半期報告書-第122期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/07 9:17
【資料】
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【項目】
45項目
(1) 経営成績の状況
当中間連結会計期間(2024年4月1日~9月30日)の世界経済は、米国・欧州を中心とした金融引き締めや中国不動産不況の影響により停滞しました。米国経済は、個人消費が堅調だったものの、住宅投資が低迷しました。欧州経済は、インフレの鎮静化が進んでおり、サービス需要を中心に回復の動きがみられました。中国経済は、輸出産業が堅調だったものの、内需が伸び悩みました。日本経済は、堅調な企業収益を背景に設備投資が拡大、雇用改善・賃金上昇により個人消費にも持ち直しの動きがみられました。アジア経済は、個人消費や輸出の回復が経済を下支えしました。
このような事業環境のもと、当社グループは、2023年度に策定した戦略経営計画「FUSION25」の後半3ヵ年計画(2023~2025年度)の完遂に向けて、成長戦略3テーマ「カーボンニュートラルへの挑戦」「顧客とつながるソリューション事業の推進」「空気価値の創造」をはじめとした重点戦略11テーマの施策展開を加速させ、経済価値・環境価値・社会価値の創出に取り組んでおります。
また、2024年度は、全社収益構造と利益率の改善・向上に取り組むとともに、グループ総合力を結集したグローバル横断での成果創出に取り組んでおります。当期の具体的なテーマは以下のとおりです。
(全社収益構造と利益率の改善・向上に向けたテーマ)
・ 差別化新商品の投入、機器単体売りからシステム販売への転換などによる、販売価格政策の推進と当社シェア
の向上の両立
・ 限界利益率の向上に向けた、グローバル横断でのコスト力強化
・ 強靭なサプライチェーンの構築に向けた、グローバルでの生産・調達・物流改革の実行
・ 既存固定費の削減と、先行投資・戦略投資の優先順位付け
・ 実行してきた買収案件・生産能力増強投資の成果創出
(グローバル横断、グループトータルの総合力で大きな成果創出をめざすテーマ)
・ グローバルでのアプライド空調事業の積極的拡大と、用途や市場ごとの付加価値提供による業務用空調ソリュ
ーション事業の収益拡大
・ 差別化技術の水平展開、サービス力の強化、工事の省施工・省人化対応
これらの取り組みを進める中で、それぞれの地域・事業の進捗状況をきめ細かくフォローしながら、事業環境の変化に対して臨機応変に先手を打つことで、当社事業へのマイナス影響を極小化するとともに、堅調な地域・事業でのさらなる販売拡大や収益力向上に努めております。また、収益力強化につながる生産能力増強投資や販売網・サービス網の拡充に向けた投資など、中長期の成長を見据えた投資の取り組みも継続実行しています。
当中間連結会計期間の経営成績については、売上高は2兆4,930億64百万円(前年同期比12.0%増)となりました。利益面では、営業利益は2,465億94百万円(前年同期比4.6%増)、経常利益は2,241億68百万円(前年同期比1.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1,516億57百万円(前年同期比0.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比12.7%増の2兆3,165億42百万円となりました。営業利益は、前年同期比6.8%増の2,190億67百万円となりました。
国内空調では、業務用市場の需要は、大型再開発やオフィスビル、商業施設の新設や改修など、設備投資が増加し、前年同期を上回りました。また、住宅用市場の需要は、4月から平均気温が平年を上回り、記録的な猛暑による需要の拡大もあり、前年同期を上回りました。当社グループは、このような状況下で、業務用空調機器市場に向けては、高い省エネ性能と省施工性を兼ね備えた「FIVE STAR ZEAS」、個別運転ニーズに応える「machi(マチ)マルチ」や設備用の空調機器を中心にユーザー提案を強化し、売上高は前年同期を上回りました。住宅用空調機器市場に向けては、電気代高騰による省エネニーズの拡大と夏季シーズンでの空調機器の使用時間が大幅に増えたことを背景に、高い省エネ性の『うるさらX』を中心にユーザー提案を強化し、売上高は前年同期を上回りました。
