四半期報告書-第154期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)
(1)財政状態及び経営成績の状況
企業環境
当第1四半期の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による停滞から、緩やかに持ち直しつつあります。欧米に加え新興・途上国でのワクチン接種も始まり、各地で制限措置が段階的に解除され、経済活動が再開する動きが広がりつつある一方で、感染拡大によって制限措置が継続する国・地域があるなど、非常事態下で国・地域および産業により回復ペースが異なっています。米国経済は、失業率が依然として高く、サービス業などの活動が低水準にとどまっています。ユーロ圏経済は、制限措置が段階的に緩和され、持ち直しに転じつつあります。新興国経済も、中国の回復基調が強まっている一方で、その他の国では景気回復の動きはまだら模様となっております。国際商品市況は、原油価格含め多くの商品価格で上昇基調になりました。国内経済は回復傾向にあるものの、消費が弱含んでおり経済活動は低水準にとどまっています。
業績
当第1四半期の収益は、1兆2,660億円となり、前年同期の1兆357億円に比べ、2,303億円の増益となりました。売上総利益は、2,353億円となり、前年同期の1,733億円に比べ、620億円の増益となりました。これはボリビア銀・亜鉛・鉛事業で販売数量の増加に伴い増益となったことなどによるものです。販売費及び一般管理費は、1,660億円となり、前年同期の1,597億円に比べ、62億円の増加となりました。持分法による投資損益は、565億円の利益となり、前年同期の489億円の損失に比べ、1,054億円の増益となりました。これはマダガスカルニッケル事業で前年同期に減損損失を計上したことの反動に加え、今年3月から操業を再開したことによる販売数量の増加に伴う増益や債務リストラに伴う一過性利益の計上があったことなどによるものです。これらの結果、親会社の所有者に帰属する四半期損益は、1,073億円の利益となり、前年同期の411億円の損失に比べ、1,484億円の増益となりました。
なお、親会社の所有者に帰属する四半期損益のセグメント別の状況は次のとおりです。
・金属事業部門では、72億円となり、前年同期の0億円に比べ、72億円の増益となりました。これは海外スチールサービスセンター事業や北米鋼管事業が増益となったことなどによるものです。
・輸送機・建機事業部門では、145億円の利益となり、前年同期の94億円の損失に比べ、239億円の増益となりました。これは前年同期にインドネシア自動車金融事業において一過性損失を計上したことの反動に加え、リース事業や自動車関連事業が増益となったことなどによるものです。
・インフラ事業部門では、69億円となり、前年同期の121億円に比べ、52億円の減益となりました。これは海外発電事業が堅調に推移した一方、電力EPC案件がピークアウトしたことなどによるものです。
・メディア・デジタル事業部門では、105億円となり、前年同期の96億円に比べ、9億円の増益となりました。これは国内主要事業会社が堅調に推移したことなどによるものです。
・生活・不動産事業部門では、176億円となり、前年同期の63億円に比べ、113億円の増益となりました。これは不動産事業で大口案件の引渡しがあったことに加え、欧米州青果事業が米国市況回復により増益となったことなどによるものです。
・資源・化学品事業部門では、471億円の利益となり、前年同期の595億円の損失に比べ、1,066億円の増益となりました。これはマダガスカルニッケル事業で前年同期に減損損失を計上したことの反動に加え、今年3月から操業を再開したことによる販売数量の増加に伴う増益や債務リストラに伴う一過性利益の計上があったこと、また、資源価格が高値で推移したことや化学品トレード・農業資材ビジネスが堅調に推移したことによる増益などによるものです。
当第1四半期末の資産合計は、8兆2,934億円となり、前期末の8兆800億円に比べ、2,135億円の増加となりました。これは営業資産が増加したことに加え、持分法投資が増加したことなどによるものです。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、2兆6,198億円となり、前期末の2兆5,280億円に比べ、919億円の増加となりました。これは配当金の支払いがあった一方、親会社の所有者に帰属する四半期利益を認識したことなどによるものです。
現預金ネット後の有利子負債(注1)は、2兆3,304億円となり、前期末の2兆3,004億円に比べ、300億円の増加となりました。
これらの結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、0.9倍となりました。
(注1)有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計 (リース負債は含まれておりません)
