四半期報告書-第57期第2四半期(2023/06/01-2023/08/31)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が判断したものです。
(1) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における資産の残高は、前連結会計年度末から18億83百万円減少し、4,294億35百万円となりました。減少の主な原因は、マイナポイント事業による自社電子マネー付与相当額が国から入金されたことなどにより流動資産のその他が40億12百万円、固定資産の償却により有形固定資産のその他が22億13百万円減少したことによるものです。一方で現金及び預金が28億23百万円、受取手形及び売掛金が20億56百万円増加しました。
負債の残高は、前連結会計年度末から51億10百万円減少し、2,168億19百万円となりました。減少の主な原因は、短期借入金が53億42百万円、未払法人税等が26億87百万円、長期借入金が52億76百万円それぞれ減少したことによるものです。一方で支払手形及び買掛金が84億1百万円増加しました。 純資産の残高は、利益剰余金が27億50百万円増加したことなどにより2,126億16百万円となり、前連結会計年度末から32億27百万円増加しました。
(2) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年3月1日~2023年8月31日)におけるわが国の経済状況は、純輸出の増加などにより、2023年4-6月期の実質GDP成長率が前期比1.2%増となるなど、緩やかな回復を維持しました。また、新型コロナウイルスの感染法上における位置づけが「5類感染症」へ変更されて以降人流は活発化しましたが、資源価格や原材料価格の上昇などに起因する物価高の影響もあり、4-6月期の個人消費は前期比0.6%減少、また、7月の実質賃金も16か月連続減少の前期比2.5%減となるなど、くらしや事業を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。
このような環境下において、当社は、「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する」を経営ビジョンに掲げ、「現場主義」「従業員満足」「シナジー創出」を経営方針とし、引き続きお客さま及び従業員の安全・安心の確保に注力するとともに、お客さまと社会の行動や変化に対して柔軟かつ迅速に対応する、最も地域に貢献する企業集団を目指しています。コロナ禍で深刻な影響を受けた事業や業態の多くが回復基調を維持するなど、脱コロナ社会へ向けた動きが着実となる一方で、人口減少、業態を超えた同質化競争、消費の成熟化など従前からの課題と、物価高によるコスト増などの新たな課題へ対応すべく挑戦を続けます。そのような認識のもと、常にお客さまの行動を具体的なデータとともに分析し、商品やサービスに対する現場の声を事業活動に反映させ、最新のお客さまニーズへ対応することで営業収益の伸長を目指します。また、ロスの削減による荒利益高の改善とコストコントロールを推し進め、各利益項目の最大化を目指します。
株式会社フジ・リテイリングは、地域との繋がりを大切にし、お客さまのくらしを支え、「この街に、あってよかった。」と思っていただける店舗づくりを目指すとともに、現場主義を徹底し、お客さまの視点に立って主体的に行動できる企業文化の構築を進めています。店舗では、「最新基準の店舗づくり」を掲げ、愛媛県と広島県を重点エリアと定める新規出店計画を進めるとともに、安全と安心が確保された快適なお買物環境の追求、デジタル化の推進、多様化するニーズへの対応など店頭の利便性と競争力向上を目指す既存店の活性化にも取り組んでいます。2022年8月以降段階的なオープンを進めてきたラクア緑井(みどりい)(広島市安佐南区)は、3月にグランドオープンを迎えました。既存店では、3月にフジグラン緑井(みどりい)(広島市安佐南区)、4月にフジグラン重信(愛媛県東温市)、フジグランナタリー(広島県廿日市市)、フジ白島(はくしま)店(広島市中区)において改装による活性化を進めました。加えて、大型店を中心に集客イベント再開による客数及び売上高の伸長にも取り組みました。
