有価証券報告書-第64期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症問題により、政府より緊急事態宣言が発出され、外出自粛や休業が広がる等、経済活動が大きく制限される環境下にありました。また、緊急事態宣言解除後も新型コロナウイルスの感染再拡大が生じる中で、感染拡大防止と経済活動の維持・拡大との両立が課題となっております。また、世界経済においても、新型コロナウイルス感染症問題の影響は大きく、多くの国で都市封鎖や飲食店への規制等の対策が講じられる等、世界的にも経済活動が制限される事態となっております。足元では各地でワクチンの接種が広がりつつありますが、終息時期の予測も難しく、先行きが不透明な状況が続いております。
食品業界におきましては、緊急事態宣言下での飲食店の休業や感染予防による外食控えの影響等により、家計における内食が増加する等、大きく市場環境が変化しております。また、食を提供するインフラの役割として、これまで以上に安心・安全を前提とした安定的な事業継続が求められています。
このような状況下、当社グループは、状況に応じた出張等の制限、工場見学の停止、テレワーク勤務の導入、従業員に対する検査への補助等、感染症拡大を防ぐ取組を行う中で、厳格な生産管理体制のもと、安定的な製品供給の確保に注力しました。また、在宅機会や内食の増加等に向けて、WEB広告施策を強化する等、市場環境の変化への対応にも取り組んでおります。
ごま油におきましては、家庭用は、内食の増加の影響等により、販売数量は前期に比べ増加しました。また、業務用は、外食産業向けの販売が落ち込んだものの、加工ユーザー向けの販売が好調に推移し、販売数量は前期に比べ増加しております。一方で、輸出用は、外食産業向けの販売の落ち込みが大きく、販売数量は前期に比べ減少しております。以上により、ごま油全体の販売数量は前期比102.7%、販売金額は前期比106.4%となりました。
食品ごまにおきましても、ごま油と同様の傾向にあり、家庭用の販売数量は前期に比べ増加したものの、業務用の販売数量が落ち込み、食品ごま全体の販売数量は前期比91.8%、販売金額は前期比96.4%となりました。
一方、コスト面におきまして、売上原価は、袖ケ浦工場が前期2月に完成したことに伴う減価償却費の大幅な増加等により、前期比107.2%となりました。また、販売費及び一般管理費は、営業活動の制限等に伴う旅費交通費や広告宣伝費等の減少等があったものの、家庭用製品の販売伸長に伴う販売促進費の増加等により、前期比100.4%となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高35,100百万円(前期比1,319百万円増)、経常利益は3,135百万円(前期比327百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,101百万円(前期比450百万円減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ごま油事業
ごま油事業におきましては、家庭用は、新型コロナウイルス感染症問題の影響による家計における内食の増加等に伴う需要増により、販売数量は前期に比べ増加しました。また、内食需要の高まりに向けて、SNSを含むWEB施策を強化する等、環境に対応した広告施策を展開しております。また、当期2月にはごま油業界初の特定保健用食品である「健やかごま油」の販売を開始しており、健康志向の上昇に伴い拡大傾向にあるごま油市場の中で、健康価値の訴求により、さらなる需要の獲得に取り組んでおります。
業務用は、政府によるGo To Eatキャンペーン施策が需要の下支えとなりましたが、緊急事態宣言下での飲食店の休業や感染予防による外食控えの影響等が大きく、外食産業向けの販売は前期に比べ減少しました。しかしながら、家庭用製品を取り扱う加工ユーザー向けの販売が好調に推移し、業務用全体の販売数量は前期に比べ増加しております。
また、輸出用は、主力である北米市場においても新型コロナウイルス感染症問題の影響が大きく、小売店向けの小容量品の販売等が堅調に推移したものの、飲食店における店内飲食禁止等の措置や外食に対する敬遠が広がる等、外食産業向けの需要が減退し、販売数量は前期に比べ、減少しております。
一方、コスト面では、売上原価は、袖ケ浦工場が前期2月に完成したことによる減価償却費の大幅な増加や工場稼働に伴う操業コストの発生等により、前期に比べ増加しました。また、販売費及び一般管理費は、営業活動の制限に伴う旅費交通費等の経費使用減や交通機関への広告施策取り止め等があったものの、家庭用製品の販売伸長に伴う販売促進費の増加等により、前期に比べ増加しました。
以上の結果、売上高は26,438百万円(前期比1,612百万円増)、セグメント利益は2,375百万円(前期比246百万円減)となりました。
②食品ごま事業
食品ごま事業におきましては、ごま油事業と同様に、家庭用は、新型コロナウイルス感染症問題の影響による家計における内食の増加等に伴う需要増により、販売数量は前期に比べ増加しました。また、家庭用食品ごまに強みを持つ子会社のカタギ食品において、有機ごま製品等の販売が好調であったことも貢献しております。なお、業務用は、外食産業向けの販売が落ち込んだ上、ねりごまにおける総菜向け需要の他、加工ユーザー向けの需要も減少したこと等により、販売数量は前期に比べ減少しました。
