有価証券報告書-第104期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/22 15:15
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文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・前提を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な前提にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。新型コロナウイルス感染拡大がソニーの事業に悪影響を与え得るタイミングや度合いは不確実であり、今後の事態の進展によります。この不確実性は、会計上の見積り及び前提に追加の変動をもたらす可能性があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計方針として考えています。
投資
ソニーの投資は、原価法あるいは持分法により会計処理されている負債及び持分証券を含みます。負債証券については、信用損失の評価が行われ、必要に応じて引当金が計上されます。ソニーは、売却可能証券に区分された負債証券について定期的に減損の評価を実施しています。売却可能証券に分類された負債証券のうち未実現損失の状態にある証券については、未実現損失の状態にある期間の長短に限らず、公正価値が償却原価を下回る程度、利子又は元本の支払条件や滞納の事実ならびに格付けの変更といったキャッシュ・フローの回収が不利となるような状況を示唆する情報と、ソニーが償却原価までその価値が回復する前に証券を売却する可能性とを併せて考慮し、公正価値が償却原価を下回る要因が信用損失によるものかを判断します。ソニーは負債証券から将来回収が見込まれるキャッシュ・フローの現在価値と償却原価を比較し、将来回収が見込まれるキャッシュ・フローの現在価値が償却原価を下回る場合は、信用損失による引当金として、公正価値が償却原価を下回る金額を限度に、連結損益計算書を通じて計上します。信用損失による引当金として計上されなかった価値の下落については、税効果を考慮した上でその他の包括利益(損失)として計上されます。
ソニーは、定期的に満期保有目的に区分された負債証券に関する信用損失の評価を実施しています。ソニーは、過去又は現在の事象や状況、合理的で裏付け可能な将来予測等のキャッシュ・フローの回収可能性の評価に関連する入手可能な内部、外部情報にもとづき、契約期間にわたる信用損失の可能性を見積もります。評価の結果必要と判断された場合は、負債証券から将来回収が見込まれるキャッシュ・フローの純額を反映するように信用損失に関する引当金が測定され、当期の損失に反映されます。
負債証券の信用損失の評価は、多くの場合、主観的であり、発行企業の格付け、業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、信用損失がないと判断している負債証券について、格付けの低下、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化あるいは市場金利変動の影響等の事後情報の評価にもとづき、将来、信用損失に関する引当金が測定され、費用として認識され将来の収益を減額する場合があります。
棚卸資産の評価
ソニーは原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で棚卸資産を評価します。棚卸資産原価と正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成及び処分までの費用を控除した額)の差額を評価減計上します。ソニーは、部品や製品が陳腐化したり、在庫量が使用見込みを上回ったり、又は在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。市場環境が予測より悪化してさらなる値下げが必要な場合には、将来において追加の評価減計上が必要となります。
長期性資産の減損
ソニーは、保有して使用される長期性資産及び処分予定の長期性資産又は資産グループの簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の有無を検討しています。保有して使用される長期性資産は割引前将来キャッシュ・フローと長期性資産又は資産グループの簿価を比較することにより減損の検討が行われています。この検討は、主として製品カテゴリーごと、特定の場合には、企業ごとの将来キャッシュ・フローの見積りにもとづいて行われます。資産又は資産グループの簿価が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損損失を認識します。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。
マネジメントは、将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。
企業結合
ソニーは取得法の適用時に、みなし取得価額を識別可能資産及び引受負債に割り当て、残余の取得価額は営業権として計上しています。取得価額の割当では、識別可能資産及び引受負債、特に無形固定資産の公正価値の決定に重要な見積りが使用されます。通常、独立した外部の第三者が評価プロセスに関与します。重要な見積り及び前提は、収益及び将来キャッシュ・フローの計上時期及び金額、将来キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、ならびにターミナル・バリューを決定する際に適用される永続成長率等を含みます。
見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この取得価額は異なる金額で評価され、取得資産及び引受負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、営業権を含む取得資産の減損損失の計上又は引受負債の増加が必要となる可能性があります。
営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。
2020年度第4四半期において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額の比較による定量的手続を行いました。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権について減損損失は認識されません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、報告単位に配分された営業権の総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産の減損判定では、公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。
営業権の減損判定における報告単位の公正価値の決定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。同様に、非償却性無形固定資産の公正価値の決定においても、見積り・前提が使用されます。これらの見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
これらの減損判定において、ソニーは、社内における評価を行い、またマネジメントが妥当と判断する場合には第三者による評価を活用するとともに、一般に入手可能な市場情報を考慮に入れています。報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮します。
将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される前提は、それぞれの報告単位における見込み及び中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況を考慮しています。永続成長率は主に中期計画の3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。映画分野の報告単位など、特定の報告単位においては、より長い見込期間、及び予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される利益倍率を用いた出口価格に、コントロール・プレミアムを加味して算定されたターミナル・バリューを使用しています。割引率は類似企業の加重平均資本コストにより算出されています。
2020年度の減損判定において、営業権を持つ全ての報告単位の公正価値が帳簿価額を超過していたため、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。また、重要な営業権を持つ報告単位において公正価値は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。耐用年数の確定できない非償却性資産においても、公正価値が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。
2021年3月31日現在のセグメントごとの営業権の帳簿価額は以下のとおりです。
金額
(単位:百万円)
G&NS172,360
音楽408,823
映画172,482
EP&S16,140
I&SS46,510
金融10,834
合計827,149

上述の中期計画を除く、2020年度の減損判定における、ソニーの報告単位の公正価値への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。
・割引率は5.2%から12.1%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1ポイント増加させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・G&NS分野、EP&S分野、I&SS分野及び金融分野の報告単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率はおおよそ1.0%から1.5%の範囲です。音楽分野の報告単位における中期計画を超える期間の成長率は0%から7.5%の範囲、映画分野では3.0%から4.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1ポイント減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・映画分野の報告単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は10.0です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
マネジメントは、営業権の減損判定における公正価値の見積りに用いられた前提は、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
退職年金費用
従業員の退職年金費用及び債務は、最新の統計数値にもとづく割引率、退職率及び死亡率を含む特定の前提条件に加え、年金制度資産の長期期待収益率及びその他の要因にも左右されます。特に割引率と長期期待収益率は、期間退職・年金費用及び退職給付債務を決定する上で、二つの重要な前提条件です。前提条件は、少なくとも年に一度、又はこれらの重要な前提条件に重大な影響を与えるような事象の発生又は状況の変化があった場合に評価されます。
米国会計原則にしたがって、前提条件と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来認識される退職年金費用及び退職給付債務に影響します。マネジメントはこれらの前提条件が適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、ソニーの退職給付債務及び将来の退職年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの主要な年金制度は国内年金制度です。個別の海外年金制度に関して、年金制度資産及び退職給付債務の国内及び海外総額にとって重要性のあるものはありません。
ソニーは2021年3月31日現在の国内年金制度の退職給付債務の決定において、0.6%の割引率を適用しました。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の収益率情報を使用し、給付の見込支払額と時期を考慮して決定されます。この収益率情報には、公表されている市場情報及び複数の格付け機関から提供される数値が使用されています。この0.6%の割引率は2019年度と同等の水準であり、昨今の日本における市場金利状況を反映しています。
年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。国内年金制度における2020年3月31日及び2021年3月31日現在の年金資産の長期期待収益率は、それぞれ2.5%及び2.6%でした。2019年度及び2020年度の実際の収益率は、それぞれ1.3%及び12.6%でした。2020年度において実際の収益率が長期期待収益率を上回った要因としては、主に新型コロナウイルスのワクチンの普及とそれに伴った景気回復期待を起因とする、2020年度を通じた世界的な株価上昇が挙げられます。実際の結果と年金制度資産の長期期待収益との差異は、累積され、退職年金費用の一部として将来の一定期間にわたって償却されます。その結果、毎年の退職年金費用のボラティリティが軽減されています。2020年3月31日及び2021年3月31日現在における、ソニーの国内年金制度についての年金制度資産の損失を含む年金数理純損失は、それぞれ2,234億円及び1,634億円でした。2020年度において、主に年金制度資産の実際の収益率が長期期待収益率を上回ったことにより、年金数理純損失は減少しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照)
以下の表は、他の前提条件を2021年3月31日より一定とした場合の、2021年度における国内年金制度の割引率と年金制度資産の長期期待収益率の変動による影響を表しています。
前提条件の変更予測給付債務退職年金費用当期純利益
割引率
0.25ポイント増/0.25ポイント減-/+174億円+/-2億円-/+1億円
年金制度資産の長期期待収益率
0.25ポイント増/0.25ポイント減--/+11億円+/-8億円

