有価証券報告書-第168期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、売上高・受注高には消費税等を含んでおりません。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて大幅に悪化しました。感染拡大防止と経済活動の両立を図る中で、景気は回復傾向にありますが、感染再拡大の兆候も見られ、依然として先行きは不透明な状況にあります。海外経済は、中国では2020年2月半ばから経済活動が再開しており、インフラ投資や不動産開発投資が堅調に推移しました。中国以外の地域も景気は大幅に悪化しましたが、徐々に持ち直しの動きがみられています。
このような経済環境のもと、当社グループも自動車や航空機、建築向けを中心に売上高の大幅な減少を余儀なくされる中、収益の確保に向けて、固定費の圧縮などの緊急収益改善や素材系事業を中心とした収益改善に最大限取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比1,642億円減収の1兆7,055億円となり、営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響により販売数量が大きく減少したものの、鉄鋼アルミ、素形材、建設機械を中心に緊急収益改善を含むコスト削減に取り組んだこと、電力事業における真岡発電所の稼働や冬場の電力需給ひっ迫への対応などにより、前連結会計年度比205億円増益の303億円、経常損益は前連結会計年度比242億円改善の161億円の利益となりました。特別損益は、減損損失を計上した一方、固定資産売却益などを計上し25億円の利益となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度比912億円改善の232億円の利益となりました。
当連結会計年度のセグメント毎の状況は次のとおりであります。
<素材系事業>[鉄鋼アルミ]
(鉄鋼)
鋼材の販売数量は、自動車向けをはじめとして需要が全般的に減少したことから、前連結会計年度を下回りました。販売価格は、主原料価格の下落や輸出価格の低迷などの影響を受け、前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比13.3%減の5,638億円となりました。経常損益は、固定費の削減など緊急収益改善策を実施したものの、販売数量の減少の影響を大きく受け、前連結会計年度比145億円悪化の233億円の損失となりました。
(アルミ板)
アルミ板の販売数量は、自動車向けの需要が減少したものの、飲料用缶材向けが堅調に推移したことに加え、IT・半導体向けのディスク材やアルミ厚板などが増加したことから、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度並の1,324億円となりました。経常損益は、飲料用缶材向けの拡販やコスト削減により、前連結会計年度比83億円改善の6億円の利益となりました。
鉄鋼アルミ全体では、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比10.8%減の6,963億円となりました。経常損益は、前連結会計年度比61億円悪化の226億円の損失となりました。
[素形材]
素形材の販売数量は、自動車向け需要の減少の影響が大きく、サスペンションやアルミ押出、銅板、鉄粉などで前連結会計年度を下回りました。航空機向けや一般産業向けのチタン、造船向けの鋳鍛鋼においても同様に、販売数量が前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比19.9%減の2,381億円となりました。経常損益は、前連結会計年度に計上した固定資産の減損に伴う減価償却費の減少やコスト削減の効果などにより、前連結会計年度比131億円改善の121億円の損失となりました。
[溶接]
溶接材料の販売数量は、国内では自動車や建設機械向けなどの需要が減少し、前連結会計年度を下回りました。海外でも東南アジアなどでの自動車向け需要の減少や、造船向け需要の低迷などにより、前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比16.4%減の700億円となり、経常利益は、前連結会計年度比11億円減益の17億円となりました。
<機械系事業>[機械]
当連結会計年度の受注高は、新型コロナウイルス感染症の影響による設備投資の圧縮・繰り延べを背景に、産業機械・圧縮機ともに減少したことから、前連結会計年度比25.7%減の1,126億円となり、当連結会計年度末の受注残高は1,180億円となりました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に受注が好調であったLNG船向けや石油化学向けの圧縮機を中心に計上し、前連結会計年度比5.7%増の1,753億円となりました。経常利益は、コスト削減の効果などもあり、前連結会計年度比18億円増益の114億円となりました。
[エンジニアリング]
当連結会計年度の受注高は、水処理関連事業及び廃棄物処理関連事業で大型案件の受注があった前連結会計年度比15.7%減の1,134億円となり、当連結会計年度末の受注残高は2,821億円となりました。
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う海外案件の工期後ろ倒しなどにより、前連結会計年度比3.8%減の1,361億円となり、経常利益は、前連結会計年度比13億円減益の44億円となりました。
※(株)神鋼環境ソリューションの水処理/ごみ処理等に関する長期運転維持管理業務について、従来は売上時点で受注高として集計していましたが、当連結会計年度より契約の受託時点で受注高として集計する方法に変更しております。これに伴い、前連結会計年度の受注高を受託ベースで再集計し、比較しております。
[建設機械]
油圧ショベルの販売台数は、国内では、台風19号の影響で部品供給が滞ったことにより、販売が減少した前連結会計年度を上回りました。中国では、インフラ投資などの経済政策による需要拡大により販売台数は増加したものの、欧州、東南アジアでは、新型コロナウイルス感染症の影響などにより販売台数が減少したため、海外での販売台数は前連結会計年度を下回りました。結果、全体の販売台数は前連結会計年度並となりました。
クローラクレーンの販売台数は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内、海外ともに前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比7.7%減の3,331億円となりました。経常利益は、コスト削減などにより、前連結会計年度比52億円増益の127億円となりました。
<電力事業>[電力]
販売電力量は、2019年10月に真岡発電所1号機、2020年3月に真岡発電所2号機が稼働したことや、冬場の電力需給ひっ迫に伴い送電量を増加させたことなどにより、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.3%増の804億円となりました。経常利益は、真岡発電所の稼働や、冬場の電力需給ひっ迫への対応などにより、前連結会計年度比117億円増益の206億円となりました。
<その他>当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比17.4%減の278億円となり、経常利益は、(株)コベルコ科研における固定費の削減などにより、前連結会計年度比8億円増益の42億円となりました。
(2)財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、(株)コベルコパワー神戸第二の発電所新設に伴って有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,716億円増加し2兆5,828億円となりました。また、負債については、発電所新設のために資金調達を行い、長期借入金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,186億円増加し1兆8,134億円となりました。また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ530億円増加し7,693億円となりました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
