四半期報告書-第167期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)
文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日(2020年2月6日)現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の我が国経済は、雇用・所得環境の改善により個人消費は持直し、企業の設備投資も底堅く推移したものの、世界経済の減速に伴う輸出の低迷が続くなか、製造業を中心に停滞感が見られました。海外経済については、米中貿易摩擦の影響などにより、経済成長の減速傾向が見られました。
このような経済環境のもと、当社グループにおいては、鋼材の販売数量は、海外の自動車向けを中心に需要が減少したため、前年同期を下回りました。アルミ・銅圧延品の販売数量は、半導体・IT・自動車用端子向けの需要が減少したことなどから、前年同期を下回りました。油圧ショベルの販売台数は、東南アジアやインドで減少したものの、国内や中国での増加により、全体としては前年同期並となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比595億円減収の1兆3,888億円となり、営業利益は前年同期比239億円減益の143億円、経常利益は前年同期比200億円減益の71億円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、神鋼不動産(株)の株式の一部譲渡などによる特別利益を計上した前年同期に比べ、378億円減益の72億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメント毎の状況は次のとおりであります。
[鉄鋼]
鋼材の販売数量は、米中貿易摩擦の影響を背景に、海外の自動車向けを中心に需要が減少し、前年同期を下回りました。販売価格は、主原料価格などの上昇を反映し、前年同期を上回りました。
鋳鍛鋼品の売上高は、需要悪化に伴い販売数量が減少したことにより、前年同期を下回りました。チタン製品の売上高は、航空機分野での拡販等により、前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比2.4%減の5,455億円となりました。経常損益は、販売数量の減少に加えて、鋼材や鋳鍛鋼品での製品構成の悪化などにより、前年同期比78億円悪化の46億円の損失となりました。
[溶接]
溶接材料の販売数量は、国内の建築鉄骨向けや韓国のLNG造船向けで需要が増加したものの、タイ・インドネシアを中心に東南アジアで需要が低迷したことなどから、前年同期並となりました。
溶接システムについては、国内の建築鉄骨向けにおいて設備の更新需要が引き続き堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比2.8%増の637億円となり、経常利益は、前年同期比1億円増益の25億円となりました。
[アルミ・銅]
アルミ圧延品の販売数量は、半導体・IT向けの需要が減少したことなどから、前年同期を下回りました。
銅圧延品の販売数量は、銅管の需要は堅調だったものの、銅板条において自動車用端子や半導体向けの需要が減少したことから、前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7.5%減の2,514億円となりました。経常損益は、販売数量の減少や在庫評価影響の悪化に加え、海外子会社での設備トラブルの影響などから、前年同期比137億円悪化の127億円の損失となりました。
[機械]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、石油化学分野の需要は堅調に推移したものの、産業機械事業で複数の大型案件の受注があった前年同期に比べ3.0%減の1,103億円となり、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は、1,549億円となりました。
また、当第3四半期連結累計期間の売上高は、石油化学向け圧縮機の大型案件の売上計上があった前年同期に比べ3.5%減の1,173億円となったものの、経常利益は、採算性の改善やアフターサービスの売上が増加したことなどから前年同期比51億円増益の65億円となりました。
[エンジニアリング]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、廃棄物処理関連事業で複数の大型案件の受注があった前年同期に比べ8.0%減の958億円となり、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は、1,785億円となりました。
また、既受注案件の進捗差や案件構成差などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比6.6%増の958億円となり、経常利益は、前年同期比18億円増益の45億円となりました。
[建設機械]
油圧ショベルの販売台数は、東南アジアでは、インフラ工事の延期の影響等により需要が一時的に減退したことから減少したものの、企業の設備投資が堅調だった国内や、政府主導で公共投資が行なわれた中国では増加したことから、全体としては前年同期並となりました。
クローラクレーンの販売台数は、東南アジアを中心に海外メーカーとの競争が激化したことなどから、前年同期を下回りました。
一方、油圧ショベルの販売機種構成の変化や為替がユーロに対して円高となった影響などから、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比6.5%減の2,778億円となり、売上高の減少に加えて、貸倒引当金取崩益が前年同期に比べて減少したことなどから、経常利益は、前年同期比138億円減益の87億円となりました。
[電力]
販売電力量は、2019年10月に真岡発電所1号機が稼働したことにより前年同期を上回りました。電力単価は、発電用石炭価格の市況下落の影響を受け、前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比5.0%減の516億円となりましたが、経常損益は、真岡発電所1号機の稼働や、前年同期に神戸3・4号機におけるプロジェクトファイナンス組成のための費用計上があったことから、前年同期比67億円改善の34億円の利益となりました。
[その他]
(株)コベルコ科研においては、ターゲット事業の売上高は減少しましたが、試験研究事業、半導体検査装置事業の売上高が増加し、全体としては前年同期並の売上高となりました。
