四半期報告書-第151期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/08 14:12
【資料】
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【項目】
20項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
企業環境
当第3四半期累計の世界経済は概ね堅調に推移しました。米国では個人消費や設備投資を中心に経済は拡大して
います。ユーロ圏では景気回復の動きは続いていますが緩慢なものとなっています。中国では安定成長を維持して
おり、アジア周縁国でも持ち直しの動きが続いています。中南米の景気回復の動きは横ばい圏内に留まっていま
す。なお、国際商品市況は原油価格の減産効果が薄れたため下落し、その他の多くの商品は通商問題の拡大とその
長期化リスクが意識され低迷が続いています。
国内経済は、低失業率も手伝って個人消費は堅調に推移しています。設備投資は回復の動きが続いています。輸
出は概ね安定していますが原油価格が上昇した影響を受け輸入額が増加した結果、貿易収支は赤字へと転化してい
ます。
業績
当第3四半期累計の収益は、前年同期に比べ3,545億円増加し、3兆8,330億円となりました。売上総利益は、電力EPC案件の建設進捗があったことに加え、資源価格の上昇により豪州石炭事業などで増益となった一方、米国タイヤ事業の再編に伴う減少があったことなどから、合計で前年同期に比べ250億円減少し、6,854億円となりました。販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ694億円減少し、4,772億円となりました。有価証券損益は、前年同期に保有有価証券のIPO評価益やクオカードの売却益を計上したことによる反動などから、前年同期に比べ241億円減少し、94億円の利益となりました。持分法による投資損益は、ミャンマー通信事業やリース事業が堅調に推移したことに加え、アジアバナナ事業が販売価格回復に伴い増益となった一方、マダガスカルニッケル事業における減損損失を計上したことなどにより、前年同期に比べ214億円減少し、935億円の利益となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,418億円となり、前年同期に比べ111億円の減益となりました。また、基礎収益(除く、減損損失)(注)は2,507億円となり、前年同期に比べ182億円の増益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益のセグメント別の状況は次のとおりです。なお、当社は、2018年4月1日付で、事業部門の括りを事業分野や機能の面から戦略的に見直し、従来の5事業部門から6事業部門に再編するとともに、従来の「海外現地法人・海外支店」セグメントを各事業セグメントに含めることとしております。これに伴い、前年同期のセグメント情報は組替えております。
・金属事業部門では、前年同期に米国税制改正に伴う一過性利益を計上したことによる反動減があったものの、
北米鋼管事業が市況回復に伴い増益となったことに加え、海外スチールサービスセンター事業が堅調に推移し
たことなどから、前年同期に比べ24億円増益の319億円となりました。
・輸送機・建機事業部門では、リース事業や建機販売及び建機レンタル事業が堅調に推移した一方、前年同期に米
国税制改正に伴う一過性利益を計上したことによる反動などから、前年同期に比べ165億円減益の500億円となり
ました。
・インフラ事業部門では、大型EPC案件の建設進捗に加え、発電事業が堅調に推移したことなどから、前年同期
に比べ150億円増益の419億円となりました。
・メディア・デジタル事業部門では、SCSKやミャンマー通信事業などの主要事業が堅調に推移した一方、前年同
期に保有有価証券のIPO評価益やクオカードの売却益を計上したことによる反動などから、前年同期に比べ127
億円減益の346億円となりました。
・生活・不動産事業部門では、不動産事業が堅調に推移していることに加え、アジアバナナ事業が販売価格回復
に伴い増益となったことなどから、前年同期に比べ58億円増益の329億円となりました。
・資源・化学品事業部門では、資源価格の上昇により豪州石炭事業などで増益となった一方、マダガスカルニッケ
ル事業における減損損失を計上したことなどから、前年同期に比べ75億円減益の460億円となりました。
(注)基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)
+持分法による投資損益
除く、減損損失(当第3四半期: マダガスカルニッケル事業 △104億円)
当第3四半期末の資産合計は、米国タイヤ事業の再編に伴う減少があった一方で、円安に伴う増加や営業債権及び棚卸資産の増加があったことなどから、前期末に比べ2,021億円増加し、7兆9,727億円となりました。資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、親会社の所有者に帰属する四半期利益の積み上げにより、前期末に比べ1,264億円増加し、2兆6,846億円となりました。現預金ネット後の有利子負債は、前期末に比べ31億円減少し、2兆5,184億円となりました。この結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、0.9倍となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期累計の営業活動によるキャッシュ・フローは、ビジネスの伸長に伴い運転資金が増加した一方で、コアビジネスが着実に資金を創出したことにより基礎収益キャッシュ・フロー(注)が2,297億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で1,172億円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、米国タイヤ事業の再編やリース事業の再編(航空機リース事業の直接持分売却)など資産入替による回収が約1,700億円あった一方、インド特殊鋼事業への参画やフランス洋上風力発電事業への参画など、約2,000億円の投融資を行ったことなどから、292億円のキャッシュ・アウトとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、880億円のキャッシュ・インとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより、911億円のキャッシュ・アウトとなりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第3四半期末残高は、前期末に比べ80億円増加し、6,751億円となりました。
(注)基礎収益キャッシュ・フロー=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
特記事項はありません。
(5)経営戦略の現状と見通し
「中期経営計画2020」の概要
当社の中期経営計画に関する以下の説明は、数々の判断、見積り、前提に基づき算出された今後の見通しに関するものです。なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当四半期報告書提出日現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予想等であり、将来そのとおりに実現する保証はありません。
①基本方針
当社は、2018年4月より2018年度から2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」をスタートさせ、目標達成に向けて取組んでおります。「中期経営計画2020」では、IoT・AIなどテクノロジーの急速な発展により全産業のボーダレス化・複合化が加速し、産業構造が大きく変化するビジネス環境下において、経営基盤の強化を図りながら、成長戦略の推進を中心に据えて、新たな価値創造への飽くなき挑戦に取組んでおります。
具体的には、既存事業を徹底的に強化する「既存事業のバリューアップ」、中長期視点での「次世代新規ビジネス創出」及び有力な事業基盤・機能を掛合わせる「プラットフォーム事業の活用」の3つの施策を中心に取組むことで、成長戦略を推進しております。また、「ガバナンスの高度化」、「人材戦略の高度化」、「財務健全性の向上」を通じて、経営基盤の更なる強化を図っております。

