易摩擦激化や英国のEU離脱問題等により、今後の動向は不透明な状況にあり、日本経済に与える影響も懸念されます。
食品業界におきましては、人口減少傾向により、国内市場の拡大が困難となる中で、差別化によるマーケットシェアの確保、海外市場の開拓、新たな付加価値の創出や継続的な安全性確保等への対応が求められています。
このような状況下、当社グループは、顧客ニーズや用途多様性に着目した製品ラインナップを揃え、積極的な販促を行いました。
ごま油においては、純正ごま油濃口200gの発売を契機に、多くのファンに親しまれる宝塚歌劇団と提携した「宝塚歌劇ご招待キャンペーン」を実施し、より強い風味が特徴である同製品の認知拡大やブランド力向上を図りました。また、純正ごま油PET600g製品においては、家庭用と業務用のいずれの販路も期待できる中容量品として、積極的な販促を行い、好調に推移しました。以上により、販売数量は前期比102.4%となりました。
食品ごまにおいては、家庭用製品の取引が拡大する等、好調に販売が推移した他、前期11月に家庭用食品ごまに強みを持つカタギ食品株式会社を子会社化したことにより、販売数量の底上げがされております。また、分離しても揉み混ぜることができる包材であるスパウトパウチを使用した直火焙煎香ばしねりごまの発売を11月より開始しました。以上により、販売数量は前期比132.0%となりました。
また、原料価格が上昇局面となったことから、2月に業務用製品を対象として、価格是正を行っております。
一方、コスト面では、原料価格の上昇に加え、第二工場人員の採用等による従業員増を背景とした退職給付会計の簡便法から原則法への移行に伴う退職給付費用の増加が生じた他、販売数量伸長に伴って変動費が増加しております。以上の他、子会社連結の影響もあり、売上原価は前期比117.6%、販売費及び一般管理費は前期比119.0%となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高34,380百万円(前期比3,779百万円増)、経常利益は4,432百万円(前期比706百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,949百万円(前期比516百万円減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ごま油事業
ごま油事業におきましては、家庭用は、交通機関へのステッカー広告や「宝塚歌劇ご招待キャンペーン」等の広告施策と連動した積極的な拡販が奏功した他、新たな使用用途を訴求した新製品である純正ごま油濃口200gの販売も順調に推移しました。また、業務用製品につきましては、純正ごま油PET600g製品の家庭用市場における販売が拡大した他、加工ユーザー向けの販売も好調に推移しました。なお、業務用製品を対象として価格是正を2月より実施しており、一部値上げ前の需要増も生じております。輸出用につきましては、海外展示会の出展や集中的な販促キャンペーンの実施等を行ったものの、為替レートが前期より円高に推移した影響に伴う販売単価低下等により、販売金額は前期より減少しております。
一方、コスト面では、原料価格の上昇や退職給付会計の原則法移行に伴う退職給付費用の増加、販売数量伸長に伴う変動費増の他、生産能力増強のために5月に実施した搾油用焙煎機更新に伴う減価償却負担等により、売上原価及び販売費及び一般管理費はそれぞれ前期比で増加しております。
以上の結果、売上高は25,494百万円(前期比647百万円増)、セグメント利益は3,464百万円(前期比882百万円減)となりました。
②食品ごま事業
食品ごま事業におきましては、食品ごまは、業務用が価格競争激化等に伴い販売数量を落としたものの、家庭用におけるドラッグストア向け等の販売増及び新規PBの獲得や、カタギ食品株式会社の子会社化に伴う販売数量の底上げ等により、食品ごま全体の販売数量は前期より増加しました。ねりごまにつきましては、家庭用の黒ごま製品におけるインバウンド需要が伸長した他、業務用においてもコンビニエンスストアの惣菜向け製品が好調に推移しました。
一方、コスト面では、子会社への充填委託等のグループ内の生産体制効率化に取り組みましたが、原料価格の上昇や退職給付会計の原則法移行に伴う退職給付費用の増加、販売数量伸長に伴う変動費増の他、子会社連結に伴う規模拡大等により売上原価及び販売費及び一般管理費はそれぞれ前期比で増加しております。
以上の結果、売上高は8,823百万円(前期比3,092百万円増)、セグメント利益は708百万円(前期比3百万円増)となりました。
(2)経営上の目標の達成状況
当社グループは収益力の指標である売上高経常利益率を重視しており、同指標10%以上を経営上の目標としております。
なお、当連結会計年度の売上高経常利益率は12.9%となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
ごま油(トン)52,020102.2
内訳
(ごま油(トン))(29,027)101.4
(脱脂ごま(トン))(22,993)103.1
食品ごま(トン)14,634130.0
合計(トン)66,654107.2

(注)1.ごま油生産数量には、輸入原料油、脱脂ごまを含みます。
2.ごま油生産数量は、生産内容が異なるため内訳を記載しております。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
その他(百万円)36188.4
合計(百万円)36188.4

