四半期報告書-第118期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2020年4月1日~12月31日)の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動が停滞し、景気が大きく減速しました。一部の国では回復の動きが見られたものの、欧州等で感染が再拡大し、影響が長引いています。米国経済は、前半は個人消費の減少から景気が減速しましたが、後半からは政府の経済対策や好調なオンライン販売が消費を下支えし、景気回復の兆しを見せました。欧州経済は、輸出が改善を示しつつあるものの、活動制限の長期化により個人消費が減少し、景気を下押ししました。アジア・新興国経済は、企業の設備投資回復の動きは鈍いものの、輸出の持ち直しや政府消費が景気の下支え役となりました。中国経済は、いち早く経済活動が再開されたほか、輸出の増加や情報通信、エネルギー分野での政府のインフラ投資もあり、景気回復傾向が持続しました。わが国経済は、中国向け輸出が持ち直しつつあるものの、個人消費の低迷が景気を下押ししました。
このような事業環境のもと、景気減速による当社グループ業績への影響の極小化及び感染収束時の速やかな回復に向けて、部門横断のプロジェクトを立ち上げるなど、生産・調達・販売などの事業運営面での取り組みに注力しました。とりわけ、空気・空間の安全・安心に対する意識の高まりを捉え、空気清浄機や換気商材などの空気関連商品の拡販に取り組みました。また、各国で販売網・生産拠点・サプライヤーからの調達が影響を受ける中でも、商品の供給体制維持に努めました。新型コロナウイルスの感染状況や市場の回復ペースは地域や市場により異なるものの、売上は住宅用空調機器を中心に回復基調を取り戻しつつあります。
さらに、当社グループでは、2020年のグループ年頭方針を「3つの協創を加速して、変化の時代を勝ち抜こう」(3つの協創:顧客との協創、外部との協創、グループ内の協創)と定め、成果創出を目指しており、各地域において、販売力・営業力の強化、商品開発・生産・調達・品質力の向上、人材力強化、固定費の削減や変動費コストダウンなどに取り組みました。
当第3四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は1兆8,417億31百万円(前年同期比5.6%減)となりました。利益面では、営業利益は1,945億6百万円(前年同期比11.2%減)、経常利益は1,958億10百万円(前年同期比12.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,287億40百万円(前年同期比13.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比4.8%減の1兆6,910億68百万円となりました。営業利益は、前年同期比7.1%減の1,837億25百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策に伴う経済活動の収縮により、店舗市場をはじめとして大きく減退しました。当社グループは、9月に室内の温度を変えずに換気ができる全熱交換器ユニットの露出設置形『ベンティエール』を発売し、オンラインを活用した提案営業活動や換気・除菌ストリーマ商材を訴求するテレビCMを放映するなど、市場で関心が高まる換気・除菌商材の提案に取り組みました。このような取り組みもありましたが、需要が減少していることなどが影響し、業務用空調機器の売上高は前年同期を下回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、換気・除菌への関心の高まりや、リモートワークの普及、今夏の猛暑効果もあり、前年同期を上回りました。当社グループは、換気・加湿ができる『うるさらX(エックス)』や『ストリーマ空気清浄機』など、独自技術を活かした空気質改善の価値が市場から評価され、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。住宅用空調機器は、天候に恵まれたことや、巣ごもり・リモートワークによる需要のプラス効果がありました。しかし、米国全域での新型コロナウイルスの影響や、感染拡大を防止するために工場を一時的に閉鎖し、供給が逼迫した時期があったことなどにより、売上高は前年同期を下回りました。また、業務用空調機器は、小売業や飲食業など特定の業種におけるプロジェクトの見直し・中止などにより、売上高は前年同期を下回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により市場が停滞しましたが、販売網強化や感染拡大の影響が出る前に受注を確保したエアハンドリングユニット(業態や部屋用途によって異なる多彩な空調ニーズに応える大型の業務用空調機器)を中心に機器の販売を拡大しました。これにより、現地通貨での売上高は前年同期を上回りましたが、為替影響により円貨換算後の売上高は前年同期並みとなりました。
中国では、6月以降、経済対策や金融緩和により市場は回復傾向にあります。当社グループは新型コロナウイルスによる市場の変化に対応した換気商材の品揃えを強化するとともに、オンラインを活用した販売活動を加速し、第2四半期(7月~9月)に引き続き、第3四半期(10月~12月)も販売が拡大しました。このように、第2四半期以降の販売は回復しましたが、第1四半期(4~6月)における感染拡大の影響を受けたこともあり、第3四半期累計(4月~12月)の売上高は前年同期を下回りました。利益面では、固定費削減や生産性向上などのコストダウンを推進し、高水準を維持しました。住宅用空調機器では、主力である住宅用マルチエアコンの販売を伸ばしました。従来の当社グループの強みである独自の専売店「プロショップ」によるオフライン販売に、インターネットを活用した新規顧客の探索、ライブ放送などによるオンラインを組み合わせた販売を推進しました。業務用空調機器では、店舗・オフィスの需要が減少するなど厳しい市場環境の中、大手デベロッパーとの協業を推進するとともに、商品力の強化を図りました。店舗向けでは、換気・洗浄・除菌を訴求した販売活動に取り組み、需要の掘り起こしに注力しました。