食料品は、競争力を維持・向上すべく、お客さまの生活防衛意識の高まりに応えた価格訴求を推し進めるとともに、地元の素材、味付け、メニュー提案など、新たな価値を商品に付加しお客さまへ提供するなど、店頭における独自化や差別化を推し進めています。また、お客さまに“納得価格”“付加価値”を感じていただける商品の提供を目的に、9月からのイオングループプライベートブランド「トップバリュ」本格導入に先駆けて、6月に「バーリアルグラン」(発泡酒)の販売を開始しました。さらに、回復が続く外出や旅行、帰省などへの需要に対応すべく行楽商材や手土産などの販売、おもてなしメニューの提案に注力しました。
さらなる事業の拡大に取り組む移動スーパーは、6月にフジ南岩国(みなみいわくに)店(山口県岩国市)、7月にフジグラン野市(のいち)(高知県香南市)、8月にフジグラン石井(いしい)(徳島県名西郡石井町)で新たにサービスを開始し、6県46店舗を拠点に81台の専用車両で展開しています。
衣料品及び住居関連品は、ライフスタイルやニーズの変化へ迅速に対応すべく商品構成の見直しやレイアウト変更などによる既存店の活性化に取り組んでいます。脱コロナ社会へ向けて増加する旅行・外出需要への対応、水着や浴衣などの季節品の販売に注力するとともに、「美と健康」をテーマとした商品の拡大も進め、婦人衣料品、履物、服飾雑貨を中心に回復基調が続いています。また、テナント事業も、飲食店やアパレル店を中心に堅調に推移しました。
以上の取り組みにより、売上高は堅調に推移しました(食料品売上高前年同期比4.8%増、衣料品同3.2%増、住居関連品同1.7%減、移動スーパー事業同33.4%増、テナント事業同8.8%増)。
売上高の伸長に支えられた荒利益高が堅調に推移する一方で、経費は電気料金を中心とする光熱費をはじめあらゆるコスト上昇の影響を受けており、全社を挙げた電気使用量の節減ならびに、事務用品費や消耗品費などの節約に積極的に取り組みました。物価上昇へ対応し従業員のモチベーション向上にも繋げるべく賃上げを実施する一方で、デジタル化の推進による業務の効率化、省力化による生産性向上、コストコントロールに取り組んだものの、販売費及び一般管理費は前年同期を上回りました(販売費及び一般管理費前年同期比4.3%増、人件費同4.9%増、全社電気使用量同9.1%減、電気料金同2.3%増)。
同社は、循環型社会の実現に向け、お客さまとともにマイバッグ・マイバスケット持参によるレジ袋の削減や、食品トレーや牛乳パック、ペットボトルなどを店頭で回収することによるリサイクル推進に取り組んでいます。また、ご家庭などの余剰食料品を持ち寄っていただき福祉団体・施設に寄贈するフードドライブ活動を拡大すべく、新たに徳島県の4店舗にフードドライブコーナーを設置し、合計35店舗で取り組んでいます。さらに、自家消費型太陽光パネルの設置を進め現在までに38店舗への設置が完了したことで、年間約4,000tのCO2排出量削減に寄与する見込みであり、今後も設置店舗を増加させる計画です。あわせて、店舗屋上広告塔の常時消灯や店内照明の照度調整、日々の気温を考慮した空調温度の設定など省エネ対策を強化することで、脱炭素社会の実現に向けさらなる省エネ・再エネの推進と環境負荷の低減に取り組んでいます。
コロナ禍で大きな影響を受けた株式会社フジ・リテイリングの子会社について、飲食業は、新業態や新メニューの開発に注力しており、また、人流の活発化に伴い客数が回復基調を維持していることもあり、業績は堅調に推移しています。総合フィットネスクラブ事業は、新たなサービスの開始や顧客接点創出による会員獲得強化に取り組んでおり、業績は緩やかに回復しています。6月から広島県の海田町立海田南(かいたみなみ)小学校、廿日市市立阿品台西(あじなだいにし)小学校、福山市立宜山(むべやま)小学校の水泳指導業務を受託しました。長年培ってきたノウハウや自社施設及び人材などを活用し、お子様の健やかな発育と発達や地域の賑わい創出への貢献を目指しています。一般旅行業は、国内旅行の需要回復に加え、海外旅行の取り扱いも回復しつつあり、業績は回復基調が続いています(飲食業営業収益前年同期比14.3%増、総合フィットネスクラブ事業同5.8%増、一般旅行業同48.3%増)。
