有価証券報告書-第93期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/24 14:56
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は総じて堅調であったものの、米中貿易摩擦の激化により実体経済の減速懸念が広がりました。わが国経済は堅調な設備投資や個人消費に支えられ緩やかな回復基調が続きましたが、世界経済の減速懸念を背景に先行き不透明な状況で推移しました。当社グループ(当社及び連結子会社)の主要取引先であります鉄鋼、電子部品、化学、印刷・紙加工、食品など各メーカーの設備投資に向けた動きは一部に減速感があるものの概ね堅調に推移しました。
このような状況の下、当社グループは、いかなる環境下においても成長できる体制の実現を目指し、海外販売拡大 に向けた体制構築、食品関連市場の開拓を進めるとともに、当社グループが設立以来培ってきたセンシング及び画像 処理技術の強化に注力しました。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて198百万円減少し14,012百万円となりました。負債は前連結会計年度末に比べて92百万円減少し、1,521百万円となりました。純資産は前連結会計年度末に比べて106百万円減少し12,490百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高8,441百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益898百万円(前年同期比27.4%増)、経常利益1,011百万円(前年同期比29.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益489百万円(前年同期比5.2%減)となりました。また、受注残高は3,824百万円(前年同期比30.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
プロセス事業
国内外鉄鋼メーカーの堅調な設備更新需要を背景に、主に制御装置の更新や部品販売が拡大しました。また、 国内において新規開拓を目指した計測システム及びシェア拡大を目指した耳端位置制御装置の受注獲得が進みました。
その結果、当事業の売上高は2,862百万円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益は671百万円(前年同期比24.4%増)となりました。また、受注残高は2,141百万円(前年同期比45.9%増)となりました。
ウェブ事業
期初旺盛であった二次電池や電子部品関連の設備投資需要が沈静化したものの、耳端位置制御装置の販売が総じて底堅く推移しました。
その結果、当事業の売上高は3,463百万円(前年同期比3.2%増)、セグメント利益は842百万円(前年同期比7.1%増)となりました。また、受注残高は748百万円(前年同期比10.4%減)となりました。
検査機事業
多様な無地素材の検査需要を捉えた無地検査装置、選果設備の更新需要を捉えた食品外観検査装置の販売が堅調に推移しました。
その結果、当事業の売上高は1,896百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益は72百万円(前年同期比53.6%減)となりました。また、受注残高は910百万円(前年同期比44.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により227百万円増加し、投資活動により1,587百万円、財務活動により315百万円減少しました。その結果、当連結会計年度末の資金残高は前連結会計年度末と比べて1,691百万円減少し、2,989百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの概況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は227百万円(前年同期比637百万円の減少)となりました。これは主なフローインとして税金等調整前当期純利益755百万円、のれん償却額301百万円、減価償却費181百万円があり、主なフローアウトとして、法人税等の支払額358百万円、たな卸資産の増加285百万円、その他流動資産の増加226百万円、売上債権の増加225百万円などがあったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,587百万円(前年同期比1,472百万円の増加)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入998百万円、投資有価証券の売却による収入75百万円、固定資産の売却による収入27百万円などがあったものの、定期預金の預入による支出2,516百万円、固定資産の取得による支出204百万円などがあったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は315百万円(前年同期比545百万円の減少)となりました。これは主に配当金の支払額178百万円、長期借入金の返済による支出86百万円などがあったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
プロセス事業(千円)2,876,496103.2
ウェブ事業(千円)3,660,027109.3
検査機事業(千円)1,788,949108.7
報告セグメント計(千円)8,325,472107.0
その他(千円)208,125161.5
合計(千円)8,533,597107.9

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高
(千円)
前年同期比(%)
プロセス事業(千円)3,535,920119.32,141,539145.9
ウェブ事業(千円)3,376,88594.0748,09089.6
検査機事業(千円)2,177,291111.5910,502144.6
報告セグメント計(千円)9,090,096106.83,800,131129.6
その他(千円)235,199127.624,563272.4
合計(千円)9,325,295107.23,824,694130.0

(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
プロセス事業(千円)2,862,447107.5
ウェブ事業(千円)3,463,347103.2
検査機事業(千円)1,896,260110.6
報告セグメント計(千円)8,222,054106.3
その他(千円)219,654122.9
合計(千円)8,441,708106.7

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループ(当社及び連結子会社)の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されております。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし、合理的と思われる見積もりや判断を要することがあります。特に、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えております。
1) 貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積もり、貸倒引当金として計上しております。将来、顧客等の財政状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
2) 資産の評価
当社グループは、たな卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しておりますが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに収益性が低下していると判断される場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上しています。実際の正味売却価額が当社グループの見積もりより悪化した場合には、評価損の追加計上が発生する可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価しています。市場価格のある株式については将来において時価が著しく下落し、回復する見込があると認められる場合を除き、評価損を計上する可能性があります。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
3) 繰延税金資産
当社グループは、合理的で実現可能な事業計画又は予算に基づき将来の課税所得を見積もり、回収可能性を十分に検討し、繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得の見積もり額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性があります。
4) 退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するにあたり、採用した数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率)は、統計数値等により合理的な見積もりに基づいております。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来にわたって償却されるため、今後計上される退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて198百万円減少し14,012百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金の増加213百万円、商品及び製品の増加136百万円、仕掛品の増加106百万円などがあったものの、投資有価証券の減少421百万円、のれんの減少301百万円、現金及び預金の減少190百万円などがあった事によります。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べて92百万円減少し、1,521百万円となりました。これは主に未払費用の増加38百万円、退職給付に係る負債の増加18百万円があったものの、未払法人税等の減少103百万円、長期借入金の減少58百万円などがあった事によります。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末に比べて106百万円減少し12,490百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加311百万円があったものの、その他有価証券評価差額金の減少274百万円、非支配株主持分の減少82百万円などがあった事によります。
この結果、自己資本比率は88.7%(前連結会計年度末は87.8%)となりました。
b.経営成績の分析
1)売上高の状況
当社グループは、製品・サービスの収益力強化に取り組むとともに、競争力強化・新規事業領域の開拓に向
けた事業展開を積極的に推し進めました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は8,441百万円となり、前連結会計年度と比べて6.7%増となりました。セグメント別の詳しい状況については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、海外売上高については、海外売上高の90%強を占めるアジア向け売上高の増加により、前連結会計年度と比べて106.3%の1,507百万円となりました。
2)利益の状況
当連結会計年度における当社グループの利益の状況について、上記売上高の増加を中心に、全社的なコストの削減及び継続的な生産性向上に努めた結果、営業利益は898百万円(前連結会計年度比27.4%増)となりました。経常利益は1,011百万円(前連結会計年度比29.0%増)、経常利益率は12.0%となり、期初予想の10%を超えました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は489百万円(前連結会計年度比5.2%減)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な運転資金需要は、製品の原材料費、研究開発費、事業活動に必要な有形・無形固定資産投資、配当金支払などであり、その主な資金原資は、事業活動で積み上げた利益剰余金及び営業キャッシュ・フローです。また、資金の流動性については、自己資金で充分確保されております。
なお、当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。