繰延税金資産の評価
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。
過年度に計上した損失の結果、2021年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で2,764億円の評価性引当金を計上しています。この評価性引当金には、日本における当社とその連結納税グループの法人税にかかるものが135億円、地方税にかかるものが1,266億円含まれています。
ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動、とりわけ連結会社間の移転価格において、最終的な税額の決定が不確実な状況が多く生じています。繰延税金資産の金額は、連結会社間の移転価格の決定による各税務管轄における課税所得の最終的な配分などに関するソニーの判断にもとづき不確実な税務ポジションのうち50%超の可能性で起こり得る最終的な結果を考慮しています。繰延税金資産の評価に関する見積りは、貸借対照表日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産を回収可能額まで減額するために、将来において追加的な評価性引当金の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連する質的要因や不確実性を考慮した上で、税金費用の戻し入れをともなう評価性引当金の取崩しが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの要因や変化は、評価性引当金が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
米国税制改革法により企業に対する米国の課税方法が大きく変わりました。米国税制改革法では、従来の米国の税法では要求されていなかった複雑な計算や米国税制改革法の規定の解釈における重要な判断、計算における重要な見積り、ならびに従来は関連性がないもしくは定期的に作成されていない情報の収集と分析が必要となります。米国財務省、内国歳入庁ならびにその他基準設定機関により、米国税制改革法の規定の適用・施行に関する解釈とガイダンスの発行が引き続き行われる予定です。ガイダンスが今後発行されることにより、従来計上した税金引当額に対して修正を行い、当該修正を行う期間の財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
映画会計
映画会計においては、作品ごとの予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは次の2点において重要となります。第一に、映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。第二に、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいています。
マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優あるいは女優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。
保険契約債務
後述の最低保証給付に対する債務を除き、保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び解約率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。当該保険契約債務は0.5%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び解約率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表によっています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。
保険契約債務には変額年金保険契約及び変額保険契約における最低保証給付に対する債務を含んでいます。変額年金保険契約及び変額保険契約に関して、ソニーは最低保証(死亡、年金原資など)を行っており、契約上定められた最低給付額を保険契約者に支払う義務を負っています。最低保証が付帯する変額年金保険契約には公正価値オプションを適用しています。(詳細については「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『14 公正価値による測定』を参照)公正価値オプションを適用している部分を除き、当該最低保証給付に係る保険契約債務は、契約の存続期間全体の予想される超過支払いの現在価値を予想される総徴収の現在価値で除した比率にもとづいて計算しています。当該計算の重要な前提条件には、死亡率、解約率、割引率及び資産運用利回りが含まれています。
生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.7%から2.0%です。変額保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約、変額個人年金保険契約及び年金開始後契約が含まれています。投資契約(変額個人年金保険除く)に対する付与利率は、0.01%から6.3%です。変額個人年金保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。生命保険ビジネスにおける契約者勘定には最低保証が付帯する変額年金保険契約及び変額保険契約に関する債務を含んでいます。また、このうち一部の生命保険ビジネスにおける契約者勘定には公正価値オプションを適用しています。(詳細については「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『14 公正価値による測定』参照)
(2)生産、受注及び販売の状況
ソニーの生産・販売品目は極めて多種多様であり、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っています。ソニーでは、主にG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野において、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産の状況については後述の「(3)経営成績の分析」におけるG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野の業績に関連付けて示しています。また、販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」において各分野の業績に関連付けて示しています。
(3)経営成績の分析
営業概況
2019年度
(億円)
2020年度
(億円)
売上高及び営業収入82,59989,994
持分法による投資利益(損失)96115
営業利益8,4559,719
税引前利益7,99511,924
当社株主に帰属する当期純利益5,82211,718

