有価証券報告書-第88期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済につきましては、輸出はアジア・その他地域向けが弱含んでおり、生産も一部に弱さがみられるものの、企業の設備投資は増加し、雇用情勢も着実に改善していることなどから、景気の緩やかな回復基調が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは、2018年5月に発表した中期経営方針及び中期事業計画の成長戦略である「既存事業の強化」に加え、「グローバル化の推進」と「事業領域の拡大」を重点に取り組んできました。「既存事業の強化」につきましては、流体機器事業では、従来の当社製電波レベル計とは異なり省電力化を行うための間欠動作が要求される、国土交通省が定める「危機管理型水位計」の基準に対応した新しい電波レベル計を短期間で製品化に成功し、計画を大幅に上回る大量受注に対して遅滞なく対応しました。また、拡販に際しては営業部門が協力企業と共に各地の河川事務所に販売促進活動を展開し、まさに生・販・技が一体となって力を結集し結果を出すことに成功いたしました。「グローバル化の推進」につきましては、油空圧機器事業ではアジア地区での新たな販売パートナーの設定や海外現地社員の採用を推進し、流体機器事業ではベトナム駐在員事務所を設立し、より具体的な販路展開を始めました。また、その他の事業では、鉄道機器事業において初の海外向けレール探傷車を納入し、ほぼ国内に限定されていた当該事業の海外進出へ大きな一歩を踏み出しました。「事業領域の拡大」につきましては、油空圧機器事業において、新規事業として推進してまいりました高圧ガス関連事業である水素圧縮装置は、特定顧客から量産契約を受注することができました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における業績につきましては、前期に比べ、売上高は2,889百万円(6.6%)増収の46,692百万円となりました。また、売上高の増加に加え、原価率及び販管費率の好転等により、営業利益は1,121百万円(85.1%)増益の2,440百万円、経常利益は1,148百万円(76.0%)増益の2,660百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は816百万円(72.8%)増益の1,936百万円といずれも大幅な増益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
[船舶港湾機器事業]
当事業では、国内市場は大きな伸びはないものの、海外市場ではアジア向け新造船需要や欧州向けOEMジャイロコンパスの販売が堅調に推移しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比92百万円(1.0%)増収の8,949百万円、営業利益は前期比294百万円(182.4%)増益の456百万円となりました。
[油空圧機器事業]
当事業では、海外市場で中国の成形機需要が減少したものの、工作機械市場、建設機械市場、油圧応用装置がそれぞれ堅調に推移しました。このような状況の中、新商品については、高圧ピストンポンプ PHC80D、高圧ピストンコントローラ PC2、圧力センサー ESWを市場投入しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比211百万円(1.6%)増収の13,064百万円、営業利益は前期比118百万円(50.0%)減益の118百万円となりました。
[流体機器事業]
当事業では、民需市場及び海外市場が低迷したものの、消火設備市場(前期は「その他の事業」の防災機器事業)が堅調に推移したことに加え、官需市場は、河川防災向けの新商品として投入した危機管理型水位計 MD-10の注文が計画を大幅に上回ったことから好調に推移しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比662百万円(19.2%)増収の4,101百万円、営業利益は前期比401百万円(90.4%)増益の845百万円となりました。
[防衛・通信機器事業]
当事業では、半導体メーカーの次世代プロセスの生産立ち上がりの遅れから主力の半導体製造装置用マイクロ波増幅器が低迷したものの、農業機械関連機器及び道路関連機器の需要が増加したことに加え、官需市場が堅調に推移しました。このような状況の中、新商品については、農業機械用直進自動操舵補助装置 AG-GEAR3、平坦性計測解析装置 レーザー・プロファイラ LP-310を市場投入しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比858百万円(5.3%)増収の16,909百万円、営業利益は前期比66百万円(14.3%)増益の525百万円になりました。
[その他の事業]
当事業では、検査機器事業は新製品の投入により堅調に推移したほか、鉄道機器事業は役務工事が堅調であったことに加え、海外向けレール探傷車の納入や各種機器販売が好調となりました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比1,066百万円(41.0%)増収の3,667百万円、営業利益は前期比503百万円(718.3%)増益の573百万円となりました。
財政状態の状況は、次の通りであります。