マックスバリュ西日本株式会社は、「旬・鮮度」「豊富さ」「お求めやすい価格」「クリンリネス」「笑顔の接客」の徹底を基本とし、「地域密着」「生鮮強化」を軸にサプライチェーン改革を行い、お客さまが安全に安心して楽しくお買物ができる店舗づくりに取り組んでいます。兵庫県西部、岡山市、広島市、山口県、香川県及び山陰エリアを中心とする出店計画と既存店の活性化に加え、移動スーパーやEコマースをはじめとするノンストア事業の確立に向けた取り組みを進めています。さらに、より便利なお買物環境の実現を目指し、スマートフォンアプリ「iAEON(アイイオン)」によるお買い得情報の発信、アプリ決済の推進、また、専用端末でスキャンしながら買い回りができる「マイピレジ」の導入拡大など、デジタル活用も進めています。加えて、新型コロナウイルス感染症の行動制限の緩和とともに活発化する外出や行楽、帰省など人の移動に伴う需要にも対応して取り組んでいます。
新規出店は、4月にマックスバリュ河崎(かわさき)店(鳥取県米子市)、6月にマルナカ多度津(たどつ)店(香川県仲多度郡多度津町)をオープンしました。改装による活性化を進めた既存店は、4月にマックスバリュ段原(だんばら)店(広島市南区)、マルナカ仏生山(ぶっしょうざん)店(香川県高松市)、マルナカ佐川(さかわ)店(高知県高岡郡佐川町)、5月にマルナカ加茂(かも)店(広島県福山市)、6月にマルナカ益野(ますの)店(岡山市東区)、マックスバリュ可部西(かべにし)店(広島市安佐北区)、マックスバリュ佐伯(さえき)店(広島県廿日市市)、マルナカ児島(こじま)店(岡山県倉敷市)、7月にマルナカ玉津(たまつ)店(神戸市西区)、マックスバリュ恩田(おんだ)店(山口県宇部市)、マルナカ高知一宮(こうちいっく)店(高知県高知市)の11店舗となりました。
商品は、家庭の光熱費や食品素材の値上がりで簡単に料理を済ませたいニーズが高まり、惣菜や冷凍食品などの調理済み食品の販売が好調に推移しました。地域の特色を活かした商品開発では、地元素材を使用した弁当や加工品などの開発に取り組み、バイヤーが厳選しておすすめする「バイヤー三ツ星」の商品として全店に展開し販売の強化に取り組んでいます。また、販売点数アップに向けて、トップバリュ商品の販売強化、火曜市の深耕、夕刻以降の出来立て商品の拡充にも取り組み、売上高は堅調に推移しました(食料品売上高前年同期比2.6%増、衣料品同3.3%減、住居関連品同2.2%増)。
移動スーパーは、6月にマックスバリュ養父(やぶ)店(兵庫県養父市)、8月にマルナカ白鳥(しろとり)店(香川県東かがわ市)で新たに開始したことで、9県27店舗を拠点に37台の専用車両での展開となり、日常のお買物が困難な山間部や島しょ部の地域を中心に事業を拡大しています。また、デリバリーサービスの導入では、6月よりマックスバリュ北在家(きたざいけ)店(兵庫県加古川市)、マルナカ伊川谷(いかわだに)店(神戸市西区)、7月よりマックスバリュ宮西(みやにし)店(兵庫県姫路市)にてUberEats、6月よりマックスバリュ海田(かいた)店(広島県安芸郡海田町)、8月よりマルナカ松福(まつふく)店(香川県高松市)にてWoltのサービスを開始しました。今後も移動スーパーや無人店舗の展開を進め、お客さまの不便の解消と新たなニーズに対応し、便利で新しいサービスを提案していきます。
店舗運営は、光熱費の削減に努め節電を徹底するとともに、2022年9月に稼働を始めた岡山総合プロセスセンター(岡山市南区)の供給拡大に加えて、3月に稼働を始めた兵庫プロセスセンター(兵庫県姫路市)から店舗への供給拡大を進めており、需要の時間帯にあわせた売場の出来栄えの向上と、店舗作業の軽減、素材を生かした独自商品の開発に取り組み、さらなる店舗の生産性向上と収益の拡大を図っています(販売費及び一般管理費前年同期比1.4%増、人件費同1.0%増、全社電気使用量同8.5%減、電気料金同4.1%増)。
