四半期報告書-第119期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

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2021/11/05 9:43
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45項目
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2021年4月1日~9月30日)の世界経済は、新型コロナウイルスの感染状況などから、各地の動向にばらつきが見られました。米国経済は、ワクチン接種の進展に伴い経済活動が再開したことから、サービス消費が個人消費を牽引し、景気は回復傾向にあります。欧州経済は、ワクチン普及に伴い経済活動が回復し、家計需要が持ち直したことにより景気は回復の兆しを見せました。アジア・新興国経済は、感染が再拡大し、厳しい活動制限が消費や生産活動を下押ししたことにより、引き続き景気が停滞しました。中国経済は、過剰投資を警戒した政府の投資抑制策の影響や半導体不足による生産減少から、回復のペースが鈍化しました。わが国経済は、緊急事態宣言の長期化に伴う個人消費の減少や、半導体不足を受けた生産減少により、経済成長は停滞しました。
このような事業環境のもと、コロナ禍においてこれまで進めてきた、販売力・営業力の強化、差別化商品の迅速な開発・販売、需要変動に対応した柔軟な生産・供給体制の構築、徹底したコスト削減など、身軽で強靭な経営体質をベースとして、引き続き「攻め」と「挑戦」の姿勢で業績回復に努めました。具体的には、新たなニーズを捉えた新商品の投入によるさらなる拡販・シェアの向上、銅からアルミへの材料置換といったトータルコストダウンの推進、市場・顧客にその価値を認めていただける差別化商品の投入による販売価格政策の推進、固定費の削減や物流の効率化などに取り組み、原材料価格や物流費の高騰によるコストアップ要因の吸収と収益力の向上に努めました。
また、2025年度を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定し、成長戦略3テーマ「カーボンニュートラルへの挑戦」「顧客とつながるソリューション事業の推進」「空気価値の創造」をはじめとした重点9テーマの施策展開に取り組んでおります。
当第2四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は1兆5,588億63百万円(前年同期比26.8%増)となりました。利益面では、営業利益は1,927億6百万円(前年同期比46.4%増)、経常利益は1,968億44百万円(前年同期比49.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,390億98百万円(前年同期比64.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比26.2%増の1兆4,278億92百万円となりました。営業利益は、前年同期比39.9%増の1,740億92百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、緊急事態宣言による需要鈍化が続くなど、依然として新型コロナウイルスによる影響が出る前の水準までは回復が見られないものの、昨年度の大幅な需要の落ち込みからは徐々に回復しており、前年同期を上回りました。当社グループは、市場で関心が高まる換気・除菌商材のニーズに応える提案営業を継続し、空調機器と高機能換気設備の全熱交換器『ベンティエール』や『ストリーマ除菌ユニット』を組み合わせて販売を拡大しました。その結果、業務用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、巣ごもり需要が一巡し、8月の長雨や冷夏の影響による落ち込みが見られ、前年同期を下回りました。当社グループは、換気しながら加湿・除湿、冷暖房ができる『うるさらX(エックス)』、コンパクトで狭いスペースにフィットする壁掛形エアコン「CXシリーズ」、ウイルスや菌の抑制性能を高めた『UVストリーマ空気清浄機』など、商品性能の強化とユーザー訴求の強化を進めたことにより、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、昨年は新型コロナウイルス感染拡大による影響や、工場が一部停止したことで供給力に影響が出た期間がありましたが、今年は北米全体の労働者不足の問題がある中でも工場の停止期間はなく、また、猛暑による住宅用空調機器の需要増加の効果もあり、販売は堅調に推移しました。さらに、買収による販売網強化や販売価格の見直しに取り組んだ結果、売上高は前年同期を大きく上回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルスの影響により停滞していた市場の回復を背景に、独自販売網での拡販やサービス事業の拡大に取り組み、売上高は前年同期を上回りました。
中国では、個人消費を中心に需要は堅調に推移しました。当社グループは、住宅関連商品、空気・換気商品の品揃えを強化するとともに、これまでの強みであるオフライン販売に加え、オンラインを活用した販売を強化し、住宅用市場を中心に売上高は前年同期を大きく上回りました。利益面では、原材料価格の高騰や半導体の調達問題などの影響があるなか、高収益商品の拡販、コストダウン・固定費削減に取り組み、高水準を維持しました。住宅用市場では、当社グループ独自の専売店「プロショップ」によるオフライン販売とオンラインを組み合わせた販売を展開し、新規顧客の探索や更新需要の取り込みなど販売を拡大しました。店舗・オフィスなどの業務用小売市場では、換気・洗浄を切り口に顧客と接点を拡大し、更新・追加需要を取り込みました。大型物件市場では、ソリューションを加えた販売を強化しました。アプライド空調機器市場では、インフラ関連、データセンター、半導体関連など成長分野に資源をシフトし、さらに保守・メンテナンス事業での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、4月は住宅用空調機器を中心に販売は堅調に推移しました。5月以降はインド・マレーシア・タイ・ベトナムなどアジア各国で、7月以降はオーストラリアでも新型コロナウイルス感染再拡大に伴うロックダウンや事業活動の制限強化により、厳しい市場環境が続きました。業務用空調機器については、感染拡大の影響を受け、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルス検査義務付けのため、市場全体で着工遅れや工事の中断・延期が発生する状況が続きました。このような状況ではありましたが、オセアニアでの堅調な販売、行動制限の緩和が進むインドでの需要回復の取り込み、価格政策の着実な実行などにより、地域全体の売上高は業務用・住宅用ともに前年同期を上回りました。
