有価証券報告書-第118期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/29 15:54
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(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動が停滞し、景気が大きく減速しました。一部の国では回復の動きが見られたものの、感染が再拡大した地域もあり、影響が長引いています。米国経済は、前半は個人消費の減少から景気が減速しましたが、後半からは政府の経済対策や好調なオンライン販売が消費を下支えし、景気回復に向かいつつあります。欧州経済は、活動制限の長期化により個人消費の減速が続いたものの、輸出の回復が景気を下支えしました。アジア・新興国経済は、活動制限により内需が低迷しましたが、輸出の持ち直しや財政支出により景気回復の兆しが見られました。中国経済は、いち早く経済活動が再開され、輸出の増加や情報通信、エネルギー分野での政府のインフラ投資もあり、景気回復傾向が持続しました。わが国経済は、中国向け輸出や生産活動が持ち直しつつあるものの、個人消費の低迷が景気を下押ししました。
このような事業環境のもと、当社グループでは、部門横断のプロジェクトを立ち上げ、生産・調達・販売といった事業運営面でのコロナ禍への対応に注力しました。とりわけ、空気・空間の安全・安心に対する意識の高まりを捉え、空気清浄機や換気商材などの新たな空気関連商品の開発・投入に取り組みました。また、各国で販売網・生産拠点・サプライヤーからの調達が影響を受ける中で、商品の供給体制維持に努めました。市場環境は国や地域により異なるものの、売上は住宅用空調機器を中心に回復基調を取り戻しつつあります。
さらに、当社グループでは、2020年のグループ年頭方針を「3つの協創を加速して、変化の時代を勝ち抜こう」(3つの協創:顧客との協創、外部との協創、グループ内の協創)と定め、各地域において、販売力・営業力の強化、新商品開発、柔軟な生産・調達の構え、品質向上、人材力強化、固定費削減や変動費コストダウンなどに取り組みました。
当期の経営成績については、売上高は2兆4,933億86百万円(前期比2.2%減)となりました。利益面では、営業利益は2,386億23百万円(前期比10.1%減)、経常利益は2,402億48百万円(前期比10.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,562億49百万円(前期比8.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
① 空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前期比1.5%減の2兆2,738億21百万円となりました。営業利益は、前期比5.5%減の2,231億10百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、店舗市場をはじめとして落ち込みました。当社グループは、換気・除菌などの空気質ニーズが高まる中、室内の温度を変えずに換気ができる高機能換気設備『ベンティエール』の新たなラインナップを発売するなど、空調機器と換気機器を組み合わせたシステムでの空気環境提案を拡大しました。また、オンラインを活用した非対面営業の展開に加え、換気・除菌を切り口とした広告宣伝による需要の喚起、顧客の悩みに直接答える「空気の相談窓口」の開設など空調メーカーとしての期待に応えるべく、市場に価値を伝える取り組みを強化しましたが、需要が減少したことなどが影響し、業務用空調機器の売上高は前期を下回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、在宅時間の増加に伴う家電製品の需要拡大に加え、リモートワークなど住宅用途の変化に伴う空調機器の買い足し需要も見られ、ルームエアコン・空気清浄機ともに前期を上回りました。当社グループは、ルームエアコン『うるさらX(エックス)』や『うるるとさらら空気清浄機』をはじめ、除菌ストリーマ・無給水加湿・ルームエアコン給気換気などの独自技術を用いた高付加価値商品を次々と発売し、市場のニーズに応えました。また、新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの混乱なども見られた中、当社グループは安定的な供給体制の維持に努め、販売を拡大しました。これらの取り組みもあり、住宅用空調機器の売上高は前期を上回りました。
米州では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、地域全体の売上高は前期を下回りました。住宅用空調機器は、天候に恵まれたことや、巣ごもり・リモートワークによる需要のプラス効果がありました。しかし、米国全域での感染拡大の影響や工場を一時的に閉鎖し、供給が逼迫した時期があったことなどにより、売上高は前期を下回りました。また、業務用空調機器は、小売業や飲食業など特定の業種におけるプロジェクトの見直し・中止などにより、売上高は前期を下回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、販売網強化やルーフトップ・エアハンドリングユニット(業態や部屋用途によって異なる多彩な空調ニーズに応える大型の業務用空調機器)を中心に換気商材の拡販に取り組みました。しかし、感染拡大により市場が減速したため、売上高は前期を下回りました。
