当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 (1)経営成績及び財政状態の状況 当連結会計年度における世界情勢は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックおよび米中貿易摩擦の影響により大幅に減速し、景気は低迷いたしました。わが国経済におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大の波が幾度と訪れたことにより景気は大きく低迷いたしました。 当社グループが属する射出成形機業界では、医療関連での需要は堅調に推移したものの、自動車関連を中心に需要が大きく減少いたしました。中国市場では、需要が先立ってコロナ禍以前の水準まで回復いたしましたが、欧米、国内市場では、新型コロナウイルス感染症の影響から需要の完全回復には至っておりません。 このような状況のもと、当社グループは、長期的視点から成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて推進すると同時に、2020年3月期を初年度とする第三次中期経営計画に基づいた事業を展開し、1947年の創業から昨年12月までに国内生産機の累計出荷台数が14万台を達成いたしました。 事業拠点の展開につきましては、昨年1月に連結子会社としたNEGRI BOSSI S.P.A.において、効率運営と黒字経営の定着のため、運営体制の見直しを実施したほか、営業、サービス、生産、調達等からのシナジー効果の創出に向けた施策を検討、実施してまいりました。また、米国においては、経営の効率化を図るべく製造・販売・財務の経営管理体制を一元化するため、販売子会社であるNISSEI AMERICA,INC.と生産子会社であるNISSEI PLASTIC MACHINERY AMERICA INC.を合併する準備を進めてまいりました。国内におきましては、日精ホンママシナリー株式会社の明石本社工場内に西日本テクニカルセンターを開設したことにより、西日本エリアのお客様へのスピーディな対応を展開いたしました。 商品開発におきましては、ハイブリッド式超大型射出成形機「FWX2050Ⅲ-1100L」を上市いたしました。本機は、当社の低圧成形技術「N-SAPLI」を活用することにより従来の機種と同サイズでありながら従来以上の大きな製品の成形が可能であり、ダウンサイジングを実現した次世代の成形機であります。超大型射出成形機は、自動車産業を中心に需要が堅調に推移しており、省エネ性能と省スペース化に優れた新型ハイブリッド式射出成形機により受注の拡大を図ってまいります。 展示会への出展につきましては、昨年11月にオンラインで開催されたプラスチック関連展示会「IPF Japan 2020 Virtual」に出展いたしました。同展は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンライン上での開催となりましたが、オンライン開催の利点を最大限活かしたWEB上での製品説明や面談および成形相談を実施し、好評を得ました。出展内容といたしましては、環境対応技術として、持続可能な資源循環型社会の実現や脱炭素による地球温暖化抑制に向けた取組みとして植物由来の環境対応素材「ポリ乳酸(PLA)」の用途を拡大した射出成形システムを提案いたしました。また、自動車や電子部品など幅広い分野におけるインサート成形向けで業界トップクラスの販売実績を誇る竪型射出成形機の最新モデルとしてハイブリッド式竪型射出成形機「TWX-RⅢ」シリーズを出展いたしました。同機は、業界トップクラスの低床化を実現したことで作業性が大幅に向上し、成形機の全高を低く抑えたことで成形工場での設置スペースの融通性も大幅に向上しております。また、「プライベートフェア2020」を本社成形技術センターで開催し、新機種、新技術を当社ユーザー向けに展示いたしました。出展内容といたしましては、小型電気式射出成形機NEX15Ⅲ-2EGを用いた1秒を切る超ハイサイクル成形および次世代ハイブリッド機FWX760Ⅲ-90Bによる全長が180tクラスでありながら460t~560tクラスの成形が低圧成形で可能となる革新的なダウンサイジング等を実演いたしました。 営業面におきましては、海外市場では、米国で自動車関連業界に対して米国工場での大型射出成形機の生産増に呼応した販売強化を実施すると共に、医療業界に対して小型、中型射出成形機の販売を強化いたしました。国内市場におきましては、西日本テクニカルセンターを活用した中大型機、竪型機、二色機の販売強化を実施いたしました。 当連結会計年度の業績につきましては、期中前半は新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大により経済活動が鈍化いたしましたが、期中後半に経済活動が再開したことから景気が緩やかに回復したことおよびNEGRI BOSSI S.P.A.グループを連結子会社化したこと等から売上高合計は前年同期比7.2%増の416億4百万円となりました。 利益面におきましては、海外での需要が回復傾向にあったこと等から営業利益は11億4千5百万円(前年同期比4.1%増)、経常利益は10億7千万円(同5.3%減)となりました。 これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億9千8百万円(前年同期比7.1%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 ① 日本 自動車関連等の需要が鈍化したこと等から、売上高(外部顧客への売上高)は141億2千8百万円(前年同期比34.9%減)、セグメント損失は1億1千3百万円(前年はセグメント利益8億1千2百万円)となりました。 ② 欧米地域 NEGRI BOSSI S.P.A.グループを子会社化したことおよび医療関係を中心に需要が堅調に推移したこと等から、売上高(外部顧客への売上高)は164億2千3百万円(前年同期比131.6%増)、セグメント利益は3億5千8百万円(同94.2%増)となりました。 ③ アジア地域 IT関連を中心に需要が堅調に推移したこと等から売上高(外部顧客への売上高)は110億5千2百万円(前年同期比10.5%増)、セグメント利益は5億9百万円(同20.6%増)となりました。 なお、当期の単体業績につきましては、売上高合計が292億9千6百万円(前年同期比12.0%減)となりました。このうち国内売上高は103億9千万円(前年同期比28.8%減)、輸出の売上高は189億5百万円(同1.1%増)となり、輸出比率は64.5%(前年同期実績は56.2%)となりました。 