四半期報告書-第167期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)
文中の将来に関する事項は本四半期報告書提出日(2019年8月2日)現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間の我が国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持直しや、企業の設備投資の堅調な推移を受け、緩やかな回復基調が続きました。海外経済については、保護主義的な通商政策の影響などにより、中国や東南アジア、欧州では経済成長の減速傾向が見られたものの、米国を中心に景気回復傾向が継続しました。
このような経済環境のもと、当社グループにおいては、鋼材の販売数量は、保護主義的な通商政策の影響が一部で見られたものの、国内における自動車向けを中心に需要は堅調に推移したことから、前年同期並となりました。アルミ圧延品の販売数量は、飲料用缶材向けの需要は堅調に推移したものの、半導体・IT向けの需要が減少したことなどから、前年同期を下回りました。銅圧延品の販売数量は、銅板条において自動車用端子や半導体向けの需要が減少したことから、前年同期を下回りました。油圧ショベルの販売台数は、地域によって増減があるものの、全体としては前年同期並となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比138億円減収の4,644億円となり、営業利益は前年同期比110億円減益の27億円、経常損益は前年同期比132億円悪化の5億円の損失、親会社株主に帰属する四半期純損益は、前年同期比138億円悪化の11億円の損失となりました。
当第1四半期連結累計期間のセグメント毎の状況は次のとおりであります。
[鉄鋼]
鋼材の販売数量は、保護主義的な通商政策の影響が一部で見られたものの、国内における自動車向けを中心に需要は堅調に推移したことから、前年同期並となりました。販売価格は、主原料価格の上昇などの影響を受け、前年同期を上回りました。
鋳鍛鋼品の売上高は、製品構成の変化により、前年同期を下回りました。チタン製品の売上高は、航空機分野での拡販等により、前年同期を上回りました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期並の1,812億円となりましたが、経常損益は、生産コストの削減は順調に進んでいるものの、製品構成の悪化や在庫評価影響の益の縮小などにより、前年同期比23億円悪化の15億円の損失となりました。
[溶接]
溶接材料の販売数量は、タイ・インドネシアなどで需要が低迷した一方、東アジアを中心とした造船向け需要が回復傾向にあることや、中国におけるエネルギー向けが増加したことなどから、前年同期を上回りました。
溶接システムについては、国内の建築鉄骨向けの需要が引き続き堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7.4%増の211億円となり、経常利益は、前年同期比2億円増益の8億円となりました。
[アルミ・銅]
アルミ圧延品の販売数量は、飲料用缶材向けの需要は堅調に推移したものの、半導体・IT向けの需要が減少したこ
となどから、前年同期を下回りました。
銅圧延品の販売数量は、銅管の需要は堅調だったものの、銅板条において自動車用端子や半導体向けの需要が減少
したことから、前年同期を下回りました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比5.3%減の882億円となりました。経常損益は、販売数量の減少や在庫評価影響の悪化などにより、前年同期比56億円悪化の31億円の損失となりました。
[機械]
アジア・中東における石油化学分野の需要が堅調に推移したことなどから、当第1四半期連結累計期間の受注高は、前年同期比13.2%増の372億円となり、当第1四半期連結会計期間末の受注残高は、1,524億円となりました。
また、当第1四半期連結累計期間の売上高は、石油化学向け圧縮機の大型案件の売上計上があった前年同期に比べ9.7%減の399億円となり、経常利益は、前年同期比1億円減益の8億円となりました。
[エンジニアリング]
当第1四半期連結累計期間の受注高は、廃棄物処理関連事業を中心に堅調に推移したものの、複数の大型案件の受注があった前年同期に比べ7.6%減の475億円となり、当第1四半期連結会計期間末の受注残高は、1,845億円となりました。
また、当第1四半期連結累計期間の売上高は、大型案件を中心に既受注案件が順調に進捗したことから、前年同期比13.7%増の284億円となり、経常利益は、前年同期比3億円増益の8億円となりました。
[建設機械]
油圧ショベルの販売台数は、東南アジアでは、インフラ工事の延期の影響などにより需要が一時的に減退したことなどから減少したものの、需要が堅調な中国や国内では増加したことから、前年同期並となりました。
クローラクレーンの販売台数は、東南アジアを中心に海外メーカーとの競争が激化したことなどから、前年同期を下回りました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比5.6%減の957億円となり、経常利益は、東南アジアでの販売台数の減少や為替の影響などから前年同期比35億円減益の40億円となりました。
[電力]
販売電力量は、設備点検・補修の日数差により前年同期を上回りました。電力単価は、発電用石炭価格の市況上昇の影響を受け、前年同期を上回りました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比8.7%増の152億円となったものの、経常損失は、神戸発電所1号機において法定点検を実施したことにより、前年同期比15億円悪化の16億円となりました。
[その他]
(株)コベルコ科研においては、ターゲット事業の売上高が減少しました。
また、連結子会社であった神鋼不動産(株)を前第2四半期連結会計期間において、当社の連結の範囲より除外し、持分法適用関連会社の範囲に含めております。
この結果、その他事業全体の当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比60.3%減の57億円となり、経常損益は、前年同期比10億円悪化の4億円の損失となりました。
(注) 売上高・受注高には消費税等は含まれておりません。
<中期経営計画の見直しについて>当社グループは、2016年4月に「2016~2020 年度グループ中期経営計画」を策定し、中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G+”(ジープラス)」への取組みをスタートいたしました。