また、前年同期は、神鋼不動産(株)が前第1四半期連結会計期間まで連結の範囲に含まれていたことから、その他事業全体の当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比27.2%減の213億円となり、経常利益は、前年同期比9億円減益の7億円となりました。
(注) 売上高・受注高には消費税等は含まれておりません。
<中期経営計画の進捗について>当社グループは、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G+”(ジープラス)」への取組みをスタートいたしました。
2016年からこれまで、課題として掲げた鋼材事業における上工程の集約、中国での建設機械事業の再構築、電力事業における新規プロジェクトの推進などを順調に進めてまいりました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の上昇といった市場環境の変化や、設備トラブルの発生、戦略投資案件の収益化の遅れ、品質不適切行為の発覚など当社グループにおける状況の変化もあり、中長期経営ビジョンを実現するためには、当社グループが取り組むべき新たな課題があると認識しております。
こうした状況を受け、当社グループは、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期経営計画ローリング」としてまとめ、2019年5月に公表いたしました。中期経営計画ローリングで掲げた主要テーマは次のとおりであります。
※「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G+”』」の内容の詳細は、当社ホームページ(https://www.kobelco.co.jp) プレスリリース欄 2016年4月5日付「2016~2020年度グループ中期経営計画について」を、「中期経営計画ローリング」の詳細は、2019年5月15日付「中期経営計画ローリング(2019~2020年度)について」をご覧ください。
「2016~2020年度グループ中期経営計画」及び「中期経営計画ローリング」の当第3四半期連結累計期間の進捗は次のとおりです。
・電力事業において、栃木県真岡市に建設中の国内初の内陸型ガス火力発電所のうち、1号機について試運転を無事に終え、2019年10月1日に営業運転を開始いたしました。また、2号機についても、計画は順調に進捗しており、2020年前半に稼働予定です。
・2019~2020年度の重点テーマとしている経営資源の効率化と経営基盤の強化の一環として、グループ会社再編を含むグループガバナンスの強化に取り組んでおり、アルミ押出事業における効率化の促進のため、神鋼ファブテック(株)を吸収合併することを決定いたしました(合併予定時期:2020年4月)。
また、空調用銅管、建築・給水給湯用銅管等の製造・販売を行なっております(株)コベルコ マテリアル銅管につきましては、同社の一層の企業価値向上を目指すためには、新たな資本関係のもとでの事業展開が有効であると判断し、当社が保有する株式の一部譲渡を決定いたしました(譲渡予定時期:2020年3月)。
さらに、シームレスステンレス鋼管、精密細管、特殊管の製造販売、チタン溶接管の製造を行なっておりますコベルコ鋼管(株)についても、同社の一層の企業価値向上を目指すためには、新たな資本関係のもとでの事業展開が有効であると判断し、当社が保有する全株式の譲渡を決定いたしました(譲渡予定時期:2020年4月)。
加えて、経営資源の効率化の取組みとして、政策保有株式の縮減も随時進めております。
・2021年度以降の次期中期へ向けた継続的なテーマである優秀な人材の確保、社員の働きやすい環境の構築の観点から、働き方改革やダイバーシティの推進にも継続して取り組んでおりますが、このたび、特に優良な子育てサポートを継続している企業として、厚生労働大臣より「プラチナくるみん」の認定を受けました(2019年8月)。
足元の当社グループの課題に真摯に向き合い、重点テーマへの取組みを着実にやり切ることで、将来へ向けた飛躍を確実なものにしてまいります。
②経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
③資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。
今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行なう一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。
b.有利子負債の内訳及び使途
当第3四半期連結会計期間末現在の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当第3四半期連結会計期間末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,457億円、返済期限が1年を超えるものが7,054億円となり、合計で8,512億円となりました。
これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれる輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野を中心に使用していくこととしております。
財務戦略の基本方針は、素材系・機械系事業の成長に向けた大型戦略投資、事業基盤を支える定常投資は、原則として事業キャッシュ・フローにて賄うこととしております。大型戦略投資に含まれる、自動車分野を中心とした成長投資(1,000億円)については、事業環境の変化によるキャッシュ・フロー悪化時にも、財務規律を維持しながら着実に成長投資を実施すべく、海外におけるグループ内資金の有効活用や、上場株式や関係会社株式等の資産売却等により、2016年度から2018年度までに1,100億円規模のキャッシュ対策を実施しました。さらに、「中期経営計画ローリング」で掲げた500億円をターゲットとする資金・資産の効率化についても2019年度より着手しており、政策保有株式の売却などを進めております。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、前連結会計年度に掲げた課題のうち、品質不適切行為に関して当第3四半期連結累計期間において一部変更しております。重要な変更箇所は「1 事業等のリスク」に記載しておりますので、併せてご参照ください。
また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)は次のとおりであります。
1. 会社支配に関する基本方針
