有価証券報告書-第115期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、期末に金融・為替市場の乱高下があったものの、実体経済は堅調な拡大が続いた。米国経済は個人消費や設備投資の拡大により底堅く推移した。欧州経済は個人消費の回復が景気を下支えした。アジア・新興国経済は先進国の景気拡大により輸出が持ち直し、総じて安定した成長が続いた。中国経済についてもインフラ投資や輸出が拡大し、安定的に成長した。わが国経済は雇用環境が改善し、個人消費や設備投資の回復基調が続いた。
このような事業環境のもと、当社グループは、平成29年のグループ年頭方針を「揺るぎない基軸に新たな力を融合し、グループ一丸で企業価値を高めよう」と定め、世界各地域での空調主要商品の販売拡大や化学事業の推進、全社を挙げてのコストダウンに取り組み、売上高・利益の確保に努めた。平成32年度を目標年度とする戦略経営計画“FUSION20(フュージョン・トゥエンティ)”の2年目としても着実に成果創出を図った。
当期の業績については、売上高は2兆2,905億60百万円(前期比12.1%増)となった。利益面では、営業利益は2,537億39百万円(前期比10.0%増)、経常利益は2,550億19百万円(前期比10.4%増)となった。米国における税制改正により法人税等が減少した影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,890億51百万円(前期比22.8%増)となった。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりである。
① 空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前期比11.9%増の2兆528億84百万円となった。営業利益は、前期比7.0%増の2,234億63百万円となった。
国内業務用空調機器の業界需要は、設備投資と建築着工が堅調に推移したことにより、前期を上回った。当社グループは、店舗・オフィス用では、主力商品である『Eco-ZEAS(エコジアス)』をはじめとするスカイエアシリーズに加え、個別運転が可能でスリム設計のマルチエアコン『machi(マチ)マルチ』を新たにラインナップし、同市場の需要を取り込み販売を拡大した。また、ビル用マルチエアコンでは、事務所や工場などの好調な需要を背景にした『VRV』シリーズの販売拡大により、売上高は前期を上回った。
国内住宅用空調機器の業界需要は、夏季前半が猛暑であった上期に引き続き、下期も堅調に推移し、前期を上回った。当社グループは、独自の加湿機能を搭載する高級機種『うるさら7(セブン)』に加え、中級機種の販売を拡大し、売上高は前期を上回った。
米州では、堅調な需要に加えて、販売戦略が奏功し、地域全体の売上高は前期を上回った。住宅用空調機器は、ハリケーンによる影響はあったが、販売網の拡大・強化に取り組んだ結果、売上高は前期を上回った。ライトコマーシャル機器(中規模ビル向け業務用空調機器)は、ビル用マルチ商品でシリーズ別・ルート別の販売施策を展開した結果、売上高は前期を上回った。 大型ビル(アプライド)空調分野は、原材料市況悪化等の厳しい状況の中、販売網強化や商品ラインナップの拡充によりアプライド機器の販売とサービス事業を拡大した。また、中南米の空調エンジニアリング会社買収により中南米での販売も伸ばし、売上高は前期を上回った。
中国では、個人消費・民間需要は依然として堅調であり、成長は地方都市に拡大している。当社グループは市場の変化に合わせて個人消費を取り込み、販売網を地方都市に拡大した。これらの結果、全地域・全商品で販売を拡大し、売上高は前期を上回った。足元の原材料価格高騰に対しては、部品の内作化や生産性向上などによりコストダウンを推進し、営業利益も前期を上回った。住宅用市場では、独自専売店「プロショップ」を中心に提案力・工事力を強化し、新たな生活スタイルを創造する住宅用マルチエアコン「ニューライフマルチシリーズ」を中心に中高級住宅市場を重点に販売を拡大した。業務用市場では、省エネ性・設計自由度を向上させた業務用マルチエアコン『VRV-X』を重点に販売を拡大した。顧客の多様なニーズに対応した総合提案力を強化し、ビルから一般店舗、新築から更新まで幅広く市場を攻略した。さらに設計事務所・デベロッパーへのスペックイン活動や大手ユーザーへの直接提案を強化し、前期を上回る引合いを獲得した。アプライド空調機器市場では、米国系メーカーに対抗して商品ラインナップを拡充し、さらにサービス事業を強化し、販売を拡大した。
アジア・オセアニアでは、地域全体の売上高は前期を上回った。東南アジアの住宅用空調機器は、第1四半期の天候不順により販売が落ち込んだが、第2四半期以降の販売が前期を上回り、年間では売上高は前期並みとなった。東南アジアの業務用空調機器では、販売店網の拡充等により、売上高は前期を上回った。インドでは、販売店網の拡充等により、住宅用空調機器及び業務用空調機器ともに売上高は前期を大きく上回った。
欧州では、堅調な景気を背景に、地域全体の売上高は前期を上回った。住宅用空調機器では、フランス、スペイン等の主要国での販売が堅調に推移した。最大市場のイタリアにおいても流通在庫が適正化するなど事業環境も好転し、住宅用マルチ商品の販売強化策等で販売も回復したが、上期での売上高が前年同期を下回っていたため、年間の売上高は前期並みとなった。一方、業務用空調機器では、堅調な建築着工及び更新需要の取り込みと店舗向け空調機器の新商品投入効果等により販売は好調に推移し、売上高は前期を上回った。また、ヒートポンプ式温水暖房機器では、専任販売体制の強化と新商品の投入により、フランスをはじめ欧州主要各国での販売を伸ばし、売上高は前期を上回った。
