四半期報告書-第151期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
第1四半期連結会計期間より、米国連結子会社において従来の米国会計基準にかえてIFRSを適用しており、当該会計方針の変更を遡及適用した後の数値で比較分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行により、経済・社会活動が厳しく制限され、日本、米州、欧州、アジア等の各々の地域において景気が大幅に悪化しました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、自動車やスマートフォンなど民生用エレクトロニクス全般での生産の急激な減少、通信・電力関連工事の遅延のほか、光ファイバの価格低下もあり、非常に厳しいものとなりました。このような環境のもと、当第2四半期連結累計期間の連結決算は、売上高は、1,239,287百万円(前年同四半期連結累計期間1,523,770百万円、18.7%減)と前年同四半期連結累計期間対比で大幅な減収となりました。不要不急な費用の圧縮、設備投資の抑制などのコスト削減対策で最大限の挽回を図りましたが、売上減少に加えて、生産急減に伴う収益性の悪化などもあり、営業損失は11,414百万円(前年同四半期連結累計期間は営業利益45,976百万円)となり、経常損失は24,043百万円(前年同四半期連結累計期間は経常利益48,100百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は41,872百万円(前年同四半期連結累計期間は親会社株主に帰属する四半期純利益28,013百万円)となりました。
セグメントの経営成績は、前年同四半期連結累計期間対比で次のとおりであります。
自動車関連事業
ワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースが、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車生産の落ち込みにより大幅に減少し、売上高は661,819百万円と183,381百万円(21.7%)の減収となりました。営業損失は、売上減少に加えて、一部生産拠点のロックダウンに伴う代替生産により生じた緊急輸送費などの追加コストもあり、27,460百万円と50,667百万円の悪化となりました。
情報通信関連事業
光・電子デバイスやアクセス系ネットワーク機器などの需要増加により、売上高は107,148百万円と8,814百万円(9.0%)の増収となりました。営業利益は、売上増加と生産性改善によるコスト低減によって光ファイバの価格低下を吸収して、12,722百万円と6,444百万円の増益となりました。
エレクトロニクス関連事業
新型コロナウイルス感染症の影響により、携帯機器用FPC(フレキシブルプリント回路)や電子ワイヤー、照射チューブの需要が減少し、前連結会計年度の第2四半期連結会計期間に子会社化した㈱テクノアソシエの寄与はあるものの、売上高は114,755百万円と1,304百万円(1.1%)の減収となりました。営業利益は、携帯機器用FPCのコスト改善や不採算品からの撤退などの収益力回復の取り組みにより、1,857百万円と2,806百万円の増益となりました。
環境エネルギー関連事業
新型コロナウイルス感染症の影響により、巻線などの自動車向けが大幅に減少したほか、電力ケーブルや電力工事が案件の遅延や端境期で減少、また、銅価格下落の影響もあり、売上高は266,264百万円と74,804百万円(21.9%)の減収となりました。営業利益は、売上減少により4,646百万円と4,244百万円の減益となりました。
産業素材関連事業他
新型コロナウイルス感染症の影響により、超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が大きく落ち込み、売上高は135,083百万円と32,854百万円(19.6%)の減収となりました。営業損失は、工場の稼働率が低下したことに伴う収益性の悪化も加わって、3,289百万円と11,781百万円の悪化となりました。
なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、四半期連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。
当第2四半期連結会計期間末における財政状態は、次のとおりであります。
総資産は3,084,756百万円と、前連結会計年度末対比15,504百万円減少しました。
資産の部では、前期末出荷案件に係る債権の回収が進んだことや売上高の減少に伴い受取手形及び売掛金が大きく減少し、現金及び預金の増加等はあったものの、前連結会計年度末対比15,504百万円減少しました。
負債の部では、支払手形及び買掛金が減少した一方、借入金の増加やコマーシャル・ペーパーの発行により、前連結会計年度末対比48,997百万円増加しました。
また、純資産は1,702,146百万円と、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上に加え、配当の支払や為替換算調整勘定の減少により、前連結会計年度末対比64,501百万円減少しました。自己資本比率は47.3%と前連結会計年度末対比1.7ポイント低下しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より16,997百万円(6.8%)増加し、266,008百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動の結果得られた資金は、70,736百万円(前年同四半期連結累計期間対比49,279百万円の収入減少)となりました。これは、税金等調整前四半期純損失36,064百万円や減価償却費82,463百万円から運転資本の増減などを加減したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動の結果使用した資金は、94,307百万円(前年同四半期連結累計期間対比13,994百万円の支出増加)となりました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,270百万円などがあったことによるものであります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローについては23,571百万円のマイナス(前年同四半期連結累計期間は39,702百万円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動の結果、資金は38,966百万円増加(前年同四半期連結累計期間は2,684百万円の減少)しました。