四半期報告書-第117期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

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2020/02/13 9:38
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(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2019年4月1日~12月31日)の世界経済は、成長スピードが減速しました。米国経済は、中国向け輸出や設備投資の減少が景気を下押ししたものの、良好な個人消費に支えられ、堅調に推移しました。欧州経済は、英国のEU離脱などの先行き不透明感を背景に設備投資が冷え込み、減速しました。アジア・新興国経済は、中国向けの輸出減速や個人消費の悪化から、成長ペースが緩やかに減速しました。中国経済は、米中貿易摩擦の影響や設備投資の鈍化から、減速基調が続いています。わが国経済は、個人消費や設備投資が底堅く推移し、景気拡大が続きました。
このような事業環境のもと、当社グループは、各地域において、販売力・営業力の強化、商品開発・生産・調達・品質力の向上、人材力強化、固定費の削減や変動費コストダウンなどに努めました。
当第3四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は1兆9,513億74百万円(前年同期比4.1%増)となりました。利益面では、営業利益は2,191億21百万円(前年同期比2.5%増)、経常利益は2,240億36百万円(前年同期比3.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,480億24百万円(前年同期比1.2%減)となりました。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益の前年同期比が減少しているのは、主として当社において四半期連結財務諸表の作成にあたり適用した見積実効税率が上昇し、税金費用が増加しているためであります。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比5.3%増の1兆7,766億25百万円となりました。営業利益は、前年同期比6.7%増の1,977億86百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、10月以降は消費増税の駆け込み需要の反動があるものの、上期が公立小中学校施設の空調整備需要が堅調であったこともあり、第3四半期累計では前年同期を上回りました。当社グループは、店舗・オフィス用市場では、『FIVE STAR ZEAS(ファイブスタージアス)』をはじめとする「スカイエアシリーズ」、個別運転が可能でスリム設計のマルチエアコン「machi(マチ)マルチシリーズ」を中心に販売を拡大しました。また、ビル・設備用市場では、職場環境の改善ニーズの高まりを背景に、高い省エネ性能と設置自由度を持つ「VRVシリーズ」や、個別に温度・風量を制御できる『MULTI CUBE(マルチキューブ)』など、ユーザー用途に沿った提案を強化し、業務用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、10月以降、消費増税の駆け込み需要の反動からの回復が遅れ、また、暖冬であったこともあり、前年同期と同水準となりました。このような需要の中、当社グループは、高付加価値機種を中心に販売を拡大しました。当社グループ独自の無給水加湿技術を応用した室内機内部洗浄機能の「水内部クリーン」を搭載した『うるさらX(エックス)』に加え、寝室や子ども部屋に適した『うるるとさらら』の小部屋モデル『うるさらmini(ミニ)』を発売し、さらにデザイン性と機能性を両立した『risora(リソラ)』の商品ラインナップを拡充するなど、商品価値の向上と訴求の強化を進め、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、堅調な需要に加えて販売戦略が奏功し、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。住宅用空調機器は、ローコストモデルのミニスプリット、業界初の横吹き型インバータユニタリー『FIT(フィット)』などの新製品の販売、新規販売網の開拓や売価アップに取り組んだ結果、売上高は前年同期を上回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、市場が堅調に推移する中、販売網強化や商品ラインナップ拡充により、ルーフトップを中心に機器の販売を拡大しました。また、サービス事業も拡大し、売上高は前年同期を上回りました。
中国では、米中貿易摩擦による景気減速の影響や、政府の新築住宅抑制政策による厳しい市場環境の中、普及市場向け商品の品揃えを強化し、地方都市での拡販により、現地通貨での売上高は前年同期を上回りました。一方、人民元安の影響により円貨換算後の売上高は前年同期を下回りましたが、原材料市況軟化の効果を取り込むなど、固定費削減・コストダウンを推進し、営業利益は前年同期を上回りました。住宅用市場では、市場の変化に対応するため、成長が見込める地方都市を中心に販売資源をシフトし、独自の専売店「プロショップ」を強化しました。さらに、従来の高級住宅向けの商品に加えて普及機の商品ラインナップを拡充し、販売を拡大しました。業務用市場では、新築ビルをはじめ大型物件が減少する中、店舗やリニューアル物件などの堅調な需要を獲得しました。成熟する大都市では、インターネットを介して顧客と繋がる「インテリジェントVRV」を投入し、販売を拡大しました。アプライド空調機器市場では、データセンター向けなど、需要が拡大する分野での提案営業を推進し、機器の拡販に加え、サービス事業でも販売を拡大しました。
アジア・オセアニアでは、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。東南アジアの住宅用空調機器では、都市部から地方までカバーする独自の販売店網構築や、サービス技術力向上による他社との差別化の取組みに加え、タイなどで天候に恵まれ、販売が堅調に推移した結果、売上高は前年同期を上回りました。業務用空調機器では、スペックイン活動強化や販売店網の拡充、設計・施工・販売まで一貫して対応できる販売店の育成などにより、売上高は前年同期を上回りました。インドでは、販売店網の拡充などにより、住宅用空調機器及び業務用空調機器ともに売上高は前年同期を上回りました。
