訂正有価証券報告書-第17期(2022/07/01-2023/06/30)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着き、行動制限が緩和されたことから、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しております。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクや、資材価格の高騰、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。このような経済環境のもと、当社グループにおいては環境変化に機動的に即応し、効率性や採算性を考慮した社内体制の強化・整備を図り、利益重視の経営を推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は463億9千6百万円(前期比1.4%減)となり、営業利益は94億3千4百万円(前期比4.2%減)、経常利益は105億1千9百万円(前期比3.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は82億4千3百万円(前期比6.5%増)となりました。
a. セグメントごとの経営成績
(セキュリティ機器)
セキュリティ機器につきましては、マンション向けの自社更新及び新規獲得が堅調に推移したことに加え、法 人向け販売も好調であったことから、売上高は139億9千3百万円(前期比4.6%増)、セグメント利益は57億9千
万円(前期比5.2%増)となりました。
(カード機器及びその他事務用機器)
カード機器及びその他事務用機器につきましては、カード機器の主要販売先である病院向け及び金融機関向け
の営業活動が堅調に推移しましたが、米国孫会社のCard Technology Corporation、及び英国孫会社のNBS
Technologies Limitedの株式を2022年6月にMatica Fintec社に売却した関係で、売上高は31億2千4百万円(前期比21.3%減)、セグメント利益は7億9千6百万円(前期比11.5%減)となりました。
(情報機器)
情報機器につきましては、半導体部品を含む電子部品等の調達困難及び小型カッティングマシンの主要販売先 である欧米諸国の景気減速等の影響により、売上高は154億5千4百万円(前期比13.3%減)、セグメント利益は18億5千6百万円(前期比29.4%減)となりました。
(設計事業)
設計事業につきましては、収益の中心が耐震診断から構造設計に移る中で、売上高は49億6千3百万円(前期比3.8%増)、セグメント利益は3億6百万円(前期比3.9%減)と堅調に推移しました。
(その他)
その他につきましては、売上高は88億6千万円(前期比24.6%増)、セグメント利益は5億7千7百万円(前期比2.7%減)となりました。
b. 当連結会計年度の財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて51億6百万円増加し、805億2千4百万円となりました。主な要因は、流動資産における現金及び預金11億1千万円増加、商品及び製品21億6千1百万円増加、その他に含めている未収入金21億5千5百万円減少、投資有価証券18億5百万円増加等であり、その増減の理由としては、当連結会計年度の純利益及びM&A案件の対価である株式の受領等が挙げられます。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて8億2千8百万円減少し、132億5千3百万円となりました。主な要因は、流動負債における未払法人税等10億1千5百万円の減少等であり、その増減の理由としては、当連結会計年度における課税所得の減少及び前払税金の増加が挙げられます。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて59億3千4百万円増加し、672億7千1百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益82億4千3百万円の計上、配当金33億1千5百万円の計上、為替換算調整勘定26億4千9百万円の計上等であります。この結果、自己資本比率は83.2%となり、前連結会計年度末の81.2%から上昇しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、375億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べて11億3千万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は45億4千1百万円(前連結会計年度は80億9千5百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益104億9千2百万円、減価償却費8億8千万円等の収入に対し、法人税等の支払額45億8千2百万円、棚卸資産の増加額21億7千1百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13億1千4百万円(前連結会計年度は22億7百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7億4百万円、貸付けによる支出4億3百万円、関係会社株式の取得による支出3億7千6百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は31億8千4百万円(前連結会計年度は28億4千8百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額33億1千1百万円の支出等があったことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務指標により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって会計上の見積りが必要なものについては期末時点において把握できる最善の方法により会計上の見積りを行っております。他の会計上の見積りについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
a. のれんの減損