連結業績
売上高
2020年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比7,395億円増加し、8兆9,994億円となりました。これは、映画分野の大幅な減収などがあったものの、G&NS分野及び金融分野の大幅な増収などによるものです。なお、前年度の売上高には、特定のライセンス契約締結にともなう特許料収入79億円が含まれており、全社(共通)及びセグメント間取引消去に計上されています。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。
(後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、売上高には、純売上高及び営業収入のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、金融ビジネス費用は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。)
売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損(益)(純額)
2020年度の売上原価は、前年度比3,194億円増加して5兆726億円となり、売上高に対する比率は前年度の68.3%から69.1%に悪化しました。なお、2020年度の売上原価には、モバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減72億円が含まれており、I&SS分野に計上されています。
研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度比259億円増加して5,252億円となり、売上高に対する比率は前年度から変わらず7.2%になりました。(詳細は「第2 事業の状況」『5 研究開発活動』参照)
販売費及び一般管理費は、前年度比327億円減少し、1兆4,700億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前年度の21.6%から20.0%に改善しました。
その他の営業損(益)(純額)は、前年度比111億円減少し、75億円の損失となりました。この大幅な悪化は、主に以下の2020年度に発生した要因の寄与及び2019年度に発生した要因による影響がなかったことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『21 連結損益計算書についての補足情報』参照)
2020年度に発生した要因
・Pledis Entertainment Co., Ltd.(以下「Pledis」)株式の一部譲渡にともなう売却益 65億円(音楽分野)
・事業譲渡にともなう利益 54億円(音楽分野)
・介護事業における固定資産の減損損失 74億円(金融分野)
2019年度に発生した要因
・SREホールディングス㈱株式の上場及び一部売出しにともなう再評価益及び売却益 173億円(その他分野)
・㈱NSFエンゲージメント株式の一部譲渡にともなう売却益及び再評価益 63億円(全社(共通)及びセグメント間取引消去)
持分法による投資利益(損失)
2020年度の持分法による投資利益(損失)は、前年度比19億円増加し、115億円となりました。
営業利益
2020年度の営業利益は、前年度比1,264億円増加し、9,719億円となりました。この増益は、I&SS分野の大幅な減益があったものの、主にG&NS分野、EP&S分野及び音楽分野の大幅な増益によるものです。なお、当年度及び前年度の営業利益には、前述のその他の営業損(益)(純額)として計上された要因が含まれています。また、当年度の営業利益には、主に販売費及び一般管理費として計上された「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」にかかる費用53億円が含まれており、全社(共通)及びセグメント間取引消去に計上されています。
その他の収益及び費用
2020年度のその他の収益は、前年度から2,423億円増加し、2,642億円となりました。一方、その他の費用は前年度に比べ242億円減少し、437億円となりました。その他の収益からその他の費用を差し引いた純額は、前年度比2,665億円改善し、2,205億円の収益となりました。これは主に当年度において、Bilibili株式及びSpotify Technology S.A.株式などの評価益2,470億円を計上したことによるものです。なお、上記の評価益には、特定の非上場株式にかかる評価益146億円及び売却制限が一年以内に解除される株式にかかる評価益112億円が含まれています。
為替差損(純額)は、前年度比107億円減少し、161億円を計上しました。なお、受取利息及び配当金は、前年度比88億円減少し、105億円となりました。支払利息は前年度比11億円増加し、122億円となりました。
税引前利益
2020年度の税引前利益は、前年度比3,929億円増加し、1兆1,924億円となりました。
法人税等
2020年度の法人税等は、10億円を計上し、実効税率は前年度の22.2%を下回り0.1%となりました。これは主に、日本及び米国において繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩したことによるものです。日本の連結納税グループにおける相当部分の法人税にかかる繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩した結果、2020年度第2四半期連結会計期間において法人税等を2,149億円減額し、また、一部の日本の会社において地方税にかかる繰延税金資産に対する評価性引当金の見直しを実施した結果、当年度に法人税等を76億円減額(純額)しました。また、米国の連結納税グループにおける外国税額控除及び試験研究費の税額控除にかかる繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩した結果、当年度に法人税等をそれぞれ213億円及び136億円減額しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)
非支配持分に帰属する当期純利益
2020年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度比205億円減少し、196億円となりました。これは主にSFHを完全子会社化したことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『17 資本勘定 (4)非支配持分との資本取引』参照)
当社株主に帰属する当期純利益
2020年度の当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度比5,896億円増加し、1兆1,718億円となりました。
基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の471.64円に対し、2020年度は952.29円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の461.23円に対し、2020年度は936.90円となりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照)
分野別営業概況
以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高及び営業収入は、セグメント間取引を含みます。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『28 セグメント情報』参照)
G&NS分野
主要経営数値
2019年度
(百万円)
2020年度
(百万円)
製品部門別の外部顧客向け売上高
デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ1,010,2961,454,654
ネットワーク337,265382,950
ハードウェア・その他572,199767,109
外部顧客向け売上高の合計1,919,7602,604,713
セグメント間取引57,79151,565
セグメント売上高1,977,5512,656,278
セグメント営業利益238,400342,192
主要製品の売上台数(万台)(万台)
PS4ハードウェア1,350570
PS5ハードウェア-780

* ハードウェアの売上台数については、2020年度より、返品は売上時点にかかわらず返品のあった年度の売上台数から控除し、新装整備品は出荷が行われた年度の売上台数に加算して表示する方法に変更しています。2019年度の売上台数は2020年度の表示合わせて、従来開示していた数値から組替再表示しています。
2020年度のG&NS分野の売上高は、前年度比6,787億円増加し、2兆6,563億円となりました。この大幅な増収は、主にアドオンコンテンツを含むゲームソフトウェア販売の増加及びプレイステーション®5(以下「PS5™」)発売にともなうハードウェア売上の増加によるものです。
営業利益は、前年度比1,038億円増加し、3,422億円となりました。この大幅な増益は、PS5™ハードウェアの製造コストを下回る戦略的な価格設定による損失、ならびにPS5™発売にかかる販売費及び一般管理費の増加などがあったものの、主に前述のゲームソフトウェアの増収、及びプレイステーション®プラス(以下「PS Plus」)を中心としたネットワークサービスの増収によるものです。なお、当年度の為替の好影響は153億円でした。
事業環境及び事業戦略
2020年度の当分野の業績は、コロナ禍における巣籠もり需要の高まりやPS5™の発売により、プレイステーションプラットフォームのユーザーエンゲージメントを高い水準で維持できたことによるハードウェア、ソフトウェア及びネットワークサービスの好調を反映したものとなりました。このような環境下、ハードウェアについてはPS5™に対する非常に強い需要に対して、供給が十分に追い付いていない状況が続いています。2021年度においても半導体を中心としたデバイスの供給制約が想定されるものの、お客様からの強い需要に応えられるよう、引き続き部材の確保に努めるとともに、生産改善などに取り組んでいきます。ソフトウェア及びネットワークサービスについては、2020年度に引き続きソフトウェアの強化に向けた自社スタジオへの積極的な費用投下や、外部スタジオへの出資や協業などに継続的に取り組むことに加え、PS Plusをはじめとしたネットワークサービスの魅力をさらに高める施策に注力することで、プレイステーションプラットフォームのさらなる強化及びユーザーエンゲージメントの維持・拡大に取り組んでいきます。
音楽分野
音楽分野の業績には、日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、SME及びSMPの円換算後の業績が含まれています。
主要経営数値
2019年度
(百万円)
2020年度
(百万円)
ビジネス部門別の外部顧客向け売上高
音楽制作(ストリーミング)276,039337,100
音楽制作(その他)191,114179,167
音楽出版157,478156,862
映像メディア・プラットフォーム213,961254,121
外部顧客向け売上高の合計838,592927,250
セグメント間取引11,31712,617
セグメント売上高849,909939,867
セグメント営業利益142,345188,056

2020年度の音楽分野の売上高は、前年度比900億円増加し、9,399億円となりました。この大幅な増収は、音楽制作及び映像メディア・プラットフォームの売上が増加したことなどによるものです。音楽制作は、主にストリーミングサービスからの収入の増加により、増収となりました。映像メディア・プラットフォームは、主に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の貢献などによるアニメ事業の売上増加及びモバイル向けゲームアプリケーションの収入の増加により、増収となりました。
営業利益は、前年度比457億円増加し、1,881億円となりました。この大幅な増益は、前述の増収の影響に加え、Pledis株式の一部譲渡にともなう売却益65億円の計上及び海外での事業譲渡にともなう利益54億円の計上などによるものです。
事業環境及び事業戦略
2020年度の当分野の業績は、新型コロナウイルスの感染拡大により、一部のアーティストの新曲のリリースに遅れが出たこと、コンサートその他のイベントの開催に制約が出たこと、及び世界的な広告活動の縮小があったことなどの影響があった一方で、デジタルストリーミング配信の拡大などによりレコード音楽市場の成長が続いていることや、前述の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の貢献などにより映像メディア・プラットフォームが好調に推移したことを反映したものとなりました。このような環境下、当分野の投資機会は着実に増加しており、ソニーはコンテンツIP強化やアーティストとの関係強化のための積極的な投資を続けています。また、新興市場におけるストリーミングの普及拡大による利益成長の機会を得るため、ローカルタレントへの積極的な投資やローカル企業との協業などにより、新興市場へのアプローチも強化しています。ソニーは、2021年4月にブラジルの独立系音楽レーベル「Som Livre」の買収を発表し、2021年5月に主にインディーズアーティストを対象とした音楽配給事業「AWAL」の買収を完了しました。さらに今後は、多様性のあるソニーグループの一員というポジションを活かし、アーティストに幅広いマーケティングの機会を提供していきます。このように当分野では、引き続き音楽制作及び音楽出版の継続的な利益成長に向けたコンテンツIPへの投資やアーティストの発掘・育成を続けていきます。加えて、映像メディア・プラットフォームにおいても、アニメ作品をもとにしたモバイル向けゲームアプリの開発・販売などを通じて、アニメIPの強化に引き続き取り組んでいきます。
映画分野
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSPEの円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
主要経営数値
2019年度
(百万円)
2020年度
(百万円)
ビジネス部門別の外部顧客向け売上高
映画製作475,061271,081
テレビ番組制作301,224267,123
メディアネットワーク234,429219,376
外部顧客向け売上高の合計1,010,714757,580
セグメント間取引1,1401,187
セグメント売上高1,011,854758,767
セグメント営業利益68,15780,478