中国では、市場の変化に対応した空気・換気商材の品揃えを強化するとともに、オンラインを活用した販売を展開しました。4月・5月は、販売活動制限の影響を受けましたが、7月以降は販売が回復し、年間の売上高は前期を上回りました。利益面では、固定費削減やコストダウンを推進し、高水準を維持しました。回復が早い住宅市場では、当社グループ独自の専売店「プロショップ」とインターネットを組み合わせた販売を展開し、併せてオンライン販売を強化することにより新規顧客・更新需要を取り込み、販売を拡大しました。店舗・オフィスなど需要回復が遅れている業務用小売り市場では、換気・洗浄を切り口に顧客との接点を拡大し、更新・追加需要を取り込みました。大型物件市場では、大手デベロッパーとの協業を推進し、売上高を確保しました。アプライド空調機器市場では、インフラ関連、データセンターなどの情報関連、保守・メンテナンスなどの成長分野での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国政府の発令により、4月は多くの国で事業活動が停止し、販売が大きく落ち込みました。しかし、5月以降は販売を強化することで制限緩和に伴う需要増加を取り込み、第4四半期(1~3月)の販売はほぼ前年同期並みに回復しました。住宅用空調機器については、事業活動の制限は残るものの、制限緩和が進み、事業活動停止期間の需要減少の反動や在宅時間増加による巣ごもり需要を取り込みました。また、事業活動の制限により家電量販店が入るショッピングモールが各国で閉鎖される中、当社グループの独自販売店ルートを通じた販売促進を行いました。業務用空調機器では、感染拡大の影響で、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルス検査義務付けのため、市場全体で着工遅れ・工期延期が発生する厳しい状況が続きました。年間では、アジアの空調ピークシーズンである第1四半期(4~6月)での感染拡大の影響が大きく、地域全体の売上高は前期を下回りました。
欧州では、各国で新型コロナウイルス感染拡大による厳格なロックダウンの影響で、厳しい事業環境でのスタートとなりました。しかしながら、オンラインを駆使した営業・販促活動やソーシャルディスタンスを確保した状況下においても安定した域内生産・供給体制を構築しました。また、コロナ禍で顕在化したリモートワーク・巣ごもり需要や換気・除菌などの空気質への意識の高まりといった新たなニーズの取り込みなどで業績を伸ばしたことにより、地域全体の売上高は前期を上回りました。住宅用空調機器では、巣ごもり需要に加え、フランスやスペインなどでの猛暑効果で需要が急増する中、チェコやトルコの最寄り工場を活かした供給対応により、需要を最大限に取り込みました。さらに、住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、各国の景気刺激策として2030年の温室効果ガス削減目標の達成に向けた欧州グリーンディールによる補助金が新設・増額されたことを追い風に、新規販売店の開発で販売網を強化し拡販しました。特に、新機種の投入効果や営業力強化により、ドイツやイタリアでは販売を大きく伸ばしました。これらの結果、住宅用空調機器全体の売上高は前期を上回りました。業務用空調機器においては、各国での度重なるロックダウンの発動の影響で、主要用途のオフィス・ホテル・レストラン・店舗向けの需要が減少しました。業績が好調な食料品販売店でも、店舗の新築や改修工事の中断・延期が発生しました。このように市場環境が厳しく、顧客・現場への訪問などの営業活動も制約される中、オンラインツールを効果的に活用した提案営業の展開などで販売を最大化しましたが、業務用空調機器の売上高は前期を下回りました。
中近東・アフリカでは、住宅用空調機器の販売は前期を上回りましたが、原油安の影響によるプロジェクト案件の減少などにより業務用空調機器の販売が低調であったため、売上高は前期を下回りました。トルコでは、住宅用空調機器・暖房機器の販売が牽引し、現地通貨での売上高は前期を上回りましたが、トルコリラ下落の影響により円貨換算後の売上高は前期並みとなりました。
フィルタ事業は、新型コロナウイルス感染拡大による影響で世界的に業務用市場が落ち込む中、空気質を訴求した高付加価値商品の拡販及び他社に先駆けた感染症対策商材を市場に投入しました。米国では住宅向けを中心に高性能フィルタの販売が好調に推移し、国内では補助金の効果もあり、陰圧機や空気清浄機の販売が拡大しました。しかしながら、欧州では業務用途のエンドユーザーへの販売がメインであることからロックダウンの影響を大きく受け、また、ガスタービン・大規模プラント等の業務用集塵システムも顧客の投資抑制があり、フィルタ事業全体の売上高は前期並みとなりました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前期を上回りました。
② 化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前期比8.7%減の1,641億65百万円となりました。営業利益は、前期比52.2%減の113億71百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を含め広範囲での新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少や、欧州ガス市場の需要の落ち込みなどにより、全般的に厳しい状況となりました。
フッ素樹脂は、世界的な半導体及び自動車関連の需要が中国市場を中心に回復基調にあるものの、上期での落ち込みの影響が大きかったことに加え、米国での建築・航空機需要の落ち込みもあり、売上高は前期を下回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連分野の需要は中国市場を中心に回復してきているものの、売上高は前期を下回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤は、中国での販売が順調に推移し、売上高は前期を上回りました。また、半導体向けのエッチング剤も需要回復を捉えた拡販により、売上高は前期を上回りました。しかし、全般的に新型コロナウイルスの影響により需要が減少したこともあり、化成品全体の売上高は前期並みとなりました。
