四半期報告書-第118期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)
(1) 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2020年4月1日~6月30日)の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動が停滞し、景気が大きく減速しました。米国経済は、雇用・所得環境の悪化や外出制限が消費を抑制し、景気は後退期に入りました。欧州経済は、5月から段階的に外出制限を解除しているものの、個人消費や輸出の減少が景気を強く下押ししました。アジア・新興国経済は、外国人旅行客の急減によるサービス輸出の低迷や、各国政府による活動制限措置により内需が低迷し、成長率は大幅に低下しました。中国経済は、いち早く経済活動が再開され、輸出やインフラ投資が持ち直し、回復の兆しを見せました。わが国経済は、輸出の大幅な減少、外出制限による個人消費の低迷や設備投資の減少により、成長率は大幅に低下しました。
このような事業環境のもと、当社グループへの影響の極小化及び終息時の速やかな回復に向けて、部門横断のプロジェクトを立ち上げるなど、生産・調達・販売などの事業運営面での取り組みに注力しました。とりわけ、空気・空間の安全・安心に対する意識の高まりを捉え、空気清浄機や換気商材などの空気関連商品の拡販に取り組みました。また、各国で販売網・生産拠点・サプライヤーからの調達が影響を受ける中でも、商品の供給体制維持に努めました。
これと並行して、当社グループでは、本年(2020年)のグループ年頭方針を「3つの協創を加速して、変化の時代を勝ち抜こう」(3つの協創:顧客との協創、外部との協創、グループ内の協創)と定め、成果創出を目指しており、各地域において、販売力・営業力の強化、商品開発・生産・調達・品質力の向上、人材力強化、固定費の削減や変動費コストダウンなどに取り組みました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は5,816億82百万円(前年同期比14.6%減)となりました。利益面では、営業利益は545億6百万円(前年同期比39.2%減)、経常利益は551億19百万円(前年同期比38.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、331億5百万円(前年同期比47.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比14.2%減の5,366億92百万円となりました。営業利益は、前年同期比37.5%減の516億円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策に伴う経済活動の収縮により、設備投資計画の見直し・中止の流れは変わらず、店舗市場をはじめとして大きく減退しました。当社グループは、リモートワークを活用した販売業務の維持、遠隔からの提案営業活動など、営業機能の維持の取り組みを進めましたが、業務用空調機器の売上高は前年同期を下回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、4月は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込みましたが、5月以降は在宅時間の増加、換気・除菌への関心の高まり、政府の給付金効果などもあり、前年同期並みの水準となりました。当社グループは、換気機能を持つ『うるさらX(エックス)』をはじめ、省エネ性や空気清浄機能などの訴求を進めたこともあり、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、新型コロナウイルス感染拡大により、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。住宅用空調機器は、天候に恵まれたことや、巣ごもり・リモートワークによる需要のプラス効果が一部ありましたが、米国全域での新型コロナウイルス感染拡大の影響により、売上高は前年同期を下回りました。また、業務用空調機器は、小売業・飲食業など特定の業種におけるプロジェクトの見直し・中止などにより、売上高は前年同期を下回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルスの影響により市場が停滞しましたが、販売網強化や新型コロナウイルスの影響が出る前に受注を確保したエアハンドリングユニット(業態や部屋用途によって異なる多彩な空調ニーズに応える大型の業務用空調機器)を中心に販売を拡大し、売上高は前年同期を上回りました。
中国では、生産は通常に戻りましたが、販売は新型コロナウイルスの影響を受け、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。4月から中国全土で市場は再開し、6月には本格的に動き始めました。当社グループは、いち早く再開した地域・市場に販売資源を優先的に投入し、また、インターネット販売を強化することなどで、6月単月の販売は、ほぼ前年同月並みに回復しました。厳しい市場環境が続く中、このような販売の回復に加え、原材料市況軟化の取り込み、固定費削減・コストダウンを推進し、高収益の維持に努めました。住宅用市場では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で従来の販売活動が制限される中、オンラインでのイベントやライブ放送を実施するとともに、インターネット販売を強化するなど、小売市場での販売回復に努めました。さらに、大手デベロッパーとの協業を推進し、物件販売も強化しました。業務用市場では、市場で関心が高まる洗浄・除菌・換気を切り口にして顧客訪問を強化し、また、空気関連商品・換気システムの品揃えも強化し、空気ソリューション(空調運転データ・センサを使った空気の見える化(デジタル化)や空調遠隔監視システムの構築など)の提案に取り組みました。アプライド空調機器市場では、オンライン・デジタル化の加速で需要が拡大しているデータセンターなど情報関連分野での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国政府の発令により、4月は多くの国で事業活動が停止し、販売が大きく落ち込みました。住宅用空調機器については、5月以降、事業活動への制限は残るものの、制限緩和が進み、事業活動が停止していた4月の需要減少の反動を含め、住宅用のシーズン需要を取り込みました。また、事業活動の制限により家電量販店が入るショッピングモールが各国で閉鎖される中、当社グループの独自販売店ルートを通じた販売促進を行いました。一方、業務用空調機器では、建設現場での新型コロナウイルス感染拡大・ロックダウン(都市封鎖)などによる工期遅れ・物件延期が発生し、厳しい状況となりました。このように、新型コロナウイルスの影響による景気減速や個人消費の落ち込みにより、住宅用・業務用空調機器ともに、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。
