四半期報告書-第152期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展に伴い米国、欧州を中心に景気回復が進みましたが、世界的な半導体供給不足の影響に加えて、東南アジアなどの一部の地域ではワクチン接種の遅れや変異株の感染拡大により経済活動の停滞が見られるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。日本経済は、設備投資や輸出に持ち直しの動きは見られましたが、変異株の感染拡大による経済・社会活動の制限もあり、力強さに欠ける状況が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、世界的な半導体供給不足の影響や東南アジアでの感染拡大により自動車生産の減産の動きが強まったほか、原材料の価格高騰、コンテナ不足や港湾混雑による物流価格の上昇もあり、厳しいものとなりました。このような環境のもと、徹底したコスト低減とサプライチェーンの維持に取り組み、当第2四半期連結累計期間の連結決算は、売上高は1,570,413百万円(前年同四半期連結累計期間は1,239,287百万円、26.7%増)、営業利益は46,125百万円(前年同四半期連結累計期間は11,414百万円の損失)、経常利益は60,283百万円(前年同四半期連結累計期間は24,043百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は32,390百万円(前年同四半期連結累計期間は41,872百万円の損失)と、年初に想定した水準には及びませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響が甚大であった前年同四半期連結累計期間からは大幅な増収増益となりました。
セグメントの経営成績は、前年同四半期連結累計期間対比で次のとおりであります。
自動車関連事業
新型コロナウイルス感染症の影響により前年同四半期連結累計期間に需要が大きく落ち込んだワイヤー
ハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースの需要が回復したことにより、売上高は816,385百万円と154,566百万円(前年同四半期連結累計期間対比23.4%)の増収となりました。営業利益は、原材料価格の高騰や物流コストの増加もあり、前年同四半期連結累計期間対比では26,494百万円の赤字圧縮ながら、966百万円の損失となりました。
情報通信関連事業
データセンター用の光配線機器やアクセス系ネットワーク機器などで拡販を進め、売上高は114,787百万円と7,639百万円(7.1%)の増収となりました。営業利益は、光・電子デバイスの品種構成の変化に伴う収益性の悪化により、10,254百万円と2,468百万円の減益となりました。
エレクトロニクス関連事業
電子ワイヤー製品や照射チューブなどで需要の捕捉を進めたことに加え、㈱テクノアソシエにおける自動車関連製品の需要増加などもあり、売上高は140,399百万円と25,644百万円(22.3%)の増収となり、営業利益は7,993百万円と6,136百万円の増益となりました。
環境エネルギー関連事業
電力ケーブルや巻線などの拡販を進めたほか、銅価格上昇の影響もあり、売上高は377,431百万円と111,167百万円(41.8%)の増収となり、営業利益は18,582百万円と13,936百万円の増益となりました。
産業素材関連事業他
超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が増加し、売上高は159,738百万円と24,655百万円(18.3%)の増収となりました。営業利益は、工場の稼働率上昇に伴う収益性の改善もあり、10,549百万円と13,838百万円の改善となりました。
なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、四半期連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。
当第2四半期連結会計期間末における財政状態は、次のとおりであります。
総資産は3,479,224百万円と、前連結会計年度末対比97,310百万円増加しました。
資産の部では、世界的な半導体供給不足の影響などによる自動車向け売上高の減少等により受取手形、売掛金及び契約資産が減少した一方、棚卸資産が増加し、前連結会計年度末対比97,310百万円増加しました。
負債の部では、短期借入金の増加により、前連結会計年度末対比44,265百万円増加しました。
また、純資産は1,945,551百万円と、配当支払の一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上やその他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定の増加により、前連結会計年度末対比53,045百万円増加しました。自己資本比率は前連結会計年度末と同じく48.2%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より31,624百万円(12.6%)減少し、219,817百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動の結果得られた資金は、47,510百万円(前年同四半期連結累計期間対比23,226百万円の収入減少)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益58,902百万円や減価償却費88,177百万円から運転資本の増減などを加減したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動の結果使用した資金は、88,794百万円(前年同四半期連結累計期間対比5,513百万円の支出減少)となりました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,271百万円などがあったことによるものであります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・