これは、長期借入金の返済による支出29,120百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、長期借入れによる収入74,966百万円などがあったことによるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響は段階的に緩和していくことが期待されますが、感染防止対策と経済活動再開の両立が求められる中で、景気回復に時間を要することが懸念されます。また、米中の通商政策や中東情勢、英国のEU離脱などの政治的・地政学的リスクも引き続き憂慮材料であり、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、社員の健康と安全、サプライチェーンの維持確保を引き続き最優先としつつ、製造業の基本であるS(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)の一段のレベルアップに努めるとともに、「収益力を高める事業構造の改革」と「生産性を向上させるワークスタイルの改革」に取り組んでまいります。これらにより、いかなる環境にも耐えうる強靭な企業体質を構築し、「グロリアス エクセレント カンパニー」を目指して、“総力を結集し、つなぐ、つたえる技術で、よりよい社会の実現に貢献する”のコンセプトのもと取り組んでいる2022年度を最終年度とする中期経営計画「22VISION」の達成に向けて邁進してまいります。具体的には、各事業において次の施策を進めてまいります。
自動車関連事業では、自動車生産の回復に適時的確に対応していくとともに、生産が落ち込んでいた期間に集中して取り組んできたコスト低減活動の成果を確実に刈り取って、筋肉質な事業体質の再構築を進めてまいります。ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーの実現に向けては、客先への提案型マーケティングの強化により、電動車両向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタといったいわゆるCASE*関連の新製品創出、軽量化のニーズに対応したハーネスのアルミ化を加速し、また、海外系顧客の一層のシェア拡大に取り組んでまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースなどにおいて、事業拠点の再構築などを通じた構造改革によって収益力回復に努めることに加え、次世代自動車に向けた新製品開発にも注力してまいります。
* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared
(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
情報通信関連事業では、海底ケーブル用の極低損失光ファイバ、超多心光ケーブルや光配線機器等のデータセンター関連製品、第5世代移動通信システム(5G)用の光・電子デバイス、4K放送対応映像配信や10G-EPON(光ファイバ共用型10ギガビットネットワーク)関連のアクセス系ネットワーク機器など市場ニーズに応じた高機能製品の開発・拡販に引き続き取り組んでまいります。新型コロナウイルス感染症を契機とした情報通信インフラの更なる高度化に対しては、今後の社会動向を注視して、新たなビジネス機会を確実に捕捉してまいります。また、価格競争が激化している光ファイバをはじめ、一層のコスト低減を進めてまいります。
エレクトロニクス関連事業では、FPCにおいては、グローバル生産体制の最適化と生産性改善による収益力回復に引き続き取り組むとともに、車載用途への拡販、高精細化・高周波化への対応などの新製品開発に注力してまいります。電動車両の電池端子に用いられるリード線(タブリード)は、グローバルな拡販と生産能力の増強を進め、照射チューブについても引き続き多様なニーズの捕捉を図ってまいります。また、前連結会計年度に公開買付けにより子会社化した㈱テクノアソシエとの事業シナジーの拡大、水処理製品などの新規事業の立ち上げにも取り組んでまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルについて、海外の新規大型プロジェクト、国内の再生可能エネルギーや設備更新需要を確実に捕捉するとともに、一段のコスト低減、品質向上、新技術開発にも注力し、収益力の向上を図ってまいります。また、電動車両向けのモーター用平角巻線については、需要増に応じたグローバルな生産能力増強を進めてまいります。さらに日新電機㈱や住友電設㈱を含めたグループの総合力を活かして、国内外での受注拡大に取り組んでまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具において、グローバルな販売力強化と難削材加工用工具などの新製品投入を進めるほか、社員の再教育(教育再武装)などの内部固めの推進により事業体質の更なる強化を図ってまいります。焼結部品はグローバルに展開する製造拠点を活かした拡販とコスト競争力の一層の強化に取り組むほか、PC鋼材やばね用鋼線については、グローバル体制の強化と徹底したコスト削減による収益力向上に注力してまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業・新製品の創出に努めてまいります。具体的には、マグネシウム合金製品、超電導製品、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイス、レドックスフロー電池、集光型太陽光発電装置などの早期事業化に注力するほか、5つの現事業セグメントを支える次世代の製品開発や新たな製造方法の開発にも引き続き取り組んでまいります。また、将来に向けては、産官学の連携などによる社外の知見も積極的に活用して、新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえた新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAI*やIoT*活用による生産革新にも積極的に取り組んでまいります。