中東・アフリカでは、地政学的な政情不安、原油価格下落と各国の緊縮財政の影響で政府系物件の受注が落ち込む中、サウジアラビア等で民間中小物件や更新物件の受注を強化したことにより、売上高は前期を上回った。トルコでは一昨年のクーデター未遂以降の政情不安は沈静化し、堅調な個人消費と住宅用空調機器、暖房機器の販売強化により、売上高は前期を大きく上回った。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前期を上回った。
② 化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前期比16.8%増の1,831億47百万円となった。営業利益は、前期比39.4%増の255億10百万円となった。
フッ素樹脂は、米国市場でのLAN電線用途需要が減少したものの、国内・中国・アジアを中心に半導体関連需要が好調に推移し、フッ素樹脂全体での売上高は前期を上回った。また、フッ素ゴムについても、世界各地域で自動車関連分野での需要が堅調に推移し、売上高は前期を大きく上回った。
化成品のうち、撥水撥油剤は中国・アジア地域で新商品への切替えが進み、売上高は前期を上回った。表面防汚コーティング剤は、中国・アジア地域での需要伸び悩み等の影響により、売上高は前期を下回った。半導体洗浄用途向けのエッチャントは、関連需要が好調なアジアでの販売が伸長し、売上高は前期を大きく上回った。これらの結果、化成品全体では売上高は前期を上回った。
フルオロカーボンガスについては、原材料価格高騰及び需給逼迫に対応した欧州を中心とする価格改定により、ガス全体の売上高は前期を大きく上回った。
③ その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前期比5.2%増の545億29百万円となった。営業利益は、前期比26.8%増の47億56百万円となった。
産業機械用油圧機器は、国内及び米国市場が堅調に推移し、売上高は前期を上回った。建機・車両用油圧機器は、国内及び米国主要顧客向け販売が堅調に推移し、売上高は前期を上回った。
特機部門では、防衛省向け砲弾・誘導弾用部品の売上高は前期を下回った。在宅酸素医療用機器の売上高は前期並みとなった。
電子システム事業では、主力商品の設計・開発分野向けデータベースシステムにおいて、グローバルでの品質管理や設計開発期間の短縮といった顧客ニーズに合致する商品開発を進め、売上高は前期並みとなった。
総資産は、2兆4,899億53百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,338億5百万円増加した。
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて779億26百万円増加し、1兆2,378億11百万円となった。
固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて558億78百万円増加し、1兆2,521億42百万円となった。
負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べて549億7百万円減少し、1兆1,656億32百万円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,887億12百万円増加し、1兆3,243億21百万円となった。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.2%から52.1%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の3,802.10円から4,433.62円となった。
また、有利子負債については、長期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べて550億59百万円減少し、5,543億70百万円となり、有利子負債比率(有利子負債/総資産)は、25.9%から22.3%へ減少した。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動では、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べて439億23百万円収入が減少し、2,237億40百万円の収入となった。投資活動では、連結子会社買収による支出の減少等により、前連結会計年度に比べて13億64百万円支出が減少し、1,274億58百万円の支出となった。財務活動では、短期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べて204億11百万円支出が増加し、939億54百万円の支出となった。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べて399億54百万円減少し、129億33百万円のキャッシュの増加となった。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 金額は販売価格による。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
(2) 受注状況
当社グループの製品は、大部分見込み生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略した。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略した。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
以下に記載の内容については、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれている。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりである。
(2) 財政状態
①資産
総資産は、2兆4,899億53百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,338億5百万円増加した。
