四半期報告書-第117期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

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2019/11/07 10:00
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44項目
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2019年4月1日~9月30日)の世界経済は、成長スピードが緩やかに減速しつつあります。米国経済は、企業の設備投資が減速したものの、個人消費が下支えし、堅調に推移しました。欧州経済は、輸出減速により製造業が低迷しましたが、良好な個人消費が全体を下支えしました。アジア・新興国経済は、輸出が減少しましたが、政策効果により全体では底堅さを維持しました。中国経済は、米中貿易摩擦の影響により減速基調が続いています。わが国経済は、アジア向け輸出が低迷したものの、個人消費や公共投資が景気を底上げしました。
このような事業環境のもと、当社グループは、各地域において、販売力・営業力の強化、商品開発・生産・調達・品質力の向上、人材力強化、固定費の削減や変動費コストダウンなどに努めました。
当第2四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は1兆3,542億1百万円(前年同期比4.2%増)となりました。利益面では、営業利益は1,682億91百万円(前年同期比4.8%増)、経常利益は1,700億56百万円(前年同期比4.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,185億13百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比5.3%増の1兆2,343億94百万円となりました。営業利益は、前年同期比8.6%増の1,525億14百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、堅調な民間需要に加え、公立小中学校施設の空調整備により拡大しました。当社グループは、店舗・オフィス用市場では、『FIVE STAR ZEAS(ファイブスタージアス)』をはじめとする「スカイエアシリーズ」、個別運転が可能でスリム設計のマルチエアコン『machi(マチ)マルチ』を中心に販売を拡大しました。また、ビル・設備用市場では、職場環境の改善ニーズの高まりを背景に、高い省エネ性能と設置自由度を持つ「VRVシリーズ」や、個別に温度・風量を制御できる『MULTI CUBE(マルチキューブ)』など、ユーザー用途に沿った提案を強化し、業務用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、7月の天候不順の影響による減速がありましたが、10月の消費増税を前にした駆け込みもあり拡大しました。当社グループは、堅調な業界需要を捉え、高付加価値機種を中心に販売を拡大しました。当社グループ独自のAIにより湿度までコントロールする機能を搭載した『うるさら7(セブン)』に加え、デザイン性と機能性を両立した『risora(リソラ)』の商品ラインナップを拡充するなど、商品価値の向上と訴求の強化を進め、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、堅調な需要に加えて販売戦略が奏功し、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。住宅用空調機器は、ローコストモデルのミニスプリット、インバータ搭載のユニタリー製品などの新製品の販売、新規販売網の開拓や売価アップに取り組んだ結果、売上高は前年同期を上回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、市場が堅調に推移する中、販売網強化や商品ラインナップ拡充により、ルーフトップを中心に機器の販売を拡大しました。また、サービス事業も拡大し、売上高は前年同期を上回りました。
中国では、米中貿易摩擦による景気減速の影響や、政府の新築住宅抑制政策による厳しい市場環境の中、普及市場向け商品の品揃えを強化し、地方都市での拡販により、現地通貨での売上高は前年同期を上回りました。一方、人民元安の影響により円貨換算後の売上高は前年同期を下回りましたが、原材料市況軟化の効果を取り込むなど、固定費削減・コストダウンを推進し、営業利益は前年同期を上回りました。住宅用市場では、市場の変化に対応するため、成長が見込める地方都市を中心に販売資源をシフトし、独自の専売店「プロショップ」を強化しました。さらに、従来の高級住宅向けの商品に加えて普及機の商品ラインナップを拡充し、販売を拡大しました。業務用市場では、新築ビルをはじめ大型物件が減少する中、店舗やリニューアル物件などの堅調な需要を獲得しました。成熟する大都市では、既納入先をはじめ、インターネットを介して顧客と繋がる「インテリジェントVRV」を投入し、販売を拡大しました。アプライド空調機器市場では、データセンター向けなど、需要が拡大する分野での提案営業を推進し、機器の拡販に加え、サービス事業でも販売を拡大しました。
アジア・オセアニアでは、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。東南アジアの住宅用空調機器では、都市部から地方までカバーする独自の販売店網構築に加え、タイなどで天候に恵まれ、販売が堅調に推移した結果、売上高は前年同期を上回りました。業務用空調機器では、スペックイン活動強化や販売店網の拡充、設計・施工・販売まで一貫して対応できる販売店の育成などにより、売上高は前年同期を上回りました。インドでは、販売店網の拡充などにより、住宅用空調機器及び業務用空調機器ともに売上高は前年同期を上回りました。