当社は、明治38年の創立から110年を超える歴史の中で、独自の事業領域を形成してまいりました。特に、当社の素材系事業や機械系事業は事業の裾野が非常に広く、これらの事業分野を構成する個別の事業の多様性を前提として初めて創出されるシナジーが存在いたします。また、これらの事業は、研究開発や生産現場で果敢な挑戦を続ける当社従業員をはじめ、当社との間で長年に亘り信頼関係を培ってきた輸送機やエネルギー・インフラ分野をはじめとする国内外の取引先並びにお客様等の多様なステークホルダーによって支えられております。さらに、当社は、素材系事業における代替困難な素材や部材、機械系事業における省エネルギーや環境に配慮した製品等、当社独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給するとともに、電力事業においても極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、社会的にも大きな責任を担っているものと考えております。当社は、こうした各事業間における技術の交流・融合によるシナジー効果や、独自・高付加価値製品の提供とこれにより構築されたステークホルダーとの信頼関係、社会的インフラ提供の責務と社会の皆様からの信頼こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。
当社は、上場会社として、株式の自由な取引の中で、上記のような源泉から生み出される当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の異動を伴う当社株券等に対する大規模な買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えておりますが、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等の当社の企業価値を生み出す源泉を十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
したがって、当社は、当社株券等に対する大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、関連する法令の許容する範囲内において、適切な対応をとることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めなければならないと考えております。
2. 基本方針の実現に資する特別な取組み
(1) 経営戦略の展開による企業価値向上への取組み
当社は、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による事業成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる新たな中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION“G+”(ジープラス)」への取組みをスタートさせ、その実現に取り組んでおります。
輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野に経営資源を集中し、当社グループ独自の付加価値をさらに高め、競争優位性を発揮していくことで、事業を拡大・発展させるとともに、社会への貢献を目指してまいります。
(2) コーポレートガバナンス強化による企業価値向上への取組み
当社は、継続的に企業価値を向上させるためには、コーポレートガバナンスの強化が必要であると考えております。
当社は、監査等委員会設置会社への移行、取締役会メンバーの見直し、独立社外取締役の全員を構成員とし、経営に関する客観的な意見の提供等を行なう場でもある独立社外取締役会議や、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会の設置等の様々な取組みを通じて、コーポレートガバナンス体制の強化を図ってまいりました。
今後も、当社は、独立社外取締役会議において出された意見や、事業年度毎に各取締役に対して行なうアンケート及びその結果に対する監査等委員会の評価に基づいて実施する取締役会実効性評価の結果等を踏まえながら、さらなるコーポレートガバナンスの強化に向けて、継続的に検討を進めてまいります。
3. 基本方針に照らして、不適切な者によって当社の財務及び事業の決定を支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株券等の大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保する観点から、関係する法令に従い、株主の皆様が大規模な買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討のために必要な時間と情報の確保に努めるものといたします。
また、仮に大規模な買付行為に対する速やかな対抗措置を講じなければ、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると合理的に判断されるときには、株主から経営を負託された当社取締役会の当然の責務として、関連する法令の許容する範囲内において、適宜、当該時点で最も適切と考えられる具体的な措置の内容を速やかに決定し、実行することにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めてまいります。
なお、上記2.及び3.に記載の取組みは、上記1.に記載の方針に従い、当社の企業価値及び株主共同の利益に沿うものであり、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、256億円であります。
また、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の変更の内容は、次のとおりであります。
[鉄鋼]
鉄鋼では、プレスの生産性に優れたホットスタンプ用めっき鋼板(焼入れ後強度1500MPa級)を開発しました。本製品とスペインの自動車部品会社であるGestamp社の加工技術を組み合わせることで、欧州自動車メーカーへ初めて適用され、量産化に至りました。本製品は、2017年に開発した高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板(注)に亜鉛めっき処理を施したものであり、高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板の適用部品の拡大の可能性を大きく広げるものです。
(注) 高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板
従来のホットスタンプ用鋼板と比べて焼入れ性を向上させることで、お客様でのプレス生産性の改善、加工後の冷却ムラによる強度不足の軽減、プレス部品形状の自由度向上、プレス後のレーザーカット工程の省略を可能とした鋼板
[溶接]
