有価証券報告書-第167期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/24 14:07
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、売上高・受注高には消費税等を含んでおりません。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度の我が国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持直しや、設備投資の底堅さもあり緩やかに回復しておりましたが、自然災害や消費税増税などが影響して個人消費に陰りが見え始めたことや、世界経済の減速に伴う輸出の低迷が続いたことにより、製造業を中心に停滞感が見られました。海外経済についても、米中貿易摩擦の影響などにより、経済成長の減速が見られました。特に期末にかけては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内外ともに需要が落ち込み、経済環境が大幅に悪化いたしました。
このような経済環境のもと、当社グループにおいては、機械や電力では前連結会計年度を上回る経常利益を計上したものの、溶接、エンジニアリング、建設機械の経常利益は前連結会計年度を下回り、鉄鋼やアルミ・銅では経常損失となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比1,020億円減収の1兆8,698億円となり、営業利益は前連結会計年度比384億円減益の98億円、経常損益は前連結会計年度比427億円悪化の80億円の損失となりました。特別損益は、投資有価証券売却益を計上した一方、固定資産の減損損失や投資有価証券評価損を計上したことから574億円の損失となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度比1,039億円悪化の680億円の損失となりました。
(2)財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、(株)コベルコパワー真岡及び(株)コベルコパワー神戸第二の発電所新設に伴って有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ262億円増加し2兆4,111億円となりました。また、負債については、発電所新設のために資金調達を行ない、長期借入金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,131億円増加し1兆6,948億円となりました。また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ869億円減少し7,163億円となりました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
目標指標推移
目標指標目標
(2020年度)
2016年度
(実績)
2017年度
(実績)
2018年度
(実績)
2019年度
(実績)
ROA(経常損益/総資産)5%以上△0.8%3.1%1.5%△0.3%
D/Eレシオ(注1)
(有利子負債/自己資本)
1倍以下を堅持1.17倍
(注2)
0.98倍0.98倍
(注3)
1.19倍
(注4)

