有価証券報告書-第145期(2022/01/01-2022/12/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の落ち込みから持ち直しの動きが続いたものの、ウクライナ問題や中国におけるゼロコロナ政策の影響による資源価格の高騰やサプライチェーンの混乱による影響が長期化したことに加え、下半期においては世界的にインフレの加速及び金融引き締めによる景気の減速感が顕著となり先行きが懸念される状況で推移いたしました。
このような状況の中で、当社グループはコア事業である印刷インキ事業において、各拠点での拡販に注力するとともに、環境配慮型・サステナブル製品の開発・積極展開、TPM活動の継続と深化による生産性向上などに取り組みました。また、印刷インキの主要原材料につきましては、原油価格の上昇や中国における環境規制の強化に加え、感染症などの影響に伴うサプライチェーンの混乱及び需給バランスの悪化により、供給不足が生じたこともあり、価格が高騰しその後も高止まりが続きました。このため、製品の安定供給を最優先として、グループ会社間の連携強化やグローバル調達などによるサプライチェーンの安定化に取り組むとともに、販売価格の改定に取り組みました。機能性材料事業では、インクジェットインキをはじめとして、トナー、カラーフィルター用顔料分散液などの従来製品の拡販に加え、社会トレンドを捉えた高付加価値製品の開発に取り組みました。
売上高は、印刷インキや機能性材料の拡販が進んだことや、販売価格の改定が進んだことに加え、急激な円安により為替換算の影響を大きく受けたことなどから、2,155億3千1百万円(前期比18.8%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加が寄与したものの、原油価格の高騰などによる印刷インキの原材料高が長期化していることや、米州では物流コストや人件費、欧州ではそれらに加え、電気・ガスといったユーティリティコストが著しく増加するなど、販売価格の改定が原材料価格及び諸費用の上昇に追い付かない状況が続いております。以上のことから、営業利益は41億2千5百万円(前期比44.4%減少)となりました。経常利益は49億6千1百万円(前期比41.7%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を計上したことなどから、45億5千5百万円(前期比7.7%減少)となりました。
(参考)USドルの期中平均為替レート
(注)連結会計年度の期中平均為替レートは、1月~12月の単純平均レートを記載しております。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率
印刷インキ・機材(日本)
感染症による社会経済活動の制限緩和が続き、各地で人出の増加や大型イベントの開催などにより経済活動が活発化したこともあり、全般としてパッケージ関連の需要が高まりました。グラビアインキは内食関連の需要が堅調に推移したことに加え、レジャー消費やコンビニエンスストアの需要の高まりなどもあり好調に推移いたしました。フレキソインキは産業資材関係が低迷したものの日用品や加工食品、青果物関係が堅調だったことに加え、紙袋関係の需要も回復が続くなど全体として堅調に推移いたしました。印刷情報関連では、デジタル化の影響に加え、感染症の影響による広告需要の低迷が長引いていることなどから、新聞インキ、オフセットインキともに低調に推移いたしました。以上のことから、印刷インキ全体では前期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料、機械販売ともに前期を下回りました。これらの結果、売上高は514億3千6百万円(前期比2.0%増加)となりました。
利益面では、原材料高の影響に対する販売価格の改定効果が遅れていることに加え、印刷情報関連の印刷インキの販売が低調に推移したことなどから、営業利益は4億7百万円(前期比70.2%減少)となりました。
印刷インキ(アジア)
主力であるパッケージ関連のグラビアインキは、インドネシア、ベトナムなどを中心に全般的に堅調に推移いたしました。印刷情報関連では、インドでは感染症の影響による需要減からの回復が続きました。一方、ロックダウンの影響を受けた中国では、政府のコロナ政策の影響もあり景気が低迷したことにより、全般的に販売は低調に推移いたしました。売上高は、販売数量が増加したことや販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を大きく受けたことなどから480億5千万円(前期比24.6%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加に加え、販売価格の改定効果が寄与したものの、原材料高の影響を受けたことなどから、営業利益は17億4千5百万円(前期比22.2%減少)となりました。
印刷インキ(米州)
主力のパッケージ関連では、上半期までは旺盛な需要を背景として、フレキソインキ及びグラビアインキが好調に推移したものの、第4四半期には、金融引き締めによる市況の悪化から在庫調整の動きなどもあり販売は落ち込みました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要が高まっていることもあり、好調に推移いたしましたが第4四半期ではやや伸び悩みました。印刷情報関連であるオフセットインキは、全体としては伸び悩みました。売上高は、販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を大きく受けたことなどから、738億8千9百万円(前期比34.5%増加)となりました。
利益面では、販売価格の改定効果が寄与したものの、原材料高の影響や、物流コスト及び人件費などを中心に経費が大きく増加したことに加え、第4四半期において販売が落ち込んだこともあり、営業利益は3億6千万円(前期比75.4%減少)となりました。
印刷インキ(欧州)