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて779億26百万円増加し、1兆2,378億11百万円となった。
固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて558億78百万円増加し、1兆2,521億42百万円となった。
②負債及び純資産
負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べて549億7百万円減少し、1兆1,656億32百万円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,887億12百万円増加し、1兆3,243億21百万円となった。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.2%から52.1%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の3,802.10円から4,433.62円となった。
(3) 経営成績
①売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比12.1%増の2兆2,905億60百万円となった。
空調・冷凍機事業では、米州・欧州・アジアを中心に海外での販売が好調に推移し、売上高は前連結会計年度比11.9%増の2兆528億84百万円となった。
化学事業では、半導体関連や自動車関連等の需要が好調に推移し、売上高は前連結会計年度比16.8%増の1,831億47百万円となった。
その他事業全体では、産業機械用油圧機器や建機・車両用油圧機器が国内及び米国市場で堅調に推移し、売上高は前連結会計年度比5.2%増の545億29百万円となった。
②営業費用、営業利益
売上原価は、前連結会計年度比13.6%増加し、1兆4,917億31百万円となった。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度比9.0%増加し、5,450億89百万円となった。人件費の増加が主な要因である。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度比10.0%増の2,537億39百万円となった。
なお、セグメントの営業損益については、空調・冷凍機事業では、前連結会計年度比7.0%増の2,234億63百万円の営業利益となり、化学事業では、前連結会計年度比39.4%増の255億10百万円の営業利益となり、その他事業は前連結会計年度比26.8%増の47億56百万円の営業利益となった。
③営業外損益、経常利益
営業外損益は、持分法による投資利益の計上額が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて10億35百万円増加し、12億79百万円のプラスとなった。
経常利益は、前連結会計年度比10.4%増の2,550億19百万円となった。
④特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、関係会社整理損の計上等により、前連結会計年度に比べて27億58百万円減少し、31億62百万円のマイナスとなった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、米国における税制改正により法人税等が減少した影響もあり、前連結会計年度比22.8%増の1,890億51百万円となった。
(4) キャッシュ・フロー
営業活動では、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べて439億23百万円収入が減少し、2,237億40百万円の収入となった。投資活動では、連結子会社買収による支出の減少等により、前連結会計年度に比べて13億64百万円支出が減少し、1,274億58百万円の支出となった。財務活動では、短期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べて204億11百万円支出が増加し、939億54百万円の支出となった。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べ399億54百万円減少し、129億33百万円のキャッシュの増加となった。
資金の調達は、内部留保の蓄積を基本とし、自己資金中心に行うことを原則としているが、必要に応じ、金融機関からの借入や社債等で調達している。
当連結会計年度では、金融機関からの長期借入によって、45,180百万円を調達し、投資資金の一部に充当した。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりである。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出している。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出している。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用している。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、期末に金融・為替市場の乱高下があったものの、実体経済は堅調な拡大が続いた。米国経済は個人消費や設備投資の拡大により底堅く推移した。欧州経済は個人消費の回復が景気を下支えした。アジア・新興国経済は先進国の景気拡大により輸出が持ち直し、総じて安定した成長が続いた。中国経済についてもインフラ投資や輸出が拡大し、安定的に成長した。わが国経済は雇用環境が改善し、個人消費や設備投資の回復基調が続いた。