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(3)受注実績
当社は受注生産は行っておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
ごま油(百万円)25,494102.6
食品ごま(百万円)8,823153.9
報告セグメント計(百万円)34,317112.2
その他(百万円)62268.7
合計(百万円)34,380112.3

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
三井物産㈱11,88838.812,37336.0
三菱商事㈱4,67415.34,54213.2

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産におきましては、前連結会計年度末に比べ3,612百万円減少し、20,577百万円となりました。
これは原料在庫数量の増加等により、たな卸資産が1,028百万円増加するなどの増加要因があったものの、現金及び預金が5,452百万円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産におきましては、前連結会計年度末に比べ6,919百万円増加し、15,660百万円となりました。
これは建物及び構築物が146百万円減少するなど減少要因があったものの、新工場投資等により建設仮勘定が5,230百万円、土地が1,767百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債におきましては、前連結会計年度末に比べ1,143百万円増加し、7,932百万円となりました。
これは未払法人税等が506百万円減少するなど減少要因があったものの、新工場建設工事費の計上などにより未払金が1,349百万円増加、期末原料仕入れの増加などにより支払手形及び買掛金が648百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債におきましては、前連結会計年度末に比べ570百万円増加し、1,793百万円となりました。
これは退職給付会計における簡便法から原則法への移行の影響等により退職給付に係る負債が605百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,713百万円増加し、9,725百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産におきましては、前連結会計年度末に比べ1,593百万円増加し、26,511百万円となりました。
これは親会社株主に帰属する当期純利益2,949百万円の計上と配当金の支払い1,379百万円の加減算により利益剰余金が1,569百万円増加したこと等によるものであります。
(2)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ12.3%増加し、34,380百万円となりました。
主な内訳はごま油25,494百万円、食品ごま8,823百万円、その他62百万円であります。
(売上原価)
売上原価は、前連結会計年度に比べ17.6%増加し、19,286百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益におきましては、前連結会計年度に比べ888百万円増加し15,094百万円となり、売上高総利益率は前連結会計年度に比べ2.5ポイント減少し、43.9%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費におきましては、前連結会計年度に比べ1,745百万円増加し10,888百万円となりました。
主な内訳は、販売促進費4,507百万円、運送費及び保管料1,635百万円であります。
(営業利益)
売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した営業利益におきましては、前連結会計年度に比べ857百万円減少し4,205百万円となり、売上高営業利益率は4.3ポイント減少し、12.2%となりました。
(営業外収益・費用)
営業外損益は、営業外収益275百万円から営業外費用48百万円差し引いた純額が、前連結会計年度に比べ151百万円増加し、226百万円の利益となりました。
(経常利益)
営業利益に営業外収益・費用を加減算した経常利益におきましては、前連結会計年度に比べ706百万円減少し4,432百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ3.9ポイント減少し、12.9%となりました。
(特別利益・損失)
特別損益におきましては、固定資産売却益を60百万円計上したものの、固定資産除売却損が144百万円増加したことにより、特別利益から特別損失を差し引いた純額は、前連結会計年度に比べ84百万円減少し、97百万円の損失となりました。
(税金等調整前当期純利益)
経常利益から特別利益・損失を加減算した税金等調整前当期純利益におきましては、前連結会計年度末に比べ790百万円減少し、4,334百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計が1,385百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ516百万円減少し2,949百万円となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度に比べ2.7ポイント減少し8.6%となりました。
なお、1株当たりの当期純利益は320円62銭、自己資本当期純利益率は11.5%、総資産経常利益率は12.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ5,366百万円減少し、5,640百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,442百万円の収入(前期比3,311百万円収入減)となりました。これはたな卸資産の増加額1,028百万円や売上債権の増加額368百万円、法人税等の支払額2,127百万円など減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益4,334百万円や減価償却費782百万円、仕入債務の増加額646百万円などの増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,428百万円の支出(前期比5,145百万円支出増)となりました。これは新工場投資等に伴う有形固定資産の取得による支出が6,661百万円あったこと等によるものであります。なお、いずれの支出も原資は自己資金によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,380百万円の支出(前期比2,582百万円支出減)となりました。これは配当金の支払いによる支出が1,379百万円あったこと等によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、生産活動(原材料の購入や労務費、設備の修繕費等)及び販売活動(人件費や販売促進費の支払等)等による運転資金需要や、設備投資に関する設備資金需要になります。なお、設備投資については、生産活動維持のための設備更新の他、市場拡大に備えた生産能力増強等について、市場環境や販売動向を注視した上で行う方針です。
資金調達
当社グループの資金需要に対しては、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて獲得した自己資金により充当する方針にあります。但し、原料価格の上昇や大規模設備投資等による一時的な資金不足が生じた場合には、金融機関からの短期借入による調達を行う可能性があります。
なお、当社では資金の流動性担保のため、取引銀行1行と当座貸越契約及び取引銀行4行とコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約に基づく当連結会計年度末における当座貸越極度額は2,000百万円、コミットメントライン契約における借入未実行残高は5,000百万円になります。