(注)1.プロジェクトファイナンスを含まない
2.2019年度分借入金の前倒し調達(921億円)含む
前倒し調達除く2018年度D/Eレシオ:0.85倍
3.2020年度分借入金の前倒し調達(621億円)含む
前倒し調達除く2019年度D/Eレシオ:1.10倍
4.2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)含む
前倒し調達除く2020年度D/Eレシオ:0.84倍
(4)2016~2020年度グループ中期経営計画の振り返り
当社グループは、「2016~2020年度グループ中期経営計画」で、鋼材事業の上工程集約、新規電力プロジェクト、中国建設機械事業の再構築、事業の選択等による「安定収益基盤」確立に向けた施策を進めるとともに、自動車軽量化戦略を軸とした成長機会の追求により「素材系・機械系・電力の3本柱の事業体」を確立し、最終年度である2020年度でROA(経常損益/総資産)5%以上を達成することを目指してまいりました。
しかしながら、積極的投資を行ってきた自動車軽量化戦略の収益への貢献が、需要想定の変化や、ものづくり力の課題等により、当初想定していたより時間を要することとなり、加えて、素材系事業を中心とした収益力の低迷が収益を圧迫する状況となりました。
このような状況を踏まえ、2019年5月には、2019~2020年度で取り組むべき重点テーマを「中期経営計画ローリング」として取りまとめ、「素材系を中心とした収益力強化」に加え、「経営資源の効率化と経営基盤の強化」をやり切ることに集中するとしたものの、2019年度は米中貿易摩擦による販売数量の減少等もあり、経常損益は80億円の損失となりました。
収益基盤が大きく揺らぐ状況の中、新型コロナウイルス感染症影響による自動車や航空機、建築向けを中心とした販売数量の大幅な減少も加わり、2020年度は緊急避難的な取り組みに重点を置かざるを得ない状況に陥りましたが、2期連続の経常損失の回避に向けて、支出の最大抑制、固定費の削減など緊急収益改善策を実施した結果、経常損益は161億円の利益を計上することができました。しかしながら、2020年度のROAは0.6%と、目標としていた5%以上に対して未達となっており、中期経営計画で描いた3本柱の事業体の確立には至っておらず、引き続き収益基盤の確立が重要な課題であると認識しております。
(5)生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における下記セグメントの生産実績は、次のとおりであります。
(注)1.当連結会計年度から、報告セグメントの変更に伴い、「アルミ圧延品」を「アルミ板」、「アルミ押出」に区分変更しております。また、「銅圧延品」を「銅板」、「銅管」に区分変更しております。
2.粗鋼には、高砂製作所の電炉の生産数量を含めております。
b.受注実績
当連結会計年度における下記セグメントの受注実績は、次のとおりであります。
(注)エンジニアリングセグメントでは、前連結会計年度まで(株)神鋼環境ソリューションの水処理/ごみ処理等に関する長期運転維持管理業務について売上時点で受注高として集計しておりましたが、当連結会計年度より、契約の受託時点で受注高として集計する方法に変更したことに伴い、前期の受注高を受託ベースで再計算しております。
c.販売実績
当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(6)資本の財源及び資金の流動性に関する情報
①資本の財源及び資金の流動性
a.財務戦略
「2016~2020年度グループ中期経営計画」における財務戦略の基本方針は、素材系・機械系事業の成長に向けた大型戦略投資、事業基盤を支える定常投資は、原則として事業キャッシュ・フローにて賄うこととして、自動車分野を中心とした成長投資については、事業環境の変化によるキャッシュ・フロー悪化時にも財務規律を維持しながら着実に実施すべく、キャッシュ対策を実施することとしておりました。
本方針のもと、2020年度は、2019年度における大幅な損失の計上により財務体質が悪化したことも踏まえ、運転資金の改善や資産売却、設備投資の繰り延べ等による1,350億円程度のキャッシュ・フロー改善策を実施いたしました。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う生産・受注量の減少が顕在化してきたことを受け、需要に見合った生産の徹底による支出の最大限の抑制、グループ会社を含めたきめ細かい資金管理と必要な対策の実施、間接部門における経費支出の厳選、更新投資など事業運営上不可欠なもの以外の設備投資・投融資の一時凍結などに取り組みました。その結果、2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)を除くD/Eレシオ(プロジェクトファイナンスを除く)は0.84倍となり、目標である1倍以下を達成しました。
新たに策定した「KOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)」における財務戦略の基本方針は、新規の設備投資・投融資を厳選した上で、投資キャッシュ・フローを営業キャッシュ・フローの範囲内とし、2023年度末のD/Eレシオの目標を0.7倍以下とすることとしております。また、運転資金改善等の活動を継続して進めるとともに、営業キャッシュ・フローの下振れリスクに備えて、モニタリング強化による投資案件の精査・厳選、事業用資産の売却・流動化、政策保有株式売却等のバックアップ策の検討・準備を進めていきます。

b.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、設備老朽化に伴う更新投資や事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。
今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行う一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。
②当連結会計年度の実績
a.プロジェクトファイナンスを除くキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローに係る収入が2,100億円、投資活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△819億円、財務活動によるキャッシュ・フローに係る収入が385億円となりました。
以上の結果、フリーキャッシュ・フローは1,281億円の収入となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,669億円増加の3,018億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
固定費の圧縮などの緊急収益改善や素材系事業を中心とした収益改善に取り組み、税金等調整前当期純損益が改善したことに加え、棚卸資産の削減や債権流動化等のキャッシュ・フロー改善策を実施したことで、当連結会計年度の運転資金は改善いたしました。
また、エンジニアリングにおいて前連結会計年度に支払いが先行していた工事案件の入金が当連結会計年度にあったことや、2018年度末が休日であったことから前連結会計年度に手形の支払いがずれ込んだ影響が当連結会計年度はなくなったことなどからも、前連結会計年度に比べて当連結会計年度の運転資金は改善いたしました。
この結果、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,886億円収入が増加し、2,100億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
関係会社株式の売却、固定資産の売却等のキャッシュ・フロー改善策を実施いたしました。加えて前連結会計年度に比べ、大型戦略投資の支払いが減少したことから、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて515億円支出が減少し、△819億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