一方、コスト面では、売上原価は、販売数量の減少等により前期に比べ減少しました。また、販売費及び一般管理費は、営業活動の制限に伴う旅費交通費等の経費使用減等により、前期に比べ減少しました。
以上の結果、売上高は8,550百万円(前期比317百万円減)、セグメント利益は584百万円(前期比3百万円減)となりました。
(2)経営上の目標の達成状況
当社グループは収益力の指標である売上高経常利益率を重視しており、同指標10%以上を経営上の目標としております。また、2020年5月に策定しました中期経営計画において、企業価値の向上のため資本効率性指標であるROE8%以上の維持・継続という中長期的な目標を定めております。同計画による新たな事業戦略及び経営基盤の再構築等のもと、経営課題及び財務目標の達成に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度の売上高経常利益率は8.9%、ROEは7.4%となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.ごま油生産数量には、輸入原料油、脱脂ごまを含みます。
2.ごま油生産数量は、生産内容が異なるため内訳を記載しております。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(3)受注実績
当社は受注生産は行っておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産におきましては、前連結会計年度末に比べ765百万円減少し、19,789百万円となりました。
これは受取手形及び売掛金が744百万円、商品及び製品が151百万円増加するなどの増加要因があったものの、現金及び預金が1,142百万円、未収消費税が656百万円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産におきましては、前連結会計年度末に比べ1,275百万円減少し、16,524百万円となりました。
これは袖ケ浦工場の減価償却等により機械装置及び運搬具が979百万円、建設仮勘定が126百万円減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債におきましては、前連結会計年度末に比べ3,106百万円減少し、5,166百万円となりました。
これは未払法人税等が383百万円増加するなどの増加要因があったものの、短期借入金が2,000百万円、支払手形及び買掛金が1,486百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債におきましては、前連結会計年度末に比べ4百万円増加し、2,047百万円となりました。
これは退職給付に係る負債が15百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,101百万円減少し、7,213百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産におきましては、前連結会計年度末に比べ1,060百万円増加し、29,100百万円となりました。
これは親会社株主に帰属する当期純利益2,101百万円の計上と配当金の支払い1,013百万円の加減算により利益剰余金が1,088百万円増加したこと等によるものであります。
(セグメントごとの分析)
当連結会計年度末のごま油セグメントの資産は、前連結会計年度末に比べ891百万円減少し、21,837百万円となりました。これは袖ケ浦工場の減価償却等によるものであります。
また、食品ごまセグメントの資産は前連結会計年度末に比べ779百万円増加し、7,885百万円となりました。これは同セグメントにおける原材料及び貯蔵品の増加等によるものであります。
(2)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ3.9%増加し、35,100百万円となりました。
主な内訳はごま油26,438百万円、食品ごま8,550百万円、その他111百万円であります。
(売上原価)
売上原価は、前連結会計年度に比べ7.2%増加し、22,223百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益におきましては、前連結会計年度に比べ188百万円減少し12,877百万円となり、売上高総利益率は前連結会計年度に比べ2.0ポイント減少し、36.7%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費におきましては、前連結会計年度に比べ45百万円増加し9,856百万円となりました。
主な内訳は、販売促進費3,764百万円、運送費及び保管料1,590百万円、給料及び手当1,091百万円であります。
(営業利益)
売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した営業利益におきましては、前連結会計年度に比べ234百万円減少し3,021百万円となり、売上高営業利益率は1.0ポイント減少し、8.6%となりました。
(営業外収益・費用)
営業外損益は、営業外収益129百万円から営業外費用15百万円差し引いた純額が、前連結会計年度に比べ92百万円減少し、114百万円の利益となりました。
(経常利益)