米州では、住宅用空調機器については、冷媒規制による製品切り替えにおいて価格上昇や供給懸念から現行冷媒機(R410A機)に対する駆け込み需要が増加しました。当社グループは、R410A機の増産につとめたことに加え、代替提案として、環境性と省エネ性に優れた低温暖化冷媒R32の新モデル機の販売立ち上げの加速・増産、省エネ性能の高い環境プレミアム商品『Fit(フィット)』の拡販を実行したものの、R410A機の需要を取り込みきれず販売は減少しました。一方で、為替のプラス効果により、円貨換算後の売上高は前年同期を上回りました。アプライド空調機器については、成長するデータセンター・製造業市場、学校用途向けの販売拡大、及びメキシコでの新工場立ち上げや既存工場での生産能力増強のほか、新冷媒対応商品の拡販により、空調機器の販売は伸長しました。また、買収会社については、カスタムエアハンドリングユニットメーカーを活用しデータセンター向けに拡販を実施したほか、計装・エンジニアリング会社を活用したソリューション事業の拡大も進め、売上高は前年同期を大きく上回りました。
中国では、不動産不況の影響により需要が大きく減速し、地域全体の売上高は前年同期を下回りました。利益面では、高付加価値商品の拡販、コストダウン等に取り組み、これまでの高水準を維持しました。住宅用空調機器市場では、景気が減速する中、ユーザーダイレクトのオフラインの小売販売に加え、ショールームを活用したライブ放送・Web戦略・SNSなどオンラインを組み合わせた当社グループ独自の販売活動を強化しました。また、空調・除湿・換気・ヒートポンプ床暖房・センサー・コントローラーなどを組み合わせたシステム商品の販売を強化しました。業務用空調機器市場では、カーボンニュートラル政策の推進による政府物件・工場・グリーンビル(環境性能が高まるよう配慮して設計された建物)などの市場の伸びを受け、省エネを切り口とした提案を強化しました。アプライド空調機器市場では、インフラ・半導体・医療関連など底堅い需要がある分野に資源を投入したことに加え、保守・メンテナンス事業を強化しました。
アジア・オセアニアでは、好調な経済を背景にインドでの販売が大きく伸長し、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。住宅用空調機器については、7月以降のアセアン地域での台風・洪水、インドでの天候不順等の影響を受けたものの、販売店や消費者への販促施策の展開により、売上高は前年同期を上回りました。業務用空調機器については、景気減速に伴いプロジェクトの遅延や投資の見直しが発生する中、販売店の開発・育成により販売を拡大し、売上高は前年同期を上回りました。
欧州では、エネルギーや消費財価格を中心にインフレ圧力が緩和され、景気は緩やかに回復に向かいつつあります。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器の需要が大きく減速したものの、為替のプラス効果もあり、地域全体の売上高は前年同期を上回りました。住宅用空調機器では、7月以降に南欧での猛暑需要を取り込んだイタリアのほか、中欧等でも拡販し、売上高は前年同期を上回りました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器については、イタリア・ドイツ・フランス等の主要市場で各国政府による補助金制度が縮小している中、エンドユーザーの間で買い控えが継続しました。販売店開発や補助金申請支援などの販売力強化と商品ラインナップ拡充に取り組みましたが、ガス・オイルボイラーからの更新が進まず、売上高は前年同期を下回りました。一方、業務用空調機器では、きめ細かい販売活動の展開により、コロナ後に回復が続くホテル・レストラン向けの需要や、オフィスや店舗等の省エネニーズを着実に取り込み、売上高は前年同期を上回りました。アプライド空調機器では、データセンター向けの販売が拡大したこと等により、売上高は前年同期を上回りました。
中近東・アフリカでは、売上高は前年同期を大きく上回りました。サウジアラビア等での業務用物件の受注増加が販売を牽引しました。トルコでは、住宅用空調機器において販売が大きく増加しました。
フィルタ事業では、中国の経済停滞の継続や半導体市況の回復遅れにより競争が激しくなりましたが、需要は底堅く推移したことや、為替のプラス効果もあり、フィルタ事業全体の売上高は前年同期を上回りました。米国では、熱波の影響によりフィルタ交換需要が高まり、住宅用及び業務用卸向け販売が伸長したことや、自前の販売店展開による高粗利商材の拡販により、売上高は増加しました。欧州では、省エネや空気質ニーズは引き続き強く、北欧でのビル・OEM市場向けを中心に販売は安定して推移しました。アジア・中東では、東南アジアにおける半導体市場での販売が減速したことに加え、中国では不動産不況の長期化による需要の停滞が続いていることもあり、中東・インドを含むアジア地域全体の販売は減少しました。また、国内では、建設業界の人手不足による工期延期や在庫調整が影響し、半導体メーカー・半導体製造装置メーカー向けの高性能フィルタを中心に販売は伸び悩みました。ガスタービン・集塵機事業は、油田向け特殊フィルタの販売地域を拡大し、好調に推移しました。