アプライド空調機器市場では、インフラ関連、データセンターなどの情報関連、保守・メンテナンスなどの成長分野での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国政府の発令により、4月は多くの国で事業活動が停止し、販売が大きく落ち込みました。5月以降は販売を強化し、制限緩和に伴う需要増加を取り込み、第3四半期の販売は、前年同期の水準に近づきました。住宅用空調機器については、事業活動の制限は残るものの、制限緩和が進み、事業活動停止期間の需要減少の反動や、在宅時間増加による巣ごもり需要を取り込みました。また、事業活動の制限により家電量販店が入るショッピングモールが各国で閉鎖される中、当社グループの独自販売店ルートを通じた販売促進を行いました。業務用空調機器では、感染拡大の影響で、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルス検査義務付けのため、市場全体で着工遅れ・工期延期が発生する厳しい状況が続きました。第3四半期累計では、感染拡大の影響による景気減速や個人消費の落ち込みにより、住宅用・業務用空調機器ともに、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。
欧州では、10月中旬以降、各国で新型コロナウイルス感染の第2波によりロックダウンが再発動され、その影響を受けましたが、販売強化により地域全体の売上高は前年同期並みとなりました。住宅用空調機器では、市場が急回復した夏以降も、リモートワークの定着や巣ごもりニーズで堅調に推移し、その需要を最大限に取り込みました。さらに、住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、各国の景気刺激策として2030年の温室効果ガス削減目標の達成に向けた欧州グリーンディールによる補助金が新設・増額されたことを追い風に、新機種の投入や営業力強化、販売店網の拡大などで、特にドイツやイタリアでは販売を大きく伸ばしました。これらの結果、住宅用空調機器全体の売上高は前年同期を上回りました。業務用空調機器においては、ロックダウンの再発動で、主要用途のオフィス・ホテル・レストラン・店舗向けの需要がさらに減少しました。業績が好調な食料品販売店でも、店舗の新築や改修工事の中断・延期が発生しました。このように市場環境が厳しく、顧客・現場への訪問などの営業活動も制約されている中、オンラインツールを効果的に活用した提案営業の展開などで販売を最大化しましたが、業務用空調機器の売上高は前年同期を下回りました。
中近東・アフリカでは、コロナ禍での景気減速の影響により、業務用を中心にプロジェクト案件が減少し、顧客の資金繰りによる与信上の制約などもあり、売上高は前年同期を下回りました。トルコでは、住宅用空調機器の販売を大きく伸ばしましたが、トルコリラ下落の影響により円貨換算後の売上高は前年同期並みとなりました。
フィルタ事業は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、換気ニーズの高まりを受け、アジア・欧州では病院・クリーンルーム向け高機能フィルタの販売が拡大し、米国では安定した供給体制を確立しつつ、病院や住宅用フィルタの販売が好調に推移しました。また、公共施設等への空気清浄機の販売強化に取り組みました。しかしながら、世界各地での感染拡大の影響に伴いガスタービン・大規模プラント等の業務用集塵システムの販売が減少したこともあり、フィルタ事業全体の売上高は前年同期を下回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前年同期を上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比12.0%減の1,166億48百万円となりました。営業利益は、前年同期比48.9%減の90億34百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を含め広範囲での新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少や、欧州ガス市場の需要の落ち込みなどにより、全般的に厳しい状況となりました。
フッ素樹脂は、世界的な半導体及び自動車関連の需要が回復基調にあるものの、上期での落ち込みの影響が大きかったことに加え、米国での建築・航空機需要の落ち込みもあり、売上高は前年同期を下回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連分野の需要は回復してきているものの、国内・欧州・アジアでの需要の落ち込み影響が大きく、売上高は前年同期を下回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤は、中国での販売が順調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。また、半導体向けのエッチング剤も需要回復を捉えた拡販により、売上高は前年同期を上回りました。しかし、全般的に新型コロナウイルスの影響により需要が減少したこともあり、化成品全体の売上高は前年同期並みとなりました。
フルオロカーボンガスについては、グローバルでの販売の落ち込みの影響が大きく、ガス全体の売上高は前年同期を大きく下回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比19.4%減の340億15百万円となりました。営業利益は、前年同期比52.1%減の17億40百万円となりました。
油機部門では、産業機械用油圧機器は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内設備投資抑制、アジア・欧米市場の需要減少の影響により、売上高は前年同期を下回りました。また、建機・車両用油圧機器は、感染拡大に伴う国内・欧米市場の需要減少の影響により、売上高は前年同期を下回りました。
特機部門では、在宅酸素医療機器は、酸素濃縮装置の販売が堅調に推移したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴うパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の需要を取り込んだことにより販売が拡大しましたが、防衛省向けの砲弾の販売が減少したことにより、売上高は前年同期を下回りました。
