四半期報告書-第119期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)
(1) 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2021年4月1日~6月30日)の世界経済は、新型コロナウイルスによる活動制限の有無などから、各地の動向にばらつきが見られました。米国経済は、ワクチン接種の進展に伴い経済活動が再開したことから、ペントアップデマンド(抑制されていた需要)が個人消費を牽引し、景気が順調に回復しています。欧州経済は、ワクチン普及に伴う活動制限の段階的緩和により経済活動が持ち直し、景気回復の兆しを見せました。アジア・新興国経済は、感染の再拡大により内需の低迷が続く国も多く、景気回復ペースにばらつきが見られます。中国経済は、堅調な個人消費や輸出の拡大が景気を下支えしました。わが国経済は、3回目の緊急事態宣言発令に伴う個人消費の減少や半導体不足を受けた生産減少により、経済成長が停滞しました。
このような事業環境のもと、コロナ禍においてこれまで進めてきた、販売力・営業力の強化、差別化商品の迅速な開発・販売、需要変動に対応した柔軟な生産・供給体制の構築、徹底したコスト削減など、身軽で強靭な経営体質をベースとして、引き続き「攻め」と「挑戦」の姿勢で業績回復に努めました。具体的には、新たなニーズを捉えた新商品の投入によるさらなる拡販・シェアの向上、銅からアルミへの材料置換といったトータルコストダウンの推進、市場・顧客にその価値を認めていただける差別化商品の投入による販売価格政策の推進などに取り組み、原材料価格高騰によるコストアップ要因の吸収と収益力の向上に努めました。
また、2025年度を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定し、機器単品販売にとどまらないソリューション事業の強化、ヒートポンプ式暖房・給湯機のさらなる拡販、生産地から消費地までのコールドチェーンをつなぐ低温事業の構築、空気・換気に対するニーズの高まりや地球環境・気候変動問題の解決を見据えた商品・サービスの提供、北米空調事業の強化、ビジネスイノベーションとプロセスイノベーションの加速に向けたデジタル化の推進、技術開発力の強化、強靭なサプライチェーンの構築、人材力強化、カーボンニュートラル実現に向けた施策展開やアドボカシー活動の強化など様々な取り組みを開始しました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は7,989億75百万円(前年同期比37.4%増)となりました。利益面では、営業利益は1,092億54百万円(前年同期比100.4%増)、経常利益は1,118億59百万円(前年同期比102.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、786億28百万円(前年同期比137.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比37.1%増の7,356億38百万円となりました。営業利益は、前年同期比93.7%増の999億59百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、今年も緊急事態宣言による需要の鈍化が見られたものの、昨年同時期の緊急事態宣言の影響による需要の落ち込みが大きかったため、対前年で増加に転じました。当社グループは、このような緊急事態宣言下において、オンラインを活用した提案営業など、感染拡大防止策と営業活動の両立を進めました。また、市場で関心が高まる換気・除菌商材のニーズに応える提案営業を継続し、業務用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、在宅時間の増加などに伴う巣ごもり需要により、前年同期を上回りました。当社グループは、『うるさらX(エックス)』をはじめとする換気機能付き機種の訴求強化に加え、コンパクトデザインの新型「CXシリーズ」の投入、ウイルスや菌の抑制性能を高めた『UVストリーマ空気清浄機』の発売など、製品ラインナップの拡充とユーザー訴求の強化を進め、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、昨年は新型コロナウイルス感染拡大による影響や、工場が一部停止したことで供給力に影響が出た期間がありましたが、今年は工場の停止期間はなく、また、猛暑や巣ごもりによる需要増加の効果もあり、販売が堅調に推移しました。さらに、買収による販売網強化や販売価格の見直しに取り組んだ結果、売上高は前年同期を大きく上回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルスの影響により停滞していた市場の回復を背景に、チラー(空調に必要な冷水を作る室外装置)やファンコイル(温度調節用の室内装置)の独自販売網での拡販や、サービス事業の拡大に取り組み、売上高は前年同期を上回りました。