セール&リースバック等による資金調達により収入が増えた一方、借入金の返済や社債の償還等により支出も増えたことから、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて160億円収入が減少し、385億円となりました。
(ご参考)
b.プロジェクトファイナンスを除く有利子負債の状況
有利子負債は、資金調達を実施した一方、社債の償還等により前連結会計年度並の7,857億円となり、株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、231億円増加の7,197億円となりました。
有利子負債の内訳は、当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,760億円、返済期限が1年を超えるものが6,097億円となっております。
(注1)2020年度分借入金の前倒し調達(621億円)含む
前倒し調達除く2019年度D/Eレシオ:1.10倍
(注2)2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)含む
前倒し調達除く2020年度D/Eレシオ:0.84倍
(注3)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳
(注4)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳(プロジェクトファイナンスを含む)
(7)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用しております。
連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、連結貸借対照表上の資産及び負債の計上額、並びに、連結損益計算書上の収益及び費用の計上額に影響を与えるような会計上の見積りを行う必要があります。会計上の見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っておりますが、前提条件や事業環境などに変化が生じた場合には、見積りと将来の実績が異なることがあります。
会計上の見積りが必要となる項目のうち、経営者が当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与える可能性があると認識している主な項目は以下のとおりです。
[棚卸資産の評価]
当社グループは、販売目的で保有する棚卸資産について、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価との差額を簿価の切り下げ額として当期の費用に計上しております。連結貸借対照表の「棚卸資産」は、収益性の低下に基づく簿価切り下げ額165億円を差し引いて計上しております。
正味売却価額については、期末前後における販売実績を基に、製品や原材料の価格動向等を踏まえて将来における売却価額を見積って算定しております。
また、滞留棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難な場合には、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる方法等により収益性の低下の事実を適切に反映しております。
経営者は、棚卸資産の正味売却価額の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢が大きく変化し、製品や原材料の価格等の仮定に大きな変化が生じた場合、将来の棚卸資産の簿価切り下げ額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[受注契約に係る収益及び損失の評価]
当社グループは、主に素形材の鋳鍛鋼品・チタン製品、機械及びエンジニアリングにおいて、受注契約に係る収益の計上については、進捗部分について成果の確実性が認められる工事には、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しており、連結貸借対照表の「流動資産」の「売掛金」の内数として、403億円計上しております。また、受注契約について工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額を、「受注工事損失引当金」として、連結貸借対照表の「流動負債」に185億円計上しております。
工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の算定については、原則、一つの契約を一つの案件とし、案件単位で引当金の計上要否を判定しますが、同一と見なされる案件が複数の契約に分かれている場合や、本体とその据付工事等の関連の深い複数の契約を前後して受注した場合等においては、複数の契約を一つの案件とみなして判定します。
工事原価総額については、案件毎に労務費や資機材の調達価格等の費用を直近の工事スケジュールや過去の実績、調達先との交渉状況等から想定して算定しております。
経営者は、工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、工期や調達価格の仮定及び輸入する資機材の調達価格に影響を与える為替の前提条件等に大きな変化が生じた場合、工事原価総額の見積り額の変動により工事の進捗率が変動することに伴って、工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[貸倒引当金]
当社グループは、将来の債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、また貸倒懸念債権等の特定の債権については、個別に回収可能性を検討しその回収不能見込額を、連結貸借対照表の「流動資産」の「貸倒引当金」に△24億円、「固定資産」の「投資その他の資産」の「貸倒引当金」に△184億円計上しております。
特定の債権について回収不能見込額を見積るにあたっては、直近の回収状況や取引先の経営状況等を総合的に判断しております。
経営者は、貸倒引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢や金融機関の貸出姿勢などにより、債務者の財政状態に大きな変化が生じた場合、回収不能見込額が変動し将来の貸倒引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[固定資産の減損]
当社グループは、固定資産について営業損益が継続してマイナスとなるなど、減損の兆候があると判断された場合には、将来キャッシュ・フローを基に回収可能性を見積り、減損損失の認識の要否を判定し、資産グループから生じる将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額を下回っている場合には減損損失を認識しております。
当社グループにおいて、当連結会計年度に減損損失を135億円計上しており、その内訳は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結損益計算書関係) 6 減損損失」に記載のとおりであります。
また、当連結会計年度末の固定資産の帳簿価額1兆1,151億円(有形固定資産1兆786億円、無形固定資産365億円)には、減損の兆候があるものの減損損失を認識しなかった資産グループが複数存在しますが、そのうち主な資産グループは以下のとおりです。
<建設機械>建設機械における当社の子会社であるコベルコ建機(株)の事業用固定資産について、海外における競合の激化、為替の変動による輸出の採算悪化、新型コロナウイルス感染症による需要減少などの影響により営業損益が継続してマイナスとなったことから、減損の兆候があると判断しております。将来の事業計画においては、販売単価の改善、新興国を中心に拡大が見込まれる海外需要の獲得による販売台数の増加などを、一定の仮定を置いた上で織り込んでおります。このような仮定の下で策定した事業計画を基に見積った割引前将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額586億円を上回ることから、減損損失は認識しておりません。