* AI :Artificial Intelligence(人工知能)の略。
* IoT:Internet of Thingsの略。パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器に限らず、あらゆる「モノ」
がインターネット等のネットワークに接続されること。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念の基本的な価値軸はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にも相通ずるものであると考えており、当社グループは、「安全安心な社会、環境に優しい社会、快適で成長力のある社会」の実現に向け、総力を結集し、さまざまな価値の提供を目指してまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、59,417百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
前連結会計年度末において、合理的に見積もることが困難なため未定としておりました当連結会計年度の設備投資計画は、次のとおりであります。
当社及び連結子会社は、多種多様な事業を国内外で行っており、当第2四半期連結会計期間末時点では設備の新設、改修の計画を個々のプロジェクトごとには決定しておりません。そのため、セグメントごとの数値を開示する方法によっております。
当連結会計年度の設備投資は、主として受注対応や合理化を目的として180,000百万円を計画しており、セグメントごとの内訳は以下のとおりであります。
(注)今後の所要資金については、自己資金及び借入等により充当する予定であります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間において、各セグメントの売上高・営業利益又は営業損失に重要な影響を与えている主な要因は次のとおりであります。
自動車関連事業については、ワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースが、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車生産の落ち込みにより大幅に減少したことが減収要因となり、売上減少に加えて、一部生産拠点のロックダウンに伴う代替生産により生じた緊急輸送費などの追加コストもあったことが営業損益悪化の要因となりました。情報通信関連事業については、光・電子デバイスやアクセス系ネットワーク機器などの需要増加が増収要因となり、売上増加と生産性改善によるコスト低減によって光ファイバの価格低下を吸収したことが増益要因となりました。エレクトロニクス関連事業については、前連結会計年度の第2四半期連結会計期間に子会社化した㈱テクノアソシエの寄与はあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、携帯機器用FPCや電子ワイヤー、照射チューブの需要が減少したことが減収要因となりましたが、携帯機器用FPCのコスト改善や不採算品からの撤退などの収益力回復の取り組みが、増益要因となりました。環境エネルギー関連事業については、新型コロナウイルス感染症の影響により、巻線などの自動車向けが大幅に減少したほか、電力ケーブルや電力工事が案件の遅延や端境期で減少、また、銅価格下落の影響もあったことが減収減益要因となりました。産業素材関連事業他については、新型コロナウイルス感染症の影響により、超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が大きく落ち込んだことが減収要因となり、工場の稼働率が低下したことに伴う収益性の悪化も加わったことが営業損益悪化の要因となりました。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当第2四半期連結累計期間における資金の状況は下記のとおりであります。
まず、営業活動によるキャッシュ・フローで70,736百万円の資金を獲得しました。これは、税金等調整前四半期純損失36,064百万円と減価償却費82,463百万円の合計、即ち事業の生み出したキャッシュ・フローが46,399百万円あり、これに運転資本の増減などを加減した結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、94,307百万円の資金を使用しております。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,270百万円などがあったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、38,966百万円の資金の増加となりました。これは、長期借入金の返済による支出29,120百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、長期借入れによる収入74,966百万円などがあったことによるものであります。
以上により、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末対比16,997百万円(6.8%)増加し、266,008百万円となりました。また、当第2四半期連結会計期間末における有利子負債は701,670百万円と前連結会計年度末対比65,408百万円増加し、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末対比48,411百万円増加し435,662百万円となりました。
(注)本報告書の「第2 事業の状況」から「第4 経理の状況」までの金額には、特に記載のない限り消費税等は含んでおりません。