利益面におきましては、営業利益が1億5千5百万円(前年同期比84.8%減)、経常利益が6億2千4百万円(同55.3%減)、当期純損失が2億7千9百万円(前年は当期純利益10億2千4百万円)となりました。 財政状態におきましては次のとおりであります。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて11億8百万円増加し、643億6千4百万円となりました。 このうち流動資産は前連結会計年度末に比べて14億2千5百万円増加し、468億3千2百万円となりました。主たる増加要因は、現金及び預金の増加61億8千6百万円であり、主たる減少要因は、未収入金の減少8億9千万円および商品及び製品の減少8億4千9百万円および仕掛品の減少8億4千2百万円ならびに原材料及び貯蔵品の減少6億4千8百万円であります。 また、固定資産は、前連結会計年度末に比べて3億1千6百万円減少し、175億3千1百万円となりました。主たる増加要因は、投資有価証券の増加4億2百万円、主たる減少要因は有形固定資産の減少4億4千8百万円ならびに繰延税金資産の減少2億9千4百万円であります。 当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べて7億5千8百万円増加し、305億1千2百万円となりました。 このうち流動負債は前連結会計年度末に比べて4億7千1百万円減少し、210億1千7百万円となりました。主たる増加要因は、短期借入金の増加6億6千4百万円および1年内返済予定長期借入金の増加4億4千8百万円ならびにリース債務の増加3億3千4百万円であり、主たる減少要因は、支払手形及び買掛金の減少33億8千9百万円であります。 また、固定負債は前連結会計年度末に比べて12億2千9百万円増加し、94億9千4百万円となりました。主たる増加要因は、長期借入金の増加15億8千6百万円であります。 当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べて3億5千万円増加し、338億5千1百万円となりました。 なお、当連結会計年度における増減資はありません。 (2)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、61億8千6百万円増加し、141億1千9百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は46億9千3百万円(前年同期実績は50億4千4百万円の資金支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益10億7千万円およびたな卸資産の減少24億5千4百万円ならびに売上債権の減少20億6千9百万円の資金収入があったこと、仕入債務の減少28億3千1百万円の資金支出があったことによっております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は、5億4千万円(前年同期実績は12億3千8百万円の資金支出)となりました。これは主に本社工場の設備改修工事等の有形固定資産の取得による支出3億9百万円および無形固定資産の取得による支出2億3千1百万円の資金支出があったことによっております。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果得られた資金は、18億3千1百万円(前年同期実績は20億8千1百万円の資金収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入36億5千1百万円の資金収入があったこと、長期借入金の返済による支出17億9千9百万円および自己株式の取得による支出1億9千9百万円ならびに配当金の支払による支出1億9千6百万円の資金支出があったことによっております。 生産、受注及び販売の実績 (1)生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 生産高(百万円) 前年同期比(%) 日本 12,736 69.4 欧米地域 4,447 834.7 アジア地域 8,172 113.1 合計 25,356 97.1
(注)1 金額は、販売価格によっております。 2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 3 周辺機器及び部品につきましては、製品(又は部品)として仕入れる部分が多いため、上記に含めておりません。 4 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、欧米地域セグメントにおいてNEGRI BOSSI S.P.A.グループを連結子会社化したこと等によるものであります。 (2)受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称 受注高(百万円) 前年同期比(%) 受注残高 (百万円) 前年同期比(%) 日本 14,507 85.7 3,826 111.0 欧米地域 20,435 321.9 5,129 459.2 アジア地域 12,022 132.8 2,511 162.9 合計 46,965 145.3 11,466 187.8
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。 2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 3 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、欧米地域セグメントにおいてNEGRI BOSSI S.P.A.グループを連結子会社化したこと等によるものであります。 (3)販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称 販売高(百万円) 前年同期比(%) 日本 14,128 65.1 欧米地域 16,423 231.6 アジア地域 11,052 110.5 合計 41,604 107.2
