有価証券報告書-第35期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、米国による関税政策の影響は、従来想定より緩和されるとともに、景気押し上げ要因としてAI需要が拡大し、底堅い成長を維持しております。
一方、ウクライナ紛争や中東情勢の緊迫化で社会の分断はより一層深まっている状況であります。
わが国においては、米政権の関税政策に対する過度な警戒感が和らぎ、大企業製造業・非製造業の景況感は底堅く推移しました。また設備投資計画は、深刻な人手不足で省力化やデジタル投資の意欲が強く、また企業の業績も改善傾向にあることから、全規模全産業で拡大基調が維持されております。政府による需要の刺激策・完全雇用に近い状態と当事業年度末に始まった中東地域の地政学リスクの高まり等で原油・物価上昇や景気に先行き不透明感が出てきている状況であります。
このような状況下、当社は、売上高が外部環境に大きく影響を受けにくい企業体質へ転換を図る、中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)を前期よりスタートし、「経営方針」としては「チームワークと実行力の強化!」をスローガンに、各方針を推進しております。
また、当社は2025年10月に名古屋証券取引所メイン市場への重複上場を行い、2026年2月に東京証券取引所スタンダード市場への上場市場区分変更を行いました。今後も上場のメリットを享受しつつ、これまで培った技術を活用した新規事業の創出を通じて、わが国の新産業創生及び持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業については、全ての分野の売上高は好調に推移し、前年同期比で大幅に増加いたしました。なお、当事業年度下半期は、2025年11月に修正開示いたしましたとおり、販売商品の構成比差等が影響し上半期に比べ弱含みで推移しました。
同関連事業の分野別状況は以下のとおりです。
映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式デジタルカメラの出荷台数(2025年1-12月累計)は、約700万台となり、前年同期比5.9%増加と好調に推移しました。ミラーレスカメラはレンズ交換式デジタルカメラ全体の約90%を占め、同出荷台数は約631万台となり、前年同期比12.5%増加となりました。デジタルカメラ合計の総出荷額は、約8,800億円となり、2015年の水準(8,850億円)に近づきました。
当社においては、ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられましたが、同金型が前期に比べ減少したことから、売上高は前年同期比で横ばいとなりました。
OA機器分野は、期初予想どおり、過去2年間の売上高低迷から回復し、前年同期比で増加しました。
産業機器分野は、産業用インクジェットプリンターヘッド及び同金型の売上高が寄与したことなどにより、前年同期比で大幅に増加しました。
レジャー分野は、新機種の売上高が引き続き堅調に推移し、売上高は前年同期比では大幅に増加しました。
パルスインジェクター®(以下、PIJという)は、引き続き、大学研究室及び各企業の研究・開発部門を中心に研究開発を支えるツールとして多分野への展開を推進いたします。
マクロ・テクノロジー関連事業については、国内の積極的な設備投資やバブル期からの受電設備のリニューアル需要もあり、樹脂成形品、樹脂成形材料ともに前期後半以降の回復基調が続き、また金型の売上高も寄与し、前年同期比で大幅に増加しました。
「新規開拓に向けた営業力の強化」については、顧客訪問件数及び進捗状況の共有化、見える化を推進しております。自社活動と商社連携活動の両輪により、顧客との直接対話を増やしながら、積極的な受注活動を行ってまいります。
展示会(東京ビッグサイトにて開催)は、2025年10月に『エヌプラス(N-Plus)2025』(プラスチック高機能化展)及び2026年1月に『新機能性材料展2026』に出展いたしました。
利益面においては、売上高が大幅に増加し、工場の稼働率が向上したことや利益率の高い製品の寄与等で売上総利益率は改善いたしました。また当社は、上場維持に係わる課題が解消したこと、業績が好調に推移したことから、従業員への賞与支給額を大幅に増やしました。
販管費は、労務費の増加、名古屋証券取引所及び東京証券取引所への上場関連費用が増加したこと、売上高増加に伴う荷造梱包費の増加等により、前年同期比で増加しました。
以上、販管費は増加しましたが、売上高が大きく伸び、利益率が改善した結果、営業利益は予想を大幅に上回りました。
以上の結果、当事業年度の全社の売上高は1,299百万円(前年同期比27.0%増)、売上総利益547百万円(前年同期比26.4%増)、営業利益は164百万円(前年同期51.0%増)、経常利益は165百万円(前年同期比49.7%増)、当期純利益は125百万円(前年同期比24.7%増)となりました。
当事業年度のセグメントの業績は次のとおりであります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料及び機能性精密成形品並びにPIJ関連製品の当事業年度の売上高は1,063百万円(前年同期比29.5%増)、セグメント利益は485百万円(前年同期比27.5%増)となりました。
マクロ・テクノロジー関連事業
マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子及び金型・部品の当事業年度の売上高は225百万円(前年同期比21.9%増)、セグメント利益は59百万円(前年同期比17.4%増)となりました。
その他事業
その他の事業につきましては、医療薬品容器の異物検査事業などにより、当事業年度の売上高は10百万円(前年同期比35.5%減)、セグメント利益は3百万円(前年同期比51.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ292百万円増加し、当事業年度末には651百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、216百万円の増加となりました。
これは、主に税引前当期純利益及び減価償却費、賞与引当金によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、100百万円の増加となりました。
これは、主に定期預金の預入支出の減少、有形固定資産の取得による支出によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、24百万円の減少となりました。
これは、主に配当金の支払、リース債務の返済による支出等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 566,624 | 128.4 |
| マクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 170,783 | 130.7 |
| 報告セグメント計(千円) | 737,407 | 128.9 |
| その他事業(千円) | 7,051 | 47.9 |
| 合計(千円) | 744,459 | 126.9 |
