訂正有価証券報告書-第102期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・前提を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な前提にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計方針として考えています。
投資
ソニーの投資は、原価法あるいは持分法により会計処理されている負債及び持分証券を含みます。負債証券の投資価値に一時的でない下落が認められた場合は減損を認識し、その投資は公正価値まで評価減されます。ソニーは、個々の負債証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。
売却可能証券に区分された負債証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない負債証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。
満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。
投資の公正価値の下落が一時的であるか否かの判定は、多くの場合、主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、投資価値の下落が一時的であると判断している負債証券について、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化あるいは市場金利変動の影響等の事後情報の評価にもとづき、将来、公正価値の下落が一時的でないと判断され、投資の未実現評価損が費用として認識され将来の収益を減額する場合があります。
棚卸資産の評価
ソニーは原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で棚卸資産を評価します。棚卸資産原価と正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成及び処分までの費用を控除した額)の差額を評価減計上します。ソニーは、部品や製品が陳腐化したり、在庫量が使用見込みを上回ったり、又は在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。市場環境が予測より悪化してさらなる値下げが必要な場合には、将来において追加の評価減計上が必要となります。
長期性資産の減損
ソニーは、保有して使用される長期性資産及び処分予定の長期性資産又は資産グループの簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の有無を検討しています。保有して使用される長期性資産は割引前将来キャッシュ・フローと長期性資産又は資産グループの簿価を比較することにより減損の検討が行われています。この検討は、主として製品カテゴリーごと、特定の場合には、企業ごとの将来キャッシュ・フローの見積りにもとづいて行われます。資産又は資産グループの簿価が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損損失を認識します。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。
マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは合理的であると考えています。しかしながら、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。
企業結合
ソニーは取得法の適用時に、みなし取得価額を識別可能資産及び引受負債に割り当て、残余の取得価額は営業権として計上しています。取得価額の割当では、識別可能資産及び引受負債、特に無形固定資産の公正価値の決定に重要な見積りが使用されます。通常、独立した外部の第三者が評価プロセスに関与します。重要な見積り及び前提は、収益及び将来キャッシュ・フローの計上時期及び金額、将来キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、ならびにターミナル・バリューを決定する際に適用される永続成長率等を含みます。
見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この取得価額は異なる金額で評価され、取得資産及び引受負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、営業権を含む取得資産の減損損失の計上又は引受負債の増加が必要となる可能性があります。
営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。
2019年3月31日において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額の比較による定量的手続を行いました。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権について減損損失は認識されません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、報告単位に配分された営業権の総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産の減損判定では、公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。
営業権の減損判定における報告単位の公正価値の決定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。同様に、非償却性無形固定資産の公正価値の決定においても、見積り・前提が使用されます。これらの見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
これらの減損判定において、ソニーは、社内における評価を行い、またマネジメントが妥当と判断する場合には第三者による評価を活用するとともに、一般に入手可能な市場情報を考慮に入れています。報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮します。
将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される前提は、それぞれの報告単位における見込み及び中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況を考慮しています。永続成長率は主に中期計画の3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。映画分野の報告単位など、特定の報告単位においては、より長い見込期間、及び予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される利益倍率を用いた出口価格に、コントロール・プレミアムを加味して算定されたターミナル・バリューを使用しています。割引率は類似企業の加重平均資本コストにより算出されています。
2018年度において、ソニーは営業権の減損損失5,107百万円を計上しました。これは主にその他分野における報告単位の公正価値の減少によるものです。当該報告単位の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積現在価値にもとづき算定されています。
上記に記載するものを除き、2018年度の減損判定において、営業権を持つ全ての報告単位の公正価値が帳簿価額を超過していたため、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。これらの報告単位において公正価値は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。また、耐用年数の確定できない非償却性資産においても、公正価値が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。
2019年3月31日現在のセグメントごとの営業権の帳簿価額は以下のとおりです。
上述の中期計画を除く、2018年度の減損判定における、ソニーの報告単位の公正価値への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。
・割引率は7.1%から10.6%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1%増加させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・G&NS分野、IP&S分野、MC分野、半導体分野、金融分野及びその他分野の報告単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率はおおよそ0%から1.5%の範囲です。音楽分野の報告単位における中期計画を超える期間の成長率は0%から7.4%の範囲、映画分野では3.0%から4.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1%減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・映画分野の報告単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は9.0から10.0の範囲です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
マネジメントは、営業権の減損判定に使用した公正価値の見積りに用いられた前提は合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
退職年金費用
従業員の退職年金費用及び債務は、最新の統計数値にもとづく割引率、退職率及び死亡率を含む特定の前提条件に加え、年金制度資産の長期期待収益率及びその他の要因にも左右されます。特に割引率と長期期待収益率は、期間退職・年金費用及び退職給付債務を決定する上で、二つの重要な前提条件です。前提条件は、少なくとも年に一度、又はこれらの重要な前提条件に重大な影響を与えるような事象の発生又は状況の変化があった場合に評価されます。
米国会計原則にしたがって、前提条件と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来認識される退職年金費用及び退職給付債務に影響します。マネジメントはこれらの前提条件が適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、ソニーの退職給付債務及び将来の退職年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの主要な年金制度は国内年金制度です。個別の海外年金制度に関して、年金制度資産及び退職給付債務の国内及び海外総額にとって重要性のあるものはありません。
ソニーは2019年3月31日現在の国内年金制度の退職給付債務の決定において、0.6%の割引率を適用しました。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の収益率情報を使用し、給付の見込支払額と時期を考慮して決定されます。この収益率情報には、公表されている市場情報及び複数の格付け機関から提供される数値が使用されています。この0.6%の割引率は2017年度に使用された0.8%から0.2ポイントの低下となり、昨今の日本における市場金利状況を反映しています。
年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。国内年金制度における2018年3月31日及び2019年3月31日現在の年金資産の長期期待収益率は、それぞれ2.4%及び2.6%でした。2017年度及び2018年度の実際の収益率は、それぞれ5.6%及び2.7%でした。2017年度において実際の収益率が期待収益率を上回った要因としては、主に年間を通じて日本国内及び世界的に株式市場が好調だったことが挙げられます。実際の結果と年金制度資産の長期期待収益との差異は、累積され、退職年金費用の一部として将来の平均残存勤務年数にわたって償却されます。その結果、毎年の退職年金費用のボラティリティが軽減されています。2018年3月31日及び2019年3月31日現在における、ソニーの国内年金制度についての年金制度資産の損失を含む年金数理純損失は、それぞれ2,999億円及び3,111億円でした。2018年度において、年金制度資産の実際の収益率が長期期待収益率をわずかに上回ったものの、主に退職給付債務の決定に使用した割引率が前年度を下回った影響により、年金数理純損失は増加しました。
以下の表は、他の前提条件を2019年3月31日より一定とした場合の、2019年度における国内年金制度の割引率と年金制度資産の長期期待収益率の変動による影響を表しています。
繰延税金資産の評価
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。
過年度に計上した損失の結果、2019年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で7,231億円の評価性引当金を計上しています。この評価性引当金のうち、日本における当社とその連結納税グループで約4,800億円を計上しており、このうち法人税にかかるものは約3,500億円です。2019年3月31日現在、評価性引当金を計上している会社の中には、日本における当社とその連結納税グループをはじめ、収益性が回復した会社があります。評価性引当金を取崩すためには、収益性の回復は、検討されるべき要素ではありますが、とりわけ日本のように未使用の繰越欠損金の繰越可能期間が制限されている税務管轄では、継続した利益を計上することがさらに必要となります。
ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動、とりわけ連結会社間の移転価格において、最終的な税額の決定が不確実な状況が多く生じています。繰延税金資産の金額は、連結会社間の移転価格の決定による各税務管轄における課税所得の最終的な配分などに関するソニーの判断にもとづき不確実な税務ポジションのうち50%超の可能性で起こり得る最終的な結果を考慮しています。繰延税金資産の評価に関する見積りは、貸借対照表日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産を回収可能額まで減額するために、将来において追加的な評価性引当金の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連する質的要因や不確実性を考慮した上で、税金費用の戻し入れをともなう評価性引当金の取崩しが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの要因や変化は、評価性引当金が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
米国税制改革法により企業に対する米国の課税方法が大きく変わりました。米国税制改革法では、従来の米国の税法では要求されていなかった複雑な計算や米国税制改革法の規定の解釈における重要な判断、計算における重要な見積り、ならびに従来は関連性がないもしくは定期的に作成されていない情報の収集と分析が必要となります。米国財務省、内国歳入庁ならびにその他基準設定機関により、米国税制改革法の規定の適用・施行に関する解釈とガイダンスの発行が引き続き行われる予定です。ガイダンスが今後発行されることにより、従来計上した税金引当額に対して修正を行い、当該修正を行う期間の財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
映画会計
映画会計においては、作品ごとの予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは次の2点において重要となります。第一に、映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。第二に、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいています。
マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優あるいは女優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。
保険契約債務
保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。保険契約債務は0.8%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表に拠っています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。
生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.8%から2.0%です。変額保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約、変額個人年金保険及び年金開始後契約が含まれています。投資契約(変額個人年金保険除く)に対する付与利率は、0.01%から6.3%です。変額個人年金保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。
(2)生産、受注及び販売の状況
ソニーの生産・販売品目は極めて多種多様であり、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っています。なお、ソニーはエレクトロニクス5分野(G&NS分野、HE&S分野、IP&S分野、MC分野及び半導体分野の合計)においては、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っていることから、生産状況は販売状況に類似しています。このため生産及び販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」内のエレクトロニクス5分野の業績に関連付けて示しています。
(3)経営成績の分析
営業概況
連結業績
売上高
2018年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比1,217億円増加し、8兆6,657億円となりました。これは、主にMC分野の大幅な減収があったものの、G&NS分野の大幅な増収があったことなどによるものです。また、2017年度の売上高には熊本地震にかかわる逸失利益などに対する保険金の受取67億円が半導体分野に、26億円がIP&S分野に、それぞれ含まれています。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。
