有価証券報告書-第120期(2023/04/01-2024/03/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機としたインバウンド需要の回復が進む一方、ウクライナ危機をはじめとする地政学リスクやエネルギー・原材料価格の高止まりによる物価上昇など、先行きは引き続き不透明であり、当社グループを取り巻く事業環境は依然として予断を許さない状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループは世の中の変化を柔軟にとらえ、サステナブル社会に対応した経営環境、経営課題に積極的に取り組むため、2023年度を最終年度とする中期経営計画「ISHIZUE 2023 ~SHINKA・変革~」における重点テーマ「イノベーション創出」「グローバル展開・拡大」「事業推進体制の見直しと収益改革」「AI・IoT積極活用」「持続的成長を担う人財育成」を実行し、「NICHIBAN GROUP 2030 VISION」実現に向けて取り組んでまいりました。
①中長期成長エンジンの確立、イノベーション創出
・BtoC開発マーケティング・BtoB現場提案による新製品上市実現、新領域・新製品カテゴリーでの成果の創出
・コア技術の深化・進化の成果創出と共有、オープンイノベーション・協業によるターゲット領域での新規事業の創出
②グローバル市場へのスピーディな展開・拡大
・販売3拠点体制による事業拡大と支援強化、生産・物流を含めた体制拡充の推進
・海外事業拡大に向けた戦略的パートナー探索と協業の実現(業務提携・M&A活用)
③事業推進体制の見直しと収益改革
・顧客を機軸とした事業推進体制での戦略遂行、業務プロセス・業務活動における選択と集中の徹底と効率化の推進
・適切な需要予測管理と原価管理によるサプライチェーンマネジメントの最適化、業務プロセス改善と品質管理強化
・サステナブル経営視点の事業戦略・開発の推進、CO2排出削減等の取り組み強化
④事業戦略推進に向けたAI・IoTの積極活用
・事業戦略を実現するためのIT基幹システム活用の実践
・社内外データの活用とシステム化によるマーケティング施策と業務プロセス改善・効率化施策の推進
⑤将来の持続的成長を担う人財育成
・多様な人財の活用による組織運営の活性化と行動指針を実践する人財育成、社員の健康とエンゲージメント向上策の強化
・リーダーシップ・組織マネジメント力及び専門スキルの強化(スキルマップの活用)
・次世代経営層の育成
以上の取り組みを実施いたしました結果、売上高は、インバウンド需要回復によるヘルスケアフィールドの売上拡大等により、前期比2.9%増の468億5千9百万円となりました。
営業利益は、メディカル事業における売上高の増加等により、前期比28.8%増の20億7千3百万円となりました。
経常利益は、営業利益の増加及び持分法による投資利益の増加により、前期比26.0%増の22億1百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、これらの影響に加えて、当社が保有していた保養施設(土地・建物)の売却益7千1百万円の計上があったものの、前連結会計年度において当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却益16億2千9百万円が剥落した影響等により、前期比22.9%減の18億2千7百万円となりました。
なお、ROE(自己資本当期純利益率)は前期比1.5ポイント低下の4.4%となりました。
(連結業績の概要)

(営業利益の前期比増減)

(フィールド別売上高、前期比増減)