このような事業環境のもと、当社グループは、平成29年のグループ年頭方針を「揺るぎない基軸に新たな力を融合し、グループ一丸で企業価値を高めよう」と定め、世界各地域での空調主要商品の販売拡大や化学事業の推進、全社を挙げてのコストダウンに取り組み、売上高・利益の確保に努めた。平成32年度を目標年度とする戦略経営計画“FUSION20(フュージョン・トゥエンティ)”の2年目としても着実に成果創出を図った。
当期の業績については、売上高は2兆2,905億60百万円(前期比12.1%増)となった。利益面では、営業利益は2,537億39百万円(前期比10.0%増)、経常利益は2,550億19百万円(前期比10.4%増)となった。米国における税制改正により法人税等が減少した影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,890億51百万円(前期比22.8%増)となった。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりである。
① 空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前期比11.9%増の2兆528億84百万円となった。営業利益は、前期比7.0%増の2,234億63百万円となった。
国内業務用空調機器の業界需要は、設備投資と建築着工が堅調に推移したことにより、前期を上回った。当社グループは、店舗・オフィス用では、主力商品である『Eco-ZEAS(エコジアス)』をはじめとするスカイエアシリーズに加え、個別運転が可能でスリム設計のマルチエアコン『machi(マチ)マルチ』を新たにラインナップし、同市場の需要を取り込み販売を拡大した。また、ビル用マルチエアコンでは、事務所や工場などの好調な需要を背景にした『VRV』シリーズの販売拡大により、売上高は前期を上回った。
国内住宅用空調機器の業界需要は、夏季前半が猛暑であった上期に引き続き、下期も堅調に推移し、前期を上回った。当社グループは、独自の加湿機能を搭載する高級機種『うるさら7(セブン)』に加え、中級機種の販売を拡大し、売上高は前期を上回った。
米州では、堅調な需要に加えて、販売戦略が奏功し、地域全体の売上高は前期を上回った。住宅用空調機器は、ハリケーンによる影響はあったが、販売網の拡大・強化に取り組んだ結果、売上高は前期を上回った。ライトコマーシャル機器(中規模ビル向け業務用空調機器)は、ビル用マルチ商品でシリーズ別・ルート別の販売施策を展開した結果、売上高は前期を上回った。 大型ビル(アプライド)空調分野は、原材料市況悪化等の厳しい状況の中、販売網強化や商品ラインナップの拡充によりアプライド機器の販売とサービス事業を拡大した。また、中南米の空調エンジニアリング会社買収により中南米での販売も伸ばし、売上高は前期を上回った。
中国では、個人消費・民間需要は依然として堅調であり、成長は地方都市に拡大している。当社グループは市場の変化に合わせて個人消費を取り込み、販売網を地方都市に拡大した。これらの結果、全地域・全商品で販売を拡大し、売上高は前期を上回った。足元の原材料価格高騰に対しては、部品の内作化や生産性向上などによりコストダウンを推進し、営業利益も前期を上回った。住宅用市場では、独自専売店「プロショップ」を中心に提案力・工事力を強化し、新たな生活スタイルを創造する住宅用マルチエアコン「ニューライフマルチシリーズ」を中心に中高級住宅市場を重点に販売を拡大した。業務用市場では、省エネ性・設計自由度を向上させた業務用マルチエアコン『VRV-X』を重点に販売を拡大した。顧客の多様なニーズに対応した総合提案力を強化し、ビルから一般店舗、新築から更新まで幅広く市場を攻略した。さらに設計事務所・デベロッパーへのスペックイン活動や大手ユーザーへの直接提案を強化し、前期を上回る引合いを獲得した。アプライド空調機器市場では、米国系メーカーに対抗して商品ラインナップを拡充し、さらにサービス事業を強化し、販売を拡大した。
アジア・オセアニアでは、地域全体の売上高は前期を上回った。東南アジアの住宅用空調機器は、第1四半期の天候不順により販売が落ち込んだが、第2四半期以降の販売が前期を上回り、年間では売上高は前期並みとなった。東南アジアの業務用空調機器では、販売店網の拡充等により、売上高は前期を上回った。インドでは、販売店網の拡充等により、住宅用空調機器及び業務用空調機器ともに売上高は前期を大きく上回った。
欧州では、堅調な景気を背景に、地域全体の売上高は前期を上回った。住宅用空調機器では、フランス、スペイン等の主要国での販売が堅調に推移した。最大市場のイタリアにおいても流通在庫が適正化するなど事業環境も好転し、住宅用マルチ商品の販売強化策等で販売も回復したが、上期での売上高が前年同期を下回っていたため、年間の売上高は前期並みとなった。一方、業務用空調機器では、堅調な建築着工及び更新需要の取り込みと店舗向け空調機器の新商品投入効果等により販売は好調に推移し、売上高は前期を上回った。また、ヒートポンプ式温水暖房機器では、専任販売体制の強化と新商品の投入により、フランスをはじめ欧州主要各国での販売を伸ばし、売上高は前期を上回った。
中東・アフリカでは、地政学的な政情不安、原油価格下落と各国の緊縮財政の影響で政府系物件の受注が落ち込む中、サウジアラビア等で民間中小物件や更新物件の受注を強化したことにより、売上高は前期を上回った。トルコでは一昨年のクーデター未遂以降の政情不安は沈静化し、堅調な個人消費と住宅用空調機器、暖房機器の販売強化により、売上高は前期を大きく上回った。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前期を上回った。
② 化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前期比16.8%増の1,831億47百万円となった。営業利益は、前期比39.4%増の255億10百万円となった。
フッ素樹脂は、米国市場でのLAN電線用途需要が減少したものの、国内・中国・アジアを中心に半導体関連需要が好調に推移し、フッ素樹脂全体での売上高は前期を上回った。また、フッ素ゴムについても、世界各地域で自動車関連分野での需要が堅調に推移し、売上高は前期を大きく上回った。