当連結会計年度末の流動資産は、前期末に比べて851百万円増加し46,124百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金並びに現金及び預金が減少したものの、電子記録債権が増加したことによるものであります。また、固定資産は前期末に比べて548百万円減少し、12,224百万円となりました。これは、投資有価証券が減少したことによるものであります。この結果、資産合計は、前期末の資産合計58,045百万円から304百万円増加し、58,349百万円となりました。
流動負債は、前期末に比べて1,709百万円増加し22,289百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が減少したものの、短期借入金が増加したことによるものであります。固定負債は、前期末に比べて2,462百万円減少し、6,579百万円となりました。これは、長期借入金が減少したことによるものであります。この結果、負債合計は前期末の負債合計29,620百万円から753百万円減少し、28,868百万円となりました。
純資産合計は、前期末の純資産合計28,425百万円から1,056百万円増加し、29,481百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は前期末48.3%から1.5ポイント増加し、49.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、9,397百万円と前期比431百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,638百万円(前期は463百万円の獲得)となりました。その主な収入要因は、税金等調整前当期純利益2,653百万円、減価償却費1,338百万円、支出要因は、売上増に伴う売上債権の増加842百万円、たな卸資産の増加489百万円、仕入債務の減少436百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,135百万円(前期は1,374百万円の使用)となりました。その主な要因は、佐野工場の老朽設備更新及び精密加工室の設置等の固定資産の取得による支出1,125百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は920百万円(前期は2,589百万円の獲得)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出1,001百万円、配当金の支払331百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。なお、以下の前年同期比については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記生産高のほか、各報告セグメントに配分していない全社生産高41百万円があります。
4 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記受注高のほか、各報告セグメントに配分していない全社受注高1百万円があります。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記販売高のほか、各報告セグメントに配分していない全社販売高1百万円があります。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
4 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」に記載されているとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は全ての報告セグメントで増収となりましたが、その中でも流体機器事業、防衛・通信機器事業、その他の事業が大幅な増収となったことから、前期に比べ6.6%増収の46,692百万円となりました。売上原価は前期に比べ5.0%増加の34,504百万円となりましたが、売上原価率はトータルコストダウンの推進に努めたことに加え、比較的原価率が低い流体機器事業が官需市場を中心に好調に推移し、船舶港湾機器事業の製品ミックスの変化の影響等による原価率の好転により、前期に比べ1.1ポイント好転の73.9%となりました。売上高の増収と売上原価率の好転により、売上総利益は11.4%増益の12,187百万円となりました。一方、販売費及び一般管理費は、前期に比べ1.3%増加の9,747百万円となったものの、売上総利益が増加した結果、営業利益は前期に比べ85.1%増益の2,440百万円、経常利益は前期に比べ76.0%増益の2,660百万円、また、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ72.8%増益の1,936百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、内外経済の変動、官公庁との取引等があります。
内外経済の変動につきましては、当社グループの商品は、直接又は間接的に、国内のみならず、アジア、欧米等の様々な国又は地域に供給しており、これらの国又は地域の市場における経済状況の影響を受けることがあります。特に船舶港湾機器事業では、国際的な海運市況の影響を受ける商船の需要の変化、油空圧機器事業では、当社が得意とする建設機械、各種成形機、工作機械等の各市場での当社製品が組み込まれた顧客の商品に対するニーズの変化や為替レートの変動、その他予測せざる事態の発生に伴う需要の縮小の影響を受けることがあります。