当社グループのセグメントの概要は次のとおりです。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、顧客機軸をベースとした事業活動を強化するために、営業担当管掌を「国内事業本部」、「海外事業本部」とし、国内事業本部の傘下に、販路別に以下の営業統括部を設置しております。
・顧客を機軸とした新たな営業推進体制の強化とブランド戦略の再構築のために、「コンシューマー営業本部」を設置し、傘下に「ヘルスケア営業統括部」、「オフィスホーム営業統括部」を置くとともに、越境EC含め積極的にEC営業の拡大を図るため、「EC営業統括部」を置いております。
・より顧客に密着した営業活動を推進し、新規開発案件探索、顧客拡大のために、「医療材営業統括部」、「工業品営業統括部」を置いております。
また、当社グループは、以上の営業担当管掌に、各子会社を加えた事業フィールドとして、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」、「医療材フィールド」、「工業品フィールド」及び「海外フィールド」を設定しております。
経営資源の配分の決定及び業績の評価については、取り扱う製品、商品の性質や、市場、製造方法の類似性に基づき、「メディカル事業」、「テープ事業」の単位で行っていることから、当社グループの事業セグメントとしては、「メディカル事業」、「テープ事業」と認識し、これを報告セグメントとしております。
「メディカル事業」、「テープ事業」セグメントと各事業フィールドとの関係は以下のとおりです。
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
メディカル事業
(ヘルスケアフィールド)
ドラッグストアを中心とした大衆薬市場におきましては、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和と訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の回復が継続し、市況に改善の傾向が見られました。
このような状況のなか、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについては、国内需要拡大に向けて、認知度向上のためにテレビCMやキャンペーン等のPR活動を実施し、売上高は前年を上回りました。あわせて、鎮痛消炎剤“ロイヒ”シリーズについては、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要拡大に向けての売り場作りを行うとともに、国内需要拡大に向けてのテレビCMやPR活動を行い、売上高は前年を大きく上回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は144億3百万円(前期比15.5%増)となりました。
(医療材フィールド)
医療機関向け医療材料市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機として、診療や受診の状況は改善されつつあり、市況も回復の兆しを見せ始めております。
このような状況のなか、院内需要の回復によって圧迫止血用パッド付絆創膏「ステプティTM」の販売数は好調に推移いたしましたが、止血製品シリーズ“セサブリックTM”全体としては、新型コロナウイルスワクチン需要減少の影響を一部で受けました。その結果、フィールド全体としての売上高は57億5千4百万円(前期比4.2%減)となりました。
((メディカル事業に係る)ECフィールド)
EC市場におきましては、オンライン購買に対するWEBマーケティングの取り組みを強化してきたことに加え、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについては価格改定の効果もあり、売上高は前年を上回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は7億9千4百万円(前期比21.6%増)となりました。
((メディカル事業に係る)海外フィールド))
海外市場におきましては、アフターコロナへの移行が進み、学会や展示会への参加をはじめ取引先と対面での商談が増加したものの、世界的な物価高など、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、止血製品シリーズ“セサブリックTM”や高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズを中心に、販売代理店とともに現地に密着した営業活動を展開してまいりました。止血製品シリーズ“セサブリックTM”は、医療施設での採用が増えて伸長いたしましたが、“ケアリーヴTM”シリーズについては、改善の兆しが見えるものの販売代理店の上期の在庫調整の影響が残り、売上高は前年を大きく下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は17億4千1百万円(前期比6.5%減)となりました。
以上の結果、メディカル事業全体の売上高は226億9千3百万円(前期比8.1%増)となりました。また、原材料単価の上昇があったものの、生産の大幅な増加及びヘルスケアフィールドを中心とした売上高の増加により、セグメント利益は62億7百万円(前期比29.5%増)となりました。
テープ事業
(オフィスホームフィールド)
文具事務用品市場におきましては、物価上昇を起因とした消費者心理の冷え込み等により需要の低迷が続くとともに、買い場の変化もあり厳しい販売環境となりました。
このような状況のなか、主要製品である「セロテープ®」や両面テープ「ナイスタックTM」については、価格改定やPR活動を進めましたが、ともに売上高は前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は50億6千8百万円(前期比2.8%減)となりました。
(工業品フィールド)
産業用テープ市場におきましては、自動車メーカー向けにおいて市況の改善が見られたものの、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、主要製品の「セロテープ®」については、多くの企業や自治体に向けて天然素材を使用した環境配慮製品であることを新聞広告や特設ホームページ等を通じて周知し、SDGsへの取り組みとしてご賛同をいただき、売上高は前年を上回りました。その一方、クラフトテープの売上高については、一部製品の廃番に伴い、前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は130億9千1百万円(前期比0.6%減)となりました。
((テープ事業に係る)ECフィールド)
EC市場におきましては、買い場の変化による需要回復の傾向が見られるなか、価格改定を進めるとともに、オンライン購買に対するWEBマーケティングを強化してきたことにより、「セロテープ®」や両面テープ「ナイスタックTM」などの需要が好調に推移いたしました。その結果、フィールド全体としての売上高は37億4千9百万円(前期比9.1%増)となりました。
((テープ事業に係る)海外フィールド)
海外市場におきましては、アフターコロナへの移行が進み、取引先と対面での商談が増加したものの、中国経済の減速など、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、「PanfixTMセルローステープ」については香港やインドネシア市場へ向けて、塗装用和紙マスキングテープについては欧州や中国市場へ向けて、販売チャネルの構築と製品育成に注力してまいりましたが、「PanfixTMセルローステープ」については、改善の兆しが見えるものの販売代理店の価格改定による駆け込み需要の反動等の影響が残り、売上高は前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は22億5千7百万円(前期比18.1%減)となりました。
以上の結果、テープ事業全体の売上高は241億6千6百万円(前期比1.6%減)となりました。また、セロハン等の原材料単価やエネルギー価格の上昇等により、セグメント利益は1億7千9百万円(前期比81.3%減)となりました。
調整額
報告セグメントに帰属しない一般管理費の計上等により、営業利益と報告セグメントの利益の合計額との調整額が43億1千3百万円(前期比4.1%増)となりました。
(トピックス コンシューマー営業本部)