営業利益に営業外収益・費用を加減算した経常利益におきましては、前連結会計年度に比べ327百万円減少し3,135百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ1.3ポイント減少し、8.9%となりました。
(特別利益・損失)
特別損益におきましては、固定資産除売却損を22百万円計上したこと等により、特別利益から特別損失を差し引いた純額は、前連結会計年度に比べ21百万円減少し、22百万円の損失となりました。
(税金等調整前当期純利益)
経常利益から特別利益・損失を加減算した税金等調整前当期純利益におきましては、前連結会計年度末に比べ348百万円減少し、3,113百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計が1,011百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ450百万円減少し2,101百万円となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度に比べ1.6ポイント減少し6.0%となりました。
なお、1株当たりの当期純利益は228円43銭、ROE(自己資本当期純利益率)は7.4%、総資産経常利益率は8.4%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,142百万円減少し、2,846百万円となりました。
なお、当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,715百万円の収入(前期比1,032百万円収入増)となりました。これは仕入債務の減少額1,493百万円、売上債権の増加額744百万円など減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益3,113百万円や減価償却費1,840百万円などの増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、846百万円の支出(前期比3,380百万円支出減)となりました。これは前期2月に完成した袖ケ浦工場等の有形固定資産の取得による支出が996百万円あったこと等によるものであります。なお、いずれの支出も原資は自己資金によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,011百万円の支出(前期比3,905百万円支出増)となりました。これは短期借入金の減少額が2,000百万円、配当金の支払いが1,013百万円あったこと等によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、生産活動(原材料の購入や労務費、設備の修繕費等)及び販売活動(人件費や販売促進費の支払等)等による運転資金需要や、設備投資に関する設備資金需要になります。なお、設備投資については、生産活動維持のための設備更新の他、市場拡大に備えた生産能力増強等について、市場環境や販売動向を注視した上で行う方針です。
資金調達
当社グループの資金需要に対しては、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて獲得した自己資金により充当する方針にあります。但し、原料価格の上昇や大規模設備投資等による一時的な資金不足が生じた場合には、金融機関からの短期借入による調達を行います。
なお、当社では資金の流動性担保のため、取引銀行と当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当座貸越極度額は3,000百万円であります。また、コミットメントライン契約については、シンジケーション方式により総借入極度額5,000百万円の契約の再締結を2021年6月末までに予定しております。
株主還元
当社グループは、株主への利益還元を経営の重点政策の一つと位置付けております。期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針し、単体の当期純利益の40%を目処として業績に連動させた配当を採用しております。ただし、業績に関わらず1株当たり20円以上の配当を継続して行えるよう努力してまいります。
(4)新型コロナウイルス感染症問題の影響
新型コロナウイルス感染症問題においては、全世界的な感染の拡大による国内外の外食産業の休業や営業時間短縮等の影響により、外食産業向けの売上高は落ち込みましたが、いわゆる巣ごもり需要と呼ばれる内食の増加等により、家庭用や家庭用製品を取り扱う加工ユーザー向けの売上高が増加しました。その結果、全社的な売上高が想定を上回る等、当期における短期的な業績に対しては深刻な影響はありませんでした。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症問題により、政府より緊急事態宣言が発出され、外出自粛や休業が広がる等、経済活動が大きく制限される環境下にありました。また、緊急事態宣言解除後も新型コロナウイルスの感染再拡大が生じる中で、感染拡大防止と経済活動の維持・拡大との両立が課題となっております。また、世界経済においても、新型コロナウイルス感染症問題の影響は大きく、多くの国で都市封鎖や飲食店への規制等の対策が講じられる等、世界的にも経済活動が制限される事態となっております。足元では各地でワクチンの接種が広がりつつありますが、終息時期の予測も難しく、先行きが不透明な状況が続いております。