キャッシュ・フローについては41,284百万円のマイナス(前年同四半期連結累計期間は23,571百万円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動の結果、資金は8,897百万円増加(前年同四半期連結累計期間は38,966百万円の増加)しました。これは、長期借入金の返済による支出46,566百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、短期借入金の純増加56,295百万円、長期借入れによる収入33,988百万円があったことによるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症のワクチンが広く普及し経済活動の正常化が進むことが期待されますが、変異株の感染拡大などの不透明な要素も多く、景気の回復に時間がかかることが懸念されます。また、米中の通商政策などの政治的・地政学的リスク、物流やサプライチェーンの混乱、原材料価格の高騰なども憂慮材料であり、当社を取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、社員の健康と安全、サプライチェーンの維持確保を引き続き最優先としつつ、製造業の基本であるS(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のレベルアップに努めてまいります。また、資産効率向上の取り組みにおいては、重要指標としているROIC*の改善に向けて、棚卸資産残高や営業債権・債務残高の最適化、設備投資案件の厳選実施などに努めてまいります。これらにより、いかなる環境にも耐えうる強靭な企業体質を構築し、「グロリアス エクセレント カンパニー」を目指して、“総力を結集し、つなぐ、つたえる技術で、よりよい社会の実現に貢献する”のコンセプトのもと取り組んでいる2022年度を最終年度とする中期経営計画「22VISION」の達成に向けて邁進してまいります。具体的には、各事業において次の施策を進めてまいります。
* ROIC:Return on Invested Capital(投下資産営業利益率)の略。
自動車関連事業では、世界的な半導体供給不足等の影響で自動車生産動向が非常に不透明な状況下、グローバルに一層のコスト低減と生産の効率化に取り組み、需要変動に耐えうる筋肉質な事業体質の構築をさらに進めてまいります。併せて、ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーの実現に向け、客先への提案型マーケ
ティングの強化により、電動車向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタといったいわゆるCASE*関連の新製品創出、軽量化のニーズに対応したハーネスのアルミ化を加速するとともに、海外系顧客の一層のシェア拡大に取り組んでまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースなどにおいて、グローバル対応の深化や国内外事業拠点の統合・集約、コスト削減によって収益力の回復を図ることに加え、次世代自動車に向けた新製品開発にも注力してまいります。
* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared
(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
情報通信関連事業では、クラウドサービス*市場の拡大や第5世代移動通信システム(5G)の本格立ち上がりに対し、超多心光ケーブルや光配線機器及び光デバイス等のデータセンター関連製品の需要を確実に取り込むほか、海底ケーブル用の極低損失光ファイバ、5G基地局用の電子デバイス、高速大容量通信を可能とするアクセス系ネットワーク機器など、社会動向や市場ニーズに応じた高機能製品の開発・拡販に引き続き取り組んでまいります。また、徹底したコスト削減にも取り組み、収益性の改善に努めてまいります。
* クラウドサービス:従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネット
ワーク経由で、サービスとして利用者に提供するもの。
エレクトロニクス関連事業では、FPC(フレキシブルプリント回路)においては、微細回路形成技術を生かした新製品の拡販や生産性改善による収益力向上に引き続き取り組むとともに、車載用途への拡販、高周波化に対応した新製品の開発を加速してまいります。照射架橋技術を活かした電動車の電池端子用リード線(タブリード)、電動パーキングブレーキ用電線、熱収縮チューブやふっ素樹脂加工技術を活かした水処理製品についても、多様な客先ニーズを捕捉して事業の拡大を図ってまいります。また、㈱テクノアソシエとの事業シナジーの拡大にも引き続き取り組んでまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルについて、海外の新規大型プロジェクト、国内の設備更新需要に加え、脱炭素社会の実現に向けて市場が拡大している再生可能エネルギー案件を確実に捕捉するとともに、コスト低減、品質向上、新製品開発のほか、プロジェクトマネジメントの強化にも注力してまいります。また、電動車向けのモーター用平角巻線については、需要増に応じたグローバルな生産能力増強を進めてまいります。