四半期報告書

【提出】
2022/11/09 16:05
【資料】
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【項目】
44項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
世界的な部品供給不足、物流の混乱、ロシアのウクライナ軍事侵攻等、当社を取り巻く経営環境は不透明な状況が続いております。このような経営環境の中当社の業績は、販売の質あるいは手取り改善活動を推進することに集中したことに加え、為替の追い風もあり、前年同期比で大幅に改善しました。
この結果、当社グループの売上高は11,582億円(前年同期比+2,676億円、同+30%)、営業利益は、地域ミックスや売価の改善等により、846億円(前年同期比+594億円、同+236%)となりました。さらに、経常利益は1,013億円(前年同期比+742億円、同+274%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は827億円(前年同期比+610億円、同+281%)となりました。
また、当第2四半期連結累計期間におけるグローバル販売台数は426千台となりました。主な地域別の販売状況は次のとおりです。
・ アセアン : 130千台(前年同期比 +23千台)
・ 豪州・ニュージーランド : 47千台( 同上 +2千台)
・ 日本 : 44千台( 同上 +10千台)
・ 中国他 : 27千台( 同上 △15千台)
・ 北米 : 63千台( 同上 △13千台)
・ 欧州 : 33千台( 同上 △28千台)
・ 中南米、中東、アフリカ他: 82千台( 同上 +5千台)
主な地域の販売状況は以下のとおりです。
タイにおける新型コロナウイルスの新規感染者数は4月以降減少しており、9月30日には非常事態宣言が解除され、10月1日より入国規制も完全撤廃されました。一方で、半導体をはじめとする部品供給不足の影響は継続しており、自動車総需要にも影響を及ぼしました。当社販売は、『エクスパンダー』、『トライトン』、『パジェロスポーツ』等主力モデルで、前年同期比台数増となるものの、競合の相次ぐ新型車投入等市場全体の競争環境は厳しさを増しております。手取り戦略の一環で売価引上げの影響もあり、マーケットシェアは微増にとどまりました。
インドネシアは、新型コロナウイルス収束に伴う経済の回復により、全体需要は堅調であるものの、半導体等部品不足による車両供給制約が持続しております。また、9月に発表された利上げや消費者物価高騰に加え、補助金燃料価格値上げなどもあり、顧客購買力にマイナスの影響が出始めました。そのような環境下において、当社の主力モデルである『エクスパンダー』は、第1四半期に発生した上海ロックダウンの影響やその後も続いている部品供給不足の影響による生産制約が想定よりも大きく、旺盛な需要に対し多少の回復は後半にかけて見られたものの受注残解消には至りませんでした。下期は、新型モデル投入に合わせマーケティングを強化し、適正売価での販売台数増加を狙います。
フィリピンは、2022年3月以降政府による隔離・警戒措置も緩和され、また、4年ぶりとなるフィリピン国際モーターショーが開催されるなど、自動車需要回復への後押しが続いております。新車需要の回復は、コロナ禍前の2019年度上期比88%まで回復してきました。当社は、5月に発売を開始した新型『エクスパンダー』の受注が好調に推移したことに加え、半導体等部品不足による車両供給制約の中での販売最大化に成功した『モンテロスポーツ』等が販売・マーケットシェア増を牽引いたしました。主要モデルは相当数の受注残があるため、生産増加をかけていく予定です。
その他、ベトナムも、社会活動の制約もほぼ解消され、コロナ禍前の状況に概ね戻ったように見受けられます。当社は、国内観光需要の活性化や入国規制緩和の影響等を受け、『エクスパンダー』、『アトラージュ』を中心に移送需要が回復しております。また、7月より販売を開始しました新型『エクスパンダー』の受注は、予想を大幅に上回り好調に推移しております。
マレーシアも市場全体の堅調な回復は持続しており、当社販売も好調を維持しております。
いずれの国も、コロナ禍以前の状況に戻りつつあり、需要も堅調に回復してきております。一方で、車両供給制約は続いており、解消の目途はたっておりません。お待たせしている多くのお客様へ丁寧なフォローを行い、適切な販売施策を進めてまいります。
豪州の全体需要は、新型コロナウイルス感染の影響が少なかった2019年度並みの水準となりました。その中で当社は、他社同様に車両供給制約の影響を大きく受け、バックオーダーを抱え供給に苦慮しておりますが、輸送会社との交渉などを行い、堅調な販売を維持することができました。
ニュージーランドの全体需要は「Clean Car Discountプログラム」施策を背景とした、PHEV/EVモデルが全体需要を牽引いたしました。当社は、第1四半期に続き、Clean Car Discountプログラムの補助金対象である『エクリプス クロス』PHEVモデル及び、『アウトランダー』PHEVモデルの販売を強化することにより、前年同期比でシェアを拡大いたしました。
豪州・ニュージーランドで新たに投入いたしました、新型『アウトランダー』、新型『アウトランダー』PHEVモデルは、いずれも市場から高い評価を受け、オーストラリアでは「グッドデザイン賞2022」を受賞いたしました。両国の受注も当社の予想を上回り好調を維持しております。半導体等部品不足による生産台数影響を最小化すべく、車両装備計画を見直すことで生産台数を確保し、販売台数最大化に繋げてまいります。
豪州・ニュージーランドいずれも、車両供給に苦慮する状況は解消の目途がたっておりません。そのような状況下において、お待たせしているお客様への適切なフォローアップを通じて、受注キャンセルの最小化を図ります。
北米市場は第1四半期と同様に足元の需要に対し、半導体不足に加え中国生産部品の供給遅れによる車両供給が不足し、ディーラー在庫は過去最低水準で推移しております。当社も、特に新型『アウトランダー』が、在庫不足の影響を大きく受け、販売台数を伸ばすことができない状況が続いております。