経営者は将来のキャッシュ・フローは合理的であると判断しておりますが、見積り時に設定した仮定と実際の結果に大きな乖離が見られるなど、見積りの前提に大きな変化が生じ、将来のキャッシュ・フローが下振れした場合、減損損失を認識する可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは、将来減算一時差異や税務上の繰越欠損金等のうち、将来課税所得を減算する可能性が高いと見込まれるものに対して、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「繰延税金資産」に692億円を計上しております。
当社グループでは、中期経営計画など経営者が妥当と判断した事業計画に基づき将来の一定期間の課税所得を見積り、また将来減算一時差異については個別に解消見込み時期を判断し、一定期間に解消が見込まれると見積られる将来減算一時差異等に係る繰延税金資産については回収可能性が高いと判断しております。また、事業計画を策定するにあたっては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報 会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」に記載の仮定を基に、主要事業において需要及び受注が増加する前提で計画を立案しております。
経営者は、繰延税金資産の算定に用いられる見積りは合理的であると考えていますが、新型コロナウイルス感染症による影響の再拡大や、世界的な半導体不足の長期化といった当社グループの需要分野に影響を及ぼす不確実性の顕在化など、将来の課税所得が想定から大きく変動し繰延税金資産の回収可能性が大きく変動する場合や、税率の改正がある場合、将来の繰延税金資産の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[退職給付に係る資産、負債]
当社グループは、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債について、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などの計算基礎を用いた数理計算により見積っており、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「退職給付に係る資産」に194億円、「固定負債」の「退職給付に係る負債」に841億円計上しております。
特に割引率や長期期待運用収益率は重要な前提条件となりますが、割引率は、年度末における国債もしくは高格付社債の利回りに基づき、また長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオや、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して、決定しております。
経営者は、年金数理計算上用いられる前提条件は適切であると考えていますが、前提条件に大きな変化が生じた場合、将来の退職給付資産及び退職給付負債の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
採用している退職給付制度の概要や年金資産の主な内訳、主要な数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 退職給付会計関係」に記載のとおりです。
[製品保証引当金]
当社グループは、主に素形材の鋳鍛鋼品・チタン製品、機械、エンジニアリング及び建設機械において、製品販売後及び工事引渡後の保証費用の支出に備えるため、売上高に対する過去の実績率に基づいて算定した将来の負担見積額の他、保証費用を支払う可能性が高い特定案件については、案件毎の将来の負担見積額を、連結貸借対照表の「流動負債」の「製品保証引当金」に157億円計上しております。
実績率については、売上高に対する過去の保証費用の支出額の割合に基づき算定しております。また、特定案件については、出荷した製品の不具合の内容を調査して、修復に係る費用を見積るとともに、不具合が当社の製品に起因しているか否かを判断し、契約等に基づき当社グループが負担する可能性が高いと判断される保証費用の支出額を算定しております。
経営者は、製品保証引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、予期せぬ重大な不具合が発生した場合や、不具合の修復に係る費用が想定から大きく変動した場合等には、将来の製品保証引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、売上高・受注高には消費税等を含んでおりません。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて大幅に悪化しました。感染拡大防止と経済活動の両立を図る中で、景気は回復傾向にありますが、感染再拡大の兆候も見られ、依然として先行きは不透明な状況にあります。海外経済は、中国では2020年2月半ばから経済活動が再開しており、インフラ投資や不動産開発投資が堅調に推移しました。中国以外の地域も景気は大幅に悪化しましたが、徐々に持ち直しの動きがみられています。
このような経済環境のもと、当社グループも自動車や航空機、建築向けを中心に売上高の大幅な減少を余儀なくされる中、収益の確保に向けて、固定費の圧縮などの緊急収益改善や素材系事業を中心とした収益改善に最大限取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比1,642億円減収の1兆7,055億円となり、営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響により販売数量が大きく減少したものの、鉄鋼アルミ、素形材、建設機械を中心に緊急収益改善を含むコスト削減に取り組んだこと、電力事業における真岡発電所の稼働や冬場の電力需給ひっ迫への対応などにより、前連結会計年度比205億円増益の303億円、経常損益は前連結会計年度比242億円改善の161億円の利益となりました。特別損益は、減損損失を計上した一方、固定資産売却益などを計上し25億円の利益となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度比912億円改善の232億円の利益となりました。
当連結会計年度のセグメント毎の状況は次のとおりであります。
<素材系事業>[鉄鋼アルミ]
(鉄鋼)
鋼材の販売数量は、自動車向けをはじめとして需要が全般的に減少したことから、前連結会計年度を下回りました。販売価格は、主原料価格の下落や輸出価格の低迷などの影響を受け、前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比13.3%減の5,638億円となりました。経常損益は、固定費の削減など緊急収益改善策を実施したものの、販売数量の減少の影響を大きく受け、前連結会計年度比145億円悪化の233億円の損失となりました。
(アルミ板)
アルミ板の販売数量は、自動車向けの需要が減少したものの、飲料用缶材向けが堅調に推移したことに加え、IT・半導体向けのディスク材やアルミ厚板などが増加したことから、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度並の1,324億円となりました。経常損益は、飲料用缶材向けの拡販やコスト削減により、前連結会計年度比83億円改善の6億円の利益となりました。
鉄鋼アルミ全体では、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比10.8%減の6,963億円となりました。経常損益は、前連結会計年度比61億円悪化の226億円の損失となりました。
[素形材]
素形材の販売数量は、自動車向け需要の減少の影響が大きく、サスペンションやアルミ押出、銅板、鉄粉などで前連結会計年度を下回りました。航空機向けや一般産業向けのチタン、造船向けの鋳鍛鋼においても同様に、販売数量が前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比19.9%減の2,381億円となりました。経常損益は、前連結会計年度に計上した固定資産の減損に伴う減価償却費の減少やコスト削減の効果などにより、前連結会計年度比131億円改善の121億円の損失となりました。