溶接では、舶用LNG燃料タンクに用いられる9%Ni鋼の溶接に適したNi基合金のフラックス入りワイヤ「PREMIARCTM DW-N609SV」を開発、上市しました。本製品は、Ni基合金溶接で問題となる高温割れが生じ難く、溶接作業性、特に立向溶接性に優れるという特長を有しています。既にメガコンテナ船LNG燃料タンクでの採用が決定しています。韓国、中国を中心に多くのLNG燃料タンクを積載する大型船舶の建造が計画されており、高能率な溶接が可能なフラックス入りワイヤの需要拡大が見込まれます。
また、アーク溶接ロボットの小型機種「ARCMANTM A40」を開発しました。同機は、従来機種「ARCMANTM SR」の後継機で、アーム長さや中厚板溶接機能など基本スペックは従来機を継承しました。新たな特長として、ロボット旋回軸を中空化して溶接ケーブルを内挿する構造を採用しました。これにより溶接品質の向上と自動化を阻害する同ケーブルの巻きつきを解消しました。また動作範囲を大幅に拡大し、より様々な形状のワークを溶接することが可能になりました。溶接士不足への対応として、溶接の自動化を推進する国内外の中厚板溶接を行なう顧客向けに拡販が期待されます。
さらに、造船向けに、小型可搬型溶接ロボット「石松」での自動溶接用フラックス入りワイヤ「FAMILIARCTM MX-100ER」を開発しました。「MX-100ER」はソリッドワイヤに比べ大粒スパッタを大幅に削減し、スラグが少ないことにより2~3パスの連続溶接が可能で、自動溶接に適しています。また、「石松」には「MX-100ER」の溶接パラメータが搭載されており、コントローラで「MX-100ER」を選択すれば、姿勢・板厚・開先形状に応じた溶接条件が自動設定され、最適な条件で優れた溶接品質が得られます。
[機械]
機械では、グリーン冷媒(低GWP冷媒)を採用し、環境性と高い省エネ性を両立した高温ヒートポンプ「HEM-HR-GN/GLシリーズ」を開発しました。55℃から95℃の温水取出機ラインアップのうち、95℃温水取出機は、木村化工機(株)と共同開発したモデルで、本年パイロットプラントでの検証試験を行ないます。
また、東京ガス(株)、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(株)、三浦工業(株)、当社の4社が2015年に開発したガスエンジンの廃温水を蒸気として回収する「全蒸気回収ガスエンジンコージェネレーションシステム」が、一般社団法人日本ガス協会が主催する2019年度「技術賞」を受賞しました。本システムは発電効率と蒸気回収効率を合わせた総合効率で世界最高を達成しています。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、米国の当社グループ100%子会社であるMidrex Technologies, Inc.(以下、ミドレックス社)が、世界最大の鉄鋼メーカーであるArcelorMittal(以下、アルセロール・ミッタル社)が進める水素を活用した低炭素製鉄の研究・開発において、水素を活用した直接還元製鉄法の技術サプライヤーとして採用され、アルセロール・ミッタル社と共同開発契約を締結しました。その一環としてミドレックス社は、同社が保有する技術を活かし、アルセロール・ミッタル社のドイツ・ハンブルグ工場内に建設される計画の水素を活用した還元鉄製造実証プラントの設計を実施する契約も併せて締結しています。
[建設機械]
建設機械では、クラウドやAI、IoT等の先進テクノロジーを活用して、「働く人を中心とした、建設現場のテレワークシステム」を意味するK-DIVE CONCEPT推進のために、日本マイクロソフト(株)と協業することを2019年5月22日の「建設・測量生産性向上展2019」にて発表いたしました。クラウドマッチングシステムにより、特定の人・場所・時間などの制約を受けずに、現場の施工が可能となる「建設現場のテレワーク化」を実現し、深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保などを目指しています。
ショベル関連分野では、機能性・快適性を大幅に向上させた7トン級油圧ショベルSK75SR-7の販売を2019年5月1日より開始しました。燃費改善開発により従来機比で登坂走行速度を27%、アーム掘削速度を15%向上させ生産性を改善しています。また、筋電位の計測データに基づき、人間工学や感性工学的な視点を盛り込みながらシートやレバー、スイッチ類のポジションの最適化を行なうことで、作業時の快適性も大幅に向上させました。
クレーン関連分野では、国立大学法人豊橋技術科学大学と、クローラクレーンに関する両者の知識、経験及び人的資源、物的資源を相互に活用した研究の推進、研究成果の社会活用促進、高度な人材の育成を目的として、包括連携協定を2019年2月5日に締結しており、2019年4月1日に豊橋技術科学大学に「コベルコ建機次世代クレーン共同研究講座」を開設しました。
[その他]
(株)コベルコ科研では、近年発達著しいAI(Artificial Intelligence)、MI(Materials Informatics)、ビッグデータを用いた解析等の研究開発、自動車分野におけるモータ・インバータや電池などの駆動電子部品に関する研究開発を効果的・効率的に進めるために、分散していた計算科学に関する技術と人材、EVモーター、自動車用電子部品、二次電池に関する技術、人材を集約し、「計算科学センター(Computational Science Department)」と「EV・電池プロジェクト室」を新設しました。
また、「パルス渦流法を用いた非破壊検査技術」が、国土交通省の公共工事等における新技術活用システム「NETIS-VE」に登録され、併せて「活用促進技術」に指定されました。この技術は主に、土砂・アスファルト・
コンクリート等に埋設された道路附属物(照明柱、標識柱等)の地際部腐食を掘削することなく測定できる技術で、現状の掘削後に4か所の板厚測定をする技術に対し、測定時間の大幅な短縮が可能となります。
(4)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間において重要な変更があったものはありません。
また、当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。
加えて、経常的な設備更新のための除却等を除き、重要な設備の除却等の計画はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の我が国経済は、雇用・所得環境の改善により個人消費は持直し、企業の設備投資も底堅く推移したものの、世界経済の減速に伴う輸出の低迷が続くなか、製造業を中心に停滞感が見られました。海外経済については、米中貿易摩擦の影響などにより、経済成長の減速傾向が見られました。