(後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、売上高には、純売上高及び営業収入のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、金融ビジネス費用は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。)
売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損(益)(純額)
2018年度の売上原価は、前年度に比べ375億円減少して5兆1,508億円となり、売上高に対する比率は前年度の70.9%から69.7%に改善しました。
研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度に比べ227億円増加の4,812億円となり、売上高に対する比率は、前年度の6.3%に対し6.5%になりました。(詳細は「第2 事業の状況」『5 研究開発活動』参照)
販売費及び一般管理費は、前年度に比べ64億円減少して1兆5,768億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前年度の21.6%から21.3%に改善しました。
その他の営業損(益)(純額)は、前年度の41億円の損失に対し、2018年度は716億円の利益となりました。この大幅な改善は、以下の2018年度に発生した要因の寄与及び2017年度に発生した要因による影響がなかったことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 連結損益計算書についての補足情報』参照)
2018年度に発生した要因
・EMIの連結子会社化による再評価益1,169億円(音楽分野)
・長期性資産の減損損失 192億円(MC分野)
・長期性資産及び営業権の減損損失 129億円(その他分野)
2017年度に発生した要因
・長期性資産の減損損失 313億円(MC分野)
・カメラモジュール事業の製造子会社の持分全部の譲渡益 283億円(半導体分野)
・子会社が保有していた不動産の譲渡益 105億円(音楽分野)
・製造設備の売却にともなう利益 86億円(半導体分野)
持分法による投資利益(損失)
2018年度の持分法による投資利益(損失)は、前年度の86億円の利益に対し、2018年度は30億円の損失となりました。これは、主に音楽分野に含まれるEMIの持分約60%の取得にともない発生した新株予約権関連費用及びマネジメントインセンティブ費用等により、EMIの持分法投資損益が116億円悪化したことによるものです。
営業利益
2018年度の営業利益は、前年度比1,594億円増加し、8,942億円となりました。この大幅な増益は、MC分野における大幅な損失拡大があったものの、主にG&NS分野及び音楽分野における大幅な増益があったことによるものです。なお、当年度及び前年度の営業利益には、前述のその他の営業損(益)(純額)として計上された要因が含まれています。
その他の収益及び費用
2018年度のその他の収益は、前年度から1,210億円増加し、1,447億円となりました。一方、その他の費用は前年度に比べ322億円減少し、273億円となりました。その他の収益からその他の費用を差し引いた純額は、前年度に比べ1,532億円改善し、1,174億円の収益となりました。これは、主にSpotify Technology S.A.(以下「Spotify」)の上場にともなう持分証券に関する利益(純額)1,017億円を当年度に計上したことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『8 有価証券及び投資有価証券』参照)
為替差損(純額)は、前年度に比べ194億円減少し、113億円を計上しました。なお、受取利息及び配当金は、前年度に比べ18億円増加し、216億円となりました。支払利息は前年度に比べ11億円減少し、125億円となりました。
税引前利益
2018年度の税引前利益は、前年度に比べ3,126億円増加し、1兆116億円となりました。
法人税等
2018年度の法人税等は、451億円を計上し、実効税率は前年度の21.7%を下回り、4.5%となりました。これは、主にEMI持分に関する再評価益に対して税金費用が計上されないこと、及び米国の連結納税グループにおける相当部分の繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩した結果、2018年度第3四半期連結会計期間において法人税等を1,542億円減額したことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 法人税等』参照)
非支配持分に帰属する当期純利益
2018年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度に比べ62億円減少し、503億円となりました。
当社株主に帰属する当期純利益
2018年度の当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度に比べ4,255億円増加し、9,163億円となりました。
基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の388.32円に対し、2018年度は723.41円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の379.75円に対し、2018年度は707.74円となりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『24 基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照)
分野別営業概況
以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高及び営業収入は、セグメント間取引を含みます。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『30 セグメント情報』参照)
G&NS分野
主要経営数値
2018年度のG&NS分野の売上高は、前年度比3,671億円増加し、2兆3,109億円となりました。この増収は、PS4®のハードウェアの減収の影響はあったものの、ゲームソフトウェアの増収、有料会員サービス「プレイステーション プラス」の加入者数の増加などによるものです。
営業利益は、主に前述の増収の影響により、前年度に比べ1,336億円増加し、3,111億円となりました。
音楽分野
2018年11月14日、ソニーは従来持分法適用会社であったEMIについて、ムバダラインベストメントカンパニーが主導するコンソーシアムが保有する約60%の持分全てを取得し、これにより、EMIはソニーの完全子会社となりました。音楽分野に含まれるEMIの業績は2018年4月1日から11月13日までの期間のEMIにかかる持分法による投資損益、及び2018年11月14日から2019年3月31日までの期間のEMIの売上高及び営業損益、ならびにソニーが買収前から保有していたEMIの持分約40%について公正価値にもとづいて再評価したことにより計上した、現金収入をともなわない再評価益によって構成されています。
音楽分野の業績には、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Music Entertainment(以下「SME」)、Sony/ATV Music Publishing(以下「Sony/ATV」)、及び前述のEMIの円換算後の業績、ならびに円ベースで決算を行っている日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの業績が含まれています。
主要経営数値
2018年度の音楽分野の売上高は、主に顧客との契約から生じる収益に関する会計基準の変更の影響により音楽制作におけるパッケージメディアが減収となったものの、ストリーミング配信の売上が増加したことや2018年11月14日以降EMIを連結したことで音楽出版において売上が増加したことなどにより、ほぼ前年度並みの8,075億円となりました。
営業利益は、前年度比1,047億円増加し、2,325億円となりました。この大幅な増益は、EMIの持分約60%の取得にともない持分法投資損益が116億円悪化したものの、主に前述のEMIの連結子会社化により再評価益1,169億円を計上したことによるものです。
映画分野
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
主要経営数値
2018年度の映画分野の売上高は、前年度比242億円(2%)減少し、9,869億円となりました(米ドルベースでは、約3%の減収)。この米ドルベースでの減収は、映画製作、メディアネットワーク及びテレビ番組制作の減収によるものです。映画製作の減収は、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「スパイダーマン:ホームカミング」などが好調だった前年度に比べ、「ヴェノム」「モンスターホテル3」を含む当年度の作品の全世界での劇場興行収入が減少したことなどによるものです。メディアネットワークは、インディアンプレミアリーグのクリケット大会に関連した収入を含む、米国外のいくつかのテレビネットワークにおける広告収入及び視聴料が減少したことなどにより減収となりました。テレビ番組制作は、顧客との契約から生じる収益に関する会計基準の変更の影響などによる増収があったものの、当年度におけるいくつかの米国のテレビ番組のライセンス収入やカタログ作品のライセンス収入が減少し、減収となりました。
営業利益は、前年度比135億円増加し、546億円となりました。この大幅な増益は、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「ピーターラビット」など収益性の高い作品のテレビ向けライセンス収入や映像ソフト収入が当年度にあったこと及び劇場公開作品の広告宣伝費が前年度に比べて減少したことなどにより映画製作の収益が改善したこと、ならびに顧客との契約から生じる収益に関する会計基準の変更の影響38億円などによるものです。一方、メディアネットワークにおける選択と集中を進めるためのチャンネルポートフォリオの見直しにともない、番組の評価減や早期退職費用128億円を計上したことや、メディアネットワーク及びテレビ番組制作の減収による影響もありました。
HE&S分野
主要経営数値
2018年度のHE&S分野の売上高は、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったものの、規模を追わない収益性重視の経営によるテレビの販売台数の減少や為替の影響などにより、前年度に比べ673億円減少し、1兆1,554億円となりました。
営業利益は、為替の悪影響や前述の減収の影響があったものの、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善により、前年度に比べ38億円増加し、897億円となりました。
IP&S分野
主要経営数値
2018年度のIP&S分野の売上高は、前年度比146億円増加し、6,705億円となりました。この増収は、市場縮小の影響によるコンパクトデジタルカメラの販売台数の減少などがあったものの、主にミラーレス一眼カメラやその交換レンズ群などの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善によるものです。
営業利益は、前年度比91億円増加し、840億円となりました。この増益は、主に前述の製品ミックスの改善や、オペレーション費用の削減によるものです。
* 「主要製品の売上台数」のデジタルカメラは、コンパクトデジタルカメラ、及びレンズ交換式一眼カメラを含みます。
MC分野
主要経営数値
2018年度のMC分野の売上高は、前年度比2,257億円減少し、4,980億円となりました。この減収は、スマートフォンの販売台数の大幅な減少によるものです。
営業損失は、前年度比695億円拡大し、971億円となりました。この大幅な損失拡大は、オペレーション費用の削減や前述の長期性資産の減損計上額が前年度に比べ減少した影響があったものの、前述の販売台数の減少や余剰となった手元部品在庫に対する評価減などの費用の計上、及び構造改革費用が増加したことなどによるものです。
半導体分野
主要経営数値
2018年度の半導体分野の売上高は、前年度比293億円増加し、8,793億円となりました。この増収は、カメラモジュール事業の大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージセンサーの大幅な増収などによるものです。
営業利益は、前年度比201億円減少し、1,439億円となりました。この減益は、前述の増収の影響があったものの、研究開発費及び減価償却費の増加、前年度において前述のカメラモジュール事業の製造子会社の持分全部の譲渡益283億円、製造設備の売却にともなう利益86億円、及び熊本地震にかかる受取保険金67億円を計上したことなどによるものです。
以下の棚卸資産、外部顧客に対する売上高の地域別分析、地域別の生産状況は、エレクトロニクス5分野(G&NS分野、HE&S分野、IP&S分野、MC分野及び半導体分野の合計)に関するものです。
棚卸資産
外部顧客に対する売上高の地域別分析
地域別の生産状況
以下の表は、エレクトロニクス5分野合計の年間全生産高の自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳、ならびに年間自社生産高の地域別内訳を示したものです。なお、自社生産高の地域別内訳におけるカッコ内の数値は、各地域からそれ以外の地域に輸出された製品の比率を示しています。
自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳*
自社生産高の地域別内訳*
*小数点以下を四捨五入して記載しております。したがって、各欄の合計が合計額の欄と一致しない場合があります。
金融分野
ソニーの金融分野には、SFH及びSFHの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)等の業績が含まれています。
以下に記載されているソニー生命の業績は米国会計原則に則ったものであり、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。
主要経営数値
2018年度の金融ビジネス収入は、主にソニー生命の増収により、前年度比542億円増加し、1兆2,825億円となりました。ソニー生命の収入は、保有契約高の拡大にともない保険料収入が増加したことなどにより、前年度比495億円増加し、1兆1,431億円となりました。
営業利益は、主にソニー生命及びソニー銀行の減益により、前年度に比べ175億円減少し、1,615億円となりました。ソニー生命の営業利益は、前年度に比べ135億円減少し、1,456億円となりました。この減益は、前述の増収の影響があったものの、前年度に一般勘定において投資目的不動産の売却益を計上したことや、当年度において投資有価証券の評価損を計上したことなどによるものです。また、ソニー銀行の減益は有価証券評価損を計上したことなどによるものです。
金融分野を分離した経営成績情報
以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約損益計算書(3月31日に終了した1年間)
その他分野
2018年度の売上高は、前年度比614億円減少し、3,457億円となりました。この大幅な減収は主に、電池事業の売上高が減少したことによるものです。
営業損失は、前年度比124億円縮小し111億円となりました。この大幅な縮小は、前述のストレージメディア事業の長期性資産及び営業権の減損損失129億円を計上したものの、主に電池事業の損失が縮小したことによるものです。
構造改革
厳しい経営環境の中、ソニーは組織の最適化や事業の業績向上のため、事業や製品カテゴリーからの撤退、従業員数の削減、販売・間接部門の能率化など、様々な構造改革を実施しました。例えば、MC分野において、ソニーは同分野に含まれるスマートフォン事業の収益構造の改善に向け、北京工場の生産停止の前倒しや中東及び中南米などのいくつかの地域からの撤退を行い、2018年度に製造事業所などの海外拠点で構造改革の施策を実行しました。これらの施策は、2020年度の黒字化達成に向けて、MC分野のオペレーション費用を2017年度比で約50%削減するというソニーの計画に寄与することが見込まれます。また、映画分野に含まれるメディアネットワークにおける集中と選択を進めるためのチャンネルポートフォリオの見直しなど、他の分野においても様々な構造改革を実施しました。
競争環境は今後も一層厳しくなるとみており、事業の規模や環境の変化を考慮して、常にコスト水準や収益構造の見直しを行い、ソニーが適切だと考えるコスト削減を継続します。
2017年度及び2018年度における構造改革に関連する費用(「構造改革に関連する資産の減価償却費」を含む)は以下のとおりです。(詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『21 構造改革にかかる費用』参照)
為替変動とリスク・ヘッジ
2018年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ110.9円、128.5円と前年度の平均レートに比べ米ドルは0.1円の円安、ユーロは1.2円の円高となりました。
2018年度の連結売上高は、前年度に比べ1,217億円(1%)増加し、8兆6,657億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約2%の増加となります。
連結営業利益は、前年度比1,594億円増加し、8,942億円となりました。主にエレクトロニクス5分野において為替変動の悪影響が生じました。
前述の5分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。
なお、音楽分野の売上高はほぼ前年度並みの8,075億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約1%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比2%減少の9,869億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約3%の減収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFHを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。