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が増加した一方で、コアビジネスが着実に資金を創出し、基礎収益キャッシュ・フロー(注2)が1,104億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で532億円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、国内不動産案件や繊維関連事業の売却など、資産入替による回収が約600億円あった一方で、エチオピア通信事業への参画や国内バイオマス発電事業の建設進捗など、約1,100億円の投融資を行ったことなどから、29億円のキャッシュ・アウトとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、503億円のキャッシュ・インとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入を実施した一方、リース負債の支出や配当金の支払などにより、131億円のキャッシュ・アウトとなりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第1四半期末残高は、6,379億円となり、前期末の5,990億円に比べ、389億円の増加となりました。
(注2)基礎収益キャッシュ・フロー=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)
×(1-税率)+持分法投資先からの配当
税率は当期は25%、前年同期は31%を使用しております。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に関しては、「第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記 4 見積り及び判断の利用」を参照願います。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
中期経営計画「SHIFT 2023」の概要
当社の中期経営計画に関する以下の説明は、数々の判断、見積り、前提に基づき算出された今後の見通しに関するものです。なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当四半期報告書提出日現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予想等であり、将来そのとおりに実現する保証はありません。
① 基本方針
当社は、2021年4月より2021年度から2023年度までの3か年を対象とする中期経営計画「SHIFT 2023」をスタートさせ、目標達成に向けて取組んでおります。「SHIFT 2023」では、当社の事業ポートフォリオ固有の弱点を克服し、当社業績をV字回復させるべく、事業戦略を遂行する組織単位(Strategic Business Unit)の強化と全社最適の資源配分を実現する仕組みを導入して、徹底的な構造改革を行っております。
「SHIFT 2023」は、これまで構造改革として実行してきた取組みをより具体的且つ中期的な目線で引き直した内容となっており、全社で総力をあげてこの「SHIFT 2023」を着実に実行することにより、一日も早く株主の皆様の信頼を回復すべく、業績面で結果を示していきます。
「SHIFT 2023」では、「事業ポートフォリオのシフト」を掲げて、より高い収益性と環境変化への耐性を兼ね備えたポートフォリオへ移行していきます。そして、この「ポートフォリオのシフト」の実効性を担保するために、「仕組みのシフト」として、「事業戦略管理の強化」、「投資の厳選/投資後のバリューアップ強化」、「全社最適での取り組み体制強化」、「全社最適での経営資源配分の強化」の仕組みを導入します。また、「経営基盤のシフト」のため、「ガバナンスの強化」、「人材マネジメントの強化」、「財務健全性の維持・向上」を行います。
② 定量計画
2021年度の業績見通しについては、当第1四半期の業績が、経済活動の再開に伴う収益機会を着実に取り込んだことに加え、資源価格の上昇など良好な外部環境も追い風となり、2021年3月期決算発表時(2021年5月7日)に公表しました通期予想 2,300億円に対して高進捗で推移していることから、当期利益の見通しを2,300億円から600億円増益の2,900億円に修正しました。
キャッシュ創出力は、構造改革による収益改善効果や、新たな利益成長を着実に取込むことで、徐々に回復し3年目にはコロナ前の水準近くまで回復する計画です。引き続き徹底的に取組む低採算事業からの撤退やバリュー実現による資金回収も合わせ、3年合計で1兆4,000億円のキャッシュ・インを予定しています。このキャッシュを原資として、市場の魅力度が高く、当社の強みが十分に発揮できる分野を中心に、1兆1,000億円程度の投融資を実行し、ポートフォリオの収益性と下方耐性を高めていきます。また、株主還元として配当に2,600億円を充てる計画です。
住友商事グループのサステナビリティ経営の高度化
当社は、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念・行動指針を踏まえて、2017年にマテリアリティ(*)を特定して、当社グループの事業と社会との関わりを明確にし、一つ一つの事業が社会の抱える様々な課題の解決に貢献することを意識した経営を行ってきました。
また、当社は、社会とともに持続的に成長するためのサステナビリティ経営の高度化の一環として、自らの強みである人的リソースやビジネスノウハウ、グローバルなネットワークやビジネスリレーションを活かして、持続可能な社会の実現にどのような役割を果たすのかを、より明確にコミットするため、当社に関わりが深い6つの重要社会課題を選び、それに紐づく長期・中期の目標を定めています。
重要社会課題は、社会の発展の基礎であり、住友商事の事業活動の前提である「社会の持続可能性」と、持続可能な社会の実現に必要なソリューションを生み出す「社会の発展と進化」という、相互に関連する二つのテーマから成り立っています。
■住友商事グループの重要社会課題と長期目標