パッケージ関連を中心として拡販に取り組んだ結果、販売は堅調に推移いたしました。売上高は、販売数量が増加したことや販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、194億8千6百万円(前期比22.3%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加や販売価格の改定効果が寄与したものの、原材料高の影響に加え、ユーティリティコストや物流コスト・人件費など経費が大きく増加した影響もあり5億7千1百万円の営業損失(前期は1億8千8百万円の営業損失)となりました。
機能性材料
インクジェットインキは中国におけるコロナ政策の影響はあるものの、販売が堅調に推移し前期を上回りました。一方、カラーフィルター用顔料分散液はパネルディスプレイの需要減の影響もあり、販売が伸び悩み前期を下回りました。トナーは、海外向けの販売が好調に推移したことなどから前期を上回りました。これらの結果に加え、円安による為替換算の影響を大きく受けたことなどから、売上高は155億8百万円(前期比8.2%増加)となりました。
利益面では、デジタル印刷材料の販売が増加したものの、原材料高の影響を受けたことに加え諸経費が増加したことから、営業利益は15億8千4百万円(前期比16.6%減少)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)生産金額については期中平均販売価格により表示しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 受注実績
印刷用インキの生産は主として見込生産によっております。
小口ロットのものについて受注生産を行っているものもありますが、特に受注高及び受注残高として示すほどのものはありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金が減少したものの、売上高の増加に伴う売上債権や棚卸資産の増加、無形固定資産の増加に加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比105億4百万円(6.3%)増加の1,774億3百万円となりました。
負債は、実質的には仕入債務が減少したものの、借入金が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比100億1千6百万円(13.5%)増加の844億5千万円となりました。
純資産は、自己株式の消却を行ったことにより利益剰余金が減少したものの、その他の包括利益累計額が増加したことなどから、前連結会計年度末比4億8千7百万円(0.5%)増加の929億5千2百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、次の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、及び法人税等の支払などがあったものの、税金等調整前当期純利益、減価償却費などにより、49億4千5百万円の資金の増加となりました。前連結会計年度に比べ26億1千1百万円の減少となりましたが、主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少、運転資本の増加であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入などがあったものの、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出などにより、16億6千6百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度に比べ36億8千6百万円の増加となりましたが、主な要因は、投資有価証券の売却による収入によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などがあったものの、自己株式の取得による支出や配当金の支払などにより、38億9千7百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度に比べ10億2千1百万円の減少となりましたが、主な要因は、自己株式の取得による支出、借入金の増加であります。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は117億2千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億9千3百万円の減少となりました。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次の通りであります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値より算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
資本の財源及び資金の流動性は、次の通りであります。
当社グループでは運転資金や設備投資等のための資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。外部借入のうち、短期借入は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入は主に設備投資に係る資金調達であります。
内部資金に関しては営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。また外部借入に関しては短期・長期借入の他に、当社においては運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行2行と30億円の特定融資枠契約を締結しております。これらに加え、2021年には10億円のESG評価型の無担保私募債(償還期限2026年3月31日)を発行しております。
重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画(1)重要な設備の新設等」をご参照下さい。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] 追加情報」に記載しております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」をご参照下さい。
(6)目標とする経営指標との比較