電子システム事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う投資抑制により、製造業を中心に販売している設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』の販売が減少しましたが、新型コロナウイルスの影響が比較的小さいゲーム市場や大学・官公庁市場で販売を挽回したこともあり、売上高は前年同期並みとなりました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、3兆481億83百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,806億70百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて3,376億88百万円増加の1兆6,421億15百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて429億82百万円増加の1兆4,060億67百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,590億73百万円増加の1兆4,639億95百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の20.8%から25.2%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,215億96百万円増加の1兆5,841億88百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、たな卸資産の減少等により、前年同期に比べて526億13百万円収入が増加し、3,039億97百万円の収入となりました。投資活動では、定期預金の増加等により、前年同期に比べて285億53百万円支出が増加し、1,181億50百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の増加等により、前年同期に比べて2,203億52百万円収入が増加し、1,512億5百万円の収入となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて2,643億29百万円増加し、3,475億54百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更を行っております。
詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項」の(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積り)をご参照下さい。
(5) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は506億8百万円であります。
当第3四半期連結累計期間(2020年4月1日~12月31日)の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動が停滞し、景気が大きく減速しました。一部の国では回復の動きが見られたものの、欧州等で感染が再拡大し、影響が長引いています。米国経済は、前半は個人消費の減少から景気が減速しましたが、後半からは政府の経済対策や好調なオンライン販売が消費を下支えし、景気回復の兆しを見せました。欧州経済は、輸出が改善を示しつつあるものの、活動制限の長期化により個人消費が減少し、景気を下押ししました。アジア・新興国経済は、企業の設備投資回復の動きは鈍いものの、輸出の持ち直しや政府消費が景気の下支え役となりました。中国経済は、いち早く経済活動が再開されたほか、輸出の増加や情報通信、エネルギー分野での政府のインフラ投資もあり、景気回復傾向が持続しました。わが国経済は、中国向け輸出が持ち直しつつあるものの、個人消費の低迷が景気を下押ししました。
このような事業環境のもと、景気減速による当社グループ業績への影響の極小化及び感染収束時の速やかな回復に向けて、部門横断のプロジェクトを立ち上げるなど、生産・調達・販売などの事業運営面での取り組みに注力しました。とりわけ、空気・空間の安全・安心に対する意識の高まりを捉え、空気清浄機や換気商材などの空気関連商品の拡販に取り組みました。また、各国で販売網・生産拠点・サプライヤーからの調達が影響を受ける中でも、商品の供給体制維持に努めました。新型コロナウイルスの感染状況や市場の回復ペースは地域や市場により異なるものの、売上は住宅用空調機器を中心に回復基調を取り戻しつつあります。
さらに、当社グループでは、2020年のグループ年頭方針を「3つの協創を加速して、変化の時代を勝ち抜こう」(3つの協創:顧客との協創、外部との協創、グループ内の協創)と定め、成果創出を目指しており、各地域において、販売力・営業力の強化、商品開発・生産・調達・品質力の向上、人材力強化、固定費の削減や変動費コストダウンなどに取り組みました。
当第3四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は1兆8,417億31百万円(前年同期比5.6%減)となりました。利益面では、営業利益は1,945億6百万円(前年同期比11.2%減)、経常利益は1,958億10百万円(前年同期比12.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,287億40百万円(前年同期比13.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比4.8%減の1兆6,910億68百万円となりました。営業利益は、前年同期比7.1%減の1,837億25百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策に伴う経済活動の収縮により、店舗市場をはじめとして大きく減退しました。