フルオロカーボンガスについては、グローバルでの販売の落ち込みの影響が大きく、ガス全体の売上高は前期を大きく下回りました。
③ その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前期比9.6%減の553億99百万円となりました。営業利益は、前期比25.5%減の41億32百万円となりました。
油機部門では、産業機械用油圧機器は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内設備投資抑制、アジア・欧米市場の需要減少の影響により、売上高は前期を下回りました。また、建機・車両用油圧機器は、感染拡大に伴う国内・欧米市場の需要減少の影響により、売上高は前期を下回りました。
特機部門では、在宅酸素医療機器は、酸素濃縮装置の販売が堅調に推移したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴うパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の需要を取り込んだことにより販売が拡大しましたが、防衛省向けの砲弾の販売が減少したことにより、売上高は前期を下回りました。
電子システム事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う投資抑制により、製造業を中心に販売している設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』の販売が減少し、売上高は前期を下回りました。
総資産は、3兆2,396億62百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,721億50百万円増加しました。
流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,289億34百万円増加し、1兆7,333億61百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,432億16百万円増加し、1兆5,063億1百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて3,362億46百万円増加し、1兆5,411億67百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて2,359億3百万円増加し、1兆6,984億95百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の53.8%から51.4%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の4,904.46円から5,691.85円となりました。
また、有利子負債については、長期借入金の増加等により、前連結会計年度に比べて1,974億6百万円増加し、7,512億13百万円となり、有利子負債比率(有利子負債/総資産)は、20.8%から23.2%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動では、仕入債務の増加等により、前連結会計年度に比べて725億24百万円収入が増加し、3,746億91百万円の収入となりました。投資活動では、投資有価証券の売却による収入の減少等により、前連結会計年度に比べて34億79百万円支出が増加し、1,596億66百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の増加等により、前連結会計年度に比べて2,688億75百万円収入が増加し、989億42百万円の収入となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べて3,871億57百万円増加し、3,411億73百万円のキャッシュの増加となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
空調・冷凍機事業1,715,980△3.5
化学事業153,684△6.4
その他事業50,428△8.9
合計1,920,093△3.9

(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当社グループの製品は、大部分見込み生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
空調・冷凍機事業2,273,821△1.5
化学事業164,165△8.7
その他事業55,399△9.6
合計2,493,386△2.2

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
以下に記載の内容については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれております。
なお、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(2) 財政状態
①資産
総資産は、3兆2,396億62百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,721億50百万円増加しました。
流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,289億34百万円増加し、1兆7,333億61百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,432億16百万円増加し、1兆5,063億1百万円となりました。
②負債及び純資産