このような経済環境のもと、当社グループにおいては、鋼材の販売数量は、海外の自動車向けを中心に需要が減少したため、前年同期を下回りました。アルミ・銅圧延品の販売数量は、半導体・IT・自動車用端子向けの需要が減少したことなどから、前年同期を下回りました。油圧ショベルの販売台数は、東南アジアやインドで減少したものの、国内や中国での増加により、全体としては前年同期並となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比595億円減収の1兆3,888億円となり、営業利益は前年同期比239億円減益の143億円、経常利益は前年同期比200億円減益の71億円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、神鋼不動産(株)の株式の一部譲渡などによる特別利益を計上した前年同期に比べ、378億円減益の72億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメント毎の状況は次のとおりであります。
[鉄鋼]
鋼材の販売数量は、米中貿易摩擦の影響を背景に、海外の自動車向けを中心に需要が減少し、前年同期を下回りました。販売価格は、主原料価格などの上昇を反映し、前年同期を上回りました。
鋳鍛鋼品の売上高は、需要悪化に伴い販売数量が減少したことにより、前年同期を下回りました。チタン製品の売上高は、航空機分野での拡販等により、前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比2.4%減の5,455億円となりました。経常損益は、販売数量の減少に加えて、鋼材や鋳鍛鋼品での製品構成の悪化などにより、前年同期比78億円悪化の46億円の損失となりました。
[溶接]
溶接材料の販売数量は、国内の建築鉄骨向けや韓国のLNG造船向けで需要が増加したものの、タイ・インドネシアを中心に東南アジアで需要が低迷したことなどから、前年同期並となりました。
溶接システムについては、国内の建築鉄骨向けにおいて設備の更新需要が引き続き堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比2.8%増の637億円となり、経常利益は、前年同期比1億円増益の25億円となりました。
[アルミ・銅]
アルミ圧延品の販売数量は、半導体・IT向けの需要が減少したことなどから、前年同期を下回りました。
銅圧延品の販売数量は、銅管の需要は堅調だったものの、銅板条において自動車用端子や半導体向けの需要が減少したことから、前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7.5%減の2,514億円となりました。経常損益は、販売数量の減少や在庫評価影響の悪化に加え、海外子会社での設備トラブルの影響などから、前年同期比137億円悪化の127億円の損失となりました。
[機械]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、石油化学分野の需要は堅調に推移したものの、産業機械事業で複数の大型案件の受注があった前年同期に比べ3.0%減の1,103億円となり、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は、1,549億円となりました。
また、当第3四半期連結累計期間の売上高は、石油化学向け圧縮機の大型案件の売上計上があった前年同期に比べ3.5%減の1,173億円となったものの、経常利益は、採算性の改善やアフターサービスの売上が増加したことなどから前年同期比51億円増益の65億円となりました。
[エンジニアリング]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、廃棄物処理関連事業で複数の大型案件の受注があった前年同期に比べ8.0%減の958億円となり、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は、1,785億円となりました。
また、既受注案件の進捗差や案件構成差などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比6.6%増の958億円となり、経常利益は、前年同期比18億円増益の45億円となりました。
[建設機械]
油圧ショベルの販売台数は、東南アジアでは、インフラ工事の延期の影響等により需要が一時的に減退したことから減少したものの、企業の設備投資が堅調だった国内や、政府主導で公共投資が行なわれた中国では増加したことから、全体としては前年同期並となりました。
クローラクレーンの販売台数は、東南アジアを中心に海外メーカーとの競争が激化したことなどから、前年同期を下回りました。
一方、油圧ショベルの販売機種構成の変化や為替がユーロに対して円高となった影響などから、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比6.5%減の2,778億円となり、売上高の減少に加えて、貸倒引当金取崩益が前年同期に比べて減少したことなどから、経常利益は、前年同期比138億円減益の87億円となりました。
[電力]
販売電力量は、2019年10月に真岡発電所1号機が稼働したことにより前年同期を上回りました。電力単価は、発電用石炭価格の市況下落の影響を受け、前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比5.0%減の516億円となりましたが、経常損益は、真岡発電所1号機の稼働や、前年同期に神戸3・4号機におけるプロジェクトファイナンス組成のための費用計上があったことから、前年同期比67億円改善の34億円の利益となりました。
[その他]
(株)コベルコ科研においては、ターゲット事業の売上高は減少しましたが、試験研究事業、半導体検査装置事業の売上高が増加し、全体としては前年同期並の売上高となりました。
また、前年同期は、神鋼不動産(株)が前第1四半期連結会計期間まで連結の範囲に含まれていたことから、その他事業全体の当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比27.2%減の213億円となり、経常利益は、前年同期比9億円減益の7億円となりました。
(注) 売上高・受注高には消費税等は含まれておりません。
<中期経営計画の進捗について>当社グループは、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G+”(ジープラス)」への取組みをスタートいたしました。