欧州では、新型コロナウイルスの影響による販売の落ち込みが大きく、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。住宅用空調機器はチェコやトルコの最寄りの工場を活かした生産・供給対応とロックダウン中のオンラインでの営業を展開しましたが、売上高は前年同期を下回りました。業務用空調機器は、ロックダウン中もオンラインを活用したスペックインや空気関連商品の紹介などの営業活動を継続しましたが、ロックダウンによるホテル・レストラン・店舗等の営業禁止の影響もあり、売上高は前年同期を下回りました。
中近東・アフリカでは、新型コロナウイルスに加え、原油価格の下落による景気悪化の影響もあり、売上高は前年同期を下回りました。
フィルタ事業は、新型コロナウイルス感染が拡大する中で、換気に対する需要が高まり、米国では住宅用フィルタの販売が拡大し、アジア・欧州では病院・クリーンルーム向け高性能フィルタの販売が拡大しました。また、アジアでは、患者の病室からウイルスが外部に広がらないようにする陰圧機などの販売も開始しました。さらに、産業用途では、主要顧客の設備投資が縮小する中、ランニングコストを大幅に削減できる海上油田向けフィルタを中心としたフィルタ交換のサービスが堅調に推移しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大による、特に欧州各国でのロックダウンの影響から、商業用途・産業用途ともに全体の販売は落ち込み、売上高は前年同期を下回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数減少により、売上高は前年同期を下回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比19.6%減の355億67百万円となりました。営業利益は、前年同期比57.7%減の26億55百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を中心とする需要減少に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による需要の大幅な落ち込み、さらにはガス市場の市況低下と需要減少により、全般的に厳しい状況となりました。
フッ素樹脂は、国内・欧米・アジアでの半導体及び自動車関連の需要減少や、米国のLANケーブル・航空機関係の需要減少などにより、売上高は前年同期を下回りました。また、フッ素ゴムについても、国内・欧米・アジアでの自動車関連分野の需要が落ち込んだ影響を受け、売上高は前年同期を大きく下回りました。
化成品のうち、撥水撥油剤は、医療関係用途の需要が伸びたことから、売上高は前年同期を上回りました。また、半導体向けエッチング剤は、国内・アジア・中国での拡販により、売上高は前年同期を上回りました。表面防汚コーティング剤は、需要環境が厳しい中、国内・中国での拡販により、売上高は前年同期並みとなりました。
フルオロカーボンガスについては、グローバルでの販売の落ち込みの影響が大きく、ガス全体の売上高は前年同期を大きく下回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比19.8%減の94億22百万円となりました。営業利益は、前年同期比69.9%減の2億48百万円となりました。
油機部門では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内設備投資抑制と欧米諸国のロックダウン影響により、産業機械用油圧機器及び建機・車両用油圧機器の売上高は前年同期を下回りました。
特機部門では、一部の病院が新型コロナウイルス患者を受け入れたことで、呼吸器系患者が在宅医療にシフトし、酸素濃縮装置の需要が一時的に増加したことにより在宅酸素医療機器の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う投資抑制により、製造業を中心に販売している設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』の販売は落ち込みましたが、新型コロナウイルスの影響が比較的小さいゲーム市場や大学・官公庁市場向けに販売しているCG制作ソフト・分子設計ソフトの販売は拡大したため、売上高は前年同期並みとなりました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、2兆9,583億4百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,907億91百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,785億39百万円増加の1兆5,829億66百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて122億52百万円増加の1兆3,753億37百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,663億3百万円増加の1兆4,712億25百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の20.8%から27.7%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて244億87百万円増加の1兆4,870億79百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、税金等調整前四半期純利益の減少等により、前年同期に比べて44億96百万円収入が減少し、592億2百万円の収入となりました。投資活動では、連結子会社買収による支出の減少等により、前年同期に比べて33億22百万円支出が減少し、332億76百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の増加等により、前年同期に比べて2,141億円収入が増加し、2,343億88百万円の収入となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて2,289億67百万円増加し、2,629億25百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は158億15百万円であります。