*『マテリアリティ』とは住友商事グループが社会とともに持続的に成長するために優先的に取り組むべき課題として特定したもの。



■住友商事グループのサステナビリティ経営
住友商事グループの目指すサステナビリティ経営の高度化は、重要社会課題や目標の設定にとどまりません。
我々の社会が直面する課題の解決に向けて、住友商事グループの果たす役割を明確にコミットすることに加え、社会課題を巡る長期的な事業環境変化を見通して、戦略的に経営資源を配分し、社会が真に必要とする価値を創り出していきます。
持続可能な社会の実現と自らの持続的な成長がしっかりと重なった姿が住友商事グループのサステナビリティ経営です。

(5)研究開発活動
特記事項はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、一般的に、営業活動によるキャッシュ・フローや、銀行借入、資本市場における社債発行、及びコマーシャルペーパーの発行等により、資金調達を行っております。当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり、安定的かつ低利な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することです。
当社は当第1四半期において総額2兆9,810億円の有利子負債を有しております。このうち流動負債に区分される社債及び借入金は、前期末比955億円増加の5,734億円となっており、主な内訳は短期借入金(主として銀行借入金)1,766億円、コマーシャルペーパー715億円、1年以内に返済予定の長期借入金2,457億円となっております。
また、流動性については、従来、金融市場の混乱等、いくつかの有事シナリオを想定の上、必要な流動性額の保持につとめており、当第1四半期末時点においても十分な流動性を保持しております。
当社は、当第1四半期末時点で、総額1,260百万米ドル及び2,850億円を上限とする即時に借入可能な複数のコミットメントラインを締結しておりますが、当第1四半期末時点で、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
当社は、資本市場での直接調達を目的として、国内外で複数の資金調達プログラムを設定しております。当第1四半期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1/P-2(見通し安定的)、スタンダード&プアーズでBBB+/A-2(見通し安定的)、格付投資情報センターでA+/a-1(見通し安定的)となっております。
(7)仕入、成約及び販売の状況
当第1四半期において、ボリビア銀・亜鉛・鉛事業における販売数量の増加及び資源価格の上昇並びに北米鋼管事業における販売数量の増加等により前年同期と比較し収益が大幅に増加しております。
(8)主要な設備の状況
当第1四半期において、国内の商業施設を売却しております。
企業環境
当第1四半期の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による停滞から、緩やかに持ち直しつつあります。欧米に加え新興・途上国でのワクチン接種も始まり、各地で制限措置が段階的に解除され、経済活動が再開する動きが広がりつつある一方で、感染拡大によって制限措置が継続する国・地域があるなど、非常事態下で国・地域および産業により回復ペースが異なっています。米国経済は、失業率が依然として高く、サービス業などの活動が低水準にとどまっています。ユーロ圏経済は、制限措置が段階的に緩和され、持ち直しに転じつつあります。新興国経済も、中国の回復基調が強まっている一方で、その他の国では景気回復の動きはまだら模様となっております。国際商品市況は、原油価格含め多くの商品価格で上昇基調になりました。国内経済は回復傾向にあるものの、消費が弱含んでおり経済活動は低水準にとどまっています。
業績
当第1四半期の収益は、1兆2,660億円となり、前年同期の1兆357億円に比べ、2,303億円の増益となりました。売上総利益は、2,353億円となり、前年同期の1,733億円に比べ、620億円の増益となりました。これはボリビア銀・亜鉛・鉛事業で販売数量の増加に伴い増益となったことなどによるものです。販売費及び一般管理費は、1,660億円となり、前年同期の1,597億円に比べ、62億円の増加となりました。持分法による投資損益は、565億円の利益となり、前年同期の489億円の損失に比べ、1,054億円の増益となりました。これはマダガスカルニッケル事業で前年同期に減損損失を計上したことの反動に加え、今年3月から操業を再開したことによる販売数量の増加に伴う増益や債務リストラに伴う一過性利益の計上があったことなどによるものです。これらの結果、親会社の所有者に帰属する四半期損益は、1,073億円の利益となり、前年同期の411億円の損失に比べ、1,484億円の増益となりました。
なお、親会社の所有者に帰属する四半期損益のセグメント別の状況は次のとおりです。
・金属事業部門では、72億円となり、前年同期の0億円に比べ、72億円の増益となりました。これは海外スチールサービスセンター事業や北米鋼管事業が増益となったことなどによるものです。
・輸送機・建機事業部門では、145億円の利益となり、前年同期の94億円の損失に比べ、239億円の増益となりました。これは前年同期にインドネシア自動車金融事業において一過性損失を計上したことの反動に加え、リース事業や自動車関連事業が増益となったことなどによるものです。