官公庁との取引につきましては、流体機器事業や防衛・通信機器事業において、直接又は間接的に、防衛省、海上保安庁、国土交通省、農林水産省、各種自治体等と多くの商品及び修理に関する取引があります。官公庁の予算の見直しに伴い予定していた調達数量が増減することや、予算の前倒し執行や後年度への繰り延べ等により当社グループの事業計画に大きな影響を及ぼすことがあります。また、特に防衛省関連の商品は、受注から納入までの期間が長く、納入までの間に一時的なたな卸資産の増加、仕入債務の増加や借入金の増加等、財政状況に影響を与えることがあります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、運転資金及び設備資金を内部資金及び金融機関からの借入金によって調達しており、2019年3月末日現在の連結借入金残高は15,711百万円となっております。財務政策は営業キャッシュ・フローの改善による資本の財源の獲得を最優先事項と考えており、不足分は借入金により資金調達することとしております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは、企業価値を高めるべく「高収益体質の実現と財務基盤の強化」を目指し、経営指標として連結売上高営業利益率及び自己資本利益率(ROE)の向上を目標に掲げてまいりましたが、当連結会計年度の連結営業利益率につきましては、前期と比べ2.2ポイント増の5.2%となりました。一方、自己資本利益率(ROE)につきましては、前期と比べ2.7ポイント増の6.8%となりました。ROEは過去5年間では、9.1%、4.7%、2.7%、4.1%、6.8%と推移した結果、平均では5.5%となりました。
今後につきましては、リスク管理を強化しながら更なる事業収益の改善と財務基盤の強化に注力するとともに、資本効率の向上にも努力していきます。なお、連結売上高営業利益率及びROEにつきましては安定して8%以上となることを目標としていきます。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済につきましては、輸出はアジア・その他地域向けが弱含んでおり、生産も一部に弱さがみられるものの、企業の設備投資は増加し、雇用情勢も着実に改善していることなどから、景気の緩やかな回復基調が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは、2018年5月に発表した中期経営方針及び中期事業計画の成長戦略である「既存事業の強化」に加え、「グローバル化の推進」と「事業領域の拡大」を重点に取り組んできました。「既存事業の強化」につきましては、流体機器事業では、従来の当社製電波レベル計とは異なり省電力化を行うための間欠動作が要求される、国土交通省が定める「危機管理型水位計」の基準に対応した新しい電波レベル計を短期間で製品化に成功し、計画を大幅に上回る大量受注に対して遅滞なく対応しました。また、拡販に際しては営業部門が協力企業と共に各地の河川事務所に販売促進活動を展開し、まさに生・販・技が一体となって力を結集し結果を出すことに成功いたしました。「グローバル化の推進」につきましては、油空圧機器事業ではアジア地区での新たな販売パートナーの設定や海外現地社員の採用を推進し、流体機器事業ではベトナム駐在員事務所を設立し、より具体的な販路展開を始めました。また、その他の事業では、鉄道機器事業において初の海外向けレール探傷車を納入し、ほぼ国内に限定されていた当該事業の海外進出へ大きな一歩を踏み出しました。「事業領域の拡大」につきましては、油空圧機器事業において、新規事業として推進してまいりました高圧ガス関連事業である水素圧縮装置は、特定顧客から量産契約を受注することができました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における業績につきましては、前期に比べ、売上高は2,889百万円(6.6%)増収の46,692百万円となりました。また、売上高の増加に加え、原価率及び販管費率の好転等により、営業利益は1,121百万円(85.1%)増益の2,440百万円、経常利益は1,148百万円(76.0%)増益の2,660百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は816百万円(72.8%)増益の1,936百万円といずれも大幅な増益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
[船舶港湾機器事業]
当事業では、国内市場は大きな伸びはないものの、海外市場ではアジア向け新造船需要や欧州向けOEMジャイロコンパスの販売が堅調に推移しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比92百万円(1.0%)増収の8,949百万円、営業利益は前期比294百万円(182.4%)増益の456百万円となりました。
[油空圧機器事業]
当事業では、海外市場で中国の成形機需要が減少したものの、工作機械市場、建設機械市場、油圧応用装置がそれぞれ堅調に推移しました。このような状況の中、新商品については、高圧ピストンポンプ PHC80D、高圧ピストンコントローラ PC2、圧力センサー ESWを市場投入しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比211百万円(1.6%)増収の13,064百万円、営業利益は前期比118百万円(50.0%)減益の118百万円となりました。
[流体機器事業]