2020年度の映画分野の売上高は、前年度比2,531億円(25%)減少し、7,588億円となりました(米ドルベースでは、23%の減収)。この大幅な減収は、主に映画製作及びテレビ番組制作における減収によるものです。映画製作では、前年度公開作品及びカタログ作品のホームエンタテインメント売上の増加があったものの、当年度において主に新型コロナウイルス感染拡大による映画館の閉鎖の影響により主要作品の劇場公開ができなかったため、減収となりました。テレビ番組制作では、新型コロナウイルス感染拡大による作品制作の遅れなどにより納入数が減少したため、減収となりました。
営業利益は、前年度比123億円増加し、805億円となりました。この増益は、前述の減収の影響があったものの、主に新型コロナウイルス感染拡大により映画製作において主要作品の劇場公開ができなかった影響で広告宣伝費が減少したこと、及び前述のホームエンタテインメント売上の増加によるものです。また、メディアネットワークにおけるチャンネルポートフォリオ見直し費用が前年度の170億円に対して当年度は50億円に減少したことも増益の要因となりました。
事業環境及び事業戦略
2020年度の当分野の業績は、前述のとおり、新型コロナウイルス感染拡大による影響を大きく受けました。一方で、コロナ禍において消費者による動画配信サービスを通じたコンテンツ視聴の動きが加速したことで、配信事業者がさらなるコンテンツの獲得を求め、コンテンツに対する需要が一段と高まっています。このような環境の下、ソニーは引き続きコンテンツのグローバルな魅力を高め、開発及び取得した知的財産を強化するために尽力し、同時に、世界中のトップコンテンツクリエイター及び主要放送局との強力な関係の構築・維持に努めてきました。今後も独立系スタジオとしての強みを活かし、独自IPの展開及び再活性化と新しいIP創出のためのクリエイティビティの強化に向けた投資を通じて、幅広いジャンルで優れた映像コンテンツの制作を継続していきます。ソニーにとって映画製作における劇場公開の重要性は変わらないものの、劇場の再開にともなう過密な公開スケジュールも考慮し、作品の内容、規模及び時期に応じて、販路を柔軟に選択することで作品ごとの長期的な価値を最大化していきます。また、アニメ配信、子供向け番組制作、家族や信仰をテーマとした番組制作及び配信、ならびにインドのネットワーク事業を通じて、コミュニティ・オブ・インタレストの多様化と成長拡大にも力を入れていきます。加えて、映画製作やテレビ番組制作におけるソニーグループ内連携への取り組みもさらに強化していきます。
EP&S分野
主要経営数値
2019年度
(百万円)
2020年度
(百万円)
製品部門別の外部顧客向け売上高
テレビ646,513709,007
オーディオ・ビデオ346,060313,975
静止画・動画カメラ384,142338,694
モバイル・コミュニケーション362,144358,580
その他231,021182,631
外部顧客向け売上高の合計1,969,8801,902,887
セグメント間取引21,38817,843
セグメント売上高1,991,2681,920,730
セグメント営業利益87,276139,180
主要製品の売上台数(万台)(万台)
テレビ930930
スマートフォン320290

2020年度のEP&S分野の売上高は、前年度比705億円減少し、1兆9,207億円となりました。この減収は、製品ミックスの改善によるテレビの増収はあったものの、主に販売台数の減少によるデジタルカメラ、放送用・業務用機器、オーディオ・ビデオの減収、ならびに為替の影響によるものです。
営業利益は、前年度比519億円増加し、1,392億円となりました。この大幅な増益は、前述の減収の影響はあったものの、モバイル・コミュニケーションを中心としたオペレーション費用の削減や、テレビ、デジタルカメラにおける製品ミックスの改善などによるものです。なお、当年度の為替の好影響は66億円でした。
事業環境及び事業戦略
2020年度の当分野の業績は、年間を通じ、新型コロナウイルス感染拡大をはじめとした様々な要因により断続的に部品サプライチェーンに供給制約が起こったものの、このような変化に機敏に対応することで高い収益性を確保することができました。また、モバイル・コミュニケーションにおいては、スマートフォン事業の収益構造の改善を進めてきた結果、営業損失からの脱却を果たすことができました。引き続き当分野を取り巻く事業環境は予断を許しませんが、今後も事業オペレーションの強化及び各商品のさらなる高付加価値化を図るとともに、新規事業の創出を積極的に進め、持続的かつ安定的な成長をめざします。
I&SS分野
主要経営数値
2019年度
(百万円)
2020年度
(百万円)
外部顧客向け売上高の合計985,259937,859
セグメント間取引85,31774,638
セグメント売上高1,070,5761,012,497
セグメント営業利益235,584145,876

2020年度のI&SS分野の売上高は、前年度比581億円減少し、1兆125億円となりました。この減収は、主にモバイル機器向けイメージセンサーについて、販売数量が増加したものの、製品ミックスが悪化したことにより減収となったことや、為替の影響及び新型コロナウイルス感染拡大の影響によるデジタルカメラ向けイメージセンサーの販売数量の減少にともなう減収などによるものです。
営業利益は、前年度比897億円減少し、1,459億円となりました。この大幅な減益は、研究開発費及び減価償却費の増加、前述の減収の影響、為替の悪影響、ならびに前述の米国の輸出規制を受けて出荷を停止していたモバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減72億円の計上などによるものです。なお、当年度の為替の悪影響は86億円でした。
事業環境及び事業戦略
2020年度の当分野の業績は、米中摩擦の影響などによるモバイル機器向けイメージセンサーの市場構造の変化を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは顧客基盤、設備投資及び研究開発の観点で事業戦略の見直しを進めてきました。2021年度は、2020年度において進めてきた顧客基盤の分散や拡大により、数量ベースでの市場シェアを回復させ、2022年度以降の収益性回復に向けて、高付加価値モデルへの再シフトを進めていきます。また、足元では市場環境の回復が見られることから、今後の事業拡大ペースに合わせて、生産能力増強のための設備投資も継続していきます。この結果、2021年度から2023年度までの3年間における設備投資額は、2018年から2020年までの3年間と比べて増加する見込みです。さらに車載やセンシングといった新規領域の取り組みも引き続き積極的に進めていきます。これらの取り組みにより、イメージング用途で世界No.1を堅持し、センシング用途でも世界No.1をめざします。
以下の棚卸資産及び地域別の生産状況は、G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野に関するものです。
棚卸資産
2019年度
(億円)
2020年度
(億円)
G&NS563761
EP&S2,0652,313
I&SS2,5052,820
合計5,1335,894