(注)1.プロジェクトファイナンスを含まない
2.2017年度分借入金の前倒し調達(1,176億円)含む
前倒し調達除く2016年度D/Eレシオ:1.00倍
3.2019年度分借入金の前倒し調達(921億円)含む
前倒し調達除く2018年度D/Eレシオ:0.85倍
4.2020年度分借入金の前倒し調達(621億円)含む
前倒し調達除く2019年度D/Eレシオ:1.10倍
(4)セグメント毎の経営成績の分析
セグメント毎の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
<素材系事業>[鉄鋼]
鋼材の販売数量は、米中貿易摩擦を背景に、海外の自動車向けを中心に需要が減少し、さらに期末にかけて新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたことから、前連結会計年度を下回りました。販売価格は、主原料価格などの上昇に伴い国内の一部で上昇したものの、市況の軟化を受けて輸出価格が下落したことから前連結会計年度並となりました。
鋳鍛鋼品の売上高は、需要悪化に伴い販売数量が減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。チタン製品の売上高は、航空機分野での拡販等により、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比4.0%減の7,237億円となりました。経常損益は、鋼材や鋳鍛鋼品の販売数量の減少に加え、製品構成の悪化や、チタンの航空機向け事業において足元の収益性が低下しており、将来発生が見込まれる損失に対して引当金を計上したことなどにより、前連結会計年度比260億円悪化の213億円の損失となりました。
[溶接]
溶接材料の販売数量は、国内は、上期は全般的に堅調に推移したものの、下期は建築鉄骨や自動車、建機向けで需要が減少したことから、前連結会計年度並となりました。海外では、韓国のLNG造船向けの需要は増加したものの、タイ・インドネシアを中心に東南アジアで需要低迷が継続したことから、前連結会計年度を下回りました。
溶接システムについては、国内の建築鉄骨や建機向けにおいて設備の更新需要が堅調に推移し、売上高は前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度並の837億円となり、溶接材料の販売数量減少を受け、経常利益は、前連結会計年度比7億円減益の29億円となりました。
[アルミ・銅]
アルミ圧延品の販売数量は、飲料用缶材向けの需要は前年同期並で推移したものの、自動車向けや半導体・IT向けの需要が減少したことから、前連結会計年度を下回りました。
銅圧延品の販売数量は、銅板条において自動車用端子や半導体向けの需要が減少したことや、銅管においても下期にかけて海外の需要が減少したことから、前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比7.1%減の3,334億円となりました。経常損失は、販売数量の減少や固定費の増加、在庫評価影響の悪化に加え、海外子会社での設備トラブルの影響などから、前連結会計年度比189億円悪化の204億円となりました。
<機械系事業>[機械]
当連結会計年度の受注高は、石油化学分野の需要は堅調に推移したものの、複数の大型案件の受注があった前連結会計年度に比べ11.7%減の1,516億円となり、当連結会計年度末の受注残高は、1,551億円となりました。
また、当連結会計年度の売上高は、石油化学向け圧縮機の大型案件の売上計上があった前連結会計年度に比べ3.2%減の1,659億円となったものの、経常利益は、採算性の改善やアフターサービス売上の増加、操業度が良化したことなどから前連結会計年度比84億円増益の96億円となりました。
[エンジニアリング]
当連結会計年度の受注高は、廃棄物処理関連事業で複数の大型案件の受注があった前連結会計年度に比べ4.7%減の1,169億円となり、当連結会計年度末の受注残高は、1,455億円となりました。
また、既受注案件の進捗差などにより、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.7%減の1,415億円となり、経常利益は、前連結会計年度比8億円減益の57億円となりました。
[建設機械]
油圧ショベルの販売台数は、建設投資が堅調に推移した国内や、政府の景気刺激策によりインフラ投資が好調であった中国では増加したものの、インフラ工事の延期の影響などにより需要が減退した東南アジアをはじめ、海外での販売が前連結会計年度を下回った結果、全体としては前連結会計年度を下回りました。
クローラクレーンの販売台数は、需要が堅調であった国内は増加したものの、東南アジアを中心に海外メーカーとの競争が激化したことなどから、前連結会計年度を下回りました。
この結果、販売台数の減少に加え、油圧ショベルの販売機種構成の変化や、円がユーロに対して高くなった影響などから、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.5%減の3,608億円となり、売上高の減少に加えて、貸倒引当金戻入益が前連結会計年度に比べて減少したことなどから、経常利益は、前連結会計年度比180億円減益の75億円となりました。
<電力事業>[電力]
販売電力量は、2019年10月に真岡発電所1号機、2020年3月に真岡発電所2号機が稼働したことにより前連結会計年度を上回りました。電力単価は、発電用石炭価格の市況下落の影響を受け、前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度並の756億円となり、経常損益は、真岡発電所の稼働や、前連結会計年度に神戸の新規発電プロジェクトにおけるプロジェクトファイナンス組成のための費用計上があったことから、前連結会計年度比92億円改善の89億円の利益となりました。
<その他>当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比20.0%減の336億円となり、経常利益は、前連結会計年度比9億円増益の33億円となりました。
(5)中期ローリングの進捗と課題
当社グループは、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる新たな中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G+”(ジープラス)」への取組みをスタートしました。また、その後の市場環境の変化や当社グループにおける状況の変化を受け、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期ローリング」としてまとめ、取組みを推進してまいりました。
2019年度で「経営資源の効率化」は計画を上回るペースで進捗しましたが、「素材系の収益力強化」は、製鉄所上工程の集約効果を取り込む一方、ものづくり力や販売価格の改善が依然不十分であり戦略投資案件の収益化も遅れております。
素材系事業は、以前に増して厳しい事業環境に直面しており、当社が生き残り、そして持続的成長を成し遂げていくためには、現実を真摯に受け止め、変化を恐れずに改革を進めていく必要があると認識しております。
1.「ものづくり力の強化」と「販売価格の改善」
ものづくり力の強化大規模な生産トラブルは発生しませんでした。生産能力改善には、一定の成果はありましたが、一部では、歩留改善に課題が残りました。
販売価格の改善お客様には主原料、副資材、物流費等のコストアップ分の価格転嫁についてご理解を求めており、一部のお客様からはご理解を得られておりますが、まだ十分なレベルには至っておりません。
お客様からの品質要求を満たし、かつ安定生産を行なう為には、継続した研究開発投資・設備投資が必要であり、再生産可能な価格を実現するためにはマージン改善が不可欠であることをご理解いただけるよう、粘り強く交渉してまいります。
2.「戦略投資案件の収益化」
[アルミ板]
自動車向けのアルミパネル材の適用遅延や、中国での自動車販売の失速などから、将来の需要予測を下回っており、投資意思決定時の想定と比較して収益化が大幅に遅れる見込みであり、収益化遅延に対する対応が課題です。
[アルミサスペンション]
事業拡大・シェア確保を目指して積極的な受注活動を実施したものの、設備トラブルにより供給能力が低下した状態が継続しており、ものづくり力に課題がありますが、全社を横断した支援体制の構築により、一定の成果を上げはじめております。
[チタン]
航空機向け大型鍛造品に参入しましたが、立ち上げに苦戦しており、投資意思決定時の想定よりもコストが発生している状況であり、ものづくり力に課題があります。
上記に対する今後の施策は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
3.「鉄鋼」と「アルミ・銅」の組織改編による「お客様への更なる貢献」
2020年4月1日付で、「鉄鋼」と「アルミ・銅」を、「鉄鋼アルミ」と「素形材」に改編しました。「素材」と「部品」を軸に組織改編を行なうことにより、『需要分野別戦略』を強化するとともに、共通する要素技術と品質管理などに横串を通し、ものづくり力の強化を図り、お客様への更なる貢献を目指してまいります。