②定量計画
2018年度の業績見通しについては、期初予想3,200億円に対する当第3四半期累計実績が76%の進捗率となっており、第4四半期も引き続き堅調に推移すると見込まれるため、期初予想から修正しておりません。
ROA及びROEについては、「中期経営計画2020」期間を通じて、それぞれ4%以上及び10%以上の確保を目標としております。また、財務方針としては、引続きコア・リスクバッファーとリスクアセットのバランス(注)を維持することに加え、3年合計の配当後フリーキャッシュ・フローを2,000億円以上の黒字とし、有利子負債の返済に充てる計画としております。
(注) 「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
マテリアリティ(重要課題)への取組
社会課題の解決に向けて企業の果たす役割への期待や、環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面が企業の評価や投資行動につながる機運が高まる中、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念(注1)を踏まえ、事業活動を通じて、自らの強みを生かして優先的に取組むべき課題を、「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」として特定しました。
「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」を、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付け、事業活動を通じて課題を解決することで持続的な成長を図っていきます。

(注1) 住友の事業精神、住友商事グループの経営理念については、当社ウェブサイト
(https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/about/policy/principles)をご参照ください。
(注2) Sustainable Development Goalsの略称。2030年までの世界規模の課題が盛り込まれた17の目標。2015年に国連総会で
全ての加盟国(193か国)により採択されました。
(ご参考)企業活動を支える原則・方針
当社は国際行動規範を尊重するとともに、以下の原則・方針を定めています。これらを遵守しつつ、
『社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)』の解決に取り組んでいきます。
環境(Environment)
● 環境方針
● ISO14001マネジメントシステム認証
社会(Social)
● サプライチェーンCSR行動指針
● 国連グローバルコンパクト10原則の支持
● 社会貢献活動の基本的な考え方

ガバナンス(Governance)
● コーポレートガバナンス原則
● コンプライアンス指針
● リスクマネジメントの基本方針
● 人材マネジメント方針
● ワーク・ライフ・マネジメント基本理念・活動指針
● グループ税務方針
● 情報開示方針
● 情報セキュリティ基本方針
● プライバシー・ポリシー
● 贈賄防止指針
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、一般的に、営業活動によるキャッシュ・フローや、銀行借入、資本市場における社債発行、及びコマーシャルペーパーの発行等により、資金調達を行っております。当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり、安定的かつ低利な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することです。
当社は総額3兆2,078億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期末比604億円増加の2,579億円で、内訳は短期借入金(主として銀行借入金)1,556億円、コマーシャルペーパー1,023億円となっております。
また、流動性については、従来、金融市場の混乱等、いくつかの有事シナリオを想定の上、必要な流動性額の保持につとめており、当第3四半期末時点においても十分な流動性を保持しております。
当社は、当第3四半期末時点で、総額1,260百万米ドル及び4,250億円を上限とする即時に借入可能な複数のコミットメントラインを締結しておりますが、当第3四半期末時点で、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
当社は、資本市場での直接調達を目的として、国内外で複数の資金調達プログラムを設定しております。当第3
四半期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1/P-2(見通し安定的)、スタンダード&プアーズでA-/A-2(見通し安定的)、格付投資情報センターでA+/a-1(見通し安定的)となっております。
(7)主要な設備の状況
当第3四半期累計において、米国のオフィスビルの一部を売却しております。また、当社は2018年9月に本社を千代田区大手町二丁目の大手町プレイス イーストタワーへ移転しております。
(8)従業員数
当第3四半期末における連結会社の従業員数は63,437人であり、前期末73,016人に比べ9,579人減少しております。主な要因は、当社の子会社であったTBC Corporationの資本再編によるものであり、同社は輸送機・建機セグメントに帰属しております。
(注) 上記従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は含まれません。