地域別の生産状況
以下の表は、G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野合計の年間全生産高の自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳、ならびに年間自社生産高の地域別内訳を示したものです。
自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳*
2019年度2020年度
自社生産高73%66%
社外への生産委託による生産高27%34%
合計100%100%

自社生産高の地域別内訳*
自社生産高の地域別内訳におけるカッコ内の数値は、各地域からそれ以外の地域に輸出された製品の比率を示しています。
2019年度2020年度
日本63%(92%)61%(92%)
中国12%(60%)13%(53%)
アジア・太平洋地域24%(66%)24%(72%)
米州及び欧州1%(20%)1%(39%)
合計100%100%

* 小数点以下を四捨五入して記載しております。したがって、各欄の合計が合計額の欄と一致しない場合があります。
金融分野
金融分野には、SFH及びSFHの連結子会社であるソニー生命、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)等の業績が含まれています。金融分野に記載されているソニー生命の業績は、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。
主要経営数値
2019年度
(百万円)
2020年度
(百万円)
金融ビジネス収入1,307,7481,668,921
営業利益129,597164,582

2020年度の金融ビジネス収入は、主にソニー生命及びソニー銀行の大幅増収により、前年度比3,612億円増加し、1兆6,689億円となりました。ソニー生命の収入は、保有契約高が拡大したものの一時払保険料の減少により保険料収入が減少した一方で、特別勘定における運用益が増加したことにより、前年度比2,992億円増加し、1兆4,709億円となりました。ソニー銀行の増収は有価証券評価損益の改善によるものです。
営業利益は、介護事業において固定資産の減損損失を計上したものの、ソニー銀行及びソニー損保の大幅増益により前年度比350億円増加し、1,646億円となりました。ソニー銀行の増益は前述の有価証券評価損益の改善、ソニー損保の増益は自動車保険の損害率の低下によるものです。なお、ソニー生命の営業利益は、前年度比45億円増加し、1,280億円となりました。この増益は、変額保険等の市況の変動にともなう最低保証にかかる責任準備金の繰入額等及びヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益の合計金額の悪化や新型コロナウイルス対策関連費用の計上などがあったものの、株式相場や金利の上昇にともなう責任準備金繰入額が減少したことなどによるものです。
事業環境及び事業戦略
2020年度の当分野の業績は、日本経済と債券市場の状況を反映したものとなりました。日本経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄されました。2020年の夏以降は、感染拡大の鎮静化と外出制限の緩和、ならびに海外経済の回復を受け、日本経済も持ち直しの動きとなりました。こうしたなか、日本経済は内需の停滞と外需の回復という二極化が鮮明となり、緩やかな回復にとどまりました。債券市場は、日本銀行の金融政策及び米国の長期金利の影響を強く受けました。このような環境の下、ソニーは、お客さまに最も信頼される金融サービスグループをめざして、健全な財務基盤を維持しつつ、お客さま一人ひとりに付加価値の高い商品と質の高いサービスを提供すべく、商品・サービスの強化・拡充、内部管理態勢の一層の充実など、様々な取り組みを行ってまいりました。「心豊かに暮らせる社会を目指し、人に寄り添う力とテクノロジーの力で、一人ひとりの安心と夢を支える金融グループになる」というビジョンのもと、お客さまへの提供価値を最大化することでグループ全体として収益性をともなった持続的成長をめざします。この実現のため、コア・ユニークな競争優位性の徹底強化、低金利に耐え得る収益構造への転換、お客さま目線経営のさらなる進化、テクノロジーによる競争力強化、グループシナジーの最大化、の5つを戦略の柱として取り組んでいきます。
金融分野を分離した経営成績情報
以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約損益計算書(3月31日に終了した1年間)
(単位:百万円)金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結
2019年度2020年度2019年度2020年度2019年度2020年度
金融ビジネス収入1,307,7481,668,921--1,299,8471,661,520
純売上高及び営業収入--6,965,9717,344,1116,960,0387,337,840
売上高及び営業収入合計1,307,7481,668,9216,965,9717,344,1118,259,8858,999,360
売上原価--4,764,0145,083,6154,753,1745,072,596
販売費及び一般管理費--1,497,7641,465,4501,502,6251,469,955
金融ビジネス費用1,179,7761,496,364--1,171,8751,488,963
その他の営業損(益)(純額)△1,7297,975△3,841△507△3,6117,468
売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用合計1,178,0471,504,3396,257,9376,548,5587,424,0638,038,982
持分法による投資利益(損失)△104-9,74111,4879,63711,487
営業利益129,597164,582717,775807,040845,459971,865
その他の収益(費用)(純額)△20△84△28,299240,402△46,009220,505
税引前利益129,577164,498689,4761,047,442799,4501,192,370
法人税等36,31147,068141,552△46,365177,190995
当期純利益93,266117,430547,9241,093,807622,2601,191,375
控除―非支配持分に帰属する当期純利益4836957,0923,55240,06919,599
金融分野の当期純利益92,783116,735----
金融分野を除くソニー連結の当期純利益--540,8321,090,255--
当社株主に帰属する当期純利益----582,1911,171,776

その他分野
2020年度の売上高は、前年度比222億円減少し、2,293億円となりました。この減収は主に、電池事業、ストレージメディア事業及びディスク製造事業の売上高が減少したことによるものです。
営業利益は、前年度比49億円減少し、114億円となりました。この減益は、ストレージメディア事業の改善及びエムスリー株式会社の持分法投資利益の増加などはあったものの、前年度においてSREホールディングス㈱株式の上場及び一部売出しにともなう再評価益及び売却益173億円を計上したことなどによるものです。
構造改革
厳しい経営環境の中、ソニーは組織の最適化や事業の業績向上のため、事業や製品カテゴリーからの撤退、従業員数の削減、販売・間接部門の能率化など、様々な構造改革を実施しました。例えば、2020年度には主にEP&S分野において、製造事業所の閉鎖・統合や販売会社の構造改革を中心に構造改革を実行しました。
競争環境は今後も一層厳しくなるとみており、事業の規模や環境の変化を考慮して、常にコスト水準や収益構造の見直しを行い、ソニーが適切だと考えるコスト削減を継続します。
2019年度及び2020年度における構造改革に関連する費用(「構造改革に関連する資産の減価償却費」を含む)は以下のとおりです。(詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『20 構造改革にかかる費用』参照)
2019年度
(百万円)
2020年度
(百万円)
構造改革費用24,96625,876

為替変動とリスク・ヘッジ
2020年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ106.1円、123.7円と前年度の平均レートに比べ米ドルは2.6円の円高、ユーロは2.9円の円安となりました。
2020年度の連結売上高は、前年度に比べ7,395億円(9%)増加し、8兆9,994億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約10%の増収となります。
連結営業利益は、前年度比1,264億円増加し、9,719億円となりました。主にG&NS分野及びEP&S分野において為替変動の好影響が生じました。
分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。
2019年度
(億円)
2020年度
(億円)
為替変動による影響額
(億円)
G&NS分野売上高19,77626,563△151
営業利益2,3843,422+153
EP&S分野売上高19,91319,207△171
営業利益8731,392+66
I&SS分野売上高10,70610,125△214
営業利益2,3561,459△86

