有価証券報告書-第131期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/19 14:47
【資料】
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【項目】
133項目
当社は当年度より、社内組織をベースとした事業セグメントの構成の変更に基づき、従来、「機械」に含めておりました「空調」を「水・環境」に含めております。この変更に伴い、前年度比及び前年度末比については前年度の数値を変更後の区分に組替えて算出しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当年度(2020年1月1日~2020年12月31日)における、経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
① 経営成績
当社は、「グローバル・メジャー・ブランド」すなわち「最も多くのお客様から信頼されることによって、最も多くの社会貢献をなしうる企業(ブランド)」となることを長期目標としております。この実現を加速するため、10年後を見据えた長期ビジョン「GMB2030」を策定し、クボタグループのあるべき姿として「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”」を掲げております。食料の生産性・安全性を高めるソリューション、水資源・廃棄物の循環を促進するソリューション、都市環境・生活環境を向上させるソリューションを通じて持続可能な社会へ最大限の貢献をすることにより、長期にわたる持続的発展をめざしております。
当年度は新型コロナウイルスが世界中に広まり、当社の事業環境のみならず、個々の生活様式も一変しました。そのような先行き不透明な状況の中、「食料・水・環境」という重要な社会インフラを支えるエッセンシャルビジネスを扱う企業として迅速かつ的確な対応に努めました。当社の事業は世界各地で底堅い需要に支えられ、特に主力の北米ではディーラーから最終顧客への小売が大幅に増加しました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生産の遅れ等によりディーラーへの卸売が翌年度にずれ込んだため、売上高、利益ともに減少しました。
当年度の売上高は前年度比668億円(3.5%)減少して1兆8,532億円となりました。
国内売上高は機械部門が新型コロナウイルスの感染拡大や前年度の消費増税の影響等により減少したほか、水・環境部門も環境関連製品や合成管等の民需向けの製品が減少したため、前年度比302億円(4.8%)減の5,952億円となりました。
海外売上高は新型コロナウイルスの感染拡大を背景に巣ごもり需要が伸長する一方で、生産や出荷の遅れ等により機械部門が大きく減少したほか、水・環境部門もわずかに減少したため、前年度比366億円(2.8%)減の1兆2,580億円となりました。当年度の海外売上高比率は前年度比0.5ポイント上昇して67.9%となりました。
営業利益は値上げ効果や米国の金利低下等の増益要因はありましたが、国内外での減収に加え、一時的な生産停止や生産量の低下に伴う生産工場の損益悪化等もあり、前年度比264億円(13.1%)減少して1,753億円となりました。税引前利益は営業利益の減少等により前年度比231億円(11.1%)減少して1,859億円となりました。法人所得税は470億円の負担、持分法による投資損益は25億円の利益となり、当期利益は前年度比177億円(11.1%)減の1,414億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度を205億円(13.8%)下回る1,285億円となりました。
事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。
(機械)
当部門は農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械により構成されております。
当部門の売上高は前年度比3.2%減少して1兆5,088億円となり、売上高全体の81.4%を占めました。
国内売上高は前年度比4.4%減の2,929億円となりました。消費増税前の駆け込み需要の反動減や新型コロナウイルスの感染拡大に伴う販売活動の自粛等により、農業機械が大幅に減少しました。
海外売上高は前年度比2.9%減の1兆2,159億円となりました。北米では、4月以降の堅調な需要や新機種効果等により、ディーラーから最終顧客への小売は極めて好調に推移しました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生産の遅れ等により当社からディーラーへの卸売が翌年度にずれ込んだため、建設機械やトラクタの売上が減少し、ディーラーの在庫水準も大きく低下しました。また、客先の在庫調整等によりエンジンも大幅減となりました。欧州では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いディーラーが一時的に営業を停止した影響やエンジンの客先の減産等により、エンジン、建設機械、トラクタともに前年度を下回りました。アジアでは、タイのトラクタが良好な雨季の天候による当年度後半の回復を受けて小売は微増となったものの、在庫調整の影響により売上は減少しました。一方、経済活動再開後の需要回復を受けて中国のエンジンや農業機械が増加したほか、インドの農業機械等も伸長したためアジア全体では前年度を上回りました。
当部門のセグメント利益は値上げ効果や米国の金利低下等の増益要因はありましたが、生産工場の損益悪化や国内外での減収、円高の影響等により、前年度比11.5%減少して1,796億円となりました。
(水・環境)
当部門はパイプインフラ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、官需向けバルブ、素形材、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ、民需向けバルブ等)により構成されております。
当部門の売上高は前年度比4.3%減少して3,158億円となり、売上高全体の17.0%を占めました。
国内売上高は前年度比4.8%減の2,740億円となりました。ダクタイル鉄管や工事事業等が伸長しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により合成管、素形材、スパイラル鋼管、空調機器等が民需向けを中心に低調に推移したため、パイプインフラ関連製品は減少しました。環境関連製品は大型案件である福島県双葉町での廃棄物処理施設の建設に伴う売上が一巡したことにより前年度を下回りました。