(トピックス 医療材フィールド)

(トピックス 工業品フィールド)

(トピックス 海外フィールド)


生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.テープ事業における主要な原材料であるセロハン価格が円安による影響を受け、前期と比較して高騰しております。
②受注実績
当社グループは需要見込による生産方式をとっております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ10億8千3百万円減少し、680億3千9百万円となりました。流動資産は6億3千3百万円の減少、固定資産は4億4千9百万円の減少となりました。
流動資産の減少は、当第4四半期連結会計期間の売上高及び生産高が前年と比べ増加したことにより売上債権が5億1千万円増加、棚卸資産が5億4千6百万円増加したものの、設備投資代金、自己株式の取得代金、配当及び法人税等の支払い等により現金及び預金が17億2百万円減少したこと等によるものです。
固定資産の減少は、減価償却費が投資額を上回った結果、有形固定資産が6億2千9百万円、無形固定資産が2億4千7百万円減少したこと等によるものです。なお、前連結会計年度末に建設仮勘定に計上しておりました当社の埼玉工場における粘着液製造設備及び建屋は、当連結会計年度において、すべて本勘定に振り替えられております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
メディカル事業
当連結会計年度末のメディカル事業の資産は、前期と比べ10億3千3百万円減少し、264億5百万円となりました。
テープ事業
当連結会計年度末のテープ事業の資産は、前期と比べ3億2千7百万円増加し、227億1千5百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比べ21億8千2百万円減少し、263億3千6百万円となりました。流動負債は、22億9千7百万円の減少、固定負債は、1億1千4百万円の増加となりました。
流動負債の減少は、未払法人税等が4億4千9百万円減少したこと並びに設備投資代金の支払いにより営業外電子記録債務が13億1千4百万円減少したこと等によるものです。
固定負債の増加は、原状回復費用に関して見積りの変更を行ったこと等により資産除去債務が1億3百万円増加したこと等によるものです。
純資産は前連結会計年度末と比べ10億9千9百万円増加し、417億3百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.6ポイント上昇し、61.3%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ17億2百万円(11.5%)減少し、130億4千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ2億6千9百万円(9.2%)増加し、31億8千7百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は税金等調整前当期純利益22億7千3百万円の計上、減価償却費27億9千5百万円の計上、売上債権の増加額5億1千万円、棚卸資産の増加額5億4千6百万円、法人税等の支払額8億9千8百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ25億3千8百万円(220.1%)増加し、36億9千2百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却を実施したこと等により、有形固定資産の売却による収入が16億4百万円減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ3億5千8百万円(41.3%)増加し、12億2千5百万円となりました。これは主に自己株式の取得による支出4億4千8百万円等によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、株主の皆様への利益還元とのバランスを考えながら、企業体質の強化及び設備投資、コスト競争力向上のための技術開発等の資金需要に備えるために内部留保の充実を図っております。
資金調達は、自己資金を基本とし、自己資金で賄えない場合は金融機関から借入れることとしております。
なお、資金調達の柔軟性及び機動性を確保するため、取引銀行と40億円の貸出コミットメント契約(借入未実行残高40億円)を締結しております。
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、原材料・商品の仕入の他製造経費・販売経費等の営業費用によるものです。また設備資金の需要のうち主なものは、埼玉工場、テープ安城工場、メディカル安城工場及び製造子会社における絆創膏・粘着テープ等の製造設備の新設又は更新によるものです。
2024年3月31日現在、当社グループの借入金の残高は20億円で、その内の一部について金利スワップ取引を利用することで、その全額を円建ての固定金利にて国内銀行より調達しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機としたインバウンド需要の回復が進む一方、ウクライナ危機をはじめとする地政学リスクやエネルギー・原材料価格の高止まりによる物価上昇など、先行きは引き続き不透明であり、当社グループを取り巻く事業環境は依然として予断を許さない状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループは世の中の変化を柔軟にとらえ、サステナブル社会に対応した経営環境、経営課題に積極的に取り組むため、2023年度を最終年度とする中期経営計画「ISHIZUE 2023 ~SHINKA・変革~」における重点テーマ「イノベーション創出」「グローバル展開・拡大」「事業推進体制の見直しと収益改革」「AI・IoT積極活用」「持続的成長を担う人財育成」を実行し、「NICHIBAN GROUP 2030 VISION」実現に向けて取り組んでまいりました。
①中長期成長エンジンの確立、イノベーション創出
・BtoC開発マーケティング・BtoB現場提案による新製品上市実現、新領域・新製品カテゴリーでの成果の創出
・コア技術の深化・進化の成果創出と共有、オープンイノベーション・協業によるターゲット領域での新規事業の創出
②グローバル市場へのスピーディな展開・拡大
・販売3拠点体制による事業拡大と支援強化、生産・物流を含めた体制拡充の推進
・海外事業拡大に向けた戦略的パートナー探索と協業の実現(業務提携・M&A活用)
③事業推進体制の見直しと収益改革
・顧客を機軸とした事業推進体制での戦略遂行、業務プロセス・業務活動における選択と集中の徹底と効率化の推進
・適切な需要予測管理と原価管理によるサプライチェーンマネジメントの最適化、業務プロセス改善と品質管理強化
・サステナブル経営視点の事業戦略・開発の推進、CO2排出削減等の取り組み強化
④事業戦略推進に向けたAI・IoTの積極活用
・事業戦略を実現するためのIT基幹システム活用の実践
・社内外データの活用とシステム化によるマーケティング施策と業務プロセス改善・効率化施策の推進
⑤将来の持続的成長を担う人財育成
・多様な人財の活用による組織運営の活性化と行動指針を実践する人財育成、社員の健康とエンゲージメント向上策の強化
・リーダーシップ・組織マネジメント力及び専門スキルの強化(スキルマップの活用)
・次世代経営層の育成
以上の取り組みを実施いたしました結果、売上高は、インバウンド需要回復によるヘルスケアフィールドの売上拡大等により、前期比2.9%増の468億5千9百万円となりました。
営業利益は、メディカル事業における売上高の増加等により、前期比28.8%増の20億7千3百万円となりました。
経常利益は、営業利益の増加及び持分法による投資利益の増加により、前期比26.0%増の22億1百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、これらの影響に加えて、当社が保有していた保養施設(土地・建物)の売却益7千1百万円の計上があったものの、前連結会計年度において当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却益16億2千9百万円が剥落した影響等により、前期比22.9%減の18億2千7百万円となりました。
なお、ROE(自己資本当期純利益率)は前期比1.5ポイント低下の4.4%となりました。
(連結業績の概要)