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。 2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 該当する主要な相手先がないため、記載を省略しております。 4 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、欧米地域セグメントにおいてNEGRI BOSSI S.P.A.グループを連結子会社化したこと等によるものであります。 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において経営者が判断または予想したものであります。 (1)重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。 (2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度におきましては、当社グループの長期的視点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて、2020年3月期を初年度とする第三次中期経営計画に基づき事業を推し進めてまいりました。この結果、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響等により、2021年3月期におきましては業績予想値を全て上回ることはできませんでしたが、子会社の業務改善・生産性向上、環境対応、成形技術のDX(デジタルトランスフォーメーション)等、長期経営計画達成に向けての足場固めを積極的に進めてまいりました。 当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。 ① 売上高および売上総利益 当連結会計年度の売上高合計は、期中前半は新型コロナウイルス感染症の世界規模での感染拡大により経済活動が鈍化いたしましたが、期中後半に経済活動が再開したことにより景気が緩やかに回復したことおよびNEGRI BOSSI S.P.Aグループを連結子会社化したこと等から前年同期比7.2%増の416億4百万円となりました。 製品別売上高については次のとおりであります。 射出成形機 主力である射出成形機につきましては、NEGRI BOSSI S.P.A.グループを連結子会社化したこと等から売上高は313億7千7百万円(前年同期比11.7%増)となりました。 周辺機器 期中前半の、経済活動の鈍化の影響等から売上高は17億7千4百万円(前年同期比28.4%減)となりました。 部品 サービス需要が堅調だったこと等から売上高は60億3千5百万円(前年同期比12.8%増)となりました。 金型等 経済活動の鈍化の影響等から売上高は24億1千7百万円(前年同期比16.0%減)となりました。 売上総利益につきましては、海外での需要が回復傾向にあったこと等から122億1千9百万円(前年同期比19.4%増)となりました。また、売上高総利益率は29.4%(前年同期実績26.4%)となりました。 ② 営業利益 販売費及び一般管理費につきましては、NEGRI BOSSI S.P.A.グループを連結子会社化したこと等で合計で110億7千3百万円(前年同期比21.2%増)、営業利益は11億4千5百万円(前年同期比4.1%増)、売上高営業利益率は2.8%(前年同期実績2.8%)となりました。 ③ 経常利益 経常利益は10億7千万円(前年同期比5.3%減)、売上高経常利益率は2.6%(前年同期実績は2.9%)となりました。 ④ 税金等調整前当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、10億7千万円(前年同期比7.2%減)となり、法人税等合計額6億1千7百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億9千8百万円(同7.1%減)となりました。 ⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況 当社グループは、中長期的な目標値として3ヵ年の第三次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)を策定し、企業価値の向上を図ってまいりました。当連結会計年度におきましては親会社株主に帰属する当期純利益6億円を目標に事業展開をいたしましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界経済の急激な冷え込みや米中貿易摩擦の長期化等による受注環境の悪化から目標値を達成することができませんでした。 2022年3月期におきましては、ワクチン接種の拡大に伴う新型コロナウイルス感染症の収束に向けた動きにつれて、射出成形機業界は、先行きは不透明ではあるものの徐々に景気が回復すると見込まれます。新型コロナウイルス感染症の影響については、2022年3月期の下期から経済活動が本格的に回復すると仮定しております。 このような状況の下において、当社グループといたしましては、EU域内においてNEGRI BOSSI S.P.A.グループとのコラボレーションを強化し、既存顧客への再販と新たな市場開拓に注力するとともに、米国販社と工場の経営統合により販売体制を強化し、北米シェアの向上を図ってまいります。 当連結会計年度は、第三次中期経営計画の最終年度でありましたが1期先に延ばし、2023年3月期での達成を目指すことといたしました。なお、当連結会計年度につきましては、連結売上高436億円、連結営業利益24億円の達成を目指してまいります。 事業展開といたしましては、脱炭素社会の実現に向けた市場のニーズに応えるため、ロードマップに即した計画的な開発と商品化を推進し、省スペース、ダウンサイジングの次世代戦略機のシリーズ化、環境対応素材の拡販等を進めてまいります。 生産体制の強化といたしましては、活発な中国市場の対応として、中国工場内のラインの再編成し、より効率的な増産体制を開始するほか、国内においては日精ホンママシナリー株式会社において本格的に国内向け大型射出成形機生産を開始いたします。また、グローバルサプライチェーンの強化により、品質、コスト削減と納期の改善を進めてまいります。指標 当連結会計年度実績 中期経営計画 (2023年3月期 目標値) 連結売上高(百万円) 41,604 50,000 連結営業利益(百万円) 1,145 4,000
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析 ① 資本需要 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、射出成形機の部材の購入費用、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用であります。投資を目的にしたものは、主に生産設備等の設備投資費用および射出成形機の研究開発費用等であります。 ② 資金の流動性について 当社グループは、事業運営上の必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 運転資金につきましては、主に自己資金および金融機関からの借入によって調達しております。 なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は119億6千7百万円であります。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。