2018年度のエレクトロニクス5分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約210億円の減少、営業損益では約35億円の増加と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約95億円、営業損益では約50億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。HE&S分野では、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼす一方で、ドル建ての製造コストの割合が高いことから米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。IP&S分野では、円貨建てのコストの割合が相対的に高いのに対して、新興国での売上高の割合が高いことから、新興国通貨、特に中国元に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。MC分野では、売上高に占める円貨建ての割合が相対的に高い一方で、米ドル建ての製造や部品調達コストが大きな割合を占めていることから、米ドルに対する円高は、営業利益に好影響を及ぼします。半導体分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。
これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て売上債権や買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。
ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSとソニー㈱がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前から3ヵ月前までの間にヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主に資産負債の総合管理(以下「ALM」)の一環としてデリバティブを活用しています。
また、特にエレクトロニクス5分野では、為替変動が業績に与える影響を極力小さくするために、海外において市場により近い地域での資材・部品調達、設計、生産を推進しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、ただちにその他収益・その他費用に計上されます。2018年度末における外国為替契約の想定元本の合計及び負債に計上された公正価値(純額)の合計は、それぞれ1兆8,428億円、36億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15 デリバティブ及びヘッジ活動』参照)
注:この章において、為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。また、MC分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。音楽分野のSME及びSony/ATV、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。これらの情報は米国会計原則に則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。
所在地別の業績
所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び営業収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『30 セグメント情報』に記載しています。
(4)財政状態の分析
以下の表は金融分野の要約貸借対照表、及び金融分野を除くソニー連結の要約貸借対照表です。これらの要約貸借対照表はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約貸借対照表
(注)*1 2018年度末の金融分野を除くソニー連結における現金・預金及び現金同等物の減少要因は、「第2 事業の状況」『3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』の『(5)キャッシュ・フローの状況の分析』をご参照ください。
*2 2018年度末の金融分野における投資及び貸付金の増加は、主にソニー生命において投資及び貸付金が増加したことによるものです。
*3 2018年度末の金融分野を除くソニー連結における無形固定資産及び営業権の増加は、EMIを連結したことによる影響です。
*4 2018年度末の金融分野における保険契約債務その他の増加は、主にソニー生命において保険契約債務が増加したことによるものです。
投資有価証券
売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの未実現評価損益は次のとおりです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『8 有価証券及び投資有価証券』参照)
2019年3月31日現在、ソニー生命が保有する負債証券の未実現評価損の総額は204億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある負債証券に関するものは100.0%です。ソニー生命は、原則として、国内外の公社債に投資しており、その多くはStandard & Poor's Ratings Services(以下「S&P」)、Moody's Investors Service(以下「ムーディーズ」)等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
2019年3月31日現在、ソニー銀行が保有する負債証券の未実現評価損の総額は4億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある負債証券に関するものは67.5%です。ソニー銀行は、原則として、日本の国債、社債及び外国債券に投資しており、その多くはS&P、ムーディーズ等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
これらの未実現評価損は多数の負債証券から構成されており、個々の負債証券の未実現評価損に金額的な重要性はありません。さらに、個々の公正価値の下落金額及び下落率とも僅少であり、公正価値の下落は一時的であると判定されていることから、これらの未実現評価損を認識した負債証券の中に、減損の基準に合致したものはありません。
2019年3月31日現在、ソニー生命が保有する償還期日を有する負債証券のうち、未実現評価損(204億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 -
1年超5年以内 -
5年超10年以内 -
10年超 100.0%
2019年3月31日現在、ソニー銀行が保有する償還期日を有する負債証券のうち、未実現評価損(4億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 25.9%
1年超5年以内 71.7%
5年超10年以内 2.4%
10年超 -
2017年度において、ソニー生命が計上した売却可能証券の実現利益(純額)は0億円です。2018年度において、ソニー生命は売却可能証券の実現利益(純額)を計上していません。
ソニーは通常の事業において、多くの非公開会社の株式を長期の投資有価証券として保有し、これらは投資有価証券その他に含まれています。2019年3月31日におけるこれらの非公開会社に対する投資の簿価合計は257億円です。非上場会社の持分証券は公正価値が容易に算定できない場合、取得原価から減損を控除し、同じ発行体の同一又は類似投資の観察可能な価格変動(秩序ある取引における)を加減した金額で測定しています。
2017年度及び2018年度において実現した減損は、総額でそれぞれ52億円及び43億円計上されました。このうち、2017年度及び2018年度において、それぞれ2億円及び0.2億円が、金融分野の子会社により金融ビジネス収入として計上されています。金融分野の子会社以外の実現した減損額は、主として金融分野以外の戦略投資に関するもので、その他の費用として計上されています。この戦略投資は、主にソニーが新技術の開発及びマーケティングのために戦略的関係を有する日本及び米国所在の企業に関するものです。これらの減損の計上は、過去2年間において、これら新技術の開発及び販売に成功しなかったため、これらの企業の業績が以前の見通しより悪化したことにより、これらの企業の公正価値の下落が一時的でないと判断されたことにもとづくものです。個々の減損につき、金額的に重要性のあるものはありません。
有価証券の減損が生じたと判断された場合には、その公正価値にもとづく価額まで評価減を行います。活発な市場における取引価格が入手可能な有価証券の公正価値は、減損の判断が行われた時点での未調整の取引価格にもとづき測定されます。前述以外の有価証券の公正価値は通常、類似特性を持った有価証券の取引価格にもとづき測定され、もしくは、価格決定モデル、割引キャッシュ・フロー法、又は市場参加者が価格決定に使用するであろう前提に関するマネジメントの重要な判断もしくは見積りを必要とする類似評価手法を用いて算定されます。過去2年間において計上された減損は、個々の有価証券に固有な要因及び状況によるもので、他の有価証券に対して重要な影響を与えるものではありません。
金融分野の投資額は主にソニー生命とソニー銀行により構成されています。2019年3月31日現在、ソニー生命、ソニー銀行の投資額はそれぞれ金融分野全体の投資額の約92%及び約6%を占めています。
借入債務、オペレーティング・リースによる最低賃借料、コミットメント及び偶発債務
2019年3月31日現在におけるソニーの既発債務及びコミットメントは以下のとおりです。(「注記」は、連結財務諸表注記)
(注)*1 生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定の期限別支払額は、保険契約者等に対する将来の予測支払額です。これらの支払額は罹患率、死亡率及び契約脱退率等の予測にもとづいて算定されています。上記の支払額合計の25兆145億円は、連結貸借対照表の計上額である8兆6,325億円より大きくなっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11 保険関連科目』参照)
*2 総未認識税務ベネフィットの合計額は、未認識税務ベネフィットに関する会計基準にもとづく総未認識税務ベネフィットに関する負債を示しています。この負債については、様々な税務当局との合意の時期の不確実性により、その解決時期を合理的に見積もることはできません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 法人税等』参照)
以下の項目は、上記の表及び下記の2019年3月31日現在におけるコミットメントの総額には含まれていません。
• 将来における年金支払の合計額については、現時点では確定できないため、含まれていません。なお、ソニーは2019年度において、給付建年金制度に対して日本国内制度で約100億円、海外制度で約80億円を拠出する予定です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照)
• 金融子会社が提供する、顧客に対する貸付契約にもとづく貸付の未実行残高は、現時点では顧客による借入金額を予測できないため、上記の表には含まれていません。なお、2019年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は約276億円です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 コミットメント、偶発債務及びその他』参照)
• 特定の部品組立業者及び生産受託業者からの購入は、ソニーにおける製造のための供給の継続及び最善の価格を達成するために通常の業務過程に組み込まれており、典型的な拘束力を有する購入義務ではないことから含まれていません。購入義務は、ソニーに対して法的拘束力を有する、物品あるいはサービスの購入に関する契約義務として定義されます。これらの義務には購入数量や価格、取引時期に関する条項など、重要な条項が含まれますが、違約金の支払をともなわずに解約できる契約は含まれません。購入には、ソニーが特定の部品組立業者との間で締結している、これらの部品組立業者のために部品を含む物品を調達し、関連する再購入の際に支払から控除する契約が含まれます。これにより、在庫リスクを最小化する、ソニーのフレキシブルなサプライチェーン・マネジメントと、これらの会社との間における相互に利点のある調達関係の実現が可能となります。業界の慣行にしたがい、ソニーが提供する需要予測や生産計画にもとづき、部品組立業者から技術的基準を満たす部品の購入を行っています。
訴訟及び製品保証を含む保証債務については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 コミットメント、偶発債務及びその他』をご参照ください。
オフバランス取引
ソニーは流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。
これらの取引は、ソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『7 金融資産の移転』参照)また、一部の売掛債権売却プログラムには変動持分事業体(以下「VIE」)が関与していますが、ソニーは第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『25 変動持分事業体』参照)
(5)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フロー:2018年度において営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比48億円増加し、1兆2,587億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、7,534億円の受取超過となり、前年度比172億円の受取の減少となりました。この減少は、当期純利益に非資金調整項目(有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費、投資有価証券売却益、ならびにその他の営業損益)を加味した後の金額が前年度に比べて増加した一方で、その他の流動負債に含まれる未払費用が減少したことなどによるものです。
金融分野では5,217億円の受取超過となり、前年度比231億円の受取の増加となりました。この増加は、ソニー生命における保険料収入が前年度に比べて増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー:2018年度において投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比4,844億円増加し、1兆3,074億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、5,204億円の支払超過となり、前年度比3,564億円の支払の増加となりました。この増加は、EMIの約60%の持分取得に対する支払いがあったことや、半導体製造設備等の固定資産の購入による支払いが増加したことなどによるものです。一方で、保有していたSpotify株式の一部売却による収入がありました。
金融分野では7,871億円の支払超過となり、前年度比1,278億円の支払の増加となりました。この増加は、ソニー生命及びソニー銀行における投資及び貸付が前年度に比べて増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー:財務活動による現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度の2,465億円の受取超過に対し、2018年度は1,229億円の支払超過となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、5,211億円の支払超過となり、前年度比4,670億円の支払の増加となりました。この増加は、当年度において普通社債の償還や長期借入金の返済を行ったこと、EMIを連結したことにともない承継した借入金の一部を返済したこと及びNileの25.1%の持分取得に対する支払いがあったことなどによるものです。加えて、2019年2月8日開催の取締役会において決議した自己株式の取得の実施(取得株数19,309,100株、取得総額1,000億円)にともなう支出もありました。
金融分野では3,819億円の受取超過となり、前年度比964億円の受取の増加となりました。この増加は、ソニー生命における短期借入金が増加したことや、ソニー銀行における顧客預り金の増加額が拡大したことなどによるものです。
現金・預金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2019年3月末の現金・預金及び現金同等物期末残高は1兆4,701億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2019年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2018年3月末に比べ2,327億円減少し、9,605億円となりました。金融分野の2019年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2018年3月末に比べ1,165億円増加し、5,096億円となりました。
金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報
以下の表は、金融分野の要約キャッシュ・フロー計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約キャッシュ・フロー計算書です。この要約キャッシュ・フロー計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約キャッシュ・フロー計算書
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及びソネット・メディア・ネットワークス㈱を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目の最後に別途説明しています。
流動性マネジメントと資金の調達
ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全なバランスシートを維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金・預金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。
流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、CP、銀行借入などの手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。
当社、SGTS及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2018年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆550億円分のCPプログラム枠を保有しています。2018年度は米国においてCPの発行を行いました。2018年度中の最大月末発行残高は2018年11月末の約190億円でしたが、2018年度末における発行残高はありません。
金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2018年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で5,220億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる2,750億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる525百万米ドルの複数通貨建コミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。
グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。
格付け
ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。
ソニーは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うにあたり、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱及びムーディーズ・ジャパン㈱の2社より格付けを取得しています。また、日本国内の資本市場からの調達にあたっては、日本の格付会社である㈱格付投資情報センター及び㈱日本格付研究所からも格付けを取得しています。
またソニーは現時点において、引き続き金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持していると考えています。(将来の格付け低下によるリスクについては、「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
キャッシュ・マネジメント
ソニーは米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合はSGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合にはSGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーはSGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。
金融分野
SFH、ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法など)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、主に同じ通貨建の金融商品に投資されています。
なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められております。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記のSGTSを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。
(1)重要な会計方針及び見積り
米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・前提を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な前提にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計方針として考えています。
投資
ソニーの投資は、原価法あるいは持分法により会計処理されている負債及び持分証券を含みます。負債証券の投資価値に一時的でない下落が認められた場合は減損を認識し、その投資は公正価値まで評価減されます。ソニーは、個々の負債証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。
売却可能証券に区分された負債証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない負債証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。
満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。
投資の公正価値の下落が一時的であるか否かの判定は、多くの場合、主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、投資価値の下落が一時的であると判断している負債証券について、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化あるいは市場金利変動の影響等の事後情報の評価にもとづき、将来、公正価値の下落が一時的でないと判断され、投資の未実現評価損が費用として認識され将来の収益を減額する場合があります。
棚卸資産の評価
ソニーは原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で棚卸資産を評価します。棚卸資産原価と正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成及び処分までの費用を控除した額)の差額を評価減計上します。ソニーは、部品や製品が陳腐化したり、在庫量が使用見込みを上回ったり、又は在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。市場環境が予測より悪化してさらなる値下げが必要な場合には、将来において追加の評価減計上が必要となります。
長期性資産の減損
ソニーは、保有して使用される長期性資産及び処分予定の長期性資産又は資産グループの簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の有無を検討しています。保有して使用される長期性資産は割引前将来キャッシュ・フローと長期性資産又は資産グループの簿価を比較することにより減損の検討が行われています。この検討は、主として製品カテゴリーごと、特定の場合には、企業ごとの将来キャッシュ・フローの見積りにもとづいて行われます。資産又は資産グループの簿価が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損損失を認識します。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。
マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは合理的であると考えています。しかしながら、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。
企業結合
ソニーは取得法の適用時に、みなし取得価額を識別可能資産及び引受負債に割り当て、残余の取得価額は営業権として計上しています。取得価額の割当では、識別可能資産及び引受負債、特に無形固定資産の公正価値の決定に重要な見積りが使用されます。通常、独立した外部の第三者が評価プロセスに関与します。重要な見積り及び前提は、収益及び将来キャッシュ・フローの計上時期及び金額、将来キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、ならびにターミナル・バリューを決定する際に適用される永続成長率等を含みます。
見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この取得価額は異なる金額で評価され、取得資産及び引受負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、営業権を含む取得資産の減損損失の計上又は引受負債の増加が必要となる可能性があります。
営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。
2019年3月31日において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額の比較による定量的手続を行いました。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権について減損損失は認識されません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、報告単位に配分された営業権の総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産の減損判定では、公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。
営業権の減損判定における報告単位の公正価値の決定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。同様に、非償却性無形固定資産の公正価値の決定においても、見積り・前提が使用されます。これらの見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
これらの減損判定において、ソニーは、社内における評価を行い、またマネジメントが妥当と判断する場合には第三者による評価を活用するとともに、一般に入手可能な市場情報を考慮に入れています。報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮します。
将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される前提は、それぞれの報告単位における見込み及び中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況を考慮しています。永続成長率は主に中期計画の3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。映画分野の報告単位など、特定の報告単位においては、より長い見込期間、及び予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される利益倍率を用いた出口価格に、コントロール・プレミアムを加味して算定されたターミナル・バリューを使用しています。割引率は類似企業の加重平均資本コストにより算出されています。
2018年度において、ソニーは営業権の減損損失5,107百万円を計上しました。これは主にその他分野における報告単位の公正価値の減少によるものです。当該報告単位の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積現在価値にもとづき算定されています。
上記に記載するものを除き、2018年度の減損判定において、営業権を持つ全ての報告単位の公正価値が帳簿価額を超過していたため、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。これらの報告単位において公正価値は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。また、耐用年数の確定できない非償却性資産においても、公正価値が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。
2019年3月31日現在のセグメントごとの営業権の帳簿価額は以下のとおりです。
| 金額 (単位:百万円) | |
| G&NS | 153,955 |
| 音楽 | 403,370 |
| 映画 | 145,484 |
| IP&S | 8,668 |
| MC | 3,286 |
| 半導体 | 46,564 |
| 金融 | 7,225 |
| 合計 | 768,552 |
上述の中期計画を除く、2018年度の減損判定における、ソニーの報告単位の公正価値への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。
・割引率は7.1%から10.6%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1%増加させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・G&NS分野、IP&S分野、MC分野、半導体分野、金融分野及びその他分野の報告単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率はおおよそ0%から1.5%の範囲です。音楽分野の報告単位における中期計画を超える期間の成長率は0%から7.4%の範囲、映画分野では3.0%から4.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1%減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・映画分野の報告単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は9.0から10.0の範囲です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
マネジメントは、営業権の減損判定に使用した公正価値の見積りに用いられた前提は合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
退職年金費用
従業員の退職年金費用及び債務は、最新の統計数値にもとづく割引率、退職率及び死亡率を含む特定の前提条件に加え、年金制度資産の長期期待収益率及びその他の要因にも左右されます。特に割引率と長期期待収益率は、期間退職・年金費用及び退職給付債務を決定する上で、二つの重要な前提条件です。前提条件は、少なくとも年に一度、又はこれらの重要な前提条件に重大な影響を与えるような事象の発生又は状況の変化があった場合に評価されます。
米国会計原則にしたがって、前提条件と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来認識される退職年金費用及び退職給付債務に影響します。マネジメントはこれらの前提条件が適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、ソニーの退職給付債務及び将来の退職年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの主要な年金制度は国内年金制度です。個別の海外年金制度に関して、年金制度資産及び退職給付債務の国内及び海外総額にとって重要性のあるものはありません。
ソニーは2019年3月31日現在の国内年金制度の退職給付債務の決定において、0.6%の割引率を適用しました。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の収益率情報を使用し、給付の見込支払額と時期を考慮して決定されます。この収益率情報には、公表されている市場情報及び複数の格付け機関から提供される数値が使用されています。この0.6%の割引率は2017年度に使用された0.8%から0.2ポイントの低下となり、昨今の日本における市場金利状況を反映しています。
年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。国内年金制度における2018年3月31日及び2019年3月31日現在の年金資産の長期期待収益率は、それぞれ2.4%及び2.6%でした。2017年度及び2018年度の実際の収益率は、それぞれ5.6%及び2.7%でした。2017年度において実際の収益率が期待収益率を上回った要因としては、主に年間を通じて日本国内及び世界的に株式市場が好調だったことが挙げられます。実際の結果と年金制度資産の長期期待収益との差異は、累積され、退職年金費用の一部として将来の平均残存勤務年数にわたって償却されます。その結果、毎年の退職年金費用のボラティリティが軽減されています。2018年3月31日及び2019年3月31日現在における、ソニーの国内年金制度についての年金制度資産の損失を含む年金数理純損失は、それぞれ2,999億円及び3,111億円でした。2018年度において、年金制度資産の実際の収益率が長期期待収益率をわずかに上回ったものの、主に退職給付債務の決定に使用した割引率が前年度を下回った影響により、年金数理純損失は増加しました。
以下の表は、他の前提条件を2019年3月31日より一定とした場合の、2019年度における国内年金制度の割引率と年金制度資産の長期期待収益率の変動による影響を表しています。
| 前提条件の変更 | 予測給付債務 | 退職年金費用 | 当期純利益 |
| 割引率 | |||
| 0.25ポイント増/0.25ポイント減 | -/+386億円 | -/+19億円 | +/-13億円 |
| 年金制度資産の長期期待収益率 | |||
| 0.25ポイント増/0.25ポイント減 | - | -/+18億円 | +/-12億円 |
繰延税金資産の評価
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。
過年度に計上した損失の結果、2019年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で7,231億円の評価性引当金を計上しています。この評価性引当金のうち、日本における当社とその連結納税グループで約4,800億円を計上しており、このうち法人税にかかるものは約3,500億円です。2019年3月31日現在、評価性引当金を計上している会社の中には、日本における当社とその連結納税グループをはじめ、収益性が回復した会社があります。評価性引当金を取崩すためには、収益性の回復は、検討されるべき要素ではありますが、とりわけ日本のように未使用の繰越欠損金の繰越可能期間が制限されている税務管轄では、継続した利益を計上することがさらに必要となります。
ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動、とりわけ連結会社間の移転価格において、最終的な税額の決定が不確実な状況が多く生じています。繰延税金資産の金額は、連結会社間の移転価格の決定による各税務管轄における課税所得の最終的な配分などに関するソニーの判断にもとづき不確実な税務ポジションのうち50%超の可能性で起こり得る最終的な結果を考慮しています。繰延税金資産の評価に関する見積りは、貸借対照表日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産を回収可能額まで減額するために、将来において追加的な評価性引当金の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連する質的要因や不確実性を考慮した上で、税金費用の戻し入れをともなう評価性引当金の取崩しが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの要因や変化は、評価性引当金が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
米国税制改革法により企業に対する米国の課税方法が大きく変わりました。米国税制改革法では、従来の米国の税法では要求されていなかった複雑な計算や米国税制改革法の規定の解釈における重要な判断、計算における重要な見積り、ならびに従来は関連性がないもしくは定期的に作成されていない情報の収集と分析が必要となります。米国財務省、内国歳入庁ならびにその他基準設定機関により、米国税制改革法の規定の適用・施行に関する解釈とガイダンスの発行が引き続き行われる予定です。ガイダンスが今後発行されることにより、従来計上した税金引当額に対して修正を行い、当該修正を行う期間の財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
映画会計
映画会計においては、作品ごとの予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは次の2点において重要となります。第一に、映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。第二に、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいています。
マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優あるいは女優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。
保険契約債務
保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。保険契約債務は0.8%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表に拠っています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。
生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.8%から2.0%です。変額保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約、変額個人年金保険及び年金開始後契約が含まれています。投資契約(変額個人年金保険除く)に対する付与利率は、0.01%から6.3%です。変額個人年金保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。
(2)生産、受注及び販売の状況
ソニーの生産・販売品目は極めて多種多様であり、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っています。なお、ソニーはエレクトロニクス5分野(G&NS分野、HE&S分野、IP&S分野、MC分野及び半導体分野の合計)においては、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っていることから、生産状況は販売状況に類似しています。このため生産及び販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」内のエレクトロニクス5分野の業績に関連付けて示しています。
(3)経営成績の分析
営業概況
| 2017年度 (億円) | 2018年度 (億円) | |
| 売上高及び営業収入 | 85,440 | 86,657 |
| 持分法による投資利益(損失) | 86 | △30 |
| 営業利益 | 7,349 | 8,942 |
| 税引前利益 | 6,990 | 10,116 |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 4,908 | 9,163 |
連結業績
売上高
2018年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比1,217億円増加し、8兆6,657億円となりました。これは、主にMC分野の大幅な減収があったものの、G&NS分野の大幅な増収があったことなどによるものです。また、2017年度の売上高には熊本地震にかかわる逸失利益などに対する保険金の受取67億円が半導体分野に、26億円がIP&S分野に、それぞれ含まれています。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。
(後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、売上高には、純売上高及び営業収入のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、金融ビジネス費用は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。)
売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損(益)(純額)
2018年度の売上原価は、前年度に比べ375億円減少して5兆1,508億円となり、売上高に対する比率は前年度の70.9%から69.7%に改善しました。
研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度に比べ227億円増加の4,812億円となり、売上高に対する比率は、前年度の6.3%に対し6.5%になりました。(詳細は「第2 事業の状況」『5 研究開発活動』参照)
販売費及び一般管理費は、前年度に比べ64億円減少して1兆5,768億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前年度の21.6%から21.3%に改善しました。
その他の営業損(益)(純額)は、前年度の41億円の損失に対し、2018年度は716億円の利益となりました。この大幅な改善は、以下の2018年度に発生した要因の寄与及び2017年度に発生した要因による影響がなかったことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 連結損益計算書についての補足情報』参照)
2018年度に発生した要因
・EMIの連結子会社化による再評価益1,169億円(音楽分野)
・長期性資産の減損損失 192億円(MC分野)
・長期性資産及び営業権の減損損失 129億円(その他分野)
2017年度に発生した要因
・長期性資産の減損損失 313億円(MC分野)
・カメラモジュール事業の製造子会社の持分全部の譲渡益 283億円(半導体分野)
・子会社が保有していた不動産の譲渡益 105億円(音楽分野)
・製造設備の売却にともなう利益 86億円(半導体分野)
持分法による投資利益(損失)
2018年度の持分法による投資利益(損失)は、前年度の86億円の利益に対し、2018年度は30億円の損失となりました。これは、主に音楽分野に含まれるEMIの持分約60%の取得にともない発生した新株予約権関連費用及びマネジメントインセンティブ費用等により、EMIの持分法投資損益が116億円悪化したことによるものです。
営業利益
2018年度の営業利益は、前年度比1,594億円増加し、8,942億円となりました。この大幅な増益は、MC分野における大幅な損失拡大があったものの、主にG&NS分野及び音楽分野における大幅な増益があったことによるものです。なお、当年度及び前年度の営業利益には、前述のその他の営業損(益)(純額)として計上された要因が含まれています。
その他の収益及び費用
2018年度のその他の収益は、前年度から1,210億円増加し、1,447億円となりました。一方、その他の費用は前年度に比べ322億円減少し、273億円となりました。その他の収益からその他の費用を差し引いた純額は、前年度に比べ1,532億円改善し、1,174億円の収益となりました。これは、主にSpotify Technology S.A.(以下「Spotify」)の上場にともなう持分証券に関する利益(純額)1,017億円を当年度に計上したことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『8 有価証券及び投資有価証券』参照)
為替差損(純額)は、前年度に比べ194億円減少し、113億円を計上しました。なお、受取利息及び配当金は、前年度に比べ18億円増加し、216億円となりました。支払利息は前年度に比べ11億円減少し、125億円となりました。
税引前利益
2018年度の税引前利益は、前年度に比べ3,126億円増加し、1兆116億円となりました。
法人税等
2018年度の法人税等は、451億円を計上し、実効税率は前年度の21.7%を下回り、4.5%となりました。これは、主にEMI持分に関する再評価益に対して税金費用が計上されないこと、及び米国の連結納税グループにおける相当部分の繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩した結果、2018年度第3四半期連結会計期間において法人税等を1,542億円減額したことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 法人税等』参照)
非支配持分に帰属する当期純利益
2018年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度に比べ62億円減少し、503億円となりました。
当社株主に帰属する当期純利益
2018年度の当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度に比べ4,255億円増加し、9,163億円となりました。
基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の388.32円に対し、2018年度は723.41円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の379.75円に対し、2018年度は707.74円となりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『24 基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照)
分野別営業概況
以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高及び営業収入は、セグメント間取引を含みます。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『30 セグメント情報』参照)
G&NS分野
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| 製品部門別の外部顧客向け売上高 | ||
| デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ | 762,220 | 1,102,231 |
| ネットワーク | 270,972 | 326,524 |
| ハードウェア・その他 | 815,106 | 795,867 |
| 外部顧客向け売上高の合計 | 1,848,298 | 2,224,622 |
| セグメント間取引 | 95,514 | 86,250 |
| セグメント売上高 | 1,943,812 | 2,310,872 |
| セグメント営業利益 | 177,478 | 311,092 |
| 主要製品の売上台数 | (万台) | (万台) |
| PS4®ハードウェア | 1,900 | 1,780 |
2018年度のG&NS分野の売上高は、前年度比3,671億円増加し、2兆3,109億円となりました。この増収は、PS4®のハードウェアの減収の影響はあったものの、ゲームソフトウェアの増収、有料会員サービス「プレイステーション プラス」の加入者数の増加などによるものです。
営業利益は、主に前述の増収の影響により、前年度に比べ1,336億円増加し、3,111億円となりました。
音楽分野
2018年11月14日、ソニーは従来持分法適用会社であったEMIについて、ムバダラインベストメントカンパニーが主導するコンソーシアムが保有する約60%の持分全てを取得し、これにより、EMIはソニーの完全子会社となりました。音楽分野に含まれるEMIの業績は2018年4月1日から11月13日までの期間のEMIにかかる持分法による投資損益、及び2018年11月14日から2019年3月31日までの期間のEMIの売上高及び営業損益、ならびにソニーが買収前から保有していたEMIの持分約40%について公正価値にもとづいて再評価したことにより計上した、現金収入をともなわない再評価益によって構成されています。
音楽分野の業績には、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Music Entertainment(以下「SME」)、Sony/ATV Music Publishing(以下「Sony/ATV」)、及び前述のEMIの円換算後の業績、ならびに円ベースで決算を行っている日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの業績が含まれています。
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 | ||
| 音楽制作 | 446,960 | 426,926 |
| 音楽出版 | 74,360 | 106,666 |
| 映像メディア・プラットフォーム | 263,472 | 261,433 |
| 外部顧客向け売上高の合計 | 784,792 | 795,025 |
| セグメント間取引 | 15,203 | 12,464 |
| セグメント売上高 | 799,995 | 807,489 |
| セグメント営業利益 | 127,786 | 232,487 |
2018年度の音楽分野の売上高は、主に顧客との契約から生じる収益に関する会計基準の変更の影響により音楽制作におけるパッケージメディアが減収となったものの、ストリーミング配信の売上が増加したことや2018年11月14日以降EMIを連結したことで音楽出版において売上が増加したことなどにより、ほぼ前年度並みの8,075億円となりました。
営業利益は、前年度比1,047億円増加し、2,325億円となりました。この大幅な増益は、EMIの持分約60%の取得にともない持分法投資損益が116億円悪化したものの、主に前述のEMIの連結子会社化により再評価益1,169億円を計上したことによるものです。
映画分野
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 | ||
| 映画製作 | 448,945 | 436,017 |
| テレビ番組制作 | 289,024 | 288,816 |
| メディアネットワーク | 272,204 | 260,437 |
| 外部顧客向け売上高の合計 | 1,010,173 | 985,270 |
| セグメント間取引 | 894 | 1,603 |
| セグメント売上高 | 1,011,067 | 986,873 |
| セグメント営業利益 | 41,110 | 54,599 |
2018年度の映画分野の売上高は、前年度比242億円(2%)減少し、9,869億円となりました(米ドルベースでは、約3%の減収)。この米ドルベースでの減収は、映画製作、メディアネットワーク及びテレビ番組制作の減収によるものです。映画製作の減収は、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「スパイダーマン:ホームカミング」などが好調だった前年度に比べ、「ヴェノム」「モンスターホテル3」を含む当年度の作品の全世界での劇場興行収入が減少したことなどによるものです。メディアネットワークは、インディアンプレミアリーグのクリケット大会に関連した収入を含む、米国外のいくつかのテレビネットワークにおける広告収入及び視聴料が減少したことなどにより減収となりました。テレビ番組制作は、顧客との契約から生じる収益に関する会計基準の変更の影響などによる増収があったものの、当年度におけるいくつかの米国のテレビ番組のライセンス収入やカタログ作品のライセンス収入が減少し、減収となりました。
営業利益は、前年度比135億円増加し、546億円となりました。この大幅な増益は、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「ピーターラビット」など収益性の高い作品のテレビ向けライセンス収入や映像ソフト収入が当年度にあったこと及び劇場公開作品の広告宣伝費が前年度に比べて減少したことなどにより映画製作の収益が改善したこと、ならびに顧客との契約から生じる収益に関する会計基準の変更の影響38億円などによるものです。一方、メディアネットワークにおける選択と集中を進めるためのチャンネルポートフォリオの見直しにともない、番組の評価減や早期退職費用128億円を計上したことや、メディアネットワーク及びテレビ番組制作の減収による影響もありました。
HE&S分野
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| 製品部門別の外部顧客向け売上高 | ||
| テレビ | 861,763 | 788,423 |
| オーディオ・ビデオ | 357,194 | 362,580 |
| その他 | 2,777 | 3,530 |
| 外部顧客向け売上高の合計 | 1,221,734 | 1,154,533 |
| セグメント間取引 | 999 | 878 |
| セグメント売上高 | 1,222,733 | 1,155,411 |
| セグメント営業利益 | 85,841 | 89,669 |
| 主要製品の売上台数 | (万台) | (万台) |
