有価証券報告書-第67期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は170,875百万円であり、前連結会計年度末に比べ543百万円減少しております。流動資産は97,674百万円と前連結会計年度末に比べ2,719百万円増加しました。固定資産は73,200百万円と前連結会計年度末に比べ3,262百万円減少しました。これは主に海外事業における無形資産の減損及びのれん償却による無形固定資産の減少によるものです。
負債合計は70,732百万円であり、前連結会計年度末に比べ5,674百万円増加しております。これは主に長期借入金及び仕入債務の支払方法変更による電子記録債務の増加によるものです。
純資産合計は100,143百万円であり、前連結会計年度末に比べ6,217百万円減少しております。
これらにより当社グループの流動比率は248.0%、自己資本比率は58.0%となり、その他の要素も含め、健全な財政状態を維持しております。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収支や雇用・所得環境の改善が継続し、一部力強さには欠けるものの穏やかな回復基調で推移しました。しかし、海外経済における米中通商問題の長期化や中国経済の減速、欧州における政策の不確実性などが日本経済に与える影響とその規模は、依然不透明な状況であり、引き続き留意していく必要があります。当社事業に関連の深い建設市場におきましては、非住宅分野では、首都圏の再開発や東京オリンピックに向けたインフラ整備などに支えられ、宿泊施設や店舗・商業施設が底堅く推移した一方、医療・福祉分野の新設着工床面積の減少が継続しております。また住宅分野においては、持家および分譲住宅については持ち直しの動きが見られたものの、貸家は減少し、新設住宅着工戸数は総じて横ばいで推移しました。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」に基づく成長戦略の実行を進めました。2018年12月には、北海道支社及びロジスティクスセンターを移転し、老朽化・狭小化していた拠点の整備を行ったほか、2019年2月には株式会社サンゲツ沖縄に物流拠点を開設し、各地域に根差した営業活動の強化を図りました。また、上昇を続ける原材料費や人件費、物流費に対応するため、自社配送体制の整備と商品価格の改定を進めました。これらに加え、2017年12月に買収したGoodrich Global Holdings Pte., Ltd.の業績が連結対象となったことにより、売上高と販売費及び一般管理費が増加しました。その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高160,422百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益5,895百万円(同17.1%増)、経常利益6,699百万円(同17.6%増)となりましたが、米国の子会社Koroseal Interior Products Holdings,Inc.関連の無形資産の減損を行ったことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は3,579百万円(同20.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(インテリア事業)
壁装事業では、首都圏を中心にした都市再開発およびオリンピック需要の継続を背景に、非住宅向けの不燃認定壁紙を収録した見本帳「FAITH」の売上が堅調に推移したほか、2018年4月に新設したフィルム営業部の商品特化型営業が奏功し、粘着剤付化粧フィルム「リアテック」、「ガラスフィルム」の売上が伸長しました。一方、6月に発売した「リザーブ1000」、「リフォームセレクション」の市場浸透が一時的に遅れたことに加え、貸家の減少も影響し、壁装材の売上高は57,155百万円(前年同期比0.8%減)となりました。
床材事業では、働き方改革の推進によるオフィス環境整備需要やインバウンド需要により、オフィス・ホテル市場にて、10月に発売した繊維系床材「カーペットタイルDT/NT」の売上が伸長しました。さらに、住宅市場、商業施設における床用塩ビタイルの市場拡大が継続して進み、売上を牽引しました。一方、医療・福祉分野における市場縮小傾向の影響もあり、床材の売上高は43,116百万円(同0.6%増)となりました。
ファブリック事業では、住宅向けカーテン見本帳「STRINGS」とワンプライスによる選びやすさを追求した「Simple Order」が引き続き売上を牽引しました。また、カーテン専門販売会社である株式会社サンゲツヴォーヌにおいては、東京・大阪・名古屋・福岡の主要4都市での営業体制を整備し、住宅分野に特化した営業活動を強化しました。この結果、カーテンと椅子生地を合わせたファブリックの売上高は8,311百万円(同5.1%増)となりました。
これらのほか、施工代などを含むその他の売上10,924百万円(同12.5%減)を加え、インテリア事業における売上高は119,508百万円(同1.1%減)、営業利益は6,174百万円(同7.3%増)となりました。
(エクステリア事業)
エクステリア事業を担う株式会社サングリーンにおいては、第2四半期に発生した台風等の自然災害の復旧に向けた工事が増加し、「フェンス」「物置」の売上が大きく伸長しました。また、公共物件においては、安全性への意識の高まりから、既存ブロック塀の補強工事及びフェンスへの切り替え需要が増加しました。さらに、第4四半期には一部メーカーの価格改定に伴う駆け込み需要も加わり、市場は活況を呈しました。営業管理体制において、豊橋支店を新設するなどフォロー体制の見直しと施工力の強化にも注力した結果、エクステリア事業の売上高は16,121百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は594百万円(同35.0%増)となりました。
(照明器具事業)
照明器具事業を担う山田照明株式会社においては、他社の市場参入や低価格化などにより競争は激しさを増す中、インバウンドやオリンピック需要を背景としたコントラクト市場が堅調に推移し、得意とする特注分野でのデザイン性、提案力が市場に評価され、ホテル・宿泊施設での売上が伸長しました。また、営業開発担当を増員するなど、スペック営業活動を強化した結果、照明器具事業の売上高は4,227百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益は65百万円(前年同期は営業損失137百万円)となりました。