中国では、住宅市場・個人消費を中心に景気は回復に向かいました。当社グループは、住宅関連商品、空気・換気商品の品揃えを強化するとともに、これまでの強みである店舗販売に加え、オンラインを活用した販売活動を加速し、住宅市場を中心に地域全体の売上高は前年同期を大きく上回りました。利益面では、原材料価格の高騰や半導体の調達問題などの影響があるなか、高収益商品の拡販、コストダウン・固定費削減に取り組み、高水準を維持しました。住宅用市場では、当社グループ独自の専売店「プロショップ」によるオフライン販売とオンラインを組み合わせた販売を展開し、新規顧客の探索や更新需要の取り込みなど販売を拡大しました。店舗・オフィスなど需要回復が遅れている業務用小売り市場では、換気・洗浄を切り口に顧客と接点を拡大し、更新・追加需要を取り込みました。大型物件市場では、大手デベロッパーとの協業を推進し、ソリューションを加えた販売を強化しました。アプライド空調機器市場では、インフラ関連、データセンター、半導体関連など成長分野に資源をシフトし、さらに保守・メンテナンスなどの成長分野での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、4月は住宅用空調機器を中心に販売は堅調に推移しました。5月以降は、オセアニアでは引き続き堅調に推移するものの、インド・マレーシアなどアジア各国での新型コロナウイルス感染再拡大に伴うロックダウンや事業活動の制限強化により、厳しい市場環境が続きました。業務用空調機器については、感染拡大の影響を受け、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルス検査義務付けのため、市場全体で着工遅れや工事の中断・延期が発生する状況が続きました。このような状況ではありましたが、オセアニアでの堅調な販売や、価格政策を着実に実行したことにより、地域全体の売上高は業務用・住宅用ともに前年同期を大きく上回りました。
欧州では、地域全体の売上高は前年同期を大きく上回り、新型コロナウイルスによる影響が出る前の2019年以上となりました。期初からスエズ運河での座礁事故による物流の混乱や半導体の調達問題などが発生しましたが、欧州域内の最寄り工場での安定した生産・供給体制により販売を拡大しました。住宅用空調機器では、幅広い品揃えと販売力で、昨年からの堅調な巣ごもり需要による新規・追加需要を取り込みました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、経済復興とCO2削減の実現に向けて昨年に各国で新設・増設された欧州グリーンディールによる補助金が追い風となり、ガスやオイルボイラーからの更新需要の拡大や販売店開発、補助金申請支援等の販売力強化で大幅に販売を伸ばしました。これらにより、住宅用事業の売上高は前年同期を大きく上回りました。業務用空調機器においては、各国でロックダウンの解除によりレストランの営業、観光客の受け入れ等の経済活動が再開され、また、ワクチン接種の加速によるコロナ禍収束への見通しから、需要回復の兆しが見られました。当社グループは、空気質の改善提案等でコロナ禍での市場ニーズを汲み取るとともに、ITインフラや工場等の好調な市場での営業力強化で販売を伸ばしました。その結果、業務用空調機器の売上高は前年同期を大きく上回りました。また、低温事業は、投資が拡大する食品スーパー業界への販売を強化し、売上高は前年同期を大きく上回りました。
中近東・アフリカでは、カタールやエジプトでの販売強化により、売上高は前年同期を上回りました。トルコは、政府の住宅支援策が後押しとなり、住宅用空調機器・暖房機器の販売が大幅に増加し、トルコリラ下落の影響を受けましたが、円貨換算後の売上高においても前年同期を上回りました。
フィルタ事業は、新型コロナウイルス感染拡大により世界的に急速に高まった空気・換気ニーズに対して、他社に先駆けて感染症対策商材を市場に投入しました。また、ワクチン接種が進む欧米諸国を中心に、徐々に業務用市場での投資が再開し、電子・半導体業界、製薬業界、商業ビル向けなどの販売も好調に推移しました。また、ガスタービン・集塵機事業も、投資環境の改善など市場は概ね回復傾向にあり、売上高は前年同期を上回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前年同期を上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比41.8%増の504億17百万円となりました。営業利益は、前年同期比197.6%増の79億1百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で大きく落ち込んだ昨年に対し、半導体・自動車分野を中心に広範囲で需要が回復したこともあり、売上高は前年同期を大きく上回りました。
フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連の需要回復が鮮明になってきており、売上高は前年同期を大きく上回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連を中心に需要の回復が顕著となり、売上高は前年同期を大きく上回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤において需要の停滞が見られたものの、撥水撥油剤や半導体向けエッチング剤などの需要が回復したことにより、化成品全体の売上高は前年同期を上回りました。
フルオロカーボンガスについては、需要が回復傾向にあり、売上高は前年同期を上回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比37.1%増の129億19百万円となりました。営業利益は、前年同期比459.5%増の13億91百万円となりました。
産業機械用油圧機器は、国内市場では工作機械向けを中心に需要が回復したことに加え、アジア・欧米向け販売の増加により、売上高は前年同期を上回りました。また、建機・車両用油圧機器は、国内及び米国主要顧客向けの販売が増加したことにより、売上高は前年同期を上回りました。