(注) 上記の金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |||
| 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業 | 1,134,943 | 127.6 | 279,585 | 134.4 |
| マクロ・テクノロジー関連事業 | 243,995 | 126.8 | 55,445 | 151.2 |
| 報告セグメント計 | 1,378,938 | 127.4 | 335,031 | 136.9 |
| その他事業 | 8,513 | 83.9 | 2,300 | 51.3 |
| 合計 | 1,387,452 | 127.0 | 337,331 | 135.4 |
(注) 上記の金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 1,063,324 | 129.5 |
| マクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 225,226 | 121.9 |
| 報告セグメント計(千円) | 1,288,551 | 128.1 |
| その他事業(千円) | 10,698 | 64.5 |
| 合計(千円) | 1,299,249 | 127.0 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 長瀬産業株式会社 | 402,829 | 39.4 | 417,048 | 32.1 |
| 黒田電気株式会社 | 252,401 | 24.7 | 414,115 | 31.9 |
| ナガセエレックス株式会社 | 117,325 | 11.5 | 141,802 | 10.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は1,299百万円(前年同期は1,022百万円)となりました。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、全ての分野の売上高は好調に推移し、前年同期比で大幅に増加いたしました。映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式デジタルカメラの総出荷台数は好調に推移しました。デジタルカメラ合計の総出荷額は、約8,800億円となり、2015年の水準(8,850億円)に近づきました。
当社においては、ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられましたが、同金型が前期に比べ減少したことから、売上高は前年同期比で横ばいとなりました。
OA機器分野は、期初予想どおり、過去2年間の売上高低迷から回復し増加しました。
産業機器分野は、産業用インクジェットプリンターヘッド及び同金型の売上高が寄与したことなどにより、大幅に増加いたしました。
レジャー分野は、新機種の売上高が引き続き堅調に推移し、大幅に増加しました。
マクロ・テクノロジー関連事業において、樹脂成形品、樹脂成形材料ともに前期後半以降の回復基調が続き、また金型の売上高も寄与し、大幅に増加しました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は547百万円(前年同期は433百万円)となりました。これは主に、工場の稼働率が向上したことや利益率の高い製品が好調に推移したことによるものです。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は164百万円(前年同期は108百万円)なりました。販売管理費及び一般管理費は、労務費の増加、名古屋証券取引所及び東京証券取引所への上場関連費用が増加したこと、売上高増加に伴う荷造梱包費の増加等により、前年同期比で増加しましたが、売上高が大きく伸び、利益率が改善した結果、営業利益は予想を大幅に上回りました。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は165百万円(前年同期は110百万円)となり、営業利益及び経常利益ともに昨年度に続き過去最高を更新しました。営業外収益は4百万円(前年同期は3百万円)、営業外費用は3百万円(前年同期は0百万円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は125百万円(前年同期は100百万円)となりました。法人税等合計は40百万円(前年同期は10百万円)となりました。
財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度より188百万円増加し、2,024百万円となりました。
これは、主に現金及び預金の増加102百万円、棚卸資産の増加23百万円、有形固定資産の増加56百万円によるものです。
(負債)
負債合計は、前事業年度より85百万円増加し、270百万円となりました。
これは、主に未払金の増加40百万円、未払法人税等の増加14百万円、賞与引当金の増加20百万円によるものです。
(純資産)
純資産は、前事業年度より102百万円増加し、1,754百万円となりました。
これは、当期純利益125百万円の計上、配当金の支払いによる22百万円の減少によるものです。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の運転資金需要のうち、主なものは製品の製造にかかる原材料の購入、金型及びその労務費、販売並びに一般管理、研究開発の労務費や経費などの販売費及び一般管理費です。
また、成形機をはじめとする生産設備の更新、増強による設備投資、情報システムの更新のための資金需要が生じております。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、現在、借り入れを行うことなく、内部資金(現金及び預金)にて調達しております。なお、2026年3月期の資産における流動比率は560.6%となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。健全な財務報告を行うためには、財務諸表の作成にあたって収益・費用又は資産・負債の状況に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは、過去の実績やその時点において入手可能な情報及び合理的であると判断した一定の前提に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果とは異なることがあります。
当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、見積りによって重要な影響を受ける可能性がある会計方針は、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、固定資産の減損評価であり、その金額は過去の実績や将来予測に基づく一定のルールや内規に基づいて合理的に決定しております。繰延税金資産については毎期慎重に回収可能性を判断し、将来の事業年度において回収が見込まれない税金の額は、繰延税金資産から控除しております。なお、貸倒引当金は貸倒実績及び貸倒懸念債権等の回収不能見込額がないため計上しておりません。