当連結会計年度と「中期経営計画2023 CCC-I」の最終期との比較は、次の通りであります。
「中期経営計画2023 CCC-I(以下「計画」という。)」の2年目である当連結会計年度につきましては、売上高は販売価格の改定や計画策定時に比べ大幅に円安が進んだことによる為替換算の影響などもあり、計画を上回りました。各利益及びRОEにつきましては、売上が計画を上回ったものの、原油価格の高騰などによる印刷インキの原材料高や欧米を中心に諸経費の上昇に販売価格の改定が追い付かず、計画を下回るペースの水準となりました。
計画につきましては、想定を超えた原材料高の進行や世界的なインフレの加速など外部環境の変化により、利益の達成が困難な状況であるあるものの、その基本方針と戦略課題は変わらず、それらの着実な実行に加え、引き続き販売価格の改定やグローバル調達などのコスト削減を推し進め、利益目標に可能な限り近づけるべく鋭意努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の落ち込みから持ち直しの動きが続いたものの、ウクライナ問題や中国におけるゼロコロナ政策の影響による資源価格の高騰やサプライチェーンの混乱による影響が長期化したことに加え、下半期においては世界的にインフレの加速及び金融引き締めによる景気の減速感が顕著となり先行きが懸念される状況で推移いたしました。
このような状況の中で、当社グループはコア事業である印刷インキ事業において、各拠点での拡販に注力するとともに、環境配慮型・サステナブル製品の開発・積極展開、TPM活動の継続と深化による生産性向上などに取り組みました。また、印刷インキの主要原材料につきましては、原油価格の上昇や中国における環境規制の強化に加え、感染症などの影響に伴うサプライチェーンの混乱及び需給バランスの悪化により、供給不足が生じたこともあり、価格が高騰しその後も高止まりが続きました。このため、製品の安定供給を最優先として、グループ会社間の連携強化やグローバル調達などによるサプライチェーンの安定化に取り組むとともに、販売価格の改定に取り組みました。機能性材料事業では、インクジェットインキをはじめとして、トナー、カラーフィルター用顔料分散液などの従来製品の拡販に加え、社会トレンドを捉えた高付加価値製品の開発に取り組みました。
売上高は、印刷インキや機能性材料の拡販が進んだことや、販売価格の改定が進んだことに加え、急激な円安により為替換算の影響を大きく受けたことなどから、2,155億3千1百万円(前期比18.8%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加が寄与したものの、原油価格の高騰などによる印刷インキの原材料高が長期化していることや、米州では物流コストや人件費、欧州ではそれらに加え、電気・ガスといったユーティリティコストが著しく増加するなど、販売価格の改定が原材料価格及び諸費用の上昇に追い付かない状況が続いております。以上のことから、営業利益は41億2千5百万円(前期比44.4%減少)となりました。経常利益は49億6千1百万円(前期比41.7%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を計上したことなどから、45億5千5百万円(前期比7.7%減少)となりました。
(参考)USドルの期中平均為替レート
第1四半期 連結会計期間 | 第2四半期 連結会計期間 | 第3四半期 連結会計期間 | 第4四半期 連結会計期間 | 連結会計年度 | |
2022年12月期 | 116.20円 | 129.57円 | 138.37円 | 141.59円 | 131.43円 |
2021年12月期 | 105.90円 | 109.49円 | 110.11円 | 113.71円 | 109.80円 |
(注)連結会計年度の期中平均為替レートは、1月~12月の単純平均レートを記載しております。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
(単位:百万円) |
売上高 | 営業利益又は営業損失(△) | ||||||||
前期 | 当期 | 増減額 | 増減率 | (※)実質 | 前期 | 当期 | 増減額 | 増減率 | |
印刷インキ・ 機材(日本) | 50,444 | 51,436 | 991 | 2.0% | 2.0% | 1,366 | 407 | △959 | △70.2% |
印刷インキ (アジア) | 38,574 | 48,050 | 9,476 | 24.6% | 7.8% | 2,244 | 1,745 | △498 | △22.2% |
印刷インキ (米州) | 54,930 | 73,889 | 18,959 | 34.5% | 12.0% | 1,464 | 360 | △1,104 | △75.4% |
印刷インキ (欧州) | 15,929 | 19,486 | 3,556 | 22.3% | 15.1% | △188 | △571 | △383 | - |
機能性材料 | 14,328 | 15,508 | 1,179 | 8.2% | 1.1% | 1,901 | 1,584 | △316 | △16.6% |
報告セグメント計 | 174,207 | 208,372 | 34,164 | 19.6% | 7.5% | 6,788 | 3,526 | △3,261 | △48.0% |
その他 | 17,229 | 14,046 | △3,182 | △18.5% | △18.5% | 350 | 336 | △13 | △3.9% |
調整額 | △9,949 | △6,887 | 3,061 | - | - | 275 | 261 | △13 | - |
合計 | 181,487 | 215,531 | 34,043 | 18.8% | 7.2% | 7,414 | 4,125 | △3,289 | △44.4% |
(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率
印刷インキ・機材(日本)