さらに日新電機㈱や住友電設㈱を含めたグループの総合力を活かして、一層の受注拡大に取り組んでまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具においては、グローバルな販売力強化により堅調な需要を確実に捕捉するとともに、電動車部品や航空機部品用工具の新規開拓も進め、市場シェアの拡大に努めてまいります。焼結部品は、今後の事業発展に向けて、電動車向けの拡販とグローバルに展開する各製造拠点のコスト競争力の一段の強化に取り組んでまいります。PC鋼材やばね用鋼線については、グローバルな製造販売体制の強化と新製品の開発により収益力の向上を図ってまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業・新製品の創出に努めてまいります。具体的には、マグネシウム合金製品、超電導製品、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイス、レドックスフロー電池などの新事業に注力するほか、5つの現事業セグメントを支える次世代の製品開発や新たな製造方法の開発にも引き続き取り組んでまいります。将来に向けては、産官学の連携などによる社外の知見も積極的に活用して、新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえた新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAIやIoT活用による生産革新にも取り組んでまいります。また、事業部門や営業部門との連携を一層強化してテーマの創出や進捗管理をすることにより、研究開発活動をさらに活性化してまいります。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念の基本的な価値軸はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にも相通ずるものであると考えており、特に環境への取り組みにおいては、2030年までにパリ協定要求レベルの温室効果ガス排出量削減を目指し、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた対応を強化してまいります。今後も当社グループは、「安全安心な社会、環境に優しい社会、快適で成長力のある社会」の実現に向け、総力を結集し、さまざまな価値の提供を目指してまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、60,462百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間において、各セグメントの売上高・営業利益又は営業損失に重要な影響を与えている主な要因は次のとおりであります。
自動車関連事業については、原材料価格の高騰や物流コストの増加があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により前年同四半期連結累計期間に需要が大きく落ち込んだワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースの需要が回復したことが、増収並びに営業損益改善の要因となりました。情報通信関連事業については、データセンター用の光配線機器やアクセス系ネットワーク機器などで拡販を進めたことが増収要因となりましたが、光・電子デバイスの品種構成の変化に伴う収益性の悪化が減益要因となりました。エレクトロニクス関連事業については、電子ワイヤー製品や照射チューブなどで需要の捕捉を進めたことに加え、㈱テクノアソシエにおける自動車関連製品の需要増加などが増収増益要因となりました。環境エネルギー関連事業については、電力ケーブルや巻線などの拡販を進めたほか、銅価格上昇の影響もあったことが増収増益の要因となりました。産業素材関連事業他については、超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が増加したことが増収要因となり、増収に加え工場の稼働率上昇に伴う収益性の改善もあったことが営業損益改善の要因となりました。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当第2四半期連結累計期間における資金の状況は下記のとおりであります。
まず、営業活動によるキャッシュ・フローで47,510百万円の資金を獲得しました。これは、税金等調整前四半期純利益58,902百万円と減価償却費88,177百万円の合計、即ち事業の生み出したキャッシュ・フローが147,079百万円あり、これに運転資本の増減などを加減した結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、88,794百万円の資金を使用しております。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,271百万円などがあったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、8,897百万円の資金の増加となりました。これは、長期借入金の返済による支出46,566百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、短期借入金の純増加56,295百万円、長期借入れによる収入33,988百万円があったことによるものであります。