(営業利益の前期比増減)

(フィールド別売上高、前期比増減)

当社グループのセグメントの概要は次のとおりです。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、顧客機軸をベースとした事業活動を強化するために、営業担当管掌を「国内事業本部」、「海外事業本部」とし、国内事業本部の傘下に、販路別に以下の営業統括部を設置しております。
・顧客を機軸とした新たな営業推進体制の強化とブランド戦略の再構築のために、「コンシューマー営業本部」を設置し、傘下に「ヘルスケア営業統括部」、「オフィスホーム営業統括部」を置くとともに、越境EC含め積極的にEC営業の拡大を図るため、「EC営業統括部」を置いております。
・より顧客に密着した営業活動を推進し、新規開発案件探索、顧客拡大のために、「医療材営業統括部」、「工業品営業統括部」を置いております。
また、当社グループは、以上の営業担当管掌に、各子会社を加えた事業フィールドとして、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」、「医療材フィールド」、「工業品フィールド」及び「海外フィールド」を設定しております。
経営資源の配分の決定及び業績の評価については、取り扱う製品、商品の性質や、市場、製造方法の類似性に基づき、「メディカル事業」、「テープ事業」の単位で行っていることから、当社グループの事業セグメントとしては、「メディカル事業」、「テープ事業」と認識し、これを報告セグメントとしております。
「メディカル事業」、「テープ事業」セグメントと各事業フィールドとの関係は以下のとおりです。
| 事業フィールド | メディカル 事業 | テープ 事業 | ||
| 国内 | コンシューマー 営業本部 | ヘルスケアフィールド | 〇 | |
| ECフィールド | 〇 | 〇 | ||
| オフィスホームフィールド | 〇 | |||
| 医療材フィールド | 〇 | |||
| 工業品フィールド | 〇 | |||
| 海外 | 海外フィールド | 〇 | 〇 | |
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
メディカル事業
(ヘルスケアフィールド)
ドラッグストアを中心とした大衆薬市場におきましては、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和と訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の回復が継続し、市況に改善の傾向が見られました。
このような状況のなか、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについては、国内需要拡大に向けて、認知度向上のためにテレビCMやキャンペーン等のPR活動を実施し、売上高は前年を上回りました。あわせて、鎮痛消炎剤“ロイヒ”シリーズについては、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要拡大に向けての売り場作りを行うとともに、国内需要拡大に向けてのテレビCMやPR活動を行い、売上高は前年を大きく上回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は144億3百万円(前期比15.5%増)となりました。
(医療材フィールド)
医療機関向け医療材料市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機として、診療や受診の状況は改善されつつあり、市況も回復の兆しを見せ始めております。
このような状況のなか、院内需要の回復によって圧迫止血用パッド付絆創膏「ステプティTM」の販売数は好調に推移いたしましたが、止血製品シリーズ“セサブリックTM”全体としては、新型コロナウイルスワクチン需要減少の影響を一部で受けました。その結果、フィールド全体としての売上高は57億5千4百万円(前期比4.2%減)となりました。
((メディカル事業に係る)ECフィールド)
EC市場におきましては、オンライン購買に対するWEBマーケティングの取り組みを強化してきたことに加え、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについては価格改定の効果もあり、売上高は前年を上回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は7億9千4百万円(前期比21.6%増)となりました。