当第1四半期連結累計期間(2020年4月1日~6月30日)の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動が停滞し、景気が大きく減速しました。米国経済は、雇用・所得環境の悪化や外出制限が消費を抑制し、景気は後退期に入りました。欧州経済は、5月から段階的に外出制限を解除しているものの、個人消費や輸出の減少が景気を強く下押ししました。アジア・新興国経済は、外国人旅行客の急減によるサービス輸出の低迷や、各国政府による活動制限措置により内需が低迷し、成長率は大幅に低下しました。中国経済は、いち早く経済活動が再開され、輸出やインフラ投資が持ち直し、回復の兆しを見せました。わが国経済は、輸出の大幅な減少、外出制限による個人消費の低迷や設備投資の減少により、成長率は大幅に低下しました。
このような事業環境のもと、当社グループへの影響の極小化及び終息時の速やかな回復に向けて、部門横断のプロジェクトを立ち上げるなど、生産・調達・販売などの事業運営面での取り組みに注力しました。とりわけ、空気・空間の安全・安心に対する意識の高まりを捉え、空気清浄機や換気商材などの空気関連商品の拡販に取り組みました。また、各国で販売網・生産拠点・サプライヤーからの調達が影響を受ける中でも、商品の供給体制維持に努めました。
これと並行して、当社グループでは、本年(2020年)のグループ年頭方針を「3つの協創を加速して、変化の時代を勝ち抜こう」(3つの協創:顧客との協創、外部との協創、グループ内の協創)と定め、成果創出を目指しており、各地域において、販売力・営業力の強化、商品開発・生産・調達・品質力の向上、人材力強化、固定費の削減や変動費コストダウンなどに取り組みました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は5,816億82百万円(前年同期比14.6%減)となりました。利益面では、営業利益は545億6百万円(前年同期比39.2%減)、経常利益は551億19百万円(前年同期比38.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、331億5百万円(前年同期比47.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比14.2%減の5,366億92百万円となりました。営業利益は、前年同期比37.5%減の516億円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策に伴う経済活動の収縮により、設備投資計画の見直し・中止の流れは変わらず、店舗市場をはじめとして大きく減退しました。当社グループは、リモートワークを活用した販売業務の維持、遠隔からの提案営業活動など、営業機能の維持の取り組みを進めましたが、業務用空調機器の売上高は前年同期を下回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、4月は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込みましたが、5月以降は在宅時間の増加、換気・除菌への関心の高まり、政府の給付金効果などもあり、前年同期並みの水準となりました。当社グループは、換気機能を持つ『うるさらX(エックス)』をはじめ、省エネ性や空気清浄機能などの訴求を進めたこともあり、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、新型コロナウイルス感染拡大により、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。住宅用空調機器は、天候に恵まれたことや、巣ごもり・リモートワークによる需要のプラス効果が一部ありましたが、米国全域での新型コロナウイルス感染拡大の影響により、売上高は前年同期を下回りました。また、業務用空調機器は、小売業・飲食業など特定の業種におけるプロジェクトの見直し・中止などにより、売上高は前年同期を下回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルスの影響により市場が停滞しましたが、販売網強化や新型コロナウイルスの影響が出る前に受注を確保したエアハンドリングユニット(業態や部屋用途によって異なる多彩な空調ニーズに応える大型の業務用空調機器)を中心に販売を拡大し、売上高は前年同期を上回りました。
中国では、生産は通常に戻りましたが、販売は新型コロナウイルスの影響を受け、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。4月から中国全土で市場は再開し、6月には本格的に動き始めました。当社グループは、いち早く再開した地域・市場に販売資源を優先的に投入し、また、インターネット販売を強化することなどで、6月単月の販売は、ほぼ前年同月並みに回復しました。厳しい市場環境が続く中、このような販売の回復に加え、原材料市況軟化の取り込み、固定費削減・コストダウンを推進し、高収益の維持に努めました。住宅用市場では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で従来の販売活動が制限される中、オンラインでのイベントやライブ放送を実施するとともに、インターネット販売を強化するなど、小売市場での販売回復に努めました。さらに、大手デベロッパーとの協業を推進し、物件販売も強化しました。業務用市場では、市場で関心が高まる洗浄・除菌・換気を切り口にして顧客訪問を強化し、また、空気関連商品・換気システムの品揃えも強化し、空気ソリューション(空調運転データ・センサを使った空気の見える化(デジタル化)や空調遠隔監視システムの構築など)の提案に取り組みました。アプライド空調機器市場では、オンライン・デジタル化の加速で需要が拡大しているデータセンターなど情報関連分野での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国政府の発令により、4月は多くの国で事業活動が停止し、販売が大きく落ち込みました。住宅用空調機器については、5月以降、事業活動への制限は残るものの、制限緩和が進み、事業活動が停止していた4月の需要減少の反動を含め、住宅用のシーズン需要を取り込みました。また、事業活動の制限により家電量販店が入るショッピングモールが各国で閉鎖される中、当社グループの独自販売店ルートを通じた販売促進を行いました。一方、業務用空調機器では、建設現場での新型コロナウイルス感染拡大・ロックダウン(都市封鎖)などによる工期遅れ・物件延期が発生し、厳しい状況となりました。このように、新型コロナウイルスの影響による景気減速や個人消費の落ち込みにより、住宅用・業務用空調機器ともに、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。
