有価証券報告書-第196期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 15:27
【資料】
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【項目】
126項目
(業績等の概要)
(1) 業績
当期の世界経済は、米国や欧州の好況に加え、新興国においても輸出の増加や景気刺激策の効果が現れ、全体として緩やかな成長が続きました。わが国の経済は、海外経済の好況を背景とした輸出の増加などにより企業収益が好調に推移する中で、設備投資が増加基調を維持し、加えて雇用・所得が着実に改善するなど、景気拡大が続きました。
このような環境の下、当社グループでは、中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」に基づき、重点領域であるインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野の強化に取り組んでまいりました。インフラ関連では、情報通信分野において、世界的に旺盛な光ファイバ需要に対応するための設備投資を決定するなど、グローバルでの生産・供給体制の強化に取り組んだほか、エネルギー分野においては、新エネルギー案件の受注活動を積極的に行うとともに、電力工事のエンジニアリング力強化に向けた人材の増強やケーブル製造設備への投資など、安定した収益構造の確立に向けた供給体制の整備を進めております。自動車分野では、環境、安全、自動運転の分野において当社グループが優位性を持つ製品の、グローバルでの商圏拡大に努めてまいりました。
当期の業績につきましては、情報通信ソリューション事業での中国市場におけるデジタルコヒーレント関連製品の在庫調整のほか、電力事業においてケーブルの品種構成が悪化した影響などがあったものの、情報通信ソリューション事業における光ファイバ・ケーブルやネットワークシステムの需要が旺盛であったことに加え、自動車部品事業でのワイヤハーネスの売上拡大や、銅箔事業における生産性の向上、品種構成の見直しによる利益率の改善などが寄与し、業績は好調を維持しました。
これらの結果、連結売上高は9,673億円(前期比14.7%増)、連結営業利益は448億円(前期比16.0%増)となりました。また、連結経常利益は469億円(前期比30.2%増)となりました。さらに、固定資産処分益など98億円を特別利益に、製品補償引当金繰入額や減損損失など162億円を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は285億円(前期比62.5%増)となりました。なお、海外売上高は4,567億円(前期比17.1%増)で、海外売上高比率は47.2%(前期比1.0%増)となりました。
単独の業績につきましては、売上高は4,577億円(前期比14.8%増)、営業利益は57億円(前期比8.3%減)、経常利益は212億円(前期比0.3%増)、当期純利益は185億円(前期比70.0%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[インフラ]
情報通信ソリューション事業では、中国市場での在庫調整が続きデジタルコヒーレント関連製品の売上数量が落ち込んだものの、世界的に光ファイバ・ケーブル需要が旺盛であったことに加え、国内でのネットワークシステム関連の工事、機器の販売が好調に推移しました。エネルギーインフラ事業では、国内電力工事の大型案件などがあったものの、地中送電線の輸出案件における低採算品の構成比増等が利益を圧迫しました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は2,918億円(前期比10.6%増)、連結営業利益は128億円(前期比11.1%減)となりました。また、単独売上高は860億円(前期比13.9%増)となりました。
情報通信ソリューション事業では、昨年9月に光ファイバの製造能力を2019年度までに2016年度比約2倍に増強するための増産投資を決定しました。世界的な需要増に対応できる生産・供給体制を構築し、グローバル市場での販売拡大を推進していきます。
エネルギーインフラ事業では、人材の確保を含めた工事施工能力の増強と、技術開発及び設備投資による製造力強化を行うことで、国内を含めたアジア市場での超高圧線・海底線の案件受注を積み重ねてまいります。
[電装エレクトロニクス]
自動車部品事業においては、2016年4月の熊本地震などの影響による国内需要低迷から回復したことに加え、新車種向けワイヤハーネスの売上が増加しました。銅条・高機能材事業において、品種構成の見直しによる利益率の改善や、生産性の改善による増産で旺盛な需要を取り込んだこと、巻線事業における自動車やスマートフォン用製品の販売増加などから、業績が好調に推移しました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は5,338億円(前期比17.2%増)、連結営業利益は182億円(前期比42.3%増)となりました。また、単独売上高は3,054億円(前期比17.0%増)となりました。
自動車部品事業では、東南アジアの生産拠点を活用するなど最適地生産化を進めコスト競争力の向上を図るとともに、軽量化ニーズに応えるアルミワイヤハーネスの生産体制を強化していきます。
巻線事業では、従来から行っているSuperior Essex Inc.(米国)グループとの協業をさらに推進し、高機能巻線市場において欧州をはじめとする自動車電動化需要を着実に取り込んでまいります。
[機能製品]