同社は、地域を支援する目的で、事業地域のスポーツチームへのスポンサー活動、地域団体への寄附金贈呈を行っています。7月には、岡山県赤磐市で今年10回目となるマルナカと岡山シーガルズによるバレーボール大会を開催し、岡山に本拠地を置く市民クラブチームとともに、スポーツの振興を通じた事業地域の活性化への取り組みに努めています。また6月にマルナカ可部(かべ)店、7月にマックスバリュ加古川西(かこがわにし)店にて開催した食育体験学習会や店舗見学会を通じて健康推進をおこなう食育活動を実施しました。さらに各地域で発行しているご当地WAONのご利用を通じ、6月に「なると第九WAON」(徳島県鳴門市)、8月に「下松市こども未来WAON」(山口県下松市)の利用金額の一部を、寄附金としてそれぞれの自治体に贈呈しています。
また、持続可能な社会の実現に向け、食品廃棄物の削減や、CO2排出削減の取り組みを推進しています。6月には香川県内の店舗にて、同社も支援する香川県のJリーグプロサッカーチーム「カマタマーレ讃岐」の選手が参加し、食品ロスの削減を呼び掛けるフードドライブ活動を実施しました。当期末時点でフードドライブの常設コーナーの設置は143店舗、フードバンク活動は339店舗となっています。また8月にはCO2排出削減の取り組みとして、香川県高松市の環境美化の取り組みや脱炭素型のまちづくりの推進に活用いただくことを目的に、高松市の店舗で販売した有料レジ袋の収益金を高松市へ贈呈しました。引き続き、地域の環境に配慮した取り組みを進め、安全で安心な生活ができる環境づくりに努めます。
当社は、2022年3月1日付「マックスバリュ西日本株式会社との経営統合に伴う持株会社体制への移行完了及び当社子会社の商号変更に関するお知らせ」のとおり、マックスバリュ西日本株式会社との経営統合に伴う持株会社体制へ移行しました。現在は、2024年3月の新会社発足を見据えシナジーを創出すべく株式会社フジ・リテイリング及びマックスバリュ西日本株式会社と事業課題やその問題解決について議論を進めています。
当第2四半期連結累計期間においては、営業収益は堅調に推移し増収となりました。賃上げの実施により上昇した人件費は未来への積極的な投資と捉える一方で、プロセスセンターの活用やデジタル化の推進などによる生産性の向上に取り組みました。販売費及び一般管理費は前年同期比22億1百万円増加したものの、営業収益の増加により、営業増益となりました。一方で、四半期純利益は前期の投資有価証券売却による特別利益の剥落により前年同期を下回りました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の営業収益は3,988億43百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は60億53百万円(前年同期比18.5%増)、経常利益は69億63百万円(前年同期比15.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は40億53百万円(前年同期比31.8%減)となりました。
(連結業績) (単位:百万円)
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前四半期純利益63億25百万円に含まれる非資金損益項目の減価償却費84億9百万円の調整と、増加要因として、仕入債務の増減額84億1百万円等により、230億54百万円の収入(前年同期は188億73百万円の収入)となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形及び無形固定資産の取得(設備関係支払手形決済等を含む)による支出が92億12百万円あったことなどにより80億円の支出(前年同期は41億42百万円の支出)となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、長期借入れによる収入が70億円、一方で長期借入金の返済による支出が139億69百万円あったことなどにより122億30百万円の支出(前年同期は53億29百万円の支出)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結会計期間末残高は346億24百万円となり、期首から28億23百万円増加しました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