化成品のうち、撥水撥油剤は中国・アジア地域で新商品への切替えが進み、売上高は前期を上回った。表面防汚コーティング剤は、中国・アジア地域での需要伸び悩み等の影響により、売上高は前期を下回った。半導体洗浄用途向けのエッチャントは、関連需要が好調なアジアでの販売が伸長し、売上高は前期を大きく上回った。これらの結果、化成品全体では売上高は前期を上回った。
フルオロカーボンガスについては、原材料価格高騰及び需給逼迫に対応した欧州を中心とする価格改定により、ガス全体の売上高は前期を大きく上回った。
③ その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前期比5.2%増の545億29百万円となった。営業利益は、前期比26.8%増の47億56百万円となった。
産業機械用油圧機器は、国内及び米国市場が堅調に推移し、売上高は前期を上回った。建機・車両用油圧機器は、国内及び米国主要顧客向け販売が堅調に推移し、売上高は前期を上回った。
特機部門では、防衛省向け砲弾・誘導弾用部品の売上高は前期を下回った。在宅酸素医療用機器の売上高は前期並みとなった。
電子システム事業では、主力商品の設計・開発分野向けデータベースシステムにおいて、グローバルでの品質管理や設計開発期間の短縮といった顧客ニーズに合致する商品開発を進め、売上高は前期並みとなった。
総資産は、2兆4,899億53百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,338億5百万円増加した。
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて779億26百万円増加し、1兆2,378億11百万円となった。
固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて558億78百万円増加し、1兆2,521億42百万円となった。
負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べて549億7百万円減少し、1兆1,656億32百万円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,887億12百万円増加し、1兆3,243億21百万円となった。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.2%から52.1%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の3,802.10円から4,433.62円となった。
また、有利子負債については、長期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べて550億59百万円減少し、5,543億70百万円となり、有利子負債比率(有利子負債/総資産)は、25.9%から22.3%へ減少した。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動では、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べて439億23百万円収入が減少し、2,237億40百万円の収入となった。投資活動では、連結子会社買収による支出の減少等により、前連結会計年度に比べて13億64百万円支出が減少し、1,274億58百万円の支出となった。財務活動では、短期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べて204億11百万円支出が増加し、939億54百万円の支出となった。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べて399億54百万円減少し、129億33百万円のキャッシュの増加となった。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
空調・冷凍機事業 | 1,548,244 | 9.6 |
化学事業 | 166,798 | 19.0 |
その他事業 | 49,125 | 4.5 |
合計 | 1,764,168 | 10.3 |
(注) 1 金額は販売価格による。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
(2) 受注状況
当社グループの製品は、大部分見込み生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略した。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
空調・冷凍機事業 | 2,052,884 | 11.9 |
化学事業 | 183,147 | 16.8 |
その他事業 | 54,529 | 5.2 |
合計 | 2,290,560 | 12.1 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略した。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
以下に記載の内容については、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれている。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりである。
(2) 財政状態
①資産
総資産は、2兆4,899億53百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,338億5百万円増加した。