のれんの減損テストにおける将来キャッシュ・フローは、経営者が承認した今後5年度分の事業計画を経営環境などの外部要因に関する情報や過去の実績推移などに基づいて修正し、資産グループの現在の使用状況等を考慮し見積っております。回収可能価額は、当該将来キャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いた使用価値で算定しており、割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しております。
b. 有価証券の減損
有価証券の減損については、市場価格のあるものについては期末日の時価が取得原価の50%以上下落しているとき、市場価格の無いものについては1株当たり純資産額に所有株式数を乗じた金額を実質価額として評価し、当該実質価額が決算期末日の取得原価の50%以上下落しているときには、決算期末日までに入手し得る発行会社の財務諸表並びに将来の経営状況を考慮し回復不可能と判断した場合、当該実質価格まで減損処理を行っております。また、市場価格の無いものについては、会社の超過収益力等を反映して財務諸表から得られる1株当たり純資産額に比べて高い価額で当該会社の株式を取得している場合、超過収益力等が見込めなくなったときには、これを反映した実質価額が取得原価の50%程度を下回っている場合に、減損処理を行うこととしております。
c. 繰延税金資産(税効果会計)
繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。
(新型コロナウイルス感染症の影響)
新型コロナウイルス感染症拡大による、セキュリティ機器のマンション向け販売におけるマンション管理組合の理事会・総会の延期に伴う、販売・納品の遅れや、カード機器の主要販売先の病院向け等における営業活動の大幅な制限、商談・納品の延期や設備投資の抑制等は徐々に正常化に向かっております。
当該感染症の今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難な状況にありますが、今後も営業活動の正常化が継続される仮定を置き、会計上の見積りを行っております。
このように、現在の状況及び入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.金額には、標準品の外部生産高を含めております。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は仕入価格によっております。
c. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は契約価格によっております。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当連結会計年度におきましては、セキュリティ機器事業の伸長、新規の脱炭素システム事業の立ち上がりなどから、グループ連結で前年度比約4億5千万円の営業増益を見込んでおりました。
その見込みに対して、下記の各事業業績の結果、前期比約4億円の営業減益となりました。
各事業別の営業利益では、セキュリティ機器が一般法人向けの販売好調であったことから、約3億円の営業増益となり、3期連続で過去最高の営業利益を達成しました。
一方、情報機器事業においては、海外子会社Silhouette America Inc.のコンシューマ向け小型カッティングマシンの主要販売先である欧米諸国の景気減速等の影響による利益減が響き、約8億円の営業減益となりました。また、カード機器事業においては、海外子会社を売却した関係で約1億円の営業減益となりました。
上記の他、新規に立ち上げました脱炭素事業の販売が順調に拡大していること等から、約2億円の営業増益を計上しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金は基本的に内部資金により充当しております。当社グループは装置産業ではないため、多額の設備投資は必要ではなく、長期借入金による設備投資資金の調達は現在のところ必要でない状況となっております。
当社グループは基本的には、無借金経営を行いつつ内部留保を厚くすることが安定した経営に貢献するものと考えておりますが、成長に向けてのM&Aの強化の検討等においては、大型のM&A案件などにより多額の資金が必要となった場合は、長期借り入れも視野に入れてまいります。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、当社グループは、商社部門とメーカー部門が共存しており、売上高は両部門のバランスにより変動することから、経営計画においては、営業利益に絶対値目標を定め、経営を推進しております。また、当社は引き続き成長に向けてM&Aを強化する方針です。このため、短期的には営業利益が変動する可能性がありますが、長期的にはEPSを重要な経営指標と設定し、その確保のために粗利重視の経営を進めその最大化に努めてまいります。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
(セキュリティ機器)
当社のセキュリティ機器事業は、マンション向けと一般法人企業向けの2つの分野で事業を展開しております。マンション向けの場合、その多くが分譲マンションで占められており、基本的には既設設備の更新需要を中心に直販による営業活動を行っております。契約の大半がリース契約であることから、更新物件を確実にフォローすることによって、長期的に安定した需要を確保し、毎期着実に業績を拡大して行くことを目指しております。また、近年は賃貸物件への導入も増加しております。
当連結会計年度は、これまでに自社がこうして納入したマンション向け設備のリース満了による更新を着実に取り込むことにより業績は順調に推移しました。
来期以降につきましても、自社の分譲マンション向け更新需要及び導入済み賃貸物件向けの更新を中心として、引き続き安定的に業績の拡大が図れる見込みです。
一方、一般法人企業向けに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響から鈍っておりました市場の投資意欲に回復が見られ、好調に推移いたしました。今後も有力代理店と連携しながら、お客様の要望する商品の品揃えを充実させ、これらの商品をタイムリーに提供することによって、業績の維持拡大に取り組んでまいります。
(カード機器及びその他事務用機器)