舶用事業では、海上コンテナ冷凍装置、舶用エアコン・冷凍機の販売を伸ばし、売上高は前年同期を上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比3.9%増の1,296億71百万円となりました。営業利益は、前年同期比5.9%減の261億84百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を中心にした広範囲での需要回復遅れ、それに伴う流通在庫調整の動きなどがありましたが、為替のプラス効果により売上高は前年同期を上回りました。
フッ素樹脂は、LAN電線分野や半導体装置向け材料分野での市場回復の遅れなどにより販売は厳しい状況が継続しているものの、為替のプラス効果により売上高は前年同期を上回りました。一方、フッ素ゴムについては、自動車分野等での流通在庫調整の影響により、売上高は前年同期を下回りました。
化成品は、流通在庫の減少などに伴い表面防汚コーティング剤や撥水撥油剤の需要が回復したことから、売上高は前年同期を上回りました。半導体プロセス向けエッチング剤については、本格的な需要の回復には至っていないものの、前年度からの好転影響により売上高は前年同期を上回りました。
フルオロカーボンガスについては、需要の落ち込みと市況軟化による厳しい環境の中で、拡販と価格維持に努めた結果、売上高は前年同期を上回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比5.5%増の468億50百万円となりました。営業利益は、前年同期比52.3%減の13億29百万円となりました。
油機事業では、産業機械用油圧機器は、国内市場及び欧州市場向けの販売が減少したことにより、売上高は前年同期を下回りました。建機・車両用油圧機器は、国内市場及び米国市場向けの販売が減少したことにより、売上高は前年同期を下回りました。
特機事業では、防衛省向けの受注増加と、酸素濃縮装置及び低酸素システム(酸素濃度をコントロールすることで、高い運動効果が得られる高地空間を再現する機器)の販売が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、品質課題の解決・設計開発期間の短縮・コストダウン支援といった顧客ニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』と『Smart Innovator(スマートイノベーター)』の大口案件販売減少により、売上高は前年同期を下回りました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、4兆9,303億65百万円となり、前連結会計年度末に比べて501億35百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて554億12百万円増加の2兆7,820億10百万円となりました。固定資産は、のれんの減少等により、前連結会計年度末に比べて52億76百万円減少の2兆1,483億54百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて48億30百万円増加の2兆1,977億57百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の19.8%から19.5%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べて453億4百万円増加の2兆7,326億7百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、仕入債務の増加等により、前年同期に比べて1,202億8百万円収入が増加し、3,185億36百万円の収入となりました。投資活動では、定期預金の増加等により、前年同期に比べて330億23百万円支出が増加し、1,877億61百万円の支出となりました。財務活動では、短期借入金の減少等により、前年同期に比べて620億61百万円支出が増加し、717億84百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当中間連結会計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて129億42百万円減少し、558億55百万円のキャッシュの増加となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当中間連結会計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は668億39百万円であります。