(1) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における資産の残高は、前連結会計年度末から18億83百万円減少し、4,294億35百万円となりました。減少の主な原因は、マイナポイント事業による自社電子マネー付与相当額が国から入金されたことなどにより流動資産のその他が40億12百万円、固定資産の償却により有形固定資産のその他が22億13百万円減少したことによるものです。一方で現金及び預金が28億23百万円、受取手形及び売掛金が20億56百万円増加しました。
負債の残高は、前連結会計年度末から51億10百万円減少し、2,168億19百万円となりました。減少の主な原因は、短期借入金が53億42百万円、未払法人税等が26億87百万円、長期借入金が52億76百万円それぞれ減少したことによるものです。一方で支払手形及び買掛金が84億1百万円増加しました。 純資産の残高は、利益剰余金が27億50百万円増加したことなどにより2,126億16百万円となり、前連結会計年度末から32億27百万円増加しました。
(2) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年3月1日~2023年8月31日)におけるわが国の経済状況は、純輸出の増加などにより、2023年4-6月期の実質GDP成長率が前期比1.2%増となるなど、緩やかな回復を維持しました。また、新型コロナウイルスの感染法上における位置づけが「5類感染症」へ変更されて以降人流は活発化しましたが、資源価格や原材料価格の上昇などに起因する物価高の影響もあり、4-6月期の個人消費は前期比0.6%減少、また、7月の実質賃金も16か月連続減少の前期比2.5%減となるなど、くらしや事業を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。
このような環境下において、当社は、「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する」を経営ビジョンに掲げ、「現場主義」「従業員満足」「シナジー創出」を経営方針とし、引き続きお客さま及び従業員の安全・安心の確保に注力するとともに、お客さまと社会の行動や変化に対して柔軟かつ迅速に対応する、最も地域に貢献する企業集団を目指しています。コロナ禍で深刻な影響を受けた事業や業態の多くが回復基調を維持するなど、脱コロナ社会へ向けた動きが着実となる一方で、人口減少、業態を超えた同質化競争、消費の成熟化など従前からの課題と、物価高によるコスト増などの新たな課題へ対応すべく挑戦を続けます。そのような認識のもと、常にお客さまの行動を具体的なデータとともに分析し、商品やサービスに対する現場の声を事業活動に反映させ、最新のお客さまニーズへ対応することで営業収益の伸長を目指します。また、ロスの削減による荒利益高の改善とコストコントロールを推し進め、各利益項目の最大化を目指します。
株式会社フジ・リテイリングは、地域との繋がりを大切にし、お客さまのくらしを支え、「この街に、あってよかった。」と思っていただける店舗づくりを目指すとともに、現場主義を徹底し、お客さまの視点に立って主体的に行動できる企業文化の構築を進めています。店舗では、「最新基準の店舗づくり」を掲げ、愛媛県と広島県を重点エリアと定める新規出店計画を進めるとともに、安全と安心が確保された快適なお買物環境の追求、デジタル化の推進、多様化するニーズへの対応など店頭の利便性と競争力向上を目指す既存店の活性化にも取り組んでいます。2022年8月以降段階的なオープンを進めてきたラクア緑井(みどりい)(広島市安佐南区)は、3月にグランドオープンを迎えました。既存店では、3月にフジグラン緑井(みどりい)(広島市安佐南区)、4月にフジグラン重信(愛媛県東温市)、フジグランナタリー(広島県廿日市市)、フジ白島(はくしま)店(広島市中区)において改装による活性化を進めました。加えて、大型店を中心に集客イベント再開による客数及び売上高の伸長にも取り組みました。
食料品は、競争力を維持・向上すべく、お客さまの生活防衛意識の高まりに応えた価格訴求を推し進めるとともに、地元の素材、味付け、メニュー提案など、新たな価値を商品に付加しお客さまへ提供するなど、店頭における独自化や差別化を推し進めています。また、お客さまに“納得価格”“付加価値”を感じていただける商品の提供を目的に、9月からのイオングループプライベートブランド「トップバリュ」本格導入に先駆けて、6月に「バーリアルグラン」(発泡酒)の販売を開始しました。さらに、回復が続く外出や旅行、帰省などへの需要に対応すべく行楽商材や手土産などの販売、おもてなしメニューの提案に注力しました。