[溶接]
溶接材料の販売数量は、国内では自動車や建設機械向けなどの需要が減少し、前連結会計年度を下回りました。海外でも東南アジアなどでの自動車向け需要の減少や、造船向け需要の低迷などにより、前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比16.4%減の700億円となり、経常利益は、前連結会計年度比11億円減益の17億円となりました。
<機械系事業>[機械]
当連結会計年度の受注高は、新型コロナウイルス感染症の影響による設備投資の圧縮・繰り延べを背景に、産業機械・圧縮機ともに減少したことから、前連結会計年度比25.7%減の1,126億円となり、当連結会計年度末の受注残高は1,180億円となりました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に受注が好調であったLNG船向けや石油化学向けの圧縮機を中心に計上し、前連結会計年度比5.7%増の1,753億円となりました。経常利益は、コスト削減の効果などもあり、前連結会計年度比18億円増益の114億円となりました。
[エンジニアリング]
当連結会計年度の受注高は、水処理関連事業及び廃棄物処理関連事業で大型案件の受注があった前連結会計年度比15.7%減の1,134億円となり、当連結会計年度末の受注残高は2,821億円となりました。
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う海外案件の工期後ろ倒しなどにより、前連結会計年度比3.8%減の1,361億円となり、経常利益は、前連結会計年度比13億円減益の44億円となりました。
※(株)神鋼環境ソリューションの水処理/ごみ処理等に関する長期運転維持管理業務について、従来は売上時点で受注高として集計していましたが、当連結会計年度より契約の受託時点で受注高として集計する方法に変更しております。これに伴い、前連結会計年度の受注高を受託ベースで再集計し、比較しております。
[建設機械]
油圧ショベルの販売台数は、国内では、台風19号の影響で部品供給が滞ったことにより、販売が減少した前連結会計年度を上回りました。中国では、インフラ投資などの経済政策による需要拡大により販売台数は増加したものの、欧州、東南アジアでは、新型コロナウイルス感染症の影響などにより販売台数が減少したため、海外での販売台数は前連結会計年度を下回りました。結果、全体の販売台数は前連結会計年度並となりました。
クローラクレーンの販売台数は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内、海外ともに前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比7.7%減の3,331億円となりました。経常利益は、コスト削減などにより、前連結会計年度比52億円増益の127億円となりました。
<電力事業>[電力]
販売電力量は、2019年10月に真岡発電所1号機、2020年3月に真岡発電所2号機が稼働したことや、冬場の電力需給ひっ迫に伴い送電量を増加させたことなどにより、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.3%増の804億円となりました。経常利益は、真岡発電所の稼働や、冬場の電力需給ひっ迫への対応などにより、前連結会計年度比117億円増益の206億円となりました。
<その他>当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比17.4%減の278億円となり、経常利益は、(株)コベルコ科研における固定費の削減などにより、前連結会計年度比8億円増益の42億円となりました。
(2)財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、(株)コベルコパワー神戸第二の発電所新設に伴って有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,716億円増加し2兆5,828億円となりました。また、負債については、発電所新設のために資金調達を行い、長期借入金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,186億円増加し1兆8,134億円となりました。また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ530億円増加し7,693億円となりました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
| 目標指標推移 | |||||
| 目標指標 | 目標 (2020年度) | 2017年度 (実績) | 2018年度 (実績) | 2019年度 (実績) | 2020年度 (実績) |
| ROA(経常損益/総資産) | 5%以上 | 3.1% | 1.5% | △0.3% | 0.6% |
| D/Eレシオ(注1) (有利子負債/自己資本) | 1倍以下を 堅持 | 0.98倍 | 0.98倍 (注2) | 1.19倍 (注3) | 1.11倍 (注4) |
| ROIC(ご参考) (税引後事業利益/投下資本) | - | 4.5% | 2.8% | 0.9% | 1.1% |
(注)1.プロジェクトファイナンスを含まない
2.2019年度分借入金の前倒し調達(921億円)含む
前倒し調達除く2018年度D/Eレシオ:0.85倍
3.2020年度分借入金の前倒し調達(621億円)含む
前倒し調達除く2019年度D/Eレシオ:1.10倍
4.2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)含む
前倒し調達除く2020年度D/Eレシオ:0.84倍
(4)2016~2020年度グループ中期経営計画の振り返り
当社グループは、「2016~2020年度グループ中期経営計画」で、鋼材事業の上工程集約、新規電力プロジェクト、中国建設機械事業の再構築、事業の選択等による「安定収益基盤」確立に向けた施策を進めるとともに、自動車軽量化戦略を軸とした成長機会の追求により「素材系・機械系・電力の3本柱の事業体」を確立し、最終年度である2020年度でROA(経常損益/総資産)5%以上を達成することを目指してまいりました。
しかしながら、積極的投資を行ってきた自動車軽量化戦略の収益への貢献が、需要想定の変化や、ものづくり力の課題等により、当初想定していたより時間を要することとなり、加えて、素材系事業を中心とした収益力の低迷が収益を圧迫する状況となりました。
このような状況を踏まえ、2019年5月には、2019~2020年度で取り組むべき重点テーマを「中期経営計画ローリング」として取りまとめ、「素材系を中心とした収益力強化」に加え、「経営資源の効率化と経営基盤の強化」をやり切ることに集中するとしたものの、2019年度は米中貿易摩擦による販売数量の減少等もあり、経常損益は80億円の損失となりました。
収益基盤が大きく揺らぐ状況の中、新型コロナウイルス感染症影響による自動車や航空機、建築向けを中心とした販売数量の大幅な減少も加わり、2020年度は緊急避難的な取り組みに重点を置かざるを得ない状況に陥りましたが、2期連続の経常損失の回避に向けて、支出の最大抑制、固定費の削減など緊急収益改善策を実施した結果、経常損益は161億円の利益を計上することができました。しかしながら、2020年度のROAは0.6%と、目標としていた5%以上に対して未達となっており、中期経営計画で描いた3本柱の事業体の確立には至っておらず、引き続き収益基盤の確立が重要な課題であると認識しております。
(5)生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における下記セグメントの生産実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 区分 | 生産数量(千トン) | |||
| 前連結会計年度(2019年4月~ 2020年3月) | 当連結会計年度(2020年4月~ 2021年3月) | 差異 | 前期比 (%) | ||
| 鉄鋼アルミ | 粗鋼 | 6,566 | 5,870 | △697 | △10.6 |
| アルミ板 | 304 | 314 | 10 | 3.4 | |