当社グループは、9月に室内の温度を変えずに換気ができる全熱交換器ユニットの露出設置形『ベンティエール』を発売し、オンラインを活用した提案営業活動や換気・除菌ストリーマ商材を訴求するテレビCMを放映するなど、市場で関心が高まる換気・除菌商材の提案に取り組みました。このような取り組みもありましたが、需要が減少していることなどが影響し、業務用空調機器の売上高は前年同期を下回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、換気・除菌への関心の高まりや、リモートワークの普及、今夏の猛暑効果もあり、前年同期を上回りました。当社グループは、換気・加湿ができる『うるさらX(エックス)』や『ストリーマ空気清浄機』など、独自技術を活かした空気質改善の価値が市場から評価され、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。住宅用空調機器は、天候に恵まれたことや、巣ごもり・リモートワークによる需要のプラス効果がありました。しかし、米国全域での新型コロナウイルスの影響や、感染拡大を防止するために工場を一時的に閉鎖し、供給が逼迫した時期があったことなどにより、売上高は前年同期を下回りました。また、業務用空調機器は、小売業や飲食業など特定の業種におけるプロジェクトの見直し・中止などにより、売上高は前年同期を下回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により市場が停滞しましたが、販売網強化や感染拡大の影響が出る前に受注を確保したエアハンドリングユニット(業態や部屋用途によって異なる多彩な空調ニーズに応える大型の業務用空調機器)を中心に機器の販売を拡大しました。これにより、現地通貨での売上高は前年同期を上回りましたが、為替影響により円貨換算後の売上高は前年同期並みとなりました。
中国では、6月以降、経済対策や金融緩和により市場は回復傾向にあります。当社グループは新型コロナウイルスによる市場の変化に対応した換気商材の品揃えを強化するとともに、オンラインを活用した販売活動を加速し、第2四半期(7月~9月)に引き続き、第3四半期(10月~12月)も販売が拡大しました。このように、第2四半期以降の販売は回復しましたが、第1四半期(4~6月)における感染拡大の影響を受けたこともあり、第3四半期累計(4月~12月)の売上高は前年同期を下回りました。利益面では、固定費削減や生産性向上などのコストダウンを推進し、高水準を維持しました。住宅用空調機器では、主力である住宅用マルチエアコンの販売を伸ばしました。従来の当社グループの強みである独自の専売店「プロショップ」によるオフライン販売に、インターネットを活用した新規顧客の探索、ライブ放送などによるオンラインを組み合わせた販売を推進しました。業務用空調機器では、店舗・オフィスの需要が減少するなど厳しい市場環境の中、大手デベロッパーとの協業を推進するとともに、商品力の強化を図りました。店舗向けでは、換気・洗浄・除菌を訴求した販売活動に取り組み、需要の掘り起こしに注力しました。アプライド空調機器市場では、インフラ関連、データセンターなどの情報関連、保守・メンテナンスなどの成長分野での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国政府の発令により、4月は多くの国で事業活動が停止し、販売が大きく落ち込みました。5月以降は販売を強化し、制限緩和に伴う需要増加を取り込み、第3四半期の販売は、前年同期の水準に近づきました。住宅用空調機器については、事業活動の制限は残るものの、制限緩和が進み、事業活動停止期間の需要減少の反動や、在宅時間増加による巣ごもり需要を取り込みました。また、事業活動の制限により家電量販店が入るショッピングモールが各国で閉鎖される中、当社グループの独自販売店ルートを通じた販売促進を行いました。業務用空調機器では、感染拡大の影響で、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルス検査義務付けのため、市場全体で着工遅れ・工期延期が発生する厳しい状況が続きました。第3四半期累計では、感染拡大の影響による景気減速や個人消費の落ち込みにより、住宅用・業務用空調機器ともに、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。
欧州では、10月中旬以降、各国で新型コロナウイルス感染の第2波によりロックダウンが再発動され、その影響を受けましたが、販売強化により地域全体の売上高は前年同期並みとなりました。住宅用空調機器では、市場が急回復した夏以降も、リモートワークの定着や巣ごもりニーズで堅調に推移し、その需要を最大限に取り込みました。さらに、住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、各国の景気刺激策として2030年の温室効果ガス削減目標の達成に向けた欧州グリーンディールによる補助金が新設・増額されたことを追い風に、新機種の投入や営業力強化、販売店網の拡大などで、特にドイツやイタリアでは販売を大きく伸ばしました。これらの結果、住宅用空調機器全体の売上高は前年同期を上回りました。業務用空調機器においては、ロックダウンの再発動で、主要用途のオフィス・ホテル・レストラン・店舗向けの需要がさらに減少しました。業績が好調な食料品販売店でも、店舗の新築や改修工事の中断・延期が発生しました。このように市場環境が厳しく、顧客・現場への訪問などの営業活動も制約されている中、オンラインツールを効果的に活用した提案営業の展開などで販売を最大化しましたが、業務用空調機器の売上高は前年同期を下回りました。
中近東・アフリカでは、コロナ禍での景気減速の影響により、業務用を中心にプロジェクト案件が減少し、顧客の資金繰りによる与信上の制約などもあり、売上高は前年同期を下回りました。トルコでは、住宅用空調機器の販売を大きく伸ばしましたが、トルコリラ下落の影響により円貨換算後の売上高は前年同期並みとなりました。