さらなる事業の拡大に取り組む移動スーパーは、6月にフジ南岩国(みなみいわくに)店(山口県岩国市)、7月にフジグラン野市(のいち)(高知県香南市)、8月にフジグラン石井(いしい)(徳島県名西郡石井町)で新たにサービスを開始し、6県46店舗を拠点に81台の専用車両で展開しています。
衣料品及び住居関連品は、ライフスタイルやニーズの変化へ迅速に対応すべく商品構成の見直しやレイアウト変更などによる既存店の活性化に取り組んでいます。脱コロナ社会へ向けて増加する旅行・外出需要への対応、水着や浴衣などの季節品の販売に注力するとともに、「美と健康」をテーマとした商品の拡大も進め、婦人衣料品、履物、服飾雑貨を中心に回復基調が続いています。また、テナント事業も、飲食店やアパレル店を中心に堅調に推移しました。
以上の取り組みにより、売上高は堅調に推移しました(食料品売上高前年同期比4.8%増、衣料品同3.2%増、住居関連品同1.7%減、移動スーパー事業同33.4%増、テナント事業同8.8%増)。
売上高の伸長に支えられた荒利益高が堅調に推移する一方で、経費は電気料金を中心とする光熱費をはじめあらゆるコスト上昇の影響を受けており、全社を挙げた電気使用量の節減ならびに、事務用品費や消耗品費などの節約に積極的に取り組みました。物価上昇へ対応し従業員のモチベーション向上にも繋げるべく賃上げを実施する一方で、デジタル化の推進による業務の効率化、省力化による生産性向上、コストコントロールに取り組んだものの、販売費及び一般管理費は前年同期を上回りました(販売費及び一般管理費前年同期比4.3%増、人件費同4.9%増、全社電気使用量同9.1%減、電気料金同2.3%増)。
同社は、循環型社会の実現に向け、お客さまとともにマイバッグ・マイバスケット持参によるレジ袋の削減や、食品トレーや牛乳パック、ペットボトルなどを店頭で回収することによるリサイクル推進に取り組んでいます。また、ご家庭などの余剰食料品を持ち寄っていただき福祉団体・施設に寄贈するフードドライブ活動を拡大すべく、新たに徳島県の4店舗にフードドライブコーナーを設置し、合計35店舗で取り組んでいます。さらに、自家消費型太陽光パネルの設置を進め現在までに38店舗への設置が完了したことで、年間約4,000tのCO2排出量削減に寄与する見込みであり、今後も設置店舗を増加させる計画です。あわせて、店舗屋上広告塔の常時消灯や店内照明の照度調整、日々の気温を考慮した空調温度の設定など省エネ対策を強化することで、脱炭素社会の実現に向けさらなる省エネ・再エネの推進と環境負荷の低減に取り組んでいます。
コロナ禍で大きな影響を受けた株式会社フジ・リテイリングの子会社について、飲食業は、新業態や新メニューの開発に注力しており、また、人流の活発化に伴い客数が回復基調を維持していることもあり、業績は堅調に推移しています。総合フィットネスクラブ事業は、新たなサービスの開始や顧客接点創出による会員獲得強化に取り組んでおり、業績は緩やかに回復しています。6月から広島県の海田町立海田南(かいたみなみ)小学校、廿日市市立阿品台西(あじなだいにし)小学校、福山市立宜山(むべやま)小学校の水泳指導業務を受託しました。長年培ってきたノウハウや自社施設及び人材などを活用し、お子様の健やかな発育と発達や地域の賑わい創出への貢献を目指しています。一般旅行業は、国内旅行の需要回復に加え、海外旅行の取り扱いも回復しつつあり、業績は回復基調が続いています(飲食業営業収益前年同期比14.3%増、総合フィットネスクラブ事業同5.8%増、一般旅行業同48.3%増)。