第1四半期連結会計期間より、米国連結子会社において従来の米国会計基準にかえてIFRSを適用しており、当該会計方針の変更を遡及適用した後の数値で比較分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行により、経済・社会活動が厳しく制限され、日本、米州、欧州、アジア等の各々の地域において景気が大幅に悪化しました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、自動車やスマートフォンなど民生用エレクトロニクス全般での生産の急激な減少、通信・電力関連工事の遅延のほか、光ファイバの価格低下もあり、非常に厳しいものとなりました。このような環境のもと、当第2四半期連結累計期間の連結決算は、売上高は、1,239,287百万円(前年同四半期連結累計期間1,523,770百万円、18.7%減)と前年同四半期連結累計期間対比で大幅な減収となりました。不要不急な費用の圧縮、設備投資の抑制などのコスト削減対策で最大限の挽回を図りましたが、売上減少に加えて、生産急減に伴う収益性の悪化などもあり、営業損失は11,414百万円(前年同四半期連結累計期間は営業利益45,976百万円)となり、経常損失は24,043百万円(前年同四半期連結累計期間は経常利益48,100百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は41,872百万円(前年同四半期連結累計期間は親会社株主に帰属する四半期純利益28,013百万円)となりました。
セグメントの経営成績は、前年同四半期連結累計期間対比で次のとおりであります。
自動車関連事業
ワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースが、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車生産の落ち込みにより大幅に減少し、売上高は661,819百万円と183,381百万円(21.7%)の減収となりました。営業損失は、売上減少に加えて、一部生産拠点のロックダウンに伴う代替生産により生じた緊急輸送費などの追加コストもあり、27,460百万円と50,667百万円の悪化となりました。
情報通信関連事業
光・電子デバイスやアクセス系ネットワーク機器などの需要増加により、売上高は107,148百万円と8,814百万円(9.0%)の増収となりました。営業利益は、売上増加と生産性改善によるコスト低減によって光ファイバの価格低下を吸収して、12,722百万円と6,444百万円の増益となりました。
エレクトロニクス関連事業
新型コロナウイルス感染症の影響により、携帯機器用FPC(フレキシブルプリント回路)や電子ワイヤー、照射チューブの需要が減少し、前連結会計年度の第2四半期連結会計期間に子会社化した㈱テクノアソシエの寄与はあるものの、売上高は114,755百万円と1,304百万円(1.1%)の減収となりました。営業利益は、携帯機器用FPCのコスト改善や不採算品からの撤退などの収益力回復の取り組みにより、1,857百万円と2,806百万円の増益となりました。
環境エネルギー関連事業
新型コロナウイルス感染症の影響により、巻線などの自動車向けが大幅に減少したほか、電力ケーブルや電力工事が案件の遅延や端境期で減少、また、銅価格下落の影響もあり、売上高は266,264百万円と74,804百万円(21.9%)の減収となりました。営業利益は、売上減少により4,646百万円と4,244百万円の減益となりました。
産業素材関連事業他
新型コロナウイルス感染症の影響により、超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が大きく落ち込み、売上高は135,083百万円と32,854百万円(19.6%)の減収となりました。営業損失は、工場の稼働率が低下したことに伴う収益性の悪化も加わって、3,289百万円と11,781百万円の悪化となりました。
なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、四半期連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。
当第2四半期連結会計期間末における財政状態は、次のとおりであります。
総資産は3,084,756百万円と、前連結会計年度末対比15,504百万円減少しました。
資産の部では、前期末出荷案件に係る債権の回収が進んだことや売上高の減少に伴い受取手形及び売掛金が大きく減少し、現金及び預金の増加等はあったものの、前連結会計年度末対比15,504百万円減少しました。
負債の部では、支払手形及び買掛金が減少した一方、借入金の増加やコマーシャル・ペーパーの発行により、前連結会計年度末対比48,997百万円増加しました。
また、純資産は1,702,146百万円と、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上に加え、配当の支払や為替換算調整勘定の減少により、前連結会計年度末対比64,501百万円減少しました。自己資本比率は47.3%と前連結会計年度末対比1.7ポイント低下しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より16,997百万円(6.8%)増加し、266,008百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動の結果得られた資金は、70,736百万円(前年同四半期連結累計期間対比49,279百万円の収入減少)となりました。これは、税金等調整前四半期純損失36,064百万円や減価償却費82,463百万円から運転資本の増減などを加減したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動の結果使用した資金は、94,307百万円(前年同四半期連結累計期間対比13,994百万円の支出増加)となりました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,270百万円などがあったことによるものであります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローについては23,571百万円のマイナス(前年同四半期連結累計期間は39,702百万円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動の結果、資金は38,966百万円増加(前年同四半期連結累計期間は2,684百万円の減少)しました。