2016年からこれまで、課題として掲げた鋼材事業における上工程の集約、中国での建設機械事業の再構築、電力事業における新規プロジェクトの推進などを順調に進めてまいりました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の上昇といった市場環境の変化や、設備トラブルの発生、戦略投資案件の収益化の遅れ、品質不適切行為の発覚など当社グループにおける状況の変化もあり、中長期経営ビジョンを実現するためには、当社グループが取り組むべき新たな課題があると認識しております。
こうした状況を受け、当社グループは、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期ローリング」としてまとめ、2019年5月に公表いたしました。中期ローリングで掲げた主要テーマは次のとおりであります。足下の当社グループの課題に真摯に向き合い、重点テーマへの取組みを着実にやり切ることで、将来へ向けた飛躍を確実なものにしてまいります。
| 中期ローリングの主要テーマ | |
| 2019~2020年度の 重点テーマ | 素材系を中心とした収益力強化 ものづくり力の強化と販売価格の改善 戦略投資案件の収益化 「鉄鋼」と「アルミ・銅」の組織改編による「お客様へのさらなる貢献」 |
| 経営資源の効率化と経営基盤の強化 | |
| 2021年度以降も継続する中長期テーマ | コーポレートガバナンスの継続的強化 (品質不適切行為に対する再発防止策への継続的取組み) |
| 人材確保・育成に関する各種制度の拡充 | |
| IT戦略の強化 | |
| 当社グループの特長を活かしたサステナビリティ経営の推進 (事業活動を通じた環境・社会への貢献と持続的成長の追求) |
※「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G+”』」の内容の詳細は、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp) プレスリリース欄 2016年4月5日付「2016~2020年度グループ中期経営計画について」を、「中期経営計画ローリング」の詳細は、2019年5月15日付「中期経営計画ローリング(2019~2020年度)について」をご覧ください。
②経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
③資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、事業伸長・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。
今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行なう一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。
b.有利子負債の内訳及び使途
当第1四半期連結会計期間末現在の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 合計 | 1年内 | 1年超 | |
| 短期借入金 | 64,366 | 64,366 | - |
| 長期借入金 | 583,557 | 49,796 | 533,761 |
| 社債 | 111,945 | 10,215 | 101,730 |
| 合計 | 759,868 | 124,377 | 635,491 |
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当第1四半期連結会計期間末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,243億円、返済期限が1年を超えるものが6,354億円となり、合計で7,598億円となりました。
これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれる輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野を中心に使用していくこととしております。
なお、財務戦略の基本方針は、素材系・機械系事業の成長に向けた大型戦略投資、事業基盤を支える定常投資は、原則として事業キャッシュ・フローにて賄うこととしております。大型戦略投資に含まれる、自動車分野を中心とした成長投資(1,000億円)については、事業環境の変化によるキャッシュ・フロー悪化時にも、財務規律を維持しながら着実に成長投資を実施すべく、海外におけるグループ内資金の有効活用や、上場株式や関係会社株式等の資産売却等により、1,100億円規模のキャッシュ対策を実施しております。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、前連結会計年度に掲げた課題のうち、品質不適切行為に関して当第1四半期連結累計期間において一部変更しております。重要な変更箇所は「1 事業等のリスク」に記載しておりますので、併せてご参照ください。
また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)は次のとおりであります。
1. 会社支配に関する基本方針
当社は、明治38年の創立から110年を超える歴史の中で、独自の事業領域を形成してまいりました。特に、当社の素材系事業や機械系事業は事業の裾野が非常に広く、これらの事業分野を構成する個別の事業の多様性を前提として初めて創出されるシナジーが存在いたします。また、これらの事業は、研究開発や生産現場で果敢な挑戦を続ける当社従業員をはじめ、当社との間で長年に亘り信頼関係を培ってきた輸送機やエネルギー・インフラ分野をはじめとする国内外の取引先並びにお客様等の多様なステークホルダーによって支えられております。さらに、当社は、素材系事業における代替困難な素材や部材、機械系事業における省エネルギーや環境に配慮した製品等、当社独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給するとともに、電力事業においても極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、社会的にも大きな責任を担っているものと考えております。当社は、こうした各事業間における技術の交流・融合によるシナジー効果や、独自・高付加価値製品の提供とこれにより構築されたステークホルダーとの信頼関係、社会的インフラ提供の責務と社会の皆様からの信頼こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。