なお、2020年度の音楽分野の売上高は前年度比11%増加の9,399億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約12%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比25%減少の7,588億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約23%の減収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFHを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。
2020年度のG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約260億円の減少、営業損益はほぼなしと試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約100億円、営業損益では約40億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。EP&S分野では、主要製品におけるドル建ての製造コスト等の割合が高いことなどから米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。一方で、新興国での売上高の割合が高いため、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。I&SS分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。
これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て売上債権や買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。
ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSと当社がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。 SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前からヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主に資産負債の総合管理の一環としてデリバティブを活用しています。
また、特にG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野では、為替変動が業績に与える影響を極力小さくするために、海外において市場により近い地域での資材・部品調達、設計、生産を推進しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、直ちにその他収益・その他費用に計上されます。2020年度末における外国為替契約の想定元本の合計及び負債に計上された公正価値(純額)の合計は、それぞれ1兆9,305億円、45億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15 デリバティブ及びヘッジ活動』参照)
注:この章において、為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。I&SS分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。音楽分野のSME及びSMP、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。これらの情報は米国会計原則に則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。
所在地別の業績
所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び営業収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 セグメント情報』に記載しています。
(4)財政状態の分析
以下の表は金融分野の要約貸借対照表、及び金融分野を除くソニー連結の要約貸借対照表です。これらの要約貸借対照表はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、両者の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺する前の金額となっています。これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約貸借対照表
(単位:百万円)金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結
2019年度2020年度末2019年度2020年度末2019年度2020年度末
資産
流動資産
現金・預金及び現金同等物 *1550,039497,218962,3181,289,7641,512,3571,786,982
有価証券 *21,847,7722,902,438--1,847,7722,902,438
受取手形、売掛金及び契約資産
(損失評価引当金控除後)
10,53215,125999,9761,070,0791,002,9201,069,894
棚卸資産--589,969637,391589,969637,391
未収入金73,11763,725115,100220,069188,106283,499
前払費用及びその他の流動資産181,247181,540413,496369,696594,021538,540
流動資産合計2,662,7073,660,0463,080,8593,586,9995,735,1457,218,744
繰延映画製作費--427,336459,426427,336459,426
投資及び貸付金 *312,457,97713,588,848351,936749,66112,734,13214,263,995
金融ビジネスへの投資(取得原価)--153,968550,483--
有形固定資産18,24719,252890,640966,237908,644985,434
その他の資産
使用権資産58,89766,952333,753310,145392,610377,094
無形固定資産49,87153,069856,439943,236906,310996,305
営業権10,83410,834773,054816,315783,888827,149
繰延保険契約費600,901657,420--600,901657,420
繰延税金10,3651,506200,021303,778210,372207,470
その他38,94935,010305,028330,754340,005361,803
その他の資産合計769,817824,7912,468,2952,704,2283,234,0863,427,241
合計15,908,74818,092,9377,373,0349,017,03423,039,34326,354,840
負債及び資本
流動負債
短期借入金 *4758,7371,153,50481,246166,063839,9831,319,567
短期オペレーティング・リース負債9,3639,42259,59563,94168,94273,362
支払手形及び買掛金--380,810599,569380,810599,569
未払金・未払費用40,45739,8851,591,0721,718,2521,630,1971,756,833
未払法人税及びその他の未払税金22,8253,944123,171161,462145,996165,406
銀行ビジネスにおける顧客預金2,440,7832,773,885--2,440,7832,773,885
その他226,455632,047514,368521,753733,7321,126,802
流動負債合計3,498,6204,612,6872,750,2623,231,0406,240,4437,815,424
長期借入債務240,143329,157398,793448,098634,966773,294
長期オペレーティング・リース負債41,19236,890273,668253,369314,836290,259
未払退職・年金費用34,21134,637290,444219,466324,655254,103
繰延税金391,883359,060173,022120,576549,538366,761
保険契約債務その他 *56,246,0476,599,977--6,246,0476,599,977
生命保険ビジネスにおける契約者勘定3,642,2714,331,065--3,642,2714,331,065
その他21,84318,234289,574296,785289,285294,302
負債合計14,116,21016,321,7074,175,7634,569,33418,242,04120,725,185
償還可能非支配持分--7,7678,1797,7678,179
金融分野の株主に帰属する資本1,790,3331,768,300----
金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本--3,159,0714,396,814--
当社株主に帰属する資本----4,125,3065,575,839
非支配持分2,2052,93030,43342,707664,22945,637
資本合計1,792,5381,771,2303,189,5044,439,5214,789,5355,621,476
合計15,908,74818,092,9377,373,0349,017,03423,039,34326,354,840

(注)*1 2020年度末の金融分野を除くソニー連結における現金・預金及び現金同等物の増加要因は、「第2 事業の状況」『3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』の『(5)キャッシュ・フローの状況の分析』をご参照ください。
*2 2020年度末の金融分野における有価証券の増加は、主にソニー生命が保有する有価証券が増加したことによるものです。
*3 2020年度末の金融分野における投資及び貸付金の増加は、主にソニー生命において投資及び貸付金が増加したことによるものです。
*4 2020年度末の金融分野を除くソニー連結における短期借入金の増加は、主に1年以内に返済期限の到来する長期借入金が、長期借入債務から短期借入金に振替わったことによるものです。
*5 2020年度末の金融分野における保険契約債務その他の増加は、主にソニー生命において保険契約債務が増加したことによるものです。
投資有価証券
売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの未実現評価損益は次のとおりです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『8 有価証券及び投資有価証券』参照)
項目2021年3月31日現在(単位:百万円)
取得原価未実現
評価益
未実現
評価損
公正価値
金融ビジネス:
売却可能証券
ソニー生命2,729,449195,060△40,7532,883,756
ソニー銀行763,7765,704△447769,033
その他88,784278△32288,740
満期保有目的証券
ソニー生命7,563,7761,720,442△53,0369,231,182
ソニー銀行96,324633△11396,844
その他76,77417,478△55093,702
11,318,8831,939,595△95,22113,163,257
金融ビジネスを除くその他のビジネス:
売却可能証券757--757
満期保有目的証券31--31
788--788
連結合計11,319,6711,939,595△95,22113,164,045