2016年からこれまで、課題として掲げた鋼材事業における上工程の集約、中国での建設機械事業の再構築、電力事業における新規プロジェクトの推進などを順調に進めてまいりました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の上昇といった市場環境の変化や、設備トラブルの発生、戦略投資案件の収益化の遅れ、品質不適切行為の発覚など当社グループにおける状況の変化もあり、中長期経営ビジョンを実現するためには、当社グループが取り組むべき新たな課題があると認識しております。
こうした状況を受け、当社グループは、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期経営計画ローリング」としてまとめ、2019年5月に公表いたしました。中期経営計画ローリングで掲げた主要テーマは次のとおりであります。
| 中期経営計画ローリングの主要テーマ | |
| 2019~2020年度の 重点テーマ | 素材系を中心とした収益力強化 ものづくり力の強化と販売価格の改善 戦略投資案件の収益化 「鉄鋼」と「アルミ・銅」の組織改編による「お客様へのさらなる貢献」 |
| 経営資源の効率化と経営基盤の強化 | |
| 2021年度以降も継続する中長期テーマ | コーポレートガバナンスの継続的強化 (品質不適切行為に対する再発防止策への継続的取組み) |
| 人材確保・育成に関する各種制度の拡充 | |
| IT戦略の強化 | |
| 当社グループの特長を活かしたサステナビリティ経営の推進 (事業活動を通じた環境・社会への貢献と持続的成長の追求) |
※「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G+”』」の内容の詳細は、当社ホームページ(https://www.kobelco.co.jp) プレスリリース欄 2016年4月5日付「2016~2020年度グループ中期経営計画について」を、「中期経営計画ローリング」の詳細は、2019年5月15日付「中期経営計画ローリング(2019~2020年度)について」をご覧ください。
「2016~2020年度グループ中期経営計画」及び「中期経営計画ローリング」の当第3四半期連結累計期間の進捗は次のとおりです。
・電力事業において、栃木県真岡市に建設中の国内初の内陸型ガス火力発電所のうち、1号機について試運転を無事に終え、2019年10月1日に営業運転を開始いたしました。また、2号機についても、計画は順調に進捗しており、2020年前半に稼働予定です。
・2019~2020年度の重点テーマとしている経営資源の効率化と経営基盤の強化の一環として、グループ会社再編を含むグループガバナンスの強化に取り組んでおり、アルミ押出事業における効率化の促進のため、神鋼ファブテック(株)を吸収合併することを決定いたしました(合併予定時期:2020年4月)。
また、空調用銅管、建築・給水給湯用銅管等の製造・販売を行なっております(株)コベルコ マテリアル銅管につきましては、同社の一層の企業価値向上を目指すためには、新たな資本関係のもとでの事業展開が有効であると判断し、当社が保有する株式の一部譲渡を決定いたしました(譲渡予定時期:2020年3月)。
さらに、シームレスステンレス鋼管、精密細管、特殊管の製造販売、チタン溶接管の製造を行なっておりますコベルコ鋼管(株)についても、同社の一層の企業価値向上を目指すためには、新たな資本関係のもとでの事業展開が有効であると判断し、当社が保有する全株式の譲渡を決定いたしました(譲渡予定時期:2020年4月)。
加えて、経営資源の効率化の取組みとして、政策保有株式の縮減も随時進めております。
・2021年度以降の次期中期へ向けた継続的なテーマである優秀な人材の確保、社員の働きやすい環境の構築の観点から、働き方改革やダイバーシティの推進にも継続して取り組んでおりますが、このたび、特に優良な子育てサポートを継続している企業として、厚生労働大臣より「プラチナくるみん」の認定を受けました(2019年8月)。
足元の当社グループの課題に真摯に向き合い、重点テーマへの取組みを着実にやり切ることで、将来へ向けた飛躍を確実なものにしてまいります。
②経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
③資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。
今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行なう一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。
b.有利子負債の内訳及び使途
当第3四半期連結会計期間末現在の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 合計 | 1年内 | 1年超 | |
| 短期借入金 | 63,080 | 63,080 | - |
| 長期借入金 | 676,302 | 52,433 | 623,868 |
| 社債 | 111,837 | 30,215 | 81,622 |
| 合計 | 851,220 | 145,728 | 705,491 |
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当第3四半期連結会計期間末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,457億円、返済期限が1年を超えるものが7,054億円となり、合計で8,512億円となりました。
これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれる輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野を中心に使用していくこととしております。
財務戦略の基本方針は、素材系・機械系事業の成長に向けた大型戦略投資、事業基盤を支える定常投資は、原則として事業キャッシュ・フローにて賄うこととしております。大型戦略投資に含まれる、自動車分野を中心とした成長投資(1,000億円)については、事業環境の変化によるキャッシュ・フロー悪化時にも、財務規律を維持しながら着実に成長投資を実施すべく、海外におけるグループ内資金の有効活用や、上場株式や関係会社株式等の資産売却等により、2016年度から2018年度までに1,100億円規模のキャッシュ対策を実施しました。さらに、「中期経営計画ローリング」で掲げた500億円をターゲットとする資金・資産の効率化についても2019年度より着手しており、政策保有株式の売却などを進めております。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、前連結会計年度に掲げた課題のうち、品質不適切行為に関して当第3四半期連結累計期間において一部変更しております。重要な変更箇所は「1 事業等のリスク」に記載しておりますので、併せてご参照ください。