これは、長期借入金の返済による支出29,120百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、長期借入れによる収入74,966百万円などがあったことによるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響は段階的に緩和していくことが期待されますが、感染防止対策と経済活動再開の両立が求められる中で、景気回復に時間を要することが懸念されます。また、米中の通商政策や中東情勢、英国のEU離脱などの政治的・地政学的リスクも引き続き憂慮材料であり、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、社員の健康と安全、サプライチェーンの維持確保を引き続き最優先としつつ、製造業の基本であるS(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)の一段のレベルアップに努めるとともに、「収益力を高める事業構造の改革」と「生産性を向上させるワークスタイルの改革」に取り組んでまいります。これらにより、いかなる環境にも耐えうる強靭な企業体質を構築し、「グロリアス エクセレント カンパニー」を目指して、“総力を結集し、つなぐ、つたえる技術で、よりよい社会の実現に貢献する”のコンセプトのもと取り組んでいる2022年度を最終年度とする中期経営計画「22VISION」の達成に向けて邁進してまいります。具体的には、各事業において次の施策を進めてまいります。
自動車関連事業では、自動車生産の回復に適時的確に対応していくとともに、生産が落ち込んでいた期間に集中して取り組んできたコスト低減活動の成果を確実に刈り取って、筋肉質な事業体質の再構築を進めてまいります。ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーの実現に向けては、客先への提案型マーケティングの強化により、電動車両向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタといったいわゆるCASE*関連の新製品創出、軽量化のニーズに対応したハーネスのアルミ化を加速し、また、海外系顧客の一層のシェア拡大に取り組んでまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースなどにおいて、事業拠点の再構築などを通じた構造改革によって収益力回復に努めることに加え、次世代自動車に向けた新製品開発にも注力してまいります。
* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared
(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
情報通信関連事業では、海底ケーブル用の極低損失光ファイバ、超多心光ケーブルや光配線機器等のデータセンター関連製品、第5世代移動通信システム(5G)用の光・電子デバイス、4K放送対応映像配信や10G-EPON(光ファイバ共用型10ギガビットネットワーク)関連のアクセス系ネットワーク機器など市場ニーズに応じた高機能製品の開発・拡販に引き続き取り組んでまいります。新型コロナウイルス感染症を契機とした情報通信インフラの更なる高度化に対しては、今後の社会動向を注視して、新たなビジネス機会を確実に捕捉してまいります。また、価格競争が激化している光ファイバをはじめ、一層のコスト低減を進めてまいります。
エレクトロニクス関連事業では、FPCにおいては、グローバル生産体制の最適化と生産性改善による収益力回復に引き続き取り組むとともに、車載用途への拡販、高精細化・高周波化への対応などの新製品開発に注力してまいります。電動車両の電池端子に用いられるリード線(タブリード)は、グローバルな拡販と生産能力の増強を進め、照射チューブについても引き続き多様なニーズの捕捉を図ってまいります。また、前連結会計年度に公開買付けにより子会社化した㈱テクノアソシエとの事業シナジーの拡大、水処理製品などの新規事業の立ち上げにも取り組んでまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルについて、海外の新規大型プロジェクト、国内の再生可能エネルギーや設備更新需要を確実に捕捉するとともに、一段のコスト低減、品質向上、新技術開発にも注力し、収益力の向上を図ってまいります。また、電動車両向けのモーター用平角巻線については、需要増に応じたグローバルな生産能力増強を進めてまいります。さらに日新電機㈱や住友電設㈱を含めたグループの総合力を活かして、国内外での受注拡大に取り組んでまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具において、グローバルな販売力強化と難削材加工用工具などの新製品投入を進めるほか、社員の再教育(教育再武装)などの内部固めの推進により事業体質の更なる強化を図ってまいります。焼結部品はグローバルに展開する製造拠点を活かした拡販とコスト競争力の一層の強化に取り組むほか、PC鋼材やばね用鋼線については、グローバル体制の強化と徹底したコスト削減による収益力向上に注力してまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業・新製品の創出に努めてまいります。具体的には、マグネシウム合金製品、超電導製品、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイス、レドックスフロー電池、集光型太陽光発電装置などの早期事業化に注力するほか、5つの現事業セグメントを支える次世代の製品開発や新たな製造方法の開発にも引き続き取り組んでまいります。また、将来に向けては、産官学の連携などによる社外の知見も積極的に活用して、新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえた新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAI*やIoT*活用による生産革新にも積極的に取り組んでまいります。
* AI :Artificial Intelligence(人工知能)の略。
* IoT:Internet of Thingsの略。パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器に限らず、あらゆる「モノ」