当社は、上場会社として、株式の自由な取引の中で、上記のような源泉から生み出される当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の異動を伴う当社株券等に対する大規模な買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えておりますが、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等の当社の企業価値を生み出す源泉を十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
したがって、当社は、当社株券等に対する大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、関連する法令の許容する範囲内において、適切な対応をとることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めなければならないと考えております。
2. 基本方針の実現に資する特別な取組み
(1) 経営戦略の展開による企業価値向上への取組み
当社は、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による事業成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる新たな中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION“G+”(ジープラス)」への取組みをスタートさせ、その実現に取り組んでおります。
輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野に経営資源を集中し、当社グループ独自の付加価値をさらに高め、競争優位性を発揮していくことで、事業を拡大・発展させるとともに、社会への貢献を目指してまいります。
(2) コーポレートガバナンス強化による企業価値向上への取組み
当社は、継続的に企業価値を向上させるためには、コーポレートガバナンスの強化が必要であると考えております。
当社は、監査等委員会設置会社への移行、取締役会メンバーの見直し、独立社外取締役の全員を構成員とし、経営に関する客観的な意見の提供等を行なう場でもある独立社外取締役会議や、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会の設置等の様々な取組みを通じて、コーポレートガバナンス体制の強化を図ってまいりました。
今後も、当社は、独立社外取締役会議において出された意見や、事業年度毎に各取締役に対して行なうアンケート及びその結果に対する監査等委員会の評価に基づいて実施する取締役会実効性評価の結果等を踏まえながら、さらなるコーポレートガバナンスの強化に向けて、継続的に検討を進めてまいります。
3. 基本方針に照らして、不適切な者によって当社の財務及び事業の決定を支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株券等の大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保する観点から、関係する法令に従い、株主の皆様が大規模な買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討のために必要な時間と情報の確保に努めるものといたします。
また、仮に大規模な買付行為に対する速やかな対抗措置を講じなければ、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると合理的に判断されるときには、株主から経営を負託された当社取締役会の当然の責務として、関連する法令の許容する範囲内において、適宜、当該時点で最も適切と考えられる具体的な措置の内容を速やかに決定し、実行することにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めてまいります。
なお、上記2.及び3.に記載の取組みは、上記1.に記載の方針に従い、当社の企業価値及び株主共同の利益に沿うものであり、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、82億円であります。
また、当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の変更の内容は、次のとおりであります。
[溶接]
溶接では、舶用LNG燃料タンクに用いられる9%Ni鋼の溶接に適したNi基合金のフラックス入りワイヤ「PREMIARCTM DW-N609SV」を開発、上市しました。本製品は、Ni基合金溶接で問題となる高温割れが生じ難く、溶接作業性、特に立向溶接性に優れるという特長を有しています。既にメガコンテナ船LNG燃料タンクでの採用が決定しています。韓国、中国を中心に多くのLNG燃料タンクを積載する大型船舶の建造が計画されており、高能率な溶接が可能なフラックス入りワイヤの需要拡大が見込まれます。
[建設機械]
建設機械では、国立大学法人豊橋技術科学大学と、クローラクレーンに関する両者の知識、経験及び人的資源、物的資源を相互に活用した研究の推進、研究成果の社会活用促進、高度な人材の育成を目的として、包括連携協定を2019年2月5日に締結しており、2019年4月1日に豊橋技術科学大学に「コベルコ建機次世代クレーン共同研究講座」を開設しました。
[その他]
(株)コベルコ科研では、近年発達著しいAI(Artificial Intelligence)、MI(Materials Informatics)、ビッグデータを用いた解析等の研究開発、自動車分野におけるモータ・インバータや電池などの駆動電子部品に関する研究開発を効果的・効率的に進めるために、分散していた計算科学に関する技術と人材、EVモーター、自動車用電子部品、二次電池に関する技術、人材を集約し、「計算科学センター(Computational Science Department)」と「EV・電池プロジェクト室」を新設しました。
(4)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第1四半期連結累計期間において、重要な変更があったものはありません。
また、当第1四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。
加えて、経常的な設備更新のための除却等を除き、重要な設備の除却等の計画はありません。