(6)生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における下記セグメントの生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称区分生産数量(千トン)
前連結会計年度(2018年4月~
2019年3月)
当連結会計年度(2019年4月~
2020年3月)
差異前期比 (%)
鉄鋼粗鋼6,9786,566△411△5.9
アルミ・銅アルミ圧延品355340△15△4.3
銅圧延品145135△9△6.8

b.受注実績
当連結会計年度における下記セグメントの受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称区分受注高(百万円)
前連結会計年度(2018年4月~2019年3月)当連結会計年度(2019年4月~2020年3月)差異前期比
(%)
機械国内61,22552,482△8,743△14.3
海外110,49999,156△11,342△10.3
合計171,724151,639△20,085△11.7
エンジニアリング国内90,532103,26912,73614.1
海外32,10913,639△18,469△57.5
合計122,641116,909△5,732△4.7

セグメントの名称区分受注残高(百万円)
前連結会計
年度末
(2019年3月)
当連結会計
年度末
(2020年3月)
差異前期比
(%)
機械国内43,27435,031△8,242△19.1
海外113,363120,1106,7476.0
合計156,637155,141△1,495△1.0
エンジニアリング国内104,213106,8682,6542.6
海外65,17738,695△26,482△40.6
合計169,391145,563△23,827△14.1

c.販売実績
当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)
前連結会計年度
(2018年4月~
2019年3月)
当連結会計年度(2019年4月~
2020年3月)
差異前期比 (%)
鉄鋼753,953723,749△30,203△4.0
溶接83,94783,770△177△0.2
アルミ・銅359,053333,426△25,627△7.1
機械171,488165,940△5,547△3.2
エンジニアリング151,753141,536△10,217△6.7
建設機械386,077360,869△25,207△6.5
電力76,12875,678△450△0.6
その他42,06333,670△8,393△20.0
調整額△52,597△48,8053,791-
合計1,971,8691,869,835△102,033△5.2

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(2018年4月~2019年3月)
当連結会計年度
(2019年4月~2020年3月)
金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)
神鋼商事(株)275,60114.0262,54014.0

