有価証券報告書-第103期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 11:11
【資料】
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【項目】
120項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、企業収益が改善し、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費も堅調に推移したほか、設備投資も安定的に推移したこと等により、回復基調を維持しました。また、世界経済においても、各国の金融・貿易政策による為替や市況変動リスクはありながら、米国、中国、新興国における景気拡大が持続したこと等により、全体としても緩やかな回復基調を維持しました。
このような状況の下、当連結会計年度の業績は、国内販売は3,954億2千万円(前年比+7.1%)、海外販売は前連結会計年度と比較して円安となった影響等により3,885億円(同+10.1%)となった結果、売上高は7,839億3千万円(同+8.5%)となり、過去最高を更新しました。
利益面につきましては、売上総利益は増収に伴い1,026億7千万円(同+12.2%)となり、営業利益は数理計算上の差異の償却に伴う退職給付費用が減少したこと等により241億1千万円(同+60.5%)となりました。経常利益は259億8千万円(同+58.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は171億7千万円(同+66.2%)となり、各利益とも過去最高を更新しました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
機能素材
機能素材につきましては、国内および海外ともに売上は増加しました。
機能化学品事業は、国内外における自動車生産台数の堅調な推移により、塗料原料およびウレタン原料の売上が増加したことに加え、米国でのディストリビューターの買収による売上の増加があったことから、事業全体として売上は大幅に増加しました。
スペシャリティケミカル事業は、国内では半導体関連等の電子業界向けを中心としてフッ素ケミカル、エレクトロニクスケミカル、加工油剤原料の売上が増加し、海外ではエレクトロニクスケミカル等の売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は1,760億6千万円と前連結会計年度に比べ、225億2千万円(+14.7%)の増収となりました。営業利益は51億7千万円と前連結会計年度に比べ、9億8千万円(+23.6%)の増益となりました。
加工材料
加工材料につきましては、国内および海外ともに売上は増加しました。
カラー&プロセシング事業は、国内において工業用および包装材料用の合成樹脂、顔料・添加剤や情報印刷関連材料等の売上が増加し、海外においても印刷関連ビジネスの売上が好調に推移したことから、事業全体として売上は増加しました。
OA・ゲーム機器業界への合成樹脂の販売を中心とするポリマーグローバルアカウント事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は2,628億3千万円と前連結会計年度に比べ、202億2千万円(+8.3%)の増収となりました。営業利益は67億円と前連結会計年度に比べ、16億円(+31.5%)の増益となりました。
電子
電子につきましては、国内外の製造子会社が堅調に推移したことにより、全体として売上は増加しました。
電子化学品事業は、フォトリソ材料や装置関連の売上が増加し、電機・電子業界向け等の変性エポキシ樹脂関連の売上も堅調に推移したことから、事業全体として売上は増加しました。
電子資材事業は、スマートフォンのモデルチェンジにより加工部材の売上が減少したため、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は1,293億2千万円と前連結会計年度に比べ、16億円(+1.3%)の増収となりました。営業利益は89億1千万円と前連結会計年度に比べ、25億8千万円(+40.8%)の増益となりました。
自動車・エネルギー
自動車材料事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて樹脂ビジネスが好調に推移したこと等により、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は1,297億円と前連結会計年度に比べ、167億5千万円(+14.8%)の増収となりました。営業利益は24億1千万円と前連結会計年度に比べ、8億7千万円(+56.9%)の増益となりました。
生活関連
生活関連につきましては、国内での売上は減少しましたが、海外での売上が増加したことから、全体として売上は微増となりました。
ライフ&ヘルスケア製品事業は、食品素材分野において、トレハ®等の売上は国内では横ばいとなったものの、欧州を中心とする海外では増加しました。スキンケア・トイレタリー分野において、AA2G®の海外での主要顧客に対する売上は減少したものの、国内での主要顧客に対する売上は増加しました。医療・医薬分野では、医薬品原料・中間体、医用材料および製剤事業の売上が減少しました。この結果、事業全体として売上は微増となりました。
化粧品・健康食品の販売を行うビューティケァ製品事業は、全般的に販売が低調であったことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は853億7千万円と前連結会計年度に比べ、4億6千万円(+0.6%)の増収となりました。営業利益は42億1千万円と前連結会計年度に比べ、8億8千万円(+26.5%)の増益となりました。
その他
特記すべき事項はありません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の流動資産は、売掛金やたな卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ、348億9千万円増加の3,561億円となりました。固定資産は、保有株式の時価上昇による投資有価証券の増加やのれんの計上等により、前連結会計年度末に比べ57億7千万円増加の2,153億3千万円となりました。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ406億7千万円増加の5,714億4千万円となりました。
負債は、社債の償還による減少があったものの、買掛金や借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ270億6千万円増加の2,626億4千万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益171億7千万円を計上したほか、その他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ136億円増加の3,088億円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の54.7%から1.6ポイント減少し、53.1%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の収入210億1千万円、投資活動による資金の支出144億4千万円、財務活動による資金の支出31億6千万円に換算差額による資金の減少1億7千万円等を加味した結果、前連結会計年度末と比べ31億2千万円(+7.9%)増加し、428億5千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動による資金の増加額は、210億1千万円となりました。これは、運転資本の増加による資金の減少119億6千万円、法人税等の支払48億6千万円があったものの、税金等調整前当期純利益240億4千万円、減価償却費による資金留保92億9千万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動による資金の減少額は、144億4千万円となりました。これは、有形および無形固定資産の取得による支出72億1千万円に加え、連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得による支出59億9千万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動による資金の減少額は、31億6千万円となりました。これは、社債の償還による支出100億円、配当金の支払額42億8千万円があったものの、コマーシャル・ペーパーの純増加額50億円、長期借入れによる収入83億円があったこと等によるものです。
④ 販売の状況
「① 経営成績の状況」および「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照願います。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える貸倒引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等の見積りを行っております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づいて継続して評価・判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営者による当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照願います。