なお、去る10月12日にオンライン発表いたしました新型『アウトランダー』PHEVモデルは、米国ZEV規制に適合するモデルであり、PHEV+S-AWCの商品特徴にもご好評を頂いております。ガソリンモデルとセットで露出対象とすることで、販売の相乗効果を図ります。
当社では、急速かつ大幅な金利上昇や景気後退の可能性等から、自動車総需要の下振れリスクは認識しております。インセンティブにつきましては、業界平均は低水準で推移しているものの、在庫が正常化に向かうセグメントは、底打ちしているケースもあります。一方で過度の在庫不足により、すでに販売が鈍化しているかはまだ判断することが難しい状況です。
当社は、新型『アウトランダー』投入を契機に価格訴求を脱却するべく取り組んでおり、引き続き商品とブランドを訴求する販売を継続してまいります。
中国の総需要は、4、5月の上海ロックダウンによる部品供給問題や半導体供給不足問題等の影響を受け、依然低調な状況が継続しています。
当社も、今年3月末から中国全土に広がったコロナ再発を受け、多くのディーラーが一時的な休業に追い込まれ来店数が減少する中、インセンティブを強化する等の対策を講じてまいりましたが、主力車種である『アウトランダー』がモデル末期にあることもあり、前年同期比で減少となりました。
2022年度上期の日本国内の自動車総需要は、上海ロックダウンや、昨年来続いている半導体等部品供給不足の影響による車両供給不足により、総じて低水準となりました。そういった環境下において、当社は主力車種の新型『アウトランダー』PHEVモデル、『デリカD:5』等の受注が好調に推移したことなどにより、前年同期比でおよそ30%上振れて着地いたしました。
また、6月より販売を本格化してまいりました『eKクロス EV』は、第2四半期までですでに6,500台を越えた受注を頂き好調なスタートを切りました。『eKクロス EV』は、誰もが気軽に選べる身近な軽EVとして、EVならではの静寂性、日常使いに十分な航続距離、お求めやすい価格、ランニングコストの経済性などに対し、ご好評を頂いております。車両供給不足影響は、当モデルでも共通の懸念となっておりますが、お待たせしているお客様へのフォローなどを適切に行い、販売の最大化を図ります。
今後も、半導体等部品不足による車両供給不足リスクを注視する必要はあるものの、“三菱自動車らしさ 環境×安全・安心・快適”の訴求を追求しつつ、サービス品質・お客様接客品質向上に注力し、販売全体の質の向上に努めます。
② セグメントごとの経営成績
(ⅰ)自動車
当第2四半期連結累計期間における自動車事業に係る売上高は11,479億円(前年同期比+2,704億円)となり、営業利益は821億円(前年同期比+585億円)となりました。販売の質あるいは手取り改善活動を推進することに集中したことに為替の追い風が加わり、前年同期比で好転しました。
(ⅱ)金融
当第2四半期連結累計期間における金融事業に係る売上高は160億円(前年同期比△46億円)となり、営業利益は24億円(前年同期比△0億円)となりました。
③ 財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産は2兆143億円(前年度末比+859億円)となりました。そのうち現金及び預金は5,301億円(前年度末比+186億円)となりました。負債合計は1兆2,559億円(前年度末比△422億円)となり、そのうち有利子負債残高は、4,156億円(前年度末比△649億円)となりました。純資産は7,584億円(前年度末比+1,281億円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローは、営業活動により867億円の収入、投資活動により377億円の支出、財務活動により743億円の支出となりました。加えて、現金及び現金同等物に係る為替換算差額による439億円の増加もあり、現金及び現金同等物の当第2四半期連結会計期間末残高は、前連結会計年度末残高に対し185億円増加し、5,300億円となりました。なお、当第2四半期連結累計期間のフリー・キャッシュ・フローは490億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による収入は867億円となり、前年同累計期間の398億円の支出に対し1,265億円の収入増加となりました。これは主として、税金等調整前四半期純利益の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による支出は377億円となり、前年同累計期間の244億円の支出に対し133億円の支出増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による支出は743億円となり、前年同累計期間の24億円の支出に対し719億円の支出増加となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出増加によるものです。
(注)フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計で算出しております。
(3)経営方針・経営戦略等及び対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等、及び当社グループ
が対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は、50,362百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当第2四半期連結累計期間における生産実績は次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間
数量(台)
前第2四半期連結累計期間比(%)
国 内207,618106.1
海 外279,724103.2
合計487,342104.4

② 販売実績
当第2四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間前第2四半期連結累計期間比(%)
数量(台)金額(百万円)数量金額
国 内111,178259,671131.8147.1
海 外366,462898,52196.8125.8
合計477,6401,158,192103.1130.0

(注)販売実績は、外部顧客の所在地別の当社及び連結子会社の完成車及びKDパックの卸売り台数を示しております。