感染症による社会経済活動の制限緩和が続き、各地で人出の増加や大型イベントの開催などにより経済活動が活発化したこともあり、全般としてパッケージ関連の需要が高まりました。グラビアインキは内食関連の需要が堅調に推移したことに加え、レジャー消費やコンビニエンスストアの需要の高まりなどもあり好調に推移いたしました。フレキソインキは産業資材関係が低迷したものの日用品や加工食品、青果物関係が堅調だったことに加え、紙袋関係の需要も回復が続くなど全体として堅調に推移いたしました。印刷情報関連では、デジタル化の影響に加え、感染症の影響による広告需要の低迷が長引いていることなどから、新聞インキ、オフセットインキともに低調に推移いたしました。以上のことから、印刷インキ全体では前期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料、機械販売ともに前期を下回りました。これらの結果、売上高は514億3千6百万円(前期比2.0%増加)となりました。
利益面では、原材料高の影響に対する販売価格の改定効果が遅れていることに加え、印刷情報関連の印刷インキの販売が低調に推移したことなどから、営業利益は4億7百万円(前期比70.2%減少)となりました。
印刷インキ(アジア)
主力であるパッケージ関連のグラビアインキは、インドネシア、ベトナムなどを中心に全般的に堅調に推移いたしました。印刷情報関連では、インドでは感染症の影響による需要減からの回復が続きました。一方、ロックダウンの影響を受けた中国では、政府のコロナ政策の影響もあり景気が低迷したことにより、全般的に販売は低調に推移いたしました。売上高は、販売数量が増加したことや販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を大きく受けたことなどから480億5千万円(前期比24.6%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加に加え、販売価格の改定効果が寄与したものの、原材料高の影響を受けたことなどから、営業利益は17億4千5百万円(前期比22.2%減少)となりました。
印刷インキ(米州)
主力のパッケージ関連では、上半期までは旺盛な需要を背景として、フレキソインキ及びグラビアインキが好調に推移したものの、第4四半期には、金融引き締めによる市況の悪化から在庫調整の動きなどもあり販売は落ち込みました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要が高まっていることもあり、好調に推移いたしましたが第4四半期ではやや伸び悩みました。印刷情報関連であるオフセットインキは、全体としては伸び悩みました。売上高は、販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を大きく受けたことなどから、738億8千9百万円(前期比34.5%増加)となりました。
利益面では、販売価格の改定効果が寄与したものの、原材料高の影響や、物流コスト及び人件費などを中心に経費が大きく増加したことに加え、第4四半期において販売が落ち込んだこともあり、営業利益は3億6千万円(前期比75.4%減少)となりました。
印刷インキ(欧州)
パッケージ関連を中心として拡販に取り組んだ結果、販売は堅調に推移いたしました。売上高は、販売数量が増加したことや販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、194億8千6百万円(前期比22.3%増加)となりました。
利益面では、販売数量の増加や販売価格の改定効果が寄与したものの、原材料高の影響に加え、ユーティリティコストや物流コスト・人件費など経費が大きく増加した影響もあり5億7千1百万円の営業損失(前期は1億8千8百万円の営業損失)となりました。
機能性材料
インクジェットインキは中国におけるコロナ政策の影響はあるものの、販売が堅調に推移し前期を上回りました。一方、カラーフィルター用顔料分散液はパネルディスプレイの需要減の影響もあり、販売が伸び悩み前期を下回りました。トナーは、海外向けの販売が好調に推移したことなどから前期を上回りました。これらの結果に加え、円安による為替換算の影響を大きく受けたことなどから、売上高は155億8百万円(前期比8.2%増加)となりました。
利益面では、デジタル印刷材料の販売が増加したものの、原材料高の影響を受けたことに加え諸経費が増加したことから、営業利益は15億8千4百万円(前期比16.6%減少)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
印刷インキ・機材(日本) | 34,318 | 5.3 |
印刷インキ(アジア) | 46,615 | 22.4 |
印刷インキ(米州) | 74,345 | 36.0 |
印刷インキ(欧州) | 19,748 | 23.5 |
機能性材料 | 14,423 | 4.6 |
その他 | 697 | 31.5 |
合計 | 190,148 | 22.2 |
(注)生産金額については期中平均販売価格により表示しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 受注実績
印刷用インキの生産は主として見込生産によっております。
小口ロットのものについて受注生産を行っているものもありますが、特に受注高及び受注残高として示すほどのものはありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
印刷インキ・機材(日本) | 51,426 | 2.0 |
印刷インキ(アジア) | 47,842 | 24.9 |
印刷インキ(米州) | 72,587 | 34.1 |
印刷インキ(欧州) | 18,533 | 22.5 |
機能性材料 | 15,432 | 8.1 |
その他 | 9,708 | 5.2 |
合計 | 215,531 | 18.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金が減少したものの、売上高の増加に伴う売上債権や棚卸資産の増加、無形固定資産の増加に加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比105億4百万円(6.3%)増加の1,774億3百万円となりました。