カード機器事業及びその他事務用機器につきましては、2022年6月にイタリアMatica Fintec社との資本提携の一環として、NBS Technologies Inc.傘下で米国孫会社のCard Technology Corporation及び英国孫会社のNBS Technologies LimitedをMatica Fintec社に売却した関係で売上、利益が減少いたしましたが、国内事業は病院向けのカード発行機の販売等が堅調に推移いたしました。今後もカード機器における金融機関向け発行機の販売及びサーマルカメラ等の新製品の販売拡大、その他事務用機器におけるオペレーターの研修を継続的に行う顧客向け会員サービス等の販売促進の拡大、BIMの流れの中でのゼネコン向けの販売拡大等により、営業増益を含む堅調な業績の維持拡大を目指す方針です。
(情報機器)
情報機器部門につきましては、収益の大部分を占めるコンシューマ向け小型カッティングマシン事業において、欧米諸国の景気減速等の影響により、期初予想を大きく下回る結果となりました。業務用カッティングマシンにおきましても、半導体部品を含む電子部品等の調達困難による影響を受けて営業減益となりました。
来期以降につきましては、日本及び欧州に新たに設立した販売拠点を起点に商品力強化を図り、更なる業績拡大に取り組んでまいります。
(設計事業)
設計事業につきましては、収益の中心が耐震診断から構造設計に移る中で、堅調に推移いたしました。
来期以降につきましても、構造設計分野全般の強みを生かし、耐震関連業務に代わる分野として民間のホテルや物流施設、環境施設の受注増を図るとともに、自社の特徴を活かした取り組みを行うことにより、安定的な業績推移を目指す方針です。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着き、行動制限が緩和されたことから、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しております。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクや、資材価格の高騰、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。このような経済環境のもと、当社グループにおいては環境変化に機動的に即応し、効率性や採算性を考慮した社内体制の強化・整備を図り、利益重視の経営を推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は463億9千6百万円(前期比1.4%減)となり、営業利益は94億3千4百万円(前期比4.2%減)、経常利益は105億1千9百万円(前期比3.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は82億4千3百万円(前期比6.5%増)となりました。
a. セグメントごとの経営成績
(セキュリティ機器)
セキュリティ機器につきましては、マンション向けの自社更新及び新規獲得が堅調に推移したことに加え、法 人向け販売も好調であったことから、売上高は139億9千3百万円(前期比4.6%増)、セグメント利益は57億9千
万円(前期比5.2%増)となりました。
(カード機器及びその他事務用機器)
カード機器及びその他事務用機器につきましては、カード機器の主要販売先である病院向け及び金融機関向け
の営業活動が堅調に推移しましたが、米国孫会社のCard Technology Corporation、及び英国孫会社のNBS
Technologies Limitedの株式を2022年6月にMatica Fintec社に売却した関係で、売上高は31億2千4百万円(前期比21.3%減)、セグメント利益は7億9千6百万円(前期比11.5%減)となりました。
(情報機器)
情報機器につきましては、半導体部品を含む電子部品等の調達困難及び小型カッティングマシンの主要販売先 である欧米諸国の景気減速等の影響により、売上高は154億5千4百万円(前期比13.3%減)、セグメント利益は18億5千6百万円(前期比29.4%減)となりました。
(設計事業)
設計事業につきましては、収益の中心が耐震診断から構造設計に移る中で、売上高は49億6千3百万円(前期比3.8%増)、セグメント利益は3億6百万円(前期比3.9%減)と堅調に推移しました。
(その他)
その他につきましては、売上高は88億6千万円(前期比24.6%増)、セグメント利益は5億7千7百万円(前期比2.7%減)となりました。
b. 当連結会計年度の財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて51億6百万円増加し、805億2千4百万円となりました。主な要因は、流動資産における現金及び預金11億1千万円増加、商品及び製品21億6千1百万円増加、その他に含めている未収入金21億5千5百万円減少、投資有価証券18億5百万円増加等であり、その増減の理由としては、当連結会計年度の純利益及びM&A案件の対価である株式の受領等が挙げられます。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて8億2千8百万円減少し、132億5千3百万円となりました。主な要因は、流動負債における未払法人税等10億1千5百万円の減少等であり、その増減の理由としては、当連結会計年度における課税所得の減少及び前払税金の増加が挙げられます。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて59億3千4百万円増加し、672億7千1百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益82億4千3百万円の計上、配当金33億1千5百万円の計上、為替換算調整勘定26億4千9百万円の計上等であります。