| 素形材 | アルミ押出 | 37 | 34 | △2 | △6.6 |
| 銅板 | 53 | 48 | △5 | △9.4 | |
| 銅管 | 82 | 65 | △17 | △20.4 | |
(注)1.当連結会計年度から、報告セグメントの変更に伴い、「アルミ圧延品」を「アルミ板」、「アルミ押出」に区分変更しております。また、「銅圧延品」を「銅板」、「銅管」に区分変更しております。
2.粗鋼には、高砂製作所の電炉の生産数量を含めております。
b.受注実績
当連結会計年度における下記セグメントの受注実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 区分 | 受注高(百万円) | |||
| 前連結会計年度(2019年4月~2020年3月) | 当連結会計年度(2020年4月~2021年3月) | 差異 | 前期比 (%) | ||
| 機械 | 国内 | 52,482 | 46,048 | △6,433 | △12.3 |
| 海外 | 99,156 | 66,601 | △32,555 | △32.8 | |
| 合計 | 151,639 | 112,650 | △38,989 | △25.7 | |
| エンジニアリング | 国内 | 120,914 | 94,281 | △26,633 | △22.0 |
| 海外 | 13,639 | 19,172 | 5,532 | 40.6 | |
| 合計 | 134,554 | 113,454 | △21,100 | △15.7 | |
| セグメントの名称 | 区分 | 受注残高(百万円) | |||
| 前連結会計 年度末 (2020年3月) | 当連結会計 年度末 (2021年3月) | 差異 | 前期比 (%) | ||
| 機械 | 国内 | 35,031 | 26,339 | △8,691 | △24.8 |
| 海外 | 120,110 | 91,684 | △28,426 | △23.7 | |
| 合計 | 155,141 | 118,023 | △37,118 | △23.9 | |
| エンジニアリング | 国内 | 252,455 | 231,770 | △20,684 | △8.2 |
| 海外 | 38,695 | 50,403 | 11,708 | 30.3 | |
| 合計 | 291,150 | 282,173 | △8,976 | △3.1 | |
(注)エンジニアリングセグメントでは、前連結会計年度まで(株)神鋼環境ソリューションの水処理/ごみ処理等に関する長期運転維持管理業務について売上時点で受注高として集計しておりましたが、当連結会計年度より、契約の受託時点で受注高として集計する方法に変更したことに伴い、前期の受注高を受託ベースで再計算しております。
c.販売実績
当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | |||
| 前連結会計年度(2019年4月~ 2020年3月) | 当連結会計年度(2020年4月~ 2021年3月) | 差異 | 前期比 (%) | |
| 鉄鋼アルミ | 780,235 | 696,321 | △83,914 | △10.8 |
| 素形材 | 297,128 | 238,129 | △58,998 | △19.9 |
| 溶接 | 83,770 | 70,017 | △13,753 | △16.4 |
| 機械 | 165,940 | 175,318 | 9,377 | 5.7 |
| エンジニアリング | 141,536 | 136,138 | △5,397 | △3.8 |
| 建設機械 | 360,869 | 333,179 | △27,690 | △7.7 |
| 電力 | 75,678 | 80,440 | 4,761 | 6.3 |
| その他 | 33,670 | 27,813 | △5,856 | △17.4 |
| 調整額 | △68,993 | △51,791 | 17,201 | - |
| 合計 | 1,869,835 | 1,705,566 | △164,269 | △8.8 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (2019年4月~2020年3月) | 当連結会計年度 (2020年4月~2021年3月) | ||
| 金額 (百万円) | 割合 (%) | 金額 (百万円) | 割合 (%) | |
| 神鋼商事(株) | 262,540 | 14.0 | 215,575 | 12.6 |
(6)資本の財源及び資金の流動性に関する情報
①資本の財源及び資金の流動性
a.財務戦略
「2016~2020年度グループ中期経営計画」における財務戦略の基本方針は、素材系・機械系事業の成長に向けた大型戦略投資、事業基盤を支える定常投資は、原則として事業キャッシュ・フローにて賄うこととして、自動車分野を中心とした成長投資については、事業環境の変化によるキャッシュ・フロー悪化時にも財務規律を維持しながら着実に実施すべく、キャッシュ対策を実施することとしておりました。
本方針のもと、2020年度は、2019年度における大幅な損失の計上により財務体質が悪化したことも踏まえ、運転資金の改善や資産売却、設備投資の繰り延べ等による1,350億円程度のキャッシュ・フロー改善策を実施いたしました。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う生産・受注量の減少が顕在化してきたことを受け、需要に見合った生産の徹底による支出の最大限の抑制、グループ会社を含めたきめ細かい資金管理と必要な対策の実施、間接部門における経費支出の厳選、更新投資など事業運営上不可欠なもの以外の設備投資・投融資の一時凍結などに取り組みました。その結果、2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)を除くD/Eレシオ(プロジェクトファイナンスを除く)は0.84倍となり、目標である1倍以下を達成しました。
新たに策定した「KOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)」における財務戦略の基本方針は、新規の設備投資・投融資を厳選した上で、投資キャッシュ・フローを営業キャッシュ・フローの範囲内とし、2023年度末のD/Eレシオの目標を0.7倍以下とすることとしております。また、運転資金改善等の活動を継続して進めるとともに、営業キャッシュ・フローの下振れリスクに備えて、モニタリング強化による投資案件の精査・厳選、事業用資産の売却・流動化、政策保有株式売却等のバックアップ策の検討・準備を進めていきます。

b.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、設備老朽化に伴う更新投資や事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。
今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行う一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。
②当連結会計年度の実績
a.プロジェクトファイナンスを除くキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローに係る収入が2,100億円、投資活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△819億円、財務活動によるキャッシュ・フローに係る収入が385億円となりました。
以上の結果、フリーキャッシュ・フローは1,281億円の収入となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,669億円増加の3,018億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
固定費の圧縮などの緊急収益改善や素材系事業を中心とした収益改善に取り組み、税金等調整前当期純損益が改善したことに加え、棚卸資産の削減や債権流動化等のキャッシュ・フロー改善策を実施したことで、当連結会計年度の運転資金は改善いたしました。