銅箔事業において、生産性の向上により旺盛な需要を取り込んだことに加え、品種構成見直しにより利益率が改善しました。サーマル・電子部品事業においては、データセンター向け放熱製品の販売が堅調に推移しました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は1,531億円(前期比16.4%増)、連結営業利益は140億円(前期比19.8%増)となりました。また、単独売上高は636億円(前期比6.2%増)となりました。
銅箔事業においては、日本・台湾の製造・販売拠点の一体運営を進め、最適な機能分担を行うとともに、高機能箔へ経営資源を配分することで、安定的に収益を確保できる体制を構築してまいります。また、AT・機能樹脂事業では、地中埋設用ケーブル保護管など、電柱・電線の地中埋設化に貢献する製品の販売を拡大していきます。
[サービス・開発等]
主に物流、各種業務受託等による当社グループの各事業のサポート、不動産の賃貸、水力発電、新製品研究開発の推進等を行っております。
当セグメントの連結売上高は529億円(前期比6.6%増)、連結営業損失は2億円(前期比1億円悪化)となりました。また、単独売上高は27億円(前期比17.3%増)となりました。
なお、昨年10月1日付で、当社グループ内の情報システム構築・運用保守を担う子会社である古河インフォメーション・テクノロジー㈱(現 FITEC㈱)について、持分の一部を富士通㈱へ譲渡し持分法適用の関連会社としております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、498億円(前連結会計年度比36億円の増加)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上の増加や銅価上昇の影響により運転資本が悪化したものの、税金等調整前当期純利益+405億円、減価償却費+251億円等により+384億円(前連結会計年度比△20億円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に中期経営計画の重点領域であるインフラ分野への投資を拡大したことに伴い、有形固定資産の取得による支出が△343億円と増加したことから、△343億円(前連結会計年度比+20億円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費を上回る設備投資等で借入金が増加したものの、配当金の支払い等により△19億円(前連結会計年度比+84億円)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしておりません。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ657億円増加して8,158億円となりました。流動資産は、前連結会計年度末比437億円増加の4,261億円、固定資産は、前連結会計年度末比220億円増加の3,897億円でした。受取手形及び売掛金が255億円、たな卸資産が94億円、有形固定資産が112億円、投資有価証券が70億円それぞれ増加しました。
流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は、前連結会計年度末に比べ68億円増加して958億円となりました。
有形・無形固定資産は、資本的支出で385億円の増加、減価償却で251億円の減少のほか、除売却による減少等により変動しております。
負債の部では、長期借入金、短期借入金、社債を合計した有利子負債が2,585億円と前連結会計年度末比で60億円の増加となりました。
純資産の部では、利益剰余金が242億円、その他の包括利益累計額が49億円それぞれ増加しました。その結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比1.4ポイント上昇し29.0%となりました。
なお、キャッシュ・フローの概況については、「3[経営者による財政状態・経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比14.7%増の9,673億円、連結営業利益は、前連結会計年度比16.0%増の448億円となりました。情報通信ソリューション事業での中国市場におけるデジタルコヒーレント関連製
品の在庫調整のほか、電力事業においてケーブルの品種構成が悪化した影響などがあったものの、情報通信ソリューション事業における光ファイバ・ケーブルやネットワークシステムの需要が旺盛であったことに加え、自動車部品事業でのワイヤハーネスの売上拡大や、銅箔事業における生産性の向上、品種構成の見直しによる利益率の改善などが寄与し、業績は好調を維持しました。
営業外損益では、持分法による投資損益が42億円増加しました。この結果、連結経常利益は前連結会計年度比30.2%増の469億円となりました。
特別損益は、64億円の損失(純額)となりました。固定資産処分益94億円を特別利益に計上した一方、減損損失31億円や、当社子会社製自動車部品を組み込んだ製品における市場回収措置(リコール)及びその他製品の補償に関連した費用として製品補償引当金繰入額72億円、米国での自動車部品カルテルの一部原告との和解に関連した費用として訴訟等損失引当金繰入額21億円等を特別損失に計上しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比62.5%増の285億円となりました。
なお、セグメント別の概況は、「3[経営者による財政状態・経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要)(1)業績」に記載しております。