以上により、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末対比31,624百万円(12.6%)減少し、219,817百万円となりました。また、当第2四半期連結会計期間末における有利子負債は720,249百万円と前連結会計年度末対比35,162百万円増加し、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末対比66,786百万円増加し500,432百万円となりました。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展に伴い米国、欧州を中心に景気回復が進みましたが、世界的な半導体供給不足の影響に加えて、東南アジアなどの一部の地域ではワクチン接種の遅れや変異株の感染拡大により経済活動の停滞が見られるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。日本経済は、設備投資や輸出に持ち直しの動きは見られましたが、変異株の感染拡大による経済・社会活動の制限もあり、力強さに欠ける状況が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、世界的な半導体供給不足の影響や東南アジアでの感染拡大により自動車生産の減産の動きが強まったほか、原材料の価格高騰、コンテナ不足や港湾混雑による物流価格の上昇もあり、厳しいものとなりました。このような環境のもと、徹底したコスト低減とサプライチェーンの維持に取り組み、当第2四半期連結累計期間の連結決算は、売上高は1,570,413百万円(前年同四半期連結累計期間は1,239,287百万円、26.7%増)、営業利益は46,125百万円(前年同四半期連結累計期間は11,414百万円の損失)、経常利益は60,283百万円(前年同四半期連結累計期間は24,043百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は32,390百万円(前年同四半期連結累計期間は41,872百万円の損失)と、年初に想定した水準には及びませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響が甚大であった前年同四半期連結累計期間からは大幅な増収増益となりました。
セグメントの経営成績は、前年同四半期連結累計期間対比で次のとおりであります。
自動車関連事業
新型コロナウイルス感染症の影響により前年同四半期連結累計期間に需要が大きく落ち込んだワイヤー
ハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースの需要が回復したことにより、売上高は816,385百万円と154,566百万円(前年同四半期連結累計期間対比23.4%)の増収となりました。営業利益は、原材料価格の高騰や物流コストの増加もあり、前年同四半期連結累計期間対比では26,494百万円の赤字圧縮ながら、966百万円の損失となりました。
情報通信関連事業
データセンター用の光配線機器やアクセス系ネットワーク機器などで拡販を進め、売上高は114,787百万円と7,639百万円(7.1%)の増収となりました。営業利益は、光・電子デバイスの品種構成の変化に伴う収益性の悪化により、10,254百万円と2,468百万円の減益となりました。
エレクトロニクス関連事業
電子ワイヤー製品や照射チューブなどで需要の捕捉を進めたことに加え、㈱テクノアソシエにおける自動車関連製品の需要増加などもあり、売上高は140,399百万円と25,644百万円(22.3%)の増収となり、営業利益は7,993百万円と6,136百万円の増益となりました。
環境エネルギー関連事業
電力ケーブルや巻線などの拡販を進めたほか、銅価格上昇の影響もあり、売上高は377,431百万円と111,167百万円(41.8%)の増収となり、営業利益は18,582百万円と13,936百万円の増益となりました。
産業素材関連事業他
超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が増加し、売上高は159,738百万円と24,655百万円(18.3%)の増収となりました。営業利益は、工場の稼働率上昇に伴う収益性の改善もあり、10,549百万円と13,838百万円の改善となりました。
なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、四半期連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。
当第2四半期連結会計期間末における財政状態は、次のとおりであります。
総資産は3,479,224百万円と、前連結会計年度末対比97,310百万円増加しました。
資産の部では、世界的な半導体供給不足の影響などによる自動車向け売上高の減少等により受取手形、売掛金及び契約資産が減少した一方、棚卸資産が増加し、前連結会計年度末対比97,310百万円増加しました。
負債の部では、短期借入金の増加により、前連結会計年度末対比44,265百万円増加しました。
また、純資産は1,945,551百万円と、配当支払の一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上やその他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定の増加により、前連結会計年度末対比53,045百万円増加しました。自己資本比率は前連結会計年度末と同じく48.2%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より31,624百万円(12.6%)減少し、219,817百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動の結果得られた資金は、47,510百万円(前年同四半期連結累計期間対比23,226百万円の収入減少)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益58,902百万円や減価償却費88,177百万円から運転資本の増減などを加減したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動の結果使用した資金は、88,794百万円(前年同四半期連結累計期間対比5,513百万円の支出減少)となりました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,271百万円などがあったことによるものであります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・