・インフラ事業部門では、69億円となり、前年同期の121億円に比べ、52億円の減益となりました。これは海外発電事業が堅調に推移した一方、電力EPC案件がピークアウトしたことなどによるものです。
・メディア・デジタル事業部門では、105億円となり、前年同期の96億円に比べ、9億円の増益となりました。これは国内主要事業会社が堅調に推移したことなどによるものです。
・生活・不動産事業部門では、176億円となり、前年同期の63億円に比べ、113億円の増益となりました。これは不動産事業で大口案件の引渡しがあったことに加え、欧米州青果事業が米国市況回復により増益となったことなどによるものです。
・資源・化学品事業部門では、471億円の利益となり、前年同期の595億円の損失に比べ、1,066億円の増益となりました。これはマダガスカルニッケル事業で前年同期に減損損失を計上したことの反動に加え、今年3月から操業を再開したことによる販売数量の増加に伴う増益や債務リストラに伴う一過性利益の計上があったこと、また、資源価格が高値で推移したことや化学品トレード・農業資材ビジネスが堅調に推移したことによる増益などによるものです。
当第1四半期末の資産合計は、8兆2,934億円となり、前期末の8兆800億円に比べ、2,135億円の増加となりました。これは営業資産が増加したことに加え、持分法投資が増加したことなどによるものです。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、2兆6,198億円となり、前期末の2兆5,280億円に比べ、919億円の増加となりました。これは配当金の支払いがあった一方、親会社の所有者に帰属する四半期利益を認識したことなどによるものです。
現預金ネット後の有利子負債(注1)は、2兆3,304億円となり、前期末の2兆3,004億円に比べ、300億円の増加となりました。
これらの結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、0.9倍となりました。
(注1)有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計 (リース負債は含まれておりません)
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が増加した一方で、コアビジネスが着実に資金を創出し、基礎収益キャッシュ・フロー(注2)が1,104億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で532億円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、国内不動産案件や繊維関連事業の売却など、資産入替による回収が約600億円あった一方で、エチオピア通信事業への参画や国内バイオマス発電事業の建設進捗など、約1,100億円の投融資を行ったことなどから、29億円のキャッシュ・アウトとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、503億円のキャッシュ・インとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入を実施した一方、リース負債の支出や配当金の支払などにより、131億円のキャッシュ・アウトとなりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第1四半期末残高は、6,379億円となり、前期末の5,990億円に比べ、389億円の増加となりました。
(注2)基礎収益キャッシュ・フロー=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)
×(1-税率)+持分法投資先からの配当
税率は当期は25%、前年同期は31%を使用しております。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に関しては、「第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記 4 見積り及び判断の利用」を参照願います。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
中期経営計画「SHIFT 2023」の概要
当社の中期経営計画に関する以下の説明は、数々の判断、見積り、前提に基づき算出された今後の見通しに関するものです。なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当四半期報告書提出日現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予想等であり、将来そのとおりに実現する保証はありません。
① 基本方針
当社は、2021年4月より2021年度から2023年度までの3か年を対象とする中期経営計画「SHIFT 2023」をスタートさせ、目標達成に向けて取組んでおります。「SHIFT 2023」では、当社の事業ポートフォリオ固有の弱点を克服し、当社業績をV字回復させるべく、事業戦略を遂行する組織単位(Strategic Business Unit)の強化と全社最適の資源配分を実現する仕組みを導入して、徹底的な構造改革を行っております。
「SHIFT 2023」は、これまで構造改革として実行してきた取組みをより具体的且つ中期的な目線で引き直した内容となっており、全社で総力をあげてこの「SHIFT 2023」を着実に実行することにより、一日も早く株主の皆様の信頼を回復すべく、業績面で結果を示していきます。