欧州では、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。住宅用空調機器では、夏季の猛暑効果と販売力強化によりフランス北部やベルギー、オランダ、ドイツなどの北部欧州地域への販売が好調であったこともあり、売上高は前年同期を上回りました。住宅用暖房機器では、各国でCO2排出量削減に効果的なヒートポンプ式温水暖房機器が奨励されていることを追い風に、売上高は前年同期を大きく上回りました。特に、フランスでは政府補助金の効果により、オイルボイラーからヒートポンプ式温水暖房機器へ需要が大きくシフトしている中、販売体制強化と新商品投入により、売上高は前年同期を大きく上回りました。業務用空調機器においても、各国での設備店・設計事務所への訪問、スペックイン活動や物件引合い管理の強化に加え、環境に配慮した再生冷媒を使用した差別化商品やR32冷媒機のさらなる訴求により店舗・事務所・ホテル向けへの拡販につなげ、売上高は前年同期を上回りました。
中東・アフリカでは、主要市場のドバイで景気が減速する中、販売体制の強化に努めてきたこともあり、現地通貨での売上高は前年同期を上回りましたが、為替の影響により円貨換算後の売上高は前年同期を下回りました。トルコでは、2018年8月のトルコリラ急落以降の景気後退の影響により空調機器の需要は低迷しているものの、暖房機器の販売が好調であったため、現地通貨での売上高は前年同期を上回りました。しかし、トルコリラ下落の影響により、円貨換算後の売上高は前年同期を下回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前年同期を上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比11.3%減の1,325億59百万円となりました。営業利益は、前年同期比28.5%減の176億93百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を中心とする世界的な需要減少と欧州のガス市場の落ち込みによる影響を大きく受け、全般的に厳しい状況となりました。
フッ素樹脂は、LANケーブル関連の需要は比較的堅調に推移したものの、半導体及び自動車関連の世界的な需要が落ち込んだことなどにより、売上高は前年同期を下回りました。また、フッ素ゴムについても、米国・欧州・中国などの市場において、自動車関連分野の需要が落ち込んだ影響を受け、売上高は前年同期を下回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤は、アジアなどで販売が伸びず、売上高は前年同期を下回りました。また、撥水撥油剤についても、中国・米国の需要が伸びず、売上高は前年同期を下回りました。これらの結果、化成品全体の売上高は前年同期を下回りました。
フルオロカーボンガスについては、前年度の旺盛な需要の反動を受けた欧州市場で、流通在庫の滞留などに伴う販売の落ち込みの影響が大きく、ガス全体の売上高は前年同期を大きく下回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比9.5%増の421億89百万円となりました。営業利益は、前年同期比0.8%減の36億34百万円となりました。
産業機械用油圧機器は、国内及びアジア市場の需要停滞の影響により、売上高は前年同期を下回りました。一方、建機・車両用油圧機器は、国内主要顧客向け販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
特機部門では、防衛省向け砲弾の販売が増加したことにより、売上高は前年同期を上回りました。また、在宅酸素医療用機器についても、酸素濃縮装置の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、品質課題解決・設計開発期間短縮・コストダウン支援といった顧客ニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』と、分子設計システム、CG制作システムの販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、2兆8,392億46百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,383億55百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて734億28百万円増加の1兆3,910億33百万円となりました。固定資産は、建物及び構築物の増加等により、前連結会計年度末に比べて649億26百万円増加の1兆4,482億12百万円となりました。
負債は、コマーシャル・ペーパーの増加等により、前連結会計年度末に比べて638億65百万円増加の1兆3,179億6百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の21.7%から22.7%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて744億89百万円増加の1兆5,213億39百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、減価償却費の増加等により、前年同期に比べて349億16百万円収入が増加し、2,513億83百万円の収入となりました。投資活動では、連結子会社買収による支出の増加等により、前年同期に比べて58億79百万円支出が増加し、895億96百万円の支出となりました。財務活動では、短期借入金の減少等により、前年同期に比べて235億52百万円支出が増加し、691億47百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて76億64百万円増加し、832億24百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は501億67百万円であります。