負債は、実質的には仕入債務が減少したものの、借入金が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比100億1千6百万円(13.5%)増加の844億5千万円となりました。
純資産は、自己株式の消却を行ったことにより利益剰余金が減少したものの、その他の包括利益累計額が増加したことなどから、前連結会計年度末比4億8千7百万円(0.5%)増加の929億5千2百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、次の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、及び法人税等の支払などがあったものの、税金等調整前当期純利益、減価償却費などにより、49億4千5百万円の資金の増加となりました。前連結会計年度に比べ26億1千1百万円の減少となりましたが、主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少、運転資本の増加であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入などがあったものの、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出などにより、16億6千6百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度に比べ36億8千6百万円の増加となりましたが、主な要因は、投資有価証券の売却による収入によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などがあったものの、自己株式の取得による支出や配当金の支払などにより、38億9千7百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度に比べ10億2千1百万円の減少となりましたが、主な要因は、自己株式の取得による支出、借入金の増加であります。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は117億2千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億9千3百万円の減少となりました。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次の通りであります。
2018年 12月期 | 2019年 12月期 | 2020年 12月期 | 2021年 12月期 | 2022年 12月期 | |
自己資本比率(%) | 51.1 | 51.7 | 52.6 | 51.8 | 48.6 |
時価ベースの 自己資本比率(%) | 48.7 | 46.8 | 46.6 | 34.8 | 29.6 |
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) | 3.6 | 1.8 | 1.7 | 2.4 | 5.6 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 19.9 | 32.2 | 40.1 | 32.4 | 9.0 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値より算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
資本の財源及び資金の流動性は、次の通りであります。
当社グループでは運転資金や設備投資等のための資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。外部借入のうち、短期借入は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入は主に設備投資に係る資金調達であります。
内部資金に関しては営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。また外部借入に関しては短期・長期借入の他に、当社においては運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行2行と30億円の特定融資枠契約を締結しております。これらに加え、2021年には10億円のESG評価型の無担保私募債(償還期限2026年3月31日)を発行しております。
重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画(1)重要な設備の新設等」をご参照下さい。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] 追加情報」に記載しております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」をご参照下さい。
(6)目標とする経営指標との比較
当連結会計年度と「中期経営計画2023 CCC-I」の最終期との比較は、次の通りであります。
当連結会計年度 | 2023年計画 | 比較 | |
売上高(億円) | 2,155 | 1,950 | +205 |
営業利益(億円) | 41 | 115 | △73 |
経常利益(億円) | 49 | 130 | △80 |
親会社株主に帰属する 当期純利益(億円) | 45 | 90 | △44 |
ROE | 5.3% | 10%以上 | - |
「中期経営計画2023 CCC-I(以下「計画」という。)」の2年目である当連結会計年度につきましては、売上高は販売価格の改定や計画策定時に比べ大幅に円安が進んだことによる為替換算の影響などもあり、計画を上回りました。各利益及びRОEにつきましては、売上が計画を上回ったものの、原油価格の高騰などによる印刷インキの原材料高や欧米を中心に諸経費の上昇に販売価格の改定が追い付かず、計画を下回るペースの水準となりました。
計画につきましては、想定を超えた原材料高の進行や世界的なインフレの加速など外部環境の変化により、利益の達成が困難な状況であるあるものの、その基本方針と戦略課題は変わらず、それらの着実な実行に加え、引き続き販売価格の改定やグローバル調達などのコスト削減を推し進め、利益目標に可能な限り近づけるべく鋭意努めてまいります。