四半期報告書-第144期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 15:32
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある中、社会・経済活動の段階的な再開やさらなる経済対策の効果などにより、全体としては持ち直しの動きが続きました。
このような状況の中で、当社グループはコア事業である印刷インキ事業において、各拠点での拡販に注力するとともに、環境配慮型・サステナブル製品の開発・積極展開、TPM活動の継続と深化による生産性向上などに取り組みました。また、印刷インキの主要原材料につきましては、原油価格の上昇や中国における環境規制の強化に加え、感染症やアメリカの大寒波などの影響に伴うサプライチェーンの混乱及び需給バランスの悪化により、供給不足が生じ、価格の高騰が続きました。このため、製品の安定供給を最優先として、グループ会社間の連携強化やグローバル調達などによるサプライチェーンの安定化に取り組みました。一方、機能性材料事業では、インクジェットインキをはじめとして、トナー、カラーフィルター用顔料分散液などの従来製品の拡販に加え、社会トレンドを捉えた高付加価値製品の開発に取り組みました。
売上高は、印刷インキや機能性材料の拡販が進み、米州及びアジアで販売価格の改定も進んだことに加え、新規連結による増収が寄与したことなどから、1,336億3千7百万円(前年同期比11.9%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加やコスト削減による利益増加に加え、機能性材料の販売増加による大幅な利益改善が寄与したものの、サプライチェーンの混乱及び需給バランスの悪化により印刷インキの原材料高が特に米州において急激に進行したことなどにより、営業利益は62億5千6百万円(前年同期比25.8%増加)となりました。経常利益は、持分法による投資損益が大幅に改善したことに加え、為替差損が減少したことなどから、71億3千1百万円(前年同期比46.7%増加)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は47億9千万円(前年同期比61.7%増加)となりました。
(参考)USドルの期中平均為替レート
第1四半期
連結会計期間
第2四半期
連結会計期間
第3四半期
連結会計期間
第3四半期
連結累計期間
2021年12月期105.90円109.49円110.11円108.50円
2020年12月期108.92円107.62円106.22円107.59円

(注)第3四半期連結累計期間の期中平均為替レートは、1月~9月の単純平均レートを記載しております。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため、全社費用の配分基準の見直しを行っております。これに伴い、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報については、変更後の費用配分方法に基づき作成したものを記載しております。
(単位:百万円)

売上高営業利益又は営業損失(△)
前期当期増減額増減率(※)実質前期当期増減額増減率
印刷インキ・
機材(日本)
35,50036,8041,3033.7%3.7%7651,15338750.6%
印刷インキ
(アジア)
23,86727,5923,72415.6%12.5%1,5821,7191378.7%
印刷インキ
(米州)
37,44540,0952,6507.1%6.5%2,3521,465△886△37.7%
印刷インキ
(欧州)
7,55211,8764,32357.3%48.7%△405△2403-
機能性材料8,29310,2341,94023.4%21.1%3401,4341,093320.7%
報告セグメント計112,660126,60313,94212.4%10.8%4,6365,7701,13424.5%
その他12,54214,2941,75214.0%14.0%125285159126.8%
調整額△5,784△7,260△1,475--213201△12-
合計119,417133,63714,21911.9%10.4%4,9756,2561,28125.8%