欧州では、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。住宅用空調機器では、夏季前半は天候不順で主要市場のイタリアやスペインを中心に苦戦しましたが、フランス北部やベルギー、オランダ、ドイツで一時的に40度を超える熱波が到来し、買替え・新規の冷房需要を取り込んだ効果もあり、売上高は前年同期を上回りました。住宅用暖房機器では、各国でCO2排出量削減に効果的なヒートポンプ式温水暖房機器が奨励される中、フランスでオイルボイラーからヒートポンプ機器への買替え時にインセンティブが付与されたことに加え、販売体制強化や新商品投入効果もあり、売上高は前年同期を上回りました。業務用空調機器においても、堅調な需要に加え、各国での物件引合い管理の強化、設備店・設計事務所への訪問、スペックイン活動の強化により店舗・事務所・ホテル向けに拡販し、売上高は前年同期を上回りました。
中東・アフリカでは、景気が減速する中、販売体制の強化に努めてきたエジプトでの事業拡大やサウジアラビアでの大型物件受注などもあり、売上高は前年同期を上回りました。トルコでは、2018年8月のトルコショック以降の景気後退の影響により住宅用・業務用ともに空調機器の販売は前年同期を下回りましたが、暖房機器の販売が好調であったため、現地通貨での売上高は前年同期並みとなりました。しかし、トルコリラ下落の影響により、円貨換算後の売上高は前年同期を下回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前年同期を上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比11.1%減の899億82百万円となりました。営業利益は、前年同期比26.5%減の129億49百万円となりました。
フッ素樹脂は、米国・アジア・欧州でのLANケーブルの需要は堅調でしたが、世界的に半導体関連需要が減少したことにより、売上高は前年同期を下回りました。また、フッ素ゴムについても、米国・欧州・中国などの市場において、自動車関連分野の需要が落ち込んだ影響を受け、売上高は前年同期を下回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤は、中国やアジアでの需要が減少し、売上高は前年同期を下回りました。また、撥水撥油剤についても、アジアでの拡販が進展しましたが、その他の地域で需要が伸びず、売上高は前年同期を下回りました。これらの結果、化成品全体の売上高は前年同期を下回りました。
フルオロカーボンガスについては、前年度の旺盛な需要の反動を受けた欧州市場で、流通在庫の滞留などに伴う販売の落ち込みの影響が大きく、ガス全体の売上高は前年同期を大きく下回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比17.6%増の298億24百万円となりました。営業利益は、前年同期比10.9%増の28億22百万円となりました。
産業機械用油圧機器は、国内及びアジア市場の需要停滞の影響により、売上高は前年同期を下回りました。建機・車両用油圧機器は、国内及び米国主要顧客向け販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
特機部門では、防衛省向け砲弾の販売が増加したことにより、売上高は前年同期を上回りました。また、在宅酸素医療用機器についても、販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、品質課題解決・設計開発期間短縮・コストダウン支援といった顧客ニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』と、業務アプリケーション開発システム『Smart Innovator(スマートイノベーター)』の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、2兆7,234億83百万円となり、前連結会計年度末に比べて225億93百万円増加しました。流動資産は、商品及び製品の減少等により、前連結会計年度末に比べて29億65百万円減少の1兆3,146億39百万円となりました。固定資産は、建物及び構築物の増加等により、前連結会計年度末に比べて255億58百万円増加の1兆4,088億44百万円となりました。
負債は、短期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べて100億63百万円減少の1兆2,439億77百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の21.7%と同率となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて326億56百万円増加の1兆4,795億6百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、仕入債務の減少等により、前年同期に比べて41億68百万円収入が減少し、1,773億68百万円の収入となりました。投資活動では、連結子会社買収による支出の増加等により、前年同期に比べて7億75百万円支出が増加し、584億84百万円の支出となりました。財務活動では、短期借入金の減少等により、前年同期に比べて93億28百万円支出が増加し、808億58百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて349億45百万円減少し、154億90百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は336億31百万円であります。