この結果、自己資本比率は83.2%となり、前連結会計年度末の81.2%から上昇しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、375億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べて11億3千万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は45億4千1百万円(前連結会計年度は80億9千5百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益104億9千2百万円、減価償却費8億8千万円等の収入に対し、法人税等の支払額45億8千2百万円、棚卸資産の増加額21億7千1百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13億1千4百万円(前連結会計年度は22億7百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7億4百万円、貸付けによる支出4億3百万円、関係会社株式の取得による支出3億7千6百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は31億8千4百万円(前連結会計年度は28億4千8百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額33億1千1百万円の支出等があったことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年 6月期 | 2020年 6月期 | 2021年 6月期 | 2022年 6月期 | 2023年 6月期 | |
自己資本比率(%) | 78.4 | 81.1 | 80.6 | 81.2 | 83.2 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 137.8 | 120.7 | 155.6 | 97.3 | 135.9 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | - | - | - | - | - |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 1,388.6 | 1,108.9 | 1,938.2 | 1,997.13 | 3,830.3 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務指標により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって会計上の見積りが必要なものについては期末時点において把握できる最善の方法により会計上の見積りを行っております。他の会計上の見積りについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
a. のれんの減損
のれんの減損テストにおける将来キャッシュ・フローは、経営者が承認した今後5年度分の事業計画を経営環境などの外部要因に関する情報や過去の実績推移などに基づいて修正し、資産グループの現在の使用状況等を考慮し見積っております。回収可能価額は、当該将来キャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いた使用価値で算定しており、割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しております。
b. 有価証券の減損
有価証券の減損については、市場価格のあるものについては期末日の時価が取得原価の50%以上下落しているとき、市場価格の無いものについては1株当たり純資産額に所有株式数を乗じた金額を実質価額として評価し、当該実質価額が決算期末日の取得原価の50%以上下落しているときには、決算期末日までに入手し得る発行会社の財務諸表並びに将来の経営状況を考慮し回復不可能と判断した場合、当該実質価格まで減損処理を行っております。また、市場価格の無いものについては、会社の超過収益力等を反映して財務諸表から得られる1株当たり純資産額に比べて高い価額で当該会社の株式を取得している場合、超過収益力等が見込めなくなったときには、これを反映した実質価額が取得原価の50%程度を下回っている場合に、減損処理を行うこととしております。
c. 繰延税金資産(税効果会計)
繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。
(新型コロナウイルス感染症の影響)
新型コロナウイルス感染症拡大による、セキュリティ機器のマンション向け販売におけるマンション管理組合の理事会・総会の延期に伴う、販売・納品の遅れや、カード機器の主要販売先の病院向け等における営業活動の大幅な制限、商談・納品の延期や設備投資の抑制等は徐々に正常化に向かっております。
当該感染症の今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難な状況にありますが、今後も営業活動の正常化が継続される仮定を置き、会計上の見積りを行っております。
このように、現在の状況及び入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) | |
金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
カード機器及びその他事務用機器 | - | - |
情報機器 | 3,549 | 101.9 |
設計事業 | 4,986 | 103.7 |
報告セグメント計 | 8,535 | 103.0 |
その他 | 1,556 | 88.1 |
合計 | 10,092 | 100.4 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.金額には、標準品の外部生産高を含めております。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) | |
金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
セキュリティ機器 | 1,975 | 82.1 |
カード機器及びその他事務用機器 | 509 | 20.0 |
情報機器 | 6,887 | 239.9 |
報告セグメント計 | 9,372 | 119.7 |
その他 | 2,393 | 156.7 |
合計 | 11,766 | 125.8 |
(注)1.金額は仕入価格によっております。
c. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
設計事業 | 5,084 | 99.9 | 4,240 | 100.0 |