(7)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローに係る収入が270億円、投資活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△2,189億円、財務活動によるキャッシュ・フローに係る収入が1,405億円となりました。
以上の結果、フリーキャッシュ・フローは△1,919億円の支出となり、換算差額を含めた当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ515億円減少の1,456億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益が損失に転じたことに加え、鉄鋼において、前連結会計年度に発生した設備トラブルにより、期初の在庫水準が低下していたことから、在庫水準を適正化するために在庫を積み増したことや、債権債務のサイトギャップにより、売上の減少局面では運転資金が悪化するため、当連結会計年度は運転資金が一時的に悪化しました。
また、エンジニアリングにおいて長期契約の工事案件において、債権回収よりも支払いが先行したことや、前連結会計年度末日が休日であったことから、前連結会計年度に支払い予定だった手形の一部が、当連結会計年度に決済されたことなどから、運転資金が悪化しました。
この結果、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて400億円収入が減少し、270億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
中期ローリングの重点テーマである「資金・資産の効率化」のもと、政策保有株式の売却等によるキャッシュ創出を実施したものの、中期経営計画で意思決定した大型戦略投資(主に鉄鋼、アルミ・銅、電力)の支払いが増加したことなどから、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,903億円支出が増加し、△2,189億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度の期末配当金の支払いや社債の償還による支出などがあったものの、プロジェクトファイナンス等の長期借入れによる収入の増加などから、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,501億円収入が増加し、1,405億円となりました。
(8)資本の財源及び資金の流動性に関する情報
①資本の財源及び資金の流動性
a.財務戦略の基本方針
財務戦略の基本方針は、素材系・機械系事業の成長に向けた大型戦略投資、事業基盤を支える定常投資は、原則として事業キャッシュ・フローにて賄うこととしております。大型戦略投資に含まれる、自動車分野を中心とした成長投資については、事業環境の変化によるキャッシュ・フロー悪化時にも、財務規律を維持しながら着実に成長投資を実施すべく、海外におけるグループ内資金の有効活用や、上場株式や関係会社株式等の資産売却等により、2018年度までに1,100億円規模のキャッシュ対策を実施しました。
また、「中期ローリング」の重点テーマとして、「500億円をターゲットとする資金・資産の効率化」を掲げ、実施しております。
b.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。
今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行なう一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。
②当連結会計年度の実績
(単位:億円)
営業キャッシュ・フロー270
投資キャッシュ・フロー△2,189
(うち、設備投資支払い)(△2,453)
フリーキャッシュ・フロー△1,919
財務キャッシュ・フロー1,405
(うち、株主還元)(△37)
株主還元後のフリーキャッシュ・フロー△1,956

2018年度2019年度
有利子負債 ※7,6039,066
(プロジェクトファイナンスを
除く有利子負債)
(7,242)(7,844)
株主資本7,6586,966
D/Eレシオ
(プロジェクトファイナンスを除く)
0.98倍1.19倍

※当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳
合計1年内1年超
短期借入金932932-
長期借入金7,0156876,327
社債1,118302816
合計9,0661,9227,143

有利子負債の内訳は、当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,922億円、返済期限が1年を超えるものが7,143億円となっております。
当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や、運転資金の悪化により営業キャッシュ・フローによる収入が減少した一方、大型戦略投資の支払いにより投資キャッシュ・フローの支出が増加したことから、フリーキャッシュ・フローは△1,919億円となりました。
これらのキャッシュアウトに対応するため、プロジェクトファイナンスを含む有利子負債による資金調達を実施した一方、中期ローリングの重点テーマである「資金・資産の効率化」の対応として、政策保有株式等の売却や、現預金の圧縮を実施しました。
有利子負債は、資金調達により前連結会計年度に比べ1,462億円増加の9,066億円となり、株主資本は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や前連結会計年度の期末配当の支払いにより利益剰余金が減少したことなどから、691億円減少の6,966億円となりました。
これらの結果、中期ローリングの重点テーマとして掲げた「500億円をターゲットとする資金・資産の効率化」については、計画を上回るペースで実施し、460億円程度の効率化を実行しましたが、プロジェクトファイナンスを除くD/Eレシオは、0.21ポイント悪化の1.19倍となり、達成目標であるD/Eレシオ1倍以下を堅持することはできませんでした。
③当面の資金手当て・対策
新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の悪化に伴い、当社グループのキャッシュ・フローにも影響を及ぼすことが予想されますが、当連結会計年度末時点において1,460億円の手許現金を確保する一方、1,562億円のコミットメントラインや新型コロナウイルス感染症対策として各銀行に設けられた緊急融資制度を活用するなど今後の資金繰りには万全を期しております。
一方、新型コロナウイルス感染症の影響が深刻化する以前より、素材系事業を中心に収益性が悪化していたことから、2020年2月7日に「緊急収益改善 特別委員会」を設置し、固定費の圧縮を中心とした200億円規模の緊急収益改善を計画するとともに、キャッシュ・フローについても、運転資金改善や資産売却、設備投資の繰り延べ等により、1,200億円規模の対策を計画しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響の全容が見えるまでの間、緊急措置として以下の対策を実施するとともに、追加のキャッシュ・フロー対策についても検討してまいります。
・需要に見合った生産の徹底による支出の最大限の抑制
・グループ会社を含めたきめ細かい資金管理と必要な対策の実施
・間接部門における経費支出の原則凍結
・更新投資など事業運営上不可欠なもの以外の設備投資・投融資の凍結
(9)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の設定背景・方針
2020年度達成目標目標指標設定背景・方針
ROA(経常損益/総資産)
5%以上
当社は、中期経営計画において、将来の成長に向けた戦略投資を着実に実施していくことを標榜しており、投資に対するリターンを確実に上げていく上でも、分母が総資産、分子が経常損益と、2つの要素で構成するROAが中期経営目標に相応しい指標であると判断し、設定しました。
D/Eレシオ
(有利子負債/自己資本)
1倍以下を堅持
安定した成長を実現する為には、財務が健全であることが必須であることから、成長投資と財務規律との最適なバランスを考慮したD/Eレシオを重要な指標として位置付けています。