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて3,362億46百万円増加し、1兆5,411億67百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて2,359億3百万円増加し、1兆6,984億95百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の53.8%から51.4%になり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の4,904.46円から5,691.85円となりました。
(3) 経営成績
①売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比2.2%減の2兆4,933億86百万円となりました。
空調・冷凍機事業では、住宅用空調機器を中心に回復基調を取り戻しつつありますが、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたことにより、売上高は前連結会計年度比1.5%減の2兆2,738億21百万円となりました。
化学事業では、半導体・自動車分野を含め広範囲での新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少と欧州ガス市場の需要の落ち込みなどにより売上高は前連結会計年度比8.7%減の1,641億65百万円となりました。
その他事業全体では、建機・車両用油圧機器をはじめ新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少のため、売上高は前連結会計年度比9.6%減の553億99百万円となりました。
②営業費用、営業利益
売上原価は、前連結会計年度比2.2%減少し、1兆6,292億50百万円となりました。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度比1.0%増加し、6,255億13百万円となりました。人件費の増加が主な要因であります。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度比10.1%減の2,386億23百万円となりました。
なお、セグメントの営業損益については、空調・冷凍機事業では、前連結会計年度比5.5%減の2,231億10百万円の営業利益となり、化学事業では、前連結会計年度比52.2%減の113億71百万円の営業利益となり、その他事業は前連結会計年度比25.5%減の41億32百万円の営業利益となりました。
③営業外損益、経常利益
営業外損益は、補助金収入が減少したこと等により、前連結会計年度に比べて18億86百万円増加幅が減少し、16億25百万円のプラスとなりました。
経常利益は、前連結会計年度比10.7%減の2,402億48百万円となりました。
④特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、減損損失が減少したこと等により、前連結会計年度に比べて111億39百万円減少幅が減少し、17億5百万円のマイナスとなりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比8.5%減の1,562億49百万円となりました。
(4) キャッシュ・フロー
営業活動では、仕入債務の増加等により、前連結会計年度に比べて725億24百万円収入が増加し、3,746億91百万円の収入となりました。投資活動では、投資有価証券の売却による収入の減少等により、前連結会計年度に比べて34億79百万円支出が増加し、1,596億66百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の増加等により、前連結会計年度に比べて2,688億75百万円収入が増加し、989億42百万円の収入となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べ3,871億57百万円増加し、3,411億73百万円のキャッシュの増加となりました。
当社グループでは、投資は成長の基盤と考えており、投資によって事業拡大を図るとともに、財務体質の強化、企業価値の一層の向上と株主への利益還元の向上を図ってまいります。具体的には、新製品に対応した設備投資、生産性向上・生産能力拡大のための投資などに加え、各戦略的投資を実行し、グローバルでの事業拡大及び競争力強化を図ってまいります。これらの投資に必要な資金は内部留保の蓄積を基本とした自己資金に加え、必要に応じ、金融機関からの借入や社債等で調達します。当連結会計年度では、営業活動によるキャッシュ・フロー(3,746億91百万円)が、投資活動によるキャッシュ・フロー(1,596億66百万円)を上回りました。
株主への配当は、安定的かつ継続的に実施していくことを基本に、連結純資産配当率(DOE)3.0%を維持するように努めるとともに、連結配当性向についてもさらに高い水準を目指していくことで、株主への還元の一層の拡充に取り組んでまいります。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
自己資本比率(%)47.252.452.453.851.4
時価ベースの自己資本比率(%)138.8138.6140.5144.5201.6
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)2.32.52.31.82.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)26.820.921.225.639.3

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。