訂正有価証券報告書-第124期(2018/04/01-2019/03/31)

【提出】
2023/01/23 15:03
【資料】
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【項目】
151項目
経営成績等の状況の概要
(1)経営成績
当連結会計年度の当社グループの売上高は、前半は国内景気の緩やかな回復基調により堅調に推移しましたが、米国の通商政策による貿易摩擦の激化や年度後半の中国景気の減速の影響を受け、前連結会計年度比2.7%増の89,541百万円にとどまりました。
営業利益は、年度を通じた原燃料価格や物流コスト等の上昇が収益を押し下げるとともに、生産トラブルによる操業度低下や修繕費増によるコスト上昇のため、前連結会計年度比6.1%減の4,404百万円となりました。
経常利益は、休止工場にかかる固定費など営業外費用が減少し、前連結会計年度比6.4%増の4,553百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比54.8%増の3,606百万円となり、ROEは4.6%となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりです。
(化学事業)
売上高は前連結会計年度比4.7%増の81,256百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比3.8%減の6,326百万円となりました。
電子材料
誘電体のチタン酸バリウムは、当社が得意とする水熱合成法を活かして高付加価値品を開発しましたが、当連結会計年度は本格採用に至りませんでした。一方、誘電体材料の高純度炭酸バリウムは、需要家からのさらなる増産要請に対応するため小名浜事業所、堺事業所の両拠点で設備増強を進め、売上、収益を伸ばすことができました。
酸化チタン・亜鉛製品
中国の環境規制により酸化チタンの国内需給がひっ迫するなか、当社は繊維・フィルム用途など特殊な分野で拡販を進めるとともに、原料鉱石および燃料の価格高騰に対応するため価格転嫁を実施しましたが、設備トラブル等による製造原価の上昇が想定以上に大きく、採算が悪化しました。
太陽光に含まれる紫外線(UV)遮蔽機能をもつ超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、国内出荷は化粧品のインバウンド需要などが堅調に推移するとともに、新興国の人口増加や経済成長に伴いスキンケア化粧品の需要が世界的に大きく伸長しました。当社はこの需要を取り込むために設備投資を進め、売上、収益を大きく伸ばすことができました。
樹脂添加剤
国内向けはパイプおよびIT関連設備に使用するPVC 工業板が低調であったことに加えて原料価格の上昇もあり、収益性は悪化しました。
一方、東南アジアを主とした海外向けについては、非鉛系安定剤が堅調に推移するなかで、当連結会計年度中にはSIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD.(タイ)を新たに連結子会社に加え、海外事業の拡大を進めました。
衛生材料
世界人口の増加や東南アジア地域の高い経済成長、国内社会の高齢者増加の影響で、紙おむつの市場規模は拡大基調にあり、部材であるフィルム、テープなどの衛生部材の販売の伸びが収益の向上に貢献しました。また、生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)においても、生産効率の改善に取り組んだ結果、工場の安定操業が実現し、収益性の向上に大きく貢献することができました。
有機化学品
チオ製品が屈折率調整で使用されるプラスチックメガネレンズ市場は、新興地域におけるメガネ需要の拡大や高屈折率レンズの普及により堅調に推移しています。その需要増に応えるためチオ製品工場のさらなる生産効率改善に取り組み、プラスチックメガネレンズ向けの販売を伸ばすとともに、IT関連部材向けにチオール開発製品への拡販が図れました。
医薬品原薬・中間体の生産受託につきましては、中間体は大口顧客からの受託数量が減少しましたが、原薬が伸び、収益が回復いたしました。
触 媒
樹脂の水素添加工程などで使用されるニッケル触媒は、最終用途の光学フィルムや紙おむつ向け接着剤原料の市場拡大に伴い、販売を大きく伸ばすことができました。
火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、中国で環境規制が一段と強まるなか、現地メーカーとの品質差別化を図った製品で納入実績を重ね、さらには現地の鉄鋼業向けなどの民間需要を取り込みました。
受託加工
受託ビジネスは昨年に引き続き、売上、収益を伸ばしました。
(医療事業)
売上高は前連結会計年度比7.1%減の8,285百万円となりましたが、新製品の治験終了による委託外注費の減少などにより、営業利益は前連結会計年度比184.6%増の376百万円となりました。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、薬価引き下げや2016年厚生労働省発出の「がん検診実施のためのガイドライン」による受診年齢の引き上げ、胃内視鏡検診への移行など厳しい環境のもと、当社グループは、国内における大口需要先の更なる開拓や韓国、台湾への輸出拡大に取り組んでまいりました結果、国内市場の縮小を最小限に止めることができました。
消化性潰瘍・逆流性食道炎治療薬「アルロイドG」は、薬価引き下げや原料価格の上昇により収益率はやや低下しましたが、後発品メーカーの撤退により需要奪回に努めた結果、売上高は大幅に回復しました。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、機器本体の販売台数は高水準を維持したことに加え、メンテナンス契約獲得や消耗品販売が伸長し、収益性が大幅に向上しました。
一般用医薬品・その他
かぜ薬「改源」など一般用医薬品は、量販店主導の国内市場が伸び悩む中、台湾市場へのさらなる商品投入に向け、着実に準備を進めました。一方、新規事業として位置付けている美容医療機関向け事業が拡大し、特に日焼け対策サプリ「ソルプロ」シリーズは好調に推移いたしました。