2021年3月31日現在、ソニー生命が保有する負債証券の未実現評価損の総額は938億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある負債証券に関するものは23.8%です。ソニー生命は、原則として、国内外の公社債に投資しており、その多くはStandard & Poor's Ratings Services(以下「S&P」)、Moody's Investors Service(以下「ムーディーズ」)等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
2021年3月31日現在、ソニー銀行が保有する負債証券の未実現評価損の総額は6億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある負債証券に関するものは48.0%です。ソニー銀行は、原則として、日本の国債、社債及び外国債券に投資しており、その多くはS&P、ムーディーズ等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
これらの未実現評価損は多数の負債証券から構成されており、個々の負債証券の未実現評価損に金額的な重要性はありません。さらに、個々の公正価値の下落金額及び下落率とも僅少であり、公正価値の下落は信用損失によるものではないと判定されていることから、これらの未実現評価損を認識した負債証券の中に、減損の基準に合致したものはありません。
2021年3月31日現在、ソニー生命が保有する償還期日を有する負債証券のうち、未実現評価損(938億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 -
1年超5年以内 -
5年超10年以内 0.0%
10年超 100.0%
2021年3月31日現在、ソニー銀行が保有する償還期日を有する負債証券のうち、未実現評価損(6億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 45.7%
1年超5年以内 27.9%
5年超10年以内 3.8%
10年超 22.6%
2019年度において、ソニー生命は売却可能証券の実現利益(純額)を計上していません。2020年度においてソニー生命が計上した売却可能証券の実現利益(純額)は僅少です。
ソニーは通常の事業において、多くの非公開会社の株式を長期の投資有価証券として保有し、これらは投資有価証券その他に含まれています。2021年3月31日におけるこれらの非公開会社に対する投資の簿価合計は827億円です。非上場会社の持分証券は公正価値が容易に算定できない場合、取得原価から減損を控除し、同じ発行体の同一又は類似投資の観察可能な価格変動(秩序ある取引における)を加減した金額で測定しています。
2019年度及び2020年度において実現した減損は、総額でそれぞれ91億円及び48億円計上されました。このうち、2019年度及び2020年度において、それぞれ0.2億円及び0億円が、金融分野の子会社により金融ビジネス収入として計上されています。金融分野の子会社以外の実現した減損額は、主として金融分野以外の戦略投資に関するもので、その他の費用として計上されています。この戦略投資は、主にソニーが新技術の開発及びマーケティングのために戦略的関係を有する日本及び米国所在の企業に関するものです。これらの減損の計上は、過去2年間において、これら新技術の開発及び販売に成功しなかったため、これらの企業の業績が以前の見通しより悪化したことにより、これらの企業の公正価値が下落したと判断されたことにもとづくものです。個々の減損につき、金額的に重要性のあるものはありません。
有価証券の減損が生じたと判断された場合には、その公正価値にもとづく価額まで評価減を行います。活発な市場における取引価格が入手可能な有価証券の公正価値は、減損の判断が行われた時点での未調整の取引価格にもとづき測定されます。前述以外の有価証券の公正価値は通常、類似特性を持った有価証券の取引価格にもとづき測定され、もしくは、価格決定モデル、割引キャッシュ・フロー法、又は市場参加者が価格決定に使用するであろう前提に関するマネジメントの重要な判断もしくは見積りを必要とする類似評価手法を用いて算定されます。過去2年間において計上された減損は、個々の有価証券に固有な要因及び状況によるもので、他の有価証券に対して重要な影響を与えるものではありません。
金融分野の投資額は主にソニー生命とソニー銀行により構成されています。2021年3月31日現在、ソニー生命、ソニー銀行の投資額はそれぞれ金融分野全体の投資額の約92%及び約7%を占めています。
借入債務、オペレーティング・リースによる最低賃借料、コミットメント及び偶発債務
2021年3月31日現在におけるソニーの既発債務及びコミットメントは以下のとおりです。(「注記」は、連結財務諸表注記)
項目期限別支払額(単位:百万円)
合計1年未満1年以上
3年未満
3年以上
5年未満
5年以上
既発債務及びコミットメント
短期借入債務(注記12)1,187,8681,187,868---
長期借入債務(注記9、12)
ファイナンス・リース債務等85,56416,06821,49015,25232,754
その他長期借入債務819,429115,631180,151200,188323,459
その他長期借入債務に係る利息17,3703,1084,1163,9416,205
オペレーティング・リース債務(利息含む)(注記9)398,28379,980120,72266,743130,838
コミットメント(注記27)
映画作品及びテレビ番組の製作又は配給権ならびにスポーツイベントの放映権の購入契約105,92153,97042,8788,466607
音楽アーティスト、作詞家ならびに音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との契約149,02164,27643,39416,99924,352
広告宣伝の権利に関するスポンサーシップ契約5,3965,35541--
ゲームソフトウェアの開発、販売及び配信に関する長期契約32,9598,1357,4425,42511,957
Ellation Holdings, Inc.との持分取得合意130,084130,084---
Kobalt Music Group Limitedの子会社の株式及び関連資産の取得合意(注記29) *147,60547,605---
資産購入、部材調達及びその他の
コミットメント
340,414210,52886,15936,2547,473
生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定(注記11) *231,787,434665,5631,431,8671,449,06528,240,939
総未認識税務ベネフィット(注記22) *345,740----
合計35,153,0882,588,1711,938,2601,802,33328,778,584