マックスバリュ西日本株式会社は、「旬・鮮度」「豊富さ」「お求めやすい価格」「クリンリネス」「笑顔の接客」の徹底を基本とし、「地域密着」「生鮮強化」を軸にサプライチェーン改革を行い、お客さまが安全に安心して楽しくお買物ができる店舗づくりに取り組んでいます。兵庫県西部、岡山市、広島市、山口県、香川県及び山陰エリアを中心とする出店計画と既存店の活性化に加え、移動スーパーやEコマースをはじめとするノンストア事業の確立に向けた取り組みを進めています。さらに、より便利なお買物環境の実現を目指し、スマートフォンアプリ「iAEON(アイイオン)」によるお買い得情報の発信、アプリ決済の推進、また、専用端末でスキャンしながら買い回りができる「マイピレジ」の導入拡大など、デジタル活用も進めています。加えて、新型コロナウイルス感染症の行動制限の緩和とともに活発化する外出や行楽、帰省など人の移動に伴う需要にも対応して取り組んでいます。
新規出店は、4月にマックスバリュ河崎(かわさき)店(鳥取県米子市)、6月にマルナカ多度津(たどつ)店(香川県仲多度郡多度津町)をオープンしました。改装による活性化を進めた既存店は、4月にマックスバリュ段原(だんばら)店(広島市南区)、マルナカ仏生山(ぶっしょうざん)店(香川県高松市)、マルナカ佐川(さかわ)店(高知県高岡郡佐川町)、5月にマルナカ加茂(かも)店(広島県福山市)、6月にマルナカ益野(ますの)店(岡山市東区)、マックスバリュ可部西(かべにし)店(広島市安佐北区)、マックスバリュ佐伯(さえき)店(広島県廿日市市)、マルナカ児島(こじま)店(岡山県倉敷市)、7月にマルナカ玉津(たまつ)店(神戸市西区)、マックスバリュ恩田(おんだ)店(山口県宇部市)、マルナカ高知一宮(こうちいっく)店(高知県高知市)の11店舗となりました。
商品は、家庭の光熱費や食品素材の値上がりで簡単に料理を済ませたいニーズが高まり、惣菜や冷凍食品などの調理済み食品の販売が好調に推移しました。地域の特色を活かした商品開発では、地元素材を使用した弁当や加工品などの開発に取り組み、バイヤーが厳選しておすすめする「バイヤー三ツ星」の商品として全店に展開し販売の強化に取り組んでいます。また、販売点数アップに向けて、トップバリュ商品の販売強化、火曜市の深耕、夕刻以降の出来立て商品の拡充にも取り組み、売上高は堅調に推移しました(食料品売上高前年同期比2.6%増、衣料品同3.3%減、住居関連品同2.2%増)。
移動スーパーは、6月にマックスバリュ養父(やぶ)店(兵庫県養父市)、8月にマルナカ白鳥(しろとり)店(香川県東かがわ市)で新たに開始したことで、9県27店舗を拠点に37台の専用車両での展開となり、日常のお買物が困難な山間部や島しょ部の地域を中心に事業を拡大しています。また、デリバリーサービスの導入では、6月よりマックスバリュ北在家(きたざいけ)店(兵庫県加古川市)、マルナカ伊川谷(いかわだに)店(神戸市西区)、7月よりマックスバリュ宮西(みやにし)店(兵庫県姫路市)にてUberEats、6月よりマックスバリュ海田(かいた)店(広島県安芸郡海田町)、8月よりマルナカ松福(まつふく)店(香川県高松市)にてWoltのサービスを開始しました。今後も移動スーパーや無人店舗の展開を進め、お客さまの不便の解消と新たなニーズに対応し、便利で新しいサービスを提案していきます。
店舗運営は、光熱費の削減に努め節電を徹底するとともに、2022年9月に稼働を始めた岡山総合プロセスセンター(岡山市南区)の供給拡大に加えて、3月に稼働を始めた兵庫プロセスセンター(兵庫県姫路市)から店舗への供給拡大を進めており、需要の時間帯にあわせた売場の出来栄えの向上と、店舗作業の軽減、素材を生かした独自商品の開発に取り組み、さらなる店舗の生産性向上と収益の拡大を図っています(販売費及び一般管理費前年同期比1.4%増、人件費同1.0%増、全社電気使用量同8.5%減、電気料金同4.1%増)。
同社は、地域を支援する目的で、事業地域のスポーツチームへのスポンサー活動、地域団体への寄附金贈呈を行っています。7月には、岡山県赤磐市で今年10回目となるマルナカと岡山シーガルズによるバレーボール大会を開催し、岡山に本拠地を置く市民クラブチームとともに、スポーツの振興を通じた事業地域の活性化への取り組みに努めています。また6月にマルナカ可部(かべ)店、7月にマックスバリュ加古川西(かこがわにし)店にて開催した食育体験学習会や店舗見学会を通じて健康推進をおこなう食育活動を実施しました。さらに各地域で発行しているご当地WAONのご利用を通じ、6月に「なると第九WAON」(徳島県鳴門市)、8月に「下松市こども未来WAON」(山口県下松市)の利用金額の一部を、寄附金としてそれぞれの自治体に贈呈しています。