(10)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用しております。
連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、連結貸借対照表上の資産及び負債の計上額、並びに、連結損益計算書上の収益及び費用の計上額に影響を与えるような会計上の見積りを行なう必要があります。会計上の見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行なっておりますが、前提条件や事業環境などに変化が生じた場合には、見積りと将来の実績が異なることがあります。
会計上の見積りが必要となる項目のうち、経営者が当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与える可能性があると認識している主な項目は以下のとおりです。
[たな卸資産の評価]
当社グループは、販売目的で保有するたな卸資産について、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価との差額を簿価の切り下げ額として当期の費用に計上しております。連結貸借対照表の「たな卸資産」は、収益性の低下に基づく簿価切り下げ額211億円を差し引いて計上しております。
正味売却価額については、期末前後における販売実績を基に、製品や原材料の価格動向等を踏まえて将来における売却価額を見積って算定しております。
また、滞留たな卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難な場合には、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる方法等により収益性の低下の事実を適切に反映しております。
経営者は、たな卸資産の正味売却価額の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢が大きく変化し、製品や原材料の価格等の想定に大きな変化が生じた場合、将来のたな卸資産の簿価切り下げ額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[受注契約に係る収益及び損失の評価]
当社グループは、主に鉄鋼の鋳鍛鋼品・チタン製品、機械及びエンジニアリングにおいて、受注契約に係る収益の計上については、進捗部分について成果の確実性が認められる工事には、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しており、連結貸借対照表の「流動資産」の「売掛金」の内数として、619億円計上しております。また、受注契約について工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額を、「受注工事損失引当金」として、連結貸借対照表の「流動負債」に169億円計上しております。
工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の算定については、原則、一つの契約を一つの案件とし、案件単位で引当金の計上要否を判定しますが、同一と見なされる案件が複数の契約に分かれている場合や、本体とその据付工事等の関連の深い複数の契約を前後して受注した場合等においては、複数の契約を一つの案件とみなして判定します。
工事原価総額については、案件毎に労務費や資機材の調達価格等の費用を直近の工事スケジュールや過去の実績、調達先との交渉状況等から想定して算定しております。
経営者は、工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、工期や調達価格の想定及び輸入する資機材の調達価格に影響を与える為替の前提条件等に大きな変化が生じた場合、工事原価総額の見積り額の変動により工事の進捗率が変動することに伴って、工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[貸倒引当金]
当社グループは、将来の債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、また貸倒懸念債権等の特定の債権については、個別に回収可能性を検討しその回収不能見込額を、連結貸借対照表の「流動資産」の「貸倒引当金」に△32億円、「固定資産」の「投資その他の資産」の「貸倒引当金」に△383億円計上しております。
特定の債権としては、主に建設機械の中国事業における滞留債権に対して貸倒引当金を計上しております。過去、中国における建設機械需要が低迷したことにより、代理店からの債権の回収が難航し、回収期間が長期化したことから、代理店の支払能力を再評価し、未回収となっている滞留債権に対して取得している担保資産の回収価値を考慮した上で回収不能見込額を算定し、貸倒引当金を計上いたしました。代理店の債権回収状況のモニタリングや代理店への与信枠の管理を強化し、滞留債権の再発防止に努めており、毎期、滞留債権の残高に応じて貸倒引当金の計上額の見直しを行なっております。
経営者は、貸倒引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢や金融機関の貸出姿勢などにより、債務者の財政状態に大きな変化が生じた場合、回収不能見込額が変動し将来の貸倒引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[固定資産の減損]
当社グループは、固定資産について営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなるなど、減損の兆候があると判断された場合には、将来の回収可能性を見積り、減損損失の認識の要否を判定し、資産グループから生じる将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額を下回っている場合には減損損失を認識しております。
当社グループにおいて、当連結会計年度に減損損失を499億円計上しており、その内訳は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結損益計算書関係 6 減損損失」に記載のとおりであります。