当事業では、民需市場及び海外市場が低迷したものの、消火設備市場(前期は「その他の事業」の防災機器事業)が堅調に推移したことに加え、官需市場は、河川防災向けの新商品として投入した危機管理型水位計 MD-10の注文が計画を大幅に上回ったことから好調に推移しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比662百万円(19.2%)増収の4,101百万円、営業利益は前期比401百万円(90.4%)増益の845百万円となりました。
[防衛・通信機器事業]
当事業では、半導体メーカーの次世代プロセスの生産立ち上がりの遅れから主力の半導体製造装置用マイクロ波増幅器が低迷したものの、農業機械関連機器及び道路関連機器の需要が増加したことに加え、官需市場が堅調に推移しました。このような状況の中、新商品については、農業機械用直進自動操舵補助装置 AG-GEAR3、平坦性計測解析装置 レーザー・プロファイラ LP-310を市場投入しました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比858百万円(5.3%)増収の16,909百万円、営業利益は前期比66百万円(14.3%)増益の525百万円になりました。
[その他の事業]
当事業では、検査機器事業は新製品の投入により堅調に推移したほか、鉄道機器事業は役務工事が堅調であったことに加え、海外向けレール探傷車の納入や各種機器販売が好調となりました。
この結果、当事業全体として売上高は前期比1,066百万円(41.0%)増収の3,667百万円、営業利益は前期比503百万円(718.3%)増益の573百万円となりました。
財政状態の状況は、次の通りであります。
当連結会計年度末の流動資産は、前期末に比べて851百万円増加し46,124百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金並びに現金及び預金が減少したものの、電子記録債権が増加したことによるものであります。また、固定資産は前期末に比べて548百万円減少し、12,224百万円となりました。これは、投資有価証券が減少したことによるものであります。この結果、資産合計は、前期末の資産合計58,045百万円から304百万円増加し、58,349百万円となりました。
流動負債は、前期末に比べて1,709百万円増加し22,289百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が減少したものの、短期借入金が増加したことによるものであります。固定負債は、前期末に比べて2,462百万円減少し、6,579百万円となりました。これは、長期借入金が減少したことによるものであります。この結果、負債合計は前期末の負債合計29,620百万円から753百万円減少し、28,868百万円となりました。
純資産合計は、前期末の純資産合計28,425百万円から1,056百万円増加し、29,481百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は前期末48.3%から1.5ポイント増加し、49.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、9,397百万円と前期比431百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,638百万円(前期は463百万円の獲得)となりました。その主な収入要因は、税金等調整前当期純利益2,653百万円、減価償却費1,338百万円、支出要因は、売上増に伴う売上債権の増加842百万円、たな卸資産の増加489百万円、仕入債務の減少436百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,135百万円(前期は1,374百万円の使用)となりました。その主な要因は、佐野工場の老朽設備更新及び精密加工室の設置等の固定資産の取得による支出1,125百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は920百万円(前期は2,589百万円の獲得)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出1,001百万円、配当金の支払331百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。なお、以下の前年同期比については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
船舶港湾機器事業 | 7,995 | 8.0 |
油空圧機器事業 | 12,132 | 1.7 |
流体機器事業 | 4,103 | 19.3 |
防衛・通信機器事業 | 16,658 | 5.1 |
報告セグメント計 | 40,888 | 5.8 |
その他の事業 | 2,130 | 62.4 |
合計 | 43,018 | 7.7 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記生産高のほか、各報告セグメントに配分していない全社生産高41百万円があります。
4 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
船舶港湾機器事業 | 9,026 | 5.2 | 2,813 | 2.8 |
油空圧機器事業 | 13,516 | 3.6 | 3,271 | 16.1 |
流体機器事業 | 4,101 | 21.6 | 715 | 0.0 |