フィルタ事業は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、換気ニーズの高まりを受け、アジア・欧州では病院・クリーンルーム向け高機能フィルタの販売が拡大し、米国では安定した供給体制を確立しつつ、病院や住宅用フィルタの販売が好調に推移しました。また、公共施設等への空気清浄機の販売強化に取り組みました。しかしながら、世界各地での感染拡大の影響に伴いガスタービン・大規模プラント等の業務用集塵システムの販売が減少したこともあり、フィルタ事業全体の売上高は前年同期を下回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前年同期を上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比12.0%減の1,166億48百万円となりました。営業利益は、前年同期比48.9%減の90億34百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を含め広範囲での新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少や、欧州ガス市場の需要の落ち込みなどにより、全般的に厳しい状況となりました。
フッ素樹脂は、世界的な半導体及び自動車関連の需要が回復基調にあるものの、上期での落ち込みの影響が大きかったことに加え、米国での建築・航空機需要の落ち込みもあり、売上高は前年同期を下回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連分野の需要は回復してきているものの、国内・欧州・アジアでの需要の落ち込み影響が大きく、売上高は前年同期を下回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤は、中国での販売が順調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。また、半導体向けのエッチング剤も需要回復を捉えた拡販により、売上高は前年同期を上回りました。しかし、全般的に新型コロナウイルスの影響により需要が減少したこともあり、化成品全体の売上高は前年同期並みとなりました。
フルオロカーボンガスについては、グローバルでの販売の落ち込みの影響が大きく、ガス全体の売上高は前年同期を大きく下回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比19.4%減の340億15百万円となりました。営業利益は、前年同期比52.1%減の17億40百万円となりました。
油機部門では、産業機械用油圧機器は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内設備投資抑制、アジア・欧米市場の需要減少の影響により、売上高は前年同期を下回りました。また、建機・車両用油圧機器は、感染拡大に伴う国内・欧米市場の需要減少の影響により、売上高は前年同期を下回りました。
特機部門では、在宅酸素医療機器は、酸素濃縮装置の販売が堅調に推移したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴うパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の需要を取り込んだことにより販売が拡大しましたが、防衛省向けの砲弾の販売が減少したことにより、売上高は前年同期を下回りました。
電子システム事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う投資抑制により、製造業を中心に販売している設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』の販売が減少しましたが、新型コロナウイルスの影響が比較的小さいゲーム市場や大学・官公庁市場で販売を挽回したこともあり、売上高は前年同期並みとなりました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、3兆481億83百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,806億70百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて3,376億88百万円増加の1兆6,421億15百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の時価変動による増加等により、前連結会計年度末に比べて429億82百万円増加の1兆4,060億67百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,590億73百万円増加の1兆4,639億95百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の20.8%から25.2%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて1,215億96百万円増加の1兆5,841億88百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、たな卸資産の減少等により、前年同期に比べて526億13百万円収入が増加し、3,039億97百万円の収入となりました。投資活動では、定期預金の増加等により、前年同期に比べて285億53百万円支出が増加し、1,181億50百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の増加等により、前年同期に比べて2,203億52百万円収入が増加し、1,512億5百万円の収入となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて2,643億29百万円増加し、3,475億54百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更を行っております。
詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項」の(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積り)をご参照下さい。
(5) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は506億8百万円であります。