| テレビ | 1,240 | 1,130 |
2018年度のHE&S分野の売上高は、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったものの、規模を追わない収益性重視の経営によるテレビの販売台数の減少や為替の影響などにより、前年度に比べ673億円減少し、1兆1,554億円となりました。
営業利益は、為替の悪影響や前述の減収の影響があったものの、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善により、前年度に比べ38億円増加し、897億円となりました。
IP&S分野
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| 製品部門別の外部顧客向け売上高 | ||
| 静止画・動画カメラ | 415,318 | 421,506 |
| その他 | 231,845 | 239,798 |
| 外部顧客向け売上高の合計 | 647,163 | 661,304 |
| セグメント間取引 | 8,729 | 9,146 |
| セグメント売上高 | 655,892 | 670,450 |
| セグメント営業利益 | 74,924 | 83,975 |
| 主要製品の売上台数 | (万台) | (万台) |
| デジタルカメラ *(静止画・動画カメラ事業) | 440 | 360 |
2018年度のIP&S分野の売上高は、前年度比146億円増加し、6,705億円となりました。この増収は、市場縮小の影響によるコンパクトデジタルカメラの販売台数の減少などがあったものの、主にミラーレス一眼カメラやその交換レンズ群などの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善によるものです。
営業利益は、前年度比91億円増加し、840億円となりました。この増益は、主に前述の製品ミックスの改善や、オペレーション費用の削減によるものです。
* 「主要製品の売上台数」のデジタルカメラは、コンパクトデジタルカメラ、及びレンズ交換式一眼カメラを含みます。
MC分野
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| 外部顧客向け売上高の合計 | 713,916 | 487,330 |
| セグメント間取引 | 9,826 | 10,670 |
| セグメント売上高 | 723,742 | 498,000 |
| セグメント営業損失 | △27,636 | △97,136 |
| 主要製品の売上台数 | (万台) | (万台) |
| スマートフォン | 1,350 | 650 |
2018年度のMC分野の売上高は、前年度比2,257億円減少し、4,980億円となりました。この減収は、スマートフォンの販売台数の大幅な減少によるものです。
営業損失は、前年度比695億円拡大し、971億円となりました。この大幅な損失拡大は、オペレーション費用の削減や前述の長期性資産の減損計上額が前年度に比べ減少した影響があったものの、前述の販売台数の減少や余剰となった手元部品在庫に対する評価減などの費用の計上、及び構造改革費用が増加したことなどによるものです。
半導体分野
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| 外部顧客向け売上高の合計 | 726,892 | 770,622 |
| セグメント間取引 | 123,118 | 108,708 |
| セグメント売上高 | 850,010 | 879,330 |
| セグメント営業利益 | 164,023 | 143,874 |
2018年度の半導体分野の売上高は、前年度比293億円増加し、8,793億円となりました。この増収は、カメラモジュール事業の大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージセンサーの大幅な増収などによるものです。
営業利益は、前年度比201億円減少し、1,439億円となりました。この減益は、前述の増収の影響があったものの、研究開発費及び減価償却費の増加、前年度において前述のカメラモジュール事業の製造子会社の持分全部の譲渡益283億円、製造設備の売却にともなう利益86億円、及び熊本地震にかかる受取保険金67億円を計上したことなどによるものです。
以下の棚卸資産、外部顧客に対する売上高の地域別分析、地域別の生産状況は、エレクトロニクス5分野(G&NS分野、HE&S分野、IP&S分野、MC分野及び半導体分野の合計)に関するものです。
棚卸資産
| 2017年度 (億円) | 2018年度 (億円) | |
| G&NS | 740 | 751 |
| HE&S | 1,213 | 1,125 |
| IP&S | 756 | 825 |
| MC | 787 | 263 |
| 半導体 | 2,409 | 2,534 |
| エレクトロニクス5分野合計 | 5,905 | 5,498 |
外部顧客に対する売上高の地域別分析
| 2017年度 | 2018年度 | |
| 日本 | 18.1% | 16.6% |
| 米国 | 22.4% | 23.8% |
| 欧州 | 26.5% | 26.6% |
| 中国 | 11.4% | 13.0% |
| アジア・太平洋地域 | 15.3% | 13.3% |
| その他地域 | 6.3% | 6.7% |
| エレクトロニクス5分野合計 | 100% | 100% |
地域別の生産状況
以下の表は、エレクトロニクス5分野合計の年間全生産高の自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳、ならびに年間自社生産高の地域別内訳を示したものです。なお、自社生産高の地域別内訳におけるカッコ内の数値は、各地域からそれ以外の地域に輸出された製品の比率を示しています。
自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳*
| 2017年度 | 2018年度 | |
| 自社生産高 | 63% | 64% |
| 社外への生産委託による生産高 | 37% | 36% |
| エレクトロニクス5分野合計 | 100% | 100% |
自社生産高の地域別内訳*
| 2017年度 | 2018年度 | |
| 日本 | 43%(89%) | 48%(89%) |
| 中国 | 20%(62%) | 18%(57%) |
| アジア・太平洋地域 | 34%(66%) | 32%(72%) |
| 米州及び欧州 | 3%(5%以下) | 2%(5%以下) |
| エレクトロニクス5分野合計 | 100% | 100% |
*小数点以下を四捨五入して記載しております。したがって、各欄の合計が合計額の欄と一致しない場合があります。
金融分野
ソニーの金融分野には、SFH及びSFHの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)等の業績が含まれています。
以下に記載されているソニー生命の業績は米国会計原則に則ったものであり、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。
主要経営数値
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| 金融ビジネス収入 | 1,228,377 | 1,282,539 |
| 営業利益 | 178,947 | 161,477 |
2018年度の金融ビジネス収入は、主にソニー生命の増収により、前年度比542億円増加し、1兆2,825億円となりました。ソニー生命の収入は、保有契約高の拡大にともない保険料収入が増加したことなどにより、前年度比495億円増加し、1兆1,431億円となりました。
営業利益は、主にソニー生命及びソニー銀行の減益により、前年度に比べ175億円減少し、1,615億円となりました。ソニー生命の営業利益は、前年度に比べ135億円減少し、1,456億円となりました。この減益は、前述の増収の影響があったものの、前年度に一般勘定において投資目的不動産の売却益を計上したことや、当年度において投資有価証券の評価損を計上したことなどによるものです。また、ソニー銀行の減益は有価証券評価損を計上したことなどによるものです。
金融分野を分離した経営成績情報
以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約損益計算書(3月31日に終了した1年間)
| (単位:百万円) | 金融分野 | 金融分野を除くソニー連結 | ソニー連結 | |||
| 2017年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2018年度 | |
| 金融ビジネス収入 | 1,228,377 | 1,282,539 | - | - | 1,221,235 | 1,274,708 |
| 純売上高及び営業収入 | - | - | 7,329,755 | 7,396,401 | 7,322,747 | 7,390,979 |
| 売上高及び営業収入合計 | 1,228,377 | 1,282,539 | 7,329,755 | 7,396,401 | 8,543,982 | 8,665,687 |
| 売上原価 | - | - | 5,199,748 | 5,160,284 | 5,188,259 | 5,150,750 |
| 販売費及び一般管理費 | - | - | 1,578,716 | 1,572,714 | 1,583,197 | 1,576,825 |
| 金融ビジネス費用 | 1,049,305 | 1,120,276 | - | - | 1,042,163 | 1,112,446 |
| その他の営業損(益)(純額) | 64 | 104 | 4,008 | △71,672 | 4,072 | △71,568 |
| 売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用合計 | 1,049,369 | 1,120,380 | 6,782,472 | 6,661,326 | 7,817,691 | 7,768,453 |
| 持分法による投資利益(損失) | △61 | △682 | 8,630 | △2,317 | 8,569 | △2,999 |
| 営業利益 | 178,947 | 161,477 | 555,913 | 732,758 | 734,860 | 894,235 |
| その他の収益(費用)(純額) | - | △73 | △20,738 | 133,929 | △35,811 | 117,413 |
| 税引前利益 | 178,947 | 161,404 | 535,175 | 866,687 | 699,049 | 1,011,648 |
| 法人税等 | 51,825 | 44,763 | 99,945 | 335 | 151,770 | 45,098 |
| 当期純利益 | 127,122 | 116,641 | 435,230 | 866,352 | 547,279 | 966,550 |
| 控除―非支配持分に帰属する当期純利益 | 201 | 235 | 9,311 | 8,778 | 56,485 | 50,279 |
| 金融分野の当期純利益 | 126,921 | 116,406 | - | - | - | - |
| 金融分野を除くソニー連結の当期純利益 | - | - | 425,919 | 857,574 | - | - |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 490,794 | 916,271 |
その他分野
2018年度の売上高は、前年度比614億円減少し、3,457億円となりました。この大幅な減収は主に、電池事業の売上高が減少したことによるものです。
営業損失は、前年度比124億円縮小し111億円となりました。この大幅な縮小は、前述のストレージメディア事業の長期性資産及び営業権の減損損失129億円を計上したものの、主に電池事業の損失が縮小したことによるものです。
構造改革
厳しい経営環境の中、ソニーは組織の最適化や事業の業績向上のため、事業や製品カテゴリーからの撤退、従業員数の削減、販売・間接部門の能率化など、様々な構造改革を実施しました。例えば、MC分野において、ソニーは同分野に含まれるスマートフォン事業の収益構造の改善に向け、北京工場の生産停止の前倒しや中東及び中南米などのいくつかの地域からの撤退を行い、2018年度に製造事業所などの海外拠点で構造改革の施策を実行しました。これらの施策は、2020年度の黒字化達成に向けて、MC分野のオペレーション費用を2017年度比で約50%削減するというソニーの計画に寄与することが見込まれます。また、映画分野に含まれるメディアネットワークにおける集中と選択を進めるためのチャンネルポートフォリオの見直しなど、他の分野においても様々な構造改革を実施しました。
競争環境は今後も一層厳しくなるとみており、事業の規模や環境の変化を考慮して、常にコスト水準や収益構造の見直しを行い、ソニーが適切だと考えるコスト削減を継続します。
2017年度及び2018年度における構造改革に関連する費用(「構造改革に関連する資産の減価償却費」を含む)は以下のとおりです。(詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『21 構造改革にかかる費用』参照)
| 2017年度 (百万円) | 2018年度 (百万円) | |
| 構造改革費用 | 22,405 | 33,091 |
為替変動とリスク・ヘッジ
2018年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ110.9円、128.5円と前年度の平均レートに比べ米ドルは0.1円の円安、ユーロは1.2円の円高となりました。
2018年度の連結売上高は、前年度に比べ1,217億円(1%)増加し、8兆6,657億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約2%の増加となります。
連結営業利益は、前年度比1,594億円増加し、8,942億円となりました。主にエレクトロニクス5分野において為替変動の悪影響が生じました。
前述の5分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。
| 2017年度 (億円) | 2018年度 (億円) | 為替変動による影響額 (億円) | ||
| G&NS分野 | 売上高 | 19,438 | 23,109 | △94 |
| 営業利益 | 1,775 | 3,111 | △48 | |
| HE&S分野 | 売上高 | 12,227 | 11,554 | △246 |
| 営業利益 | 858 | 897 | △216 | |
| IP&S分野 | 売上高 | 6,559 | 6,705 | △37 |
| 営業利益 | 749 | 840 | △32 | |
| MC分野 | 売上高 | 7,237 | 4,980 | △49 |
| 営業損失 | △276 | △971 | +20 | |
| 半導体分野 | 売上高 | 8,500 | 8,793 | +1 |
| 営業利益 | 1,640 | 1,439 | △5 |
なお、音楽分野の売上高はほぼ前年度並みの8,075億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約1%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比2%減少の9,869億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約3%の減収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFHを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。
2018年度のエレクトロニクス5分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約210億円の減少、営業損益では約35億円の増加と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約95億円、営業損益では約50億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。HE&S分野では、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼす一方で、ドル建ての製造コストの割合が高いことから米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。IP&S分野では、円貨建てのコストの割合が相対的に高いのに対して、新興国での売上高の割合が高いことから、新興国通貨、特に中国元に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。MC分野では、売上高に占める円貨建ての割合が相対的に高い一方で、米ドル建ての製造や部品調達コストが大きな割合を占めていることから、米ドルに対する円高は、営業利益に好影響を及ぼします。半導体分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。
これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て売上債権や買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。
ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSとソニー㈱がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前から3ヵ月前までの間にヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主に資産負債の総合管理(以下「ALM」)の一環としてデリバティブを活用しています。
また、特にエレクトロニクス5分野では、為替変動が業績に与える影響を極力小さくするために、海外において市場により近い地域での資材・部品調達、設計、生産を推進しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、ただちにその他収益・その他費用に計上されます。2018年度末における外国為替契約の想定元本の合計及び負債に計上された公正価値(純額)の合計は、それぞれ1兆8,428億円、36億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15 デリバティブ及びヘッジ活動』参照)