(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率
印刷インキ・機材(日本)
パッケージ関連では、前年上半期の巣ごもり特需による一時的な販売増がなくなったものの、グラビアインキは内食関連の需要に支えられ比較的堅調に推移しました。フレキソインキは好調な通販関係や家飲み需要に支えられ前年同期を上回りました。印刷情報関連では、デジタル化の影響に加え、感染症の影響により広告需要が低迷したことなどから、新聞インキは前年同期を下回りました。一方、オフセットインキは感染症の影響で前年上半期は販売が大きく落ち込んだこともあり前年同期を上回りました。以上のことから、印刷インキ全体では前年同期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料は低調であったものの機械販売が増加したことから、前年同期を上回りました。これらの結果、売上高は368億4百万円(前年同期比3.7%増加)となりました。
利益面では、パッケージ関連が堅調に推移したことに加え、全般的なコスト削減が寄与したことなどから、営業利益は11億5千3百万円(前年同期比50.6%増加)となりました。
印刷インキ(アジア)
主力であるパッケージ関連のグラビアインキは、感染症の影響を受けたものの、インドネシア、ベトナム、タイなどが堅調に推移し、昨年の上半期に事業活動に大きな制約を受けたインドにおいても、回復傾向が続きました。印刷情報関連では、インドは感染症の影響による昨年の需要減から回復が進んだ一方、上半期まで好調に推移してきた中国では経済が減速傾向にあることなどから第3四半期においては販売が伸び悩みました。売上高は、販売数量が増加したことに加え、販売価格の改定が進んだことなどから275億9千2百万円(前年同期比15.6%増加)となりました。
利益面では、原材料高の影響が顕著となったものの、販売数量の増加や販売価格の改定効果が寄与したことなどから、営業利益は17億1千9百万円(前年同期比8.7%増加)となりました。
印刷インキ(米州)
主力のパッケージ関連では、旺盛な需要を背景として、フレキソインキ及びグラビアインキが一部原材料の供給不足の影響を受けたものの比較的堅調に推移しました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要が高まっており、好調に推移しました。印刷情報関連であるオフセットインキは、UVインキなどが堅調に推移したことに加え、感染症の影響で前年上半期は販売が大きく落ち込んだこともあり、前年同期を上回りました。売上高は、パッケージ関連の販売数量が増加したことに加え、販売価格の改定が進んだことなどから、400億9千5百万円(前年同期比7.1%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加や販売価格の改定効果が寄与したものの、感染症などの影響に伴う物流の停滞及び需給バランスの悪化により当第3四半期において原材料高が急激に進行したことに加え、輸送コストの上昇及び事業拡大に伴う人件費の増加などもあり、営業利益は14億6千5百万円(前年同期比37.7%減少)となりました。
印刷インキ(欧州)
パッケージ関連を中心として拡販に取り組んだ結果、販売は堅調に推移しました。売上高は、販売数量が増加したことに加え、ドイツの子会社を連結の範囲に含めたことなどから、118億7千6百万円(前年同期比57.3%増加)となりました。
利益面では、原材料高の影響があったものの、販売数量の増加及び新規連結による増益に加え、組織再編や生産能力増強によるコスト削減が寄与したことなどから、2百万円の営業損失(前年同期は4億5百万円の営業損失)となりました。
機能性材料
インクジェットインキは、感染症の影響により落ち込んでいた広告需要が海外を中心に回復し、拡販が進んだことなどから、前年同期を上回りました。カラーフィルター用顔料分散液は、パネルディスプレイの市況は落ち着いてきたものの、販売は堅調に推移しました。トナーは、感染症の影響により落ち込んでいたオフィス用途の需要が上向いてきたことなどから、前年同期を上回りました。これらの結果、売上高は102億3千4百万円(前年同期比23.4%増加)となりました。
利益面では、デジタル印刷材料の販売が全般的に増加し、欧米事業のコスト体質の改善も進んだことに加え、在庫評価減の一巡や諸経費の削減が寄与したことなどから、営業利益は14億3千4百万円(前年同期比320.7%増加)となりました。
(2)財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、売上高の増加に伴う売上債権やたな卸資産の増加、有形固定資産の取得に加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比124億円(8.5%)増加の1,576億7千3百万円となりました。
負債は、借入金が減少したものの、仕入債務が増加したことに加え、社債の新規発行による増加や円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比41億9千万円(6.6%)増加の680億4千1百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加に加え、その他の包括利益累計額が増加したことなどから、前連結会計年度末比82億9百万円(10.1%)増加の896億3千1百万円となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)当面の対処すべき課題の内容
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
2)株式会社の支配に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の株式会社の支配に関する基本方針について、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は27億8千2百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)従業員数
第1四半期連結会計期間より、A.M.Ramp & Co.GmbHを連結の範囲に含めたことから、前連結会計年度末に比べ、「印刷インキ(欧州)」セグメントの従業員数が125名増加しております。なお、従業員数は就業人員数であります。