また、エンジニアリングにおいて前連結会計年度に支払いが先行していた工事案件の入金が当連結会計年度にあったことや、2018年度末が休日であったことから前連結会計年度に手形の支払いがずれ込んだ影響が当連結会計年度はなくなったことなどからも、前連結会計年度に比べて当連結会計年度の運転資金は改善いたしました。
この結果、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,886億円収入が増加し、2,100億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
関係会社株式の売却、固定資産の売却等のキャッシュ・フロー改善策を実施いたしました。加えて前連結会計年度に比べ、大型戦略投資の支払いが減少したことから、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて515億円支出が減少し、△819億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
セール&リースバック等による資金調達により収入が増えた一方、借入金の返済や社債の償還等により支出も増えたことから、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて160億円収入が減少し、385億円となりました。
| (単位:億円) | |||
| 2019年度 | 2020年度 | 差異 | |
| 営業キャッシュ・フロー | 214 | 2,100 | 1,886 |
| 投資キャッシュ・フロー | △1,334 | △819 | 515 |
| フリーキャッシュ・フロー | △1,120 | 1,281 | 2,402 |
| 財務キャッシュ・フロー | 545 | 385 | △160 |
| (うち、株主還元) | (△37) | (△0) | (36) |
| 株主還元後のフリーキャッシュ・フロー | △1,157 | 1,280 | 2,438 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 1,349 | 3,018 | 1,669 |
(ご参考)
| プロジェクトファイナンスを含むキャッシュ・フロー | (単位:億円) | ||
| 2019年度 | 2020年度 | 差異 | |
| 営業キャッシュ・フロー | 270 | 1,947 | 1,677 |
| 投資キャッシュ・フロー | △2,189 | △1,418 | 771 |
| フリーキャッシュ・フロー | △1,919 | 529 | 2,448 |
| 財務キャッシュ・フロー | 1,405 | 1,184 | △221 |
| (うち、株主還元) | (△37) | (△0) | (36) |
| 株主還元後のフリーキャッシュ・フロー | △1,956 | 528 | 2,485 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 1,456 | 3,173 | 1,716 |
b.プロジェクトファイナンスを除く有利子負債の状況
有利子負債は、資金調達を実施した一方、社債の償還等により前連結会計年度並の7,857億円となり、株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、231億円増加の7,197億円となりました。
有利子負債の内訳は、当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,760億円、返済期限が1年を超えるものが6,097億円となっております。
| 2019年度 | 2020年度 | |
| 有利子負債(注3) | 7,844 (注1) | 7,857 (注2) |
| 有利子負債(注4) (プロジェクトファイナンスを含む) | 9,066 | 9,878 |
| 株主資本 | 6,966 | 7,197 |
| D/Eレシオ (プロジェクトファイナンスを除く) | 1.19倍 | 1.11倍 |
(注1)2020年度分借入金の前倒し調達(621億円)含む
前倒し調達除く2019年度D/Eレシオ:1.10倍
(注2)2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)含む
前倒し調達除く2020年度D/Eレシオ:0.84倍
(注3)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳
| 合計 | 1年内 | 1年超 | |
| 短期借入金 | 728 | 728 | - |
| 長期借入金 | 6,312 | 826 | 5,486 |
| 社債 | 816 | 205 | 610 |
| 合計 | 7,857 | 1,760 | 6,097 |
(注4)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳(プロジェクトファイナンスを含む)
| 合計 | 1年内 | 1年超 | |
| 短期借入金 | 728 | 728 | - |
| 長期借入金 | 8,333 | 889 | 7,443 |
| 社債 | 816 | 205 | 610 |
| 合計 | 9,878 | 1,823 | 8,054 |
(7)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用しております。
連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、連結貸借対照表上の資産及び負債の計上額、並びに、連結損益計算書上の収益及び費用の計上額に影響を与えるような会計上の見積りを行う必要があります。会計上の見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っておりますが、前提条件や事業環境などに変化が生じた場合には、見積りと将来の実績が異なることがあります。
会計上の見積りが必要となる項目のうち、経営者が当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与える可能性があると認識している主な項目は以下のとおりです。
[棚卸資産の評価]
当社グループは、販売目的で保有する棚卸資産について、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価との差額を簿価の切り下げ額として当期の費用に計上しております。連結貸借対照表の「棚卸資産」は、収益性の低下に基づく簿価切り下げ額165億円を差し引いて計上しております。
正味売却価額については、期末前後における販売実績を基に、製品や原材料の価格動向等を踏まえて将来における売却価額を見積って算定しております。
また、滞留棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難な場合には、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる方法等により収益性の低下の事実を適切に反映しております。
経営者は、棚卸資産の正味売却価額の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢が大きく変化し、製品や原材料の価格等の仮定に大きな変化が生じた場合、将来の棚卸資産の簿価切り下げ額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[受注契約に係る収益及び損失の評価]
当社グループは、主に素形材の鋳鍛鋼品・チタン製品、機械及びエンジニアリングにおいて、受注契約に係る収益の計上については、進捗部分について成果の確実性が認められる工事には、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しており、連結貸借対照表の「流動資産」の「売掛金」の内数として、403億円計上しております。また、受注契約について工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額を、「受注工事損失引当金」として、連結貸借対照表の「流動負債」に185億円計上しております。