キャッシュ・フローについては41,284百万円のマイナス(前年同四半期連結累計期間は23,571百万円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動の結果、資金は8,897百万円増加(前年同四半期連結累計期間は38,966百万円の増加)しました。これは、長期借入金の返済による支出46,566百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、短期借入金の純増加56,295百万円、長期借入れによる収入33,988百万円があったことによるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症のワクチンが広く普及し経済活動の正常化が進むことが期待されますが、変異株の感染拡大などの不透明な要素も多く、景気の回復に時間がかかることが懸念されます。また、米中の通商政策などの政治的・地政学的リスク、物流やサプライチェーンの混乱、原材料価格の高騰なども憂慮材料であり、当社を取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、社員の健康と安全、サプライチェーンの維持確保を引き続き最優先としつつ、製造業の基本であるS(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のレベルアップに努めてまいります。また、資産効率向上の取り組みにおいては、重要指標としているROIC*の改善に向けて、棚卸資産残高や営業債権・債務残高の最適化、設備投資案件の厳選実施などに努めてまいります。これらにより、いかなる環境にも耐えうる強靭な企業体質を構築し、「グロリアス エクセレント カンパニー」を目指して、“総力を結集し、つなぐ、つたえる技術で、よりよい社会の実現に貢献する”のコンセプトのもと取り組んでいる2022年度を最終年度とする中期経営計画「22VISION」の達成に向けて邁進してまいります。具体的には、各事業において次の施策を進めてまいります。
* ROIC:Return on Invested Capital(投下資産営業利益率)の略。
自動車関連事業では、世界的な半導体供給不足等の影響で自動車生産動向が非常に不透明な状況下、グローバルに一層のコスト低減と生産の効率化に取り組み、需要変動に耐えうる筋肉質な事業体質の構築をさらに進めてまいります。併せて、ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーの実現に向け、客先への提案型マーケ
ティングの強化により、電動車向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタといったいわゆるCASE*関連の新製品創出、軽量化のニーズに対応したハーネスのアルミ化を加速するとともに、海外系顧客の一層のシェア拡大に取り組んでまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースなどにおいて、グローバル対応の深化や国内外事業拠点の統合・集約、コスト削減によって収益力の回復を図ることに加え、次世代自動車に向けた新製品開発にも注力してまいります。
* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared
(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
情報通信関連事業では、クラウドサービス*市場の拡大や第5世代移動通信システム(5G)の本格立ち上がりに対し、超多心光ケーブルや光配線機器及び光デバイス等のデータセンター関連製品の需要を確実に取り込むほか、海底ケーブル用の極低損失光ファイバ、5G基地局用の電子デバイス、高速大容量通信を可能とするアクセス系ネットワーク機器など、社会動向や市場ニーズに応じた高機能製品の開発・拡販に引き続き取り組んでまいります。また、徹底したコスト削減にも取り組み、収益性の改善に努めてまいります。
* クラウドサービス:従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネット
ワーク経由で、サービスとして利用者に提供するもの。
エレクトロニクス関連事業では、FPC(フレキシブルプリント回路)においては、微細回路形成技術を生かした新製品の拡販や生産性改善による収益力向上に引き続き取り組むとともに、車載用途への拡販、高周波化に対応した新製品の開発を加速してまいります。照射架橋技術を活かした電動車の電池端子用リード線(タブリード)、電動パーキングブレーキ用電線、熱収縮チューブやふっ素樹脂加工技術を活かした水処理製品についても、多様な客先ニーズを捕捉して事業の拡大を図ってまいります。また、㈱テクノアソシエとの事業シナジーの拡大にも引き続き取り組んでまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルについて、海外の新規大型プロジェクト、国内の設備更新需要に加え、脱炭素社会の実現に向けて市場が拡大している再生可能エネルギー案件を確実に捕捉するとともに、コスト低減、品質向上、新製品開発のほか、プロジェクトマネジメントの強化にも注力してまいります。また、電動車向けのモーター用平角巻線については、需要増に応じたグローバルな生産能力増強を進めてまいります。