がインターネット等のネットワークに接続されること。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念の基本的な価値軸はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にも相通ずるものであると考えており、当社グループは、「安全安心な社会、環境に優しい社会、快適で成長力のある社会」の実現に向け、総力を結集し、さまざまな価値の提供を目指してまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、59,417百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
前連結会計年度末において、合理的に見積もることが困難なため未定としておりました当連結会計年度の設備投資計画は、次のとおりであります。
当社及び連結子会社は、多種多様な事業を国内外で行っており、当第2四半期連結会計期間末時点では設備の新設、改修の計画を個々のプロジェクトごとには決定しておりません。そのため、セグメントごとの数値を開示する方法によっております。
当連結会計年度の設備投資は、主として受注対応や合理化を目的として180,000百万円を計画しており、セグメントごとの内訳は以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 2020年9月末 計画金額(百万円) | 計画の主な内容 |
自動車関連事業 | 101,000 | ワイヤーハーネス、防振ゴム製造設備投資 等 |
情報通信関連事業 | 25,000 | 光ファイバ・ケーブル、光・電子デバイス製品製造設備投資 等 |
エレクトロニクス関連事業 | 10,000 | 電子ワイヤー、フレキシブルプリント回路、電子線照射製品製造設備投資 等 |
環境エネルギー関連事業 | 29,000 | 導電製品、送配電用電線・ケーブル・機器、電力機器、 ビーム・真空応用装置、巻線製造設備投資 等 |
産業素材関連事業他 | 15,000 | 特殊金属線、超硬工具、ダイヤ・CBN工具、焼結部品、 タングステン・モリブデン金属製品製造設備投資 等 |
合計 | 180,000 |
(注)今後の所要資金については、自己資金及び借入等により充当する予定であります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間において、各セグメントの売上高・営業利益又は営業損失に重要な影響を与えている主な要因は次のとおりであります。
自動車関連事業については、ワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースが、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車生産の落ち込みにより大幅に減少したことが減収要因となり、売上減少に加えて、一部生産拠点のロックダウンに伴う代替生産により生じた緊急輸送費などの追加コストもあったことが営業損益悪化の要因となりました。情報通信関連事業については、光・電子デバイスやアクセス系ネットワーク機器などの需要増加が増収要因となり、売上増加と生産性改善によるコスト低減によって光ファイバの価格低下を吸収したことが増益要因となりました。エレクトロニクス関連事業については、前連結会計年度の第2四半期連結会計期間に子会社化した㈱テクノアソシエの寄与はあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、携帯機器用FPCや電子ワイヤー、照射チューブの需要が減少したことが減収要因となりましたが、携帯機器用FPCのコスト改善や不採算品からの撤退などの収益力回復の取り組みが、増益要因となりました。環境エネルギー関連事業については、新型コロナウイルス感染症の影響により、巻線などの自動車向けが大幅に減少したほか、電力ケーブルや電力工事が案件の遅延や端境期で減少、また、銅価格下落の影響もあったことが減収減益要因となりました。産業素材関連事業他については、新型コロナウイルス感染症の影響により、超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が大きく落ち込んだことが減収要因となり、工場の稼働率が低下したことに伴う収益性の悪化も加わったことが営業損益悪化の要因となりました。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当第2四半期連結累計期間における資金の状況は下記のとおりであります。
まず、営業活動によるキャッシュ・フローで70,736百万円の資金を獲得しました。これは、税金等調整前四半期純損失36,064百万円と減価償却費82,463百万円の合計、即ち事業の生み出したキャッシュ・フローが46,399百万円あり、これに運転資本の増減などを加減した結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、94,307百万円の資金を使用しております。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,270百万円などがあったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、38,966百万円の資金の増加となりました。これは、長期借入金の返済による支出29,120百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、長期借入れによる収入74,966百万円などがあったことによるものであります。
以上により、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末対比16,997百万円(6.8%)増加し、266,008百万円となりました。また、当第2四半期連結会計期間末における有利子負債は701,670百万円と前連結会計年度末対比65,408百万円増加し、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末対比48,411百万円増加し435,662百万円となりました。
(注)本報告書の「第2 事業の状況」から「第4 経理の状況」までの金額には、特に記載のない限り消費税等は含んでおりません。