当社グループにおいて、当連結会計年度末で減損の兆候があるものの減損損失を認識しなかった主な資産グループは以下のとおりです。
<建設機械>建設機械における当社の子会社であるコベルコ建機(株)の事業用固定資産について、海外における競合の激化、為替の円高による輸出の採算悪化等の影響により営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなったことから、減損の兆候があると判断しております。将来の事業計画においては、生産能力増強投資、研究開発活動を通じた競争力強化、新興国を中心に拡大が見込まれる海外需要を捕捉することによる販売台数の増加を、一定の想定を置いた上で、織り込んでおります。また比率の大きい輸出取引に影響を与える為替前提については足下の相場や過去の実績を基に一定の想定を置いております。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響については、需要の減少を、2021年3月期の一定期間継続すると想定した上で織り込んでおります。このような想定の下で策定した事業計画を基に見積った将来のキャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額575億円を上回ることから、減損損失は認識しておりません。
経営者は将来のキャッシュ・フローは合理的であると判断しておりますが、今後、海外市場での競合が想定を上回って激しくなり販売台数が大幅に減少することや、更なる需要減少、為替相場がドル、ユーロ並びに中国元に対して大幅な円高に推移すること、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化など、見積りの前提に大きな変化が生じた場合、将来のキャッシュ・フローが下振れし減損損失を認識する可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは、将来減算一時差異や税務上の繰越欠損金等のうち、将来課税所得を減算する可能性が高いと見込まれるものについて、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「繰延税金資産」に725億円計上しております。
当社グループでは、中期経営計画など経営者が妥当と判断した将来の業績見通しに基づき将来の一定期間の課税所得を見積り、また将来減算一時差異については個別に解消見込み時期を判断し、一定期間に解消が見込まれると見積られる将来減算一時差異等に係る繰延税金資産については回収可能性が高いと判断しております。また、将来の業績見通しを策定するにあたっては、市場環境の変化、製品や原材料の価格動向、戦略投資案件の収益化などに一定の想定をおいたものに加え、新型コロナウイルス感染症の影響については、需要の減少を2021年3月期の一定期間継続すると想定した上で、計画を立案しております。
経営者は、繰延税金資産の算定に用いられる見積りは合理的であると考えていますが、将来の市場環境、戦略投資案件の収益化の遅れや経営成績の変化や、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化など、将来の課税所得が想定から大きく変動し繰延税金資産の回収可能性が大きく変動する場合や、税率の改正がある場合、将来の繰延税金資産の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[退職給付に係る資産、負債]
当社グループは、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債について、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などの計算基礎を用いた数理計算により見積っており、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「退職給付に係る資産」に184億円、「固定負債」の「退職給付に係る負債」に945億円計上しております。
特に割引率や長期期待運用収益率は重要な前提条件となりますが、割引率は、年度末における国債もしくは高格付社債の利回りに基づき、また長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオや、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して、決定しております。
経営者は、年金数理計算上用いられる前提条件は適切であると考えていますが、前提条件に大きな変化が生じた場合、将来の退職給付資産及び退職給付負債の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
採用している退職給付制度の概要や年金資産の主な内訳、主要な数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 退職給付会計関係」に記載のとおりです。
[製品保証引当金]
当社グループは、主に鉄鋼の鋳鍛鋼品、機械、エンジニアリング及び建設機械において、製品販売後及び工事引渡後の保証費用の支出に備えるため、売上高に対する過去の実績率に基づいて算定した将来の負担見積額の他、保証費用を支払う可能性が高い特定案件については、案件毎の将来の負担見積額を、連結貸借対照表の「流動負債」の「製品保証引当金」に152億円計上しております。
実績率については、売上高に対する過去の保証費用の支出額の割合に基づき算定しております。また、特定案件については、出荷した製品の不具合の内容を調査して、修復に係る費用を見積るとともに、不具合が当社の製品に起因しているか否かを判断し、契約等に基づき当社グループが負担する可能性が高いと判断される保証費用の支出額を算定しております。
経営者は、製品保証引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、予期せぬ重大な不具合が発生した場合や、不具合の修復に係る費用が想定から大きく変動した場合等には、将来の製品保証引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

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