また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)は次のとおりであります。
1. 会社支配に関する基本方針
当社は、明治38年の創立から110年を超える歴史の中で、独自の事業領域を形成してまいりました。特に、当社の素材系事業や機械系事業は事業の裾野が非常に広く、これらの事業分野を構成する個別の事業の多様性を前提として初めて創出されるシナジーが存在いたします。また、これらの事業は、研究開発や生産現場で果敢な挑戦を続ける当社従業員をはじめ、当社との間で長年に亘り信頼関係を培ってきた輸送機やエネルギー・インフラ分野をはじめとする国内外の取引先並びにお客様等の多様なステークホルダーによって支えられております。さらに、当社は、素材系事業における代替困難な素材や部材、機械系事業における省エネルギーや環境に配慮した製品等、当社独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給するとともに、電力事業においても極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、社会的にも大きな責任を担っているものと考えております。当社は、こうした各事業間における技術の交流・融合によるシナジー効果や、独自・高付加価値製品の提供とこれにより構築されたステークホルダーとの信頼関係、社会的インフラ提供の責務と社会の皆様からの信頼こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。
当社は、上場会社として、株式の自由な取引の中で、上記のような源泉から生み出される当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の異動を伴う当社株券等に対する大規模な買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えておりますが、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等の当社の企業価値を生み出す源泉を十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
したがって、当社は、当社株券等に対する大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、関連する法令の許容する範囲内において、適切な対応をとることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めなければならないと考えております。
2. 基本方針の実現に資する特別な取組み
(1) 経営戦略の展開による企業価値向上への取組み
当社は、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による事業成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる新たな中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION“G+”(ジープラス)」への取組みをスタートさせ、その実現に取り組んでおります。
輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野に経営資源を集中し、当社グループ独自の付加価値をさらに高め、競争優位性を発揮していくことで、事業を拡大・発展させるとともに、社会への貢献を目指してまいります。
(2) コーポレートガバナンス強化による企業価値向上への取組み
当社は、継続的に企業価値を向上させるためには、コーポレートガバナンスの強化が必要であると考えております。
当社は、監査等委員会設置会社への移行、取締役会メンバーの見直し、独立社外取締役の全員を構成員とし、経営に関する客観的な意見の提供等を行なう場でもある独立社外取締役会議や、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会の設置等の様々な取組みを通じて、コーポレートガバナンス体制の強化を図ってまいりました。
今後も、当社は、独立社外取締役会議において出された意見や、事業年度毎に各取締役に対して行なうアンケート及びその結果に対する監査等委員会の評価に基づいて実施する取締役会実効性評価の結果等を踏まえながら、さらなるコーポレートガバナンスの強化に向けて、継続的に検討を進めてまいります。
3. 基本方針に照らして、不適切な者によって当社の財務及び事業の決定を支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株券等の大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保する観点から、関係する法令に従い、株主の皆様が大規模な買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討のために必要な時間と情報の確保に努めるものといたします。
また、仮に大規模な買付行為に対する速やかな対抗措置を講じなければ、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると合理的に判断されるときには、株主から経営を負託された当社取締役会の当然の責務として、関連する法令の許容する範囲内において、適宜、当該時点で最も適切と考えられる具体的な措置の内容を速やかに決定し、実行することにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めてまいります。
なお、上記2.及び3.に記載の取組みは、上記1.に記載の方針に従い、当社の企業価値及び株主共同の利益に沿うものであり、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、256億円であります。
また、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の変更の内容は、次のとおりであります。
[鉄鋼]
鉄鋼では、プレスの生産性に優れたホットスタンプ用めっき鋼板(焼入れ後強度1500MPa級)を開発しました。本製品とスペインの自動車部品会社であるGestamp社の加工技術を組み合わせることで、欧州自動車メーカーへ初めて適用され、量産化に至りました。本製品は、2017年に開発した高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板(注)に亜鉛めっき処理を施したものであり、高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板の適用部品の拡大の可能性を大きく広げるものです。