特機部門では、防衛省向け砲弾の販売が増加したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う酸素濃縮装置及びパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の需要の増加を取り込んだことにより、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、品質課題の解決・設計開発期間の短縮・コストダウン支援といった顧客のニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』、その関連商品『Smart Innovator(スマートイノベーター)』の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、3兆3,403億81百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,007億18百万円増加しました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて1,027億10百万円増加の1兆8,360億71百万円となりました。固定資産は、のれんの償却による減少等により、前連結会計年度末に比べて19億92百万円減少の1兆5,043億9百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて387億49百万円増加の1兆5,799億16百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の23.2%から22.2%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて619億69百万円増加の1兆7,604億64百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、税金等調整前四半期純利益の増加等により、前年同期に比べて28億38百万円収入が増加し、620億40百万円の収入となりました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出の増加等により、前年同期に比べて61億82百万円支出が増加し、394億59百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の減少等により、前年同期に比べて2,714億91百万円収入が減少し、371億3百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて2,755億37百万円減少し、126億11百万円のキャッシュの減少となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は189億78百万円であります。
当第1四半期連結累計期間(2021年4月1日~6月30日)の世界経済は、新型コロナウイルスによる活動制限の有無などから、各地の動向にばらつきが見られました。米国経済は、ワクチン接種の進展に伴い経済活動が再開したことから、ペントアップデマンド(抑制されていた需要)が個人消費を牽引し、景気が順調に回復しています。欧州経済は、ワクチン普及に伴う活動制限の段階的緩和により経済活動が持ち直し、景気回復の兆しを見せました。アジア・新興国経済は、感染の再拡大により内需の低迷が続く国も多く、景気回復ペースにばらつきが見られます。中国経済は、堅調な個人消費や輸出の拡大が景気を下支えしました。わが国経済は、3回目の緊急事態宣言発令に伴う個人消費の減少や半導体不足を受けた生産減少により、経済成長が停滞しました。
このような事業環境のもと、コロナ禍においてこれまで進めてきた、販売力・営業力の強化、差別化商品の迅速な開発・販売、需要変動に対応した柔軟な生産・供給体制の構築、徹底したコスト削減など、身軽で強靭な経営体質をベースとして、引き続き「攻め」と「挑戦」の姿勢で業績回復に努めました。具体的には、新たなニーズを捉えた新商品の投入によるさらなる拡販・シェアの向上、銅からアルミへの材料置換といったトータルコストダウンの推進、市場・顧客にその価値を認めていただける差別化商品の投入による販売価格政策の推進などに取り組み、原材料価格高騰によるコストアップ要因の吸収と収益力の向上に努めました。
また、2025年度を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定し、機器単品販売にとどまらないソリューション事業の強化、ヒートポンプ式暖房・給湯機のさらなる拡販、生産地から消費地までのコールドチェーンをつなぐ低温事業の構築、空気・換気に対するニーズの高まりや地球環境・気候変動問題の解決を見据えた商品・サービスの提供、北米空調事業の強化、ビジネスイノベーションとプロセスイノベーションの加速に向けたデジタル化の推進、技術開発力の強化、強靭なサプライチェーンの構築、人材力強化、カーボンニュートラル実現に向けた施策展開やアドボカシー活動の強化など様々な取り組みを開始しました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績については、売上高は7,989億75百万円(前年同期比37.4%増)となりました。利益面では、営業利益は1,092億54百万円(前年同期比100.4%増)、経常利益は1,118億59百万円(前年同期比102.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、786億28百万円(前年同期比137.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
