四半期報告書-第151期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/06 14:05
【資料】
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【項目】
18項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
企業環境
当第1四半期の世界経済は概ね堅調に推移しました。米国では個人消費や設備投資を中心に安定した成長となっています。ユーロ圏では景気回復の動きが続いています。中国では安定成長を維持しており、アジア周縁国でもその影響を受け、持ち直しの動きが続いています。中南米の景気回復の動きは横ばい圏内に留まっています。なお、国際商品市況は原油価格が産油国の減産効果で高止まりした一方、その他の多くの商品は通商問題の拡大とその長期化リスクが意識され下落に転じています。
国内経済は、低失業率も手伝って個人消費は堅調に推移しています。海外経済の持ち直しの動きが続いていること、また、為替レートの安定に支えられ、輸出も概ね安定しています。設備投資は高水準の企業収益を背景に回復の動きが続いています。
業績
当第1四半期の収益は、前年同期に比べ1,066億円増加し、1兆2,308億円となりました。売上総利益は、資源価格の上昇などによりボリビア銀・亜鉛・鉛事業や豪州石炭事業で増益となったことに加え、電力EPC案件の建設進捗があった一方、米国タイヤ事業の再編に伴う減少があったことなどから、合計で前年同期に比べ19億円減少し、2,300億円となりました。販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ190億円減少し、1,567億円となりました。持分法による投資損益は、ミャンマー通信事業やリース事業が堅調に推移したことなどから前年同期に比べ36億円増加し、398億円の利益となりました。これらの結果、基礎収益(注)は925億円となり、前年同期に比べ151億円の増益となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は914億円となり、前年同期に比べ131億円の増益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益のセグメント別の状況は次のとおりです。なお、当社は、2018年4月1日付で、事業部門の括りを事業分野や機能の面から戦略的に見直し、従来の5事業部門から6事業部門に再編するとともに、従来の「海外現地法人・海外支店」セグメントを各事業セグメントに含めることとしております。これに伴い、前年同期のセグメント情報は組替えております。
・金属事業部門では、北米鋼管事業が市況回復に伴い増益となったことに加え、海外スチールサービスセンター事業が堅調に推移したことなどから、前年同期に比べ21億円増益の101億円となりました。
・輸送機・建機事業部門では、リース事業や建機販売及び建機レンタル事業が堅調に推移した一方、当期に自動車分野において一過性の損失を計上したことなどから、前年同期に比べ10億円減益の152億円となりました。
・インフラ事業部門では、大型EPC案件の建設進捗に加え、発電事業が堅調に推移したことなどから、前年同期に比べ14億円増益の115億円となりました。
・メディア・ICT事業部門では、SCSKやミャンマー通信事業などの主要事業が堅調に推移したことなどから、前年同期に比べ15億円増益の118億円となりました。
・生活・不動産事業部門では、不動産事業が堅調に推移しているものの、前年同期に引渡しが集中したことの反動などから、前年同期に比べ17億円減益の116億円となりました。
・資源・化学品事業部門では、資源価格の上昇などにより豪州石炭事業やボリビア銀・亜鉛・鉛事業が堅調に推移していることに加え、当期に資源・エネルギー分野で一過性の利益を計上したことなどから、前年同期に比べ87億円増益の264億円となりました。
(注) 基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)+持分法による投資損益
当第1四半期末の資産合計は、米国タイヤ事業の再編に伴う減少があった一方で、棚卸資産の増加や円安に伴う増加があったことなどから、前期末に比べ1,973億円増加し、7兆9,680億円となりました。資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、親会社の所有者に帰属する四半期利益の積上げにより、前期末に比べ844億円増加し、2兆6,425億円となりました。現預金ネット後の有利子負債は、前期末に比べ876億円増加し、2兆6,091億円となりました。この結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、1.0倍となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは、コアビジネスが順調に資金を創出したことから、基礎収益キャッシュ・フロー(注)が1,037億円のキャッシュ・インとなった一方で、運転資金が増加したことなどから、423億円のキャッシュ・アウトとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、インド特殊鋼事業やペルー金・銅鉱山事業への参画など、約700億円の投融資を行った一方で、米国タイヤ事業の再編や政策保有株式の売却など資産入替えによる回収が約800億円あったことなどから、114億円のキャッシュ・インとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、309億円のキャッシュ・アウトとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払があった一方で、借入を実施したことなどにより、526億円のキャッシュ・インとなりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第1四半期末残高は、前期末に比べ331億円増加し、7,003億円となりました。
(注)基礎収益キャッシュ・フロー=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
特記事項はありません。
(5)経営戦略の現状と見通し
「中期経営計画2020」の概要
当社の中期経営計画に関する以下の説明は、数々の判断、見積り、前提に基づき算出された今後の見通しに関するものです。なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当四半期報告書提出日現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予想等であり、将来そのとおりに実現する保証はありません。
①基本方針
当社は、2018年4月より2018年度から2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」をスタートさせ、目標達成に向けて取組んでおります。「中期経営計画2020」では、IoT・AIなどテクノロジーの急速な発展により全産業のボーダレス化・複合化が加速し、産業構造が大きく変化するビジネス環境下において、経営基盤の強化を図りながら、成長戦略の推進を中心に据えて、新たな価値創造への飽くなき挑戦に取組んでおります。
具体的には、既存事業を徹底的に強化する「既存事業のバリューアップ」、中長期視点での「次世代新規ビジネス創出」及び有力な事業基盤・機能を掛合わせる「プラットフォーム事業の活用」の3つの施策を中心に取組むことで、成長戦略を推進しております。また、「ガバナンスの高度化」、「人材戦略の高度化」、「財務健全性の向上」を通じて、経営基盤の更なる強化を図っております。
②定量計画
2018年度は、当期利益を3,200億円、基礎収益を3,400億円と計画しております。資源ビジネスは資源価格の大幅な変動は見込んでいないものの、前期に一過性利益があったことの反動などにより減益が予想される一方、鋼管事業は市況回復に伴う需要増加などにより収益の改善が見込まれます。その他非資源ビジネスは電力EPC案件や不動産事業などを中心に、各部門の主要ビジネス・事業会社が堅調に推移することを見込んでおります。
ROA及びROEについては、「中期経営計画2020」期間を通じて、それぞれ4%以上及び10%以上の確保を目標としております。また、財務方針としては、引続きコア・リスクバッファーとリスクアセットのバランス(注)を維持することに加え、3年合計の配当後フリーキャッシュ・フローを2,000億円以上の黒字とし、有利子負債の返済に充てる計画としております。
(注) 「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
マテリアリティ(重要課題)への取組
社会課題の解決に向けて企業の果たす役割への期待や、環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面が企業の評価や投資行動につながる機運が高まる中、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念(注1)を踏まえ、事業活動を通じて、自らの強みを生かして優先的に取組むべき課題を、「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」として特定しています。
「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」を、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付け、事業活動を通じて課題を解決することで持続的な成長を図っていきます。