注:この章において、為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。また、MC分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。音楽分野のSME及びSony/ATV、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。これらの情報は米国会計原則に則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。
所在地別の業績
所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び営業収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『30 セグメント情報』に記載しています。
(4)財政状態の分析
以下の表は金融分野の要約貸借対照表、及び金融分野を除くソニー連結の要約貸借対照表です。これらの要約貸借対照表はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約貸借対照表
| (単位:百万円) | 金融分野 | 金融分野を除くソニー連結 | ソニー連結 | ||||
| 2017年度末 | 2018年度末 | 2017年度末 | 2018年度末 | 2017年度末 | 2018年度末 | ||
| 資産 | |||||||
| 流動資産 | |||||||
| 現金・預金及び現金同等物 *1 | 393,133 | 509,595 | 1,193,196 | 960,478 | 1,586,329 | 1,470,073 | |
| 有価証券 | 1,176,601 | 1,324,538 | - | - | 1,176,601 | 1,324,538 | |
| 受取手形、売掛金及び契約資産 (評価性引当金控除後) | 15,612 | 16,479 | 1,003,558 | 1,055,669 | 1,012,779 | 1,065,802 | |
| 棚卸資産 | - | - | 692,937 | 653,278 | 692,937 | 653,278 | |
| 未収入金 | 60,819 | 63,921 | 130,393 | 159,758 | 190,706 | 223,620 | |
| 前払費用及びその他の流動資産 | 137,539 | 133,214 | 379,893 | 376,778 | 516,744 | 509,301 | |
| 流動資産合計 | 1,783,704 | 2,047,747 | 3,399,977 | 3,205,961 | 5,176,096 | 5,246,612 | |
| 繰延映画製作費 | - | - | 327,645 | 409,005 | 327,645 | 409,005 | |
| 投資及び貸付金 *2 | 10,560,933 | 11,400,938 | 272,545 | 399,696 | 10,756,058 | 11,724,651 | |
| 金融ビジネスへの投資(取得原価) | - | - | 133,514 | 153,968 | - | - | |
| 有形固定資産 | 22,424 | 22,920 | 715,760 | 752,847 | 739,470 | 777,053 | |
| その他の資産 | |||||||
| 無形固定資産 *3 | 34,622 | 42,968 | 492,546 | 874,998 | 527,168 | 917,966 | |
| 営業権 *3 | 7,225 | 7,225 | 523,267 | 761,327 | 530,492 | 768,552 | |
| 繰延保険契約費 | 586,670 | 595,265 | - | - | 586,670 | 595,265 | |
| 繰延税金 | 1,684 | 3,533 | 95,088 | 198,953 | 96,772 | 202,486 | |
| その他 | 33,267 | 32,085 | 295,650 | 311,653 | 325,167 | 339,996 | |
| その他の資産合計 | 663,468 | 681,076 | 1,406,551 | 2,146,931 | 2,066,269 | 2,824,265 | |
| 合計 | 13,030,529 | 14,152,681 | 6,255,992 | 7,068,408 | 19,065,538 | 20,981,586 | |
| 負債及び資本 | |||||||
| 流動負債 | |||||||
| 短期借入金 | 433,119 | 564,609 | 288,496 | 226,470 | 721,615 | 791,079 | |
| 支払手形及び買掛金 | - | - | 468,550 | 492,124 | 468,550 | 492,124 | |
| 未払金・未払費用 | 37,479 | 40,228 | 1,477,875 | 1,653,895 | 1,514,433 | 1,693,048 | |
| 未払法人税及びその他の未払税金 | 19,401 | 19,655 | 126,504 | 115,571 | 145,905 | 135,226 | |
| 銀行ビジネスにおける顧客預金 | 2,159,246 | 2,302,314 | - | - | 2,159,246 | 2,302,314 | |
| その他 | 181,467 | 197,123 | 435,996 | 474,926 | 610,792 | 666,024 | |
| 流動負債合計 | 2,830,712 | 3,123,929 | 2,797,421 | 2,962,986 | 5,620,541 | 6,079,815 | |
| 長期借入債務 | 205,373 | 235,761 | 421,817 | 336,349 | 623,451 | 568,372 | |
| 未払退職・年金費用 | 33,062 | 33,979 | 361,442 | 350,253 | 394,504 | 384,232 | |
| 繰延税金 | 342,405 | 355,356 | 107,458 | 176,065 | 449,863 | 531,421 | |
| 保険契約債務その他 *4 | 5,221,772 | 5,642,671 | - | - | 5,221,772 | 5,642,671 | |
| 生命保険ビジネスにおける契約者勘定 | 2,820,702 | 3,048,202 | - | - | 2,820,702 | 3,048,202 | |
| その他 | 17,778 | 15,488 | 284,270 | 288,164 | 278,338 | 281,382 | |
| 負債合計 | 11,471,804 | 12,455,386 | 3,972,408 | 4,113,817 | 15,409,171 | 16,536,095 | |
| 償還可能非支配持分 | - | - | 9,210 | 8,801 | 9,210 | 8,801 | |
| 金融分野の株主に帰属する資本 | 1,557,062 | 1,695,563 | - | - | - | - | |
| 金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本 | - | - | 2,173,128 | 2,850,380 | - | - | |
| 当社株主に帰属する資本 | - | - | - | - | 2,967,366 | 3,746,377 | |
| 非支配持分 | 1,663 | 1,732 | 101,246 | 95,410 | 679,791 | 690,313 | |
| 資本合計 | 1,558,725 | 1,697,295 | 2,274,374 | 2,945,790 | 3,647,157 | 4,436,690 | |
| 合計 | 13,030,529 | 14,152,681 | 6,255,992 | 7,068,408 | 19,065,538 | 20,981,586 | |
(注)*1 2018年度末の金融分野を除くソニー連結における現金・預金及び現金同等物の減少要因は、「第2 事業の状況」『3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』の『(5)キャッシュ・フローの状況の分析』をご参照ください。
*2 2018年度末の金融分野における投資及び貸付金の増加は、主にソニー生命において投資及び貸付金が増加したことによるものです。
*3 2018年度末の金融分野を除くソニー連結における無形固定資産及び営業権の増加は、EMIを連結したことによる影響です。
*4 2018年度末の金融分野における保険契約債務その他の増加は、主にソニー生命において保険契約債務が増加したことによるものです。
投資有価証券
売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの未実現評価損益は次のとおりです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『8 有価証券及び投資有価証券』参照)
| 項目 | 2019年3月31日現在(単位:百万円) | |||
| 取得原価 | 未実現 評価益 | 未実現 評価損 | 公正価値 | |
| 金融ビジネス: | ||||
| 売却可能証券 | ||||
| ソニー生命 | 1,626,891 | 244,714 | △778 | 1,870,827 |
| ソニー銀行 | 694,315 | 5,468 | △449 | 699,334 |
| その他 | 76,199 | 71 | △29 | 76,241 |
| 満期保有目的証券 | ||||
| ソニー生命 | 6,761,953 | 2,058,480 | △19,586 | 8,800,847 |
| ソニー銀行 | - | - | - | - |
| その他 | 80,119 | 21,662 | △1 | 101,780 |
| 計 | 9,239,477 | 2,330,395 | △20,843 | 11,549,029 |
| 金融ビジネスを除くその他のビジネス: | ||||
| 売却可能証券 | 1,234 | - | - | 1,234 |
| 満期保有目的証券 | - | - | - | - |
| 計 | 1,234 | - | - | 1,234 |
| 連結合計 | 9,240,711 | 2,330,395 | △20,843 | 11,550,263 |
2019年3月31日現在、ソニー生命が保有する負債証券の未実現評価損の総額は204億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある負債証券に関するものは100.0%です。ソニー生命は、原則として、国内外の公社債に投資しており、その多くはStandard & Poor's Ratings Services(以下「S&P」)、Moody's Investors Service(以下「ムーディーズ」)等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
2019年3月31日現在、ソニー銀行が保有する負債証券の未実現評価損の総額は4億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある負債証券に関するものは67.5%です。ソニー銀行は、原則として、日本の国債、社債及び外国債券に投資しており、その多くはS&P、ムーディーズ等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
これらの未実現評価損は多数の負債証券から構成されており、個々の負債証券の未実現評価損に金額的な重要性はありません。さらに、個々の公正価値の下落金額及び下落率とも僅少であり、公正価値の下落は一時的であると判定されていることから、これらの未実現評価損を認識した負債証券の中に、減損の基準に合致したものはありません。
2019年3月31日現在、ソニー生命が保有する償還期日を有する負債証券のうち、未実現評価損(204億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 -
1年超5年以内 -
5年超10年以内 -
10年超 100.0%
2019年3月31日現在、ソニー銀行が保有する償還期日を有する負債証券のうち、未実現評価損(4億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 25.9%
1年超5年以内 71.7%
5年超10年以内 2.4%
10年超 -
2017年度において、ソニー生命が計上した売却可能証券の実現利益(純額)は0億円です。2018年度において、ソニー生命は売却可能証券の実現利益(純額)を計上していません。
ソニーは通常の事業において、多くの非公開会社の株式を長期の投資有価証券として保有し、これらは投資有価証券その他に含まれています。2019年3月31日におけるこれらの非公開会社に対する投資の簿価合計は257億円です。非上場会社の持分証券は公正価値が容易に算定できない場合、取得原価から減損を控除し、同じ発行体の同一又は類似投資の観察可能な価格変動(秩序ある取引における)を加減した金額で測定しています。
2017年度及び2018年度において実現した減損は、総額でそれぞれ52億円及び43億円計上されました。このうち、2017年度及び2018年度において、それぞれ2億円及び0.2億円が、金融分野の子会社により金融ビジネス収入として計上されています。金融分野の子会社以外の実現した減損額は、主として金融分野以外の戦略投資に関するもので、その他の費用として計上されています。この戦略投資は、主にソニーが新技術の開発及びマーケティングのために戦略的関係を有する日本及び米国所在の企業に関するものです。これらの減損の計上は、過去2年間において、これら新技術の開発及び販売に成功しなかったため、これらの企業の業績が以前の見通しより悪化したことにより、これらの企業の公正価値の下落が一時的でないと判断されたことにもとづくものです。個々の減損につき、金額的に重要性のあるものはありません。
有価証券の減損が生じたと判断された場合には、その公正価値にもとづく価額まで評価減を行います。活発な市場における取引価格が入手可能な有価証券の公正価値は、減損の判断が行われた時点での未調整の取引価格にもとづき測定されます。前述以外の有価証券の公正価値は通常、類似特性を持った有価証券の取引価格にもとづき測定され、もしくは、価格決定モデル、割引キャッシュ・フロー法、又は市場参加者が価格決定に使用するであろう前提に関するマネジメントの重要な判断もしくは見積りを必要とする類似評価手法を用いて算定されます。過去2年間において計上された減損は、個々の有価証券に固有な要因及び状況によるもので、他の有価証券に対して重要な影響を与えるものではありません。
金融分野の投資額は主にソニー生命とソニー銀行により構成されています。2019年3月31日現在、ソニー生命、ソニー銀行の投資額はそれぞれ金融分野全体の投資額の約92%及び約6%を占めています。
借入債務、オペレーティング・リースによる最低賃借料、コミットメント及び偶発債務
2019年3月31日現在におけるソニーの既発債務及びコミットメントは以下のとおりです。(「注記」は、連結財務諸表注記)
| 項目 | 期限別支払額(単位:百万円) | |||||
| 合計 | 1年未満 | 1年以上 3年未満 | 3年以上 5年未満 | 5年以上 | ||
| 既発債務及びコミットメント | ||||||
| 短期借入債務(注記12) | 618,618 | 618,618 | - | - | - | |
| 長期借入債務(注記9、12) | ||||||
| キャピタル・リース未払金等 | 72,991 | 37,379 | 17,006 | 7,993 | 10,613 | |
| その他長期借入債務 | 667,842 | 135,082 | 210,464 | 238,096 | 84,200 | |
| その他長期借入債務に係る利息 | 18,776 | 4,524 | 6,877 | 6,248 | 1,127 | |
| オペレーティング・リース取引による最低賃借料(注記9) | 268,464 | 58,901 | 83,549 | 47,507 | 78,507 | |
| コミットメント(注記29) | ||||||
| 映画作品及びテレビ番組の製作又は配給権購入のための予定支払額 | 94,871 | 53,073 | 33,775 | 7,162 | 861 | |
| 音楽アーティストならびに音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との契約 | 112,578 | 42,862 | 32,865 | 13,006 | 23,845 | |
| 広告宣伝の権利に関するスポンサーシップ契約 | 10,132 | 4,767 | 5,365 | - | - | |
| 番組供給契約 | 11,027 | 10,472 | 555 | - | - | |
| 資産購入、部材調達及びその他の コミットメント | 364,730 | 233,243 | 65,532 | 46,568 | 19,387 | |
| 生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定(注記11) *1 | 25,014,491 | 524,091 | 1,161,523 | 1,250,964 | 22,077,913 | |
| 総未認識税務ベネフィット(注記23) *2 | 50,577 | - | - | - | - | |
| 合計 | 27,305,097 | 1,723,012 | 1,617,511 | 1,617,544 | 22,296,453 | |
(注)*1 生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定の期限別支払額は、保険契約者等に対する将来の予測支払額です。これらの支払額は罹患率、死亡率及び契約脱退率等の予測にもとづいて算定されています。上記の支払額合計の25兆145億円は、連結貸借対照表の計上額である8兆6,325億円より大きくなっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11 保険関連科目』参照)
*2 総未認識税務ベネフィットの合計額は、未認識税務ベネフィットに関する会計基準にもとづく総未認識税務ベネフィットに関する負債を示しています。この負債については、様々な税務当局との合意の時期の不確実性により、その解決時期を合理的に見積もることはできません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 法人税等』参照)