また、持続可能な社会の実現に向け、食品廃棄物の削減や、CO2排出削減の取り組みを推進しています。6月には香川県内の店舗にて、同社も支援する香川県のJリーグプロサッカーチーム「カマタマーレ讃岐」の選手が参加し、食品ロスの削減を呼び掛けるフードドライブ活動を実施しました。当期末時点でフードドライブの常設コーナーの設置は143店舗、フードバンク活動は339店舗となっています。また8月にはCO2排出削減の取り組みとして、香川県高松市の環境美化の取り組みや脱炭素型のまちづくりの推進に活用いただくことを目的に、高松市の店舗で販売した有料レジ袋の収益金を高松市へ贈呈しました。引き続き、地域の環境に配慮した取り組みを進め、安全で安心な生活ができる環境づくりに努めます。
当社は、2022年3月1日付「マックスバリュ西日本株式会社との経営統合に伴う持株会社体制への移行完了及び当社子会社の商号変更に関するお知らせ」のとおり、マックスバリュ西日本株式会社との経営統合に伴う持株会社体制へ移行しました。現在は、2024年3月の新会社発足を見据えシナジーを創出すべく株式会社フジ・リテイリング及びマックスバリュ西日本株式会社と事業課題やその問題解決について議論を進めています。
当第2四半期連結累計期間においては、営業収益は堅調に推移し増収となりました。賃上げの実施により上昇した人件費は未来への積極的な投資と捉える一方で、プロセスセンターの活用やデジタル化の推進などによる生産性の向上に取り組みました。販売費及び一般管理費は前年同期比22億1百万円増加したものの、営業収益の増加により、営業増益となりました。一方で、四半期純利益は前期の投資有価証券売却による特別利益の剥落により前年同期を下回りました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の営業収益は3,988億43百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は60億53百万円(前年同期比18.5%増)、経常利益は69億63百万円(前年同期比15.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は40億53百万円(前年同期比31.8%減)となりました。
(連結業績) (単位:百万円)
2023年2月期第2四半期 | 2024年2月期第2四半期 | ||||
前年同期比 | 前年同期比 | ||||
営業収益 | 386,171 | 144.2%増 | 398,843 | 3.3%増 | |
営業利益 | 5,108 | 54.6%増 | 6,053 | 18.5%増 | |
経常利益 | 6,039 | 29.5%増 | 6,963 | 15.3%増 | |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 5,943 | 98.1%増 | 4,053 | 31.8%減 |
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前四半期純利益63億25百万円に含まれる非資金損益項目の減価償却費84億9百万円の調整と、増加要因として、仕入債務の増減額84億1百万円等により、230億54百万円の収入(前年同期は188億73百万円の収入)となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形及び無形固定資産の取得(設備関係支払手形決済等を含む)による支出が92億12百万円あったことなどにより80億円の支出(前年同期は41億42百万円の支出)となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、長期借入れによる収入が70億円、一方で長期借入金の返済による支出が139億69百万円あったことなどにより122億30百万円の支出(前年同期は53億29百万円の支出)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結会計期間末残高は346億24百万円となり、期首から28億23百万円増加しました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。