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は61,318百万円となり、前連結会計年度末に比べ578百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が2,896百万円減少したものの、商品及び製品が1,450百万円、仕掛品が570百万円、原材料及び貯蔵品が1,018百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は58,763百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,017百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が2,333百万円減少したものの、有形固定資産が4,241百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、120,082百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,596百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は23,994百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,984百万円減少いたしました。これは主に短期借入金が3,895百万円減少したことによるものであります。固定負債は15,796百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,053百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が6,847百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、39,790百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,068百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は80,291百万円となり、前連結会計年度末に比べ472百万円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益3,606百万円、剰余金の配当867百万円、及び自己株式の取得2,001百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は64.3%(前連結会計年度末は66.3%)となりました。
(3)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは2,755百万円と前連結会計年度に比べ1,185百万円減少しました。これは、主に税金等調整前当期純利益が1,660百万円増加したものの、たな卸資産の増減額(△は増加)が2,109百万円減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは△5,458百万円と前連結会計年度に比べ4,971百万円減少しました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が3,119百万円減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは64百万円と前連結会計年度に比べ4,273百万円増加しました。これは、主に短期借入金の純増減額(△は減少)が2,338百万円減少したものの、長期借入れによる収入が7,500百万円増加したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,673百万円減少し、11,175百万円となりました。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第120期第121期第122期第123期第124期
営業利益(百万円)4,1644,6154,5514,6904,404
営業利益率(%)4.85.45.45.44.9
ROE(%)3.03.02.63.04.6

生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
化学52,8383.6
医療3,957△1.3
報告セグメント計56,7963.3
その他-△100.0
合計56,7962.5

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
化学81,2564.7
医療8,285△7.1
報告セグメント計89,5413.5
その他-△100.0
合計89,5412.7

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積もり及び判断を行っております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況の分析
「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの製品に対する需要は、化学業界、電子・電気業界などの市場動向の影響を受けます。また、製品の販売先は、日本国内のほか、アジア、北米、ヨーロッパ、中東など多岐にわたっており、各地域の経済情勢の影響を受けます。
また、生産活動については、重油や原材料の価格の影響を受けます。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当社は機動的、安定的な資金調達を長期的に実現することを目的として、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャー兼エージェントとするシンジケート方式のコミットメントライン契約(貸付極度額:80億円)を締結しております。
また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は7,159百万円、長期借入金の残高は10,369百万円、現金及び現金同等物の残高は11,175百万円となっております。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。