海外売上高はダクタイル鉄管や素形材が伸長したものの、環境関連製品が減少したため前年度比1.0%減の418億円となりました。
当部門のセグメント利益は原材料価格が低下したものの、国内での減収やプラント建設コストの増加等により、前年度比7.9%減少して259億円となりました。
(その他)
当部門は各種サービス事業等により構成されております。
当部門の売上高は前年度比9.3%減の287億円となり、売上高全体の1.6%を占めました。
当部門のセグメント利益は前年度比6.1%増加して38億円となりました。
② 財政状態
総資産は前年度末(2019年12月末)比500億円増加して3兆1,893億円となりました。
資産の部では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により生産や出荷が遅れている中で、好調な小売を受けてディーラーからの売掛金回収が進んだため、営業債権が減少しました。一方で、小売が好調な北米で販売金融が拡大したことにより、金融債権が増加しました。
負債の部では、社債及び借入金が減少しましたが、当年度後半の生産量の増加に伴い営業債務が増加しました。
資本合計は、為替レートの変動等に伴うその他の資本の構成要素の悪化はありましたが、利益の積上がりにより増加しました。親会社所有者帰属持分比率は前年度末比0.3ポイント増加して46.3%となりました。
③ キャッシュ・フロー
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは1,429億円の収入となりました。金融債権の増加に伴う支出の増加や当期利益の減少等はありましたが、営業債権や営業債務等の運転資本の変動により前年度比605億円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは471億円の支出となりました。有価証券の取得による支出は増加しましたが、有形固定資産の取得による支出の減少や有価証券の売却による収入の増加等により、前年度比443億円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは684億円の支出となりました。資金調達の減少等により前年度比468億円の支出増となりました。
これらのキャッシュ・フローに為替レート変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から233億円増加して2,229億円となりました。
当社は中期経営計画において、営業活動によるキャッシュ・フロー及びフリー・キャッシュ・フローを重要指標としており、今後もこれらの拡大に取り組んでいきます。
(2) 資金の源泉及び流動性
当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。
当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。
当社は営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。運転資金及び設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。当年度の社債及び借入金の使途は主として販売金融にかかわるものです。なお、社債及び借入金の残高については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※14 社債及び借入金」をご参照ください。
現在のところ、当社は健全な財務基盤及び安定したキャッシュ・フロー創出力により、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。
(3) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。
事業別セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)
機械1,442,961△4.8
水・環境313,448△5.7
その他28,859△8.8
合計1,785,268△5.0

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は販売額をもって計上しております。
3 金額に消費税等は含まれておりません。
② 受注状況
当年度における事業別セグメントの受注状況は次のとおりです。
なお、機械部門は一部を除き受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。
事業別セグメントの名称受注高(百万円)前年度比(%)受注残高(百万円)前年度末比(%)
機械55030.311373.9
水・環境239,0453.1230,996△2.5
その他5,020△4.62,42714.7
合計244,6152.9233,536△2.3

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額に消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。
事業別セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)
機械1,508,766△3.2
水・環境315,774△4.3
その他28,694△9.3
合計1,853,234△3.5

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。
3 金額に消費税等は含まれておりません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社はIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を使用しております。実際の業績はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。見積り及び仮定は継続して見直され、当該見直しによる影響は会計上の見積りの変更として、見積りを変更した報告期間及び将来の報告期間において認識されます。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※2 作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※3 重要な会計方針」に記載しております。