(注)1.金額は契約価格によっております。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) | |
金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
セキュリティ機器 | 13,993 | 104.6 |
カード機器及びその他事務用機器 | 3,124 | 78.7 |
情報機器 | 15,454 | 86.7 |
設計事業 | 4,963 | 103.8 |
報告セグメント計 | 37,535 | 94.0 |
その他 | 8,860 | 124.6 |
合計 | 46,396 | 98.6 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) | 当連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
三菱HCキャピタル株式会社 | 6,053 | 12.9 | 6,226 | 13.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当連結会計年度におきましては、セキュリティ機器事業の伸長、新規の脱炭素システム事業の立ち上がりなどから、グループ連結で前年度比約4億5千万円の営業増益を見込んでおりました。
その見込みに対して、下記の各事業業績の結果、前期比約4億円の営業減益となりました。
各事業別の営業利益では、セキュリティ機器が一般法人向けの販売好調であったことから、約3億円の営業増益となり、3期連続で過去最高の営業利益を達成しました。
一方、情報機器事業においては、海外子会社Silhouette America Inc.のコンシューマ向け小型カッティングマシンの主要販売先である欧米諸国の景気減速等の影響による利益減が響き、約8億円の営業減益となりました。また、カード機器事業においては、海外子会社を売却した関係で約1億円の営業減益となりました。
上記の他、新規に立ち上げました脱炭素事業の販売が順調に拡大していること等から、約2億円の営業増益を計上しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金は基本的に内部資金により充当しております。当社グループは装置産業ではないため、多額の設備投資は必要ではなく、長期借入金による設備投資資金の調達は現在のところ必要でない状況となっております。
当社グループは基本的には、無借金経営を行いつつ内部留保を厚くすることが安定した経営に貢献するものと考えておりますが、成長に向けてのM&Aの強化の検討等においては、大型のM&A案件などにより多額の資金が必要となった場合は、長期借り入れも視野に入れてまいります。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、当社グループは、商社部門とメーカー部門が共存しており、売上高は両部門のバランスにより変動することから、経営計画においては、営業利益に絶対値目標を定め、経営を推進しております。また、当社は引き続き成長に向けてM&Aを強化する方針です。このため、短期的には営業利益が変動する可能性がありますが、長期的にはEPSを重要な経営指標と設定し、その確保のために粗利重視の経営を進めその最大化に努めてまいります。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
(セキュリティ機器)
当社のセキュリティ機器事業は、マンション向けと一般法人企業向けの2つの分野で事業を展開しております。マンション向けの場合、その多くが分譲マンションで占められており、基本的には既設設備の更新需要を中心に直販による営業活動を行っております。契約の大半がリース契約であることから、更新物件を確実にフォローすることによって、長期的に安定した需要を確保し、毎期着実に業績を拡大して行くことを目指しております。また、近年は賃貸物件への導入も増加しております。
当連結会計年度は、これまでに自社がこうして納入したマンション向け設備のリース満了による更新を着実に取り込むことにより業績は順調に推移しました。
来期以降につきましても、自社の分譲マンション向け更新需要及び導入済み賃貸物件向けの更新を中心として、引き続き安定的に業績の拡大が図れる見込みです。
一方、一般法人企業向けに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響から鈍っておりました市場の投資意欲に回復が見られ、好調に推移いたしました。今後も有力代理店と連携しながら、お客様の要望する商品の品揃えを充実させ、これらの商品をタイムリーに提供することによって、業績の維持拡大に取り組んでまいります。
(カード機器及びその他事務用機器)
カード機器事業及びその他事務用機器につきましては、2022年6月にイタリアMatica Fintec社との資本提携の一環として、NBS Technologies Inc.傘下で米国孫会社のCard Technology Corporation及び英国孫会社のNBS Technologies LimitedをMatica Fintec社に売却した関係で売上、利益が減少いたしましたが、国内事業は病院向けのカード発行機の販売等が堅調に推移いたしました。今後もカード機器における金融機関向け発行機の販売及びサーマルカメラ等の新製品の販売拡大、その他事務用機器におけるオペレーターの研修を継続的に行う顧客向け会員サービス等の販売促進の拡大、BIMの流れの中でのゼネコン向けの販売拡大等により、営業増益を含む堅調な業績の維持拡大を目指す方針です。
(情報機器)
情報機器部門につきましては、収益の大部分を占めるコンシューマ向け小型カッティングマシン事業において、欧米諸国の景気減速等の影響により、期初予想を大きく下回る結果となりました。業務用カッティングマシンにおきましても、半導体部品を含む電子部品等の調達困難による影響を受けて営業減益となりました。
来期以降につきましては、日本及び欧州に新たに設立した販売拠点を起点に商品力強化を図り、更なる業績拡大に取り組んでまいります。
(設計事業)
設計事業につきましては、収益の中心が耐震診断から構造設計に移る中で、堅調に推移いたしました。
来期以降につきましても、構造設計分野全般の強みを生かし、耐震関連業務に代わる分野として民間のホテルや物流施設、環境施設の受注増を図るとともに、自社の特徴を活かした取り組みを行うことにより、安定的な業績推移を目指す方針です。