①空調・冷凍機事業
空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前年同期比37.1%増の7,356億38百万円となりました。営業利益は、前年同期比93.7%増の999億59百万円となりました。
国内業務用空調機器の業界需要は、今年も緊急事態宣言による需要の鈍化が見られたものの、昨年同時期の緊急事態宣言の影響による需要の落ち込みが大きかったため、対前年で増加に転じました。当社グループは、このような緊急事態宣言下において、オンラインを活用した提案営業など、感染拡大防止策と営業活動の両立を進めました。また、市場で関心が高まる換気・除菌商材のニーズに応える提案営業を継続し、業務用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
国内住宅用空調機器の業界需要は、在宅時間の増加などに伴う巣ごもり需要により、前年同期を上回りました。当社グループは、『うるさらX(エックス)』をはじめとする換気機能付き機種の訴求強化に加え、コンパクトデザインの新型「CXシリーズ」の投入、ウイルスや菌の抑制性能を高めた『UVストリーマ空気清浄機』の発売など、製品ラインナップの拡充とユーザー訴求の強化を進め、住宅用空調機器の売上高は前年同期を上回りました。
米州では、昨年は新型コロナウイルス感染拡大による影響や、工場が一部停止したことで供給力に影響が出た期間がありましたが、今年は工場の停止期間はなく、また、猛暑や巣ごもりによる需要増加の効果もあり、販売が堅調に推移しました。さらに、買収による販売網強化や販売価格の見直しに取り組んだ結果、売上高は前年同期を大きく上回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルスの影響により停滞していた市場の回復を背景に、チラー(空調に必要な冷水を作る室外装置)やファンコイル(温度調節用の室内装置)の独自販売網での拡販や、サービス事業の拡大に取り組み、売上高は前年同期を上回りました。
中国では、住宅市場・個人消費を中心に景気は回復に向かいました。当社グループは、住宅関連商品、空気・換気商品の品揃えを強化するとともに、これまでの強みである店舗販売に加え、オンラインを活用した販売活動を加速し、住宅市場を中心に地域全体の売上高は前年同期を大きく上回りました。利益面では、原材料価格の高騰や半導体の調達問題などの影響があるなか、高収益商品の拡販、コストダウン・固定費削減に取り組み、高水準を維持しました。住宅用市場では、当社グループ独自の専売店「プロショップ」によるオフライン販売とオンラインを組み合わせた販売を展開し、新規顧客の探索や更新需要の取り込みなど販売を拡大しました。店舗・オフィスなど需要回復が遅れている業務用小売り市場では、換気・洗浄を切り口に顧客と接点を拡大し、更新・追加需要を取り込みました。大型物件市場では、大手デベロッパーとの協業を推進し、ソリューションを加えた販売を強化しました。アプライド空調機器市場では、インフラ関連、データセンター、半導体関連など成長分野に資源をシフトし、さらに保守・メンテナンスなどの成長分野での販売を強化しました。
アジア・オセアニアでは、4月は住宅用空調機器を中心に販売は堅調に推移しました。5月以降は、オセアニアでは引き続き堅調に推移するものの、インド・マレーシアなどアジア各国での新型コロナウイルス感染再拡大に伴うロックダウンや事業活動の制限強化により、厳しい市場環境が続きました。業務用空調機器については、感染拡大の影響を受け、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルス検査義務付けのため、市場全体で着工遅れや工事の中断・延期が発生する状況が続きました。このような状況ではありましたが、オセアニアでの堅調な販売や、価格政策を着実に実行したことにより、地域全体の売上高は業務用・住宅用ともに前年同期を大きく上回りました。
欧州では、地域全体の売上高は前年同期を大きく上回り、新型コロナウイルスによる影響が出る前の2019年以上となりました。期初からスエズ運河での座礁事故による物流の混乱や半導体の調達問題などが発生しましたが、欧州域内の最寄り工場での安定した生産・供給体制により販売を拡大しました。住宅用空調機器では、幅広い品揃えと販売力で、昨年からの堅調な巣ごもり需要による新規・追加需要を取り込みました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、経済復興とCO2削減の実現に向けて昨年に各国で新設・増設された欧州グリーンディールによる補助金が追い風となり、ガスやオイルボイラーからの更新需要の拡大や販売店開発、補助金申請支援等の販売力強化で大幅に販売を伸ばしました。これらにより、住宅用事業の売上高は前年同期を大きく上回りました。業務用空調機器においては、各国でロックダウンの解除によりレストランの営業、観光客の受け入れ等の経済活動が再開され、また、ワクチン接種の加速によるコロナ禍収束への見通しから、需要回復の兆しが見られました。当社グループは、空気質の改善提案等でコロナ禍での市場ニーズを汲み取るとともに、ITインフラや工場等の好調な市場での営業力強化で販売を伸ばしました。その結果、業務用空調機器の売上高は前年同期を大きく上回りました。また、低温事業は、投資が拡大する食品スーパー業界への販売を強化し、売上高は前年同期を大きく上回りました。