(注1) 住友の事業精神、住友商事グループの経営理念については、当社ウェブサイト
(https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/about/policy/principles)をご参照ください。
(注2) Sustainable Development Goalsの略称。2030年までの世界規模の課題が盛り込まれた17の目標。2015年に国連総会で
全ての加盟国(193か国)により採択されました。
(ご参考)企業活動を支える原則・方針
当社は国際行動規範を尊重するとともに、以下の原則・方針を定めています。これらを遵守しつつ、
『社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)』の解決に取り組んでいきます。
環境(Environment)
● 環境方針
● ISO14001マネジメントシステム認証
社会(Social)
● サプライチェーンCSR行動指針
● 国連グローバルコンパクト10原則の支持
● 社会貢献活動の基本的な考え方

ガバナンス(Governance)
● コーポレートガバナンス原則
● コンプライアンス指針
● リスクマネジメントの基本方針
● 人材マネジメント方針
● ワーク・ライフ・マネジメント基本理念・活動指針
● グループ税務方針
● 情報開示方針
● 情報セキュリティ基本方針
● プライバシー・ポリシー
● 贈賄防止指針

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、一般的に、営業活動によるキャッシュ・フローや、銀行借入、資本市場における社債発行、及びコマーシャルペーパーの発行等により、資金調達を行っております。当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり、安定的かつ低利な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することです。
当社は総額3兆3,254億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期末比1,165億円増加の3,140億円で、内訳は短期借入金(主として銀行借入金)1,388億円、コマーシャルペーパー1,752億円となっております。
また、流動性については、従来、金融市場の混乱等、いくつかの有事シナリオを想定の上、必要な流動性額の保持につとめており、当第1四半期末時点においても十分な流動性を保持しております。
当社は、当第1四半期末時点で、総額1,260百万米ドル及び4,250億円を上限とする即時に借入可能な複数のコミットメントラインを締結しておりますが、当第1四半期末時点で、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
当社は、資本市場での直接調達を目的として、国内外で複数の資金調達プログラムを設定しております。当第1四半期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1/P-2(見通し安定的)、スタンダード&プアーズでA-/A-2(見通し安定的)、格付投資情報センターでA+/a-1(見通し安定的)となっております。
(7)従業員数
当第1四半期末における連結会社の従業員数は63,543人であり、前期末73,016人に比べ9,473人減少しております。主な要因は、当社の子会社であったTBC Corporationの資本再編によるものであり、同社は輸送機・建機セグメントに帰属しております。
(注) 上記従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は含まれません。