((メディカル事業に係る)海外フィールド))
海外市場におきましては、アフターコロナへの移行が進み、学会や展示会への参加をはじめ取引先と対面での商談が増加したものの、世界的な物価高など、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、止血製品シリーズ“セサブリックTM”や高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズを中心に、販売代理店とともに現地に密着した営業活動を展開してまいりました。止血製品シリーズ“セサブリックTM”は、医療施設での採用が増えて伸長いたしましたが、“ケアリーヴTM”シリーズについては、改善の兆しが見えるものの販売代理店の上期の在庫調整の影響が残り、売上高は前年を大きく下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は17億4千1百万円(前期比6.5%減)となりました。
以上の結果、メディカル事業全体の売上高は226億9千3百万円(前期比8.1%増)となりました。また、原材料単価の上昇があったものの、生産の大幅な増加及びヘルスケアフィールドを中心とした売上高の増加により、セグメント利益は62億7百万円(前期比29.5%増)となりました。
テープ事業
(オフィスホームフィールド)
文具事務用品市場におきましては、物価上昇を起因とした消費者心理の冷え込み等により需要の低迷が続くとともに、買い場の変化もあり厳しい販売環境となりました。
このような状況のなか、主要製品である「セロテープ®」や両面テープ「ナイスタックTM」については、価格改定やPR活動を進めましたが、ともに売上高は前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は50億6千8百万円(前期比2.8%減)となりました。
(工業品フィールド)
産業用テープ市場におきましては、自動車メーカー向けにおいて市況の改善が見られたものの、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、主要製品の「セロテープ®」については、多くの企業や自治体に向けて天然素材を使用した環境配慮製品であることを新聞広告や特設ホームページ等を通じて周知し、SDGsへの取り組みとしてご賛同をいただき、売上高は前年を上回りました。その一方、クラフトテープの売上高については、一部製品の廃番に伴い、前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は130億9千1百万円(前期比0.6%減)となりました。
((テープ事業に係る)ECフィールド)
EC市場におきましては、買い場の変化による需要回復の傾向が見られるなか、価格改定を進めるとともに、オンライン購買に対するWEBマーケティングを強化してきたことにより、「セロテープ®」や両面テープ「ナイスタックTM」などの需要が好調に推移いたしました。その結果、フィールド全体としての売上高は37億4千9百万円(前期比9.1%増)となりました。
((テープ事業に係る)海外フィールド)
海外市場におきましては、アフターコロナへの移行が進み、取引先と対面での商談が増加したものの、中国経済の減速など、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、「PanfixTMセルローステープ」については香港やインドネシア市場へ向けて、塗装用和紙マスキングテープについては欧州や中国市場へ向けて、販売チャネルの構築と製品育成に注力してまいりましたが、「PanfixTMセルローステープ」については、改善の兆しが見えるものの販売代理店の価格改定による駆け込み需要の反動等の影響が残り、売上高は前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は22億5千7百万円(前期比18.1%減)となりました。
以上の結果、テープ事業全体の売上高は241億6千6百万円(前期比1.6%減)となりました。また、セロハン等の原材料単価やエネルギー価格の上昇等により、セグメント利益は1億7千9百万円(前期比81.3%減)となりました。
調整額
報告セグメントに帰属しない一般管理費の計上等により、営業利益と報告セグメントの利益の合計額との調整額が43億1千3百万円(前期比4.1%増)となりました。
(トピックス コンシューマー営業本部)