以下の項目は、上記の表及び下記の2019年3月31日現在におけるコミットメントの総額には含まれていません。
• 将来における年金支払の合計額については、現時点では確定できないため、含まれていません。なお、ソニーは2019年度において、給付建年金制度に対して日本国内制度で約100億円、海外制度で約80億円を拠出する予定です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照)
• 金融子会社が提供する、顧客に対する貸付契約にもとづく貸付の未実行残高は、現時点では顧客による借入金額を予測できないため、上記の表には含まれていません。なお、2019年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は約276億円です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 コミットメント、偶発債務及びその他』参照)
• 特定の部品組立業者及び生産受託業者からの購入は、ソニーにおける製造のための供給の継続及び最善の価格を達成するために通常の業務過程に組み込まれており、典型的な拘束力を有する購入義務ではないことから含まれていません。購入義務は、ソニーに対して法的拘束力を有する、物品あるいはサービスの購入に関する契約義務として定義されます。これらの義務には購入数量や価格、取引時期に関する条項など、重要な条項が含まれますが、違約金の支払をともなわずに解約できる契約は含まれません。購入には、ソニーが特定の部品組立業者との間で締結している、これらの部品組立業者のために部品を含む物品を調達し、関連する再購入の際に支払から控除する契約が含まれます。これにより、在庫リスクを最小化する、ソニーのフレキシブルなサプライチェーン・マネジメントと、これらの会社との間における相互に利点のある調達関係の実現が可能となります。業界の慣行にしたがい、ソニーが提供する需要予測や生産計画にもとづき、部品組立業者から技術的基準を満たす部品の購入を行っています。
訴訟及び製品保証を含む保証債務については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 コミットメント、偶発債務及びその他』をご参照ください。
オフバランス取引
ソニーは流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。
これらの取引は、ソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『7 金融資産の移転』参照)また、一部の売掛債権売却プログラムには変動持分事業体(以下「VIE」)が関与していますが、ソニーは第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『25 変動持分事業体』参照)
(5)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フロー:2018年度において営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比48億円増加し、1兆2,587億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、7,534億円の受取超過となり、前年度比172億円の受取の減少となりました。この減少は、当期純利益に非資金調整項目(有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費、投資有価証券売却益、ならびにその他の営業損益)を加味した後の金額が前年度に比べて増加した一方で、その他の流動負債に含まれる未払費用が減少したことなどによるものです。
金融分野では5,217億円の受取超過となり、前年度比231億円の受取の増加となりました。この増加は、ソニー生命における保険料収入が前年度に比べて増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー:2018年度において投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比4,844億円増加し、1兆3,074億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、5,204億円の支払超過となり、前年度比3,564億円の支払の増加となりました。この増加は、EMIの約60%の持分取得に対する支払いがあったことや、半導体製造設備等の固定資産の購入による支払いが増加したことなどによるものです。一方で、保有していたSpotify株式の一部売却による収入がありました。
金融分野では7,871億円の支払超過となり、前年度比1,278億円の支払の増加となりました。この増加は、ソニー生命及びソニー銀行における投資及び貸付が前年度に比べて増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー:財務活動による現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度の2,465億円の受取超過に対し、2018年度は1,229億円の支払超過となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、5,211億円の支払超過となり、前年度比4,670億円の支払の増加となりました。この増加は、当年度において普通社債の償還や長期借入金の返済を行ったこと、EMIを連結したことにともない承継した借入金の一部を返済したこと及びNileの25.1%の持分取得に対する支払いがあったことなどによるものです。加えて、2019年2月8日開催の取締役会において決議した自己株式の取得の実施(取得株数19,309,100株、取得総額1,000億円)にともなう支出もありました。
金融分野では3,819億円の受取超過となり、前年度比964億円の受取の増加となりました。この増加は、ソニー生命における短期借入金が増加したことや、ソニー銀行における顧客預り金の増加額が拡大したことなどによるものです。
現金・預金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2019年3月末の現金・預金及び現金同等物期末残高は1兆4,701億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2019年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2018年3月末に比べ2,327億円減少し、9,605億円となりました。金融分野の2019年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2018年3月末に比べ1,165億円増加し、5,096億円となりました。
金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報
以下の表は、金融分野の要約キャッシュ・フロー計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約キャッシュ・フロー計算書です。この要約キャッシュ・フロー計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約キャッシュ・フロー計算書
| (単位:百万円) | 金融分野 | 金融分野を除くソニー連結 | ソニー連結 | |||
| 2017年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2018年度 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | ||||||
| 1 当期純利益(損失) | 127,122 | 116,641 | 435,230 | 866,352 | 547,279 | 966,550 |
| 2 営業活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額)への当期純利益(損失)の調整 | ||||||
| (1) 有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費(繰延保険契約費及び契約コストの償却を含む) | 79,843 | 91,179 | 281,601 | 282,847 | 361,444 | 374,026 |
| (2) 繰延映画製作費の償却費 | - | - | 359,274 | 348,493 | 359,274 | 348,493 |
| (3) その他の営業損(益)(純額) | 64 | 104 | 4,008 | △71,672 | 4,072 | △71,568 |
| (4) 有価証券及び投資有価証券に関する損益(純額) | △47,119 | △66,383 | 3,438 | △118,630 | △43,681 | △185,013 |
| (5) 資産及び負債の増減 | ||||||
| 受取手形、売掛金及び契約資産の増加(△)・減少 | △3,880 | △867 | △77,793 | 2,056 | △80,004 | 1,144 |
| 棚卸資産の増加(△)・減少 | - | - | △51,508 | 30,455 | △51,508 | 30,455 |
| 繰延映画製作費の増加(△)・減少 | - | - | △362,496 | △410,994 | △362,496 | △410,994 |
| 支払手形及び買掛金の増加・減少(△) | - | - | △87,939 | 18,534 | △87,939 | 18,534 |
| 保険契約債務その他の増加・減少(△) | 495,419 | 544,179 | - | - | 495,419 | 544,179 |
| 繰延保険契約費の増加(△)・減少 | △86,779 | △88,807 | - | - | △86,779 | △88,807 |
| 生命保険ビジネスにおける有価証券の増加(△)・減少 | △89,797 | △64,034 | - | - | △89,797 | △64,034 |
| (6) その他 | 23,714 | △10,334 | 266,834 | △194,002 | 288,687 | △204,227 |
| 営業活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額) | 498,587 | 521,678 | 770,649 | 753,439 | 1,253,971 | 1,258,738 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | ||||||
| 1 固定資産の購入 | △13,386 | △18,610 | △249,770 | △294,044 | △262,989 | △312,644 |
| 2 投資及び貸付 | △963,210 | △1,078,250 | △13,801 | △53,525 | △977,011 | △1,131,775 |
| 3 投資の売却又は償還及び貸付金の回収 | 317,159 | 309,498 | 6,596 | 84,909 | 323,755 | 394,407 |
| 4 その他 | 162 | 287 | 93,017 | △257,719 | 93,177 | △257,433 |
| 投資活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額) | △659,275 | △787,075 | △163,958 | △520,379 | △823,068 | △1,307,445 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | ||||||
| 1 借入債務の増加・減少(△) | 140,055 | 160,902 | △24,379 | △325,247 | 115,676 | △164,341 |
| 2 顧客預り金の増加・減少(△)(純額) | 169,479 | 246,945 | - | - | 169,479 | 246,945 |
| 3 配当金の支払 | △23,921 | △26,100 | △28,490 | △38,067 | △28,490 | △38,067 |
| 4 その他 | △174 | 112 | △1,214 | △157,799 | △10,209 | △167,421 |
| 財務活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額) | 285,439 | 381,859 | △54,083 | △521,113 | 246,456 | △122,884 |
| 為替相場変動の現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)に対する影響額 | - | - | △53,044 | 52,465 | △53,044 | 52,465 |
| 現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)純増加・減少(△)額 | 124,751 | 116,462 | 499,564 | △235,588 | 624,315 | △119,126 |
| 現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)期首残高 | 268,382 | 393,133 | 700,242 | 1,199,806 | 968,624 | 1,592,939 |
| 現金・預金及び現金同等物(制限付き現金・預金含む)期末残高 | 393,133 | 509,595 | 1,199,806 | 964,218 | 1,592,939 | 1,473,813 |
| 控除―その他の流動資産及びその他の資産に含まれる制限付き現金・預金 | - | - | 6,610 | 3,740 | 6,610 | 3,740 |
| 現金・預金及び現金同等物期末残高 | 393,133 | 509,595 | 1,193,196 | 960,478 | 1,586,329 | 1,470,073 |
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及びソネット・メディア・ネットワークス㈱を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目の最後に別途説明しています。
流動性マネジメントと資金の調達
ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全なバランスシートを維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金・預金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。
流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、CP、銀行借入などの手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。
当社、SGTS及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2018年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆550億円分のCPプログラム枠を保有しています。2018年度は米国においてCPの発行を行いました。2018年度中の最大月末発行残高は2018年11月末の約190億円でしたが、2018年度末における発行残高はありません。
金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2018年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で5,220億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる2,750億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる525百万米ドルの複数通貨建コミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。
グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。
格付け
ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。
ソニーは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うにあたり、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱及びムーディーズ・ジャパン㈱の2社より格付けを取得しています。また、日本国内の資本市場からの調達にあたっては、日本の格付会社である㈱格付投資情報センター及び㈱日本格付研究所からも格付けを取得しています。
またソニーは現時点において、引き続き金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持していると考えています。(将来の格付け低下によるリスクについては、「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
キャッシュ・マネジメント
ソニーは米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合はSGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合にはSGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーはSGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。
金融分野
SFH、ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法など)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、主に同じ通貨建の金融商品に投資されています。
なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められております。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記のSGTSを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。