食品業界におきましては、緊急事態宣言下での飲食店の休業や感染予防による外食控えの影響等により、家計における内食が増加する等、大きく市場環境が変化しております。また、食を提供するインフラの役割として、これまで以上に安心・安全を前提とした安定的な事業継続が求められています。
このような状況下、当社グループは、状況に応じた出張等の制限、工場見学の停止、テレワーク勤務の導入、従業員に対する検査への補助等、感染症拡大を防ぐ取組を行う中で、厳格な生産管理体制のもと、安定的な製品供給の確保に注力しました。また、在宅機会や内食の増加等に向けて、WEB広告施策を強化する等、市場環境の変化への対応にも取り組んでおります。
ごま油におきましては、家庭用は、内食の増加の影響等により、販売数量は前期に比べ増加しました。また、業務用は、外食産業向けの販売が落ち込んだものの、加工ユーザー向けの販売が好調に推移し、販売数量は前期に比べ増加しております。一方で、輸出用は、外食産業向けの販売の落ち込みが大きく、販売数量は前期に比べ減少しております。以上により、ごま油全体の販売数量は前期比102.7%、販売金額は前期比106.4%となりました。
食品ごまにおきましても、ごま油と同様の傾向にあり、家庭用の販売数量は前期に比べ増加したものの、業務用の販売数量が落ち込み、食品ごま全体の販売数量は前期比91.8%、販売金額は前期比96.4%となりました。
一方、コスト面におきまして、売上原価は、袖ケ浦工場が前期2月に完成したことに伴う減価償却費の大幅な増加等により、前期比107.2%となりました。また、販売費及び一般管理費は、営業活動の制限等に伴う旅費交通費や広告宣伝費等の減少等があったものの、家庭用製品の販売伸長に伴う販売促進費の増加等により、前期比100.4%となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高35,100百万円(前期比1,319百万円増)、経常利益は3,135百万円(前期比327百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,101百万円(前期比450百万円減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ごま油事業
ごま油事業におきましては、家庭用は、新型コロナウイルス感染症問題の影響による家計における内食の増加等に伴う需要増により、販売数量は前期に比べ増加しました。また、内食需要の高まりに向けて、SNSを含むWEB施策を強化する等、環境に対応した広告施策を展開しております。また、当期2月にはごま油業界初の特定保健用食品である「健やかごま油」の販売を開始しており、健康志向の上昇に伴い拡大傾向にあるごま油市場の中で、健康価値の訴求により、さらなる需要の獲得に取り組んでおります。
業務用は、政府によるGo To Eatキャンペーン施策が需要の下支えとなりましたが、緊急事態宣言下での飲食店の休業や感染予防による外食控えの影響等が大きく、外食産業向けの販売は前期に比べ減少しました。しかしながら、家庭用製品を取り扱う加工ユーザー向けの販売が好調に推移し、業務用全体の販売数量は前期に比べ増加しております。
また、輸出用は、主力である北米市場においても新型コロナウイルス感染症問題の影響が大きく、小売店向けの小容量品の販売等が堅調に推移したものの、飲食店における店内飲食禁止等の措置や外食に対する敬遠が広がる等、外食産業向けの需要が減退し、販売数量は前期に比べ、減少しております。
一方、コスト面では、売上原価は、袖ケ浦工場が前期2月に完成したことによる減価償却費の大幅な増加や工場稼働に伴う操業コストの発生等により、前期に比べ増加しました。また、販売費及び一般管理費は、営業活動の制限に伴う旅費交通費等の経費使用減や交通機関への広告施策取り止め等があったものの、家庭用製品の販売伸長に伴う販売促進費の増加等により、前期に比べ増加しました。
以上の結果、売上高は26,438百万円(前期比1,612百万円増)、セグメント利益は2,375百万円(前期比246百万円減)となりました。
②食品ごま事業
食品ごま事業におきましては、ごま油事業と同様に、家庭用は、新型コロナウイルス感染症問題の影響による家計における内食の増加等に伴う需要増により、販売数量は前期に比べ増加しました。また、家庭用食品ごまに強みを持つ子会社のカタギ食品において、有機ごま製品等の販売が好調であったことも貢献しております。なお、業務用は、外食産業向けの販売が落ち込んだ上、ねりごまにおける総菜向け需要の他、加工ユーザー向けの需要も減少したこと等により、販売数量は前期に比べ減少しました。
一方、コスト面では、売上原価は、販売数量の減少等により前期に比べ減少しました。また、販売費及び一般管理費は、営業活動の制限に伴う旅費交通費等の経費使用減等により、前期に比べ減少しました。
以上の結果、売上高は8,550百万円(前期比317百万円減)、セグメント利益は584百万円(前期比3百万円減)となりました。
(2)経営上の目標の達成状況