(海外事業)
北米市場を担うKoroseal Interior Products Holdings,Inc.においては、ホテル、コマーシャル市場を中心にデジタルプリントが伸長し、2018年9月より販売権を取得した欧州壁紙メーカー「VESCOM」製品が売上に貢献しました。また、経営層の人材強化を行うなど、収益改善に向けた体制整備にも取り組みました。中国市場を担う山月堂(上海)装飾有限公司においては、レジデンシャル分野では壁装材の売上が、医療・福祉や商業分野では床材の売上が堅調に推移し、また、11月には上海にショールームを開設しました。さらに、中国・東南アジア市場で事業を展開するGoodrich Global Holdings Pte., Ltd.と連携し、中国以外の各国、地域でもグループシナジー創出に取り組みました。一方で、Koroseal Interior Products Holdings,Inc.において人件費およびセールスツール費などの販売費及び一般管理費が増加しており、その結果、海外事業における売上高は20,920百万円(前年同期比22.0%増)、営業損失は960百万円(前年同期は営業損失870百万円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,757百万円増加し、26,613百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は10,370百万円(前年同期は7,196百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,287百万円の収入、減価償却費2,867百万円の収入、支払方法変更による仕入債務の増加額2,488百万円の収入などがあったことを反映したものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は3,649百万円(前年同期は5,732百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入2,496百万円、有価証券の償還による収入2,000百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7,196百万円(前年同期は4,831百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額3,538百万円及び自己株式の取得による支出5,290百万円等によるものです。
④仕入及び販売の状況
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| インテリア事業 | (百万円) | 81,152 | 98.0 |
| エクステリア事業 | (百万円) | 13,898 | 106.7 |
| 照明器具事業 | (百万円) | 2,988 | 120.0 |
| 海外事業 | (百万円) | 12,477 | 123.0 |
| 調整額 | (百万円) | △327 | - |
| 合計 | (百万円) | 110,189 | 101.7 |
(注)1.セグメント間の取引については調整額欄で相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| インテリア事業 | (百万円) | 119,508 | 98.9 |
| エクステリア事業 | (百万円) | 16,121 | 107.4 |
| 照明器具事業 | (百万円) | 4,227 | 115.4 |
| 海外事業 | (百万円) | 20,920 | 122.0 |
| 調整額 | (百万円) | △354 | - |
| 合計 | (百万円) | 160,422 | 102.6 |
(注)1.セグメント間の取引については調整額欄で相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.総販売実績の10%以上の割合を占める主要な取引先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成には、経営者による会計基準の選択及び適用、資産及び負債ならびに収益及び費用の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や状況を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により、これらの見積りと差異が生じる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(インテリア事業)
主力となる壁装事業では、主力見本帳の回収により一時的に市場浸透が遅れたこと、廉価品である量産壁紙において同業他社の攻勢を受けたこと、新基幹システム稼働後の物流混乱等が影響し、販売数量が減少及び市場シェアが低下したため、売上高は減少しました。床材事業及びファブリック事業は伸長したものの、インテリア事業全体としては9期ぶりに売上高が前年同期比減となりました。一方で、2018年10月から商品販売価格の改定を進めたことにより、売上総利益は改善し前年同期比増になりました。
販売費及び一般管理費においては、中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」に基づく構造改善・機能強化のための費用が続きました。当連結会計年度は、受注から出荷までの機能強化や全社業務効率化などを実現する新基幹システムの稼働を開始したほか、物流拠点の新設や統廃合として、2018年12月に北海道ロジスティクスセンターを移転、2019年2月にはサンゲツ沖縄ロジスティクスセンターを開設し、各地域に根差した営業活動の強化を進めました。一方で、商品配送の路線便運賃値上げに対して自社配送体制を整備するなど、コスト削減に向けた施策を強化し、販売費及び一般管理費は前連結会計年度までの大幅増から微増に留まりました。これらの施策を通じて、商品開発力、営業力、物流機能等の事業遂行能力は確実に向上していると認識しております。
インテリア事業における最重要課題は、引き続き収益力の改善であると認識しております。壁装事業において、今後投入する量産壁紙見本帳等の営業強化により販売数量及び市場シェア回復を目指すとともに、運送費等のコスト改善も継続して進めてまいります。
(エクステリア事業)