工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の算定については、原則、一つの契約を一つの案件とし、案件単位で引当金の計上要否を判定しますが、同一と見なされる案件が複数の契約に分かれている場合や、本体とその据付工事等の関連の深い複数の契約を前後して受注した場合等においては、複数の契約を一つの案件とみなして判定します。
工事原価総額については、案件毎に労務費や資機材の調達価格等の費用を直近の工事スケジュールや過去の実績、調達先との交渉状況等から想定して算定しております。
経営者は、工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、工期や調達価格の仮定及び輸入する資機材の調達価格に影響を与える為替の前提条件等に大きな変化が生じた場合、工事原価総額の見積り額の変動により工事の進捗率が変動することに伴って、工事進行基準に基づく収益及び受注工事損失引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[貸倒引当金]
当社グループは、将来の債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、また貸倒懸念債権等の特定の債権については、個別に回収可能性を検討しその回収不能見込額を、連結貸借対照表の「流動資産」の「貸倒引当金」に△24億円、「固定資産」の「投資その他の資産」の「貸倒引当金」に△184億円計上しております。
特定の債権について回収不能見込額を見積るにあたっては、直近の回収状況や取引先の経営状況等を総合的に判断しております。
経営者は、貸倒引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢や金融機関の貸出姿勢などにより、債務者の財政状態に大きな変化が生じた場合、回収不能見込額が変動し将来の貸倒引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[固定資産の減損]
当社グループは、固定資産について営業損益が継続してマイナスとなるなど、減損の兆候があると判断された場合には、将来キャッシュ・フローを基に回収可能性を見積り、減損損失の認識の要否を判定し、資産グループから生じる将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額を下回っている場合には減損損失を認識しております。
当社グループにおいて、当連結会計年度に減損損失を135億円計上しており、その内訳は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結損益計算書関係) 6 減損損失」に記載のとおりであります。
また、当連結会計年度末の固定資産の帳簿価額1兆1,151億円(有形固定資産1兆786億円、無形固定資産365億円)には、減損の兆候があるものの減損損失を認識しなかった資産グループが複数存在しますが、そのうち主な資産グループは以下のとおりです。
<建設機械>建設機械における当社の子会社であるコベルコ建機(株)の事業用固定資産について、海外における競合の激化、為替の変動による輸出の採算悪化、新型コロナウイルス感染症による需要減少などの影響により営業損益が継続してマイナスとなったことから、減損の兆候があると判断しております。将来の事業計画においては、販売単価の改善、新興国を中心に拡大が見込まれる海外需要の獲得による販売台数の増加などを、一定の仮定を置いた上で織り込んでおります。このような仮定の下で策定した事業計画を基に見積った割引前将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額586億円を上回ることから、減損損失は認識しておりません。
経営者は将来のキャッシュ・フローは合理的であると判断しておりますが、見積り時に設定した仮定と実際の結果に大きな乖離が見られるなど、見積りの前提に大きな変化が生じ、将来のキャッシュ・フローが下振れした場合、減損損失を認識する可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは、将来減算一時差異や税務上の繰越欠損金等のうち、将来課税所得を減算する可能性が高いと見込まれるものに対して、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「繰延税金資産」に692億円を計上しております。
当社グループでは、中期経営計画など経営者が妥当と判断した事業計画に基づき将来の一定期間の課税所得を見積り、また将来減算一時差異については個別に解消見込み時期を判断し、一定期間に解消が見込まれると見積られる将来減算一時差異等に係る繰延税金資産については回収可能性が高いと判断しております。また、事業計画を策定するにあたっては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報 会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」に記載の仮定を基に、主要事業において需要及び受注が増加する前提で計画を立案しております。
経営者は、繰延税金資産の算定に用いられる見積りは合理的であると考えていますが、新型コロナウイルス感染症による影響の再拡大や、世界的な半導体不足の長期化といった当社グループの需要分野に影響を及ぼす不確実性の顕在化など、将来の課税所得が想定から大きく変動し繰延税金資産の回収可能性が大きく変動する場合や、税率の改正がある場合、将来の繰延税金資産の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[退職給付に係る資産、負債]
当社グループは、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債について、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などの計算基礎を用いた数理計算により見積っており、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「退職給付に係る資産」に194億円、「固定負債」の「退職給付に係る負債」に841億円計上しております。
特に割引率や長期期待運用収益率は重要な前提条件となりますが、割引率は、年度末における国債もしくは高格付社債の利回りに基づき、また長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオや、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して、決定しております。
経営者は、年金数理計算上用いられる前提条件は適切であると考えていますが、前提条件に大きな変化が生じた場合、将来の退職給付資産及び退職給付負債の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
採用している退職給付制度の概要や年金資産の主な内訳、主要な数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 退職給付会計関係」に記載のとおりです。
[製品保証引当金]
当社グループは、主に素形材の鋳鍛鋼品・チタン製品、機械、エンジニアリング及び建設機械において、製品販売後及び工事引渡後の保証費用の支出に備えるため、売上高に対する過去の実績率に基づいて算定した将来の負担見積額の他、保証費用を支払う可能性が高い特定案件については、案件毎の将来の負担見積額を、連結貸借対照表の「流動負債」の「製品保証引当金」に157億円計上しております。
実績率については、売上高に対する過去の保証費用の支出額の割合に基づき算定しております。また、特定案件については、出荷した製品の不具合の内容を調査して、修復に係る費用を見積るとともに、不具合が当社の製品に起因しているか否かを判断し、契約等に基づき当社グループが負担する可能性が高いと判断される保証費用の支出額を算定しております。
経営者は、製品保証引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、予期せぬ重大な不具合が発生した場合や、不具合の修復に係る費用が想定から大きく変動した場合等には、将来の製品保証引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。