当社グループは収益力の指標である売上高経常利益率を重視しており、同指標10%以上を経営上の目標としております。また、2020年5月に策定しました中期経営計画において、企業価値の向上のため資本効率性指標であるROE8%以上の維持・継続という中長期的な目標を定めております。同計画による新たな事業戦略及び経営基盤の再構築等のもと、経営課題及び財務目標の達成に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度の売上高経常利益率は8.9%、ROEは7.4%となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比(%) |
ごま油(トン) | 52,585 | 103.1 |
内訳 | ||
(ごま油(トン)) | (28,471) | 101.2 |
(脱脂ごま(トン)) | (24,113) | 105.5 |
食品ごま(トン) | 13,032 | 92.4 |
合計(トン) | 65,617 | 100.8 |
(注)1.ごま油生産数量には、輸入原料油、脱脂ごまを含みます。
2.ごま油生産数量は、生産内容が異なるため内訳を記載しております。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比(%) |
その他(百万円) | 57 | 117.2 |
合計(百万円) | 57 | 117.2 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(3)受注実績
当社は受注生産は行っておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比(%) |
ごま油(百万円) | 26,438 | 106.4 |
食品ごま(百万円) | 8,550 | 96.4 |
報告セグメント計(百万円) | 34,989 | 103.8 |
その他(百万円) | 111 | 127.0 |
合計(百万円) | 35,100 | 103.9 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
三井物産㈱ | 11,630 | 34.4 | 12,044 | 34.3 |
三菱商事㈱ | 4,057 | 12.0 | 4,520 | 12.8 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産におきましては、前連結会計年度末に比べ765百万円減少し、19,789百万円となりました。
これは受取手形及び売掛金が744百万円、商品及び製品が151百万円増加するなどの増加要因があったものの、現金及び預金が1,142百万円、未収消費税が656百万円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産におきましては、前連結会計年度末に比べ1,275百万円減少し、16,524百万円となりました。
これは袖ケ浦工場の減価償却等により機械装置及び運搬具が979百万円、建設仮勘定が126百万円減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債におきましては、前連結会計年度末に比べ3,106百万円減少し、5,166百万円となりました。
これは未払法人税等が383百万円増加するなどの増加要因があったものの、短期借入金が2,000百万円、支払手形及び買掛金が1,486百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債におきましては、前連結会計年度末に比べ4百万円増加し、2,047百万円となりました。
これは退職給付に係る負債が15百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,101百万円減少し、7,213百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産におきましては、前連結会計年度末に比べ1,060百万円増加し、29,100百万円となりました。
これは親会社株主に帰属する当期純利益2,101百万円の計上と配当金の支払い1,013百万円の加減算により利益剰余金が1,088百万円増加したこと等によるものであります。
(セグメントごとの分析)
当連結会計年度末のごま油セグメントの資産は、前連結会計年度末に比べ891百万円減少し、21,837百万円となりました。これは袖ケ浦工場の減価償却等によるものであります。
また、食品ごまセグメントの資産は前連結会計年度末に比べ779百万円増加し、7,885百万円となりました。これは同セグメントにおける原材料及び貯蔵品の増加等によるものであります。
(2)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ3.9%増加し、35,100百万円となりました。
主な内訳はごま油26,438百万円、食品ごま8,550百万円、その他111百万円であります。
(売上原価)
売上原価は、前連結会計年度に比べ7.2%増加し、22,223百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益におきましては、前連結会計年度に比べ188百万円減少し12,877百万円となり、売上高総利益率は前連結会計年度に比べ2.0ポイント減少し、36.7%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費におきましては、前連結会計年度に比べ45百万円増加し9,856百万円となりました。