(トピックス 医療材フィールド)

(トピックス 工業品フィールド)

(トピックス 海外フィールド)


生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| メディカル事業 | 24,825 | +11.3 |
| テープ事業 | 19,580 | △5.6 |
| 合計 | 44,405 | +3.2 |
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.テープ事業における主要な原材料であるセロハン価格が円安による影響を受け、前期と比較して高騰しております。
②受注実績
当社グループは需要見込による生産方式をとっております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| メディカル事業 | 22,693 | +8.1 |
| テープ事業 | 24,166 | △1.6 |
| 合計 | 46,859 | +2.9 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| ピップ株式会社 | 5,093 | 11.2 | 6,673 | 14.2 |
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ10億8千3百万円減少し、680億3千9百万円となりました。流動資産は6億3千3百万円の減少、固定資産は4億4千9百万円の減少となりました。
流動資産の減少は、当第4四半期連結会計期間の売上高及び生産高が前年と比べ増加したことにより売上債権が5億1千万円増加、棚卸資産が5億4千6百万円増加したものの、設備投資代金、自己株式の取得代金、配当及び法人税等の支払い等により現金及び預金が17億2百万円減少したこと等によるものです。
固定資産の減少は、減価償却費が投資額を上回った結果、有形固定資産が6億2千9百万円、無形固定資産が2億4千7百万円減少したこと等によるものです。なお、前連結会計年度末に建設仮勘定に計上しておりました当社の埼玉工場における粘着液製造設備及び建屋は、当連結会計年度において、すべて本勘定に振り替えられております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
メディカル事業
当連結会計年度末のメディカル事業の資産は、前期と比べ10億3千3百万円減少し、264億5百万円となりました。
テープ事業
当連結会計年度末のテープ事業の資産は、前期と比べ3億2千7百万円増加し、227億1千5百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比べ21億8千2百万円減少し、263億3千6百万円となりました。流動負債は、22億9千7百万円の減少、固定負債は、1億1千4百万円の増加となりました。
流動負債の減少は、未払法人税等が4億4千9百万円減少したこと並びに設備投資代金の支払いにより営業外電子記録債務が13億1千4百万円減少したこと等によるものです。
固定負債の増加は、原状回復費用に関して見積りの変更を行ったこと等により資産除去債務が1億3百万円増加したこと等によるものです。
純資産は前連結会計年度末と比べ10億9千9百万円増加し、417億3百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.6ポイント上昇し、61.3%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ17億2百万円(11.5%)減少し、130億4千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ2億6千9百万円(9.2%)増加し、31億8千7百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は税金等調整前当期純利益22億7千3百万円の計上、減価償却費27億9千5百万円の計上、売上債権の増加額5億1千万円、棚卸資産の増加額5億4千6百万円、法人税等の支払額8億9千8百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ25億3千8百万円(220.1%)増加し、36億9千2百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却を実施したこと等により、有形固定資産の売却による収入が16億4百万円減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ3億5千8百万円(41.3%)増加し、12億2千5百万円となりました。これは主に自己株式の取得による支出4億4千8百万円等によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、株主の皆様への利益還元とのバランスを考えながら、企業体質の強化及び設備投資、コスト競争力向上のための技術開発等の資金需要に備えるために内部留保の充実を図っております。
資金調達は、自己資金を基本とし、自己資金で賄えない場合は金融機関から借入れることとしております。
なお、資金調達の柔軟性及び機動性を確保するため、取引銀行と40億円の貸出コミットメント契約(借入未実行残高40億円)を締結しております。
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、原材料・商品の仕入の他製造経費・販売経費等の営業費用によるものです。また設備資金の需要のうち主なものは、埼玉工場、テープ安城工場、メディカル安城工場及び製造子会社における絆創膏・粘着テープ等の製造設備の新設又は更新によるものです。
2024年3月31日現在、当社グループの借入金の残高は20億円で、その内の一部について金利スワップ取引を利用することで、その全額を円建ての固定金利にて国内銀行より調達しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。