防衛・通信機器事業 | 18,382 | 11.6 | 20,861 | 7.6 |
報告セグメント計 | 45,025 | 8.6 | 27,660 | 7.8 |
その他の事業 | 3,109 | 13.3 | 535 | △51.1 |
合計 | 48,135 | 8.9 | 28,195 | 5.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記受注高のほか、各報告セグメントに配分していない全社受注高1百万円があります。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
船舶港湾機器事業 | 8,949 | 1.0 |
油空圧機器事業 | 13,064 | 1.6 |
流体機器事業 | 4,101 | 19.2 |
防衛・通信機器事業 | 16,909 | 5.3 |
報告セグメント計 | 43,024 | 4.4 |
その他の事業 | 3,667 | 41.0 |
合計 | 46,691 | 6.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記販売高のほか、各報告セグメントに配分していない全社販売高1百万円があります。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
防衛省 | 4,907 | 11.2 | 6,457 | 13.8 |
4 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」に記載されているとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は全ての報告セグメントで増収となりましたが、その中でも流体機器事業、防衛・通信機器事業、その他の事業が大幅な増収となったことから、前期に比べ6.6%増収の46,692百万円となりました。売上原価は前期に比べ5.0%増加の34,504百万円となりましたが、売上原価率はトータルコストダウンの推進に努めたことに加え、比較的原価率が低い流体機器事業が官需市場を中心に好調に推移し、船舶港湾機器事業の製品ミックスの変化の影響等による原価率の好転により、前期に比べ1.1ポイント好転の73.9%となりました。売上高の増収と売上原価率の好転により、売上総利益は11.4%増益の12,187百万円となりました。一方、販売費及び一般管理費は、前期に比べ1.3%増加の9,747百万円となったものの、売上総利益が増加した結果、営業利益は前期に比べ85.1%増益の2,440百万円、経常利益は前期に比べ76.0%増益の2,660百万円、また、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ72.8%増益の1,936百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、内外経済の変動、官公庁との取引等があります。
内外経済の変動につきましては、当社グループの商品は、直接又は間接的に、国内のみならず、アジア、欧米等の様々な国又は地域に供給しており、これらの国又は地域の市場における経済状況の影響を受けることがあります。特に船舶港湾機器事業では、国際的な海運市況の影響を受ける商船の需要の変化、油空圧機器事業では、当社が得意とする建設機械、各種成形機、工作機械等の各市場での当社製品が組み込まれた顧客の商品に対するニーズの変化や為替レートの変動、その他予測せざる事態の発生に伴う需要の縮小の影響を受けることがあります。
官公庁との取引につきましては、流体機器事業や防衛・通信機器事業において、直接又は間接的に、防衛省、海上保安庁、国土交通省、農林水産省、各種自治体等と多くの商品及び修理に関する取引があります。官公庁の予算の見直しに伴い予定していた調達数量が増減することや、予算の前倒し執行や後年度への繰り延べ等により当社グループの事業計画に大きな影響を及ぼすことがあります。また、特に防衛省関連の商品は、受注から納入までの期間が長く、納入までの間に一時的なたな卸資産の増加、仕入債務の増加や借入金の増加等、財政状況に影響を与えることがあります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、運転資金及び設備資金を内部資金及び金融機関からの借入金によって調達しており、2019年3月末日現在の連結借入金残高は15,711百万円となっております。財務政策は営業キャッシュ・フローの改善による資本の財源の獲得を最優先事項と考えており、不足分は借入金により資金調達することとしております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは、企業価値を高めるべく「高収益体質の実現と財務基盤の強化」を目指し、経営指標として連結売上高営業利益率及び自己資本利益率(ROE)の向上を目標に掲げてまいりましたが、当連結会計年度の連結営業利益率につきましては、前期と比べ2.2ポイント増の5.2%となりました。一方、自己資本利益率(ROE)につきましては、前期と比べ2.7ポイント増の6.8%となりました。ROEは過去5年間では、9.1%、4.7%、2.7%、4.1%、6.8%と推移した結果、平均では5.5%となりました。
今後につきましては、リスク管理を強化しながら更なる事業収益の改善と財務基盤の強化に注力するとともに、資本効率の向上にも努力していきます。なお、連結売上高営業利益率及びROEにつきましては安定して8%以上となることを目標としていきます。