(注) 高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板
従来のホットスタンプ用鋼板と比べて焼入れ性を向上させることで、お客様でのプレス生産性の改善、加工後の冷却ムラによる強度不足の軽減、プレス部品形状の自由度向上、プレス後のレーザーカット工程の省略を可能とした鋼板
[溶接]
溶接では、舶用LNG燃料タンクに用いられる9%Ni鋼の溶接に適したNi基合金のフラックス入りワイヤ「PREMIARCTM DW-N609SV」を開発、上市しました。本製品は、Ni基合金溶接で問題となる高温割れが生じ難く、溶接作業性、特に立向溶接性に優れるという特長を有しています。既にメガコンテナ船LNG燃料タンクでの採用が決定しています。韓国、中国を中心に多くのLNG燃料タンクを積載する大型船舶の建造が計画されており、高能率な溶接が可能なフラックス入りワイヤの需要拡大が見込まれます。
また、アーク溶接ロボットの小型機種「ARCMANTM A40」を開発しました。同機は、従来機種「ARCMANTM SR」の後継機で、アーム長さや中厚板溶接機能など基本スペックは従来機を継承しました。新たな特長として、ロボット旋回軸を中空化して溶接ケーブルを内挿する構造を採用しました。これにより溶接品質の向上と自動化を阻害する同ケーブルの巻きつきを解消しました。また動作範囲を大幅に拡大し、より様々な形状のワークを溶接することが可能になりました。溶接士不足への対応として、溶接の自動化を推進する国内外の中厚板溶接を行なう顧客向けに拡販が期待されます。
さらに、造船向けに、小型可搬型溶接ロボット「石松」での自動溶接用フラックス入りワイヤ「FAMILIARCTM MX-100ER」を開発しました。「MX-100ER」はソリッドワイヤに比べ大粒スパッタを大幅に削減し、スラグが少ないことにより2~3パスの連続溶接が可能で、自動溶接に適しています。また、「石松」には「MX-100ER」の溶接パラメータが搭載されており、コントローラで「MX-100ER」を選択すれば、姿勢・板厚・開先形状に応じた溶接条件が自動設定され、最適な条件で優れた溶接品質が得られます。
[機械]
機械では、グリーン冷媒(低GWP冷媒)を採用し、環境性と高い省エネ性を両立した高温ヒートポンプ「HEM-HR-GN/GLシリーズ」を開発しました。55℃から95℃の温水取出機ラインアップのうち、95℃温水取出機は、木村化工機(株)と共同開発したモデルで、本年パイロットプラントでの検証試験を行ないます。
また、東京ガス(株)、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(株)、三浦工業(株)、当社の4社が2015年に開発したガスエンジンの廃温水を蒸気として回収する「全蒸気回収ガスエンジンコージェネレーションシステム」が、一般社団法人日本ガス協会が主催する2019年度「技術賞」を受賞しました。本システムは発電効率と蒸気回収効率を合わせた総合効率で世界最高を達成しています。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、米国の当社グループ100%子会社であるMidrex Technologies, Inc.(以下、ミドレックス社)が、世界最大の鉄鋼メーカーであるArcelorMittal(以下、アルセロール・ミッタル社)が進める水素を活用した低炭素製鉄の研究・開発において、水素を活用した直接還元製鉄法の技術サプライヤーとして採用され、アルセロール・ミッタル社と共同開発契約を締結しました。その一環としてミドレックス社は、同社が保有する技術を活かし、アルセロール・ミッタル社のドイツ・ハンブルグ工場内に建設される計画の水素を活用した還元鉄製造実証プラントの設計を実施する契約も併せて締結しています。
[建設機械]
建設機械では、クラウドやAI、IoT等の先進テクノロジーを活用して、「働く人を中心とした、建設現場のテレワークシステム」を意味するK-DIVE CONCEPT推進のために、日本マイクロソフト(株)と協業することを2019年5月22日の「建設・測量生産性向上展2019」にて発表いたしました。クラウドマッチングシステムにより、特定の人・場所・時間などの制約を受けずに、現場の施工が可能となる「建設現場のテレワーク化」を実現し、深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保などを目指しています。
ショベル関連分野では、機能性・快適性を大幅に向上させた7トン級油圧ショベルSK75SR-7の販売を2019年5月1日より開始しました。燃費改善開発により従来機比で登坂走行速度を27%、アーム掘削速度を15%向上させ生産性を改善しています。また、筋電位の計測データに基づき、人間工学や感性工学的な視点を盛り込みながらシートやレバー、スイッチ類のポジションの最適化を行なうことで、作業時の快適性も大幅に向上させました。
クレーン関連分野では、国立大学法人豊橋技術科学大学と、クローラクレーンに関する両者の知識、経験及び人的資源、物的資源を相互に活用した研究の推進、研究成果の社会活用促進、高度な人材の育成を目的として、包括連携協定を2019年2月5日に締結しており、2019年4月1日に豊橋技術科学大学に「コベルコ建機次世代クレーン共同研究講座」を開設しました。
[その他]
(株)コベルコ科研では、近年発達著しいAI(Artificial Intelligence)、MI(Materials Informatics)、ビッグデータを用いた解析等の研究開発、自動車分野におけるモータ・インバータや電池などの駆動電子部品に関する研究開発を効果的・効率的に進めるために、分散していた計算科学に関する技術と人材、EVモーター、自動車用電子部品、二次電池に関する技術、人材を集約し、「計算科学センター(Computational Science Department)」と「EV・電池プロジェクト室」を新設しました。
また、「パルス渦流法を用いた非破壊検査技術」が、国土交通省の公共工事等における新技術活用システム「NETIS-VE」に登録され、併せて「活用促進技術」に指定されました。この技術は主に、土砂・アスファルト・
コンクリート等に埋設された道路附属物(照明柱、標識柱等)の地際部腐食を掘削することなく測定できる技術で、現状の掘削後に4か所の板厚測定をする技術に対し、測定時間の大幅な短縮が可能となります。
(4)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間において重要な変更があったものはありません。
また、当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。
加えて、経常的な設備更新のための除却等を除き、重要な設備の除却等の計画はありません。