(注)*1 記載金額は2021年3月31日現在におけるKobalt Music Group Limitedの子会社の株式及び関連資産の取得合意の契約価格であり、一定の運転資金その他の調整を経て最終決定されます。(実際の支払額は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 重要な後発事象』参照)
*2 生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定の期限別支払額は、保険契約者等に対する将来の予測支払額です。これらの支払額は罹患率、死亡率及び解約率等の予測にもとづいて算定されています。上記の支払額合計の31兆7,874億円は、連結貸借対照表の計上額である10兆8,649億円より大きくなっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11 保険関連科目』参照)
*3 総未認識税務ベネフィットの合計額は、未認識税務ベネフィットに関する会計基準にもとづく総未認識税務ベネフィットに関する負債を示しています。この負債については、様々な税務当局との合意の時期の不確実性により、その解決時期を合理的に見積もることはできません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)
以下の項目は、上記の表及び下記の2021年3月31日現在におけるコミットメントの総額には含まれていません。
• 将来における年金支払の合計額については、現時点では確定できないため、含まれていません。なお、ソニーは2021年度において、確定給付年金制度に対して国内制度で約20億円、海外制度で約120億円を拠出する予定です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照)
• 金融子会社が提供する、顧客に対する貸付契約にもとづく貸付の未実行残高は、現時点では顧客による借入金額を予測できないため、上記の表には含まれていません。なお、2021年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は約373億円です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『27 コミットメント、偶発債務及びその他』参照)
• 特定の部品組立業者及び生産受託業者からの購入は、ソニーにおける製造のための供給の継続及び最善の価格を達成するために通常の業務過程に組み込まれており、典型的な拘束力を有する購入義務ではないことから含まれていません。購入義務は、ソニーに対して法的拘束力を有する、物品あるいはサービスの購入に関する契約上の義務として定義されます。これらの義務には購入数量や価格、取引時期に関する条項など、重要な条項が含まれますが、違約金の支払をともなわずに解約できる契約は含まれません。購入には、ソニーが特定の部品組立業者との間で締結している、これらの部品組立業者のために部品を含む物品を調達し、関連する再購入の際に支払から控除する契約が含まれます。これにより、在庫リスクを最小化する、ソニーのフレキシブルなサプライチェーン・マネジメントと、これらの会社との間における相互に利点のある調達関係の実現が可能となります。業界の慣行にしたがい、ソニーが提供する需要予測や生産計画にもとづき、部品組立業者から技術的基準を満たす部品の購入を行っています。
訴訟及び製品保証を含む保証債務については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『27 コミットメント、偶発債務及びその他』をご参照ください。
オフバランス取引
ソニーは流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。
これらの取引は、ソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『7 金融資産の移転』参照)また、一部の売掛債権売却プログラムには変動持分事業体(以下「VIE」)が関与していますが、ソニーは第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『24 変動持分事業体』参照)
(5)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フロー:2020年度において営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比4億円増加し、1兆3,502億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、1兆1,222億円の受取超過となり、前年度比3,593億円の受取の増加となりました。この増加は、主に非資金調整項目(有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費、その他の営業損益ならびに投資有価証券に関する損益(純額))を加味した後の当期純利益が前年度に比べて増加したことや、支払手形及び買掛金が減少から増加に転じたことなどによるものです。一方で、棚卸資産や受取手形、売掛金及び契約資産が減少から増加に転じたことなどのキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。
金融分野では2,476億円の受取超過となり、前年度比3,566億円の受取の減少となりました。この減少は、金融ビジネスにおける有価証券及び投資有価証券に関する損益(純額)などの非資金調整項目を加味した当期純利益が前年度に比べて減少したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー:2020年度において投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比4,292億円増加し、1兆7,815億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、5,812億円の支払超過となり、前年度比2,181億円の支払の増加となりました。この増加は、半導体製造設備等の固定資産の購入による支払いが増加したことや、Bilibiliの株式取得に対する支払いがあったこと、加えて、前年度において、保有していたオリンパス株式会社の全株式を売却したことによる収入があったことなどによるものです。
金融分野では1兆2,004億円の支払超過となり、前年度比2,113億円の支払の増加となりました。この増加は、ソニー銀行における投資及び貸付が前年度に比べて増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー:財務活動による現金・預金及び現金同等物(純額)は、6,670億円の受取超過となり、前年度比6,013億円の受取の増加となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、2,526億円の支払超過となり、前年度比1,245億円の支払の減少となりました。この減少は、SFHの完全子会社化を目的としてSFHの普通株式及び新株予約権の全てを3,967億円で取得した一方で、2020年7月に約2,000百万米ドル相当の長期借入を行ったことや、前年度において、普通社債の償還や長期借入金の返済があったことなどによるものです。なお、SFHの普通株式及び新株予約権の全ての取得資金に充当するため、2020年7月及び10月に合計3,965億円の短期銀行借入を行いましたが、2021年3月末までに全額返済しました。
金融分野では9,000億円の受取超過となり、前年度比4,747億円の受取の増加となりました。この増加は、ソニー銀行における顧客預り金の増加額が拡大したことや、ソニー生命における短期借入金が増加したことなどによるものです。
現金・預金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2021年3月末の現金・預金及び現金同等物期末残高は1兆7,870億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2021年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2020年3月末に比べ3,274億円増加し、1兆2,898億円となりました。金融分野の2021年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2020年3月末に比べ528億円減少し、4,972億円となりました。
金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報
以下の表は、金融分野の要約キャッシュ・フロー計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約キャッシュ・フロー計算書です。この要約キャッシュ・フロー計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円)金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結
2019年度2020年度2019年度2020年度2019年度2020年度
営業活動によるキャッシュ・フロー
1 当期純利益(損失)93,266117,430547,9241,093,807622,2601,191,375
2 営業活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額)への当期純利益(損失)の調整
(1) 有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費(繰延保険契約費及び契約コストの償却を含む)106,66759,885309,975330,808416,642390,693
(2) 繰延映画製作費の償却費--329,809273,044329,809273,044
(3) その他の営業損(益)(純額)△1,7297,975△3,841△507△3,6117,468
(4) 有価証券及び投資有価証券に関する損益(純額)93,088△478,32120,177△247,033113,265△725,354
(5) 資産及び負債の増減
受取手形、売掛金及び契約資産の増加(△)・減少5,947△4,59455,466△40,90862,654△37,779
棚卸資産の増加(△)・減少--40,315△57,00740,315△57,007
繰延映画製作費の増加(△)・減少--△361,194△280,541△361,194△280,541
支払手形及び買掛金の増加・減少(△)--△91,435211,939△91,435211,939
保険契約債務その他の増加・減少(△)520,683905,343--520,683905,343
繰延保険契約費の増加(△)・減少△99,433△102,289--△99,433△102,289
生命保険ビジネスにおける有価証券の増加(△)・減少△124,270△156,132--△124,270△156,132
(6) その他10,021△101,649△84,346△161,425△75,940△270,610
営業活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額)604,240247,648762,8501,122,1771,349,7451,350,150
投資活動によるキャッシュ・フロー
1 固定資産の購入△21,822△18,564△420,149△493,740△439,761△512,239
2 投資及び貸付△1,319,888△1,631,017△48,853△103,143△1,367,915△1,734,160
3 投資の売却又は償還及び貸付金の回収343,740449,08194,81320,309438,553469,390
4 その他8,8737211,100△4,57916,845△4,507
投資活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額)△989,097△1,200,428△363,089△581,153△1,352,278△1,781,516
財務活動によるキャッシュ・フロー
1 借入債務の増加・減少(△)193,709462,895△79,752201,364113,724664,259
2 顧客預り金の増加・減少(△)(純額)258,720467,286--258,720467,286
3 配当金の支払△27,189△30,454△49,574△61,288△49,574△61,288
4 その他61232△247,754△392,678△257,212△403,290
財務活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額)425,301899,959△377,080△252,60265,658666,967
為替相場変動の現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)に対する影響額--△21,64336,668△21,64336,668
現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)純増加・減少(△)額40,444△52,8211,038325,09041,482272,269
現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)期首残高509,595550,039964,218965,2561,473,8131,515,295
現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)期末残高550,039497,218965,2561,290,3461,515,2951,787,564
控除―その他の流動資産及びその他の資産に含まれる制限付き現金・預金--2,9385822,938582
現金・預金及び現金同等物期末残高550,039497,218962,3181,289,7641,512,3571,786,982

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及びSMN㈱を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目の最後に別途説明しています。
流動性マネジメントと資金の調達
ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全なバランスシートを維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金・預金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。
流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、CP及び銀行借入などの手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。
当社、SGTS及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2021年3月31日時点で、当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆536億円分のCPプログラム枠を保有しています。2021年3月31日時点における発行残高はありません。
金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2021年3月31日時点の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で5,795億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる2,750億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建コミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると本書提出日時点では考えています。
グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。
格付け
ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。
ソニーは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うにあたり、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱及びムーディーズ・ジャパン㈱の2社より格付けを取得しています。また、日本国内の資本市場からの調達にあたっては、日本の格付会社である㈱格付投資情報センター及び㈱日本格付研究所からも格付けを取得しています。
またソニーは現時点において、引き続き金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持していると考えています。(将来の格付け低下によるリスクについては、「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
キャッシュ・マネジメント
ソニーは米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合はSGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合にはSGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーはSGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。
金融分野
SFH、ソニー生命、ソニー損保及びソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保及びソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法など)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、主に同じ通貨建の金融商品に投資されています。
なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められております。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記のSGTSを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。
なお、ソニーグループが創出した営業活動によるキャッシュ・フローに関する、成長投資、手許資金及び株主還元への配分についての考え方に関しては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等『経営数値目標及びキャピタルアロケーション』」をご参照ください。

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