欧州では、新型コロナウイルスの影響による販売の落ち込みが大きく、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。住宅用空調機器はチェコやトルコの最寄りの工場を活かした生産・供給対応とロックダウン中のオンラインでの営業を展開しましたが、売上高は前年同期を下回りました。業務用空調機器は、ロックダウン中もオンラインを活用したスペックインや空気関連商品の紹介などの営業活動を継続しましたが、ロックダウンによるホテル・レストラン・店舗等の営業禁止の影響もあり、売上高は前年同期を下回りました。
中近東・アフリカでは、新型コロナウイルスに加え、原油価格の下落による景気悪化の影響もあり、売上高は前年同期を下回りました。
フィルタ事業は、新型コロナウイルス感染が拡大する中で、換気に対する需要が高まり、米国では住宅用フィルタの販売が拡大し、アジア・欧州では病院・クリーンルーム向け高性能フィルタの販売が拡大しました。また、アジアでは、患者の病室からウイルスが外部に広がらないようにする陰圧機などの販売も開始しました。さらに、産業用途では、主要顧客の設備投資が縮小する中、ランニングコストを大幅に削減できる海上油田向けフィルタを中心としたフィルタ交換のサービスが堅調に推移しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大による、特に欧州各国でのロックダウンの影響から、商業用途・産業用途ともに全体の販売は落ち込み、売上高は前年同期を下回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数減少により、売上高は前年同期を下回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比19.6%減の355億67百万円となりました。営業利益は、前年同期比57.7%減の26億55百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を中心とする需要減少に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による需要の大幅な落ち込み、さらにはガス市場の市況低下と需要減少により、全般的に厳しい状況となりました。
フッ素樹脂は、国内・欧米・アジアでの半導体及び自動車関連の需要減少や、米国のLANケーブル・航空機関係の需要減少などにより、売上高は前年同期を下回りました。また、フッ素ゴムについても、国内・欧米・アジアでの自動車関連分野の需要が落ち込んだ影響を受け、売上高は前年同期を大きく下回りました。
化成品のうち、撥水撥油剤は、医療関係用途の需要が伸びたことから、売上高は前年同期を上回りました。また、半導体向けエッチング剤は、国内・アジア・中国での拡販により、売上高は前年同期を上回りました。表面防汚コーティング剤は、需要環境が厳しい中、国内・中国での拡販により、売上高は前年同期並みとなりました。
フルオロカーボンガスについては、グローバルでの販売の落ち込みの影響が大きく、ガス全体の売上高は前年同期を大きく下回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比19.8%減の94億22百万円となりました。営業利益は、前年同期比69.9%減の2億48百万円となりました。
油機部門では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内設備投資抑制と欧米諸国のロックダウン影響により、産業機械用油圧機器及び建機・車両用油圧機器の売上高は前年同期を下回りました。
特機部門では、一部の病院が新型コロナウイルス患者を受け入れたことで、呼吸器系患者が在宅医療にシフトし、酸素濃縮装置の需要が一時的に増加したことにより在宅酸素医療機器の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う投資抑制により、製造業を中心に販売している設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』の販売は落ち込みましたが、新型コロナウイルスの影響が比較的小さいゲーム市場や大学・官公庁市場向けに販売しているCG制作ソフト・分子設計ソフトの販売は拡大したため、売上高は前年同期並みとなりました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、2兆9,583億4百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,907億91百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,785億39百万円増加の1兆5,829億66百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて122億52百万円増加の1兆3,753億37百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,663億3百万円増加の1兆4,712億25百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の20.8%から27.7%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて244億87百万円増加の1兆4,870億79百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、税金等調整前四半期純利益の減少等により、前年同期に比べて44億96百万円収入が減少し、592億2百万円の収入となりました。投資活動では、連結子会社買収による支出の減少等により、前年同期に比べて33億22百万円支出が減少し、332億76百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の増加等により、前年同期に比べて2,141億円収入が増加し、2,343億88百万円の収入となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて2,289億67百万円増加し、2,629億25百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は158億15百万円であります。