主な内訳は、販売促進費3,764百万円、運送費及び保管料1,590百万円、給料及び手当1,091百万円であります。
(営業利益)
売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した営業利益におきましては、前連結会計年度に比べ234百万円減少し3,021百万円となり、売上高営業利益率は1.0ポイント減少し、8.6%となりました。
(営業外収益・費用)
営業外損益は、営業外収益129百万円から営業外費用15百万円差し引いた純額が、前連結会計年度に比べ92百万円減少し、114百万円の利益となりました。
(経常利益)
営業利益に営業外収益・費用を加減算した経常利益におきましては、前連結会計年度に比べ327百万円減少し3,135百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ1.3ポイント減少し、8.9%となりました。
(特別利益・損失)
特別損益におきましては、固定資産除売却損を22百万円計上したこと等により、特別利益から特別損失を差し引いた純額は、前連結会計年度に比べ21百万円減少し、22百万円の損失となりました。
(税金等調整前当期純利益)
経常利益から特別利益・損失を加減算した税金等調整前当期純利益におきましては、前連結会計年度末に比べ348百万円減少し、3,113百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計が1,011百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ450百万円減少し2,101百万円となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度に比べ1.6ポイント減少し6.0%となりました。
なお、1株当たりの当期純利益は228円43銭、ROE(自己資本当期純利益率)は7.4%、総資産経常利益率は8.4%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,142百万円減少し、2,846百万円となりました。
なお、当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,715百万円の収入(前期比1,032百万円収入増)となりました。これは仕入債務の減少額1,493百万円、売上債権の増加額744百万円など減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益3,113百万円や減価償却費1,840百万円などの増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、846百万円の支出(前期比3,380百万円支出減)となりました。これは前期2月に完成した袖ケ浦工場等の有形固定資産の取得による支出が996百万円あったこと等によるものであります。なお、いずれの支出も原資は自己資金によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,011百万円の支出(前期比3,905百万円支出増)となりました。これは短期借入金の減少額が2,000百万円、配当金の支払いが1,013百万円あったこと等によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、生産活動(原材料の購入や労務費、設備の修繕費等)及び販売活動(人件費や販売促進費の支払等)等による運転資金需要や、設備投資に関する設備資金需要になります。なお、設備投資については、生産活動維持のための設備更新の他、市場拡大に備えた生産能力増強等について、市場環境や販売動向を注視した上で行う方針です。
資金調達
当社グループの資金需要に対しては、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて獲得した自己資金により充当する方針にあります。但し、原料価格の上昇や大規模設備投資等による一時的な資金不足が生じた場合には、金融機関からの短期借入による調達を行います。
なお、当社では資金の流動性担保のため、取引銀行と当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当座貸越極度額は3,000百万円であります。また、コミットメントライン契約については、シンジケーション方式により総借入極度額5,000百万円の契約の再締結を2021年6月末までに予定しております。
株主還元
当社グループは、株主への利益還元を経営の重点政策の一つと位置付けております。期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針し、単体の当期純利益の40%を目処として業績に連動させた配当を採用しております。ただし、業績に関わらず1株当たり20円以上の配当を継続して行えるよう努力してまいります。
(4)新型コロナウイルス感染症問題の影響
新型コロナウイルス感染症問題においては、全世界的な感染の拡大による国内外の外食産業の休業や営業時間短縮等の影響により、外食産業向けの売上高は落ち込みましたが、いわゆる巣ごもり需要と呼ばれる内食の増加等により、家庭用や家庭用製品を取り扱う加工ユーザー向けの売上高が増加しました。その結果、全社的な売上高が想定を上回る等、当期における短期的な業績に対しては深刻な影響はありませんでした。