欧州では、地域全体の売上高は前年同期を大きく上回り、新型コロナウイルスによる影響が出る前の2019年度との比較でも上回りました。期初からスエズ運河での座礁事故による物流の混乱や半導体の調達問題などが発生しましたが、欧州地域内の最寄り工場での安定した生産・供給体制により販売を拡大しました。住宅用空調機器では、フランスやスペイン、ドイツなどで天候不順の影響がありましたが、7月後半からのイタリア南部、ギリシャなど欧州南東部での猛暑による需要の増加を取り込みました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、昨年に各国で新設・増設された経済復興とCO2削減の実現に向けた補助金が追い風となり、ガスやオイルボイラーからの更新需要が急拡大したことや、販売店開発、補助金申請支援などの販売力強化で大幅に販売を伸ばしました。これらにより、住宅用空調機器の売上高は前年同期を大きく上回りました。業務用空調機器においては、ロックダウンの解除やワクチン接種の加速による経済活動の正常化に伴い、主要用途のオフィス向けで需要回復の兆しが見られました。当社グループは、空気質の改善提案などでコロナ禍での市場ニーズを汲み取るとともに、病院やITインフラ、工場などの好調な市場での営業力強化で販売を伸ばしました。その結果、業務用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。また、低温事業は、新規出店・改築投資が堅調な食品スーパー業界への販売を強化し、売上高は前年同期を大きく上回りました。
中近東・アフリカでは、サウジアラビアやエジプト、カタールでの販売強化により、売上高は前年同期を上回りました。トルコは、猛暑で需要が拡大したことにより住宅用空調機器の販売が大幅に増加し、トルコリラ下落の影響を受けましたが、円貨換算後の売上高においても前年同期を上回りました。
フィルタ事業は、欧米諸国を中心にワクチン接種が進み、新型コロナウイルスの感染者数が減少したことに伴い経済活動が再開し、需要は回復基調にあります。とりわけ、アメリカでの業務用市場向けや、欧州での業務用空気清浄機の販売が好調に推移しました。ガスタービン・集塵機事業は、新興国を中心とした底堅い中長期の電力需要や原油価格の上昇による石油ガス業界の投資意欲に支えられ、需要は回復傾向にあります。フィルタ事業全体は、アジア各国で感染が拡大するなど不安定な状況もありましたが、販売の大部分を占める欧米諸国の伸びに支えられ、売上高は前年同期を上回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前年同期を大きく上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比36.5%増の1,018億82百万円となりました。営業利益は、前年同期比160.8%増の154億86百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で大きく落ち込んだ昨年に対し、半導体・自動車分野を中心に広範囲で需要が回復したこともあり、売上高は前年同期を大きく上回りました。
フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連の需要回復が鮮明になってきており、売上高は前年同期を大きく上回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連を中心に需要の回復が顕著となり、売上高は前年同期を大きく上回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤は需要の停滞が見られたものの、撥水撥油剤や半導体向けエッチング剤などの需要が回復したことにより、化成品全体の売上高は前年同期を大きく上回りました。
フルオロカーボンガスについては、需要が回復傾向にあり、売上高は前年同期を上回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比27.0%増の290億89百万円となりました。営業利益は、前年同期比155.0%増の31億23百万円となりました。
産業機械用油圧機器は、国内市場では工作機械向けを中心に需要が回復したことに加え、アジア・欧米向けの販売の増加により、売上高は前年同期を上回りました。また、建機・車両用油圧機器は、国内及び米国主要顧客向けの販売が増加したことにより、売上高は前年同期を大きく上回りました。
特機部門では、防衛省向け砲弾の販売が減少した一方で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う酸素濃縮装置及びパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の需要の増加を取り込んだことにより、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、品質課題の解決・設計開発期間の短縮・コストダウン支援といった顧客のニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』に加え、設備CADシステムの販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、3兆4,182億44百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,785億81百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて1,635億4百万円増加の1兆8,968億65百万円となりました。固定資産は、建設仮勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べて150億77百万円増加の1兆5,213億78百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて454億24百万円増加の1兆5,865億91百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の23.2%から21.4%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,331億57百万円増加の1兆8,316億52百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、棚卸資産の増加等により、前年同期に比べて320億84百万円収入が減少し、1,870億27百万円の収入となりました。投資活動では、定期預金の増加幅の減少等により、前年同期に比べて19億11百万円支出が減少し、701億25百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の減少等により、前年同期に比べて2,532億73百万円収入が減少し、578億60百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて2,854億82百万円減少し、612億3百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は387億10百万円であります。