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて779億26百万円増加し、1兆2,378億11百万円となった。
固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて558億78百万円増加し、1兆2,521億42百万円となった。
②負債及び純資産
負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べて549億7百万円減少し、1兆1,656億32百万円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,887億12百万円増加し、1兆3,243億21百万円となった。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.2%から52.1%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の3,802.10円から4,433.62円となった。
(3) 経営成績
①売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比12.1%増の2兆2,905億60百万円となった。
空調・冷凍機事業では、米州・欧州・アジアを中心に海外での販売が好調に推移し、売上高は前連結会計年度比11.9%増の2兆528億84百万円となった。
化学事業では、半導体関連や自動車関連等の需要が好調に推移し、売上高は前連結会計年度比16.8%増の1,831億47百万円となった。
その他事業全体では、産業機械用油圧機器や建機・車両用油圧機器が国内及び米国市場で堅調に推移し、売上高は前連結会計年度比5.2%増の545億29百万円となった。
②営業費用、営業利益
売上原価は、前連結会計年度比13.6%増加し、1兆4,917億31百万円となった。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度比9.0%増加し、5,450億89百万円となった。人件費の増加が主な要因である。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度比10.0%増の2,537億39百万円となった。
なお、セグメントの営業損益については、空調・冷凍機事業では、前連結会計年度比7.0%増の2,234億63百万円の営業利益となり、化学事業では、前連結会計年度比39.4%増の255億10百万円の営業利益となり、その他事業は前連結会計年度比26.8%増の47億56百万円の営業利益となった。
③営業外損益、経常利益
営業外損益は、持分法による投資利益の計上額が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて10億35百万円増加し、12億79百万円のプラスとなった。
経常利益は、前連結会計年度比10.4%増の2,550億19百万円となった。
④特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、関係会社整理損の計上等により、前連結会計年度に比べて27億58百万円減少し、31億62百万円のマイナスとなった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、米国における税制改正により法人税等が減少した影響もあり、前連結会計年度比22.8%増の1,890億51百万円となった。
(4) キャッシュ・フロー
営業活動では、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べて439億23百万円収入が減少し、2,237億40百万円の収入となった。投資活動では、連結子会社買収による支出の減少等により、前連結会計年度に比べて13億64百万円支出が減少し、1,274億58百万円の支出となった。財務活動では、短期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べて204億11百万円支出が増加し、939億54百万円の支出となった。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べ399億54百万円減少し、129億33百万円のキャッシュの増加となった。
資金の調達は、内部留保の蓄積を基本とし、自己資金中心に行うことを原則としているが、必要に応じ、金融機関からの借入や社債等で調達している。
当連結会計年度では、金融機関からの長期借入によって、45,180百万円を調達し、投資資金の一部に充当した。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりである。
平成26年3月期 | 平成27年3月期 | 平成28年3月期 | 平成29年3月期 | 平成30年3月期 | |
自己資本比率(%) | 39.9 | 45.3 | 46.3 | 47.2 | 52.1 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 83.9 | 103.7 | 112.1 | 138.8 | 137.8 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年) | 3.9 | 4.1 | 2.7 | 2.3 | 2.5 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 18.0 | 16.8 | 25.9 | 26.8 | 20.9 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出している。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出している。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用している。