「SHIFT 2023」では、「事業ポートフォリオのシフト」を掲げて、より高い収益性と環境変化への耐性を兼ね備えたポートフォリオへ移行していきます。そして、この「ポートフォリオのシフト」の実効性を担保するために、「仕組みのシフト」として、「事業戦略管理の強化」、「投資の厳選/投資後のバリューアップ強化」、「全社最適での取り組み体制強化」、「全社最適での経営資源配分の強化」の仕組みを導入します。また、「経営基盤のシフト」のため、「ガバナンスの強化」、「人材マネジメントの強化」、「財務健全性の維持・向上」を行います。

2021年度の業績見通しについては、当第1四半期の業績が、経済活動の再開に伴う収益機会を着実に取り込んだことに加え、資源価格の上昇など良好な外部環境も追い風となり、2021年3月期決算発表時(2021年5月7日)に公表しました通期予想 2,300億円に対して高進捗で推移していることから、当期利益の見通しを2,300億円から600億円増益の2,900億円に修正しました。
キャッシュ創出力は、構造改革による収益改善効果や、新たな利益成長を着実に取込むことで、徐々に回復し3年目にはコロナ前の水準近くまで回復する計画です。引き続き徹底的に取組む低採算事業からの撤退やバリュー実現による資金回収も合わせ、3年合計で1兆4,000億円のキャッシュ・インを予定しています。このキャッシュを原資として、市場の魅力度が高く、当社の強みが十分に発揮できる分野を中心に、1兆1,000億円程度の投融資を実行し、ポートフォリオの収益性と下方耐性を高めていきます。また、株主還元として配当に2,600億円を充てる計画です。
住友商事グループのサステナビリティ経営の高度化
当社は、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念・行動指針を踏まえて、2017年にマテリアリティ(*)を特定して、当社グループの事業と社会との関わりを明確にし、一つ一つの事業が社会の抱える様々な課題の解決に貢献することを意識した経営を行ってきました。
また、当社は、社会とともに持続的に成長するためのサステナビリティ経営の高度化の一環として、自らの強みである人的リソースやビジネスノウハウ、グローバルなネットワークやビジネスリレーションを活かして、持続可能な社会の実現にどのような役割を果たすのかを、より明確にコミットするため、当社に関わりが深い6つの重要社会課題を選び、それに紐づく長期・中期の目標を定めています。
重要社会課題は、社会の発展の基礎であり、住友商事の事業活動の前提である「社会の持続可能性」と、持続可能な社会の実現に必要なソリューションを生み出す「社会の発展と進化」という、相互に関連する二つのテーマから成り立っています。
■住友商事グループの重要社会課題と長期目標




■住友商事グループのサステナビリティ経営
住友商事グループの目指すサステナビリティ経営の高度化は、重要社会課題や目標の設定にとどまりません。
我々の社会が直面する課題の解決に向けて、住友商事グループの果たす役割を明確にコミットすることに加え、社会課題を巡る長期的な事業環境変化を見通して、戦略的に経営資源を配分し、社会が真に必要とする価値を創り出していきます。
持続可能な社会の実現と自らの持続的な成長がしっかりと重なった姿が住友商事グループのサステナビリティ経営です。

(5)研究開発活動
特記事項はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、一般的に、営業活動によるキャッシュ・フローや、銀行借入、資本市場における社債発行、及びコマーシャルペーパーの発行等により、資金調達を行っております。当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり、安定的かつ低利な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することです。
当社は当第1四半期において総額2兆9,810億円の有利子負債を有しております。このうち流動負債に区分される社債及び借入金は、前期末比955億円増加の5,734億円となっており、主な内訳は短期借入金(主として銀行借入金)1,766億円、コマーシャルペーパー715億円、1年以内に返済予定の長期借入金2,457億円となっております。
また、流動性については、従来、金融市場の混乱等、いくつかの有事シナリオを想定の上、必要な流動性額の保持につとめており、当第1四半期末時点においても十分な流動性を保持しております。
当社は、当第1四半期末時点で、総額1,260百万米ドル及び2,850億円を上限とする即時に借入可能な複数のコミットメントラインを締結しておりますが、当第1四半期末時点で、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
当社は、資本市場での直接調達を目的として、国内外で複数の資金調達プログラムを設定しております。当第1四半期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1/P-2(見通し安定的)、スタンダード&プアーズでBBB+/A-2(見通し安定的)、格付投資情報センターでA+/a-1(見通し安定的)となっております。
(7)仕入、成約及び販売の状況
当第1四半期において、ボリビア銀・亜鉛・鉛事業における販売数量の増加及び資源価格の上昇並びに北米鋼管事業における販売数量の増加等により前年同期と比較し収益が大幅に増加しております。
(8)主要な設備の状況
当第1四半期において、国内の商業施設を売却しております。