中近東・アフリカでは、カタールやエジプトでの販売強化により、売上高は前年同期を上回りました。トルコは、政府の住宅支援策が後押しとなり、住宅用空調機器・暖房機器の販売が大幅に増加し、トルコリラ下落の影響を受けましたが、円貨換算後の売上高においても前年同期を上回りました。
フィルタ事業は、新型コロナウイルス感染拡大により世界的に急速に高まった空気・換気ニーズに対して、他社に先駆けて感染症対策商材を市場に投入しました。また、ワクチン接種が進む欧米諸国を中心に、徐々に業務用市場での投資が再開し、電子・半導体業界、製薬業界、商業ビル向けなどの販売も好調に推移しました。また、ガスタービン・集塵機事業も、投資環境の改善など市場は概ね回復傾向にあり、売上高は前年同期を上回りました。
舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前年同期を上回りました。
②化学事業
化学事業セグメント合計の売上高は、前年同期比41.8%増の504億17百万円となりました。営業利益は、前年同期比197.6%増の79億1百万円となりました。
フッ素化学製品全体の販売は、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で大きく落ち込んだ昨年に対し、半導体・自動車分野を中心に広範囲で需要が回復したこともあり、売上高は前年同期を大きく上回りました。
フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連の需要回復が鮮明になってきており、売上高は前年同期を大きく上回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連を中心に需要の回復が顕著となり、売上高は前年同期を大きく上回りました。
化成品のうち、表面防汚コーティング剤において需要の停滞が見られたものの、撥水撥油剤や半導体向けエッチング剤などの需要が回復したことにより、化成品全体の売上高は前年同期を上回りました。
フルオロカーボンガスについては、需要が回復傾向にあり、売上高は前年同期を上回りました。
③その他事業
その他事業セグメント合計の売上高は、前年同期比37.1%増の129億19百万円となりました。営業利益は、前年同期比459.5%増の13億91百万円となりました。
産業機械用油圧機器は、国内市場では工作機械向けを中心に需要が回復したことに加え、アジア・欧米向け販売の増加により、売上高は前年同期を上回りました。また、建機・車両用油圧機器は、国内及び米国主要顧客向けの販売が増加したことにより、売上高は前年同期を上回りました。
特機部門では、防衛省向け砲弾の販売が増加したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う酸素濃縮装置及びパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の需要の増加を取り込んだことにより、売上高は前年同期を上回りました。
電子システム事業では、品質課題の解決・設計開発期間の短縮・コストダウン支援といった顧客のニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』、その関連商品『Smart Innovator(スマートイノベーター)』の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態の状況
総資産は、3兆3,403億81百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,007億18百万円増加しました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて1,027億10百万円増加の1兆8,360億71百万円となりました。固定資産は、のれんの償却による減少等により、前連結会計年度末に比べて19億92百万円減少の1兆5,043億9百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて387億49百万円増加の1兆5,799億16百万円となりました。有利子負債比率は、前連結会計年度末の23.2%から22.2%となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて619億69百万円増加の1兆7,604億64百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フローについては、営業活動では、税金等調整前四半期純利益の増加等により、前年同期に比べて28億38百万円収入が増加し、620億40百万円の収入となりました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出の増加等により、前年同期に比べて61億82百万円支出が増加し、394億59百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の減少等により、前年同期に比べて2,714億91百万円収入が減少し、371億3百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、前年同期に比べて2,755億37百万円減少し、126億11百万円のキャッシュの減少となりました。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は189億78百万円であります。