さらに日新電機㈱や住友電設㈱を含めたグループの総合力を活かして、一層の受注拡大に取り組んでまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具においては、グローバルな販売力強化により堅調な需要を確実に捕捉するとともに、電動車部品や航空機部品用工具の新規開拓も進め、市場シェアの拡大に努めてまいります。焼結部品は、今後の事業発展に向けて、電動車向けの拡販とグローバルに展開する各製造拠点のコスト競争力の一段の強化に取り組んでまいります。PC鋼材やばね用鋼線については、グローバルな製造販売体制の強化と新製品の開発により収益力の向上を図ってまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業・新製品の創出に努めてまいります。具体的には、マグネシウム合金製品、超電導製品、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイス、レドックスフロー電池などの新事業に注力するほか、5つの現事業セグメントを支える次世代の製品開発や新たな製造方法の開発にも引き続き取り組んでまいります。将来に向けては、産官学の連携などによる社外の知見も積極的に活用して、新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえた新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAIやIoT活用による生産革新にも取り組んでまいります。また、事業部門や営業部門との連携を一層強化してテーマの創出や進捗管理をすることにより、研究開発活動をさらに活性化してまいります。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念の基本的な価値軸はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にも相通ずるものであると考えており、特に環境への取り組みにおいては、2030年までにパリ協定要求レベルの温室効果ガス排出量削減を目指し、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた対応を強化してまいります。今後も当社グループは、「安全安心な社会、環境に優しい社会、快適で成長力のある社会」の実現に向け、総力を結集し、さまざまな価値の提供を目指してまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、60,462百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間において、各セグメントの売上高・営業利益又は営業損失に重要な影響を与えている主な要因は次のとおりであります。
自動車関連事業については、原材料価格の高騰や物流コストの増加があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により前年同四半期連結累計期間に需要が大きく落ち込んだワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースの需要が回復したことが、増収並びに営業損益改善の要因となりました。情報通信関連事業については、データセンター用の光配線機器やアクセス系ネットワーク機器などで拡販を進めたことが増収要因となりましたが、光・電子デバイスの品種構成の変化に伴う収益性の悪化が減益要因となりました。エレクトロニクス関連事業については、電子ワイヤー製品や照射チューブなどで需要の捕捉を進めたことに加え、㈱テクノアソシエにおける自動車関連製品の需要増加などが増収増益要因となりました。環境エネルギー関連事業については、電力ケーブルや巻線などの拡販を進めたほか、銅価格上昇の影響もあったことが増収増益の要因となりました。産業素材関連事業他については、超硬工具やダイヤ・CBN工具、焼結部品、ばね用鋼線、スチールコードなどの需要が増加したことが増収要因となり、増収に加え工場の稼働率上昇に伴う収益性の改善もあったことが営業損益改善の要因となりました。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当第2四半期連結累計期間における資金の状況は下記のとおりであります。
まず、営業活動によるキャッシュ・フローで47,510百万円の資金を獲得しました。これは、税金等調整前四半期純利益58,902百万円と減価償却費88,177百万円の合計、即ち事業の生み出したキャッシュ・フローが147,079百万円あり、これに運転資本の増減などを加減した結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、88,794百万円の資金を使用しております。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出84,271百万円などがあったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、8,897百万円の資金の増加となりました。これは、長期借入金の返済による支出46,566百万円、配当金の支払12,481百万円などがあった一方で、短期借入金の純増加56,295百万円、長期借入れによる収入33,988百万円があったことによるものであります。
以上により、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末対比31,624百万円(12.6%)減少し、219,817百万円となりました。また、当第2四半期連結会計期間末における有利子負債は720,249百万円と前連結会計年度末対比35,162百万円増加し、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末対比66,786百万円増加し500,432百万円となりました。