エクステリア事業を担うサングリーン株式会社においては、台風等の自然災害の復旧に向けた工事の増加や、既存ブロック塀の改修工事需要による市場全体の活況を受け、業績は堅調に推移しております。当連結会計年度は、地域戦略に沿った営業拠点の統廃合や新規出店、施工力強化等の営業体制の整備を進めました。引き続き同業他社との価格競争が激化することが予想されますが、インテリア事業とのシナジーを追求するなど、今後も営業体制の強化を進めてまいります。
(照明器具事業)
照明器具事業を担う山田照明株式会社においては、インバウンドやオリンピック需要を背景としたホテル・宿泊施設分野向けの売上が伸長し、営業利益が前連結会計年度の赤字から黒字に転じました。
なお、当社は2019年4月5日付で山田照明株式会社の全株式をオーデリック株式会社へ譲渡しました。当社と連携した事業拡大を目指しましたが、営業活動の対象や商流の違い等から、営業面でのシナジー効果は限定的でありました。こうした中、照明業界においてコントラクト市場での事業拡大に意欲のあるオーデリック株式会社への株式譲渡が山田照明株式会社の成長にとって最善であり、かつ、当社グループにとっても経営資源の選択と集中を再構築することで経営の効率を高めることにつながるなど、サンゲツグループの総合的な企業価値の向上に資すると判断しました。当社は山田照明株式会社の全株式を譲渡したことにより、照明器具事業から撤退することになります。
(海外事業)
米国のKoroseal Interior Products Holdings,Inc.は、事業の根幹となる自社製造壁紙の販売不振により、売上高は計画及び前連結会計年度を下回りました。また、販売費及び一般管理費においては、見本帳経費や各種コンサルタント費用の増加が影響し、計画及び前連結会計年度とも上回る結果となり、当連結会計年度の収益は低迷しました。なお、Koroseal Interior Products Holdings,Inc.の収益性が同社買収時の計画見込より低下していることから、当連結会計年度において、買収時に計上した無形資産の減損を行っております。
中国の山月堂(上海)装飾有限公司は、レジデンシャル及びコントラクト分野での売上が増加しました。当連結会計年度においても黒字となり、設立後3年目にして累積損失を解消しました。
当連結会計年度より業績を連結対象となったシンガポールのGoodrich Global Holdings Pte., Ltd.は、事業を展開する国、地域での経営体制、営業力、商品力等の見直しや強化を図り、売上高は減少したものの、利益面は改善しました。
また、山月堂(上海)装飾有限公司とGoodrich Global Holdings Pte., Ltd.の子会社であるGoodrich Global Wujiang Ltd.において、事務所統合や共有による上海ショールームを新設するなど、グループ会社間の協業を通じたシナジー追求に取り組んでいます。
海外事業における課題は、Koroseal Interior Products Holdings,Inc.の収益改善になります。2019年度に稼働するLouisville工場の新規設備導入によるコスト競争力強化、現地経営体制の強化等を進め、当社グループ経営における最重要課題として取り組んでまいります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び投資につきましては、主に内部資金を活用することを基本としつつ、一部の投資については借入により外部資金調達を行い、幅広い資金調達手段の確保に努めています。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は20,915百万円(前年同期比2,154百万円増)となっています。また、自己資本比率は前年同期比3.4ポイント低下し58.0%となりました。これは主に、米国の子会社Koroseal Interior Products Holdings,Inc.における工場の新設備導入費用等を金融機関からの長期借入金で調達したものです。当社グループでは、自己資本比率やネットキャッシュを鑑みつつ、投資すべき案件では外部資金調達を含めて資金を有効活用し、将来の成長に向けた各施策を進めていく所存です。
(4) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と位置付けております。中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」においては、成長のための事業推進及び収益管理体制の強化を図り、最終年度となる2019年度の定量目標としてROE8%~10%の達成を目指し、企業価値の向上に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるROEは3.5%であります。中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」に掲げる資本政策に基づき、安定的な増配と機動的な自己株式取得を実行し、当連結会計年度末の自己資本は99,139百万円となりました。中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」の付随目標である自己資本1,050億円~1,000億円を達成する水準まで、自己資本の圧縮は進捗しております。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期比935百万円減(20.7%減)したことにより、ROEは前年同期比0.7ポイント低下しました。収益力向上に向けた施策を強化し、引き続きROE改善に取り組んでまいります。
また、中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」の付随目標としてCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)75日~60日の達成を目指しております。当連結会計年度末におけるCCCは76.0日(前年同期比3.7日改善)となりました。CCCの内訳は以下のとおりであります。売上債権回転期間は114.9日(同1.1日悪化)となりました。棚卸資産回転期間はインテリア事業における新見本帳発刊に向けた商品在庫金額増などが影響し、49.9日(同4.1日悪化)となりました。仕入債務回転期間はインテリア事業において電子記録債務への支払方法変更が進み、88.8日(同8.9日改善)となりました。これらの結果、CCCは中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」の付随目標75日~60日に迫る水準まで改善しており、引き続き資金効率の向上に取り組んでまいります。